JP3897010B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Si及びP含有量が高い高張力鋼板等を母材とする合金化溶融Znめっき鋼板、及びその製造方法に関する。
近年、地球規模での二酸化炭素総排出量の削減が求められている。化石燃料を多量に消費している自動車においては、かかる要請から排ガス量の削減、あるいは燃費向上の目的で、車体重量の軽量化が進められている。一方で、自動車においては、安全性の向上も至上命題である。そのため、車体重量の軽量化と車両の安全性向上との両立を実現させる、軽量で高強度な鋼板の需要が高まってきている。
この傾向の一環として、クロスメンバーやサイドメンバー等の部材に、薄肉化しても強度を確保することが可能な高張力鋼板の採用が増加している。高張力鋼板は、通常は、製鋼段階で充分に脱炭処理して例えば炭素0.01%以下の極低炭素鋼としてからTiを添加した極低炭素Ti添加鋼やCが0.05〜0.2%の範囲の中低炭素アルミキルド鋼をベ−スに、P、Si、Mn、Cr、Alを添加して強度を上げた高張力鋼を素材としており、その組成等についての提案は多い。特に、Si、Pについては、安価で強度向上、延性向上のいずれにも有効であり、SiやP含有量の高い高張力鋼板が有望視されている。
また、自動車の車体には、耐食性や外観を向上させるため、めっき鋼板が採用され、とくに従来から合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられる。
ところで、Si及びPはFeに比較して易酸化性である。そのため、Si、P含有量の高い高張力鋼板では、焼純工程において、鋼板表面にSi、Pが濃化しやすい。その結果、これらの鋼板をめっき母材とする場合、めっき密着性に劣ったり、プレス成形など後の加工工程において、めっき膜の加工剥離を招く原因になる場合がある。さらに、極端な場合、Siは、めっきの濡れ性が悪いことにより、不めっき欠陥が発生することもある。また、Si、Pの両者とも合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造時に合金化を遅延させる作用があることから、Si、P含有量の高い高張力鋼板は合金化処理性に劣る(すなわち、合金処理時の合金化速度が遅い)ため、合金化処理の際の材料温度を高くする必要がある。その結果として、得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウダリング性が低下することがある。
溶融亜鉛めっきにおける母材鋼板表面へのめっき濡れ性改善の技術としては、母材鋼板を弱酸化性雰囲気で加熱して鋼板表面にFe系酸化皮膜を形成し、その後、鋼板を還元性雰囲気で加熱して、表面を活性でポーラスな状態にする技術が、特許文献1に開示されている。また、Cu、Ni、Fe等のプレめっきを行った後、還元性雰囲気で熱処理を行う技術が、特許文献2および特許文献3に開示されている。また、鋼中のN量を高めてめっき密着性を改善する技術が、特許文献4に開示されている。
特公昭53−44141号公報 特開昭56−33463号公報 特開昭57−79160号公報 特開2001−303229号公報
しかし、母材鋼板を弱酸化性雰囲気で加熱して鋼板表面にFe系酸化皮膜を形成し、その後、鋼板を還元性雰囲気で加熱してポーラス還元鉄を形成させる特許文献1の手法は、通常の鋼板に対しては有効であるが、Si含有量の高い高張力鋼板のような場合は、不めっきを完全に防止できず、めっき密着性の点でも満足すべき製品を得ることができないのが現状である。また、合金化処理性を改善するためには、かなりの前酸化が必要で、量産ではハースロールへの巻き付きが発生する問題もある。
C、Ni、Fe等のプレめっきを行った後、還元性雰囲気で熱処理を行う特許文献2および特許文献3の技術では、現有設備に加えて新たに電気めっき装置の設置が必要か、別途電気めっきラインに通板する必要があるため、コスト増加は免れない。また、母材鋼板の表面にFe系酸化皮膜を形成した後その表面を還元によって活性でポーラスにする方法や、Cu、Ni、Fe等のプレめっきを行った後、還元性雰囲気で加熱する方法では、インライン処理を前提とする現状のめっき設備では、焼鈍中にその還元鉄層やプレめっき層中を鋼中SiやPが容易に表面に拡散濃化するため、充分な合金化速度を確保することが困難である。
一方、特許文献4には、鋼中のN量を高め、更には焼鈍雰囲気中にアンモニアを10%以上添加し、合金化溶融めっき鋼板とする手法が提案されている。しかし、この手法では、母材の延性を著しく低下させる恐れがある。これは、鋼中N量が通常鋼より高いことに加えて、アンモニア濃度が10%以上と高いため、分解したNが一旦鋼中に拡散侵入する条件で操業した場合、材料特性に影響を及ぼす程度の窒化層(硬化層)が形成されるためでもある。
このようなことから、自動車用高強度材料として魅力のあるSi及びP含有鋼板もこれを合金化溶融亜鉛めっきする合理的な手段を欠いているのが実情である。
そこで、本発明は、高Si、P含有鋼板を母材とする場合のめっき不良を防ぎ、さらにはめっき後の合金化処理性を改善し、合金化炉を高温設定にしたり、ライン速度を極端に低下させることなく製造可能な合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
上述のように、Si或いはP含有量の高い鋼板が溶融Znめっきを行う場合の合金化処理性に劣る理由は、焼鈍時における鋼板表面へのSi、Pの濃化によるものである。本願発明者らは、焼鈍時に鋼中Si或いはPが容易に表層に濃化しないバリヤー層として、適正な厚さの窒素濃化層を形成することにより、合金化処理性が改善され、かつ材料特性に及ぼす悪影響が少なくなるとの知見を得た。この機構は明確には分かっていないが、材料特性に悪影響を及ぼさない程度に窒素(N)を固溶した鋼中のSi、Pの拡散速度が低下するためと、Si、Pが窒化化合物の形で固定されるためと推定される。
本発明はこれらの知見を基にして完成されたものであり、その要旨は下記四態様に集約される。
本発明の第一の態様は、0.2〜2.0質量%のSiを含有する鋼をめっき母材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板表層部の窒素濃化層が3〜100μmであり、めっき皮膜中のAl濃度が0.20〜0.40質量%、Fe濃度が7〜15質量%で、残部Znと不可避不純物である合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
本発明の第二の態様は、0.03〜0.1質量%のPを含有する鋼をめっき母材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板表層部の窒素濃化層が3〜100μmであり、めっき皮膜中のAl濃度が0.20〜0.40質量%以下、Fe濃度が7〜15質量%である合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
上記第一および第二の態様の合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき付着量が30〜70g/mであることが好ましい。
本発明の第三の態様は、0.2〜2.0質量%のSiを含有する鋼を母材として、溶融亜鉛めっきに引き続き合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融めっきライン中において前記母材表面を、H濃度2vol.%以上、アンモニア濃度1〜10vol.%、残部が窒素と不可避的ガスからなる雰囲気中で還元した後、浴中Al濃度が0.08〜0.15質量%のめっき浴に浸漬し、付着量を調整した後、鋼板の最高到達温度が490〜540℃の合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明の第四の態様は、0.03〜0.1質量%のPを含有する鋼板に溶融亜鉛めっきに引き続き合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融めっきラインにて、H濃度2vol.%以上、アンモニア濃度1〜10vol.%、残部が窒素と不可避的ガスからなる雰囲気中で還元した後、浴中Al濃度が0.08〜0.15質量%のめっき浴に浸漬し、付着量を調整した後、鋼板の最高到達温度が490〜540℃の合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
上記第三および第四の態様の製造方法において、前記合金化処理の時間が5〜60秒であることが好ましい。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、母材に高Siを用いた場合にも不めっきが無く、めっき密着性にも優れているため、自動車や建築用途などの高強度で耐食性が必要な材料用途として、内装材のみならず外装材としても極めて好適である。また本発明のめっき鋼板は、安価に製造できるので、工業的な価値が極めて大きい。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板並びに製造方法の実施形態について、以下に説明する。なお、濃度等の表示で「%」とあるのは特に断りのない限り、質量%を意味する。
1.合金化溶融亜鉛めっき鋼板
1)母材鋼板の合金成分
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法においては、母材鋼板中のSi含有量が質量比で0.2〜2.0%またはP含有量が質量比で0.03〜0.10%であることが必須である。これは、次の理由による。
Siが0.2%未満あるいはPが0.03%未満では、焼鈍時に鋼板表面に濃化するSi量も僅かであるので、特別な前処理を施さなくても、従来の連続焼鈍条件で充分な合金化処理性が得られる。また、Siが2.0%あるいはPが0.1%を超えると、合金化処理性が劣化するため長時間の合金化処理が必要になる。あるいは良好な合金化処理性を確保するために必要な窒素濃化層の厚さが増加するため、操業性並びに機械特性が低下する。そこで、Siの上限は2.0%以下、より好ましい範囲は、1.6%以下であり、また、Pの上限は0.1%以下、より好ましい範囲は0.08%以下である。なお、Si、Pは、その目的に応じ、いずれか一方を添加して上記範囲内とすることが多いが、必要に応じて双方ともに含有してもよい。
Si、P以外には、C、Mn、S、Ti、Mo、Nb、Cr、Cu、Ni等が、通常使用される範囲で含有される。またAl濃度については、残留オーステナイト形成元素として鋼の高強度化に有効であることが知られている。合金化処理性の観点からは、1.5%まで含有しても、後述するような本発明の窒素濃化層を形成すれば、特に問題はない。
2)鋼板表層の窒素濃化層
鋼板表層の窒素濃化層は、還元時に鋼中SiやPの鋼表層への拡散濃化を抑制することにより、めっきの濡れ性を改善するとともに、合金化処理性を向上させていると考えられる。合金化処理性を改善するには、窒素濃化層はある程度の厚さが必要である。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、鋼板表層部の窒素濃化層の厚さは、合金化処理後において3〜100μmであることが必須である。合金化処理後に窒素濃化層が3μm未満となるような場合には、十分な合金化処理性を確保できない。逆に、100μmを越えると、窒素濃化層自身の硬度が、母材硬度に較べて上昇するため伸びが低下し、狙いの材料特性が出なくなる。より好ましい範囲は、合金化処理後において5〜50μmである。なお、窒素濃化層の厚さは、合金化前後である程度減少すると思われる(本発明者らは1μm程度減少すると考える。)。
3)めっき皮膜成分
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき皮膜中のFe濃度は7〜15%であることが必須である。皮膜中の平均Fe%が7%未満であれば、合金化処理温度によってはめっき表層にη相が残存する恐れがある。より好ましい範囲は、8%以上である。また、15%を越えると鋼板界面にΓ相が厚く形成され耐パウダリング性が著しく低下する。より好ましい範囲は、13%以下である。
また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき皮膜中のAl濃度は0.20〜0.40%であることが必須である。皮膜中のAl濃度が高い場合、合金化速度が遅くなる。特に0.40%を超える場合、極端にライン速度を遅くしたり、合金化温度を高くしないと合金化処理が完了しないことがある。皮膜中Al濃度のより好ましい範囲は、0.35%以下である。加熱手段については輻射加熱、高周波誘導加熱、通電加熱等何れの手段によっても良い。なお、Al濃度の下限は、後述するAl濃度の下限によりほぼ決定される。具体的には概ね0.20%である。
めっき付着量の下限は、実機で容易に調整可能な30g/m以上、上限はパウダリングを大きく低下させないためにも70g/m以下に限定する。より好ましい範囲は、40〜60g/mである。
2.製造方法
1)窒素濃化層形成条件
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、溶融めっきに先立って、母材鋼板表層に窒素濃化層を形成させる。連続溶融めっきラインで製造する場合は、還元焼鈍炉内において所定の雰囲気中で加熱することにより、母材鋼板の表層窒素濃化層を形成させるのが、最も効率がよい。もちろんこれに限定されず、例えば、オフライン工程(バッチ炉)で予めガス軟窒化を行うこともできる。以下、連続溶融めっきラインでの製造方法について説明する。
まず、焼鈍炉内の雰囲気ガスについて説明する。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、雰囲気ガス中のH濃度は2vol.%以上、かつアンモニア濃度が1〜10vol.%であることが必須である。雰囲気ガスをH濃度が2vol.%未満では、十分に窒素濃化層が形成されない。これは、短時間で所定厚みの窒素濃化層を形成させるためには、鋼板表面の酸化物を極力低減しておく必要がある。好ましくは、5vol.%以上である。また、Hが2vol.%以上含有された雰囲気下でも、アンモニア濃度が1vol.%未満では、十分な窒素濃化層が形成されない。また、反対に10vol.%以上では、過度に窒素濃化層が形成され、目標とする機械特性から外れる恐れがある。好ましいアンモニア濃度の範囲は、2〜8vol.%である。残部は実質的にN2ガスである。不可避的ガスとして、HO、CO、CO等微量含まれる場合もある。
上記雰囲気ガス中での加熱条件は、鋼板表面の酸化物低減の観点からは、600〜900℃×20秒以上が望ましい。通常の焼鈍条件(700〜850℃×30〜60秒)であれば、十分である。
2)めっき条件
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、浴中Al濃度は0.08〜0.15%であることが必須である。浴中のトータルAl濃度が0.08%未満では、めっき浴浸漬中に鋼板界面にFe−Zn合金層が厚く形成されるため、めっき付着量の制御が困難になる。加えて、ポット底部にはボトムドロス(FeZn)が形成され易くなりドロス付着欠陥により歩留まりが大きく低下するため、0.08%以上に限定する。好ましくは、0.10%以上である。なお、このようなAl濃度のめっき浴でめっきすると、皮膜Al濃度は概ね0.20%以上となる。一方、浴中トータルAl濃度が0.15%を超えると、後述する浴温、侵入板温その他の製造条件を一般的な条件とした場合、皮膜中Al濃度を0.40%以下に制御することが難しくなる。浴中のトータルAl濃度は、好ましくは0.13%以下である。
浴温や侵入板温は一般的に採用されている範囲で良い。例えば、浴温は450〜470℃、侵入板温は450〜480℃の範囲であれば特に問題はない。
めっき浴温度を過度に高くすると、めっき浴浸漬中に合金層が過度に発達する。逆に過度に低くするとめっき付着量の調整が困難となる。このため、めっき溶の温度は、その融点よりも30〜60℃高く設定するのがよい。
3)その他の製造方法
本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するには、上述した条件以外は、基本的には通常の合金化溶融亜鉛めっき(Galvannealed)鋼板の製造方法に準じておこなえばよいが、好適な製造方法を、連続合金化溶融亜鉛めっき鋼板設備の一例を示す図1を参照しつつ以下に例示する。
図1において、連続溶融亜鉛めっき設備100は、入り側部10、処理部20及び出側部30より構成されている。入り側部10はコイル状の鋼板を巻き戻すためのペイオフリール11、せん断装置12、及び溶接装置13などからなっている。処理部20は、連続炉21、亜鉛めっき浴22、エアワイパー23、空冷帯24などにより構成されている。連続加熱炉21は、無酸化炉21aと、還元焼鈍炉21bとを備えており、還元焼鈍炉21b内にはNガスとともに、HガスとNHガスとが所定濃度に調整されて炉内雰囲気を構成している。出側部30には、スキンパスミル31、テンションレベラー32、クロメート処理装置33、せん断装置34、静電塗油機35、及び最終的に鋼板を巻き取るカローゼリール36などがライン上に配置されている。
ペイオフリール11から巻き出された母材は、通常の方法に従って、例えば連続加熱炉21で再結晶焼鈍した後にめっき浴温度近傍まで冷却し、亜鉛めっき浴22に浸漬し、引き上げて気体絞り法など公知の方法で亜鉛めっき付着量を調整する。母材が再結晶焼鈍を必要としない場合には、母材を少なくとも600℃以上再結晶温度以下の還元雰囲気下で加熱した後、めっき浴温度近傍まで冷却した後に亜鉛めっき浴22に浸漬する。
めっき浴に浸漬した母材はめっき浴から引き上げて、通常の気体絞り法などでめっき付着量を調整する。所定の付着量に調整した後、合金化処理を行うが、具体的には、490〜540℃に保持した塩浴中に亜鉛めっき鋼板を5〜60秒間浸漬する合金化処理を行えばよい。
めっき後の製品表面には、特に処理しない場合もあるが、防錆油を塗布したり、公知のクロム酸処理、リン酸塩処理、樹脂皮膜塗布などの後処理を施しても構わない。
(実施例1)
表1に示す化学組成を有する0.8mm厚の鋼板を、溶剤脱脂のあと60℃の10%NaOH水溶液に10s間浸漬し、めっき母材として用いた。これら鋼板を連続溶融亜鉛めっき設備にて、水素やアンモニアガス濃度を変更した還元性雰囲気中で焼鈍し、続いてAl濃度が0.07〜0.18%である460℃の亜鉛めっき浴に3s間浸漬し、引き上げて気体絞り法で片面当たり50g/mのめっきを行った。引き続き、これらを540℃に保持した塩浴中に亜鉛めっき鋼板を浸漬し、合金化処理を行った。このとき、各めっき鋼板について、合金化処理時間を変更したものを数水準作成した。
Figure 0003897010
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、合金化完了時間の調査方法および評価基準は、以下の通りである。なお、表1において、鋼種4と鋼種8は、本発明の規定範囲外の鋼板である。
調査方法:合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面をX線回折(線源:Co、走査速度:毎分0.60、管電圧:30kV、管電流:100mA)で調査した。このとき、検出されるZn(100)面のピークカウントがバックグラウンドのカウントに対して1.1以下であれば、合金化完了とした。各めっき鋼板について、このようにして合金化完了と判断されたもののうち、最も短い合金化処理時間を合金化完了時間とした。
評価基準:◎…30s以下、○…30〜60s、×…60s超
(実施例2)
実施例1と同条件のめっき鋼板を作成した後、各めっき鋼板について、「実施例1で求めた合金化完了時間+5秒」の時間で合金化処理を行った。得られためっき鋼板のめっき皮膜の性状を、以下の方法で調査した。
・化学組成:めっき皮膜のZn、Al、Feなどの含有量は、インヒビターを添加した10%塩酸水溶液中にめっき鋼板を浸漬し、めっき皮膜を溶解した後、得られた溶液をICP分光分析法で測定することにより特定した。
・めっき濡れ性:めっき表面のピンホールを目視で観察した。100cm当りに換算したピンホールの数によって行った。評価基準は以下のとおりとした。
◎:ピンホールが全くない、○:1〜2個/100cm、△:3〜10個/100cm
×:11個/100cm以上〜ほとんど濡れない。
・窒素濃化層の厚み:マイクロビッカース硬度計を用い、窒化によって硬化した厚みを荷重9.8×10−2Nで行った。母材中央部の平均硬さに較べて20Hv以上の硬さ上昇が認められた部分を有効な窒素濃化層と定義した。
・機械特性(伸び低下代):鋼板圧延方向に採取したJIS Z2204(1996)に規定の5号試験片を用い破断伸びEl(%)を測定した。窒素濃化処理を施さない同一母材のElに対して、そのEl低下代が10%以下であるものを合格として「○」、10%を越える機械特性のものを不合格として「×」を表示した。
実施例1および実施例2の結果を、あわせて表2および表3に示す。
Figure 0003897010
Figure 0003897010
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、比較的短い合金化処理時間で製造でき、かつ、めっき濡れ性が良好で伸びの低下代も小さかった。これに対し、鋼成分が本発明範囲外の場合(No.26、35)や、皮膜中Al濃度が本発明範囲の上限を超える場合(No.30)は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために長時間の合金化処理時間が必要となった。一方、窒素濃化層が形成されない場合(No.1,31)はもちろん、形成されていても窒素濃化層の厚さが本発明範囲の下限に満たない場合(No.2)は、めっき濡れ性が悪かった。また、窒素濃化層の厚さが本発明範囲の上限を超えると(No.18〜22)、伸び低下代が大きくなった。
一方、本発明のめっき鋼板の製造方法によれば、比較的短い合金化処理時間で、めっき濡れ性が良好で伸び低下代の少ない合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られた。一方、焼鈍ガス中のアンモニア濃度または水素濃度が本発明範囲の下限に満たない場合(No.1、2、31)は、めっき濡れ性が悪かった。逆にアンモニア濃度が本発明範囲の上限を超える場合(No.18〜22)は、窒素濃化層が厚くなりすぎた。また、浴中Al濃度が本発明範囲の上限を超える場合(No.30)は、それに連れて、皮膜中のAl濃度も過剰になった。逆に浴中Al濃度が本発明範囲の下限に満たない場合(No.27)は、皮膜中のAl濃度が不足した他、めっき浴中に発生したドロスがめっき表面に付着して外観不良が起こった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
連続溶融亜鉛めっき設備を示す図である。
符号の説明
10 入り側部
20 処理部
21 連続加熱炉
22 亜鉛めっき浴
23 エアワイパー
30 処理部
100 連続溶融亜鉛めっき設備

Claims (6)

  1. 0.2〜2.0質量%のSiを含有する鋼をめっき母材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板表層部の窒素濃化層が3〜100μmであり、めっき皮膜中のAl濃度が0.20〜0.40質量%、Fe濃度が7〜15質量%である、合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 0.03〜0.1質量%のPを含有する鋼をめっき母材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板表層部の窒素濃化層が3〜100μmであり、めっき皮膜中のAl濃度が0.20〜0.40質量%、Fe濃度が7〜15質量%である、合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記めっき付着量が30〜70g/mである請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 0.2〜2.0質量%のSiを含有する鋼板に溶融亜鉛めっきに引き続き合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融めっきラインにて、H濃度2vol.%以上、アンモニア濃度1〜10vol.%、残部が窒素と不可避的ガスでなる雰囲気中で還元した後、浴中Al濃度が0.08〜0.15質量%のめっき浴に浸漬し、付着量を調整した後、鋼板の最高到達温度が490〜540℃の合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 0.03〜0.1質量%のPを含有する鋼板に溶融亜鉛めっきに引き続き合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融めっきラインにて、H濃度2vol.%以上、アンモニア濃度1〜10vol.%、残部が窒素と不可避的ガスでなる雰囲気中で還元した後、浴中Al濃度が0.08〜0.15質量%のめっき浴に浸漬し、付着量を調整した後、鋼板の最高到達温度が490〜540℃の合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 前記合金化処理の時間が5〜60秒である、請求項4または5に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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