JP3901508B2 - ガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル、噴霧ノズルシステム及びガスタービン発電システム - Google Patents

ガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル、噴霧ノズルシステム及びガスタービン発電システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン発電システムの圧縮機の吸気温度を低下させることにより吸気密度を増加させ、発電出力を上昇させることを目的として大量の微細水滴を噴霧するガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル、噴霧ノズルシステム及びガスタービン発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、総合的な熱効率の点から、ガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電システムが広く採用されているようになっている。しかし、このようなガスタービンを用いた発電システムは、夏季等の気温の高い時期において吸気温度が上昇することにより出力が低下する特徴がある。このような吸気温度の上昇による影響に対処するため、圧縮機上流側の吸気に微細水滴を噴霧し、その蒸発熱により吸気温度の上昇を抑え、さらに質量流量を増加させることで増出力を得る方法が採用されている。
【0003】
現状では、水単体を用いる1流体噴霧ノズルで大量の水を霧化(水滴径:ザウター平均で約20μm以下)することが困難であることから、圧縮機から抽気する空気を用いた2流体噴霧ノズルが採用されている。
【0004】
また、夏季の出力回復及び出力向上を図る文献上の提案としては次のようなものがある。
【0005】
まず1流体(水単体)噴霧ノズルを用いるものとして、特開平9−303160号公報や特開平8−284685号公報には、圧縮機上流の吸気室内に水ポンプの吐出圧力で水を散布する1流体水単体噴霧ノズルを設置した構成が記載されている。また、特開平11−93692号公報には、熱交換器を利用した空気冷却器と1流体噴霧ノズルを併用したシステムが記載されている。
【0006】
特開平10−238365号公報には、空気の流れを利用する霧吹き構造の1流体噴霧ノズルを採用して噴霧水滴の微細化を達成し、圧縮機内の翼に発生するエロージョンを防止する構成が記載されている。
【0007】
また、2流体(水−空気)噴霧ノズルを用いるものとして、特開平9−236024号公報、特開平11−13486号公報、特開平11−72029号公報には、圧縮機上流の吸気室内に水ポンプの吐出圧力と圧縮機出口の空気で水を微細化し噴霧する2流体スプレーノズルを設置する構成が記載されている。
【0008】
更に、ガスタービン増出力用以外の噴霧ノズルとして、特開平9−94487号公報には、屋内外の空間演出用あるいは室内外の冷却加湿用の1流体噴霧ノズル単体において、1穴から少量の高圧水を噴出させて扁平な傾斜面に衝突させて霧化させる構造が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
夏季の吸気温度の上昇に伴うガスタービン出力低下を抑制する目的で、噴霧ノズルを使用して圧縮機上流側の吸気に微細水滴を噴霧し、その蒸発熱により吸気温度の上昇を抑え、さらに質量流量を増加させることで増出力を得、有効性を高める場合の課題として以下に示すものがある。
【0010】
課題1:システム損失をできるだけ少なくすること。
理由:噴霧ノズルを使用する目的は、夏季等におけるタービン出力の低下を防止することである。よって、噴霧ノズルの使用によりシステム損失が生じることは極力避けなければならない。
【0011】
課題2:できるだけ大量の水を微小水滴に霧化すること。
理由:圧縮機入口に配置された空気室内の限られた空間にノズルを設置するため、少量噴霧ノズルを数多く設置すると、コスト高になるばかりでなく空気流れの抵抗になり圧縮機への空気流入量の低下につながる可能性がある。
【0012】
課題3:噴霧される水滴の大きさがザウター平均径で20μm以下を達成すること。
理由:水滴径が大きいと圧縮機に流入する気流にうまく乗らず、また、大きな水滴のまま圧縮機内に流入すると圧縮機の翼でのエロージョンの原因となる。さらに、圧縮機内での蒸発が遅れて気化潜熱による効果が減少し、熱効率向上への貢献度が小さくなる。ここで、ザウター平均粒径とはレーザ測定法で計測した散布水粒径を表す一般的な指標で、通常水滴径として用いられる。
【0013】
課題4:負荷需要に応じたガスタービン運転モードに対応する噴霧水滴量の制御が行えること。
理由:ガスタービン部分負荷運転では、失火の原因ともなることから、ノズルからの噴霧水滴量を制御し、必要以上の水滴噴霧にならないようにする必要がある。
【0014】
まず、現状採用されているガスタービン増出力用の2流体噴霧ノズル及び特開平9−236024号公報、特開平11−13486号公報、特開平11−72029号公報に記載の2流体噴霧ノズルでは、上記課題1を達成することができない。
【0015】
つまり、2流体噴霧ノズルでは、例えば1個当たりで毎時42リットルの水量を散布する場合、使用する空気量は350NL/minとなる。また、圧縮機上流の空気室に噴霧する水量は噴霧水と吸気空気の重量比で約1%である。したがって、ノズルにより噴霧する水量は、ガスタービンの容量にもよるが、かなり大量の水が必要となり、多数のノズルを用いて一斉に噴霧するようにしている。例えば、100メガワットのガスタービン発電システムでは、散布水量が毎時42リットルの2流体噴霧ノズルを使用した場合、約200個のノズルが必要となり、使用空気量も70Nm/minとなる。この時に使用される空気を圧縮機から抽気されることにより生じる損失は出力の約2%に相当し、電気出力換算で約2メガワットもの大きな出力損失となる。
【0016】
特開平9−303160号公報、特開平8−284685号公報、特開平11−93692号公報には1流体噴霧ノズルが開示されているが、具体的なノズル構造の開示や部分負荷運転の開示がない。よって上記課題2〜4を達成することができない。
【0017】
特開平10−238365号公報に記載の1流体噴霧ノズルも、上記課題2〜4を達成することができない。つまり、特開平10−238365号公報に記載の霧吹き構造の1流体噴霧ノズルでは大量の微細水滴噴霧を実現するのは困難であり、また水滴の大きさをザウター平均径で20μm以下に微細化することも難しく、また部分負荷運転についての記載もない。
【0018】
上記特開平9−84487号公報に記載の1流体噴霧ノズルはガスタービン増出力用ではない。また、仮にこのノズルをガスタービン発電システムの増出力用に適用したとしても、1個当たりの噴霧量が少ないことからノズルの必要設置数が多くなり、それによる設備コストの増加及び圧縮機への空気流入量の低下といった問題が生じ、上記課題2を解決することはできない。
【0019】
また、そのノズルを、空気室内において風速5m/s程度の圧縮機の吸気流れ中で使用した場合には、その空気流れにより衝突面の下流側にある支持部材(J字状の曲がりピン)に飛散水滴が当たり、水滴が結合し、ザウター平均径で20μmより大きい水滴が多くできてしまう。つまり、結果的に上記課題3を解決することはできない。
【0020】
更に、上記特開平9−84487号公報に記載の1流体噴霧ノズルはガスタービン増出力用ではなく、ガスタービン発電システムの部分負荷運転において失火を防ぐために空気室内に噴霧する全体の水滴量を適切に制御することについては記載されておらず、上記課題4を解決することはできない。
【0021】
本発明の目的は、ガスタービン発電システムのシステム損失を少なくし、かつ大量の水を微細水滴に霧化でき、かつ空気流れ中においても十分微細な水滴を噴霧できるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル、噴霧ノズルシステム及びガスタービン発電システムを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを備えるガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものであり、前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定するものとする。
【0024】
このように高圧1流体噴霧ノズルを採用することにより、圧縮機からの空気の抽気を必要としないため、高圧2流体噴霧ノズルと比較してシステム損失を極めて少なくすることができる。
【0025】
また、1つのノズル本体にターゲットを複数設けることにより、合計水量を多くすることができ、大量の水を微細水滴に霧化することができる。
【0026】
更にターゲットをノズル本体に放射状に固定することにより、空気流れ中に噴霧した飛散水滴がそのまま気流に乗ることができ、空気流れ中においても十分微細な水滴を噴霧することができる。
また、複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、複数の水ジェットのそれぞれを、傾斜面先端部の円弧の中心部に衝突させることにより、傾斜面上における水ジェットの衝突点から水膜がちぎれるまでの距離が一様となり、水を一様に微細化させることができる。
更に、複数のターゲットのそれぞれについて、傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を傾斜面への水流衝突位置として設定することにより、傾斜面の円弧の中心に正確に水ジェットを衝突させることができる。
【0027】
(2)また上記目的を達成するために、本発明は、空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを備えるガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものとし、更に、前記ノズル本体の前記複数のターゲットの上流側に位置する部分に壁を設け、ターゲットと壁の間に減圧領域を形成し、前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定するものとする。
【0028】
これにより上記(1)で述べたように、ガスタービン発電システムのシステム損失を少なくし、かつ大量の水を微細水滴に霧化でき、かつ空気流れ中においても十分微細な水滴を噴霧できる。また、ターゲットの上流側のノズル本体上に壁を設け、ターゲットと壁の間に減圧領域を形成することにより、個々のターゲットでの噴霧幅が広がり微細水滴間の衝突の回避、圧力振動の誘発が可能となり、水滴をさらに微細化することができる。
また、傾斜面上における水ジェットの衝突点から水膜がちぎれるまでの距離が一様となり、水を一様に微細化させることができる。
更に、傾斜面の円弧の中心に正確に水ジェットを衝突させることができる。
【0033】
(3)上記(1)又は(2)のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、好ましくは、前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面が、鏡面仕上げの平坦面、凹型曲率面、凸型曲率面のいずれかであるものとする。
【0034】
これにより水ジェット噴出方向で見た個々のターゲット傾斜面における微細水滴の噴霧角度を、平坦面の場合を基準にして凹型曲率面ではそれより大きく、また凸型曲率面ではそれより小さくするよう選択変更でき、噴霧パターンを任意に調整することができる。
【0035】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかのガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、好ましくは、前記ノズル本体に着脱可能なオリフィス板を設け、このオリフィス板に設けた複数の小穴より前記複数の水ジェットを噴出させるとともに、前記複数のターゲットは前記ノズル本体に着脱可能に設けられた基板に放射状に設けられたものとし、前記オリフィス板及びターゲットの基板を交換することで前記オリフィス板の穴数、径及び前記複数のターゲットの数を変えて噴霧流量を変えるものとする。
【0036】
これにより高圧1流体噴霧ノズルにおける噴霧流量を容易に調整することができる。
【0037】
(5)上記(1)〜(3)のいずれかのガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、好ましくは、前記複数のターゲットは前記ノズル本体に着脱可能に設けられた基板に放射状に設けられたものとし、その基板を交換することで前記ターゲットの傾斜面の角度を変えて微小水滴の噴霧角度を変えるものとする。
【0038】
これにより水ジェット噴出方向で見たノズル全体の噴霧角度及びターゲット傾斜面の傾斜方向で見た個々のターゲット傾斜面における微細水滴の噴霧角度や飛散距離を選択変更することができ、噴霧パターンを任意に調整することができる。
【0043】
(6)また、上記目的を達成するために、本発明は、空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機と、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させる複数のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルとを備えるガスタービン発電システムにおいて、前記複数のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルは、それぞれ、複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものであり、前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定するものとする。
【0044】
これにより上記(1)で述べたように、ガスタービン発電システムのシステム損失を少なくし、圧縮機の吸気に対して大量の水を微細水滴に霧化し、また空気流れ中においても十分微細な水滴を噴霧でき、その結果ガスタービンの熱効率の高効率化が可能となって夏季の吸気温度の上昇に伴うガスタービン出力低下を抑制することができる。
また、傾斜面上における水ジェットの衝突点から水膜がちぎれるまでの距離が一様となり、水を一様に微細化させることができる。
更に、傾斜面の円弧の中心に正確に水ジェットを衝突させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0046】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルの軸方向断面図である。図1において、本実施の形態に係るガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル100は、図示しない配管が接続されるフランジ1と、塵の流入を阻止するフィルター2と、ボディ3と、高圧水10を噴出する4つの小穴4が設けられたオリフィス板5と、このオリフィス板5をボディ3との間で挟みつけ、かつオリフィス板5の小穴4と同じピッチに開いた穴6を有するキャップ7と、オリフィス板5の小穴4と整合する位置に4つのターゲット8を一体に設けたターゲット部材51と、そのターゲット部材51をキャップ7に固定するボルト9とを備えている。
【0047】
フランジ1は、ネジ部1aでボディ3にネジ止めされ、かつ内部に軸方向通路1bが形成されている。ネジ部1bには、図示しない配管から高圧水10が供給され、この高圧水10はフィルター2を介してボディ3の内部に流入する。
【0048】
ボディ3の内部には、高圧水10が流入可能な環状配置の多数の連通穴11と、連通穴11の下流側でこれら連通穴11に連通する環状溝12とが形成されている。
【0049】
オリフィス板5は、キャップ7を外すことによりボディ3から交換可能であり、小穴4はボディ3の環状溝12に開口している。
【0050】
キャップ7は、ネジ部7aでボディ3の外周にネジ止めされ、穴6はオリフィス板5の小穴4より少し大きめに設けられ、オリフィス板5の小穴4から噴出する水ジェット13が接触しない構造となっている。
【0051】
ターゲット部材51は、図2に示すように基板54を有し、この基板54の中央部に穴54aが開けられ、この穴54aにボルト9を通すことにより、キャップ7の中央突出端部7bに同軸的に固定されている。4つのターゲット8は、基板54の外周に放射状に一体に設けられている。
【0052】
図3は、図2のX部で示すターゲット8の先端を拡大した正面図及び側面図であり、ターゲット8の先端には、高圧水噴出方向52に対して傾斜角度D°(本実施例では50°)をなす傾斜面53が設けられている。傾斜面53は、平坦かつ鏡面仕上げされている。また、傾斜面53の先端部は半円形状に形成されている。
【0053】
ここで、フランジ1とボディ3とキャップ7は、複数の水ジェットを噴出させるノズル本体を構成する。
【0054】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル100の動作を説明する。
図1において、高圧1流体噴霧ノズル100に流入する高圧水10は、フランジ1、フィルター2、ボディ3に設けられた多数の連通穴11及び環状溝12を経由して、オリフィス板5の小穴4から例えば約7〜10MPaの高圧力で、キャップ7の外部に糸状の水ジェット13となって放出される。オリフィス板5の小穴4から噴出した糸状の水ジェット13は、前方のターゲット8の先端の傾斜面53に衝突し、微細水滴14となり、矢印15で示す方向に噴霧される。このときの水ジェット13の衝突及び水滴の飛散状況について図4を用いて説明する。なお、ここに示すターゲット8は、ターゲット部材51の複数(4つ)のターゲット8のうちの1つを示すものであり、傾斜面53に水ジェット13を衝突させた状態を拡大して正面及び側面から示すものである。
【0055】
図4において、噴出した水ジェット13は、幅W0で平坦かつ鏡面仕上げされた傾斜面53の半径R0の先端部半円形状の中心部に衝突し、傾斜方向に沿って水膜16として流れ、傾斜面53から離れると同時に水膜16がちぎれ飛散し、噴霧水滴径が約20μm以下の微細水滴14となり噴霧される。このとき、図1に示すようにターゲット8より下流側には支持部材等の障害物は存在せず、噴霧された微細水滴14は障害物に衝突することなく微細なまま拡散する。
【0056】
以上のように構成した本実施の形態においては、1流体噴霧ノズルであるので、2流体噴霧ノズルのような圧縮機からの抽気(発電出力損失の約2%相当)は不要であり、ガスタービン発電システムのシステム損失を少なくし、より高効率の運用が可能となる。例えば、高圧1流体噴霧ノズルを100メガワットのガスタービン発電システムに使用した場合の出力損失は、約25キロワット程度の高圧ポンプの使用電力だけである。これは、圧縮機からの抽気を必要とする高圧2流体噴霧ノズルを使用する場合(約2メガワット)の約1.25%であり、発電出力損失としては0.025%であって、従来の高圧2流体噴霧ノズルを使用した場合の2%に比較して極めて少ない。
【0057】
また、1つの高圧1流体噴霧ノズル100に、ターゲット8を放射状に複数(本実施の形態では4つ)設ける構成であるので、1つのノズルで大量の微細水滴が得られる。その結果、ノズル設置個数を削減でき、システムコストを削減できるとともに、ガスタービンの圧縮機が吸入する空気の流れ中に配置してもその空気流れに対する抵抗損失、すなわち吸気圧力損失を減少することができる。
【0058】
また、ターゲット8がノズル本体の中心軸から放射状に設けられているので、ターゲット8の下流側には飛散水滴14が当たる障害物がなく、微細なまま気流に乗ることができる。このため、圧縮機の翼に対するエロージョンを回避でき、さらに圧縮機内での蒸発が早くなって気化潜熱による効果が大きくなり、熱効率向上への貢献度が大きくなる。
【0059】
次に、水ジェット13の衝突位置が正しいかどうかの判定方法、水ジェット13が衝突するターゲット8の傾斜面53の表面形状、傾斜面53の角度、ターゲット8の本数について考察する。
【0060】
微細水滴14を得るための最も重要な条件は水ジェット13の衝突位置であり、ターゲット8先端の傾斜面53の半円中心部に衝突することが最も望ましい。この衝突位置が正しいかどうかを判定する方法として、高圧水の代わりに0.3〜0.5MPa程度の低圧水を衝突させる方法がある。図5は、0.3〜0.5MPa程度の低圧水を適切な位置に衝突させた場合に形成される水膜16Aの形状を示す図である。この図5に示すように、低圧水を衝突させた時に形成される水膜16Aの形状がいわゆる比例記号の∝型になれば、水ジェット13は正しい位置、つまり半円中心部に衝突しており、微細な水滴が得られる。逆に水膜16Aがこのような形を形成しないときは、水ジェット13は正しい位置に衝突しておらず、飛散する水滴に粒径の大きい水滴が混合することになる。
【0061】
ターゲット8先端の傾斜面53の表面形状としては、図3に示すような平坦面に限られず、他にも図6に示すような凹型曲率面53A(曲率R1)や、図7に示すような凸型曲率面53B(曲率R2)がある。傾斜面が平坦面である場合を基準とすると、凹型曲率面53Aの場合には水ジェット13噴出方向で見た個々のターゲット傾斜面53における微細水滴14の噴霧角度C°(図1、図4参照)はそれより大きくなり、凸型曲率面53Bの場合には逆にそれより小さくなる。
【0062】
ターゲット8先端の傾斜面53の傾斜角度D°は、本実施の形態では上記のように50°とした。この場合、水ジェット13の噴出方向15で見たノズル全体の噴霧角度A°(図1参照)は100°程度の広範囲に形成されるものとなり、その結果、比較的短い距離で水滴密度を均一にさせることができる。これにより、実機のガスタービン発電システムによっては、ノズルを設置する位置から圧縮機入口までの距離が比較的短い場合があり、そのため噴霧された水滴の密度が均一となる前に水滴の濃淡が残ったままの気流が圧縮機に流入すると、圧縮機内での水滴の蒸発位置が移動して安定した出力特性が得られなくなり、運転制御に支承をきたす場合があるが、そのような問題を解決することができる。
【0063】
また、傾斜面53の傾斜角度D°は適宜変えることができる。傾斜角度D°を変えることにより、ノズル全体噴霧角度A°やターゲット傾斜面53の傾斜方向で見た個々のターゲット傾斜面53における微細水滴14の噴霧角度B°(図1、図4参照)、微細水滴14の飛散距離L2(後述)を変えることができる。傾斜角度D°を小さくすると、ノズル全体噴霧角度A°及びターゲット噴霧角度B°が小さくなり、かつ飛散距離L2が長くなる。図8は、ターゲット8及び小穴4をそれぞれ4つ設けた本実施の形態の構成において、各ターゲット傾斜面53の傾斜角度D°を同じにした場合の噴霧パターンであり、図9は、各ターゲット傾斜面53の傾斜角度D°を2つの対で異ならせた場合の噴霧パターンである。図8のように、ターゲット傾斜角D°を全て同じにした場合は、それぞれのターゲット8からの噴霧範囲が同じになるが、図9のようにターゲット傾斜角D°を小さく変えた場合はターゲット8からの噴霧範囲が狭くなり、遠くまで飛散することになる。
【0064】
また、ターゲット部材51に設けられるターゲット8の数、及びそれらと同数に設けられるオリフィス板5の小穴4の数も、適宜変えることができる。図10は基板54Aの外周に8つのターゲット8を設けたターゲット部材51Aを示す。この場合、それに合わせて8つの小穴4を設けたオリフィス板を使用する。図11は、各ターゲット傾斜面53の傾斜角度D°を同じにした場合の噴霧パターンを示し、図12は、各ターゲット傾斜面53の傾斜角度D°を4つの対で異ならせた場合の噴霧パターンを示す。4本足ターゲット部材51の場合と同様、図11のようにターゲット傾斜角D°を同じにした場合は、それぞれのターゲット8からの噴霧範囲が同じになるが、図12のようにターゲット傾斜角D°を小さく変えた場合はターゲット8からの噴霧範囲が狭くなり、遠くまで飛散することになる。
【0065】
以上このようにターゲット傾斜面53の傾斜角度D°及びターゲット8の数を変えることで、色々な噴霧パターンを得ることが可能である。したがって、実機ガスタービンに設置する場合、ノズルを設置する空気室の大きさ等の設置条件を考慮したノズルとすることができる。
【0066】
また、小穴4の数や穴径を変更する場合は、キャップ7を外してボディ3からオリフィス板5を交換すればよく、またターゲット8の数や形状を変更する場合は、ボルト9を外してキャップ7の中央突出端部7bターゲット部材51を交換すればよいため、上記の噴霧パターンや噴霧水量の変更を容易に行うことができる。
【0067】
本発明の第2の実施の形態による高圧1流体噴霧ノズルを図13により説明する。図中、図1に示す部分と同等の部分には同じ符号を付し説明を省略する。
【0068】
図13において、本発明の第2の実施の形態に係わるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル100Aはキャップ7Aを有し、このキャップ7Aには穴6が開口する水滴噴霧エリア側であってターゲット8の上流側にヒサシ状の傾斜壁(以下、単にヒサシという)17が形成されている。
【0069】
このような構造とすることで、微細水滴14の噴霧により誘発される空気流れ18がヒサシ17に邪魔されて中心部のエリア19に入りにくくなり、その結果減圧領域19の部分が減圧されることになる。このような減圧領域19が生じることにより、噴霧された微細水滴14が減圧領域19に向かう矢印方向20の方向に吸引されるため、ターゲット噴霧幅21(上記のターゲット噴霧角度C°と同等)が広くなり、そのため、微細水滴14どうしが衝突することにより水滴の粒径が大きくなるのを防ぐことができる。また、減圧領域19では断続的な空気の流入により圧力振動が発生してするため、この圧力振動によりさらなる水滴の微細化が促進される。ここで、ヒサシ17の先端の突出長さは、減圧効果によりターゲット噴霧幅21にて噴霧される微細水滴14がヒサシ17の先端に接触しないような距離Lを保つものとする。なお、この図13に示すような傾斜壁からなるヒサシ17を形成せずに、中心軸に直交する壁としてもよく、この場合でも、若干効果は低くなるもののターゲット8の上流側周囲に減圧効果を発生することができる。
【0070】
図14は第1の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズル100からの噴霧状況を示す図であり、図15は第2の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズル100Aからの噴霧状況を示す図である。これらの図を比較して分かるように、減圧領域19が生じない第1の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズル100では、噴霧水滴14の飛出し運動エネルギーが大きく、ノズル全体噴霧幅Wが広くなるとともに水滴14の飛散距離L2も長くなる。一方、減圧領域19が生じる第2の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズル100Aでは、噴霧水滴14が減圧領域19へ吸引されて噴霧水滴14の飛出し運動エネルギーが小さくなるため、ノズル全体噴霧幅Wが狭くなると共に水滴14の飛散距離L2も短くなる。しかし減圧効果が作用するために、噴霧水滴14の粒径が小さくなる。
【0071】
従って、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、合計水量を多くして飛散水滴14を微細なまま気流に乗せることができるとともに、キャップ7Aにヒサシ17を形成していることにより、その下流側に減圧領域19を強制的に作り、ターゲット噴霧幅21を広げて微細水滴14間の衝突の回避、及び圧力振動の誘発が可能となり水滴14をさらに微細化することが可能となる。
【0072】
次に、上記したガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルを設置したガスタービン発電システムを参考例として図16及び図17により説明する。
【0073】
図16は、参考例に係わる高圧1流体噴霧ノズルを備えたガスタービン発電システムの側面断面図である。
【0074】
図16において、ガスタービン発電システム300は、吸気39を圧縮する圧縮機22と、圧縮した空気に燃料を注入して燃焼させる燃焼器23と、その燃焼ガスのエネルギーにより回転するタービン24と、このタービン24の回転により駆動されて電気を発生させる発電機25と、圧縮機22の入口に設置されている空気室29と、空気室29の入口に設置されている噴霧ノズルシステム200とを備えている。
【0075】
燃焼器23には、燃焼用のバーナ27が設けられている。発電機25には、変電設備を経由して電気を送電する送電端26が接続されている。
【0076】
空気室29の内部には、吸気量を調整するルーバー30と、消音するサイレンサー31と、噴霧ノズルシステム200の高圧1流体噴霧ノズル100が接続されたヘッダー33と、飛散物を取り除くトラッシュスクリーン71が収納されている。また、圧縮機22、タービン24、発電機25は同一軸により連結されている。なお、圧縮機22とタービン24はそれぞれ別軸となってギヤ等により連結されていてもよい。
【0077】
噴霧ノズルシステム200の詳細を図17により説明する。
図17において、噴霧ノズルシステム200は、噴霧する水を貯水する水タンク34と、水タンク34に接続された高圧ポンプ35と、高圧ポンプ35の吐出口に接続された主弁36と、主弁36の吐出口に接続されたフィルター37と、フィルター37の出口に接続された供給管61と、供給管61にそれぞれ接続された10系統のノズル装置62とを備えている。
【0078】
ノズル装置62は、供給管61に接続された系統開閉弁38と、各系統開閉弁38の出側に接続された上述した高圧1流体噴霧ノズル100及びヘッダー33とを備えている。ヘッダー33には、11個の高圧1流体噴霧ノズル100が取り付けられている。
【0079】
以上のように構成した参考例のガスタービン発電システム300の運転に際しては、まず、初期状態で別設備であるモータ(図示せず)により回転させ、図示しない燃料供給系から燃料を燃焼器23に供給し、燃焼用バーナ27により着火して燃焼させる。定常状態になったら、別設備であるモータを切り離し、燃焼を継続させることで定常運転状態を維持する。タービン24からの排ガス28は、蒸気タービンのボイラに流入させて再利用されるか、又は排ガス処理装置でNOx、SOx等の除去を行い、大気に放出される。
【0080】
また、空気室29を通過して圧縮機22に吸入される吸気39は、噴霧ノズルシステム200の高圧1流体噴霧ノズル100から噴霧される微細水滴14を含んで密度が増加した噴霧済み吸気40となり、圧縮機22に流入する。この時、吸気39の温度が下げられると同時に圧縮機22に流入する流体の重量流量が増加する。
【0081】
次に、吸気39に含まれて圧縮機22に流入する水滴の作用を示す。
圧縮機22に流入する水滴は、作動流体の重量流量を増加させ、圧縮機22内で気化する。この作動流体は、気化が完了するとさらに断熱圧縮を受ける。その際、水蒸気の定圧比熱は圧縮機22内の代表的な温度(約300℃)近傍では、空気の約2倍となり、熱容量的には空気換算で気化する水滴重量の約2倍の空気が作動流体として増したのと等価となる。圧縮機22の動力は、圧縮機22出入口の作動流体のエンタルピ差に等しく、作動流体のエンタルピは温度に比例するので、圧縮機22出口の作動流体温度が下がると、圧縮機22の所要動力もそれにつれて低減することができる。したがって、圧縮機22内に流入する水滴の粒径はできるだけ小さくし、早めに気化させることで圧縮機22出口の温度を低く抑えることが効率向上に重要となる。上述した本発明による高圧1流体噴霧ノズル100は、噴霧水滴径を約20μm以下に達成できることから有効である。
【0082】
圧縮機22で加圧された作動流体は、燃焼器23で燃料の燃焼により昇温された後タービン24に流入して膨張し仕事を行う。この仕事はタービン24の軸出力と呼ばれ、タービン24の出入口作動流体のエンタルピ差に等しい。
【0083】
燃料の投入量は、タービン24入口のガス温度が所定の温度を超えないように制御される。たとえば、タービン24出入口の作動流体温度が、本発明の高圧1流体噴霧ノズル100設置前の値と等しくなるように燃焼器23への燃料量を制御する。このような燃焼温度一定制御が行われると、先に述べたように噴霧水滴により圧縮機22出口の温度が低下している分だけ燃料投入量が増すことになる。
【0084】
また、燃焼温度が不変かつ流入水滴の重量割合が噴霧済み吸気40の数パーセント程度であれば、タービン24入口部の圧力と圧縮機22の出口圧力は水滴注入の有無で近似的に変わらないので、タービン24出口温度T4も変化しない。よって、タービン24の軸出力は水滴注入の有無で変化しないことになる。
【0085】
一方、タービン24の正味出力は、タービン24の出力から圧縮機22の動力を差し引いたものであるから、結局本発明の高圧1流体噴霧ノズル100により噴霧することで圧縮機22の動力が低減した分だけタービン24の正味出力を増すことができる。
【0086】
ここで、噴霧済み吸気40の温度をT1、圧縮機22の出口の温度をT2、燃焼器23の温度をT3、タービン24出口温度をT4とすると、タービン24の電気出力Eは、タービン24の軸出力Cp(T3−T4)から圧縮機22の仕事Cp(T2−T1)を差し引いて得られ、近似的に次式で表される。
E=(T3−T4)−(T2−T1) ・・・・・(1)
通常、燃焼温度T3は一定となるように運転されるので、圧縮機22の出口温度T2が水滴の注入によりT2’に低下すると、圧縮機22の仕事の低下分に等価な増出力Cp(T2−T2’)が得られることになる。
【0087】
一方、ガスタービン発電システム300の効率ηは近似的に次式で与えられる。
η=1−(T4−T1)/(T3−T2) ・・・・・(2)
これから、T2’<T2であるから、右辺第2項は小さくなるので水滴注入で効率も向上する。
【0088】
従って、参考例のガスタービン発電システム300によれば、高圧1流体噴霧ノズル100を複数備える噴霧ノズルシステム200により、圧縮機22の吸気39に対して大量かつ微細な水滴を噴霧することができるため、夏季の吸気温度の上昇に伴うガスタービン出力低下を抑制することができる。その結果、ガスタービン発電システムの夏季の吸気温度上昇に伴う出力低下を回避できることから、季節に係わりなく高効率運転が可能となる。
【0089】
また、圧縮機22内の温度低下割合は注入水滴が多いほど大きくなるので、空気・水の噴霧量を制御することにより、増出力割合をコントロールすることができる。
【0090】
次に、噴霧ノズルシステム200を用いたガスタービン部分負荷運転時の対応について説明する。
ガスタービン発電システム300は、発電電力量の調整のために部分負荷運転を行うが、その場合、噴霧水滴量も同様に部分負荷運転に応じて調整する必要がある。本実施の形態の噴霧ノズルシステム200では、高圧ポンプ35の駆動により供給される水量を、10個の系統の系統開閉弁38のうちの全開の数を増減させて調整し、発電負荷に対応して10%毎に全体の噴霧水量を増減制御することが可能となる。
【0091】
従って、参考例による噴霧ノズルシステム200によれば、負荷需要に応じたガスタービン運転モードに対応する噴霧水滴量の制御が可能となる。
【0092】
なお、参考例では、10系統のノズル装置62を設けて部分負荷運転に10%づつ対応できるようにしたが、噴霧系統数はこれに限られない。
【0093】
また、例えば50%部分負荷運転を行う場合には、1つおきのノズル装置を作動させることにより空気室29内の水滴分布を均一化することができる。このように作動させるノズル装置62の配置も考慮することで、空気室29内の水滴分布を制御することも可能である。
【0094】
また参考例では、本発明の第1の実施の形態による高圧1流体噴霧ノズル100を各ノズル装置62に設置したが、これに限られず第2の実施の形態による高圧1流体噴霧ノズル100Aを設置する構成としてもよい。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、高圧1流体噴霧ノズルを採用するので、圧縮機からの空気の抽気を必要としないため、高圧2流体噴霧ノズルと比較してシステム損失を極めて少なくすることができる。また、1つのノズル本体にターゲットを複数設けるので、合計水量を多くすることができ、大量の水を微細水滴に霧化することができる。更に、ターゲットをノズル本体に放射状に固定するので、空気流れ中に噴霧した飛散水滴がそのまま気流に乗ることができ、空気流れ中においても十分微細な水滴を噴霧することができる。
【0096】
また、本発明によれば、複数系統の各々に弁を設置し、この弁を開閉することにより水量の切替制御を行い、所定割合おきに噴霧量を調整可能とするので、負荷需要に応じたガスタービン運転モードに対応する噴霧水滴量の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルの軸方向断面図である。
【図2】 外周に4つのターゲットを設けたターゲット部材の正面図及び側面図である。
【図3】 傾斜面が平坦面に形成されたターゲットの正面図及び側面図である。
【図4】 ターゲットに水ジェットを衝突させた場合の水滴発生状況を示す図である。
【図5】 ターゲットに低圧水を衝突させた場合の水膜形成状況を示す図である。
【図6】 傾斜面が凹型曲率面に形成されたターゲットの正面図及び側面図である。
【図7】 傾斜面が凸型曲率面に形成されたターゲットの正面図及び側面図である。
【図8】 4つのターゲットを備えて各傾斜面の傾斜角度が全て同じ高圧1流体噴霧ノズルによる噴霧分布を示す図である。
【図9】 4つのターゲットを備えて各傾斜面の傾斜角度を2つの対で異ならせた高圧1流体噴霧ノズルによる噴霧分布を示す図である。
【図10】 外周に8つのターゲットを設けたターゲット部材の正面図及び側面図である。
【図11】 8つのターゲットを備えて各傾斜面の傾斜角度が全て同じ高圧1流体噴霧ノズルによる噴霧分布を示す図である。
【図12】 8つのターゲットを備えて各傾斜面の傾斜角度を4つの対で異ならせた高圧1流体噴霧ノズルによる噴霧分布を示す図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルの軸方向断面図である。
【図14】 本発明の第1の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズルからの噴霧状況を示す図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態の高圧1流体噴霧ノズルからの噴霧状況を示す図である。
【図16】 参考例に係わる高圧1流体噴霧ノズルを備えたガスタービン発電システムの側面断面図である。
【図17】 参考例に係わる高圧1流体噴霧ノズルを備えた噴霧ノズルシステムの正面図である。
【符号の説明】
1 フランジ
2 フィルター
3 ボディ
4 小穴
5 オリフィス板
6 穴
7,7A キャップ
8 ターゲット
9 ボルト
10 高圧水
11 連通穴
12 環状溝
13 水ジェット
14 微細水滴
16,16A 水膜
17 ヒサシ
18 空気流れ
19 減圧領域(中央部エリア)
21 ターゲット噴霧幅
22 圧縮機
23 燃焼器
24 タービン
25 発電機
29 空気室
33 ヘッダー
34 水タンク
35 高圧ポンプ
36 主弁
37 フィルター
38 系統開閉弁
39 吸気
40 噴霧済み吸気
51,51A ターゲット部材
53,53A,53B 傾斜面
54,54A 基板
61 供給管
62 ノズル装置
100 第1の実施の形態のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル
100A 第2の実施の形態のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル
200 噴霧ノズルシステム
300 ガスタービン発電システム
D 傾斜角度
A ノズル全体噴霧角度
B ターゲット噴霧角度
C ターゲット噴霧角度
W ノズル全体噴霧幅
L2 飛散距離

Claims (6)

  1. 空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを備えるガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、
    複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、
    前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、
    前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものであり、
    前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、
    前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定することを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル。
  2. 空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを備えるガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、
    複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、
    前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、
    前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものとし、
    更に、前記ノズル本体の前記複数のターゲットの上流側に位置する部分に壁を設け、ターゲットと壁の間に減圧領域を形成し
    前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、
    前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定することを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル。
  3. 請求項1又は2記載のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面が、鏡面仕上げの平坦面、凹型曲率面、凸型曲率面のいずれかであることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、前記ノズル本体に着脱可能なオリフィス板を設け、このオリフィス板に設けた複数の小穴より前記複数の水ジェットを噴出させるとともに、前記複数のターゲットは前記ノズル本体に着脱可能に設けられた基板に放射状に設けられたものとし、前記オリフィス板及びターゲットの基板を交換することで前記オリフィス板の穴数、径及び前記複数のターゲットの数を変えて噴霧流量を変えることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル。
  5. 請求項1〜記載のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルにおいて、前記複数のターゲットは前記ノズル本体に着脱可能に設けられた基板に放射状に設けられたものとし、その基板を交換することで前記ターゲットの傾斜面の角度を変えて微小水滴の噴霧角度を変えることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズル。
  6. 空気を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した空気と燃料が供給されて燃焼を行う燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機と、前記圧縮機の入口に微細水滴を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させる複数のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルとを備えるガスタービン発電システムにおいて、
    前記複数のガスタービン増出力用高圧1流体噴霧ノズルは、それぞれ、
    複数の水ジェットを噴出させるノズル本体と、
    前記ノズル本体に放射状に固定された複数のターゲットとを備え、
    前記複数のターゲットはそれぞれ先端部に傾斜面を有し、これらの傾斜面に前記複数の水ジェットをそれぞれ衝突させ噴霧水滴を微細化するものであり、
    前記複数のターゲットのそれぞれに設けられた傾斜面の先端部はそれぞれ円弧状に加工され、前記複数の水ジェットのそれぞれを、前記傾斜面先端部の前記円弧の中心部に衝突させる構成とし、
    前記複数のターゲットのそれぞれについて、前記傾斜面に0.3〜0.5MPaの低圧水を衝突させ、このとき∝型に類似した水膜を形成する位置を前記傾斜面への水流衝突位置として設定することを特徴とするガスタービン発電システム。
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