JP3898530B2 - V無添加型熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents

V無添加型熱間鍛造用非調質鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は非調質鋼に関し、詳しくは高価なVを添加することなく熱間鍛造後に焼入・焼戻しなどの熱処理を省略しても十分な強度が得られる熱間鍛造用非調質鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来機械構造部品は、通常熱間鍛造後に焼入焼戻し処理、即ち調質処理を施して硬さを調整し、その後に機械加工を施して最終の製品としていた。
しかしながらこの場合、必要な工程数が多くなるとともに製品製造のための所要時間も長くなり、必然的に製造コストが高いものとなる。
【0003】
そこで近年このような調質処理を施さない非調質鋼に対するニーズが高まって来ている。
このような非調質鋼、即ち熱間加工後に焼入・焼戻しなどの調質処理の省略を目的とした非調質鋼として、中炭素鋼(C含有量0.3〜0.5重量%以下同じ)に0.1%程度のVを添加したフェライト+パーライト型非調質鋼が機械構造用部品に広く用いられるようになって来ている。
また更に省コスト化のニーズを背景に、このような非調質鋼の用途も更に拡大している。
【0004】
このV添加型の非調質鋼の場合、Vがカーバイドないしナイトライドとして析出し、その析出硬化によって焼入焼戻し処理をしなくても所要の硬さを発現する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのV添加型非調質鋼において、添加元素としてのVは高価な元素であり、非調質化により熱処理費は削減できるものの、素材費が従来の炭素鋼に比べて大幅に増大してしまう。
近年、機械構造部品を製造するに際しての更なる省コスト化のニーズが増大しており、このようなニーズに対してかかるV添加型非調質鋼では十分に応えることができない。
【0006】
そこでVの代わりにMn,Crの含有量を多くして、V添加型非調質鋼と同じ強度を得ようとする試みもなされているが、この場合、硬さや引張強さは同等のものが得られたとしても、機械構造部品にとって最も重要な特性である耐力がV添加型非調質鋼に比べて低下してしまうといった問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のV無添加型熱間鍛造用非調質鋼はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、重量基準でC :0.3〜0.6%,Si:0.05〜2%,Mn:0.3〜1.8%,P :0.031〜0.2%,s-Al:0.005〜0.045%,N :0.010〜0.025%残部Fe及び不可避的不純物よりなり、熱間鍛造後の組織がフェライト・パーライト組織であり、初析フェライト部の硬さが200〜250HVであってSi,P,Nの含有量が以下の式を満たすことを特徴とする。
0.20≦1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)≦0.3
【0008】
請求項2のものは、請求項1において、更にCr:0.05〜1%,Cu:0.05〜1%,Ni:0.05〜1%を含有していることを特徴とする。
【0009】
請求項3のものは、請求項1において、更にPb:≦0.30%,S :≦0.20%,Te:≦0.30%,Ca:≦0.01%の1種または2種以上を含有していることを特徴とする。
【0010】
請求項4のものは、請求項2において、更にPb:≦0.30%,S :≦0.20%,Te:≦0.30%,Ca:≦0.01%の1種または2種以上を含有していることを特徴とする。
【0011】
【作用及び発明の効果】
本発明者等は、V無添加で鋼として必要な耐力を得るべく、その耐力に対する合金元素の影響を詳細に研究した結果、安価な元素であるP,Si,Nの含有量の増加が耐力向上に有効であること、特にP含有量の増加が極めて有効であることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
【0012】
一般にPは鋼を脆くする元素として考えられており、従来にあってはPをできるだけ少なくする方向で鋼の製造が行われて来た。即ち常識としてPをできるだけ少なくするのが良いとされて来た。
【0013】
例えば焼入焼戻しした鋼は、組織が比較的均一な組織となっており、どの部分もほぼ同等程度の強度を有している。
そこにPが含まれていると、Pが結晶粒界に偏析してその結晶粒界が弱くなってしまう。そのためPを多く含んだ鋼は、Pが偏析した結晶粒界が他の部分に対して局部的に弱い部位となり、そしてそのPの偏析した結晶粒界を起点として破壊が生じ易い。
【0014】
しかるに非調質鋼における熱間鍛造後の組織、即ち熱間鍛造ままの組織であるフェライト・パーライト組織は、Pを比較的多く含有させることによって却って耐力が向上し、しかもPをある程度多く含有させても衝撃値が大きく低下しないことが判明した。
【0015】
それは次のような理由によるものと考えられる。
フェライト・パーライト組織の場合フェライトが非常に軟らかく、このことが非調質鋼における耐力の低さの原因となっている。
即ち外力を加えたときフェライトが容易に変形を起こしてしまい、耐力値が低く出てしまう。
【0016】
フェライト・パーライト組織の場合、耐力を決定しているのはフェライトの軟らかさであり、結晶粒界にPが存在していたとしても同部位が破壊の起点となり難く、フェライトの変形によって外力が吸収される。
換言すればフェライト・パーライト組織の耐力を高めるということは、フェライトの硬さを硬くすることに等しい。
【0017】
この場合において、本発明に従い一定量以上に多く添加したPはフェライトに固溶し、
フェライトを強化する働きをなす。
そしてこれにより従来のV無添加型非調質鋼における弱点であった耐力を効果的に向上せしめる。
【0018】
その際粒界にPが存在していたとしても、外力がフェライトの変形によって吸収されるため、粒界のPが破壊起点となり難く、このためPを一定量以上含有させたとしても、鋼の靭性がそのことによって直ちに損われることはない。
【0019】
但しフェライトの硬さが増大して一定に達すると、その時点でPの存在する結晶粒界が弱点部となり、そこから変形ないし破壊が生じるようになってしまう。
本発明は、フェライトを硬くする一方で、その硬さの上昇を一定以下に抑える点を大きな特徴としている。
【0020】
本発明では、Pの他にSi,Nを多く含有させる。
これらSi,Nもまたフェライトに固溶してこれを硬くし、強化する働きをなす。
しかしながら前述したようにフェライトの硬さが硬くなり過ぎると、フェライトが変形することによって延性を得るということができなくなってしまい、結晶粒界にPが偏析しているとそこから変形ないし割れが発生するようになってしまう。
即ちフェライトの硬さがある一定以上の硬さになると急激に延性が下がってしまう。
【0021】
そこで本発明ではP,Si,Nの固溶によってフェライトを強化する一方で、そのフェライトの強化の程度を一定以下に抑制することが肝要であり、そしてそのために1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)で表わされる値を0.20〜0.3とし且つフェライト硬さを200〜250HVとする技術的思想を確立した。
【0022】
かかる本発明の非調質鋼は、高価な元素であるVを添加しないでも所望の耐力,靭性の得られるものであり、近年求められている更なる省コスト化に対して十分に応え得るものである。
即ち本発明の非調質鋼を用いることで、機械構造用部品を更に安価に且つ簡単に製造できるようになる。
【0023】
本発明においては、上記成分に加えてCr,Cu,Niのそれぞれを0.05〜1%の範囲で含有させることができ(請求項2)、このようになした場合パーライトラメラ間隔を微細化し耐力を有効に向上させることができる。
更にまたその他の成分としてPb:0.30%以下,S:0.20%以下,Te:0.30%以下,Ca:0.01%以下の1種または2種以上を含有させることができ(請求項3,請求項4)、これによって非調質鋼における被削性を効果的に高めることができる。
【0024】
次に本発明における合金の化学成分の限定理由を以下に詳述する。
C :0.3〜0.6%
Cは強度を確保するのに有効な元素であり、このような効果を得るためには0.3%以上含有させることが必要である。但し多過ぎると硬さが高くなり過ぎ、被削性が低下するので0.6%以下とする必要がある。
【0025】
Si:0.05〜2%
Siは鋼溶製時において脱酸作用を有しているとともに、フェライト中に固溶し、フェライトの強度を有効に向上させる。これによりVの代替として耐力を向上させる働きがある。
このような効果を得るためには0.05%以上含有させることが必要である。但し含有量が多過ぎると被削性を劣化させたり、熱間鍛造時の加熱により表面で著しい脱炭が生じるので2%以下とする必要がある。
【0026】
Mn:0.3〜1.8%
Mnはパーライトラメラ間隔を微細化し、耐力を向上させるのに有効で必要に応じて含有させる。しかし多量に添加すると空冷でもベイナイトが発生して被削性を著しく低下させるため0.3〜1.8%とする。
【0027】
P:0.031〜0.2%
通常Pは粒界に偏析して粒界強度を低下する脆化元素として知られており、一般の鋼ではできるだけ低減することが望まれている。
しかしながらPの脆化について検討した結果、通常機械構造用に用いられている30HRC以下の材料でフェライト・パーライト組織を有する場合には、Pによる脆化の影響が小さいことを見出した。これは適正量のP添加は靭性を低下させることなく高強度化を達成できることを意味している。
このようなPの効果を得るためにP含有量を0.031〜0.2%に規定した。
尚Pの望ましい含有量範囲は0.05超〜0.15%である。
【0028】
s-Al:0.005〜0.045%
s-Alは鋼中のNと窒化物を形成して鋼中に微細に分散し、熱間鍛造時の結晶粒成長を抑制する。このような効果を得るためにも0.005%以上の添加が必要である。しかし多量に添加してもその効果が飽和するので上限を0.045%以下とした。
【0029】
N :0.010〜0.025%
NはAlと窒化物を形成し、この窒化物の微細な析出により熱間鍛造時の結晶粒成長を抑制する。またAlと窒化物を形成しないNもフェライトを固溶強化し、Vと同様に耐力を効果的に向上させる。
このような効果を得るためにも0.010%以上の添加が必要である。但し多量に添加してもその効果は飽和するので上限を0.025%とした。
【0030】
Cr:0.05〜1%
CrはMnと同様にパーライトラメラ間隔を微細化し、耐力を有効に向上させる添加元素である。
また、スクラップを原料とした製鋼法では必然的にある程度のCrが不純物として混入し、添加するとしても不足分を添加するだけであり、経済的に有利になる。
【0031】
本発明では不純物として混入するCrを強靭化するに有効活用することを検討した。
その結果、不純物として混入するCrを0.05%以下に精錬することは著しいコストアップを招くため、Crを含有するとしても0.05%以上とした。
また不純物として混入する場合も、1%以上混入することは極めて稀であり、またMnと同様に多量にCrを含有した場合、ベイナイトが発生して被削性を著しく低下させるため、上限を1%とした。
【0032】
Cu:0.05〜1%
Ni:0.05〜1%
Cu,NiはMn,Crと同様にパーライト部のラメラ間隔を微細化し、耐力を有効に向上させる。一方、過剰な添加はベイナイトの発生を招き、被削性を低下させる。
またCrと同様にこれらの元素はスクラップ原料中に多く含まれるようになって来ており、スクラップを原料とした製鋼法では必然的にある程度含有される。
【0033】
このためCrと同様に不純物として混入するこれらの元素も強靭化のために有効活用することを検討した。
その結果、これらの元素を0.05%以下に精錬することは著しいコストの増加を招き、1%以上混入することは極めて稀である。
また前述したように多量の添加はベイナイトの発生を招くためそれぞれの含有量を0.05〜1%とした。
【0034】
Pb:≦0.30%,S :≦0.20%,Te:≦0.30%,Ca:≦0.01%のうちから選ばれる1種または2種以上
Pb,S,Te,Ca 何れも被削性を向上させるのに有効な元素であるので、鍛造品において被削性が要求される場合には必要に応じてこれらのうちから選ばれる1種または2種以上を適量添加するのも良い。
しかしながら添加量が多過ぎると熱間加工性や疲れ限度を低下させるので、添加するとしてもPbは0.30%以下,Sは0.20%以下,Teは0.30%以下,Caは0.01%以下とする必要がある。
【0035】
0.20≦1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)≦0.3
P含有量の増加は耐力向上に非常に有効であるが、過剰に添加すると著しい脆化を招くことがある。これは、P含有量の増加とともに初析フェライト部の強度が増加し、その強度がPによって低下している粒界破壊強度を超えると、粒界から破壊が生じるために著しい脆化が生じることによる。
このような現象を防止するため、初析フェライト部が過剰に強化されないようにする必要がある。前述したように初析フェライトを強化する元素はP以外にもSi,Nがあり、そこでこれらの含有量が次式
0.20≦1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)≦0.3
を満たすようにする。これによりP含有量増加による著しい脆化を防止することができる。
【0036】
初析フェライト部硬さ200〜250HV
フェライト・パーライト鋼では軟らかい初析フェライト部より塑性変形が開始される。
従って初析フェライト部の硬さを上げることにより耐力を向上させることができる。このため初析フェライト部の硬さを200HV以上とする必要がある。
しかしながら、初析フェライト部の硬さが250HVを超えると本発明の特徴であるP添加によって、脆化した粒界の強度より初析フェライトの降伏強度が高くなるため急激に靭性が低下する。このため熱間鍛造後の初析フェライト部の硬さを250HV以下とする必要がある。
【0037】
【実施例】
次に本発明の実施例を以下に詳述する。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間鍛造を行って50mm角の鍛造素材とし、これを1200℃で60分加熱保持した後、直径22mmの丸棒に熱間鍛造を行い、適当な間隔をおいて地面に放置し室温まで放冷した。
【0038】
この直径22mmの丸棒材より試験片を切り出し試験に供した。
また一部の供試材についてドリル加工能率を測定し、被削性の評価を行った。
結果が表1に併せて示してある。
ここで表1中の硬さ(HRC)は各鍛造品の中心部の硬さをロックウェル硬度計で測定した結果を、フェライト硬さ(HV)は初析フェライト部の硬さをマイクロビッカース硬さ計を用いて測定荷重10gで測定した結果を、また耐力は引張試験により0.2%耐力を測定した結果を示している。
【0039】
更に工具寿命は、表2に示す条件の下でドリル試験を行って測定し、発明例No.16を100とした場合の相対的な値をドリル加工能率として表した。
尚、表1中の耐力比は0.2%耐力を引張強さで割った値である。この耐力比は、その値が大きいほど製造性と強度のバランスが優れていることを表している。
耐力値は引張強さが大きくなるほど、つまり硬さが硬くなるほど高くなるが、この場合硬さが硬くなると機械加工がし辛くなり製造性が低下する。
この意味において硬さ、つまり引張強さに対して耐力の値が相対的に大きい材料が強度及び製造性において優れているということになる。その指標となるのが耐力比の値である。
【0040】
【表1】
Figure 0003898530
【0041】
尚試作した鋼には0.0020%以下の酸素,0.02%以下のMoが不純物として含まれていた。
【0042】
【表2】
Figure 0003898530
【0043】
上記表1の結果は以下の点を示している。
即ち、本発明例のものはVを添加していないに拘らず、S40Cに対してVを0.1%添加した従来のV添加型調質鋼(従来鋼a)と同程度の耐力比,衝撃値が得られている。
更にまた快削元素を添加したNo.17〜No.20の発明例は、同程度のNo.16の発明例のものに比べて被削性が改善されている。
【0044】
これに対して比較例のものは以下のような問題点を有している。
先ず比較例Aのものは、1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)で表される値が本発明の下限値0.20より低く、またこれに伴って初析フェライト部の硬さが本発明の下限値である200よりも低く、その結果として0.2%耐力及び耐力比が低くなっている。
【0045】
また比較例Bのものは、Cの含有量が本発明の範囲を超えて低く、このため硬さが12.2と低く、機械構造用鋼としては適さないものとなっている。
次に比較例Cのものは、逆にCの含有量が本発明の範囲を超えて高過ぎるため硬さが硬く、被削性の点で問題があるとともに衝撃値も著しく低くなっている。
【0046】
比較例Dのものは、Siの含有量が本発明の範囲を超えて多く、そのため硬さが硬くなっており、またこれに伴って衝撃値が12.3と低くなっている。
比較例E,FのものはMn,Crの含有量が高過ぎ、このため熱間鍛造後空冷ままでもベイナイトが発生し、硬さが40弱程度と著しく硬く、また衝撃値も低くなっている。
【0047】
比較例G,HのものはP含有量が高過ぎ、また比較例Hでは1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)が0.3を超えているため衝撃値が低下している。
次に比較例I,Jのものは、Cu,Niの含有量が高過ぎるために熱間鍛造後空冷ままでもベイナイトが発生し、硬さが著しく硬く、また衝撃値も低くなっている。
【0048】
比較例Kのものは、s-Alの含有量が低過ぎるために熱間鍛造時に結晶粒が粗大化し、衝撃値が低くなっている。
次に比較例Lのものは、Nの含有量が低過ぎるために熱間鍛造時に結晶粒が粗大化し、衝撃値が低くなっている。
【0049】
また比較例Mのものは、合金組成については本発明の範囲内にあるものの1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)が0.3を超えているため、即ちフェライトが硬くなり過ぎているため、耐力比は高い値が出ているものの衝撃値が低くなっている。
また比較例N,O,Pのものは、快削元素を過剰に添加しているため衝撃値が低くなっている。
【0050】
以上のように本発明においては、1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)の値を0.20〜0.3として初析フェライト部の硬さを200〜250HVとすることで良好な結果が得られる。
尚図1に示しているように上記式で表される値と初析フェライト部の硬さとの間には相関があり、上記式で表される値を0.20〜0.3とすることで初析フェライト部硬さ200〜250HVが得られる。
【0051】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の非調質鋼は、高価な元素であるVを添加しないでも所望の耐力,靭性の得られるものであり、近年求められている更なる省コスト化に対して十分に応え得るものである。
即ち本発明の非調質鋼を用いることで、機械構造用部品を更に安価に且つ簡単に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において得られた1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)と初析フェライト部硬さとの関係を比較例及び従来鋼のそれと併せて示した図である。

Claims (4)

  1. 重量基準で
    C :0.3〜0.6%
    Si:0.05〜2%
    Mn:0.3〜1.8%
    P :0.031〜0.2%
    s-Al:0.005〜0.045%
    N :0.010〜0.025%
    残部Fe及び不可避的不純物よりなり、熱間鍛造後の組織がフェライト・パーライト組織であり、初析フェライト部の硬さが200〜250HVであってSi,P,Nの含有量が以下の式を満たすことを特徴とするV無添加型熱間鍛造用非調質鋼。
    0.20≦1/10Si(%)+3/5P(%)+6N(%)≦0.3
  2. 請求項1において、更に
    Cr:0.05〜1%
    Cu:0.05〜1%
    Ni:0.05〜1%
    を含有していることを特徴とするV無添加型熱間鍛造用非調質鋼。
  3. 請求項1において、更に
    Pb:≦0.30%
    S :≦0.20%
    Te:≦0.30%
    Ca:≦0.01
    1種または2種以上を含有していることを特徴とするV無添加型熱間鍛造用非調質鋼。
  4. 請求項2において、更に
    Pb:≦0.30%
    S :≦0.20%
    Te:≦0.30%
    Ca:≦0.01
    1種または2種以上を含有していることを特徴とするV無添加型熱間鍛造用非調質鋼。
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JPH08246051A (ja) 加工性に優れた中炭素鋼板の製造方法

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