JP3901991B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、展示用、観賞用などに好適なタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
タイヤを構成するゴム部材は、通常、黒色ゴムが用いられている。従って、タイヤの内部構造を説明したいような場合、タイヤの外皮ゴムを剥がしたり、カットサンプルなどを用いることが必要になり手間を要する。
【0003】
本発明は、このような問題点に鑑み案出なされたもので、タイヤを構成する全てのゴム部材を透明ゴムを用いて形成することを基本として、外部から容易に内部構造を観察しうる展示用、観賞用に適したタイヤを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、タイヤを構成する全てのゴム部材透明ゴムを用いるとともに、この透明ゴムのいずれかは、蓄光した光を放出して発光する蓄光塗料を具える。
【0005】
さらに請求項1記載の発明は、電気エネルギーにより発光する発光体を埋設している。
【0006】
さらに請求項2に係る発明は、前記透明ゴムは、内部に配されたコード材を透視可能であり、かつコードを被覆するトッピングゴムを透明としたことを特徴とする。
【0007】
又請求項3に係る発明は、タイヤが、展示用又は観賞用タイヤであることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態のタイヤ1として、チューブレスタイプの空気入りタイヤを例示している。該タイヤ1は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のサイドウォール部3、3と、各サイドウォール部3の内端に形成されかつリムに載置されるビード部4とを有している。
【0009】
また本実施形態のタイヤ1は、その内部に配された非ゴム部材Aと、この非ゴム部材Aを被覆しタイヤ1の形状などを形作るゴム部材Bとからなる。
【0010】
前記非ゴム部材Aは、本例では前記ビード部4に埋設された環状のビードコア5、及びカーカスコード6とベルトコード7とを含むコード材を含んでいる。前記ビードコア5は、スチールワイヤないしスチール素線を多段多列に巻重ねて形成されている。また前記カーカスコード6は、例えば有機繊維コードであって、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の回りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されて係止されたものを例示する。また前記ベルトコード7は、例えばスチールコードであって、トレッド部2の内部かつ前記カーカスコード6の外側にタイヤ半径方向で互いに逆向きに傾けて重置された2層からなる。このベルトコード7は、タイヤ赤道Cに対して小角度で傾けて配列されている。
【0011】
本発明では、タイヤを構成する全てのゴム部材Bを透明ゴム9を用いて形成している。前記ゴム部材Bとしては、トレッド部2に配されるトレッドゴム、サイドウォール部3に配されるサイドウォールゴム、ビード部4に配されるビードゴム、タイヤ内腔面をなすインナーライナーゴム、さらには、カーカスコード6やベルトコード7を被覆するトッピングゴムなどの全てを含み、これら全てを透明ゴム9を用いて形成している。
【0012】
前記透明ゴム9としては、特に限定はされないが、例えば非汚染タイプのポリブタジエンゴムが透明性が高く好適である。そして、これに例えば加硫剤として硫黄又は/及びパーオキサイド、必要に応じて加硫促進剤等を用いることができる。なお透明性を損なわない程度にシリカを配合することもできる。
【0013】
このようなタイヤ1は、全てのゴム部材Bを透明ゴム9を用いて形成したことにより、ゴム剥ぎや分解することなしに外部から肉眼で内部構造、すなわち、カーカスコード6やベルトコード7といったコード材を見ることができる。従って、本発明のタイヤは、新商品の宣伝や内部構造説明など、展示、観賞に適したものとなる。またタイヤ1を変形させたときの各コード部材の状態などを外部から容易に観察することができるため、評価用のタイヤとしても有用である。
【0014】
前記透明ゴム9は、本例では無色透明であるが、半透明でも良く、その少なくとも一部が着色、発色又は発光性を有するものであっても良い。例えばゴム中に酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、酸化クロムなどの着色顔料又は染料などを配合する他、有機又は無機の顔料を主成分とする塗料などを加えて内部を透視可能な程度で着色ないし発色させることができる。この場合、特に従来の黒一色のものに比べて装飾的効果が高く、より美観を向上することができる。
【0015】
また前記透明ゴム9に、例えば発光塗料を配合することもできる。発光塗料としては、例えば蛍光染料を用いた蛍光塗料や、リン光体を用いた蓄光塗料などを用いることができる。蛍光塗料用の樹脂としては、ポリメタクリル酸エステル、ビニル樹脂、アルキド樹脂などがあり、蛍光染料をビヒクルに分散させて塗料とし加硫前にゴムに混入する。また蓄光塗料としては、例えば硫化カルシウム系、硫化亜鉛系などの塗料を用いることができる。
【0016】
蓄光作用を有するタイヤ1は、昼間に蓄光した光を夜間に放出して発光するため、イルミネーション効果が得られ、装飾効果の他、宣伝効果を発揮しうる。また、タイヤ1の内部に、例えば電気エネルギーにて発光する発光体などを埋設することもできる。この場合、加硫後のタイヤに差し込むなどして適宜組み込むことができる。このようなタイヤ1は、その光を外部に放出することによりイルミネーション効果を発揮してより装飾性を高めることもできる。
【0017】
またタイヤ1は、ゴム部材Bだけではなく、例えば前記コード材を着色することもできる。この際、カーカスコード6やベルトコード7といったコード自体に着色する他、コードを被覆するトッピングゴムに有色透明のゴムを用いることもできる。これにより、コード材の材料や構造の違いなど、内部構造の理解させるのに役立つ。
【0018】
また本実施形態のタイヤは、加硫剤として硫黄を用いない非硫黄加硫によって成形されたものを示す。加硫剤としての硫黄やチウラム類の超促進剤、チアゾール類、スルフェンアミン類などの加硫促進剤は、ブルームによってゴムの透明度を低下させ、見映えを悪化やすいためである。
【0019】
前記非硫黄加硫としては、例えばジクミルペルオキサイドなどの有機過酸化物を用いるものが好ましいが、それ以外は常法に従って製造することができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
表1に示すゴム配合をタイヤの全てのゴム部材、すなわちトッピングゴム、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビードゴム、インナーライナーゴムに用いた。なお加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤に硫黄ないし硫黄系のものを一切使用せず、有機過酸化物としてジクミルペルオキサイドを用いて加硫成形した。成形後、ゴム部材が無色かつ非常に透明度の高い空気入りタイヤが得られた。またこのタイヤは、外部から肉眼で、ベルトプライ、カーカスプライの各コード材を見ることができた。
【0021】
【表1】
Figure 0003901991
【0022】
(実施例2)
実施例2として、全てのゴム部材が黄色の半透明ゴムからなるタイヤを製造した。ゴムの配合は表2に示すものとした。加硫は実施例1と同様に非硫黄加硫とした。このタイヤについても、外部から肉眼でベルトプライ、カーカスプライの各コード材を見ることができた。また発色が綺麗で装飾性にも優れていることが確認できた。
【0023】
【表2】
Figure 0003901991
【0024】
(実施例3)
実施例3として、実施例1のタイヤの内部に発光体を埋設した。発光体としてはランプタイプの高光度発光ダイオード(青色、緑色、赤色)やチップタイプ発光ダイオードを用い、これをタイヤ内腔面又はカーカス、ベルト、トレッドゴムの巾等に埋設した。夜間に発光させることによりイルミネーションとしての効果を奏することが確認できた。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、タイヤを構成する全てのゴム部材を透明ゴムを用いて形成したことにより、タイヤの構造を外部から肉眼で見ることができ、新商品の宣伝など、展示、観賞に適したタイヤを提供しうる。
【0026】
また請求項2記載の発明のように、透明ゴムの少なくとも一部が着色、発色又は発光性を有するときには、より観賞用に適したタイヤを提供しうるほか、イルミネーションなどとしても用いるなど装飾効果をも発揮しうる。
【0027】
また請求項3記載の発明のように、透明ゴムは、内部に配されたコード層を透視可能としたときには、タイヤの内部構造をより正確に観察することができる。
【0028】
また請求項4記載の発明のように、加硫剤として硫黄を用いない非硫黄加硫によって成形されたときには、硫黄のブルームが無いため、ゴムの透明度を向上でき、タイヤの美観を高めてより展示用、観賞用、装飾用に適したタイヤを提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すタイヤの断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカスコード
7 ベルトコード
9 透明ゴム
A 非ゴム部材
B ゴム部材

Claims (3)

  1. タイヤを構成する全てのゴム部材透明ゴムを用いるとともに、この透明ゴムのいずれかは、蓄光した光を放出して発光する蓄光塗料を具えるとともに、しかも電気エネルギーにより発光する発光体を埋設したことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記透明ゴムは、内部に配されたコード材を透視可能であり、かつコードを被覆するトッピングゴムを透明としたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ。
  3. タイヤは、展示用又は観賞用タイヤであることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
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