JP3897533B2 - 水系インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録液、ボールペン用インク、マーカー用インク、トナー、ペンキ、ラッカースプレー用塗料、マジックインク等に好適に使用しうる油溶性染料に関する。なお、本明細書にいう油溶性染料とは、非水溶性染料全般を意味する。
【0002】
本発明は、また、水系インクに関する。更に詳しくは、インクジェット記録用水系インク等として好適に使用しうる水系インクに関する。
【0003】
【従来の技術】
油溶性染料は、有機溶媒等に溶解させたり、水中に分散させたり、あるいはポリマー中に含有させた後に水中に分散させることにより、前記各種用途に使用されている。
【0004】
油溶性染料として、種々のものが製造されているが、色調に優れ、かつ耐光性及び耐候性が良好であり、耐酸性及び耐アルカリ性を有し、有機溶媒に充分に溶解性しうる油溶性染料が殆どないのが現状である。
【0005】
例えば、油溶性のマゼンタ染料として、モノアゾ系染料(C.I.ソルベント・レッド1, 3等)、ジスアゾ系染料(C.I.ソルベント・レッド 18, 24, 27 等)、金属錯体系染料(C.I.ソルベント・レッド 8, 132 等)、アントラキノン系染料(C.I.ソルベント・レッド 52, 111, 145, 146, 149, 150, 151, 155等)、キサンテン系染料(C.I.ソルベント・レッド 49, 218等)、アミノケトン系染料(C.I.ソルベント・レッド 109, 179, 180等)、ペリノン系染料(C.I.ソルベント・レッド 135, 176 等)等が知られている。これらのうち、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯体系、アントラキノン系、アミノケトン系及びペリノン系油溶性染料は、トルエン等の極性の低い有機溶媒に対する溶解性が低く、また色調に劣るものが多い。また、キサンテン系油溶性染料は、耐光性に劣るという欠点がある。
【0006】
イエロー染料の場合、アゾ系染料(C.I.ソルベント・イエロー 14, 16, 29, 33, 44, 56, 77, 79, 82, 93, 114, 116, 117)等が市販されているが、いずれも極性の低い有機溶媒に対する溶解度が低く、取扱い性に劣るという欠点がある。シアン染料として、金属フタロシアニン系染料、トリフェニルメタン系染料及びアントラキノン系染料(C.I.ソルベント・ブルー 14, 25, 35, 38, 70, 83, 94, 105等)が知られているが、イエロー染料と同様の欠点を有する。
【0007】
また、耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を有する分散染料も、一般に有機溶媒に対する溶解性が低い。
【0008】
一方、酸性染料等の水溶性染料には、色調及び堅牢性に優れている染料が存在する。このような染料を、例えばオクチルアミン等の疎水性の高い塩基性化合物で中和すると、染料の特徴を保持しながら有機溶媒に対する溶解性を持たせることができる。しかし、このような染料は、耐酸性及び耐アルカリ性に劣る。
【0009】
工業用途を除くパーソナルユース、オフィスユース等のプリンターの水系インクには、ブラックインクとしてカーボンブラック分散インクが一部使用されているが、その大半に水溶性染料が使用されている。また、カラーインクにおいては、水溶性染料が主流となっている。
【0010】
しかし、水溶性染料が使用されている水性インクには、耐水性に著しく劣るという欠点がある。
【0011】
耐水性を向上させるために、顔料分散型のインクが開発されているが、特にカラーインクにおいては、分散性、高い色再現性のための色調、印字濃度及び信頼性の点で不十分である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性、耐光性及び溶媒溶解性に優れた油溶性染料を提供することを課題とする。
【0013】
本発明は、また、色調が良好であり、優れた耐水性、耐光性及び耐候性を印字物に付与し、保存安定性に優れた水系インクを提供することを課題とする。更に、本発明は、印字ヘッドで目詰まりを生じがたい、インクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1)分子内に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料をアミド化処理してなる油溶性染料を含有してなる水系インク、並びに
)分子内に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料をハロゲン化した後、引き続いてアミド化して得られる油溶性染料を、水系インクの染料として配合する水系インクの製造方法
に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
分子内にスルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料としては、分子内にスルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する、酸性染料、反応染料、直接染料及び食用色素が挙げられる。
【0016】
酸性染料としては、例えば、
C.I.アシッド・イエロー 1, 2, 5, 7, 16, 17, 23, 24, 26, 28, 29, 31, 41, 44, 48, 50, 51, 52, 52:1, 58, 60, 62, 63, 64, 67, 72, 76, 77, 94, 107, 108, 109, 110, 112, 115, 118, 119, 121, 122, 131, 132, 139, 140, 155, 156, 157, 158, 159, 172, 191等、好ましくはC.I.アシッド・イエロー5, 17, 23 ;
【0017】
C.I.アシッド・ブラック 1, 3, 4, 7, 11, 12, 13, 14, 17, 18, 19, 23, 25, 29, 34, 36, 38, 39, 40, 41, 42, 44, 49, 50, 53, 55, 59, 61, 64, 70, 71, 72, 75, 76, 78, 79, 98, 99, 110, 111, 112, 114, 116, 118, 119, 122, 127, 128, 131, 135, 141, 142, 143, 151, 159, 161, 162, 163, 164, 165, 169, 172, 174, 190, 195, 196, 197, 199, 218, 219, 222, 227 等;
C.I.アシッド・オレンジ 7, 8, 10, 19, 20, 24, 28, 33, 41, 45, 51, 56, 64 等;
【0018】
C.I.アシッド・レッド 1, 4, 6, 8, 9, 13, 14, 15, 18, 19, 21, 26, 27, 30, 32, 34, 35, 37, 40, 42, 44, 51, 52, 54, 57, 62, 75, 77, 80, 82, 83, 85, 87, 88, 89, 92, 94, 97, 106, 108, 110, 111, 114, 115, 117, 118, 119, 127, 128, 129, 130, 131, 133, 134, 135, 138, 143, 144, 145, 151, 152, 154, 155, 158, 168, 172, 176, 180, 183, 184, 186, 187, 194, 198, 199, 209, 211, 215, 216, 217, 219, 249, 252, 254, 256, 257, 261, 262, 263, 265, 266, 274, 276, 282, 283, 289, 299, 301, 305, 317, 318, 320, 321, 322, 336, 337, 361, 396, 397 等、好ましくはC.I.アシッド・レッド35, 37, 40, 52, 87, 92, 265, 289;
【0019】
C.I.アシッド・バイオレット 5, 7, 11, 15, 34, 35, 41, 43, 47, 48, 49, 51, 75, 90, 103, 126 等;
【0020】
C.I.アシッド・ブルー 1, 7, 9, 15, 22, 23, 25, 27, 29, 40, 41, 43, 45, 51, 53, 54, 55, 56, 59, 60, 62, 72, 74, 76, 78, 80, 81, 82, 83, 90, 92, 93, 100, 102, 103, 104, 106, 111, 112, 113, 117, 120, 124, 126, 127, 129, 130, 131, 138, 140, 142, 143, 145, 151, 154, 158, 161, 166, 167, 168, 170, 171, 175, 181, 182, 183, 184, 187, 192, 199, 203, 204, 205, 207, 220, 221, 229, 230, 232, 234, 236, 247, 249, 258, 260, 264, 271, 277, 278, 279, 280, 288, 290, 326等、好ましくはC.I.アシッド・ブルー9 ;
【0021】
C.I.アシッド・グリーン3, 9, 12, 16, 19, 20, 25, 27, 41, 44等;
C.I.アシッド・ブラウン4, 14 等;
が挙げられる。
【0022】
反応染料としては、例えば、
C.I.リアクティブ・ブラック 1, 3, 4, 5, 6, 8, 12, 14, 21, 23, 26, 31, 32, 34, 37 等、好ましくはC.I.リアクティブ・ブラック37;
C.I.リアクティブ・イエロー1, 2, 3, 12, 13, 14, 15, 17, 18, 23, 24, 25, 26, 27, 29, 35, 37, 41, 42 等;
C.I.リアクティブ・オレンジ2, 5, 7, 16, 20, 24 等;
【0023】
C.I.リアクティブ・レッド 3, 6, 7, 11, 12, 13, 15, 17, 19, 21, 22, 23, 24, 29, 35, 36, 37, 40, 41, 42, 43, 45, 49, 55, 63, 66, 84, 120, 180, 184 等、好ましくはC.I.リアクティブ・レッド23, 24, 120, 180;
C.I.リアクティブ・バイオレット1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 16, 17, 22, 23, 24, 26, 27, 33, 34 等;
【0024】
C.I.リアクティブ・ブルー2, 3, 5, 7, 8, 10, 12, 13, 14, 15, 17, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 27, 28, 29, 37, 38, 40, 41 等;
C.I.リアクティブ・グリーン 5, 7 等;
C.I.リアクティブ・ブラウン 1, 7, 16 等
が挙げられる。
【0025】
直接染料としては、例えば、
C.I.ダイレクト・ブラック2, 4, 9, 11, 14, 17, 19, 22, 27, 32, 36, 38, 41, 48, 51, 56, 62, 69, 71, 74, 75, 77, 78, 80, 91, 94, 97, 105, 106, 107, 108, 112, 113, 114, 117, 118, 121, 122, 125, 132, 133, 146, 154, 166, 168, 171, 173, 194, 199 等;
【0026】
C.I.ダイレクト・イエロー 1, 2, 4, 8, 9, 11, 12, 24, 26, 27, 28, 29, 33, 34, 35, 39, 41, 42, 44, 48, 50, 51, 53, 58, 59, 68, 72, 85, 86, 87, 88, 89, 93, 95, 96, 98, 100, 106, 108, 109, 110, 127, 130, 132, 135, 141, 142, 144, 161, 163等、好ましくはC.I.ダイレクト・イエロー86, 132;
【0027】
C.I.ダイレクト・オレンジ 6, 8, 10, 26, 29, 39, 41, 49, 51, 62, 102等;
C.I.ダイレクト・レッド1, 2, 4, 8, 9, 11, 13, 15, 17, 20, 23, 24, 26, 28, 31, 33, 37, 39, 44, 46, 47, 48, 51, 59, 62, 63, 72, 73, 75, 76, 77, 79, 80, 81, 83, 84, 85, 87, 89, 90, 92, 94, 95, 99, 101, 108, 110, 111, 113, 145, 173, 184, 189, 197, 201, 207, 211, 212, 214, 218, 220, 221, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 232, 233, 240, 241, 242, 243, 247, 250, 256,257, 321 等;
【0028】
C.I.ダイレクト・バイオレット 1, 7, 9, 12, 35, 47, 48, 51, 66, 90, 93, 94, 95, 98, 100, 101等;
C.I.ダイレクト・ブルー 1, 2, 6, 8, 10, 12, 15, 22, 25, 34, 41, 55, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 75, 76, 77, 78, 80, 81, 82, 83, 84, 86, 87, 90, 98, 106, 108, 109, 110, 120, 123, 151, 156, 158, 159, 160, 163, 165, 168, 189, 192, 193, 194, 195, 196, 199, 200, 201, 202, 203, 207, 211, 213, 214, 218, 225, 226, 229, 236, 237, 239, 244, 246, 248, 249, 251, 252, 258, 264, 270, 280, 287, 288, 289, 291 等、好ましくはC.I.ダイレクト・ブルー86, 199;
【0029】
C.I.ダイレクト・グリーン1, 6, 8, 28, 33, 37, 63, 64 等;
C.I.ダイレクト・ブラウン1A, 2, 6, 25, 27, 44, 58, 95, 100, 101, 106, 112, 173, 194, 195, 209, 210, 211等
が挙げられる。
【0030】
食品用色素としては、例えば、C.I.フード・ブラック1, 2等;
C.I.フード・イエロー 3, 4, 5等; C.I.フード・レッド2, 3, 7, 9, 14, 52, 87, 92, 94, 102, 104, 105, 106等; C.I.フード・バイオレット 2等; C.I.フード・ブルー 1, 2 等; C.I.フード・グリーン2, 3等が挙げられる。
【0031】
これらの中では、C.I.アシッド・レッド 289、C.I.アシッド・イエロー 23 、C.I.アシッド・イエロー 17 、C.I.ダイレクト・イエロー 86 及びC.I.ダイレクト・イエロー 132は、優れた色再現性を有し、色調、耐光性及び耐候性に優れている観点から、好ましい。
【0032】
本発明の油溶性染料は、前記水溶性染料のスルホン基及び/又はカルボキシル基をアミド化することにより、製造することができる。アミド化の前に、ハロゲン化することが好ましく、ハロゲン化のうち、塩素化がさらに好ましい。
【0033】
水溶性染料のハロゲン化は、有機溶媒中で行なうことができる。有機溶媒としては、水溶性染料を溶解させるものであればよく、特に限定がない。有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、塩化チオニル、トルエン、メチルエチルケトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾゾリジノン、2−ピロリドン等の非プロトン性溶媒等が挙げられる。これらの中では、1,3−ジメチル−2−イミダゾゾリジノン及びクロロホルムは、染料溶解性、ハロゲン化剤に対する不活性、コスト等の観点から好適に使用しうるものである。有機溶媒の量は、特に限定がないが、通常、水溶性染料100重量部に対して、500〜100000重量部程度であることが好ましい。
【0034】
なお、水溶性染料をハロゲン化させる際には、触媒を使用することが好ましい。かかる触媒としては、式:
HCONR1 2
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基を示す)
で表されるジアルキルホルムアミド等が挙げられる。R1 及びR2 の中では、メチル基及びエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。触媒の中では、N,N−ジメチルホルムアミドは、好適に使用しうるものである。
【0035】
触媒の量は、反応速度、収率、コスト等の観点及び水洗等の単離精製時の収率の観点から、水溶性染料1モルに対して、0.001〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、更に好ましくは1〜50モルであることが望ましい。
【0036】
水溶性染料及び触媒をあらかじめ有機溶媒に溶解させ、得られた水溶性染料溶液にハロゲン化剤を添加することにより、水溶性染料のハロゲン化を容易に行なうことができる。
【0037】
なお、水溶性染料をハロゲン化させる際には、その反応系内をあらかじめ不活性ガスで置換し、不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。かかる不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。これらの中では、窒素ガスが好ましい。
【0038】
水溶性染料溶液に、ハロゲン化剤を添加する際の溶液温度は、反応の安定化、安全性、副反応の抑制等の観点、及び反応速度、収率、コスト等の観点から、0〜80℃、好ましくは0〜60℃、更に好ましくは10〜40℃であることが望ましい。
【0039】
ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩素ガス、塩酸、五塩化リン、塩化ホスホニル、塩化スルホニル、ホスゲン等が挙げられるが、これらの中では、反応収率、安全性及びコストの観点から、塩化チオニルが好ましい。ハロゲン化剤の量は、水溶性染料に存在しているスルホン基及び/又はカルボキシル基が充分にハロゲン化させることができる量であることが好ましい。通常、ハロゲン化剤の量は、水溶性染料に存在しているスルホン基及びカルボキシル基の合計量1モルあたり、1〜100モルの割合であることが好ましい。
【0040】
ハロゲン化剤の添加後には、ハロゲン化反応を充分に進行させるために、15〜85℃、好ましくは15〜35℃の温度で、1〜24時間程度熟成を行なうことが望ましい。また、必要により、前記触媒をさらに追加し、熟成を行なってもよい。ハロゲン化反応を充分に進行させた後、通常は、水洗工程により、ハロゲン化剤、例えば塩化チオニルを除去してからアミド化を行なうことができる。また、水洗工程を行なわずに、直ちにアミド化を行なうこともできる。
【0041】
次に、得られた反応溶液に引き続いてアミド化剤を添加することにより、ハロゲン化された水溶性染料のアミド化を行なうことができる。かかるアミド化剤としては、溶媒に対する生成物の溶解性、生成物の吸光度等の観点から、一級アミン、二級アミン又は分子内にアミノ基を有する塩基性染料を用いることが好ましい。
【0042】
一級アミンは、式:
NH2 3
〔式中、R3 は炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数12〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数3〜14のトリアルキルシリル基、アルキル基の炭素数が1〜12であるフルオロアルキル基を示す〕
で表される一級アミンが挙げられる。一級アミンの炭素数は、非水溶性の観点から6以上であることが好ましい。また、染料の発色性を向上させる観点から、分子内にアミノ基を有する塩基性染料(C.I. ベーシック・レッド9, C.I. ベーシック・ブルー5等)をアミド化剤として使用することが好ましい。
【0043】
二級アミンは、式:
HNR4 5
〔式中、R4 及びR5 は、それぞれ独立して、炭素数2〜12、好ましくは4〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜10のトリアルキルシリル基、アルキル基の炭素数が1〜12であるフルオロアルキル基であるか、又はR4 及びR5 は一緒になって複素環を形成していてもよい〕
で表される二級アミン等が挙げられる。炭素数2〜12、好ましくは4〜10のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの中では、ヘキシル基、n−オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、12以下、好ましくは10以下であることが吸光度が適切となるので望ましい。炭素数6〜10のアリール基の中では、フェニル基、ベンジル基等が好ましい。炭素数3〜10のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基が好ましい。トリス(トリフルオロアルキル)アルキル基としては、トリス(トリフルオロメチル)メチル基が好ましい。また、R4 及びR5 が一緒になって複素環を形成する場合、かかる複素環は5員環又は6員環であることが好ましい。
【0044】
アミド化剤の中では、生成物の溶媒に対する溶解性、生成物の吸光度等の観点から、ヘキサメチルジシラザンに代表される式:
【0045】
【化1】
Figure 0003897533
【0046】
(式中、Ra 、R b、Rc 、R d、Re 及びRf は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表されるヘキサアルキルジシラザン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジヘキシルアミン及びジ2−エチルヘキシルアミンが好ましい。特に、ジ−2−エチルヘキシルアミンが好ましい。一級アミンは、低分子量では非水溶化が不十分の場合があり、高分子量では耐アルカリ性及び吸光度の面で不十分となる場合があるので、二級アミンが好ましい。
【0047】
アミド化剤の量は、反応速度及び収率の観点、並びに水洗時の収率の観点から、スルホン基及びカルボキシル基の合計量1モルあたり、1.2〜20モル、好ましくは1.2〜10モルであることが望ましい。
【0048】
アミド化剤を添加する際には、前記反応溶液の液温は、反応速度及び収率の観点、並びにアミド化剤と溶媒の沸点を考慮すれば、0〜60℃、好ましくは10〜20℃であることが望ましい。
【0049】
また、アミド化の際の雰囲気は、反応中間体(ハロゲン化物)の安定性の面から、前記と同様の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0050】
アミド化剤を添加した後には、アミド化を充分に進行させるために、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の温度で1〜24時間程度熟成を行なうことが望ましい。
【0051】
かくして油溶性染料が得られるが、得られた油溶性染料を含む反応溶液を、水、アルカリ水等で洗浄し、ヘキサン等で析出させ、濾過することにより、該油溶性染料を回収することができる。回収された油溶性染料は、必要により、乾燥させたり、あるいは更に洗浄することができる。
【0052】
分子内に−SO2 NR4 5 (式中、R4 及びR5 は前記と同じ)で表される基及び−CONR4 5 (式中、R4 及びR5 は前記と同じ)で表される基からなる群より選ばれた1種以上の基を有する油溶性染料が好ましい。
【0053】
本発明において好適に使用しうる分子内に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料において、C.I.アシッド・レッド 289、C.I.アシッド・イエロー 23 、C.I.アシッド・イエロー 17 及びC.I.ダイレクト・イエロー132 は、それぞれ、式(I):
【0054】
【化2】
Figure 0003897533
【0055】
〔式中、R6 及びR7 はそれぞれ独立して−SO2 NR4 5 (R4 及びR5 は前記と同じ)を示す〕
で表される油溶性染料、式(II):
【0056】
【化3】
Figure 0003897533
【0057】
〔式中、R6 及びR7 は前記と同じ。R8 は−CONR4 5 (R4 及びR5 は前記と同じ)を示す〕
で表される油溶性染料、式(III):
【0058】
【化4】
Figure 0003897533
【0059】
(式中、R6 及びR7 は前記と同じ)
で表される油溶性染料、及び式(IV):
【0060】
【化5】
Figure 0003897533
【0061】
(式中、R8 は−SO2 NR4 5 (R4 及びR5 は前記と同じ)を示す)
で表される油溶性染料に対応する。
【0062】
式(I)〜(IV)で表される油溶性染料は、水溶性染料から製造されないものであってもよい。
【0063】
本発明の油溶性染料は、前記したように、優れた、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性、耐光性及び溶媒溶解性を併せ持つので、例えば、インクジェット記録液、ボールペン用インク、マーカー用インク、トナー、ペンキ、ラッカースプレー用塗料、マジックインク等に好適に使用しうるものである。
【0064】
油溶性染料を含有するエマルジョンは、
I.油溶性染料が単独でエマルジョン中に分散している分散体、及び
II.油溶性染料が、エマルジョン中のポリマー粒子中に含有されている分散体
の双方を意味する。これらの態様の中では、後者(II)の態様が、インクの分散安定性及び吐出安定性の観点から好ましい。
【0065】
油溶性染料が単独でエマルジョン中に分散している分散体は、油溶性染料が分散剤や界面活性剤によって水中に分散された水分散体又は自己分散性処理が施された油溶性染料の水分散体である。
【0066】
油溶性染料を含有するポリマーエマルジョンのポリマー成分としては、ポリエステル系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー等が挙げられるが、なかでもビニル系ポリマーが好ましい。ビニル系ポリマーとしては、(a)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン系モノマーからなる群より選ばれた1種以上のビニル系モノマーと、(b)塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと、(c)ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとを含有するモノマー組成物を共重合させて得られたポリマーが好ましい。
【0067】
ビニル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコールメタクリレート等のメタクリル酸エステル;及びスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
【0068】
塩生成基を有する重合性不飽和モノマーとしては、塩生成基を有するカチオン性モノマー及び塩生成基を有するアニオン性モノマーが挙げられる。
【0069】
塩生成基を有するカチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−(N’,N’- ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0070】
塩生成基を有するアニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0071】
ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーとしては、アクリルアミド系モノマー、メタクリルアミド系モノマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーンマクロマー、片末端に重合性官能基を有するメタクリル酸エステル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するポリエステル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するポリウレタン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するポリアルキルエーテルマクロマー、水酸基含有モノマー、式(V):
CH2 =C(R7 )COO(R8 O)p 9 (V)
(式中、R7 は水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基、R8 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R9 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の数を示す)で表されるモノマー等が挙げられ、それらのモノマーは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、それらのモノマーは、例示であり、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0072】
水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))メタクリレート等が挙げられる。それらの中では、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0073】
式(V)で表されるモノマーは、本発明の水系インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた効果を発現するものである。
【0074】
式(V)で表されるモノマーの具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(V)中のpの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。また、「(イソ)プロポキシ」は、n−プロポキシ又はイソプロポキシを示す。
【0075】
前記共重合可能なモノマーの中では、シリコーンマクロマー、メタクリル酸エステル系マクロマー及びスチレン系マクロマーが好ましい。
【0076】
モノマー組成物におけるビニル系モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、1〜40重量%、好ましくは2〜20重量%であることが望ましい。
【0077】
モノマー組成物における塩生成基を有する重合性不飽和モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、2〜40重量%、好ましくは5〜20重量%であることが望ましい。
【0078】
モノマー組成物におけるビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、60〜90重量%、好ましくは70〜85重量%であることが望ましい。
【0079】
なお、モノマー組成物には、必要により重合連鎖移動剤を含有されていてもよい。
【0080】
ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー組成物を共重合させることによって得ることができる。これらの方法の中では、特に溶液重合法が好ましい。
【0081】
溶液重合法を採用する際に使用される溶媒としては、エタノール、プロパノール等の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族溶剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0082】
ポリマーの重量平均分子量は、後述の実施例6〜10及び比較例16〜22に準じてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときに、3000〜100000、好ましくは3000〜50000 であることが、プリンタヘッドの焦げつきを回避する観点、並びに印刷後のインクの耐久性及び分散体の安定性の観点から望ましい。
【0083】
油溶性染料をエマルジョン中のポリマー粒子中に含有させるには、強制乳化法、転相乳化法、分散重合法、乳化重合法等の公知の乳化法を用いることができるが、なかでも強制乳化法が好ましい。
【0084】
ポリマーエマルジョン中における油溶性染料の量は、印字濃度及びポリマー微粒子への含有のさせやすさの観点から、ポリマーの固形分100重量部に対して5〜900重量部、好ましくは10〜400重量部であることが望ましい。
【0085】
また、水系インク中におけるポリマーエマルジョンの固形分の含有量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%であることが望ましい。
【0086】
ポリマーエマルジョンに含有されている油溶性染料を含有するポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性の観点から、20〜200nmであることが好ましい。
【0087】
なお、アニオン性モノマーが共重合されたポリマーが使用されたポリマーエマルジョンを使用する場合には、水系インクにおける分散安定性を維持するため、陰イオン界面活性剤又は両性活性剤を用いることが好ましい。一方、カチオン性モノマーが共重合されたポリマーが使用されたポリマーエマルジョンを使用する場合には、水系インクにおける分散安定性を維持する観点から、陽イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0088】
また、本発明の水系インクには、必要により、湿潤剤を含有させてもよい。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類及び尿素、エチレン尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ホルムアミド、トリメチルグリシン、メチルグリシン、6−アミノ−n−カプロン酸等のアミノ酸等の含窒素化合物が挙げられる。これらの湿潤剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0089】
また、水系インクには、必要により、本発明の目的が阻害されない範囲内で、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、キレート剤等の添加剤を含有させることができる。
【0090】
【実施例】
実施例1〔油溶性染料Aの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、マゼンタ酸性染料〔C.I.アシッド・レッド 289、中外化成(株)製、商品名: Chugai Aminol Fast Pink R H/C〕5gを入れ、充分に窒素置換した。
【0091】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド1.3g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル2.2gを滴下した。滴下終了後、室温(25℃)で3時間熟成して塩素化反応溶液を得た。
【0092】
得られた塩素化反応溶液に、N,N−ジメチルホルムアミド10gを添加した。再度、該フラスコを氷浴に漬け、3℃でジオクチルアミン7.4gを滴下してアミド化反応させた後、室温(25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0093】
【化6】
Figure 0003897533
【0094】
で表される油溶性染料Aを得た。収率は、74%であった。
【0095】
実施例2〔油溶性染料Bの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、イエロー酸性染料〔C.I.アシッド・イエロー 23 、オリエント化学(株)製、商品名: Water Yellow 1 〕15gを入れ、充分に窒素置換した。
【0096】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド4.64g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、塩化チオニル7.55gを3℃で滴下した。滴下終了後、室温(25℃)で3時間熟成して塩素化反応溶液を得た。
【0097】
得られた塩素化反応溶液に、N,N−ジメチルホルムアミド10gを添加した。再度、該フラスコを氷浴に漬け、3℃でジブチルアミン20.49gを滴下した後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0098】
【化7】
Figure 0003897533
【0099】
で表される油溶性染料Bを得た。収率は、81%であった。
【0100】
実施例3〔油溶性染料Cの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、イエロー酸性染料〔C.I.アシッド・イエロー 17 、日本化薬(株)製、商品名: Kayacyl Yellow GG〕15gを入れ、充分に窒素置換した。
【0101】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド2.65g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル4.32gを滴下した。
【0102】
滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、氷水中に滴下し、水洗を3回行ない、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液を再度、該フラスコ内に仕込んで氷浴に漬け、3℃でジヘキシルアミン16.82gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、ヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0103】
【化8】
Figure 0003897533
【0104】
で表される油溶性染料Cを得た。収率は70.89%であった。
【0105】
実施例4〔油溶性染料Dの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、イエロー直接染料〔C.I.ダイレクト・イエロー 86 、ダイワ化成(株)製、商品名:Daiwa IJ Yellow 214H〕10gを入れ、充分に窒素置換した。
【0106】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド0.26g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル5.06gを滴下した。
【0107】
滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、氷水中に滴下し、水洗を3回行なった。洗浄後、得られた反応溶液を再度、該フラスコ内に仕込んで氷浴に漬け、3℃でジエチルアミン7.77gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、ヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、油溶性染料Dを得た。収率は75.98%であった。
【0108】
実施例5〔油溶性染料Eの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、イエロー直接染料〔C.I.ダイレクト・イエロー 132、ダイワ化成(株)製、商品名:Daiwa IJ Yellow 306H〕5gを入れ、充分に窒素置換した。
【0109】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド0.20g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル4.50gを滴下した。
【0110】
滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、氷水中に滴下し、水洗を3回行なった。洗浄後、得られた反応溶液を再度、該フラスコ内に仕込んで氷浴に漬け、3℃でジエチルアミン11.76gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、ヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0111】
【化9】
Figure 0003897533
【0112】
で表される油溶性染料Eを得た。収率は82.32%であった。
【0113】
比較例1〜13
染料として、染料a〔中外化成(株)製、商品名: Chugai Aminol Fast Pink R H/C〕、染料b〔オリエント化学(株)製、商品名: Water Yellow 1 〕、染料c〔日本化薬製、商品名: Kayacyl Yellow GG〕、染料d〔ダイワ化成(株)製、商品名: Daiwa IJ Yellow 214H 〕、染料e〔ダイワ化成(株)製、商品名: Daiwa IJ Yellow 306H 〕、染料f〔前記 Chugai Aminol Fast Pink R H/Cをジオクチルアミンで中和したもの〕、染料g〔前記 Water Yellow 1 をジブチルアミンで中和したもの〕、染料h〔前記 Kayacyl Yellow GGをジヘキシルアミンで中和したもの〕、染料i〔前記ダイワ化成(株)製、商品名: Daiwa IJ Yellow 214H をジエチルアミンで中和したもの〕、染料j〔ダイワ化成(株)製、商品名: Daiwa IJ Yellow 306H をジエチルアミンで中和したもの〕、染料k〔BASF製、商品名: Neozapon Magenta525〕、染料l〔C.I.ソルベント・レッド 49 、オリエント化学(株)製、商品名: Oil Pink 312 〕又は染料m〔BASF製、商品名: Neopen Yellow 075〕を用いた。
【0114】
各実施例及び各比較例における染料の物性を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
【0115】
A.耐水性、耐アルカリ性、及び耐酸性
染料0.1gをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、この溶液に普通紙〔ゼロックス社製、商品名:XEROX 4024〕を10分間浸漬した後、取り出して24時間25℃で自然乾燥させた。乾燥後、水(耐水性)、1N−水酸化ナトリウム水溶液(耐アルカリ性)又は1N−塩酸水溶液(耐酸性)に10分間浸漬し、染料の溶解の有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0116】
(評価基準)
○:染料の溶解なし
×:染料の溶解あり
【0117】
B.耐光性
染料をテトラヒドロフランに溶解し(濃度:1.0重量%)、この溶液に普通紙〔(株)ゼロックス製、商品名:XEROX 4024〕を10分間浸漬した後、取り出して24時間自然乾燥させた。乾燥後、キセノンフェードメーター〔スガ試験機(株)製、商品名:低温サイクル・キセノン・ロングライフ・フェードメーター〕で10000kJ/m2 照射後、褪色の有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:褪色なし
×:褪色あり
【0118】
C.溶媒溶解性
表1に示す溶媒100重量部に、染料20重量部を添加し、20℃で、染料が溶媒に溶解するかどうかを観察し、以下の評価基準に基づいて評価を行なった。
(評価基準)
○:染料が溶解
×:染料が溶解せず
【0119】
【表1】
Figure 0003897533
【0120】
表1に示された結果から、実施例1〜5で得られた油溶性染料は、いずれも、優れた、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性、耐光性及び溶媒溶解性を同時に併せ持つものであることがわかる。
【0121】
比較例14
実施例1と同様にして得られた塩素化反応溶液を、水洗のために、氷水中に滴下したところ、生成物がすべてゲル化してしまい、アミド化反応を行なうことができなかった。
【0122】
比較例15
実施例2と同様にして得られた塩素化反応溶液を、水洗のために、氷水中に滴下したところ、すべて水に溶解してしまい、回収することができなかった。
【0123】
製造例1〔油溶性染料IAの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、水溶性染料a〔マゼンタ酸性染料:C.I.アシッド・レッド 289、中外化成(株)製、商品名: Chugai Aminol Fast Pink R H/C〕5gを入れ、温浴(60℃)下で充分に窒素置換した。
【0124】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド1.3g及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル2.2gを滴下した。滴下終了後、室温(25℃)で3時間熟成して塩素化反応溶液を得た。
【0125】
得られた塩素化反応溶液に、トリエチルアミン10gを添加し、1時間熟成した。再度、該フラスコを氷浴に漬け、3℃でジオクチルアミン7.4gを滴下してアミド化反応させた後、室温(25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0126】
【化10】
Figure 0003897533
【0127】
で表される油溶性染料IAを得た。収率は、74.5%であった。
【0128】
製造例2〔油溶性染料IBの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、水溶性染料b〔イエロー酸性染料:C.I.アシッド・イエロー 23 、オリエント化学(株)製、商品名: Water Yellow 1〕5gを入れ、充分に窒素置換した。
【0129】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド4.64g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、塩化チオニル7.55gを3℃で滴下した。滴下終了後、室温(25℃)で3時間熟成して塩素化反応溶液を得た。
【0130】
得られた塩素化反応溶液に、トリエチルアミン10gを添加し、1時間熟成した。再度、該フラスコを氷浴に漬け、3℃でジブチルアミン20.49gを滴下した後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0131】
【化11】
Figure 0003897533
【0132】
で表される油溶性染料IBを得た。収率は、81.2%であった。
【0133】
製造例3〔油溶性染料ICの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、水溶性染料c〔イエロー酸性染料:C.I.アシッド・イエロー 17 、日本化薬(株)製、商品名: Kayacyl Yellow GG〕15gを入れ、充分に窒素置換した。
【0134】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド2.65g及びクロロホルム300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル4.32gを滴下した。
【0135】
滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、氷水中に滴下し、水洗を3回行ない、得られた反応溶液を再度、該フラスコ内に仕込んで氷浴に漬け、3℃でジヘキシルアミン16.82gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行ない、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、ヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させて回収し、式:
【0136】
【化12】
Figure 0003897533
【0137】
で表される油溶性染料ICを得た。収率は70.9%であった。
【0138】
製造例4〔油溶性染料IDの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、水溶性染料d〔イエロー直接染料:C.I.ダイレクトイエロー132、ダイワ化成(株)製、商品名:Daiwa IJ Yellow 306H〕5gを入れ、充分に窒素置換した。N,N−ジメチルホルムアミド0.2g及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、塩化チオニル4.2gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、水洗を3回行なった。反応溶液を再びセパラブルフラスコに入れて氷浴に漬け、ジブチルアミン7.5gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した。熟成後、水洗を3回行い、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた汎用溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度、乾燥させて回収し、式:
【0139】
【化13】
Figure 0003897533
【0140】
で表される油溶性染料IDを得た。収率は92.5%であった。
【0141】
製造例5〔油溶性染料IEの調製〕
1L容のセパラブルフラスコに、水溶性染料e〔イエロー直接染料:C.I.ダイレクト・イエロー86、ダイワ化成(株)製、商品名:Daiwa IJ Yellow 214H〕5gを入れ、充分に窒素置換した。
【0142】
次に、このフラスコ内に、N,N−ジメチルホルムアミド1.87g及び2−ピロリドン300gを添加し、充分に攪拌した。その後、このフラスコを氷浴し、3℃で塩化チオニル3.05gを滴下した。
【0143】
滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、氷水中に滴下し、水洗を3回行ない、再度、該フラスコ内に仕込み、氷浴に漬け、ジエチルアミン20.67gを滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で3時間熟成した後、水洗を3回行ない、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。洗浄後、得られた反応溶液をヘキサン中に滴下して再沈させ、濾過し、乾燥した。得られた乾燥物をヘキサンで3回洗浄し、再度乾燥させ回収し、油溶性染料IEを得た。収率は86.3%であった。
【0144】
参考例1〜7
染料として、製造例1〜5で用いた水溶性染料a〜e及び油溶性染料f〔C.I.ソルベント・レッド 49 、オリエント化学(株)製、商品名: Oil Pink 312 〕又は油溶性染料g〔BASF製、商品名:Neopen Magenta 525〕を用いた。油溶性染料f及びgは、スルホン基又はカルボキシル基を分子内に有しない。
【0145】
実施例6〜10及び比較例16〜22
(1)ビニルポリマーの調製
500ml容のセパラブルフラスコに滴下ロートを装着し、充分に窒素置換した後、メタクリル酸メチル30g、アクリル酸2g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート〔新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM−40G〕8g、2−メルカプトエタノール0.4g及び2−ブタノン10gを入れ、還流しながら60℃に昇温した。
【0146】
滴下ロートにメタクリル酸メチル120g、アクリル酸8g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート〔新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM−40G〕32g、2−メルカプトエタノール1.6g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.6g及び2−ブタノン40gを入れ、3時間かけて滴下した。
【0147】
滴下後、2時間熟成し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4gを加え、更に2時間熟成し、ビニルポリマー溶液を得た。その溶液の一部を減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定したところ、6500であった。
【0148】
(2)色材含有エマルジョンの調製
トルエン10gに、製造例1〜5で得られた染料又は参考例6〜7に記載の染料0.6gを溶解させ、そこに前記(1)で得られたビニルポリマー溶液1.40gを添加し、充分に攪拌し溶解させた。
【0149】
次に、得られた溶液に、1Nの水酸化カリウム水溶液5.21g及び精製水50gを添加し、更に充分に攪拌した。攪拌後、超音波ホモジナイザーで400μAで20分間乳化を行なった。その後、加熱減圧してトルエンを除去した後、0.8μmのフィルターで濾過し、染料をビニルポリマーに含有させた色材含有エマルジョンを得た。
【0150】
(3)インクの調製
前記(2)で得られた色材含有エマルジョン又は参考例1〜5の染料の30%水溶液8重量部、トリメチルグリシン10重量部、尿素5重量部、2−エチルヘキシルスルホ琥珀酸ナトリウム1重量部及び精製水76重量部を混合し、インクを調製した。
【0151】
(4)インクの物性の測定
A.インクの保存安定性
100mL容のフッ素樹脂製ボトルに、インクを充填し、このボトルを60℃の大気中に3カ月間保存し、物性として、保存前後の粒径〔大塚電子(株)製、粒度分布測定器:ELS−8000で測定〕、粘度〔東機産業(株)製、商品名:VISCOMETER ELS-80Lで25℃で測定〕及び表面張力〔協和界面科学(株)製、商品名:AUTOMATIC Surface Tensiometer CBVP-Zで25℃で測定〕を調べ、保持率を式:
〔保持率〕=〔保存後の物性/保存前の物性〕×100(%)
に従って求めた。
【0152】
B.印字紙の物性
インクをインクジェットプリンター用カートリッジ〔(株)キャノン製、商品名:BCI−21e〕に充填し、これをバブルジェットプリンター〔(株)キャノン製、型番:BJC−430J〕に装填し、普通紙〔(株)キャノン製、商品名:インクジェット共用紙PB Paper〕又はインクジェット専用紙〔(株)キャノン製、商品名:インクジェット専用紙HR−101〕に印字し、充分に乾燥させた後、その印字紙を用いて以下の物性を評価した。その結果を表2に示す。
【0153】
▲1▼色調
PBペーパー〔キャノン(株)製〕の印字物の色調(L*a*b*)を測色計〔日本電色(株)製、商品名:SE2000〕で測定した。
【0154】
▲2▼耐水性
普通紙の印字物を精製水(25℃)中に10分間浸漬した後、充分に水分を除去し、自然乾燥させ、浸漬前後の同じ箇所の印字濃度(以下、ODという)を印字濃度測定装置〔マクベス(Macbeth)社製、反射濃度計RD−914〕で測定し、そのOD残存率を式:
〔OD残存率〕=〔浸漬後のOD〕÷〔浸漬前のOD〕×100
に従って求めた。
【0155】
▲3▼耐光性
PBペーパー〔キャノン(株)製〕の印字物にキセノンフェードメーター〔スガ試験機(株)製、商品名:低温サイクル・キセノン・ロングライフ・フェードメーター〕で10000kJ/m2 照射し、照射前後の同じ箇所の印字濃度(OD)を前記と同じ印字濃度測定装置で測定し、そのOD残存率を式:
OD残存率=〔照射後のOD〕÷〔照射前のOD〕×100
に従って求めた。
【0156】
▲4▼耐オゾン性
オゾン濃度が3ppmの気流中に普通紙の印字物を2時間曝露し、その曝露前後の色調(L*a*b*)を測色計〔日本電色(株)製、商品名:SE2000〕を用いて測定し、ΔEで示した。
【0157】
C.印字ヘッドの目詰まり
印字後、プリンターから印字ヘッドを取り外し、常温常圧環境下で24時間放置した後、再びプリンターに装着し、全ノズルから吐出可能であるとき、○の評価をし、また1以上のノズルで吐出不可能であるとき、×の評価をした。
【0158】
【表2】
Figure 0003897533
【0159】
表2に示された結果から、実施例6〜10で得られたインクは、保存安定性に優れ、印字ヘッドでの目詰まりを生じがたいものであることがわかる。
【0160】
また、実施例6〜10で得られたインクが使用された印字物は、いずれも、色調が良好であり、しかも、耐水性、耐光性及び耐オゾン性に優れたものであることがわかる。
【0161】
以上説明したように、本発明の油溶性染料は、優れた、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性、耐光性及び溶媒溶解性を同時に併せ持つものである。
【0162】
また、本発明の水系インクは、保存安定性に優れ、印字物に、良好な色調、優れた耐水性、耐光性及び耐オゾン性を付与し、インクジェット記録用水系インクとして用いたときに印字ヘッドに目詰まりを生じがたいという種々の優れた効果を奏するものである。
【0163】
【発明の効果】
本発明の油溶性染料は、インクジェット記録液、ボールペン用インク、マーカー用インク、トナー、ペンキ、ラッカースプレー用塗料、マジックインク等に好適に使用しうるものである。
【0164】
また、本発明の水系インクは、インクジェット記録用水系インク等として好適に使用しうるものである。

Claims (5)

  1. 分子内に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料をアミド化処理してなる油溶性染料を含有してなる水系インク
  2. 水溶性染料が、C.I.アシッド・レッド289 、C.I.アシッド・イエロー 23 、C.I.アシッド・イエロー 17 、C.I.ダイレクト・イエロー86又はC.I.ダイレクト・イエロー132 である請求項1記載の水系インク
  3. 2級アミンでアミド化処理してなる請求項1又は2記載の水系インク
  4. 分子内にアミノ基を有する塩基性染料でアミド化処理してなる請求項1〜3いずれか記載の水系インク
  5. 分子内に、スルホン基及びカルボキシル基から選ばれた1種以上の基を有する水溶性染料をハロゲン化した後、引き続いてアミド化して得られる油溶性染料を、水系インクの染料として配合する水系インクの製造方法。
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