JP3900932B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、内部のボイド形成性に優れ、かつ耐熱性に優れた低密度高隠蔽性のポリエステルフィルムに関する。さらに、該ポリエステルフィルムの表面には塗布層を設けることや該ポリエステルフィルムと紙、不織布あるいは金属板等と張り合わせて使用することも出来る。本発明のポリエステルフィルムは、感熱記録用受容シート、印字基材、包装用、ICカード、ラベル、ビデオプリンター用受容紙、印画紙、表示板、金属板貼り合わせ加工用フィルムなどの基材に使用されるポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルに二酸化チタンや炭酸カルシウムなどを多量に添加し延伸して白色ポリエステルを得ることはよく知られている(例えば、特公平6−86537号公報)。また、ポリエステルにポリオレフィンを添加して白色性ポリエステルフィルムを得ることもよく知られている(例えば、特公昭64−2141号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリエステルに多量の二酸化チタンや炭酸カルシウムなどの無機物またはポリプロピレンなどの熱可塑性ポリマーを添加し単に二軸延伸する方法では、空隙率を高めたり高隠ぺい性を付与したりするために、多量の無機物または熱可塑性ポリマーを添加する必要があった。一般にポリエステルに多量の非相溶樹脂または無機粒子を添加するとダイスウェルという現象が起こりやすくなり、そのため押出時の吐出安定性の悪化、ひいてはフィルム厚み斑および製膜時の破れなどが起こり極めて製膜作業性が悪いものであった。また添加量を少なくすると高空隙率化が困難となる。
【0004】
また、空隙は延伸することにより非相溶樹脂の周辺に生成されるので、その空隙の大きさは非相溶樹脂の添加量およびその延伸条件によって決まってしまう。一般的に高温で延伸すると延伸倍率は大きくできるが空隙はできにくく、逆に低温で延伸すると空隙はできやすいが延伸倍率は大きくできないため、少ない非相溶樹脂の添加で高空隙率を実現することは困難であった。また、空隙率を高めれば高めるほど低密度化フィルムを作成することは出来るが、フィルム自体の強度、特に剛性が低下すると同時に、折れ皺を発生しやすくなるという問題がある。また、高倍率で延伸すると、150℃における熱収縮率が大きくなりすぎ、カードに使用した場合カールしたり、感熱転写受容シートに使用した場合位置ずれおよびカール、平面性の悪化や印字部の凹みによる画像の歪みなどの問題も起こることがあった。
【0005】
すなわち、少ない非相溶樹脂の添加で高空隙率である製膜作業性の良好な高隠蔽性で耐熱性の良いポリエステルフィルムは存在しなかった。
【0006】
本発明の課題は、少ない非相溶樹脂の添加でありながら、高空隙率で製膜作業性、高隠蔽性、耐熱性、寸法安定性、折れ皺性の良好な低密度ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステルフィルムは上記課題を解決するために次の構成を有する。すなわち、ポリエーテルイミド(a)、ポリエステル(b)、さらに、フィルム中での分散径が0.03〜10μmである樹脂(c)を主たる構成成分とする層を少なくとも1層有し、該フィルムの密度が0.7〜1.3g/cm3、縦横方向共に破断伸度が65〜200%であることを特徴とするポリエステルフィルムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミドは、溶融成形性であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
【0009】
【化1】
(ただし、式中のR1は、
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表しており、また、式中のR2 は、
【0012】
【化4】
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表す。)
かかる好ましいポリイミドは、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミンおよび/または芳香族一級モノアミン、さらに/または脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られた化合物を挙げることができる。
【0013】
テトラカルボン酸および/またはその酸無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、2,2’−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が用いられる。
【0014】
脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、炭素数2〜22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0015】
芳香族一級モノアミンとしては、例えば、非置換あるいは炭素数1〜22のアルキル置換の一級アニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルアニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリデシルアニリン、テトラデシルアニリン、ペンタデシルアニリン、ヘキサデシルアニリン、ヘプタデシルアニリン、オクタデシルアニリン、ノナデシルアニリン、エイコシルアニリン、ヘネイコシルアニリン、ドコシルアニリンおよびこれらの構造異性体等が用いられる。
【0016】
脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭素数1〜12のメチレン基で結合された一級ジアミンや脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1, 3―ビスアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、m−キシレンジアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0017】
芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o, m, p―フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン等が用いられる。
【0018】
本発明でいうポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によってえられるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、などで代表されるものである。またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングルコール、シクロヘキサンジメタノール、プロパンジオールなどで代表されるものである。具体的にはたとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDMT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などである。本発明の場合、特にPET、PENが好ましい。また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、易滑材等が添加されてもよい。
【0019】
本発明において、ポリイミドをポリエステルに添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。また、溶融押出前に、ポリエステルとポリイミドをペレタイズしてもよい。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムにおけるポリイミドの含有量は、特に限定されないが、1〜50重量%の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、5〜30重量%の範囲であり、より好ましくは、10〜25重量%の範囲である。ポリエステルとポリイミドの溶融粘度は大きく異なるため、ポリイミドの含有量が1重量%未満であれば、押出機にて十分な混練を得て互いに相溶することが困難なことがある。また、ポリイミドの含有量が50重量%を超える量であれば、押出成形加工が困難であったりして、さらに得られたポリエステルフィルムに十分な強度を発現するために、延伸加工を施すことが困難であったりすることがある。
【0021】
本発明のポリイミドは、ポリエステルに相溶するポリイミドで、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが用いられる。
【0022】
【化5】
(ただし、上記式中R3 は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基;R4 は6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)上記R3 、R4 としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
【0023】
【化6】
本発明では、ポリエステルとの相溶性、コスト、溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。
【0024】
【化7】
または
【0025】
【化8】
ここでいう相溶とは、得られたチップのガラス転移温度(Tg)が単一であることを意味する。このように両者が相溶した場合のTgは、ポリエステルのTgとポリイミドのペレットのTgの間に存在することが一般的に知られている。本発明でいうガラス転移温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K 7121に従って求めることができる。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用してもよい。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも有効である。該組成物が2つ以上のガラス転移温度を有する場合は、組成物中でポリエステルとポリイミドが相溶しておらず、本発明の効果は得られない。
【0026】
本発明でいう樹脂(c)は、溶融押出成形によりポリイミド−ポリエステル組成物中に分散し、後工程である延伸工程で樹脂(c)分散体界面で界面剥離を生じボイドを生成させる効果をもち、かつ、フィルム中での分散径が0.03〜10μm、好ましくは0.1〜8μmである熱可塑性樹脂であればよい。好ましくはポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン等から選ばれた融点200℃以上のポリマーを用いることが出来る。本発明の場合には価格、熱安定性、ポリエステルとの分散性等の点からポリ−4−メチルペンテン−1、セルローストリアセテートおよびその変性体が特に好ましい。
【0027】
該樹脂(c)の融点は、好ましくは200℃以上、更に好ましくは210℃以上、最も好ましくは220℃以上である。融点が200℃未満だとポリエステルフィルム中での該樹脂(c)の分散形状が球状をとらず、層状あるいは扁平状をとることが多く、空隙が効果的に生成されないためである。さらに、該樹脂(c)の融点は、300℃以下、好ましくは280℃以下、更に260℃以下であるのが好ましい。これはポリエステルの溶融押出温度以下でないと該樹脂(c)が溶融しないためである。
【0028】
本発明の樹脂(c)の添加量としては1〜21重量%、好ましくは2〜11重量%である。更に好ましくは2〜6重量部である。添加量が1%未満であると、高隠蔽性のポリエステルフィルムを得ることが困難である。また、逆に樹脂(c)の添加量が21重量%を越えると、本発明のポリエステルフィルムの機械的性質が劣ったものになるばかりか、熱寸法安定性にも劣り製膜時の破れが多発するなどの問題が生じる。
【0029】
本発明のフィルムは、ポリイミド(a)、ポリエステル(b)、さらに、フィルム中での分散径が0.03〜10μmである樹脂(c)からなる組成混合物よりなるが、その空隙を微細化するため相溶化剤を添加してもよい。その相溶化剤としてポリエステルポリエーテル共重合体が好ましい。例えば、ポリエステルポリエーテル共重合体として用いるポリエステルとはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDMT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などを用いることができる。また、共重合体として用いるポリエーテルとしては分子量300〜2万が好ましく、例えばポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等がある。好ましいポリエステルポリエーテル共重合体としてPET−PEG、PBT−PTMG、PCT−PPGがある。ポリエステルとポリエーテルとの共重合比としては重量比で1対9から9対1が好ましいが、より好ましくは4対6から9対1、更に好ましくは4対6から6対4がよい。製造方法としては酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルを製造するに際して任意の段階でポリエーテルを添加することによりポリエステルポリエーテル共重合体を製造することが出来る。また用いるポリエーテルの分子量としては400〜20000が望ましい。好ましくは1000〜10000である。
【0030】
本発明のポリエステルフィルム中で用いるポリエステルポリエーテル共重合体の添加量としては、0.5から20重量%であり、好ましくは1から5重量%である。添加量が20重量%を越えるとボイドが生成しにくくなり、フィルムの密度を本発明の範囲内とすることが困難になったりする。
【0031】
本発明フィルム中のポリイミド−ポリエステル組成物は75重量%以上が良い。75重量%未満ではポリエステルフィルムの長所である機械的強度、耐熱性、寸法安定性が発揮できにくくなる。
【0032】
また、樹脂(c)の量はポリエステルポリエーテル共重合体の添加量より多く添加するのが望ましい。好ましくは2倍以上の添加量である。樹脂(c)の量がポリエステルポリエーテル共重合体の添加量より少ない場合、樹脂(c)の界面よりボイドが生じにくくなり、低比重のポリエステルフィルムが得られ難くなる。
【0033】
本発明のポリエステルフィルムの密度は0.7〜1.3g/cm3以下である。好ましくは、0.7〜1.2g/cm3であり、さらに好ましくは0.7〜1.0g/cm3である。フィルムの密度が本発明の範囲よりも小さいとフィルムの剛性が不十分となり折れ皺性、耐熱性が悪化する場合がある。また、密度が本発明の範囲よりも大きいと製膜作業性が悪化したり、感熱記録受容シートとしてのクッション性、柔軟性が不足し、印刷や転写を行う際に鮮明な印刷、印字ができなくなる場合がある。また、コスト面でも不利となる。
【0034】
延伸により樹脂(c)の界面より剥離が起こり空隙が生成されるが、本発明では少ない樹脂(c)の添加で高空隙率を達成させるための手法として、例えば縦延伸後予備熱処理を行い、しかる後予備熱処理温度より6℃以上低い温度で横延伸を行う方法で達成できる。また縦延伸し予備熱処理後再び縦延伸することも好ましく用いられる。
【0035】
本発明のポリエステルフィルムの破断伸度は、縦横方向共に65〜200%の範囲である。好ましくは80〜150%である。破断伸度が本発明の範囲よりも小さいと折れ皺性を良好とすることができない。また、一般に破断伸度を200%を越えるようにすることはフィルム物性のバランスを欠くことがある。
【0036】
本発明のポリエステルフィルムのヤング率は、長手方向、幅方向のいずれか一方向が2GPa以上、さらには2.5〜5GPaであるのが好ましい。フィルムのヤング率がかかる範囲であると、フィルムの密度を本発明の範囲内とすることが容易であり、フィルムの剛性が十分となり、折れ皺性も良好である一方、空隙の大きさが適度でフィルム自体が脆くなることがなく、折れ皺性も良好である。
【0037】
本発明のポリエステルフィルムの150℃×30分の熱収縮率は、2.0%以下が好ましく、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.2%以下である。熱収縮率がかかる好ましい範囲であると、カードに使用した場合カールしたりすることがなく、感熱転写受容シートに使用した場合、位置ずれおよび印字部の収縮によって平面性が悪化することがなく、また、シートがカールするなどの問題が起こらない。
【0038】
次に、本発明をより好ましいものとするため、本発明のポリエステルフィルムの白色度は55%以上、さらには80%以上、特に90%以上であることが好ましい。白色度がかかる範囲であると白色フィルムとしての特色を活かすことができる。
【0039】
上述した樹脂(c)やポリエステルポリエーテル共重合体の添加により白色度は変化するが、必要により無機系蛍光剤を含む蛍光増白剤、無機粒子を添加してもよい。蛍光増白剤としては、商品名“ユビテック”OB、MD(チバガイギー社製)、“OB−1”(イーストマン社製)等が挙げられる。
【0040】
本発明をより好ましいものとするため、本発明におけるポリエステルフィルムの厚さ150μm換算の光学濃度は、1以上1.6以下、さらには1以上1.3以下であることが好ましい。光学濃度がかかる範囲であると、フィルムの隠蔽性が十分で、裏側が透けることはない。
【0041】
本発明をより好ましいものとするため本発明積層フィルムのクッション率は、10%以上、さらには15%以上、特に20%以上とすることが好ましい。クッション率がかかる好ましい範囲であると、例えばビデオプリンタ用などの受容紙として用いた場合、感熱記録ヘッドの押圧を下げてもヘッドへの当たりが堅くならずドット抜けが起らず鮮明な画像を転写することが出来、また手に触れた時の感触も良好である。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムは、ポリイミド(a)、ポリエステル(b)、さらに、フィルム中での分散径が0.03〜10μmである樹脂(c)を主たる構成成分とする層(以下、A層ということがある)を少なくとも1層有すれば、単層でも積層でもいずれでもかまわない。積層構成とする場合、積層構成としては、例えば、A層/B層の2層構成、B層/A層/B層、C層/A層/B層、A層/B層/A層の3層構成からなるものがある。この場合、A層が本発明の特徴である上記の、ポリイミド(a)、ポリエステル(b)、さらに、フィルム中での分散径が0.03〜10μmである樹脂(c)を主たる構成成分とする層である。
【0043】
B層およびC層はA層に積層できるものであればよいが、具体的には樹脂、紙、不織布、布、金属板などがある。好ましくはポリエステル層であり、B層およびC層には更に無機粒子を添加してもよい。無機粒子としては、通常ポリエステルに添加されるものを用いることが出来る。例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等がある。上記のような無機粒子の添加量は0.01から30重量%、さらには0.01から20重量%であるのが好ましい。添加量がかかる好ましい範囲であると、フィルムの滑り性が良好で取扱性に優れる一方、延伸時に無機粒子が削れてロールを汚すこともない。また、平均粒径は約0.1〜10μm、さらには約0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0044】
次に、本発明において樹脂(c)がフィルム中で球形に近い形状であること、すなわち、形状係数が1〜10の範囲内にあることが望ましい。好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。樹脂(c)の形状が球状に近い場合、層状あるいは扁平に分散している場合に比べて低比重化出来るのみならず、クッション率が高く熱寸法安定性のよいフィルムを得ることが出来る。球状に近い形状とは、フィルム中に分散する非相溶樹脂の形状係数、即ち、長径と短径の比を言う。
【0045】
次に本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法について述べる。ポリイミド(a)としてポリエーテルイミド(PEI)である「ウルテム」、ポリエステル(b)としてポリエチレンテレフタレート(PET)、樹脂(c)としてポリメチルペンテン(PMP)を用いた例を示すが、用いるポリエステル(b)やポリイミド(a)、樹脂(c)により製造条件は異なる。
【0046】
まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応により、ビスーβ―ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。この時、所定量のPEIを添加しておいてもよい。得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させて、前記、好ましい範囲のIVを有したポリエステルを得る。また、フィルムを構成するポリエステルに粒子を含有させる方法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加したり、粒子のエチレングリコールスラリーを加熱処理すると粒子の分散性がよい。加熱処理としては、140〜200℃、好ましくは180〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処理する方法が例示される。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスタを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0047】
次に、該PETのペレット、PEIのペレット、PMPを、所定の割合で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して溶融押出する。このときの滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。上記混練によって、PETとPEIは相溶すると同時にPMPがポリイミド含有ポリエステル中に均一分散し、ガラス転移点が単一のポリエステルのペレットを得ることができる。
【0048】
ポリエステルとPEIを相溶させる場合、PEIをポリエステルに添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。中でも、溶融押出前に、ポリエステル、PEI、PMPをPEIが高濃度になるよう、例えば、PEIが30〜90%、好ましくは40〜60%となるようにペレタイズして、マスターチップ化し、溶融押出前にPEIが所定量となるようPETで希釈することが溶融成形性および折れ皺性の観点から好ましい。 PEI含有のポリエステルのマスターペレットにPETおよびPMPを適当量混合して、PEIおよびPMPの量を調節し、溶融押出する方法では、PEI含有のポリエステル中でPMPは均一分散するものの、PMPとPET−PEI混合樹脂との界面、つまりPMPの周りにPETが選択的に高濃度に存在してしまうためか白色度や隠蔽性、折れ皺性が劣ったり、さらには、破断伸度を本願の範囲にすることができない場合がある。
【0049】
かくして得られたチップを180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で280〜320℃に加熱された押出機に供給し、従来から行われている方法により製膜する。また、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、PETおよびCaCO3 などの無機粒子を混合し、常法により別の押出機Bに供給して、Tダイ2層または3層口金内で押出機BのポリマーがA層の片面または両表面にくるように、A層/B層またはB層/A層/B層なる構成の2層または3層にラミネートしてもよい。ここでポリマー混合物はベント付き二軸押出機により押し出し途中に水分を除去し押し出すことも出来る。この溶融押出フイルムを、静電印加キャスト法を用いて、冷却金属ロール表面で冷却し、未延伸フィルムを得る。この未延伸フィルムを延伸して二軸配向積層フィルムとする。延伸方法としては、逐次二軸延伸法、または同時二軸延伸法を用いることができる。
【0050】
逐次二軸延伸の場合、最初に長手方向の延伸を行い続いて幅方向の延伸を行う方法が延伸破れなく安定に製膜ができ好ましい。この場合、長手方向の延伸倍率は2段階以上に分けて、特に限定されないが、延伸速度5000〜50000%/分の速度で、総延伸倍率は2.8〜7倍とするのが好ましく、さらには3.2〜6倍の範囲である。延伸温度は、80〜150℃が好ましく例示され、一段目の延伸温度よりも二段目の延伸温度を高くすると、ボイドを効率よく形成できるためか、フィルムの密度を本発明の範囲内とするのに有効である。次に、得られた一軸延伸フィルムを幅方向に延伸するが、その前に、予備熱処理(100℃〜150℃)をすることは、目的とする密度や150℃における熱収縮率が2.0%以下であるポリエステルフィルムを得るために有効である。予備熱処理温度はいずれかの縦延伸温度より高い温度で行うことが好ましい。また、このとき得られた一軸延伸フィルムにコロナ放電処理を施しコーティングすることも可能である。
【0051】
幅方向の延伸は、公知のテンターを用いて、95〜160℃、好ましくは100〜150℃の延伸温度で3〜8倍、好ましくは3.3〜6.5倍、幅方向の延伸速度は1000〜30000%/分の範囲で行うのが望ましい。さらに必要に応じて、この二軸延伸フィルムを再度縦、幅方向に延伸を行ってもよい。この場合の延伸倍率は、1.05〜1.5倍が好ましい。また、テンター温度は予備熱処理温度より6℃〜50℃低い温度が良い。予備熱処理温度、テンター温度をかかる好ましい範囲とすると、効果的にボイドが均一に生成しやすく、目的とするポリエステルを容易に得ることができる。
【0052】
次にこの二軸延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は180〜250℃、特に200〜240℃で、処理時間は0.2〜30秒である。
【0053】
また、延伸法として同時二軸延伸法を用いる場合は、クリップをパンタグラフで連結し、クリップ間隔を開くパンタグラフ式、クリップをスクリュー形状の軸で駆動し、スクリュー溝の間隔を調整することでクリップ間隔を開くスクリュー式、また、リニアモーター式などがあるが、例えば、リニアモーターを利用した駆動方式によるテンターを用いて同時二軸延伸方法を用いることが好ましい。同時二軸延伸温度としては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下であることが好ましい。延伸温度がかかる好ましい範囲であると、均一延伸ができ、厚み斑やフィルム破れが起こりにくい。延伸倍率は、縦方向、横方向それぞれ3〜8倍に延伸する。延伸速度としては特に限定されないが、2000%/分〜50000%/分が好ましい。
【0054】
次にこの二軸延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は180〜240℃、特に200〜220℃である。熱処理の時間は1〜30秒の範囲が好適である。
【0055】
この様にそれぞれの方法で二軸配向し熱処理を施したフィルムを室温まで徐冷しワインダーにて巻き取る。冷却方法は、2段階以上に分けて室温まで徐冷するのが本発明の熱収縮率を得るために好ましい。この時、長手方向、幅方向に0.5〜10%程度のリラックス処理を行うことも本発明の熱収縮率を得るために有効である。冷却温度は第1段目が[熱処理温度−20℃]〜120℃であり、第2段目が[1段目の冷却温度−30℃]〜70℃の範囲内が好ましいがこれに限定されるものではない。
【0056】
本発明のポリエステルフィルムには、炭酸カルシウムや、非晶性ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタン、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、クレー等の微粒子を併用してもよい。これらの添加量はポリエステル組成物100重量部に対して0.005〜10重量部とするのが好ましい。またこのような微粒子以外にも、ポリエステルの重縮合反応系で触媒残渣とリン化合物との反応により析出した微細粒子を併用することも出来る。析出粒子としては、例えば、カルシウム、リチウムおよびリン化合物よりなるもの、または、カルシウム、マグネシウムおよびリン化合物からなるもの等を用いることができ、これらの粒子のポリエステル中の含有量はポリエステル100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。
【0057】
本発明のポリエステルの好ましい用途として、感熱受容シートが挙げられるが、これは上記により得られたポリエステルフィルムに公知の方法により感熱受容層を設けることにより得られる。
[物性の測定ならびに効果の評価方法]
(1)密度
フィルムを100×100mm角に切り、ダイアルゲージ((株)三豊製作所製No.2109−10)に直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10-4gの単位まで読み取る。このとき
比重=w/d×100
とする。
(2)破断伸度
JIS Z 1702に規定された方法にしたがって、インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。なお、本願の破断伸度は、応力が最大値の時の伸度のことである。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算される値を用いる。すなわち、
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K 7121に従ってガラス転移温度(Tg)を決定した。
【0058】
装置: TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
により算出した。
(5)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
【0059】
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、引張り速度:200mm/分測定環境:温度23℃、湿度65%RH(6)熱収縮率フィルムをMD方向あるいはTD方向に幅10mm長さ300mmに切り、200mm間隔にマーキングし支持板に一定張力(5g)下で固定した後、マーキング間隔の原長p(mm)を測定する。次に、3gのクリップを用いて荷重をかけ150℃の熱風オーブン中で回転させながら30分間処理し、原長測定と同様にしてマーキング間隔q(mm)を測定する。下記の式により熱収縮率を求め、5本の平均値を用いる。
熱収縮率(%)=(p−q)/p×100(7)分散体の平均径および形状係数ポリエステルフィルムの長手方向(MD)あるいはその垂直な幅方向(TD)に切った断面を走査型電子顕微鏡で1000〜20万倍に拡大した写真をランダムに100箇所以上取り、指定した厚みの範囲の少なくとも100個以上の非相溶ポリマー分散体をイメージアナライザにかけ、分散体の面積に相当する円の直径の分布を求める。この分布の面積平均直径を分散体の平均径(分散径)とする。また100個の長径/短径の比率の平均を分散体の形状係数とする。
(8)光学濃度フィルムを1枚あるいは数枚重ね、光学濃度計(TR927、マクベス社製)を用いて透過濃度を測定する。フィルムの厚みと光学濃度とをプロットし、150μmの厚みに相当する光学濃度を補間法または補外法にて求める。
(9)クッション率(%)
(株)三豊製作所ダイヤルゲージNo.2109−10に標準測定子900030を用い、更にダイヤルゲージスタンドNo.7001DGS−Mを用いてダイヤルゲージ押さえ部分荷重50gと500gとをかけた時のそれぞれのフィルムの厚さd50、d500から次式により求める。
【0060】
クッション率=100×(d50−d500)/d50
(10)折れ皺性
日本カーバイド工業(株)製アクリル酸エステル系粘着剤KP−1405およびCK−102(架橋剤)を約100対1に混合しフィルムの片面に本粘着剤混合液を乾燥状態で25μmの厚さになるようにコーティングし、1週間放置し硬化させた。粘着力が強い場合は硬化剤量を多くし、弱い場合は硬化剤量を少なくすることにより粘着力を調整する。以上のようにしてフィルムをステンレス(SUS304、鏡面)に粘着させ、180°まで折り曲げる。この時皺の発性し始める角度を測定する。柔軟性の判定は次のようにした。○および◎を合格とした。
【0061】
0°以上90°未満の範囲内でおり曲げ皺が認められた :×
90°以上120°未満の範囲内でおり曲げ皺が認められた :○
120°以上180°未満の範囲内でおり曲げ皺が認められた:◎
(11)白色度
JIS L 1015に準じて、(株)島津製作所製UV−260を用いて波長450nmおよび550nmにおける反射率をそれぞれB(%)、G(%)としたとき、白色度(%)=4B+3Gで表せる。フィルムの厚みと白色度とをプロットし、150μmの厚みに相当する白色度を補間法または補外法にて求める。
(12)印字品質
フィルム表面に下記の組成からなるアンカー層を設け、その上に下記の組成からなる受像層を設け、フィルムをA4版に裁断しこれにシャープ(株)製CX−5000カラープリンターを用いて熱転写記録を行い、得られたハードコピーについて目視で印字の鮮明性、印字ムラおよび熱によるカールの有無の程度を下記の5段階で評価した。
アンカー層
ウレタン系ドライラミ剤(A−130 武田薬品工業(株)製)100重量部
硬化剤(A−3 武田薬品工業(株)製) 30重量部
受像層
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体($#1000D 電気化学工業(株)製)100重量部
アミノ変性シリコーン(X−22−343 信越化学工業(株)製)3重量部
エポキシ変性シリコーン(KF−393 信越化学工業(株)製) 3重量部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 500重量部
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレットを20重量%とポリエーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社 登録商標)60重量%、ポリメチルペンテン(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)20重量%を混合し、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドおよびポリメチルペンテンを含有したポリエステルマスターチップを得た。このポリエステルチップ25重量%と、上記ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレット75重量%を混合し、270〜300℃に加熱された二軸ベント付き押出機Aよりベント圧力が10(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながらシート状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
【0063】
この未延伸フィルムを85℃に加熱されたロール群に導き、長手方向に2倍縦延伸し、
続いてこの縦延伸したフィルムを108℃の雰囲気温度にしたトンネルオーブン中に導き予備熱処理を行った。続いてこの予備熱処理したフィルムを93℃に加熱されたロール群に導き、長手方向に2倍再縦延伸し、40℃のロール群で冷却した。続いてこのフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き100℃に加熱された雰囲気中で幅方向に延伸した。テンターの入り口幅と最大幅との比(テンター機械倍率)は4.2倍であった。その後テンター内で210℃の熱固定を行ない、冷却ゾーンにてリラックス率5%にて160℃で2秒、100℃で2秒、70℃で3秒徐後室温まで冷却して、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。かかる積層フィルムを受像シートとして印字品質を評価したところ、印字鮮明性4、印字ムラ4、カール5と良好な画像が得られ、受像操作時の紙詰まりおよび走行不良ともなく良好な実用適性を示した。
(実施例2)
実施例1と同様にしてポリエーテルイミドを10重量%、ポリメチルペンテン(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)5重量%含有するチップを作製し、実施例1と同様に表1に示した製膜条件で、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(実施例3)
実施例1と同様に、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレットを20重量%とポリエーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社 登録商標)60重量%、ポリメチルペンテン(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)16重量%、分散材として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリテトラメチレングリコール(PTMG、分子量4000)との重量比が1対1になるようPBTの重合時にPTMGを添加し製造したPBT−PTMG共重合体を4重量%混合し、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン、PBT−PTMG共重合体を含有したポリエステルマスターチップを得た。このポリエステルチップ25重量%と、上記ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレット75重量%を混合し、溶融押出して実施例1と同様に表1に示した製膜条件で、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(比較例1)
実施例1で用いたPETチップを30重量%、PEIチップを50重量%、ポリプロピレン(三井東圧化学(株)製、ノーブレン、J3H)を20重量%含有したポリエステルチップを作製し、このチップを50重量%、PETチップ50重量%を混合して溶融押出し、実施例1と同様に表1に示した製膜条件で、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(比較例2)
公知の方法により得たPET(固有粘度0.65)90重量%とポリメチルペンテン(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)10重量%を混合して実施例1と同様に表1に示した製膜条件で、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(比較例3)
実施例1において作成した未延伸フィルムを100℃に加熱されたロール群に導き、長手方向に2倍、続いて95℃に加熱されたロール群に導き2倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いてこのフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き100℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向に横延伸した。テンターの入り口幅と最大幅との比(テンター機械倍率)は4.2倍であった。その後テンター内で230℃の熱固定を行ない、冷却ゾーンにてリラックス率5%にて100℃で3秒、70℃で3秒徐後室温まで冷却して、厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(比較例4)
公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、平均径0.8μmの炭酸カルシウム粒子20重量%配合)のペレットを80重量%とポリエーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社 登録商標)20重量%を、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを20重量%含有したポリエステルチップを得た。このポリエステルチップを270〜300℃に加熱された二軸ベント付き押出機よりベント圧力が10(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながらシート状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。その後、表1に示した製膜条件で厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
(比較例5)
公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレットを50重量%とポリエーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社 登録商標)50重量%を混合し、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを含有したポリエステルマスターチップを得た。このポリエステルチップ40重量%と、上記ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレット55重量%およびポリメチルペンテン(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)5重量%を混合し、270〜300℃に加熱された二軸ベント付き押出機Aよりベント圧力が10(mmHg)となるように真空ポンプで脱気乾燥させながらシート状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。その後、実施例1と同様の延伸条件で厚み100μmの二軸配向フイルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示す通りである。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、空隙率が高く、しかも製膜作業性、高隠蔽性、耐熱性、寸法安定性、折れ皺性の良好なポリエステルフィルムを得ることができ、感熱記録用受容シート、印字基材、包装用、ICカード、ラベル、ビデオプリンター用受容紙、印画紙、表示板、金属板貼り合わせ加工用フィルムなどの基材に広く使用されることができる。
Claims (3)
- ポリエーテルイミド(a)、ポリエステル(b)、さらに、フィルム中での分散径が0.03〜10μmである樹脂(c)を主たる構成成分とする層を少なくとも1層有し、該フィルムの密度が0.7〜1.3g/cm3、縦横方向共に破断伸度が65〜200%であることを特徴とするポリエステルフィルム。
- 150℃×30分の縦横方向共に熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
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