JP3900258B2 - エポキシアクリレート化合物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なエポキシアクリレート化合物に関し、さらに該化合物を含有する硬化性樹脂組成物ならびにそれらの硬化物に関する。本発明のエポキシアクリレート化合物は、それ自体を重合させることによってまたは他の不飽和化合物と共重合させることによって、耐熱性および誘電特性に優れた高分子材料を得ることができるものである。また、本発明のエポキシアクリレート化合物は、光重合開始剤と組み合わせることによって、感光性樹脂組成物とすることもでき、かかる感光性樹脂組成物は、レジスト用樹脂、液晶表示パネルの封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、UV塗料、各種コーティング剤、接着剤等の広範な用途に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシアクリレート化合物は、感光材料、光学材料、歯科材料、電子材料、各種高分子の架橋剤など、種々の機能性高分子材料の原料として幅広く用いられている。しかしながら、近年これらの応用分野における要求性能の高度化に伴い、機能性高分子材料として求められる物性はますます厳しくなってきている。かかる物性として、例えば、耐熱性、耐候性、低吸水性、高屈折率、高破壊靭性、低誘電率、低誘電正接等が求められているが、これまでのところ、これらの要求物性は必ずしも満足されてきたわけではない。例えば、プリント配線板製造においては、永久マスクとして使用されるフォトソルダーレジストに用いることが知られている。このようなレジスト材料としては、特開昭61-243869号公報に開示されているようなノボラック型エポキシアクリレート化合物や、特開平3-205417号公報に開示されているようなビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート化合物、あるいはこれらエポキシアクリレート化合物の酸変性物などがある。プリント配線基板用途においては、半田浴浸漬に対する耐熱性が要求され、耐熱性が不十分であると、レジスト膜の膨れ、剥離が起こり、不良品発生の原因となる。近年においては、上記耐熱性に加えて、伝送信号の高速化に伴い高周波(ギガヘルツ帯)の利用のために、時間遅延を小さくする低誘電率化、そして損失を小さくする低誘電正接化が望まれているが、従来のエポキシアクリレート化合物では高周波に対応する誘電特性が十分ではなかった。そのため、上記要求を満たす新規なエポキシアクリレート化合物が望まれていた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐熱性を有し、低誘電率、低誘電正接である新規なエポキシアクリレート化合物および硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、PPEの優れた誘電特性・耐熱性を引継いだ2官能性PPEオリゴマー(特願2001-196569)および末端に熱硬化性官能基を導入した化合物を合成した(特願2001-353194)。これを更に、ラジカル重合可能な樹脂にするために鋭意検討を重ねた結果、構造式(1)で示され、-(O-X-O)-が構造式(2)であり、-(Y-O)-が構造式(3)で定義される 2官能PPEのオリゴマー体の末端をラジカル重合可能な(メタ)アクリレート基に変換することで、目的を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1)に表されるエポキシアクリレート化合物に関する。
【0005】
【化6】
【化7】
【化8】
【0006】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、R2,R3,R4,R8,R9は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。R5,R6,R7は、同一または異なってもよく、水素原子または炭素数6以下のアルキル基である。-(Y-O)-は構造式(3)で定義される1種類の構造である。R10,R11は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。 a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜300の整数を示す。nは0から10の整数を示す。)
【0007】
さらに本発明は前記一般式(1)で表されるエポキシアクリレート化合物をさらにカルボン酸またはその無水物と反応させて得られる酸変性エポキシアクリレート化合物にに関するものである。また、前記エポキシアクリレート化合物および/または酸変性エポキシアクリレート化合物を含有する硬化性樹脂組成物に関し、さらには組成物を硬化してなる硬化物に関する。
【0008】
【発明実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。一般式(1)で表される化合物において、R1は水素原子またはメチル基である。-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、R2,R3,R4,R8,R9は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。R5,R6,R7は、同一または異なってもよく、水素原子または炭素数6以下のアルキル基である。-(Y-O)-は構造式(3)で定義される1種類の構造である。R10,R11は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。 a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜300の整数を示す。nは0から10の整数を示す。これらのなかでも好ましくは、R2,R3,R4 ,R8,R9は炭素数3以下のアルキル基、R5,R6,R7は水素原子または炭素数3以下のアルキル基、R10,R11は炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくは、R2,R3,R4,R8,R9はメチル基、R5,R6,R7は水素原子またはメチル基、R10,R11はメチル基である。
【0009】
一般式(1)で表されるエポキシアクリレート化合物は、反応それ自体は公知の方法、例えば、特公昭44-31472、特公昭45-1465に記載の方法に従って、好適に製造される。すなわち代表的には、例えば、一般式(7)で表されるエポキシ化合物とアクリル酸、メタクリル酸または両者の混合物とを反応させることによって得ることができる。一般式(7)で表されるエポキシ化合物は、例えば、特願2001-353194に記載の方法で製造される。
【0010】
【化9】
【0009】
【化10】
【化11】
【0010】
(式中、-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、R2,R3,R4,R8,R9は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。R5,R6,R7は、同一または異なってもよく、水素原子または炭素数6以下のアルキル基である。-(Y-O)-は構造式(3)で定義される1種類の構造である。R10,R11は、同一で炭素数6以下のアルキル基である。 a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜300の整数を示す。nは0から10の整数を示す。)
【0011】
本発明の一般式(1)で表されるエポキシアクリレート化合物を製造する際に、一般式(7)で表されるエポキシ樹脂に対するアクリル酸、メタクリル酸または両者の混合物の使用量は、特に制限されることはないが、好ましくは、該エポキシ化合物組成物のエポキシ基の1化学当量に対してアクリル酸、メタクリル酸または両者の混合物を0.1〜5化学当量であり、より好ましくは、0.3〜3化学当量である。
【0012】
反応の際、希釈剤を添加することは好ましい。該希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族化合物等を挙げることができる。
【0013】
更に、反応を促進させる目的で、触媒を用いることは好ましい。好ましい触媒の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリ-n-ブチルアミン等のアミン類、テトラメチルアンムニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、または第四級ホスホニウム塩、その他トリフェニルホスフィン等のホスフィン類や、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類をあげることができる。該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは、0.1〜10重量%、より好ましくは、0.2〜3重量%である。また、反応中の重合を防止するために、重合禁止剤を使用することは好ましいことである。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4-メチルキノリン、フェノチアジン等が挙げられる。更に、不飽和結合による重合反応を抑制するために、場合によっては、空気等の気流下で反応を行うこともできる。また、その際に空気による酸化反応を防止するために2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等の酸化防止剤を併用してもよい。
【0014】
反応温度は、触媒により異なるが、一般式(7)で表されるエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸との反応が進行し、かつ原料、反応中間体および生成物の熱重合が起こらない温度が好ましく、より好ましくは、60℃〜150℃であり、特に好ましくは70℃〜130℃である。反応時間は反応温度にも依存するが、好ましくは1〜15時間である。反応終了後は、余剰の(メタ)アクリル酸、希釈剤等を留去等の方法で除去しても良いし、これらを除去することなく使用しても差し支えない。
【0015】
次に本発明の酸変性エポキシアクリレート化合物について説明する。本発明の酸変性エポキシアクリレート化合物は、一般式(7)で表されるエポキシ樹脂と、アクリル酸、メタクリル酸または両者の混合物とから得られる上記エポキシアクリレート化合物を、カルボン酸またはその無水物と反応させることにより製造される。該カルボン酸は、1価または多価カルボン酸であり、好ましくは、1価または多価脂肪族カルボン酸、あるいは1価または多価芳香族カルボン酸である。
【0016】
該カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルナジック酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、4,4’-オキシジフタル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等およびこれらの酸無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのカルボン酸またはその無水物の使用量は、前記エポキシアクリレート化合物中の水酸基1化学当量に対し、0.01〜1.2化学当量であり、好ましくは0.05〜1化学当量である。
【0017】
また、反応の際に、所望に応じて各種公知のエステル化触媒、上述の希釈剤等をさらに添加してもよい。反応温度は特に制限はないが、原料のエポキシアクリレート化合物等が熱重合しない温度が好ましく、好ましくは60℃〜130℃である。反応時間は、反応温度にも依存するが、好ましくは1〜80時間である。
【0018】
本発明の酸変性エポキシアクリレート化合物は、反応後、蒸留等の公知の方法により分離できる。なお、本発明の酸変性エポキシアクリレート化合物は、分子内にエポキシ基を含有していてもよい。すなわち、上述したように、エポキシ化合物に対する、アクリル酸、メタクリル酸または両者の混合物の使用量を前記の範囲内で所望の量に調整することにより、得られるエポキシアクリレート化合物中に未反応のエポキシ基を残存させ、これをさらに酸変性することにより、エポキシ基を含有する酸変性エポキシアクリレート化合物が得られるものである。酸変性エポキシアクリレートの酸価は必要に応じて適当に調整することが可能であるが、好ましくは20〜200mgKOH/gであり、より好ましくは、30〜150mgKOH/gである。
【0019】
次に、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。該硬化性樹脂組成物は、上述した本発明のエポキシアクリレート化合物および/または酸変性エポキシアクリレート化合物を含有することを特徴とするものであり、公知のエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、エチレン性不飽和基を有する化合物、光および/または熱重合開始剤、光増感剤等を添加することも可能である。本発明のエポキシアクリレート化合物、酸変性エポキシアクリレート化合物としては、前記反応生成物をそのまま利用することもできる。
【0020】
エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0021】
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン、等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3’-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、OXT-101(東亞合成製商品名)、OXT-121(東亞合成製商品名)等が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0022】
本発明の硬化性樹脂組成物にエポキシ樹脂および/またはオキセタン樹脂を使用する場合にはエポキシ樹脂硬化剤および/またはオキセタン樹脂硬化剤を使用することができる。該エポキシ樹脂硬化剤としては、一般に公知のものが使用でき、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、ホスフィン系はホスホニウム系のリン化合物を挙げることができる。該オキセタン樹脂硬化剤としては公知のカチオン重合開始剤が使用できる。例えば、市販のものではサンエードSI-60L、サンエードSI-80L、サンエードSI-100L(三新化学工業製)、CI-2064(日本曹達製)、イルガキュア261(チバスペシャリティーケミカル製)、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーSP-150(旭電化製)、サイラキュアーUVI-6990(UCC製)等が挙げられる。カチオン重合開始剤はエポキシ樹脂硬化剤としても使用できる。これらの硬化剤は1種あるいは2種以上組み合わせて使用される。
【0023】
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価または多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート類が挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を有する化合物は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0024】
光重合開始剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ベンジル、ジアセチル等のα-ジケトン類、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、β-メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(-4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等のアミノアセトフェノン類が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上組み合わせて使用される。
【0025】
さらに、これらの光重合開始剤と公知の光増感剤の1種または2種以上を組み合わせて使用できる。該光重合開始剤としては、例えば、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。
【0026】
熱重合開始剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート等の過酸化物、およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
【0027】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物を製造する際には、必要に応じて、無機充填剤、着色顔料、消泡剤、表面調整剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、流動調整剤等の公知の添加剤を添加することができる。無機充填剤としては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、アエロジル、アルミナ、タルク、天然マイカ、合成マイカ、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、E-ガラス、A-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20等が挙げられる。このようにして得られた硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジスト組成物、ビルドアップ配線板材料、絶縁塗料、接着剤、印刷インキ、コーティング剤等の各種用途に有用である。
【0028】
本発明の硬化物は、前述の方法で得られた本発明の硬化性樹脂組成物を、公知の方法、例えば、電子線、紫外線および熱による硬化方法に従って硬化することにより得られる。紫外線を用いて硬化を行う場合、紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプあるいはメタルハライドランプ等が使用できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。なお、数平均分子量および重量平均分子量の測定にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
【0030】
実施例1
2官能PPEオリゴマー体の合成
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール43.2g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、樹脂イを96.7g得た。樹脂イの数平均分子量は810、重量平均分子量1105、水酸基当量が475であった。
【0031】
エポキシ体の合成
撹拌装置、温度計、滴下漏斗のついた反応器を100℃まで加熱し、樹脂イ50g(水酸基0.11mol)とエピクロロヒドリン292gを仕込んだ。その後、あらかじめエタノール30gにナトリウムエトキシド8.6g(0.13mol)を溶解した溶液を滴下漏斗から、60分かけて滴下し、さらに滴下終了後5時間の撹拌を行った。その後、0.1Nの塩酸水溶液で3回洗浄とイオン交換水での水洗さらにはろ過を行い、生成塩と不純物を除去した。得られた溶液から過剰のエピクロロヒドリンを留去し、さらに減圧乾燥を行い、樹脂ロを53.2g得た。樹脂ロは、IRの分析によりフェノール性水酸基の吸収ピーク(3600cm-1)の消滅と、さらにNMRの分析によりグリシジルエーテル由来のピークの発現から、100%の官能基変換を確認した。樹脂ロの数平均分子量は965、重量平均分子量は1213、エポキシ当量は543であった。
【0032】
エポキシアクリレート体の合成
攪拌装置、温度計、還流管のついた反応器に樹脂ロ25g、アクリル酸3.3g、カルビトールアセテート20g、トリフェニルホスフィン0.13g、ハイドロキノンメチルエーテル13mgを仕込んだ。これを120℃に加熱、攪拌しながら反応させた。反応中、酸価測定を行い、酸価2mgKOH/gとなるまで反応を行った。120℃での攪拌時間は5時間であった。反応液をメチルエチルケトン40gで希釈し、メタノール中に滴下して再沈殿を行い、ろ過して固体を回収、減圧乾燥して樹脂ハを25.2g得た。樹脂ハの数平均分子量は1375、重量平均分子量は1656であった。
【0033】
実施例2
樹脂ハ10gを150℃で溶融、脱気、成形し、200℃6時間硬化を行い、硬化物ニを得た。
【0034】
実施例3
樹脂ハ6gをカルビトールアセテート4gに溶解し、ダロキュア1173(チバスペシャリティケミカルズ製、光重合開始剤)0.6gを添加した樹脂組成物ホをスクリーン印刷機で銅張積層板上に塗布し、送風乾燥機で80℃30分乾燥した後、パターンフィルムを当て、UV照射装置(アイグラフィックス製:UB0151、光源:メタルハライドランプ)を用いて2000mJ露光した。露光後、メチルエチルケトンで現像したところ、未露光部のみがメチルエチルケトンに溶解し樹脂硬化物ヘの現像パターンが得られた。樹脂硬化物ヘの鉛筆引っかき値(JIS K5400)はHBであった。
【0035】
実施例4
酸変性エポキシアクリレート体の合成
攪拌装置、温度計、還流管のついた反応器に樹脂ハ10g、カルビトールアセテート7g、テトラヒドロ無水フタル酸2.5gを仕込んだ。これを80℃に加熱、攪拌しながら反応させ8時間後にIR測定で無水酸由来のピークが消失したことを確認して反応終了とし、樹脂トを得た。樹脂トの酸価は81mgKOH/gであった。数平均分子量は1769、重量平均分子量は2111であった。
【0036】
実施例5
樹脂ト10gにダロキュア1173(チバスペシャリティケミカルズ製、光重合開始剤)1gを添加した樹脂組成物チをスクリーン印刷機で銅張積層板上に塗布し、送風乾燥機で80℃30分乾燥した後、パターンフィルムを当て、UV照射装置(アイグラフィックス製:UB0151、光源:メタルハライドランプ)を用いて2000mJ露光した。露光後、1%水酸化ナトリウム水溶液で現像したところ、未露光部のみが水酸化ナトリウム水溶液に溶解し樹脂硬化物リの現像パターンが得られた。樹脂硬化物リの鉛筆引っかき値(JIS K5400)はHBであった。
【0037】
(比較例1)
テトラメチルビスフェノールジグリシジルエーテル(YX4000:油化シェル製:エポキシ当量190)38gとアクリル酸14.4gを60℃で溶解させた後、トリフェニルホスフィン0.19gとハイドロキノンメチルエーテル19mgを添加し、100℃に加熱して10時間攪拌した。反応中酸価を測定し、酸価2mgKOH/gとなった後、60℃まで冷却し、樹脂ヌを得た。樹脂ヌは60℃で粘稠な液体であった。
【0038】
比較例2
樹脂ヌ10gを120℃で溶融、脱気、成形し、200℃6時間硬化を行い、硬化物ルを得た。
【0039】
比較例3
ビスフェノールA型エポキシアクリレート(SP1509:昭和高分子製)10gを120℃で脱気、成形し、200℃6時間硬化を行い、硬化物ヲを得た。
【0040】
比較例4
ノボラック型エポキシアクリレート(SP4010:昭和高分子製)10gを120℃で脱気、成形し、200℃6時間硬化を行い、硬化物ワを得た。
【0041】
実施例2および比較例2、3、4で得られた硬化物の特性を以下の方法により評価した。
ガラス転移温度(Tg):動的粘弾性測定(DMA)により求めた。振動周波数10Hzで測定を行った。
誘電率、誘電正接:空洞共振摂動法により求めた。
【0042】
以上の物性の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明のエポキシアクリレート化合物は、高いガラス転移温度を有し、低誘電率、低誘電正接であることから高機能性高分子材料として極めて有用であり、熱的、電気的に優れた材料として各種コーティング剤、UV塗料、接着剤、レジスト、積層板などの幅広い用途に使用することができる。
Claims (5)
- 請求項1または請求項2記載のエポキシアクリレート化合物とカルボン酸あるいはカルボン酸無水物とを反応させてなる酸変性エポキシアクリレート化合物
- 請求項1または請求項2記載のエポキシアクリレート化合物および/または請求項3記載の酸変性エポキシアクリレート化合物を含有する硬化性樹脂組成物
- 請求項4記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物
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