JP3899618B2 - 残響制御装置及び残響制御設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば演劇やコンサート等を目的とした各種ホール内に設置されてホール内を伝搬する音波を減衰させて吸収し、残響を制御する残響制御装置及び残響制御設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
劇場や音楽ホール等といった各種ホールでは、従来から、演目や用途に応じて適切な残響を得るために、各種残響制御装置や残響制御設備が設置されている。ここで、従来から設置されている残響制御装置や残響制御設備は、音波吸収体と音波反射体とを備え、音波吸収体の表側に音波反射体を重ねて配し、音波吸収体または音波反射体のいずれか一方を他方に対し相対移動させるなどして、音波吸収体と音波反射体との重なり量を調節して、残響時間等を制御するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の残響制御装置または残響制御設備は、どれも装置構成が複雑で、機械的なトラブルが発生し易い上、装置規模が極めて大きく、施工性や設置コスト、設置スペース確保等において種々問題が生じていた。このようなことから、従来から、小型化を容易に達成でき、かつ前述したような問題を容易に解消することができるような新しい構成の残響制御装置または残響制御設備が望まれていた。
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化を容易に図ることができ、施工性や設置コスト、設置スペース等における問題の解消を図れるような残響制御装置及び残響制御設備を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明に係る残響制御装置にあっては、ホール内に設置されて該ホール内を伝搬する音波を減衰させて吸収し残響を制御する装置であって、該音波の到来方向に向かって開口されたスロートを有し、該スロートの開口部に到来した所定の周波数の音波と共鳴する共鳴室と、該共鳴室内に配設され、該所定の周波数の音波を減衰させて吸収する吸音材と、該共鳴室を区画形成するとともに、該共鳴室内にスライド移動可能に設けられ該共鳴室の内容積を拡縮して該所定の周波数を変更可能な可動仕切壁とを備え、前記共鳴室及び前記スロートは、前記音波の到来方向に面して幅広く形成され、さらに、該スロートはその奥行き寸法が幅方向に沿って増減されて形成されていることを特徴とする。
【0006】
このような構成を有する残響制御装置は、ホール内に設置され、共鳴の原理により、ホール内を伝搬する所定の周波数の音波と共鳴してこれを減衰吸収して残響を制御するもので、スロートを有する共鳴室が前記所定の周波数の音波と共鳴して、共鳴室内に配設された吸音材により、当該所定の周波数の音波を減衰吸収して吸音する。共鳴室が共鳴する音波の周波数は、共鳴室の内容積に応じて変化されることから、当該共鳴室を区画形成する可動仕切壁をスライド移動させて共鳴室の内容積を拡縮することによって、当該共鳴室が共鳴する音波の周波数を変更することができる。このことから、この装置では、可動仕切壁により、減衰吸収する音波の周波数を高低設定することができ、所望の周波数の音波を減衰吸収して残響をきめ細やかに所望に制御することができる。その上、共鳴の原理を利用して残響を制御するようになっているので、従来のように音波吸収体及び音波反射体からなる装置に比べて、小型化を容易に達成することができ、施工性や設置コスト、設置スペース等における問題の解消を図ることができる。また、前記共鳴室及び前記スロートが、前記音波の到来方向に面して幅広く形成され、さらに、該スロートはその奥行き寸法が幅方向に沿って増減されて形成されるので、共鳴室が共鳴する音波の周波数の帯域を、スロートの奥行き寸法の増減に応じて高低拡げることができ、これにより、前記装置では、幅広い帯域の周波数の音波を吸音することができる。従って、当該装置を複数用いなくても、単体で幅広い帯域の周波数の音波の吸音を図ることができる。さらに、これに併せて、前記可動仕切壁による周波数変更機構を用いれば、吸音する周波数帯域を設定変更することができ、より充実した残響制御を可能にすることができる。
【0007】
また、前記装置が、前記スロートを遮断及び開放可能なスロート開閉手段を備えれば、スロート開閉手段によりスロートを遮断または開放して共鳴室を外部から隔離したり解放したりすることができ、当該装置の吸音動作をON/OFF制御することができる。
【0011】
また、本発明に係る第2の残響制御設備にあっては、外部から到来してきた所定の周波数の音波とスロートを通じて共鳴しながら該所定の周波数の音波を吸音材により吸音する吸音室を有し、該吸音室が拡縮可能に画成され該所定の周波数が設定変更可能な残響制御装置を、ホール床面に階段状に設けられた段部の蹴上げ部に設置したことを特徴とする。
【0012】
このような構成の残響制御設備において、残響制御装置は、吸音室の拡縮により設定された周波数の音波と共鳴しつつこれを吸音材により減衰吸収して所望の残響制御を行う。このような装置が、ホール床面に階段状に設けられた段部の蹴上げ部に設置することで、ホール天井部やホール壁部等に設置する場合に比べ、施工が簡単に済むとともに、ホール室内面上にあまり目立たせることなく配置することができる。また、前記蹴上げ部にあっては、今までほとんど利用されていない部分であり、残響制御装置の設置用として相当大きな専有部を確保することができることから、かなり有効な残響制御効果を期待することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る残響制御装置及び残響制御設備の実施の形態について添付図面に基づき説明する。なお、図1〜図4は、本発明に係る残響制御装置の実施の形態を示したものであり、図5〜図9は、本発明に係る残響制御設備の実施の形態を示したものである。
【0015】
まず、本発明に係る残響制御装置の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明に係る残響制御装置2の一実施形態を示したものである。ここで、本発明に係る残響制御装置2は、劇場や音楽ホールといったホール内に設置されて、ホール内を伝搬する音波を減衰させて吸収し、残響を抑制して制御するものである。この残響制御装置2は、図1に示すように、主に、スロート4を有する共鳴室6と、共鳴室6内に配設された吸音材8と、同じく共鳴室6内に配設された可動仕切壁10と、スロート4に設けられた本発明のスロート開閉手段としてのスロート開閉機構12とを備えている。
【0016】
ここで、共鳴室6は、閉じられた空間からなり、箱体14内部に区画形成されている。共鳴室6の内壁には、これを貫通して外部に連通させる前記スロート4が設けられている。スロート4は、管状の空気通路で、外部に向かって開口された開口部4aを有し、例えばパイプ材等の内部に管状の空気通路を有する部材、または管状の空気通路を区画形成可能な構成部材などにより形成される。本実施の形態では、スロート4が内部中空筒体状の部材5により形成されている。スロート4は、1箇所設けても2箇所以上設けてもよい。この他、スロート4は、他の形態の部材により形成されてもよい。このような構成を有する共鳴室6は、共鳴器の原理によって、スロート4の開口部4aに到来した所定の周波数の音波と共鳴するようになっている。共鳴室6が共鳴する音波の周波数は、共鳴室6の内容積並びにスロート4の内寸法及び奥行き寸法に基づいて決定される。
【0017】
また、吸音材8は、これを透過しようとする音波を捕らえて減衰させて吸収するもので、例えば多孔質材等の音波を捕らえ減衰吸収可能な吸音材料から形成される。この吸音材8は、共鳴室6内に配設されて、共鳴室6が共鳴する所定の周波数の音波を減衰させて吸収するようになっている。この本実施の形態では、吸音材8は、スロート4の近傍に配置されて音波を効率的に減衰吸収するようになっている。
【0018】
一方、可動仕切壁10は、共鳴室6内に配設されて共鳴室6を区画形成するものである。可動仕切壁10は、スライド移動可能に設けられ、そのスライド移動によって、共鳴室6はその内容積が拡大されたり縮小されたりするようになっている。この実施の形態では、可動仕切壁10は、スロート4に相対向した位置に設けられている。また、可動仕切壁10は、その壁裏面に回転可能に軸支されて裏方へ延出されて設けられた長尺な雄ネジ部材16が、これに対応して箱体14壁部に貫通して設けられた雌ネジ部材18に螺合されていて、雄ネジ部材16を雌ネジ部材18に対して相対的に正逆回転させることにより、雄ネジ部材16の長さ方向に沿って箱体14に対し相対的に進退されて矢印AまたはB方向に沿ってスライド移動されるようになっている。これにより、共鳴室6は、可動仕切壁12のスライド移動により、長さLが増減変動されてその内容積が拡縮され、共鳴する音波の周波数が高低変更される。
【0019】
他方、スロート開閉機構12は、スロート4を遮断及び開放するものである。この実施の形態では、このスロート開閉機構12は、スロート4の外側近傍に設けられた圧力室20と、この圧力室20とスロート4との相互間に双方を間仕切りして設けられた伸縮可能な膜材22とを備えている。ここで、圧力室20は、閉じられた空間からなり、その内部には、外部から例えば圧縮空気等の加圧流体が導入されるようになっている。一方、膜材22は、例えばゴム材等の弾性的に伸縮可能な膜材料から形成されている。膜材22は、圧力室20に加圧流体が導入されてその内圧が十分に上昇されると、図2に示すように、スロート4内へと膨出してスロート内壁面に密着してスロート4を遮断するようになっている。そして、圧力室20から外部に加圧流体を排出して圧力室20の内圧が十分に低下されると、圧力室20側へと復元収縮して元の位置に戻り、スロート4を再び開放するようになっている。スロート開閉機構12は、このようにスロート4を遮断または開放することによって、共鳴室6を外部から隔離したり解放したりして、残響制御装置2の吸音動作をON/OFF制御するようになっている。なお、スロート開閉機構12としては、この他、スロート4の遮断及び開放が可能であれば、他の形態の機構であってもかまわない。また、本発明に係るスロート開閉手段にあっては、開閉機構以外の他の手段により構成されていてもよい。
【0020】
以上から、このような構成を有する残響制御装置2にあっては、共鳴室6が、スロート4の開口部4aに到来した所定の周波数の音波と共鳴して、これを共鳴室6内に配設された吸音材8により減衰吸収する。共鳴室6は、これを区画形成している可動仕切壁10がスライド移動されることによって、その内容積が拡縮され、共鳴する音波の周波数が高低変更される。これにより、この装置2では、減衰吸収する音波の周波数を設定変更することができる。また、スロート4は、スロート開閉機構12により遮断または開放されることから、共鳴室6を外部から隔離したり解放したりして、残響制御装置2の吸音動作をON/OFF制御することができる。
【0021】
このような残響制御装置2にあっては、例えば劇場や音楽ホール等のホール内、例えば床部や天井部、壁部等に設置されれば、ホール内を伝搬する音波を減衰吸収してホール内の残響を抑制制御することができる。特に、この装置2では、可動仕切壁10により吸音する音波の周波数を設定変更することができるとともに、スロート開閉機構12により装置2の吸音動作をON/OFF制御することができるため、残響を所望に制御することができる。また、このような残響制御装置を、相互に吸音周波数を異ならしめて複数個設置すれば、複数の周波数の音波を減衰吸収することができる。
【0022】
図3及び図4は、本発明に係る残響制御装置の他の実施の形態を示したものである。この残響制御装置2は、音波を吸音するための基本的な構成は前記実施の形態と同じようなものになっている。ただし、この実施の形態では、共鳴室6及びスロート4が、音波の到来方向に面して幅広に形成されている。ここで、スロート4は、断面細長に成形された中空部を内部に有する筒状の部材7により形成されている。また、スロート4の奥行き寸法Wは、スロート幅方向に沿って連続的に漸次増減されている。さらに、本実施の形態では、これに対応して、共鳴室6を区画形成する箱体14、共鳴室6内に配設される吸音材8、並びに可動仕切壁10も、共鳴室6またはスロート4の幅方向に沿って幅広に形成されている。
【0023】
このような構成を有する残響制御装置では、スロート4の奥行き寸法Wが幅方向に沿って増減されて形成されていることで、共鳴室6が共鳴する音波の周波数の帯域がスロート4の奥行き寸法Wの増減に対応して高低広がり、これにより、幅広い帯域の周波数の音波を吸音することができる。このことから、幅広い帯域の周波数の音波を吸音する場合でも、複数の残響制御装置を用いなくても、単体で十分に対応することができる。特に、これに併せて、可動仕切壁10による周波数変更機能を用いれば、吸音する周波数帯域を設定変更することができ、より充実した残響制御を行うことができる。なお、この実施の形態では、箱体14、吸音材8並びに可動仕切壁10が、共鳴室6及びスロート4に対応して、幅広に形成されているが、これら箱体14、吸音材8並びに可動仕切壁10は、必ずしも幅広に形成する必要はない。また、前記スロート4の奥行き寸法Wについては、幅方向に沿って必ずしも連続的に漸次増減されている必要はなく、これ以外に他の形態で増減されていてもよい。
【0024】
次に、本発明に係る残響制御設備の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る残響制御設備は、前述した残響制御装置と同様に、スロートの開口部に到来した音波と共鳴しつつこれを吸音材により吸音する共鳴室である吸音室を備え、残響を抑制制御するとともに、吸音室が拡縮可能に形成されて共鳴する音波の周波数を設定変更することができる残響制御装置を備えたものである。以下の第1〜第3の実施の形態においては、残響制御装置として、前述したものと同様な構成からなる残響制御装置を備えた場合について説明する。
【0025】
図5は、本発明に係る残響制御設備の第1の実施の形態を示したものである。この残響制御設備は、ホール内に設置された多数の残響制御装置2からなるものである。各残響制御装置2は、それぞれホール内を伝搬する音波を減衰吸収して残響を抑制制御するようになっている。各残響制御装置2には、それぞれ、スロート開閉手段として、前述したスロート開閉機構12が備えられていて、各装置2は、各スロート開閉機構12により、それぞれその吸音動作がON/OFF制御されるようになっている。そして、本実施の形態では、これら多数の残響制御装置をグループ分けして、1または複数の残響制御装置2からなるグループ30a,30bを形成して、制御手段により、グループ30a,30b毎にスロート開閉機構12を開閉制御することができるようになっている。
【0026】
ここで、制御手段は、複数の残響制御装置2からなるグループ30bにおいて各装置2の各スロート開閉機構12の各圧力室20を相互に連通可能に連結する連結チューブ32と、圧力室20に対しグループ30a,30b毎に個別に加圧流体を供給可能なコンプレッサ34とを備えている。さらに、コンプレッサ34は、前記加圧流体として例えば圧縮空気等を生成し供給するコンプレッサ本体36と、各グループ30a,30b毎にその中の1つの残響制御装置2の圧力室20に接続された接続チューブ38と、コンプレッサ本体36から供給される加圧流体を複数の接続チューブ38毎に選択供給可能な制御弁40とを備えている。
【0027】
これにより、コンプレッサ本体36から制御弁40を介し接続チューブ38を通じて各圧力室20に対し各グループ30a,30b毎に加圧流体を供給すれば、各スロート開閉機構12により、スロート4を各グループ毎に遮断することができる。また、接続チューブ38を通じてグループ毎に各圧力室20内の圧力を抜けば、スロート4をグループ毎に開放することができる。このようなことから、この残響制御設備では、グループ30a,30b毎に残響制御装置2の吸音動作をON/OFF制御することができ、より細やかな残響制御を行うことができる。尚、この実施の形態では、前記接続チューブ38は、同一グループ内であれば他の残響制御装置2の圧力室20に接続されてもよく、また圧力室20に直接接続されずに連結チューブ32に接続されて、この連結チューブ32を通じて圧力室20に加圧流体を送給するようにしてもよい。また、前記制御手段は、加圧流体により作動するスロート開閉機構12に対応してコンプレッサ34から構成されていたが、本発明に係る制御手段はこれに限らず、スロート開閉手段の構成が異なれば、これに応じて他の形態に構成される。
【0028】
図6〜図8は、本発明に係る残響制御設備の第2の実施の形態を示したものである。この残響制御設備は、前記説明した残響制御装置を、図6に示すように、ホール床部42に階段状に設けられた段部44の蹴上げ部46にそれぞれ設置したものである。ここで、ホール床部42に階段状に設けられた段部44は、例えば客席側に舞台を見易くすること等を目的に設けられたもので、例えば舞台側から離れるに従って段々に床レベルを高くするなどして設けられる。このような段部44が設けられるホール客席側とは、単なる客席部は勿論、通路部や2階部以上に設けられるバルコニー型客席部を含む。また、段部44の蹴上げ部46は、段部44に垂直に切り立って設けられた蹴上げ面46aを有する。図6は、残響制御装置2がホール客席側に設けられた段部44に設置された場合を示したものである。ここで、残響制御装置2は、蹴上げ面46a裏側に表側から見えないように配設されている。また、残響制御装置2の吸音材8を有する吸音室50は、図7に拡大して示すように、ホール床部42を構成する床スラブコンクリート部材48により取り囲まれ区画形成されていている。また、残響制御装置2のスロート4は、前記床スラブコンクリート部材48により区画形成され、前記蹴上げ面46aに開口されて形成されている。
【0029】
さらに、図8は、コンクリート部材48により区画形成されたスロート4の開口部4aにスロート開閉手段を設けた場合の一実施形態を示したものである。ここで、スロート開閉手段は、スロート4の開口部4a縁部に形成した切欠部52に配設した膨縮可能に形成されたチューブ54からなる。チューブ54の内部には、例えば圧縮空気等の加圧流体が導入されるようになっている。そして、チューブ54は、加圧流体が導入されると、膨張してスロート4を閉塞する。また、チューブ54内部から加圧流体を排出すれば、チューブ54は収縮させることができ、再びスロート4を開放することができる。
【0030】
図9は、本発明に係る残響制御設備の第3の実施の形態を示したものである。この残響制御設備は、前記説明した残響制御装置2を、ホール壁部56に階段状に設けた段部58に設置したものである。このように残響制御装置2をホール壁部56に設けることにより、より充実した残響制御を可能にすることができる。この他、残響制御装置2は、ホール壁部であれば、階段状に設けられた段部58以外に、他の箇所に設置されてもよい。
【0031】
ところで、前記実施の形態では、残響制御装置がスロート開閉手段を備えていたが、本発明に係る残響制御装置にあっては、必ずしもスロート開閉手段を備えている必要はない。
【0032】
【発明の効果】
前記発明の実施の形態で説明したように本発明に係る残響制御装置によれば、スロートの開口部に到来した所定の周波数の音波と共鳴しつつこれを吸音材により減衰吸収する共鳴室が、当該共鳴室内にスライド移動可能に設けられた可動仕切壁により区画形成され、この可動仕切壁によりその内容積が拡縮されて共鳴する音波の周波数が高低変更されるので、所望の周波数の音波を減衰吸収してきめ細やかな残響制御を行うことができる。その上、共鳴の原理を利用して残響を制御するようになっているので、従来のように音波吸収体及び音波反射体からなる装置に比べて、小型化の達成を容易に図ることができ、施工性や設置コスト、設置スペース等における問題の解消を図ることができる。また、意匠的にも自由度が増す。さらに、前記共鳴室が、音波の到来方向に面して幅広く形成され、そのスロートはその奥行き寸法が共鳴室の幅方向に沿って増減されて形成されているので、単体で幅広い帯域の周波数の音波を減衰吸収することができ、さらに併せて可動仕切壁による周波数調節機能を用いれば、より充実した残響制御を行うことができる。
【0033】
さらに、前記装置が、スロートを遮断及び開放可能なスロート開閉手段を備えれば、スロートを遮断または開放して共鳴室の共鳴動作を停止させたり作動させたりして、当該装置の吸音動作のON/OFF操作することができる。
【0036】
また、本発明に係る第2の残響制御設備によれば、残響制御装置が、ホール床面に階段状に設けられた段部の蹴上げ部に設置することで、ホール天井部やホール壁部等に設置する場合に比べて、施工を容易に済ませることができる。特に、今まで利用されていなかった蹴上げ部を使用することによって、相当大きな設置部を確保することができ、かなり有効な残響制御効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る残響制御装置の一実施形態を示した断面図である。
【図2】図1の残響調節装置においてスロートが遮断されたときの状態の一実施形態を示した断面図である。
【図3】本発明に係る残響制御装置の他の実施の形態を示した断面斜視図である。
【図4】本発明に係る残響制御装置の他の実施の形態を示した横断面図である。
【図5】本発明に係る残響制御設備の第1の実施の形態を概略的に示したブロック構成図である。
【図6】本発明に係る残響制御設備の第2の実施の形態を示すホール床部に階段状に設けられた段部の縦断面図である。
【図7】図6の要部を拡大して示した部分縦断面図である。
【図8】本発明に係る残響制御設備の第2の実施の形態のスロート開閉機構の他の実施の形態を拡大して示した部分縦断面図である。
【図9】本発明に係る残響制御設備の第3の実施の形態を示した壁部の平断面図である。
【符号の説明】
2 残響制御装置 36 コンプレッサ本体
4 スロート 38 接続チューブ
6 共鳴室 40 制御弁
8 吸音材 42 ホール床部
10 可動仕切壁 44 段部
12 スロート開閉機構 46 蹴上げ部
14 箱体 48 床スラブコンクリート部材
16 雄ネジ部材 50 吸音室
18 雌ネジ部材 52 切欠部
20 圧力室 54 チューブ
22 膜材 56 ホール壁部
32 連結チューブ 58 段部
34 コンプレッサ
Claims (4)
- ホール内に設置されて該ホール内を伝搬する音波を減衰させて吸収し残響を制御する装置であって、
該音波の到来方向に向かって開口されたスロートを有し、該スロートの開口部に到来した所定の周波数の音波と共鳴する共鳴室と、
該共鳴室内に配設され、該所定の周波数の音波を減衰させて吸収する吸音材と、
該共鳴室を区画形成するとともに、該共鳴室内にスライド移動可能に設けられ、該共鳴室の内容積を拡縮して該所定の周波数を変更可能な可動仕切壁とを備え、
前記共鳴室及び前記スロートは、前記音波の到来方向に面して幅広く形成され、さらに、該スロートはその奥行き寸法が幅方向に沿って増減されて形成されていることを特徴とする残響制御装置。 - 前記スロートを遮断及び開放可能なスロート開閉手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の残響制御装置。
- ホール床面に階段状に設けられた段部の蹴上げ部に設置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の残響制御装置。
- 外部から到来してきた所定の周波数の音波とスロートを通じて共鳴しながら該所定の周波数の音波を吸音材により吸音する吸音室を有し、該吸音室が拡縮可能に画成され該所定の周波数が設定変更可能な残響制御装置を、ホール床面に階段状に設けられた段部の蹴上げ部に設置したことを特徴とする残響制御設備。
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