JP3899819B2 - 本 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気的に監視するシステムに対応した不正持ち出し防止対応及び非接触IC記憶媒体を設けたの本(冊子、雑誌、書籍、カタログ等を含む)及管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術は、商品に磁性材料を取り付け、その商品を不正(代金を払わないで持ち出す)に持ち出したとき、ある周波数の交番磁場をゲート状の送信と受信アンテナ間に向けて放射し、該アンテナ間に尋問磁場が形成されており、この尋問磁場内に不正持ち出しの商品が通過すると、前記磁性材料から複数の高周波群を含む多数のパルスが発生し、これを受信アンテナを通してコントロール装置に導き、アラーム発生や出入り口を閉鎖する等のシステムが知られている。
前記磁性材料は活性層と呼ばれる高い透磁率/低い保磁力を有する磁気層と、失活層と呼ばれる中程度の透磁率/高い保磁力を有する層の二重構造になっており、正規に購入した場合は、レジで失活層が磁化され前記磁性材料から複数の高周波群を含む多数のパルスは発生しない。これによって不正持ち出しを防止している。
【0003】
前記磁性材料を商品に取り付ける方法は、図12に示すように、薄板状部材の間に磁性材料6を保持したラベル本体20の下面に粘着剤層19を介して剥離紙21が設けられたラベルを用いるものが知られている。これは商品に剥離紙を剥がして貼着するものである。商品にラベル等を貼着するのは、目立つし見えにくい場所に貼着するには手間もばかにならないという問題がある。
また、本に限ると本が出来上がってから磁性材料を取り付ける方法は提案されているが、効率がわるいので書店等では広く行われていない。
上記のようなラベルを作成すると数十円の単価になり、安価な商品では使用しにくいという問題もある。また、非接触IC記憶媒体とラベルを組み合わせたPOSシステムは公知である。しかし、磁性材料6と非接触IC記憶媒体を一緒に設けたものは公知ではない。
【0004】
また、本には売り上げを管理するために、売り上げ伝票がついており、追加注文等に使用されている。この売り上げ伝票は印刷し、本の頁の間に挟むという手間も大変である。文庫本等は製本ラインにおいてインラインで入れる装置もあるが上製本等ではまだ手作業で行われている。
また、本は再販売制度対象品目であり、現在の主な流通形態では取り次ぎ業者が各書店に本を配送し、書店は本が売れた場合マージンを受け取り、売れ残った本は出版社が引き取ることが行われている。ここで売れ残りということで書店から出版社に戻る本の中に一度販売された本が混入してくるという問題があり、現状の管理方法ではチェックできないという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決すべく、磁性材料及び非接触IC記憶媒体が目立たず、不正持ち出し防止対応を施した本及び管理方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、本文頁と表紙を接着剤で綴じ合わせた本において、表紙の背の内側に接着剤又は粘着剤と、高い透磁率/低い保磁力を有する第一の磁気部分及び中程度の透磁率/高い保磁力を有する第二の磁気部分の二重構造からなる磁性材料、及び非接触IC記憶媒体を粘着テープに予めセットした状態で設けたことを特徴とする本である。
このような構成としたので、本の外観からでは前記磁性材料や非接触IC記憶媒体を設けてあることが判別できず、盗難防止作用を付加できると同時に非接触IC記憶媒体からデータを呼出したり、書き込んだりしてコンピュータで管理可能となる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記二重構造からなる磁性材料が、第一の磁気部分からなる針金に第二の磁気部分を設けた二重構造からなる磁性材料である請求項1記載の本である。
このような構成としたので、上記の作用効果に加えて本の背のような細長いスペースに容易に設けることができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記二重構造からなる磁性材料が、第一の磁気部分からなる薄板状物に第二の磁気部分からなるメッシュ状の薄板状物を貼着した二重構造からなる磁性材料である請求項1記載の本である。
このような構成としたので、上記の作用効果に加えて本の背のような動きのある部分でも薄くフレキシブルにすることが可能になる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つの本において、前記非接触IC記憶媒体に、少なくとも本の題名,値段等の管理データと売れたかどうかを識別可能な手段を設け、レジで支払い時にICリーダライタで読込及び書き込みと共に、前記第二の磁気部分に着磁処理を行うことを特徴とする管理方法である。
このような構成としたので、上記の作用効果に加えて、売り上げ伝票をなくすことができ、また、本が一度販売されたかどうか確認でき不正な返本等をなくすことが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の本1の一実施の形態の説明図である。2は本文頁、3は表紙、4は背、5は接着剤、6は磁性材料、8は非接触IC記憶媒体である。磁性材料6と非接触IC記憶媒体8は表紙の内側に設けられており、本来は見えないものである。
この本1はいわゆる無線綴じ本であるが、平綴じ本、網代綴じ本、上製本等表紙を本文頁2と接着剤5を用いて製本するタイプであれば実施可能である。
また、磁性材料6と非接触IC記憶媒体8は天地方向に設けてあるが、サイズ的に入れば左右方向に設けることもできる。場合によっては重ねることもあり得る。
【0010】
図2は図1のA−A断面説明図である。5は接着剤であり通常ホットメルトタイプが用いられる。7は接着剤又は粘着剤であり製造工程で磁性材料6を一時的に保持できればよい。これは表紙3の内側に接着剤又は粘着剤7で固定してから本文頁2に接着剤5で貼着したからである。本文頁2に接着剤又は粘着剤7で固定してから磁性材料6を表紙3を貼着する場合は、接着剤又は粘着剤7は図で磁性材料6の左側になる。また、磁性材料6と非接触IC記憶媒体7を粘着テープ等に設けたものを用いて表紙3の背4の内側又は本文頁の背部に貼着する場合はテープ自体が入ってくるが接着剤5で貼着するので問題ない。
【0011】
図3は図1のB−B断面説明図である。図2の説明と同様になる。非接触IC記憶媒体8は大きめに図示したが実際はもっと小型化してきている。出来るだけサイズの小型のものを用いた方が望ましい。
【0012】
図4は本発明に用いる磁性材料6の一実施の形態を示す拡大説明図である。
9は第一の磁気部分、10は第二の磁気部分である。第一の磁気部分9は高い透磁率/低い保磁力を有する。例として、保磁力は約0.1〜1.0エルステッドで材料としては、Si濃度6〜7wt%のFe−Si系、Fe−Cr−Co−Ni−Mo系、Co−Si−Mn−Fe系等が使用できる。また、上記に他の金属を含有してもよい。第二の磁気部分10は中程度の透磁率/高い保磁力を有する。例として、保持力は約10〜1000エルステッドで材料としては、Fe−Co−Mn−Si系、Fe−Co−V系、Fe−Co−Ni系、Fe−Ni系、Fe−Cr−Co系、Cu−Ni−Fe系、Cu−Ni−Co系、Pt−Co系等が使用できる。また、上記に他の金属を含有してもよい。
また、金属をアモルファスの形のものとしてもよい。
【0013】
このようにすることにより、出入り口にゲートを設け、ある周波数の交番磁場を一方のゲート(送信側)から他方のゲート(受信側)に放射し、該ゲート間に尋問磁場を形成しておき、この尋問磁場内に本発明の無線綴じ本を通過させるとバルクハウゼン効果により信号が検出され、レジを通らずに持ち出そうとするのを防止できる。前記磁性材料6にレジで磁気処理を行い第二の磁気部分10を磁化することにより、前記バルクハウゼン効果が起きないように失活できる。
【0014】
図5は、本発明に用いる磁性材料6の別の実施の形態を示す拡大説明図である。薄いフィルム状の第一の磁性部分9と小孔が開いたメッシュ状で薄いフィルム状の第二の磁性部分10を貼着したものである。図は貼着前の状態を示している。
【0015】
図6は、粘着テープ22に磁性材料6と非接触IC記憶媒体8を予めセットした状態を示す説明図である。(イ)は図4のタイプの磁性材料6と非接触IC記憶媒体8の組み合わせで、(ロ)は図5のタイプの磁性材料6と非接触IC記憶媒体8の組み合わせである。このテープ22を表紙3の背4の内側あるいは本文頁2の背に貼着するものである。
【0016】
図7は、無線綴じ製本機の表紙貼着の説明図である。本文頁2が各折丁ホッパーから供給され、積み重ねられたものを折丁保持部11で把持し、背を切断されガリ処理(糊が付きやすいように凹凸を付ける)され接着剤5を塗布され、これに表紙3の背4を貼着する。この後、三方断裁等必要に応じて行われる。
図8は表紙フィーダー12から搬送ベルト13で挟まれて表紙3が送られる状態の説明図である。この表紙フィーダー12から表紙3が送られ本文頁に貼着される間で、表紙3の内側の背4に磁性材料6及び非接触IC記憶媒体8を貼着する。
【0017】
図9は磁性材料貼着装置の説明図である。3は表紙、7は接着剤又は粘着剤、14は針金供給装置、15は糊付装置、18はカッター装置、16はガイド、17はコロである。針金状に巻き取った磁性材料6を供給し、表紙フィーダー12より送り出された表紙3の内側の背に、本文頁と貼り合わせる途中で貼着するものである。
表紙3が送られてくるスピードに同期をとり、糊付装置15より接着剤又は粘着剤7を供給し、その接着剤又は粘着剤7の供給部分がくるのにタイミングを合わせて、針金状の磁性材料6をガイド16とコロ17により送り出し、カッター装置18で前記針金状の磁性材料6をカットして貼着する。この後、図示してない非接触IC記憶媒体8を貼着することが可能である。非接触IC記憶媒体8の貼着は磁性材料6を貼着する前でもよい。
【0018】
図10は図9の装置で磁性材料6を貼着し、その後非接触IC記憶媒体8を貼着した状態を示す説明図である。この後、図7のように貼着される。そして図1の無線綴じ本は完成する。
【0019】
図11は本発明の本の管理方法に用いる装置の一実施の形態を示す説明図である。1は本、30は入力装置、31は中央処理装置、32は記憶装置、33はICリーダライタ、34は着磁機である。入力装置30はキーボード、マウス、スキャナ、光学・磁気等の記録媒体リーダ等である。中央演算処理装置31及び記憶装置32は市販のコンピュータが使用できる。リーダライタ33は本1の非接触IC記憶媒体のデータを読み取ると共に非接触IC記憶媒体に売れたというデータを記録する。このデータを後で読み取ることにより、返本時に、一度販売された本が混入しているかどうかチェック可能となる。
非接触IC記憶媒体のデータは売り上げ伝票の代わりとなるデータ(本の題名、値段)が最低必要であり、必要に応じて作者、分類等書き込めばよい。
売れたかどうか識別可能手段とは、非接触IC記憶媒体に何らかのチェック、マーク・記号、文字等を書き込む他に、レジを通ったことが分かればよいので、着磁機34で磁性材料6の第二の磁気部分を着磁するときに、非接触IC記憶媒体のデータが破壊されることで判別できればそれでもよい。
出力機35はCRT、プリンター等市販の機器が使用できる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、本の外観からでは前記磁性材料や非接触IC記憶媒体を設けてあることが判別できず、盗難防止作用を付加できると同時に非接触IC記憶媒体からデータを呼出したり、書き込んだりしてコンピュータで管理可能となる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、上記の作用効果に加えて本の背のような細長いスペースに容易に設けることができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、上記の作用効果に加えて本の背のような動きのある部分でも薄くフレキシブルにすることが可能になる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、上記の作用効果に加えて、売り上げ伝票をなくすことができ、また、本が一度販売されたかどうか確認でき不正な返本等をなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す本の説明図である。
【図2】図1のA−A断面説明図である。
【図3】図1のB−B断面説明図である。
【図4】本発明に用いる磁性材料の説明図である。
【図5】本発明に用いる別の磁性材料の説明図である。
【図6】粘着テープに磁性材料と非接触IC記憶媒体を設けた状態(イ),(ロ)を示す説明図である。
【図7】無線綴じ製本機の本文頁と表紙を貼着する部分の説明図である。
【図8】表紙フィーダーから表紙を送り出す部分の説明図である。
【図9】本発明の本の製造に用いる磁性材料貼着装置の例を示す説明図である。
【図10】図9で磁性材料を貼着し、その後非接触IC記憶媒体を貼着した状態を示す説明図である。
【図11】本発明の管理装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図12】従来技術の磁性材料を商品に取り付けるラベルの断面説明図である。
【符号の説明】
1…本 2…本文頁 3…表紙 4…背 5…接着剤 6…磁性材料 7…接着剤又は粘着剤 8…非接触IC記憶媒体 9…第一の磁気部分 10…第二の磁気部分 11…折丁保持部 12…表紙フィーダー 13…搬送ベルト 14…針金供給装置 15…糊付装置 16…ガイド 17…コロ 18…カッター装置 19…粘着剤層 20…ラベル本体 21…剥離紙 22…粘着テープ
Claims (3)
- 本文頁と表紙を接着剤で綴じ合わせた本において、表紙の背の内側に接着剤又は粘着剤と、高い透磁率/低い保磁力を有する第一の磁気部分及び中程度の透磁率/高い保磁力を有する第二の磁気部分の二重構造からなる磁性材料、及び非接触IC記憶媒体を粘着テープに予めセットした状態で設けたことを特徴とする本。
- 前記二重構造からなる磁性材料が、第一の磁気部分からなる針金に第二の磁気部分を設けた二重構造からなる磁性材料である請求項1記載の本。
- 前記二重構造からなる磁性材料が、第一の磁気部分からなる薄板状物に第二の磁気部分からなるメッシュ状の薄板状物を貼着した二重構造からなる磁性材料である請求項1記載の本。
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