JP3900318B2 - 高速度撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子として、インターライン型、フレーム・インターライン・トランスファ型などのCCD(Charge Coupled Device:固体撮像素子)を用いた撮像装置に関し、とくに、受光部の蓄積電荷の並列読出しの改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速度撮像はスローモーション再生など、種々の分野で有用である。スローモーション再生を行うには、規格速度(NTSC方式のときは30画面/秒、PAL方式のときは25画面/秒)より大きい速度で撮像し、その画像データを規格速度で再生するとスローモーション映像を見ることができる。例えば、規格速度のn倍の速度で撮像した画像データを規格速度で再生すると、被写体の動きを1/nに遅くして観察することができる。このスローモーション画像は、周知の如く、スポーツ選手の運動動作の解析やスポーツ勝敗の判定に有用であるばかりでなく、様々な学術研究や工業生産分野での動態解析に著しく有用性を発揮している。
【0003】
一般に、このような高速度撮像の1つの手法として、CCD型撮像素子やMOS型撮像素子などの撮像素子のクロック周波数を上げることで反応速度を速くすることが知られている。しかし、この撮像素子の反応速度自体に一定の物理的制限があるので、クロック周波数を上げることに拠る撮像速度の高速化にも限界がある。
【0004】
この限界以上の高速化を実現するには、その1つの手法として、撮像素子からの出力数を複数にして並列に電荷を読み出す、いわゆる「並列読出し」の方法がある。これにより、並列読出し数分の高速化が図られる。例えば、1出力の構成で30画面/秒(640×480画素)の規格の撮像素子に対して、並列読出し数を4個に変更すれば、撮像速度を原理的には4倍の120画面/秒に上がることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
並列読出しタイプのCCD型撮像素子を用いた高速度撮像装置の場合、撮像速度の異なる装置を得るには、並列読出し数の異なるCCD型撮像素子を複数種類用意し、それらの撮像素子を個別に搭載した複数種類の撮像装置を提供する必要があった。
【0006】
読み出した電荷を画像信号に処理する回路は読出し数の分だけ必要になるから、並列読出し数が大きくなるほど、処理回路の回路規模が大きくなる。また、従来の場合、並列読出しを行うには、専用の撮像素子(センサ)として製造する必要があった。このため、並列読出し数の異なる撮像素子を複数種、開発することは、設計や開発のためのコストが重複し、製造コストの増大を招いていた。したがって、並列読出し数(すなわち撮像速度)が違う複数種類の撮像装置の市場での価格は、トータルとして高騰を余儀無くされ、ユーザの希望する性能と価格を両立させることは困難であった。
【0007】
高速度撮像装置に必要な撮像速度(フレームレート)は、撮影対象の動作速度によりある程度決定されるのが常である。例えば、自動車のエンジンやその関連の動作解析に必要なフレームレートと、人の動作の解析に必要なフレームレートとは異なるのが通常である。もっとも、一番速いフレームレートの装置で撮影すれば、全ての撮影対象について解析可能になるが、そのような装置はハード的規模も大きくなり、高価格のものが多い。また遅めのフレームレートで済むのに、オーバー仕様の装置を使用することは、例えば画像解析量が多くなるなど、演算装置の負荷も大きく、また運用コスト面でも不利である。
【0008】
したがって、CCD型撮像素子を用いた高速度撮像装置に対する市場の要望は、ユーザが選択可能な動作速度の異なる複数種類の撮像装置を適切な価格で提供して欲しいということである。
【0009】
ところで、MOS型撮像素子を搭載した撮像装置の場合にも並列読出しの手法は使用されている。MOS型の場合、受光部から水平、垂直両方向に配置されたスイッチを開閉することで、特定の画素位置を選択し、選択された受光部の蓄積電荷をアルミ線などの読出し線を用いて、外部に読出し構成となっている。例えば256画素×256ラインの素子の場合、16ライン同時に読み出す16チャンネルの形式がその一例である。この場合、垂直方向256本のラインを16個のブロックに分け、ブロック内のライン数を16本に設定して、各ブロックの同一位置のラインを同時に読み出し、これを16回繰り返している。
【0010】
しかし、この場合、単純に並列読出し数(チャンネル)を減らすと、読み出せないラインができ、画像を劣化させる。また、並列読出しのための画素選択機構を水平走査回路、垂直走査回路に予め組み込み、また出力ラインの選択についてもその選択機構を出力選択回路に組み込む必要がある。このため、選択ライン数の変更は行うことができない。このような選択回路を素子の外部に配置して制御することも考えられるが、そのように外部においた場合、画質が劣化し、実用にならないという問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来技術が有する問題に鑑みてなされたもので、撮像素子外部から容易に駆動制御可能なCCD型撮像素子を対象とし、CCD型撮像素子の並列読出し法を改善することで、撮像速度の異なる複数種類の専用撮像素子をわざわざ製造しなくても、種々の撮像速度の高速度撮像装置を極力安価に提供でき、ユーザが自分の要求に見合った機能の機種を自在に選択可能にすることを、その目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるため、本発明の高速度撮像装置は、受光領域にライン方向および列方向の2次元に配列した複数の受光部が光信号を変換して蓄積した電荷を前記列方向に複数列で垂直転送し、この電荷を複数の出力部を介して並列に同時に読み出すように形成したCCD型撮像素子を備え、前記複数の出力部を、複数列で垂直転送される前記電荷を前記ライン方向に読み出し可能な複数の水平転送路で形成するとともに、前記複数の水平転送路の内の、製造時に指定された並列読出し数に対応した複数の水平転送路を介して前記電荷を並列に読み出す制御を前記撮像素子に行う読出し制御手段を備える。
【0013】
例えば、前記複数の水平転送路は前記受光領域の前記列方向の片側一方に形成される。
【0014】
また例えば、前記撮像素子は、前記受光領域の前記列方向に分けた2領域に属する前記受光部の蓄積電荷を前記列方向の両側に分けて垂直転送する垂直転送路を備えるとともに、前記複数の水平転送路は前記受光領域の前記列方向の両側に分けて形成してある。前記垂直転送路は、外部からの信号に応じて前記蓄積電荷の転送方向を前記列方向にて双方向に変更可能に形成できる。
【0015】
さらにまた、一例として、前記撮像素子は、インターライン・トランスファ型(IT型)のCCD型撮像素子である。
【0016】
さらにまた、好適には、前記読出し制御手段は、前記複数の水平転送路の内の前記指定された並列読出し数に応じた複数の水平転送路それぞれに前記蓄積電荷が転送されるまで前記複数の受光部の蓄積電荷を垂直転送させる手段と、前記並列読出し数に応じた複数の水平転送路それぞれへの前記蓄積電荷の転送が完了したときに、この複数の水平転送路上の蓄積電荷を並列に画素単位で読み出す手段とを備える。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
第1の実施の形態
第1の実施の形態を図1〜図6を参照して説明する。
【0019】
図1に示す高速度撮像装置は、エリアイメージセンサ11と、このセンサ11に接続された駆動回路12および処理回路13と、処理回路13に接続されたモニタ14と、駆動回路12に接続されたスイッチ15とを備える。
【0020】
エリアイメージセンサ11は、対物レンジなどの光学系11aと、この光学系11aを介して受光面に入射する光を電荷信号に変換するCCD型撮像素子11bとを備える。このCCD型撮像素子11bは、例えば2相駆動方式で駆動されるようになっている。
【0021】
CCD型撮像素子11bは、半導体の薄膜積層技術によって、例えばn−基板上に形成した1チップのインターライン・トランスファ型(IT型)のCCD型撮像素子から成る。図2に模式的に示すように、このCCD型撮像素子11bでは、かかる薄膜積層技術によって、複数の受光部(受光領域を形成)21…21としてのフォトダイオードがxy面に2次元的に配置・形成される。ここでは、x軸方向を水平(横)方向、y軸方向を垂直(縦)方向と便宜上呼びことにし、水平方向の同一行の受光部の並びをとくにラインと呼ぶ。
【0022】
本実施形態の場合、一例として、水平方向に256個の受光部が並び、垂直方向に256個の受光部が並んでいる。各受光部21は、1フレームの画像を形成する画素信号の素になる電荷を生成する。つまり、各受光部21には入射光量に対応した電荷が蓄積される。これにより、256×256個の画素分の撮像ができる。勿論、この画素数を形成する受光部の配列数は任意である。また、CCD型撮像素子11bはフレーム・トランスファ型(FT型)であってもよい。
【0023】
垂直方向の各列を成す受光部21…21に隣接して垂直転送路22としてのレジスタが垂直方向にそれぞれ形成され、全体として、受光部21…21の各列と垂直転送路22が水平方向において交互に並んだ状態で垂直方向に配置されている。このため、後述する第1転送信号PVを受光部21…21に与えることにより、受光部21…21の蓄積電荷を隣接する256本の垂直転送路22…22に一度に転送できる。さらに、後述する第2転送信号V1,V2を垂直転送路22…22に与えることで、各垂直転送路22上の蓄積電荷を画素単位で垂直方向に垂直転送できる。
【0024】
256本の垂直転送路22…22の垂直方向における転送出力側には、複数本(ここでは16本)の水平転送路231 …2316が薄膜積層技術により積層・形成されている。この水平転送路の数は、必ずしも16本に限定されることなく、任意数でよい。この水平転送路231 …2316のそれぞれは本実施例では256個の記憶部から成るレジスタで構成されている。
【0025】
1番目の水平転送路231 には256本の垂直転送路22…22が繋がれ、垂直転送路22…22から受光部の蓄積電荷が渡されるようになっている。また、1番目の水平転送路231 の各記憶部は、2番目のそれに個別に接続され、2番目の水平転送路232 の各記憶部は3番目のそれに個別に接続され、3番目の水平転送路の233 の各記憶部はさらに4番目のそれに個別に接続され、以下、同様に16番目の水平転送路2316まで並列に接続されている。このため、後述する第2駆動信号V1,V2を垂直転送路群のみならず、この水平転送路群にも供給することにより、16本の水平転送路間で蓄積電荷を順送りに16番目の水平転送路2316まで転送できるようになっている。
【0026】
また、水平転送路231 …2316のそれぞれは、後述する第3駆動信号H1,H2が供給されることにより、各転送路上にその駆動信号供給時点で記憶している256個分の蓄積電荷を画素単位で水平方向に順次転送できるようにもなっている。各水平転送路231 (…2316)の水平方向の出力端には出力アンプ241 (…2416)が接続されているため、読み出された蓄積電荷はこの出力アンプ241 (…2416)を通して出力される。
【0027】
このように形成されるCCD型撮像素子11bは、その水平転送路が16本の場合、並列読出し数が16以下の読出し数の撮像装置には共通に使用できるものである。つまり、並列読出し数が2〜16の範囲の撮像装置に汎用性がある。並列読出し数の指定は後述するように駆動回路12から指示される。この指示は恒久的であるから、指示された並列読出し数で決まる固有の撮像速度を有する高速度撮像装置となる。
【0028】
駆動回路12は、上述した如く2相駆動方式でセンサ11を駆動するのに必要な第1〜第3転送信号を出力する。これを実行するため、駆動回路12は、基準となるタイミング信号(クロック)を発生するタイミング信号発生器12aと、このタイミング信号から各種の転送信号および駆動信号を生成し出力する駆動信号発生器12bと、この駆動信号発生器12bに並列読出し数の制御信号を与える並列読出しコントローラ12cとを備える。このコントローラ12cには、スイッチ15の信号SWが与えられる。
【0029】
スイッチ15は、製造時に作業者が手動操作して並列読出し数を選択できるようになっている。並列読出しは、1画面を形成する蓄積電荷を複数チャンネルから同時に(並列に)読み出して高速化を図る手法である。本実施形態でも高速読出しは行うが、これに汎用性を加味して、1タイプの共通の撮像素子11で撮像速度が異なる複数種類の高速度撮像装置に対処できるようにする。つまり、読出し速度を製造時に調節できるように、そのための並列読出し数の選択機能をスイッチ15に持たせている。
【0030】
スイッチ15は本実施形態では複数のスイッチ状態を取ることができる。このスイッチ状態には、並列読出し数=16個を指定するスイッチ信号SW=S1の状態、並列読出し数=8個を指定するスイッチ信号SW=S2の状態、および、そのほかの並列読出し数を指定するスイッチ信号の状態が含まれる。
【0031】
並列読出しコントローラ12cは、スイッチ15から与えられるスイッチ信号SWを入力するCPUを備える。なお、CPUの代わりに、デジタル回路でコントローラ12cを構成してもよい。コントローラ12cはスイッチ信号SWを入力してその内容を判断する。つまり、スイッチ信号SW=S1のときは、並列読出し数=16に対応した制御信号CS16を、スイッチ信号SW=S2のときは、並列読出し数=8に対応した制御信号CS8 を駆動信号発生器12bおよび処理回路13に出力する。そのほかの内容のスイッチ信号も同様である。このスイッチ信号は製造時に一度設定されると、その内容がコントローラ12cのメモリに格納され、電源オフ後のその内容が維持される。
【0032】
なお、スイッチ15を使用せずに、コントローラ12c自体が、与えられた並列読出し数に対応した制御信号を出力するように形成してもよい。
【0033】
駆動信号発生器12bは、例えばタイミング信号の所定数を計測するカウンタおよびそのカウント値に応答してパルス信号(駆動信号)を発生するパルス発生器を複数組備え、コントローラ12cからの制御信号の内容に応じた複数種類のパルスシーケンスを発生させる。この発生器12bにより発生する各種の駆動信号には、全ての受光部21…21から256本の垂直転送路22…22に一度に電荷転送するための第1転送信号PV、電荷を垂直転送するための2相の第2転送信号V1,V2、および電荷を水平転送するための2相の第3転送信号H1,H2が含まれる。この駆動信号発生器12bでは、カウンタおよびパルス発生器の駆動を制御することで、並列読出し数の制御信号CS=CS16のときには、第2転送信号V1,V2の各パルス数を16個に設定し、また並列読出し数の制御信号CS=CS8 のときには、第2転送信号V1,V2の各パルス数を8個に設定するようになっている。そのほかの並列読出し数のときも同様に、読出し数に対応したパルス数に設定される。なお、この駆動信号には、図示しないが、センサ11の電子シャッタ用の信号や、出力アンプのリセット用の信号なども含まれる。
【0034】
処理回路13は、波形整形(ノイズ除去)、補正回路などの信号処理回路を備えるとともに、画像表示のためのA/D変換器、フレームメモリ、D/A変換器を備える。これにより、センサ11から順次読み出される電荷信号が画像信号に処理され、モニタ14に1フレームの画像として表示される。
【0035】
また、この処理回路13は、上述した読出し制御信号CSを受け、この制御信号CSで指定している並列読出し数に対応したチャンネル分の出力アンプの出力のみを信号処理し、残りのチャンネルの出力アンプは無視するように構成されている。具体的には、例えば、制御信号CS=CS8 のときには、1番目から8番目の水平転送路231 〜238 の出力アンプ241 〜248 の信号を処理し、残りの水平転送路239 〜2316の出力アンプ249 〜2416の信号は不要であるので無視する。なお、制御信号CS=CS16のときには、1番目から16番目までの全部の出力アンプ241 〜2416の信号が処理される。
【0036】
続いて、本実施形態に係る高速度撮像装置の動作図3〜6を、センサ11における転送動作を中心にして説明する。なお、図4および図6において、受光部および垂直転送路の図示を省略し、模式的に表している。
【0037】
いま、この高速度撮像装置が並列読出し数=16の撮像装置であるとする。この場合、製造時にスイッチ15を介してその並列読出し数=16が固有的に指定されている。
【0038】
このため、駆動信号発生器12bは並列読出し数=16に対応して図3に示すタイミングのパルスシーケンスを発生させる。
【0039】
まず、時刻t1にて第1転送信号PVを論理Lから論理Hに所定時間、矩形パルス状に立ち上げる。この立上がりに付勢され、CCD撮像素子11bの全受光部21…21の蓄積電荷が隣接する垂直転送路22…22に一度に転送される。これにより、図4(a)の斜線部に示す如く、1画面(フレーム)分の蓄積電荷の垂直転送の準備が整う。
【0040】
この後、時刻t2から、位相が180度異なる2相方式の第2転送信号V1,V2が論理Hおよび論理Lの間で矩形パルス状に一定周期で変化する。いまの場合、並列読出し数=16であるから、この信号V1,V2によるパルス数も16個となる。この16個のパルスV1,V2に付勢されて1画面分の蓄積電荷の全てが一斉に垂直転送される。ただし、パルスV1,V2の1組で全体の電荷が1画素分ずつ転送される。このため、1組目のパルスV1,V2により、垂直転送路22…22上の最終段の水平方向1ライン分の蓄積電荷が垂直転送されて、1番目の水平転送路231 に入る。2組目のパルスV1,V2でさらに水平方向1ライン分の蓄積電荷が垂直転送されるから、1番目の水平転送路231 の蓄積電荷は2番目の水平転送路232 に移動し、その1番目の水平転送路231 に垂直転送路22…22上の最終段の新しい水平方向1ライン分の蓄積電荷が垂直転送される。以下、この1ラインずつの垂直転送が繰り返される。16組目のパルスV1,V2が印加されると、したがって、16本の水平転送路231 …2316全部に蓄積電荷が転送された状態になり、垂直転送路22…22上では、図4(b)に示す如く、垂直方向の上側16ライン分の蓄積電荷が下側に移動した状態となる。
【0041】
この後、時刻t3から微小一定時間毎に第3転送信号H1,H2が、1ラインの画素数分(ここでは256個分)だけ繰り返して論理Hに立ち上がる。この第3転送信号H1,H2の内の微小パルスの1組により、16本の水平転送路231 …2316の全てにおいて、1画素分の電荷が出力アンプ側に転送され、16個の出力アンプ241 …2416から時系列にかつ並列に読み出される。
【0042】
この1回目の16ライン分の並列読出しが完了すると、さらに時刻t4で、第2回目の16ライン分の垂直転送を行うべく第2転送信号V1,V2が再び前述と同様に矩形パルス状に変化する。これに呼応して、垂直転送路22…22上のさらに16ライン分の蓄積電荷が16本の水平転送路231 …2316に垂直転送される。そして、時刻t5から動作する第3転送信号H1,H2によって水平転送され、出力アンプ241 …2416から時系列にかつ並列に読み出される。
【0043】
以上の垂直・水平転送が繰り返され、図4(c)および(d)に示す如く、最後の16ライン分の蓄積電荷の垂直転送および水平転送が終了すると、1画面分の全ての蓄積電荷が読み出されたことになる。そして、時刻t6で第1転送信号PVが立ち上がって、次の画面分の蓄積電荷が上述と同様に読み出される。
【0044】
このようにして読み出された各フレーム(画面)の電荷は処理回路13を経て、例えばスローモーション再生によりモニタ14に表示される。
【0045】
一方、この高速度撮像装置が並列読出し数=8の撮像装置であるとする。この場合、製造時にスイッチ15を介してその並列読出し数=8が固有的に指定されている。
【0046】
このため、駆動信号発生器12bは並列読出し数=8に対応して図5に示すタイミングのパルスシーケンスを発生させる。
【0047】
このパルスシーケンスの場合、第2転送信号V1,V2が形成するパルス数は、並列読出し数=8になるように8個に設定されている。そのほかは前述した図3のものと同一である。
【0048】
このため、垂直転送路22…22上の蓄積電荷の内の水平方向8ライン分が1番目〜8番目の水平転送路231 〜238 に転送されると、直ぐに第3転送信号H1,H2が供給され、水平転送が開始される。つまり、第2転送信号V1,V2が形成するパルス数=8であるため、8ラインずつ、合計32回の垂直・水平転送によって256×256画素分の蓄積電荷全てが並列に読み出される。
【0049】
この場合、処理回路13では、残りの水平転送路239 〜2316からの出力信号は無視され、1番目〜8番目の水平転送路231 〜238 からの読出し信号に基づいて画像信号が作られる。このため、残りの水平転送路が動作していても、画像生成には支障がない。
【0050】
この高速度撮像装置がそのほかの並列読出し数であるときも、その読出し数は製造時にスイッチ15を介して固有的に設定されている。このため、上述と同様に、読出し数に対応したパルス数のパルスシーケンスによって電荷読出しが実行される。。
【0051】
本実施形態によれば、以上のように、標準テレビ用として家庭用、業務用に用いられている汎用CCD型撮像素子の蓄積電荷を並列に読み出しているので、その分、高速に撮像できる。さらに、1タイプの撮像素子、駆動回路、および処理回路を共通に使用して、製造時に並列読出し数を任意に選択、設定できるようにしているので、撮像装置に固有的に与える撮像速度機能に合わせて撮像速度を製造時に調節できる。
【0052】
このように、並列読出し数を製造時に2〜16の間で任意に選択でき、共通タイプの撮像素子でありながら、並列読出し数=2〜16に対応した、複数種類の高速度撮像装置を市場に提供できる。
【0053】
なお、併設する水平転送路の数を32個にする場合、並列読出し数を32個にしてもよい。並列読出し数の値によっては、256ラインに対して、並列読出し回数に端数がでることがあるが、そのような値は予め解っているので、処理回路13の方で例えばソフトウエア的に処理すればよい。このように、2以上の並列読出しを選択的に実行できるので、高速撮像を機能を維持しながら、その撮像速度を製造時に適宜に可変でき、撮像速度が広範囲に渡って異なる高速度撮像装置を提供できる。
【0054】
上述の例では、センサ11の撮像サイズが256×256画素で構成される場合を説明したが、これは例えば512×512画素のCCD型撮像素子を用いてもよい。したがって、そのような場合は当然に、並列読出し数も適宜に増やしてもよく、例えば64個や32個の並列読出し数を選択の幅に加えてもよい。
【0055】
また、上述の例では、あくまで2個以上の並列読出しについて説明したが、上述した16本の水平転送路を設けたまま、第2転送信号V1,V2のパルス数を1組(1個)とすることで、並列読出しを行わない1本の水平転送路による通常の使用法も可能である。つまり、上述した実施形態の場合、電荷読出し数を1〜16の間で製造時に任意に選択可能で、各種の撮像対象に好適に対応できる。
【0056】
このように、設定した最大並列読出し数のCCD型撮像素子を専用回路として一度、設計・製造しておけば、その並列読出し数を素子の外部から制御するだけで、様々な撮像速度の高速撮像速度をユーザに提供できる。したがって、種々の撮像速度仕様に個別に合わせた専用の撮像素子を設計・製造する必要がなくなるから、トータルとしては、開発コストや製造コストを大幅に抑制できる。このため製品の価格も従来よりは確実に抑制可能で、撮像速度と価格の両立という市場のニーズにも合致することになる。ユーザは価格および撮像対象に合わせた撮像速度の高速度撮像装置を選択できる。このため、要求されている撮像速度以上の無駄な高速度撮像を行わなくても済むようになり、画像解析のデータ量を適宜な値に抑えることができるなど、運用面でも有利である。
【0057】
第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態を図7に基づき説明する。この実施形態の高速度撮像装置は、そのCCD型撮像素子の蓄積電荷の垂直転送方向を多様化したものである。
【0058】
この実施形態で用いるCCD型撮像素子を図7に模式的に示す。同図は、受光部および垂直転送路の図示を省略し、模式的に表している。
【0059】
図7に示すCCD型撮像素子11bは、第1の実施形態と同様に、一例として、256×256画素分の受光部21…21および垂直転送走路22…22の領域の垂直方向両側に、水平転送路を8本ずつ分けて形成されたチップ構造を有する。つまり、同図の上側に8本の水平転送路231 〜238 が、同図の下側に別の8本の水平転送路239 〜2316がそれぞれ第1の実施形態のときと同様に形成されている。
【0060】
また、この撮像素子11bにおいて、垂直転送路22…22に転送された1画面分の蓄積電荷の内、上側半分または上側略半分の領域に位置する受光部21…21からの蓄積電荷は上側の水平転送路231 〜238 に垂直転送でき、下側半分または下側略半分の領域に位置する受光部21…21からの蓄積電荷は下側の水平転送路239 〜2316に垂直転送できるように分割構造になっている。ただし、第2転送信号V1,V2の与え方などに応じて、垂直転送方向を例えば上方向から下方向に変更可能に構成されている。
【0061】
そのほかの要素は、第1の実施形態の高速度撮像装置と同一または同様に構成されている。
【0062】
このため、受光部21…21から垂直…走路22…22に読み出された1画面分の蓄積電荷は、垂直方向両側に分かれて垂直転送される。そして、両側の8本ずつの垂直転送路231 〜238 および239 〜2316から、8個ずつダブルの並列読出しによって出力される。このため、第1の実施形態のときの1方向のみの垂直転送に比べて、2倍の速度で垂直転送でき、その分、全体の読出し速度も向上する。
【0063】
しかも、前述の実施形態と同様に、両側の水平転送路での並列読出し数を第2転送信号V1,V2のパルス数によって制御できる。これにより、この例の場合、並列読出し数は「2、4、6、8」と2の倍数の範囲で設定できる。加えて、この例では、外部から与える第2転送信号V1,V2の制御などに応じて、垂直転送方向を必要に応じて変更できる。例えば、最終回の垂直転送時に、それまで上方向に転送していた蓄積電荷を下方向に転送させることができる。このため、上記並列読出し数にさらに、「1、3、5、7」を加えることができ、全体として、「1〜8」の間で設定できる。したがって、ユーザは並列読出し数の幅「1〜8」に対応して撮像速度を設定できる。
【0064】
この両側に転送する方式に場合、前述した片側のみに転送する方式に比べて、トータルの水平転送路数が同じ場合、並列読出し数の選択の幅、すなわち撮像速度の範囲は若干狭くなるものの、全体に高速な撮像速度にシフトした状態で、実用上有効な速度選択ができる。これによって、撮像速度の選択範囲を設計するときの自由度を上げることもできる。
【0065】
なお、本発明に係るCCD撮像素子は上述した2つの実施形態で説明した素子構成に限定されるものではなく、例えば図8に示す構成であってもよい。同図に示すCCD型撮像素子は、垂直方向両側にそれぞれ複数本(または1本)の水平転送路231 〜238 (239 〜2316)を設けるものであるが、さらに、各水平転送路の水平転送方向をその中心より左右に各別に水平転送できるようにしたものである。このように垂直方向および水平方向それぞれに分割して転送することで撮像速度をさらに高速化することができ、その高速状態で前述のように並列読出し数を製造時に適宜に選択して撮像速度を設定することができる。
【0066】
また、本発明に用いるCCD型撮像素子はフレームインターライン型(FT型)CCDであってもよい。
【0067】
本発明は、前述した実施形態およびその変形例に記載のものに限定されることなく、請求項記載の発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜に変形可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる高速度撮像装置は、CCD型撮像素子の受光部の蓄積電荷を垂直転送および水平転送して並列に読み出すときに、その並列読出し数を外部から選択できるようにしたため、専用素子として設計、製造する種類は、所望の最大並列読出し数の高速撮影専用の撮像素子1種類だけで済むので、素子の設計や開発のコストをトータルとして抑えることができ、これにより、並列読出しによる高速撮像の機能を維持しながら、同時に、異なる撮像速度の複数種類の装置を従来よりも低い価格で市場に提供できる。したがって、ユーザは自分が必要とする撮像速度と価格に応じて高速度撮像装置を選択できる。また、過大な仕様とならない最適な撮像速度を得ることができ、強いては画像解析などの処理効率も向上させるという優れた効果がある。これらの利点は、1種類の撮像素子が異なる撮像速度の複数種類の高速度撮像装置に共通に使えるので、開発、設計を含めた製造コストの面で非常に有利であることに起因している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る高速度撮像装置の構成例を示す概略ブロック図。
【図2】第1の実施形態における素子構成を模式的に示す図。
【図3】ある並列読出し数に設定したときの並列読出し制御の概略を示すタイミングチャート。
【図4】並列読出しの過程を説明する図。
【図5】別の並列読出し数に設定したときの並列読出し制御の概略を示すタイミングチャート。
【図6】並列読出しの過程を説明する図。
【図7】第2の実施形態における素子構成を模式的に示す図。
【図8】第2の実施形態の変形例に係る素子構成を模式的に示す図。
【符号の説明】
11 エリアイメージセンサ
11b CCD撮像素子
12 駆動回路
12b 駆動信号発生器
13 処理回路
14 モニタ
15 スイッチ
21 受光部
22 垂直転送路
23 水平転送路
24 出力アンプ
Claims (6)
- 受光領域にライン方向および列方向の2次元に配列した複数の受光部が光信号を変換して蓄積した電荷を前記列方向に複数列で垂直転送し、この電荷を複数の出力部を介して並列に同時に読み出すように形成したCCD型撮像素子を備えた高速度撮像装置において、
前記複数の出力部を、複数列で垂直転送される前記電荷を前記ライン方向に読み出し可能な複数の水平転送路で形成するとともに、
前記複数の水平転送路の内の、製造時に指定された並列読出し数に対応した複数の水平転送路を介して前記電荷を並列に読み出す制御を前記撮像素子に行う読出し制御手段を備えた高速度撮像装置。 - 請求項1記載の発明において、
前記複数の水平転送路は前記受光領域の前記列方向の片側一方に形成してある高速度撮像装置。 - 請求項1記載の発明において、
前記撮像素子は、前記受光領域の前記列方向に分けた2領域に属する前記受光部の蓄積電荷を前記列方向の両側に分けて垂直転送する垂直転送路を備えるとともに、
前記複数の水平転送路は前記受光領域の前記列方向の両側に分けて形成してある高速度撮像装置。 - 請求項3記載の発明において、
前記垂直転送路は、外部からの信号に応じて前記蓄積電荷の転送方向を前記列方向にて双方向に変更可能に形成してある高速度撮像装置。 - 請求項1記載の発明において、
前記撮像素子は、インターライン・トランスファ型(IT型)のCCD型撮像素子である高速度撮像装置。 - 請求項1記載の発明において、
前記読出し制御手段は、前記複数の水平転送路の内の前記指定された並列読出し数に応じた複数の水平転送路それぞれに前記蓄積電荷が転送されるまで前記複数の受光部の蓄積電荷を垂直転送させる手段と、前記並列読出し数に応じた複数の水平転送路それぞれへの前記蓄積電荷の転送が完了したときに、この複数の水平転送路上の蓄積電荷を並列に画素単位で読み出す手段とを備える高速度撮像装置。
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