JP3900759B2 - スパッタリング成膜用の基板ホルダー及びそれを用いたフォトマスクブランクスの製造方法 - Google Patents

スパッタリング成膜用の基板ホルダー及びそれを用いたフォトマスクブランクスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路等の製造に際して使用されるフォトマスク用のフォトマスクブランクスを作製するためのスパッタリング成膜装置で使用される基板ホルダー及びフォトマスクブランクスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、IC、LSI等の半導体の製造において、半導体ウェハに微細パターンを転写する際に使用されるフォトマスクの製造工程としては、通常、石英ガラス等を精密研磨して透光性基板を得る研磨工程、透光性基板の一主表面にスパッタリング等によりクロム等の遮光膜を成膜する成膜工程、遮光膜上にレジスト膜をスピンコーティング法等により塗布するレジスト塗布工程、所定のパターンを有するマスターマスクを通してレジスト膜を選択的に露光する露光工程、露光されたレジスト膜を所定の現像液で現像し、エッチングを行ない、所定の遮光膜パターンを得るエッチング工程等を経て行なわれる。ここで、成膜工程で遮光膜等が形成されたガラス基板を一般にフォトマスクブランクスと呼んでいる。
【0003】
このフォトマスクブランクスを連続式スパッタリング装置を用いて作製する従来の工程について説明する。
図2は、従来より使用されている連続式スパッタリング装置を示す断面図である。22は成膜チャンバであり、この中でスパッタリングによる成膜処理が行なわれる。23はロード隔離室であり、成膜処理を行なう対象であるガラス基板が基板ホルダー40に載置されており、ここから成膜チャンバ22内に供給される。ガラス基板が載置された基板ホルダー40aは成膜チャンバ22内で成膜処理が施され、アンロード隔離室24に排出され、ストックされる。成膜チャンバ22内では、プラズマ励起を行うための下側電極26と上側電極27があり、ターゲット25が下側電極26上に固定されている。ターゲット25は成膜すべき化合物の主成分である金属から成る。29はチムニーであり、ターゲット25から叩き出された原子が成膜チャンバ内に飛散しないようにしてガラス基板へ飛来する方向を制御するための部品であり、また副次的に発生する塵埃が成膜チャンバ22内に拡散しないようにする障壁の役目も併せ持つ。ただし、チムニー29は必須の構成要素ではなく、なくて済む場合もある。28はガス導入口であり、プラズマを励起するためのガスをここから成膜チャンバの中に導入する。31は真空排気系であり、これにより真空度を保持し、ガスの流量を制御する。
成膜チャンバ22内に供給されたガラス基板が載置された基板ホルダー40aは上側電極27と同電位になっていて、上側電極27と同様の機能を有する場合もある。
【0004】
ガラス基板が載置された基板ホルダー40aはロード隔離室23より成膜チャンバ22内に供給され、成膜チャンバ22内を水平方向に移動する。基板ホルダー40aが下側電極26上に固定されたターゲット25と上側電極27の間を移動する間に、ターゲット25から叩き出された原子がガラス基板の下側の表面に付着し、所定の厚さに成膜される。成膜処理が施されたガラス基板が載置されたホルダー4bはさらに水平方向に移動し、成膜チャンバ22からアンロード隔離室24に排出され、ストックされる。
【0005】
ガラス基板が載置されたホルダー40aが成膜チャンバ22内を移動している間にスパッタ電圧が変動し、そのためにホルダー内の個々のガラス基板に堆積するクロム等の膜質にバラツキが発生し、その結果、光の透過率、反射率等の光学特性にバラツキが発生するという問題が生じる。なお、ここで言うスパッタ電圧とは、上側電極27と下側電極26の電位差のことである。
【0006】
スパッタ電圧が変動する原因を以下に説明する。上側電極27と下側電極26の間を、ガラス基板が載置された基板ホルダー40aのガラス基板が通過しているときと、ガラス基板が載置された基板ホルダー40aの枠の部分41が通過しているときとでは、スパッタ電圧に差が生じていることが判明した。すなわち、上側電極27と下側電極26の間を、基板ホルダー40aのガラス基板が通過しているときの方が、基板ホルダー40の枠の部分41が通過しているときよりもスパッタ電圧が高くなるのである。これは、ガラスの誘電率が、基板ホルダー40の枠の部分41を構成する金属(アルミニウム等)の誘電率よりも高いからである。
その結果、スパッタ電圧が高い状態のときにガラス基板の上に堆積する膜質と、スパッタ電圧が低い状態のときにガラス基板の上に堆積する膜質に差が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、ガラス基板に所定の膜をスパッタリング成膜する際スパッタ電圧が変動しないスパッタリング成膜用の基板ホルダー及びそれを用いてフォトマスクブランクスを作製する製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記問題を解決するために、まず請求項1においては、複数枚のガラス基板を載置した基板ホルダーがロード隔離室、成膜チャンバ及びアンロード隔離室を移動してガラス基板に所定の膜が成膜される連続式のスパッタリング成膜装置において、前記基板ホルダーは前記ガラス基板を載置する部分を除く枠の部分の少なくとも一部にガラスにてダミー部が形成されていることを特徴とするスパッタリング成膜用の基板ホルダーとしたものである。
【0009】
また、請求項2においては、請求項1に記載するスパッタリング用の基板ホルダーを用いてスパッタリング成膜装置にてガラス基板に遮光膜を成膜することを特徴とするフォト
マスクブランクスの製造方法としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明のスパッタリング成膜用の基板ホルダーの一実施例を示す平面図である。基板ホルダー10は金属等からなる枠の部分11とガラス基板を載置する部分12とからなり、枠の部分11にガラス基板と同じ材質のガラスからなる所定サイズのダミー部13を設けたものである。ダミー部13の枠の部分11に占める面積の比率は、基板ホルダーとしての機能が維持できる範囲で適宜設定することができる。
このような基板ホルダーの構造にすることにより、スパッタリング成膜中のスパッタ電圧の変動をなくすことができ、結果としてガラス基板上に堆積する膜質のバラツキを防止することができ、基板ホルダーにセットされた個々のフォトマスクブランクスの面内での光の透過率、反射率等の光学特性のバラツキをなくすことができる。
【0011】
【実施例】
本発明の基板ホルダー10はアルミニウム等の枠の部分11とガラス基板を載置する部分12とからなり、枠の部分11に所定のサイズの窓明き部を形成し所定サイズのガラス基板をはめ込みダミー部13を形成した。さらに、この基板ホルダー10を用いてガラス基板をセットして、スパッタリング成膜装置のロード隔離室にロードし、成膜チャンバにてクロムを所定の厚みでスパッタリング成膜し、フォトマスクブランクスを作製した。このように、基板ホルダー10の枠の部分11にガラスでダミー部13を設けてあるので、ホルダー全体としての誘電率をガラスの誘電率に近づけることができる。その結果、スパッタリング成膜装置の下側電極と上側電極の間をガラス基板が通過しているときと、ホルダーの枠の部分が通過しているときとで、スパッタ電圧に差が生じることがなく、光の透過率、反射率等の光学特性のバラツキのないフォトマスクブランクスを得ることができた。
【0012】
<比較例>
図3に示す従来の基板ホルダー40を使って実施例と同様な装置でスパッタリング成膜を行いフォトマスクブランクスを作製した。基板ホルダー40の枠の部分41は全てアルミニウム等の金属から成るので、枠の部分の誘電率はガラス基板の誘電率より著しく低くなり、その結果、下側電極と上側電極の間を、ガラス基板が通過しているときと、枠の部分41が通過しているときとで、スパッタ電圧に大きな差が生じ、得られたフォトマスクブランクスの面内の光の透過率、反射率等の光学特性がバラツキを示した。
【0013】
【発明の効果】
上記したように、本発明の基板ホルダーを使ってスパッタリング成膜することにより、スパッタリング成膜中のスパッタ電圧の変動をなくすことができ、結果としてガラス基板上に堆積する膜質のバラツキを防止することができ、基板ホルダーにセットされた個々のフォトマスクブランクスの面内での光の透過率、反射率等の光学特性のバラツキをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板ホルダーの一実施例を示す平面図である。
【図2】スパッタリング成膜装置の一例を示す模式断面図である。
【図3】従来の基板ホルダーの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
10、40・・・・・・基板ホルダー
11、41・・・・・・枠の部分
12、42・・・・・・ガラス基板を載置する部分
13・・・・・・ダミー部
22・・・・・・成膜チャンバ
23・・・・・・ロード隔離室
24・・・・・・アンロード隔離室
25・・・・・・ターゲット
26・・・・・・下側電極
27・・・・・・上側電極
28・・・・・・ガス導入口
29・・・・・・チムニー
31・・・・・・真空排気系
40a・・・・・・ガラス基板が載置された基板ホルダー
40b・・・・・・成膜されたガラス基板が載置された基板ホルダー

Claims (2)

  1. 複数枚のガラス基板を載置した基板ホルダーがロード隔離室、成膜チャンバ及びアンロード隔離室を移動してガラス基板に所定の膜が成膜される連続式のスパッタリング成膜装置において、前記基板ホルダーは前記ガラス基板を載置する部分を除く枠の部分の少なくとも一部にガラスにてダミー部が形成されていることを特徴とするスパッタリング成膜用の基板ホルダー。
  2. 請求項1に記載するスパッタリング用の基板ホルダーを用いてスパッタリング成膜装置にてガラス基板に遮光膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクスの製造方法。
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