JP3899527B2 - 耐熱難燃樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高剛性にして高耐熱性であり、成形時の異方性が小さく、かつ成形性に優れた熱可塑性の難燃樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、電気的特性、機械的特性、寸法安定性などに優れた熱可塑性樹脂であるため、精密部品用材料や電気・電子部品の封止材料として用いられている。しかしながら、この樹脂は、高結晶性ポリマーであるため、融点を超える温度域において著しく高い流動性を示す。このため、射出成形時に流動性の制御が困難となり、成形品にバリが発生し、精密成形品の歩留まりを著しく低下させるという問題がある。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、高結晶性ポリマーであるため、成形時の樹脂の流れ方向とそれに垂直な方向において、成形品の成形収縮率、強度、線膨張係数などの物性に著しい異方性を生じ、精密部品を成形する際に、寸法精度が悪いという問題が生じる。
【0003】
従来、ポリアリーレンスルフィド樹脂に、ポリスチレンを配合して成形性を改良する試み(特公昭53−13469号公報)などが知られているが、組成物の耐熱性が大幅に低下し、ハンダ耐熱性を保持することができない。
【0004】
一方、ポリアリーレンスルフィド樹脂を封止材料として使用する際には、該樹脂の結晶性および配合組成によって、リードフレームとの密着性が不充分であり、それゆえ本来の目的である水分の侵入が避けられないなどの問題がある。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂で成形された成形品は、各種素材と接着されて使用されることが多く、該樹脂と各種素材との接着性の悪さも問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたものであり、ポリアリーレンスルフィド樹脂の物性を維持しながら、成形性、異方性、リードフレームとの密着性、各種素材との接着性、ハンダ耐熱性、難燃性を有する耐熱難燃樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂60〜95重量%および(b)一般式(V)で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体または該テトラシクロドデセン誘導体およびこれと共重合可能な不飽和環状化合物の開環重合体を水素添加してなる水素添加重合体からなるノルボルネン系樹脂40〜5重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を主成分とし、ビカット軟化温度が200℃〜330℃である耐熱難燃樹脂組成物を提供するものである。また、好ましくは(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂60〜95重量%および上記(b)ノルボルネン系樹脂40〜5重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕からなる樹脂成分100重量部に対して、充填剤20〜200重量部を含有し、ビカット軟化温度が200℃〜330℃である耐熱難燃樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【化2】
Figure 0003899527
【0008】
{式中、A、B、CおよびDは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH 2 n COOR 1 、−(CH 2 n OCOR 1 、−(CH 2 n OR 1 、−(CH 2 n CN、−(CH 2 n CONR 3 2 、−(CH 2 n COOZ、−(CH 2 n OCOZ、−(CH 2 n OZ、−(CH 2 n W、またはBとCから構成された−OC−O−CO−、−OC−NR 4 −CO−、もしくは(多)環状アルキレン基を示す。ここで、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は炭素数1〜20の炭化水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSiR 5 p 3-p 〔R 5 は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲン原子、−OCOR 6 または−OR 6 (R 6 は炭素数1〜10の炭化水素を示す)、pは0〜3の整数を示す]、nは0〜10の整数を示す。}
【0009】
(a)成分;
(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂は、主とする構成単位が一般式;−Ar−S−(式中、Arは2価の芳香族基を示し、Sはイオウ原子である)で表される重合体である。このポリアリーレン基を構成する2価の芳香族基としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、2,6−ナフタレン基、4,4'−ビフェニレン基、p,p'−ビベンジル基、およびこれらの各置換基などが代表例として挙げられる。これらのうちでは、核無置換基のp−フェニレン基を有するポリ−p−フェニレンスルフィド(PPS)が、成形加工性の点で好ましい。
【0010】
本発明において、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、上記構成単位を1分子中に少なくとも70モル%以上含有していることが必要である。この構成単位が70モル%未満では、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶性が低下したり、ガラス転移温度が低かったり、成形品の物性が悪いなど、好ましくない結果を生じる。また、本発明において、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、1分子中に30モル%未満であれば、3価以上の結合手を有する芳香族基、例えば1,2,4−結合フェニレン核や、脂肪族基、ヘテロ原子含有基などを含んでいても差し支えない。さらに、ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、直鎖型のもの、および架橋型のものを、それぞれ単独に、あるいは目的に応じて混合して用いることも可能である。
【0011】
例えば、射出成形時に発生する成形品のバリを小さくするためには、架橋型のポリアリーレンスルフィド樹脂を用いるとよい。一方、金型から取り出した成形品の成形収縮の異方性(材料の流動方向とそれに垂直な方向で、成形品寸法の対金型寸法比で定義される収縮率が異なること)を小さくするためには、直鎖型のポリアリーレンスルフィド樹脂を用いることが望ましい。
【0012】
さらに、ポリアリーレンスルフィド樹脂として、変性ポリアリーレンスルフィド樹脂および/または変性ポリアリーレンスルフィド樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂の混合物を用いることもできる。この変性ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基、ビニル基、(メタ)アクリル基、メルカプト基などの官能基で変性された樹脂を使用することができるが、特にエポキシ変性ポリアリーレンスルフィド樹脂および/またはアミノ化変性ポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましい。これらの官能基は、(b)ノルボルネン系樹脂中のエステルと反応してポリアリーレンスルフィド樹脂とノルボルネン系樹脂のブロック共重合体を形成することにより、両者の相溶性が高まり、得られる樹脂組成物の物性を向上させるとともに、ポリアリーレンスルフィド樹脂の欠点である物性、成形性の異方性を小さくすることができる。
【0013】
上記(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法としては、ジハロゲン化芳香族化合物とジオール芳香族化合物との縮合反応、またはモノハロゲン化芳香族チオールの縮合反応、あるいはジハロゲン化合物と、硫化アルカリあるいは水硫化アルカリとアルカリまたは硫化水素とアルカリ化合物とからの脱塩縮合反応を利用する方法などが例示されるが、これに限定されるものではない。なお、本発明において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の粘度は、通常、温度300℃、歪速度1,000sec-1において、100〜4,000poiseである。
【0014】
(b)成分;
本発明の樹脂組成物に用いられる(b)ノルボルネン系樹脂は、飽和脂肪族よりなる主鎖を持ち、特徴としてその主鎖中にノルボルナン構造を含むものであるが、その具体例としては、繰り返し単位中に、ノルボルナン骨格を有するものである。すなわち、本発明の ( ) ノルボルネン系樹脂は、上記一般式(V)で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体または該テトラシクロドデセン誘導体およびこれと共重合可能な不飽和環状化合物の開環重合体を水素添加してなる水素添加重合体からなる。
【0015】
上記テトラシクロドデセン誘導体としては、8−カルボキシメチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−カルボキシエチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−カルボキシイソプロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシイソプロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10 〕−3−ドデセンなどが挙げられる。
【0016】
なお、本発明において、シクロドデセン誘導体を公知の方法で開環重合させる場合には、本発明の効果を実質的に妨げない範囲において、開環重合可能な他のシクロオレフィン類を併用することができる。このようなシクロオレフィン類の具体例としては、例えばシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどの反応性の二重結合を1個有する化合物が例示される。
本発明において使用することのできるノルボルネン系樹脂は、その主鎖中にノルボルナン構造を含むものであり、例えば特開昭60−168708号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報などに記載されている樹脂などを挙げることができる。
【0017】
本発明の(b)ノルボルネン系樹脂は、上記一般式(V)で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和環状化合物とを、タングステン、モリブデン、レニウムなどの化合物からなるメタセシス触媒を用いて重合して得られる開環重合体を水素添加してなる水添重合体である。
【0018】
上記一般式(V)で表されるテトラシクロドデセン誘導体において、A、B、CおよびDのうちに極性基を含むことが、各種素材との密着性、接着性が優れたものとなる点で好ましい。さらに、この極性基が−(CH2 n COOR1 (ここで、R1 は炭素数1〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す)で表されるカルボン酸エステル基であることが、得られる水添重合体が高いガラス転移温度を有するものとなるので好ましい。なお、nの値が小さいほど、得られる水添重合体のガラス転移温度がさらに高くなるので好ましい。特に、このカルボン酸エステル基よりなる極性置換基は、一般式(V)のテトラシクロドデセン誘導体の1分子あたりに1個含有されることが、得られる水添重合体の高い耐熱性を保持したまま吸湿性を低くできる点で好ましい。
【0019】
上記一般式において、R1 は炭素数1〜20の炭化水素基であるが、炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重合体のガラス転移温度とのバランスの点から、炭素数1〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。さらに、カルボン酸エステル基が結合した炭素原子に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結合されている一般式(V)のテトラシクロドデセン誘導体は、得られる水添重合体のガラス転移温度を低下させずに、吸湿性を低下させるので好ましい。特に、この置換基がメチル基またはエチル基である一般式(V)のテトラシクロドデセン誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。具体的には、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 7,10]ドデカ−8−エンが好ましい。
【0020】
これらのテトラシクロドデセン誘導体、あるいはこれと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄第12行〜第6頁右下欄第6行に記載された方法によって、メタセシス重合、水素添加され、本発明に使用されるノルボルネン系樹脂とすることができる。
【0021】
なお、本発明において、ノルボルネン系樹脂として使用される上記水添重合体は、クロロホルム中、30℃で測定される固有粘度(ηinh )が、好ましくは0.3〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.35〜1.3dl/gである。固有粘度(ηinh )が上記範囲にあることによって、得られる樹脂組成物の成形加工性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性などが良好である。
【0022】
また、水添重合体の水素添加率は、60MHz、 1H−NMRで測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなる。また、本発明の熱可塑性樹脂として使用される水添重合体は、成形品の外観を良くするという面から、該水添重合体中に含まれるゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、さらに1重量%以下であることが特に好ましい。
【0023】
本発明の樹脂組成物において、(a)成分と(b)成分の使用割合は、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂が60〜95重量%、(b)ノルボルネン系樹脂が40〜5重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕である。(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂が、60重量%未満では難燃性、ハンダ耐熱性が低下し、一方95重量%を超えると成形性異方性、リードフレームとの密着性および各種素材との接着性が低下する。
【0024】
以上の(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂と(b)ノルボルネン系樹脂の混合には、相溶化剤を用いることが好ましい。この相溶化剤としては、オレフィン単位とカルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基およびエポキシ基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基とを有する不飽和化合物単位を主体とする共重合体〔以下「官能基含有共重合体」ともいう)と、少なくとも1種のビニル化合物からなるビニル系(共)重合体〔以下、単に「ビニル系(共)重合体」ともいう)よりなる、多相構造を有する重合体が挙げられる。
この多相構造を有する相溶化剤を用いると、(a)〜(b)成分が互いに一層相溶化され、得られる樹脂組成物の成形性、耐衝撃性などが改良される。相溶化剤の使用量は、(a)〜(b)成分の合計100重量部に対し、通常、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。1重量部未満では、アイゾット衝撃強度が弱く、一方20重量部を超えると、ビカット軟化温度、曲げ弾性率が低下する。
【0025】
ここで、上記官能基含有共重合体としては、例えばオレフィンと上記官能基を有する不飽和化合物および必要に応じて他の不飽和化合物との、二元、三元または多元の共重合体である。上記官能基含有共重合体中のオレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好ましく、特に好ましくはエチレンである。また、カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸など、酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸など、オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリンなど、エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。好ましい官能基は、エポキシ基、酸無水物基である。上記官能基含有共重合体中、オレフィン量は、通常、60〜99.5重量%、官能基含有不飽和化合物量は、通常、40〜0.5重量%、他の不飽和単量体量は、通常、0〜39.5重量%である。
【0026】
また、相溶化剤に用いられる上記ビニル系(共)重合体としては、具体的にはスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、イソプロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ドデシル、オクタデシルなどのエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン化合物、およびアクリル酸アミド系化合物などの、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基およびエポキシ基を有しないビニル化合物を1種または2種以上重合した、数平均重合度が、通常、5〜10,000、好ましくは10〜10,000の重合体である。
【0027】
上記相溶剤の多相構造は、上記官能基含有共重合体またはビニル系(共)重合体マトリックス中に、それとは異なる成分であるビニル系(共)重合体または官能基含有共重合体が球状に均一に分散しているものである。ここで、分散している重合体の粒子径は、0.001〜10μm、好ましくは0.01〜5μmである。分散重合体粒子径が0.001μm未満の場合、あるいは10μmを超える場合、得られる樹脂組成物の機械的強度が低下し好ましくない。多相構造成分である相溶化剤中、官能基含有共重合体を、通常、5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%含有することが、本発明の目的を達成するうえで好ましい。多相構造成分である相溶化剤を製造する方法としては、一般によく知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法など、いずれの方法によってもよいが、最も好ましい方法は、特開昭64−48856号公報記載の方法である。
【0028】
また、本発明の樹脂組成物には、そのほか必要に応じて他の熱可塑性樹脂またはエラストマーを、本発明の樹脂組成物100重量部に対し、50重量部以下程度加えることができる。この他の熱可塑性樹脂またはエラストマーとしては、具体的にはスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、スチレン−ブタジエン(ブロック、ランダム)共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素添加物、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴムなどを挙げることができる。
【0029】
さらに、本発明の樹脂組成物には、通常、充填剤が配合される。好ましい充填剤は、アスペクト比(平均長L/平均径D)が1を超える繊維状のものと、1であるビーズ、粉末状のものが挙げられる。ここで、得られる樹脂組成物の剛性を高くするためには、繊維状充填剤のアスペクト比を20〜500とすることが好ましい。アスペクト比が20未満では、異方性は小さくなるが、剛性は高くならず、一方500を超えると、剛性は高くなるが、異方性が大きくなって実用的ではない。なお、異方性を改良するためには、繊維状充填剤のアスペクト比は、20未満、好ましくは10以下である。また、繊維状充填剤の平均径は、好ましくは0.1〜250μmであり、0.1μm未満では剛性は高くならず、一方250μmを超えると、耐衝撃性と外観が悪化する。一方、粉末状充填剤の平均粒子径は、100μm以下、好ましくは60μm以下程度である。粉末状充填剤を用いると、外観の良好な成形品が得られる。
【0030】
このうち、繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミックス繊維、アスベスト繊維、セッコウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維などが挙げられる。また、粉末状充填剤としては、ワラストナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどのケイ酸塩、アルミナ、塩化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカなどが挙げられ、これらは中空であってもよい。これらの充填剤は、2種以上を併用することもでき、また必要に応じてシラン系カップリング剤で予備処理して使用することもできる。このシラン系カップリング剤としては、例えばビニルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、クロロシラン、メルカプトシラン、パーオキシシランなどが挙げられる。
【0031】
充填剤の使用割合は、(a)〜(b)成分の合計100重量部に対し、20〜200重量部、好ましくは20〜150重量部であり、20重量部未満では得られる樹脂組成物の耐熱性、剛性が低く、一方200重量部を超えると、成形加工性、耐衝撃性が低くなる。
【0032】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて難燃剤が配合される。この難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属酸化物や無機系難燃剤などが挙げられる。このうち、ハロゲン系難燃剤としては、臭化アンモニウム、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ブロモエチルエーテル)テトラブロモビスフェノールA、臭化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレンなどの臭素系難燃剤や、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、有機塩素系難燃剤(ヘット酸、デクロランプラス、四塩化無水フタル酸)などが挙げられる。これらのハロゲン系難燃剤には、Sb2 3 を併用すると難燃効果が上がる。
【0033】
リン系難燃剤としては、非ハロゲンリン酸エステル(トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート)、含ハロゲンリン酸エステル〔トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート〕などが挙げられる。金属酸化物および無機系難燃剤としては、酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、フレームカットA−1、ファイヤーDT、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0034】
以上の難燃剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。難燃剤の使用割合は、(a)〜(b)成分の合計100重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは2〜20重量部であり、1重量部未満では、難燃性を良くすることができず、一方40重量部を超えると、耐熱性、剛性が低下する。
【0035】
さらに、本発明の樹脂組成物には、酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト);紫外線吸収剤、例えばp−ブチルフェニルサリシレート、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−(2'−ジヒドロキシ−4'−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、「TINUVIN320」(チガガイギー社製)、「TINUVIN329」(チバガイギー社製)、「TINUVIN622LD」(チバガイギー社製)、「CHIMASSORB119FL」(チバガイギー社製);滑剤、例えばパラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、シテアロアミド、メチレンビスステアロアミド、m−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドなどを必要量添加してもよい。
【0036】
さらに、本発明の樹脂組成物には、結晶核剤を添加してもよい。この結晶核剤としては、有機物、無機物いずれも使用することができる。無機物としては、亜鉛粉末、アルミニウム粉末、グラファイト、カーボンブラックなどの単体や、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化チタン、二酸化マンガン、二酸化ケイ素、四三酸化鉄などの金属酸化物、ホロンナイトライドなどの窒化物、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどの無機塩、タルク、カオリン、クレー、白土などの粘土類を使用することができる。
【0037】
また、有機物としては、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの有機塩類、耐熱性の高分子、耐熱性高分子の架橋物などを使用することができる。これらの結晶核剤のうち、好ましくはボロンナイトライド;タルク、カオリン、クレー、白土などの粘土類;架橋または分岐構造を有する耐熱性高分子などである。
【0038】
なお、上記結晶核剤中には、上記充填剤と重複するものもあるが、これらの物質は、両機能を果たすことができる。結晶核剤の使用量は、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.002〜5重量部、好ましくは0.02〜2重量部であり、0.002重量部未満では結晶化速度の増大効果が充分でなく、一方5重量部を超えると後述するように可塑剤としての効果が強くなり過ぎて、ビカット軟化温度や曲げ弾性率を下げるので好ましくない。上記結晶核剤は、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化速度を制御できるので、射出成形で金型内に樹脂組成物が入った時点で結晶化を終了させることにより、バリの形成を少なくすることができる。また、結晶核剤は、低分子化合物であるため、可塑剤としての効果もあり、溶融状態における本発明の樹脂組成物の流動性や成形加工性を改良することができる。なお、ホスファイト系酸化防止剤も、上記の効果を有する。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの混合機を用い、樹脂組成物および充填剤、難燃剤、さらに必要に応じて使用される添加剤を混合することによって得られる。本発明の樹脂組成物の製造方法の例を示すと、ミキサーで各成分を混合したのち、押出機を用い、240〜360℃で溶融混練りして造粒物を得る方法、さらに簡便な方法としては、各成分を直接、成形機内で溶融混練りしてペレットを得る方法などが挙げられる。また、二軸押出機を用いて樹脂成分を混練りしたのち、充填剤、難燃剤を後添加してペレットを作製する方法がある。
【0040】
かくして得られる本発明の樹脂組成物は、特に耐熱性に優れ、ビカット軟化温度が200〜330℃、好ましくは210〜300℃である。ビカット軟化温度が200℃未満では、耐熱性、剛性が低く、一方330℃を超える場合は、成形性、特に流動性が悪くなる。
ここで、本発明の樹脂組成物のビカット軟化温度を調整するには、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂と(b)ノルボルネン系樹脂の比率を変えたり、相溶化剤、他の熱可塑性樹脂もしくはエラストマー、または無機充填剤などの配合量を変量すればよい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、種々の公知の成形加工法、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法などの公知の成形手段を適用して成形品とされる。本発明の樹脂組成物は、自動車部品として、例えばシリンダーヘッドカバー、アンダーフード部品、クリーンファン、ラジエータータンク、リレーキャップ、ウインドウスクリーンなどに、電子部品として、例えば発光ダイオード(可視光ダイオード、赤外発光ダイオード、光通信発光ダイオード)、トランジスタ、集積回路、フォトトランジスタ、EPROM、フォトカプラ、フォトインタラプタ、CCDなどのパッケージ、コンデンサー、LCフィルタケース、タクトSW、スライドSWなどに、OA供給部品として、例えば複写機のヒートシールド、プリンター部品、モーター部品などの各種用途に使用することができる。
【0042】
【作用】
本発明の樹脂組成物において、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂に配合される(b)ノルボルネン系樹脂は、炭素結合に基づく環構造を有するため、耐熱性が高く、さらに吸水性も小さいという特徴を有する。従って、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂の特徴である耐熱性および低吸水性は、(b)ノルボルネン系樹脂を配合しても、大きく低下することはない。また、(b)ノルボルネン系樹脂は、嵩高い構造に由来する非晶性ポリマーであるため、結晶性ポリマーである(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂に配合することにより、その融点以上の温度域における流動性を制御することができ、該ポリアリーレンスルフィド樹脂の成形性を大幅に改良することができる。さらに、(b)ノルボルネン系樹脂が非晶性であることを利用し、(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂の成形時の異方性を大幅に改良することができ、さらにまたリードフレームとの密着性や各種素材との接着性が改善される。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。また、実施例中の各種の測定は、次のとおりである。
【0044】
固有粘度(η inh
溶媒にクロロホルムを使用し、0.5g/dlの重合体濃度で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定した。
水添率
水添単独重合体の場合には、60MHz、 1H−NMRで測定した。
耐熱性(ビカット軟化温度
JIS K7206に準じ、1/8"の厚みの試験片を用いて、荷重1kg、昇温速度50℃/時間で測定した。
成形性(MFR
JIS K7210に準じて、316℃×5kgの条件下でメルトフローレート(MFR)を測定した。
【0045】
異方性(成形収縮率の異方性
長さ5"×幅1/2"×厚さ1/32"の矩形状金型を用いて、下記の条件で成形した試験片の常温における長さ(l)、幅(w)、および常温における金型の長さ(l0 )、幅(w0 )を用いて、異方性の尺度を次式で定義した。ただし、長さ方向は樹脂が流れる方向、幅方向はそれに垂直な方向であるから、次式の尺度は射出成形時の流れに基づく成形品の成形収縮の異方性を表す尺度となる。
異方性の尺度=ε1 /ε2 =〔(w−w0 )/w0 〕/〔(l−l0 )/l0
【0046】
成形条件;
射出成形機=ARBURG社製、オールラウンダーハイドロニカD
シリンダー温度=315℃
金型温度=150℃
保圧時間=5秒冷却時間=8〜22秒
クッション量=3〜5mm
サイクル時間=約19秒
射出圧力=試料により異なる。
【0047】
バリの面積
上記異方性試験と同一条件下で、ゲートと反対側にある樹脂溜まりに試料がほぼ充填される圧力を試行錯誤で求め、その圧力下で成形した試験片のバリ(金型の成形品からはみ出した部分)の面積を測定した。
接着強度
5"×1/2"×1/8"の、ノルボルネン系樹脂と本発明の樹脂組成物よりなる平板状試験片を、平たい面で長さ1/2"だけ重ね合わせて長さ方向につないで接着させた。接着面には、ノルボルネン系樹脂のトルエン10%溶液を塗布し、鐘を載せて室温で24時間放置し乾燥させた。この試験片を、50mm/分の速度で引っ張り、接着強度を評価した。
【0048】
密着性
JIS C6481に準拠し、常態で引き剥がし強さを測定した。なお、試験片は、150mm×150mm×5mmの金型の底に銅箔を敷き、そのうえにペレット状の試料を載せて300℃でプレス成形した板から、JIS C6481に従って切り出した。◎は容易に剥がれない、○は剥がれ難い、△は比較的簡単に剥がれる、×は簡単に剥がれる、と評価した。
リフローハンダ試験
5"×1/2"×1/16"の平板状試験片を用いて、(株)マルコム社製、リフローチェッカーRC−8を使用し、予備加熱(180℃×120秒)、および本加熱(260℃×30秒)後、外観、流れ方向の収縮率、試験片の最高表面温度を評価した。外観の目視観察において、良は加熱前と外観がほとんど変わらない、可は加熱前と外観が若干異なるが、実用上問題はない、と評価した。
【0049】
曲げ弾性率の異方性
100mm×50mm×2mmの板から、成形時の樹脂の流れ方向に並行に切り出した試験片と、流れ方向に垂直に切り出した試験片の曲げ弾性率を測定し、両者の比を異方性の尺度とした。
異方性の尺度=〔FM0 (垂直)]/〔FM0 (並行)]
〔式中、FM0 (垂直)は垂直に切り出した試験片の曲げ弾性率、FM0 (並行)は並行に切り出した試験片の曲げ弾性率である。〕
この尺度が1に近づくほど、異方性は小さくなる。なお、試験片の大きさは、50mm×12mm×2mmである。
【0050】
耐衝撃性(アイゾット衝撃強度
試験片(1/4"×1/2"×5/2";ノッチ付き)を用いて、ASTMD790に準じて、アイゾットインパクト(Izod Imp)を測定した。
難燃性
UL94試験(UL規格による耐熱性試験法)に拠った。V−Oは最も難燃性が高く、次いでV−I、V−II、HBの順で、難燃性は悪くなることを示す。
【0051】
参考例
樹脂組成物を製造するに際し、各成分を調製した。
b)成分
チッ素ガスで置換した反応容器内に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンを500g、1,2−ジクロロエタン2,000ml、分子量調節剤である1−ヘキセン3.8g、触媒として六塩化タングステンの濃度0.05モル/リットルのクロロベンゼン溶液91.6ml、パラアルデヒドの濃度0.1モル/リットルの1,2−ジクロロエタン溶液68.7ml、トリイソブチルアルミニウムの濃度0.5モル/リットルのトルエン溶液37mlとを加え、60℃で10時間反応させることにより、固有粘度〔η〕inh が0.56dl/g(クロロホルム中、30℃、濃度0.5g/dl)の重合体450gを得た。
【0052】
この重合体を、9,000mlのテトラヒドロフランに溶解し、高圧反応器に仕込み、水添触媒としてパラジウム濃度が5%のパラジウム−アルミナ触媒45gを加え、水素ガスを圧力が100kg/cm2 になるように仕込んで、150℃で5時間水添反応させた。水添反応後、触媒をろ別し、溶液を塩酸性の大過剰量のメタノール中に注いで、水添ノルボルネン系樹脂(b)−1(水添率=100%)を得た。
【0053】
a)成分
直鎖型ポリフェニレンスルフィド(PPS);東レ(株)製、M2088架橋型ポリフェニレンスルフィド(PPS);東レ(株)製、M2100
その他の熱可塑性樹脂
ポリスチレン;三井東圧(株)製、トーポレックス600SEBS;シェル化学(株)製、クレイトンG1651
相溶化剤
日本油脂(株)製、モディパーA4101;
充填剤ガラス繊維;旭ファイバーグラス(株)製、CS03MA486Aマイカ;レプコ(株)製、カナダマイカ
難燃剤
ポリリン酸アンモニウム;ヘキストジャパン(株)製、EXOLIT422
臭素化ポリスチレン;日産フェロ有機化学(株)製、PYRO−CHEK68PB
三酸化アンチモン;(株)鈴裕化学製、ファイアカットAT3
【0054】
実施例1〜4、比較例1〜3
表1〜2に示す配合処方で、40mm押出機を用いて310℃で溶融混練りしてペレット化し、300℃で射出成形して物性測定用の試験片を得た。測定結果を表1〜2に示す。
表1〜2から明らかなように、PPS(ポリフェニレンスルフィド樹脂)にノルボルネン系樹脂を配合することにより(実施例1〜4)、PPSで問題とされている密着性が改善されている。また、耐熱性や剛性の低下も、実用上問題となるほどではない。
これに対し、比較例1は、PPSが100%の例であり、密着性に劣る。比較例2は、ノルボルネン系樹脂が50%を超える例であり、耐熱性が悪い。比較例3は、ノルボルネン系樹脂の代わりに、ポリスチレンを配合した例であり、耐熱性、密着性、リフローハンダ耐熱性の外観が劣る。
【0055】
【表1】
Figure 0003899527
【0056】
【表2】
Figure 0003899527
【0057】
実施例5〜10
表3に示す配合処方に基づいて、実施例1〜4と同様にしてペレット化し、射出成形して物性測定用の試験片を得た。測定結果を表3に示す。表3から明らかなように、PPS/ノルボルネン系樹脂に、相溶化剤を配合することにより、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率が改良される。また、難燃剤を添加すると、耐熱性と成形性の諸物性を低下させることなく、難燃性を向上させることができる。
【0058】
【表3】
Figure 0003899527
【0059】
実施例11〜14
表4に示す配合処方に基づいて、実施例1〜4と同様にしてペレット化し、射出成形して物性測定用の試験片を得た。測定結果を表4に示す。表4から明らかなように、実施例11は、相溶化剤の配合量が多すぎる場合であり、ビカット軟化温度と曲げ弾性率が低下しており、実施例12は、充填剤の配合量が少ない場合であり、ビカット軟化温度と曲げ弾性率の低下および成形収縮率の異方性が大きくなっており、実施例13は充填剤の配合量が多すぎる場合であり、アイゾット衝撃強度が低く、実施例14は難燃剤の配合量が多すぎる場合であり、ビカット軟化温度と曲げ弾性率が低下し、いずれも実用に供し得るものであった。
【0060】
【表4】
Figure 0003899527
【0061】
【発明の効果】
本発明の耐熱難燃樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂とノルボルネン系樹脂を必須成分とし、両者を特定量配合したビカット軟化温度が200℃〜330℃である組成物であるため、成形性、異方性、密着性および接着性に優れており、さらにハンダ耐熱性、剛性および難燃性に優れる。

Claims (1)

  1. (a)ポリアリーレンスルフィド樹脂60〜95重量%および(b)一般式(V)で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体または該テトラシクロドデセン誘導体およびこれと共重合可能な不飽和環状化合物の開環重合体を水素添加してなる水素添加重合体からなるノルボルネン系樹脂40〜5重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を主成分とし、ビカット軟化温度が200℃〜330℃である耐熱難燃樹脂組成物。
    Figure 0003899527
    {式中、A、B、CおよびDは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH 2 n COOR 1 、−(CH 2 n OCOR 1 、−(CH 2 n OR 1 、−(CH 2 n CN、−(CH 2 n CONR 3 2 、−(CH 2 n COOZ、−(CH 2 n OCOZ、−(CH 2 n OZ、−(CH 2 n W、またはBとCから構成された−OC−O−CO−、−OC−NR 4 −CO−、もしくは(多)環状アルキレン基を示す。ここで、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は炭素数1〜20の炭化水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSiR 5 p 3-p 〔R 5 は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲン原子、−OCOR 6 または−OR 6 (R 6 は炭素数1〜10の炭化水素を示す)、pは0〜3の整数を示す]、nは0〜10の整数を示す。}
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