JP3900264B2 - 高圧噴射攪拌工法に使用する浮泥覆い部材、及び該浮泥覆い部材を備える水中地盤改良装置 - Google Patents

高圧噴射攪拌工法に使用する浮泥覆い部材、及び該浮泥覆い部材を備える水中地盤改良装置 Download PDF

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧噴射攪拌工法によるセメント系固化材スラリを用いた、水中での水底堆積浮泥を固化処理する技術に関し、特に、固化材スラリを高圧噴射する際の反力によるロッドのしなりを防止する浮泥覆い部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、河川等の水底に堆積する所謂ヘドロ層等の浮泥をセメント系固化材スラリにより固化処理する方法の一つとして、低圧噴射及び機械攪拌機構を有する水中地盤改良装置が知られている。その一例として、実開平6−74628号公報に開示されたものを、図8及び図9に示す。これらの図において、水中地盤改良装置1は、先端に攪拌翼2を設けた回転軸3を昇降自在に保持しており、この回転軸3は、駆動装置4により駆動されるようになっている。また、回転軸3には、汚染拡散防止装置5が摺動可能に取付けられている。図8から分かるように、汚染拡散防止装置5は、上面を閉じ、下面を開放した円筒体に形成され、この円筒体の側壁6に連なる頂壁7は、円錐台状のような傾斜面からなり、この傾斜面に複数個の水抜き孔8を設けた、所謂笠形状に構成されている。なお、図8において、参照符号9は、工事現場の水面Aに浮かべた船台、Bは水中堆積浮泥層、Cは地盤改良体である。
【0003】
次に、このような水中地盤改良装置1により水中堆積浮泥Bを固化処理する方法を簡単に説明する。所定深度まで回転軸3を下降させると、汚染拡散防止装置5が改良予定地盤の範囲内の水中堆積浮泥B上に着底し、その部分を蓋した形となる。そして、回転軸3のノズル(図示せず)から低圧で噴射される固化材スラリと堆積浮泥層Bとを攪拌翼2で攪拌し、浮泥の固化処理を行なうようになっている。この場合、堆積浮泥層Bが汚染拡散防止装置5により蓋されているので、攪拌翼2によって攪拌しても、浮泥が水中に舞い上がって拡散することがない。
【0004】
しかしながら、水中堆積浮泥層Bを固化処理する固化材スラリは、低圧で噴射されるため、広範囲に効率良く固化処理をするには、上述したような攪拌翼2を備える必要があり、水底深くに堆積した泥を攪拌するためには、かなり大きなトルクが必要になる。そのため、水中地盤改良装置1などの施工機械全体が大型化し、小さい河川、狭隘な場所、あるいは曲がりくねった現場条件の所には適さないという不都合が生じていた。
【0005】
そこでボーリングマシン等の小型の施工機械を使用する高圧噴射攪拌工法を適用することが考えられる。この高圧噴射攪拌工法は、ボーリングマシンに装着された単管ロッドの先端にノズルを設け、該ノズルからセメント系固化材スラリを高圧で噴射することによって、その高圧噴射エネルギで対象地盤を切削し固化材スラリと混合攪拌しながら、該ロッドを回転・引き抜きをすることで、円柱状の改良体を造成する工法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水底に堆積する浮泥を高圧噴射攪拌工法にて固化処理する際には、ロッド周面の土圧作用が小さく、ロッドを固定する支点位置がないために、先端部に設けられたノズルから噴射される固化材スラリの高圧噴射圧の運動エネルギにより、噴射方向とは反対向きにロッドがしなる(撓む)。
【0007】
この噴射回転時のロッドのしなり(撓み)の原因を詳述すると、次のように考えられる。すなわち、水底部分に堆積する浮泥は、せん断強さが非常に小さく、ロッドが貫入されていても水平方向の反力抵抗がとれない。そこで、水底改良部まで降ろされたロッドは、スピンドル部を固定端としたいわば片持梁状になっている。よって固化材スラリの噴射時に、ロッド先端における固化材スラリの噴射圧の運動エネルギーが、噴射とは反対方向に反力として作用することにより、しなり(撓み)が生ずる。
【0008】
このようにスピンドル部を固定端としてロッドがしなる(撓む)と、ロッドの先端が固定されない状態となって、ロッドの回転と共にその先端が円運動を描き、固化材スラリの噴射半径である地盤改良径(すなわち、地盤改良領域)が小さくなるという不都合が考えられる。
【0009】
また、水底堆積土の表層まで固化するべき浮泥の比重が小さいために、高圧噴射攪拌工法により混合攪拌するときに、浮泥が固化材スラリの噴射圧の運動エネルギーによりかき乱され、容易に水中で拡散してしまい、固化の対象物がなくなってしまうということも考えられる。
【0010】
さらに、特に水底付近の固化処理の際には、一般的な土中の固化処理と異なり、水中攪拌の上部より河川水が混入して、この河川水によって固化材スラリが希釈され、所定量の固化材スラリが添加されなくなる結果、固化強度が落ちるということも考えられる。
【0011】
従って、本発明は、上述した従来の技術の問題を解決するためになされたもので、水底に堆積する浮泥を高圧噴射攪拌工法で固化処理する際に、固化材スラリの高圧噴射圧によりロッドがしなることがなく、浮泥の水中拡散を防止し、そして、固化材スラリが希釈されることのない、高圧噴射攪拌工法に使用する浮泥覆い部材を提供することを主な目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明は、ロッドを貫入し、所定の深度になったら地盤硬化材を前記ロッドの先端側に配設されたノズルから高圧で噴射しつつ、該ロッドを回転・引き上げして、水底に堆積する浮泥及び河床部を固化処理する高圧噴射攪拌工法に使用する浮泥覆い部材であって、中心部に前記ロッドを嵌挿し得る開口部を有する円形状又は多角形状の頂壁部と、該頂壁部の外周に配設された鍔部と、前記地盤硬化材の高圧噴射エネルギの反力による前記ロッドのしなりを抑えるために、前記頂壁部の前記開口部から前記鍔部に向かって放射状に配設された少なくとも2個の土圧抵抗板と、を備えることを特徴としている。
【0013】
前記土圧抵抗板と前記鍔部とは、結合されているのが好ましい。また、該浮泥覆い部材は、少なくとも2個の分割体から構成されていることが望ましい。さらに、前記頂壁部を、前記開口部から前記鍔部に向かって下方に傾斜させることもできる。
【0014】
また、本発明の別の局面によると、先端側にノズルを備えるロッドと、該ロッドを回転及び上下動させる駆動装置とを備え、前記ロッドを水底に堆積する浮泥及び河床部貫入し、所定の深度になったら地盤硬化材を前記ノズルから高圧で噴射しつつ、該ロッドを回転・引き上げして、該水底に堆積する浮泥及び河床部を固化処理する水中地盤改良装置は、さらに、上記特徴を有する浮泥覆い部材を備えると共に、前記ロッドの先端部に、該浮泥覆い部材の落下防止用の突起部を設けてなることを特徴としている。
【0015】
【作用】
浮泥覆い部材に地盤硬化材の高圧噴射エネルギの反力による前記ロッドのしなりを抑えるために、開口部から鍔部に向かって放射状に配設された少なくとも2個の土圧抵抗板を配設することにより、地盤硬化材の高圧噴射エネルギの反力を土圧抵抗板によって受け持たせることができ、高圧噴射エネルギの反力の作用によっても片持梁的なしなり(撓み)を生ずることなくロッドが回転するので、地盤改良径(地盤改良領域)が小さくなることがない。
【0016】
また、土圧抵抗板と鍔部とが結合されていると、地盤硬化材の高圧噴射エネルギの反力を土圧抵抗板及び鍔部の両方で受け持つことができ、すなわち、より広い面積で浮泥層の反力抵抗を受け持つことができ、ロッドのしなりをより確実に防止することができる。
【0017】
さらに、浮泥覆い部材が少なくとも2個の分割体から構成されていると、ロッドへの着脱等の取扱いが容易になり、特に、地盤改良後に浮泥覆い部材を水中から引き上げる際に分割体毎に引き上げ可能となるため、水の抵抗が減り、容易に引き上げることができる。
【0018】
またさらに、頂壁部を、開口部から鍔部に向かって下方に傾斜させると、固化処理中に拡散して浮泥覆い部材に堆積した浮泥が容易に滑り落ち、引上げ作業がさらに容易になる。
【0019】
このような浮泥覆い部材を水中地盤改良装置に使用すると、上述したようなロッドのしなりを防止して、地盤改良半径が小さくなることがなくなる。また、高圧噴射攪拌工法により混合攪拌するときに、浮泥が地盤硬化材噴射圧の運動エネルギーによりかき乱され、水中に拡散してしまうという現象を防ぐことができる。さらに、水底付近の固化処理の際に、地盤硬化材が河川水により希釈され、所定量の固化材を添加できなくなって希釈されてしまうという現象も防ぐことができる。そのため、固化処理能率が高いと共に、信頼性の高い水中地盤改良装置が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照しながら説明するが、図中、同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。
図1は、本発明に係る浮泥覆い部材40を備える水中地盤改良装置10の概略を示す図である。水中地盤改良装置10としては、一般的なボーリングマシン等の小型の施工機械を使用することができる。簡単に概略を説明すると、水中地盤改良装置10は、駆動装置18により回転動及び上下動自在に駆動し得るスピンドル12を備えている。スピンドル12の下端部には、スピンドルチャック14が取付けられており、このチャック14にロッド30が装着される。このロッド30は、スイベル16を介して図示しない地盤硬化材超高圧ポンプなどに接続されている。そして、ロッド30の先端側に配設されたノズルから、例えば、地盤硬化材としてのセメント系固化材スラリが高圧で噴射されるようになっている。この高圧噴射システムは、よく知られている一般的な機構で、本明細書においては、その説明を省略する。なお、図1において、参照符号20は、水中地盤改良装置10を河川などの現場の台船に設置するための台部であり、Aは現場の水面、そしてBは水中堆積浮泥層である。
【0021】
次に、ロッド30と浮泥覆い部材40とを、図2及び図3を参照しながら詳述する。上述したように、水中地盤改良装置10のスピンドル12のチャック14に着脱自在に装着されるロッド30は、円筒状をしており、その先端は、浮泥や河床部へ挿入し易いように尖った形状をしている。また、ロッド30の先端側には、固化材スラリが高圧で噴射されるノズル32が配設されている。さらに、このノズル32の配設位置より上側の位置に、浮泥覆い部材40がロッド30から抜け落ちるのを防止するための突起部34がロッド30の周方向に所定間隔を開けて複数個設けられている。本実施形態においては、この突起部34は、4個設けられているが、落下防止の目的を達成できる限り、この数に制限されるものではない。また、突起部の大きさ形状も如何なるものでもよく、例えば、周方向に亙って配設された環状部材でもよいが、河床へ貫入させるためには、その抵抗が小さい形状が好ましい。なお、ロッド30の先端側のノズルは、図2に示すように、ロッドの先端部に直接配設しても良いし、あるいは、ロッド先端付近から水平方向に突設された腕木部の先端に配設しても良い。このように腕木部を介してロッドの中心軸より半径方向に離隔してノズルを配設することにより、地盤改良体の改良口径を大きくすることができる。
【0022】
浮泥覆い部材40は、中心部にロッド30を嵌挿し得る開口部46を有する円形状の頂壁部42と、この頂壁部42の外周に下方に向かって配設された鍔部44と、頂壁部42の開口部46から鍔部44に向かって放射状に配設された4個の土圧抵抗板48とを備えている。以下に、その内容を詳述する。
【0023】
頂壁部42に設けられた開口部46は、ロッド30が挿入でき、このロッド30の周りで自在に上下動できると共に、ロッド30に設けられた突起部34が抜け出ないような大きさになっている。また、頂壁部42の開口部46の周囲には、上方に向かって突出するロッド案内筒47が配設されている。頂壁部42には、その中央の開口部46から放射状外向きに、3個ずつ4列の空気抜き穴50が穿孔されている。この空気抜き穴50は、浮泥覆い部材40を水中に沈める際に、その内側に溜まっている空気を排出して、滑らかに下降できるようにするためのものである。そのため、浮泥覆い部材40が浮泥B(図1参照)に静かに着底できるため、浮泥の拡散を最小限に防止できる。また、この空気抜き穴50は、浮泥覆い部材40を引き上げる際の水抜き孔としても機能し、水中での昇降が容易となる。
【0024】
なお、浮泥覆い部材40の上側(表側)には、取扱いを便利にするための一対の取手52が設けられている。また、頂壁部42は、本実施形態においては円形状をしているが、地盤改良部位を実質的に覆うことができるのであれば、四角形状、五角形状などの多角形状にすることもできる。さらに、頂壁部42を、開口部46から鍔部44に向かって下方に傾斜させることもできる。そうすると、固化処理中に拡散して浮泥覆い部材に堆積した浮泥が容易に滑り落ち、引上げ作業がさらに容易になる。
【0025】
浮泥覆い部材40の外周に配設された鍔部44は、ロッド30のノズル32から噴射される高圧の固化材スラリによる浮泥層の拡散を防止するためのもので、頂壁部42から下方に向かって長ければ長いほど、拡散防止の効果は大きくなるが、あまり長いと浮泥覆い部材40の重量が重くなり、取扱いが不便になるので、適宜現場の使用状況に合わせてその長さを設計変更することができる。
【0026】
浮泥覆い部材40の土圧抵抗板48は、頂壁部42の開口部46から鍔部44に向かって放射状且つ対称に4個配設されている。また、土圧抵抗板48と鍔部44とは、それらの接触部50を溶接などの一般的な結合手段で結合されている。このような土圧抵抗板48を頂壁部42の下側(裏側)に配設することにより、ロッド30のノズル32から噴射される固化材スラリの高圧噴射エネルギの反力を土圧抵抗板48で受け持つことができ、ロッド30のしなりを抑えることができる。特に、土圧抵抗板48と鍔部44とが結合していると、固化材スラリの高圧噴射エネルギの反力を、より広い面積で受け持つことができ、ロッド30のしなりをより確実に抑えることができる。それゆえ、この反力の作用によっても片持梁的なしなり(撓み)を生ずることなくロッド30が回転するので、地盤改良径(地盤改良領域)が小さくなることがない。
【0027】
なお、土圧抵抗板48の中心側、すなわち開口部46側には、傾斜部56が設けられている。この傾斜部56は、取扱い上の利便性を考慮したもので、傾斜を設けることにより作業中に引掛けたりすることがなくなる。また、本実施形態においては、土圧抵抗板48を対称的に4個配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固化材スラリの高圧噴射エネルギの反力を受け持つことが可能であれば、例えば、2個以上あればよく、また、対称性を有していなくてもよい。
【0028】
次に、図4を参照しながら、本発明による地盤改良工程を簡単に説明する。水中地盤改良装置10のボーリングマシンの先端に、浮泥覆い部材40が挿入されたロッド30を取付け、これらを水中に沈める。浮泥覆い部材40は、水中堆積浮泥Bの上に着底し、ロッド30は、所定の深度まで河床内へ貫入する。その後、ロッド30の先端のノズルから固化材スラリを高圧で噴射させながら、ロッドを回転・引き抜きすることで、固化材スラリの高圧噴射エネルギで改良対象地盤を切削しながら固化材スラリと混合攪拌させて、固化処理を行ない、円柱状の地盤改良体を造成する(図4(a)及び(b)参照)。ここで、ロッド30を河床深くにまで貫入させた場合には、河床がある程度固まって堅くなっているため、ノズルから噴射される固化材スラリの高圧噴射エネルギの反力は、この河床で受け持つことができる。それゆえ、ロッド30がしなることはない。
【0029】
さらにロッド30の回転・引抜きを続け、ノズルからの固化材スラリの噴射位置が水中堆積浮泥層Bに近づいてくると、図4(c)に示す状態になる。この場合、もはや浮泥層自体では、固化材スラリの高圧噴射エネルギの反力を受け持つことができないが、浮泥覆い部材40によりその反力を受け持つことができ、ロッド30のしなりを抑えることができる。それゆえ、この反力の作用によっても片持梁的なしなり(撓み)を生ずることなくロッド30が回転するので、地盤改良径が小さくなることがない。なお、図5に示すように、この浮泥覆い部材40の径は、ロッド30のしなりを抑制することができるのであれば、地盤改良体Cの径よりも小さくすることもできる。すなわち、浮泥覆い部材40の径は、使用する場所の浮泥層や河床部の状態に応じて、設計変更し得るものである。
【0030】
なお、浮泥覆い部材40を設けることにより、高圧噴射攪拌工法により混合攪拌するときに、浮泥が固化材スラリの噴射圧の運動エネルギーによりかき乱され、水中に拡散してしまうという現象を防ぐことができる。また、水底付近の固化処理の際に、固化材スラリが河川水により希釈され、所定量の固化材を添加できなくなって希釈されてしまうという現象も防ぐことができる。
【0031】
次に、図6及び図7を用いて、本発明に係る浮泥覆い部材の別の実施形態を説明する。浮泥覆い部材60は、半径方向に分割された2個の半円形状の分割体62A及び62Bから構成されている。各々の分割体62A及び62Bには、その半円中心部に半円形の切欠部64が設けられており、図7に示すように、両者を結合させて浮泥覆い部材60を完成させた時に、ロッド挿入用の開口部68が形成されるようになっている。また、分割体62A及び62Bには、各々2個ずつ土圧抵抗板66が設けられている。なお、分割体62A及び62Bは、既知の結合手段70により容易に結合できるようになっている。
【0032】
このような分割体62A及び62Bからなる浮泥覆い部材60を使用すると、浮泥層に着底させた場合には、上述したような反力を受ける作用効果を有することができるだけでなく、この浮泥覆い部材60を地盤改良後に水中から引き上げる際に分割体毎に引き上げ可能となるため、水の抵抗が減り、容易に引き上げることができる。なお、本実施形態では、2分割した分割体から浮泥覆い部材を構成したが、90度角で4分割することも、あるいは120度角で3分割することもでき、現場の使用条件などに合わせて適宜設計変更することができる。
【0033】
【実施例】
次に、河川に堆積する浮泥を高圧噴射攪拌工法により固化する施工において、本発明に係る浮泥覆い部材を取り付けて施工した例を示す。
施工機械の仕様は、小型ボーリングマシンにφ40.5mmのロッドを装着し、ロッド先端には、ノズル径3.3mmのノズルを取り付けた。ロッドのスピンドル位置(支点/図1に示すチャック14の位置)から水底浮泥層までは、4.0mである。固化材スラリの噴射圧力は、p≒20MPaである。このような条件の下では、ロッド先端のしなり(撓み)は、固化材スラリの噴射に対する反力受けがないフリーな状態で計算上約40cmとなる。
【0034】
浮泥覆い部材の形状は、図2及び図3に示すとおりであり、頂壁部の径はφ1200cm、鍔部の幅は60mm、土圧抵抗板の幅は100mm、そして各板厚は約3mmの鉄板からなる。この浮泥覆い部材を用いた高圧噴射攪拌工では、土圧抵抗のない水底表層部50cm程度の浮泥層の改良部分においても、ロッドのしなり(撓み)がほとんどなく、浮泥の水中への拡散も僅かであった。施工後の水底付近の固化層高さ、固化強度も設計通りで、サウンディング試験による改良径確認ももほぼ設計通りであった。
【0035】
【発明の効果】
以上のような浮泥覆い部材を備えた高圧噴射攪拌施工機械により河床堆積浮泥を固化処理すれば、固化材スラリの噴射エネルギによりロッドがしなることがないので、改良径も設計通り確保でき、固化材スラリの混入した浮泥が水中に拡散する現象もほぼ抑えられ、固化材スラリと浮泥の混合部分が河川水による希釈により固化材添加量が少なくなって固化不良が起こることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る浮泥覆い部材を備える水中地盤改良装置を示す概要図である。
【図2】 ロッド及び浮泥覆い部材の概要を示す側面図である。
【図3】 図2に示した浮泥覆い部材の上部平面図である
【図4】 本発明に係る水中地盤改良装置を用いた地盤改良工程を示す説明図である。
【図5】 本発明に係る浮泥覆い部材と地盤改良体との関係を示す説明図である。
【図6】 本発明に係る浮泥覆い部材の別の実施形態を示す上部平面図である。
【図7】 図6に示す浮泥覆い部材の結合した状態を示す上部平面図である。
【図8】 従来型の低圧噴射及び機械攪拌機構を有する水中地盤改良装置を示す概要図である。
【図9】 図8の水中地盤改良装置に使用される汚染拡散防止装置の拡大斜視図である。
【符号の説明】
10…水中地盤改良装置、12…スピンドル、14…チャック、16…スイベル、18…駆動装置、20…台部、30…ロッド、32…ノズル、34…突起部、40…浮泥覆い部材、42…頂壁部、44…鍔部、46…開口部、48…土圧抵抗板、50…空気抜き孔、52…取手、54…接触部、56…傾斜部、60…浮泥覆い部材、62A,62B…分割体、64…切欠部、666…土圧抵抗板、68…開口部、A…水面、B…水中堆積浮泥層、C…地盤改良体。

Claims (5)

  1. ロッドを貫入し、所定の深度になったら地盤硬化材を前記ロッドの先端側に配設されたノズルから高圧で噴射しつつ、該ロッドを回転・引き上げして、水底に堆積する浮泥及び河床部を固化処理する高圧噴射攪拌工法に使用する浮泥覆い部材であって、
    中心部に前記ロッドを嵌挿し得る開口部を有する円形状又は多角形状の頂壁部と、
    該頂壁部の外周に配設された鍔部と、
    前記地盤硬化材の高圧噴射エネルギの反力による前記ロッドのしなりを抑えるために、前記頂壁部の前記開口部から前記鍔部に向かって放射状に配設された少なくとも2個の土圧抵抗板と、を備える浮泥覆い部材。
  2. 前記土圧抵抗板と前記鍔部とは、結合されている請求項1に記載の浮泥覆い部材。
  3. 該浮泥覆い部材は、少なくとも2個の分割体から構成されている請求項1または2に記載の浮泥覆い部材。
  4. 前記頂壁部は、前記開口部から前記鍔部に向かって下方に傾斜している請求項1乃至3の内のいずれか1項に記載の浮泥覆い部材。
  5. 先端側にノズルを備えるロッドと、該ロッドを回転及び上下動させる駆動装置とを備え、前記ロッドを水底に堆積する浮泥及び河床部貫入し、所定の深度になったら地盤硬化材を前記ノズルから高圧で噴射しつつ、該ロッドを回転・引き上げして、該水底に堆積する浮泥及び河床部を固化処理する水中地盤改良装置において、
    さらに、請求項1乃至4の内のいずれか1項に記載の浮泥覆い部材を備えると共に、
    前記ロッドの先端部に、該浮泥覆い部材の落下防止用の突起部を設けてなる水中地盤改良装置。
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