JP3896774B2 - ビスイソオキサゾリン誘導体、その製造法およびその金属錯体からなる触媒 - Google Patents
ビスイソオキサゾリン誘導体、その製造法およびその金属錯体からなる触媒 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、スピロ環骨格を有するビスイソオキサゾリン誘導体、その製造法、同ビスイソオキサゾリン誘導体に遷移金属を配位してなる錯体、同錯体または上記ビスイソオキサゾリン誘導体からなる触媒、該触媒を用いて不斉合成反応を行う方法に関する。
【0002】
【従来技術および発明の課題】
近年、不斉合成反応の触媒としてC2 対称軸を持つものがさかんに用いられている。その中で、Corey ら(J. Am. Chem. Soc., 113, 728(1991) )、Pfaltzら(Tetrahedron 48, 2143(1992))、Evans ら(J. Am. Chem. Soc., 113, 726(1991) )によるビスオキサゾリン誘導体は、触媒能が高く、多くの不斉合成反応に用いられている。
【0003】
医薬、農薬等の合成中間体として有用な光学活性化合物を得るために、より高い活性を示す不斉合成触媒が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スピロ環骨格を有する光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体やその遷移金属錯体が不斉合成反応の触媒として有効に働くことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明は一般式[I]で表される新規なビスイソオキサゾリン誘導体に関する。
【0006】
【化10】
【0007】
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、または、置換基を有していてもよいアリール基であり、4つのRはすべて同一であっても少なくとも1つ異なっていてもよい。R´は単結合または低級アルキレン基である。)
4つのRはすべて水素原子であるかまたは低級アルキル基、特にメチル基であるビスイソオキサゾリン誘導体が好ましい。好ましいR´はメチレン基である。また、ビスイソオキサゾリン誘導体[I]はラセミ体混合物または光学活性体であり得る。
【0008】
本発明によるビスイソオキサゾリンは、堅固なスピロ環骨格を含み、スピロ環側鎖の付け根上の不斉に加え、スピロ環骨格由来の軸不斉を有しているという、非常にユニークな構造のものであり、それが不斉合成反応の触媒として有効に働く理由として考えられる。
【0009】
本発明によるビスイソオキサゾリンの構造について更に詳しい説明をする。
【0010】
一般式[I]中のRについて、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。低級アルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基等の炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル基、m−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、o−メチルベンジル基、p−シアノベンジル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−シアノフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、6−ブロモ−1−ナフチル基、6−クロロ−2−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基等が挙げられる。
【0011】
一般式[I]中のR´について、低級アルキレン基としては、メチレン、エチレン、n−プロピレン等の炭素数1〜3のアルキレン基が挙げられ、特にメチレンが好ましい。
【0012】
次に、本発明によるビスイソオキサゾリン誘導体は、下記の方法によって製造することができる。
【0013】
第1工程;一般式[II]で表されるハロゲン化オレフィンをマロン酸ジエステルと塩基存在下で作用させて、一般式[III ]で表されるジアルケニルマロン酸エステルを得る。
【0014】
第2工程;前工程で得られたジアルケニルマロン酸エステル[III ]を還元して、一般式[IV]で表されるジオールを得る。
【0015】
第3工程;前工程で得られたジオール[IV]を酸化して、一般式[V]で表されるジアルデヒドを得る。
【0016】
第4工程;前工程で得られたジアルデヒド[V]をヒドロキシルアミンと反応させて、一般式[VI]で表されるジオキシムを得る。
【0017】
第5工程;前工程で得られたジオキシム[VI]を酸化条件下で環化して、ラセミ体混合物であるビスイソオキサゾリン誘導体[I]を得る。
【0018】
第6工程;前工程で得られたラセミ体混合物ビスイソオキサゾリン誘導体[I]を必要に応じて光学分割する。
【0019】
第2工程で得られるジオール[IV]、第3工程で得られるジアルデヒド[V]、および、第4工程で得られるジオキシム[VI]も、いずれも新規化合物である。これら中間体のうち、R´がメチレン基であるものが特に好ましい。
【0020】
本発明によるビスイソオキサゾリン誘導体の製造法は下記の工程フローで示される。
【0021】
【化11】
【0022】
(式中、RおよびR´は前記定義と同じ意味を有する。R''低級アルキル基である。Xはハロゲン原子である。)
本発明によるビスイソオキサゾリン製造法の各工程について更に詳しい説明をする。
【0023】
ハロゲン化オレフィン[II]をマロン酸ジエステルと塩基存在下で作用させて、ジアルケニルマロン酸エステル[III ]を得る第1工程では、マロン酸ジエステルとして、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジtert−ブチル、マロン酸ジベンジルが好適に用いられる。ハロゲン化オレフィン[II]のRおよびR´は本発明ビスイソオキサゾリン誘導体[I]のものに対応する。ハロゲン原子Xは好ましくは塩素原子および臭素原子である。
【0024】
この工程で用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物;ナトリウムメチラート、ナトリウウエチラート、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート類が挙げられ、特に好ましくは水酸化カリウムである。
【0025】
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸等を反応系に添加することも好ましい。
【0026】
この工程の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられ、特にN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0027】
この工程の反応温度は好ましくは常温から溶媒の還流温度である。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0028】
ジアルケニルマロン酸エステル[III ]を還元してジオール[IV]を得る第2工程において、還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ビットライド、水素化ホウ素ナトリウムが挙げられるが、特に好ましくは水素化リチウムアルミニウムが用いられる。
【0029】
この工程の溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが用いられ、さらに水素化ホウ素ナトリウムの場合にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒も用いられる。
【0030】
この工程の反応温度は−80℃から溶媒の還流温度である。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0031】
ジオール[IV]を酸化してジアルデヒド[V]を得る第3工程において、反応条件は1級アルコールをアルデヒドに酸化する通常の条件であればよい。例えば、蓚酸ジクロライドとジメチルスルホキシドから調製される試薬とジオール[IV]とをジクロロメタン中、低温で、トリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0032】
この工程の反応温度は、一般に低温であることが好ましく、例えば蓚酸ジクロライドとジメチルスルホキシドを用いた反応の場合、−80℃から−30℃程度である。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0033】
ジアルデヒド[V]をヒドロキシルアミンと反応させてジオキシム[VI]を得る第4工程において、反応条件はアルデヒドをヒドロキシルアミンと反応させる通常の条件であればよい。
【0034】
この工程の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。この反応は無溶媒で行うこともできる。反応促進のためにピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの無機の弱塩基などを添加することも好ましい。反応温度は−20℃から溶媒の還流温度までである。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0035】
ジオキシム[VI]を酸化条件下で環化してビスイソオキサゾリン誘導体[I]を得る第5工程では、ジオキシムからニトリルオキシドが生成し、2+3環化付加反応により一気にスピロ環とイソオキサゾリン環が構築される。
【0036】
この工程で用いられる酸化剤は特に制限されないが、例えば、塩素、臭素などのハロゲン;N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミドなどN−ハロゲン化アミド類;次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩;過ヨウ素酸ナトリウムなどハロゲン酸塩などが用いられる。
【0037】
この工程の溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
【0038】
この工程の反応温度は好ましくは−50〜50℃である。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0039】
こうして、下記式で示されるジアステレオマー、即ち(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物、(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物、および、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が得られる。
【0040】
【化12】
【0041】
ラセミ体混合物ビスイソオキサゾリン誘導体[I]を各鏡像体に光学分割する第6工程は、ラセミ体を光学分割する通常の方法で行われ得る。例えばキラル固定相カラムを装着した液体クロマトグラフを用いる方法や、ラセミ体と光学活性スルホン酸やカルボン酸との塩を形成してから再結晶によりラセミ体を光学分割する方法などが挙げられる。
【0042】
本発明は、上記ラセミ体もしくは光学活性体のビスイソオキサゾリン誘導体[I]に金属を配位してなる錯体にも関する。錯体を構成するために用いられる金属は好ましくは遷移金属であり、より好ましくはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、およびPdからなる群から選ばれる金属であり、さらに好ましくはCuである。ビスイソオキサゾリン誘導体[I]と遷移金属との錯体の例として、下記式(一般式[I]におけるR=水素原子、R´=メチレン基)で示される6座配位のCu錯体が挙げられる。
【0043】
【化13】
【0044】
錯体の合成は、金属塩とビスイソオキサゾリン誘導体とを有機溶媒中で混合して行うことができる。この合成に用いる溶媒は、次の不斉合成反応に用いる溶媒であることが好ましいが、不斉合成反応に対し不活性な溶媒であれば何ら限定されることはない。錯体合成後、錯体を単離した後、不斉合成反応に用いても良い。また、金属塩とビスイソオキサゾリン誘導体との混合溶液に反応基質を添加しても良いし、反応基質の溶液に金属塩とビスイソオキサゾリン誘導体を添加しても良い。
【0045】
本発明は、さらに、上記錯体からなる不斉合成触媒、および、上記光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[I]からなる不斉合成反応触媒にも関する。
【0046】
上記触媒を用いて不斉合成反応、例えば不斉求核付加反応を行うことができる。特にその中でも、上記錯体からなる不斉合成反応触媒を用いて共役エノンへの不斉マイケル付加反応を行う方法、および、上記光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[I]からなる触媒を用いてエポキシ化合物の不斉開環反応を行う方法が好ましい。
【0047】
共役エノンへの不斉マイケル付加反応およびエポキシ化合物の不斉開環反応に用いられる求核剤としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛等のジアルキル亜鉛;フェニルリチウム、n−ブチルリチウム等の有機リチウム試薬;メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムクロライド、アリルマグネシウムブロマイド、ビニルマグネシウムブロマイド等のグリニャール試薬が挙げられ、好ましくはジエチル亜鉛およびフェニルリチウムが用いられる。
【0048】
本発明触媒の使用量は、基質である例えば共役エノンやエポキシ化合物に対して好ましくは0.5〜50mol%、より好ましくは1〜15mol%である。
【0049】
不斉マイケル付加反応のための共役エノンは、オレフィンとケトンが共役している骨格を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば3−ペンテン−2−オン、4−ヘキセン−3−オン、5−メチル−3−ヘキセン−2−オン、3−ノネン−2−オンなどの脂肪族不飽和ケトン;4−フェニル−3−ブテン−2−オン、カルコン、4’−メトキシカルコン、4−ニトロカルコンなどの芳香族不飽和ケトン;1−アセチル−1−シクロヘキセン、2−シクロペンテン−1−オン、2−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンなどの環式ケトンが挙げられる。
【0050】
不斉開環反応のためのエポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば2,3−エポキシブタン、3,4−エポキシヘキサン、4,5−エポキシオクタン、スチルベンオキシドなどの鎖状のエポキシ化合物;シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシドなどの環式エポキシ化合物が挙げられる。
【0052】
本発明触媒を用いる不斉合成反応の溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ならびにこれらの混合溶媒が挙げられ、特に共役エノンへの不斉マイケル付加反応およびエポキシ化合物の不斉開環反応では、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。
【0054】
不斉合成反応の反応温度は好ましくは−100℃から溶媒の還流温度、より好ましくは−60℃から室温である。反応圧力は通常は常圧であるが加圧下に反応を行うこともできる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
[実施例1]
i) 2,2−ビス(1−ブテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
ジメチルスルホキシド(132ml)と水酸化カリウム(10.4g,185mmol)の混合物にトリフルオロメタンスルホン酸CF3 SO2 OH(3.0ml,19.8mmol)を加え、3分後さらに4−ブロモ−1−ブテンとマロン酸ジエチル(6.7ml,66.0mmol)を室温で添加した。混合液を50℃に加温し、16時間攪拌した。1N塩酸を加えて反応を終結させ、反応液をジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/アセトン=30/1)で精製した。表記化合物を無色オイルとして4.9g、収率92%で得た。
【0057】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.25(t, J=7.0Hz, 6H), 1.90-2.05(m, 8H), 4.19(q, J=7.0Hz, 4H), 4.97(d, J=11.0Hz, 2H), 5.04(d, J=17.0Hz, 2H), 5.78(ddt, J=17.0, 11.0 and 5.5Hz, 2H) ;
MS: m/z 269
【0058】
ii) 2,2−ビス(1−ブテニル)−1,3−プロパンジオールの合成
2,2−ビス(1−ブテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステル(31.9g,119mmol)のTHF溶液に水素化リチウムアルミニウム(9.0g,158mmol)を0℃で添加した。混合液を室温で3.5時間攪拌し、硫酸ナトリウム10水和物で反応を終結させた。10%硫酸水溶液を加え、反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、表記化合物を無色結晶として20.1g、収率92%で得た。
【0059】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.97-2.02(m, 4H), 1.34(t, J=8.5Hz, 2H), 1.34(dd, J=7.0 and 5.0Hz, 2H), 2.35(brs, 2H), 3.60(s, 4H), 4.96(dd, J=10.0 and 2.0Hz, 2H), 5.04(ddd, J=17.0, 2.0 and 1.0Hz, 2H), 5.82(ddt, J=17.0, 10.0 and 7.0Hz, 2H) ;
MS: m/z 185
【0060】
iii) 2,2−ビス(1−ブテニル)マロノアルデヒドの合成
ジメチルスルホキシド(20.8ml,294mmol)のジクロロメタン(56ml)溶液に、蓚酸ジクロライド(18.3ml,56.5mmol)のジクロロメタン(179ml)溶液を−78℃でゆっくり添加し、そのまま30分間攪拌した。2,2−ビス(1−ブテニル)−1,3−プロパンジオール(10.4g,56.5mmol)のジクロロメタン溶液を−78℃で加え、混合液をさらに30分間攪拌した。トリエチルアミン(70.6ml,508mmol)を−78℃で加え、反応温度を室温まで上昇させた。1.5時間後に飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を終結させ、反応液をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濃縮した。得られた生成物、すなわち表記化合物は精製することなく次の反応に用いた。
【0061】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.54-2.06(m, 8H), 5.00(d, J=10.5Hz, 2H), 5.15(d, J=17.4Hz, 2H), 5.75(ddt, J=17.4, 10.5 and 5.2Hz, 2H), 9.75(s, 2H)
【0062】
iv) 2,2−ビス(1−ブテニル)マロノジオキシムの合成
ヒドロキシルアミン塩酸塩(15.7g,226mmol)とピリジン(150ml)の混合物を0℃に冷却し、工程iii) で得られた未精製2,2−ビス(1−ブテニル)マロノアルデヒドを加え、全体を室温で7日間攪拌した。その間、さらにヒドロキシルアミン塩酸塩(9.0g,130mmol)を2日毎に加えた。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製した。表記化合物を無色結晶として、9.93g、収率87%(2工程で)で得た。
【0063】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.66-1.82(m, 4H), 1.94-2.11(m, 4H), 4.94(dd, J=10.2 and 1.8Hz, 2H), 4.99(dd, J=17.1 and 1.6Hz, 2H), 6.01(ddt, J=17.1, 10.2 and 6.4Hz, 2H), 7.34(s, 2H), 8.76(brs, 2H) ; MS: m/z 211
【0064】
v) スピロビスイソオキサゾリン誘導体(VII )の合成
【化14】
【0065】
2,2−ビス(1−ブテニル)マロノジオキシム(4.78g,22.7mmol)のジクロロメタン(455ml)溶液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ca.5%,34ml)を0℃で加え、2時間攪拌した。水を加えて反応を終結させた。反応液をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1→1/2)で精製した。目的とする表記化合物を無色結晶として3.46g、収率74%で得た。ジアステレオマーの内訳は、(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が36%、(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物が13%、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が25%であった。
【0066】
(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.70-1.88(m, 2H), 2.05-2.27(m, 4H), 2.63(dd, J=19.8 and 7.3Hz, 2H), 3.77-4.00(m, 4H), 4.55(m, 2H) ;
MS: m/z 207
【0067】
ラセミ混合物は、ダイセル社製 Chiralpak AD (登録商標)(EtOH,3.0ml/min)で各鏡像体に分割され、(+)体の旋光度は[α]D 22+234°(c0.406, CHCl3 )であった。
【0068】
(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.50-1.68(m, 2H), 2.16-2.33(m, 4H), 2.73-2.84(m, 2H), 3.88-4.03(m, 4H), 4.52-4.66(m, 2H) ;
MS: m/z 207
【0069】
ラセミ混合物は、ダイセル社製 Chiralpak AD (登録商標)(EtOH,4.5ml/min)で各鏡像体に分割され、(+)体の旋光度は[α]D 26+121°(c 0.148, CHCl3 ) であった。
【0070】
(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.54-1.84(m, 2H), 2.02-2.35(m, 4H), 2.40-2.55(m, 1H), 2.84(dd, J=13.2 and 7.6Hz, 1H), 3.80-4.00(m, 3H), 4.11-4.22(m, 1H), 4.50-4.70(m, 2H) ;
MS: m/z 207
【0071】
ラセミ混合物は、ダイセル社製 Chiralpak AD (登録商標)(EtOH,3.0ml/min)で各鏡像体に分割され、(+)体の旋光度は[α]D 26+133°(c 0.286, CHCl3 ) であった。
【0072】
[実施例2]
i) 2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
4−ブロモ−1−ブテンの代わりに5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテンを用いた以外は実施例1の工程i)と同様の操作で表記化合物を収率98%で得た。
【0073】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.25(t, J=7.0Hz, 6H), 1.58(s, 6H), 1.67(s, 6H), 1.80-1.92(m, 8H), 4.18(q, J=7.0Hz, 4H), 5.03- 5.15(m, 2H) ;
MS: m/z 325
【0074】
ii) 2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)−1,3−プロパンジオールの合成
2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルを基質として用い、実施例1の工程ii)と同様の操作により、表記化合物を収率94%で得た。
【0075】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.25-1.36(m, 4H), 1.61(s, 6H), 1.68(s, 6H), 1.85-2.10(m, 4H), 2.85-3.10(brs, 2H), 3.57(s, 4H), 5.05-5.15(m, 2H) ;
MS: m/z 241
【0076】
iii) 2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)マロノアルデヒドの合成2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)プロパン−1,3−プロパンジオールを基質として用い、実施例1の工程 iii)と同様の操作により、表記化合物を未精製体として得、そのまま次反応に用いた。
【0077】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.56(s, 6H), 1.67(s, 6H), 1.80-2.03(m, 8H), 4.85-5.12(m, 2H), 9.74(s, 2H)
【0078】
iv) 2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)マロノジオキシムの合成
未精製2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)マロノアルデヒドを基質として用い、実施例1の工程iv)と同様の操作により、表記化合物を87%(2工程で)の収率で得た。
【0079】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.58(s, 6H), 1.67(s, 6H), 1.55-1.70(m, 4H), 1.90-2.10(m, 4H), 4.98-5.10(m, 2H), 7.42(s, 2H), 8.93(brs, 2H) ;
MS: m/z 267
【0080】
v) スピロビスイソオキサゾリン誘導体(VIII)の合成
【化15】
【0081】
2,2−ビス(2−メチル−2−ペンテニル)マロノジオキシムを基質として用い、実施例1の工程v)と同様の操作により目的とする表記化合物を67%の収率で得た。ジアステレオマーの内訳は、(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が36%、(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物が10%、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が21%であった。
【0082】
(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.27(s, 6H), 1.54(s, 6H), 1.74-1.88(m, 2H), 1.92(ddd, J=6.4, 11.0 and 18.2Hz, 2H), 2.15(ddd, J=6.4, 11.9 and 18.2Hz, 2H), 2.53(ddd, J=1.6, 6.4 and 11.9Hz, 2H), 3.48(dd, J=7.3 and 11.0Hz, 2H) ;
MS: m/z 262
【0083】
(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.23(s, 6H), 1.54(s, 6H), 1.55-1.72(m, 2H), 1.94(dddd, J=3.3, 7.2, 8.7 and 11.9Hz, 2H), 2.19(ddd, J=3.3, 7.9 and 9.7Hz, 2H), 2.69(ddd, J=7.2, 9.5 and 9.7Hz, 2H), 3.62(dd, J=7.9 and 8.7Hz, 2H) ;
MS: m/z(FAB+) 263(M+H)
【0084】
(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.22(s, 3H), 1.26(s, 3H), 1.54(s, 3H), 1.55(s, 3H), 1.62-1.75(m, 1H), 1.75-2.05(m, 3H), 2.10-2.25(m, 2H), 2.47(ddd, J=6.5, 7.9 and 11.1Hz, 1H), 2.74(ddd, J=1.6, 6.3 and 12.7Hz, 1H), 3.52(dd, J=7.9 and 10.8Hz, 1H), 3.78(dd, J=7.9 and 9.5Hz, 1H) ;
MS: m/z 262
【0085】
ラセミ体混合物を実施例1の工程v)と同様にダイセル社製 Chiralpak AD (登録商標)を用いて各鏡像体に光学分割した。
【0086】
[実施例3]
i) 2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
4−ブロモ−1−ブテンの代わりに4−ブロモ−1,1−ジフェニル−1−ブテンを用いた以外は実施例1の工程i)と同様の操作で表記化合物を無色結晶として収率87%で得た。
【0087】
IR(KBr): 2970, 1724, 1596, 1493, 1443, 1277, 1177, 1092, 1026, 883, 760, 702cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.08(t, J=7.1Hz, 6H), 1.88-1.95(m, 8H), 3.98(q, J=7.1Hz, 4H), 5.89- 6.00(m, 2H), 7.08-7.40(m, 20H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ13.964, 24.521, 32.028, 56.850, 61.045, 126.785, 126.809, 126.933, 127.905, 128.021, 129.529, 139.608, 142.138, 171.006
EI-MS m/z(relative intensity): 572(M+ , 40), 527(20), 366(20), 193(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C39H40O4 (M+ ), 572.2927, found 572.2911
Mp: 69-71℃
【0088】
ii) 2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)−1,3−プロパンジオールの合成
2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルを基質として用い、実施例1の工程ii)と同様の操作により、表記化合物を無色結晶として収率66%で得た。
【0089】
IR(KBr): 3275, 2862, 1597, 1493, 1420, 1065, 1030, 760, 702cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.22-1.38(m, 4H), 1.90-2.03(m, 4H), 2.15(s, 2H), 3.41(s, 4H), 5.98(t, J=7.5Hz, 2H), 7.10-7.40(m, 20H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ23.441, 30.619, 41.390, 68.405, 126.768, 126.958, 127.971, 128.136, 129.282, 129.636, 139.863, 141.577, 142.270
EI-MS m/z(relative intensity): 488(M+ , 63), 457(35), 440(47), 115(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C35H36O2 (M+ ) 488.2715, found 488.2704
Mp: 127-128℃
【0090】
iii) 2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)マロノアルデヒドの合成
2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)プロパン−1,3−プロパンジオールを基質として用い、実施例1の工程iii)と同様の操作により、表記化合物を未精製体として得、そのまま次反応に用いた。
【0091】
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.80-1.92(m, 4H), 1.92-2.05(m, 4H), 5.89(t, J=7.25Hz, 2H), 7.07-7.42(m, 20H), 9.52(s, 2H)
【0092】
iv) 2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)マロノジオキシムの合成
2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)マロノアルデヒドの未精製物を基質として用い、実施例1の工程iv)と同様の操作により、表記化合物を無色結晶として56%(2工程で)の収率で得た。
【0093】
IR(KBr): 3356, 3024, 1493, 1443, 1281, 1072, 937, 764, 698cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.62-1.78(m, 4H), 1.90-2.12(m, 4H), 5.82-6.00(m, 2H), 7.08-7.40(m, 24H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ24.364, 35.638, 45.544, 126.826, 126.925, 127.048, 127.938, 128.021, 128.111, 128.260, 129.562, 139.624, 142.212, 142.253, 153.469
EI-MS m/z(relative intensity): 514(M+ , 10), 496(24), 481(47), 452(92), 178(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C35H34N2 O2 (M+ ) 514.6567, found 514.6567
Mp: 50-53℃
【0094】
v) スピロビスイソオキサゾリン誘導体(IX)の合成
【化16】
【0095】
2,2−ビス(4,4−ジフェニル−3−ブテニル)マロノジオキシムを基質として用い、実施例1の工程v)と同様の操作により表記化合物を18%の収率で得た。ジアステレオマーの内訳は、(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が8%、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が11%であった。
【0096】
(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物: 無色結晶
IR(KBr): 3059, 2928, 1720, 1493, 1447, 1072, 1034, 837cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.18-1.50(m, 2H), 1.76-2.18(m, 4H), 2.38(dt, J=7.2, 12.8Hz, 1H), 2.53(dd, J=5.9, 12.8Hz, 1H), 4.47(dd, J=7.6, 11.7Hz, 1H), 4.78(t, J=8.8Hz , 1H), 7.16-7.42(m, 20H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ 22.49, 25.56, 41.04, 42.16, 42.72, 60.79, 62.77, 95.77, 96.78, 126.46, 126.87, 127.12, 127.25, 127.46, 127.83, 127.95, 128.19, 128.40, 140.02, 140.49, 142.81, 143.11, 171.34, 172.67
CI-MS m/z: 511(MH+ )
【0097】
(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:無色結晶
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ1.39(ddd, J=7.0, 11.7, 23.6Hz, 2H), 1.85-1.95(m, 2H), 2.10-2.25(m, 2H), 2.39(dd, J=5.43, 13.2Hz, 2H), 4.38(dd, J=7.6, 11.7Hz, 2H), 7.20-7.45(m, 20H)13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ):δ 25.27, 41.56, 43.56, 62.75, 95.43, 126.87, 127.38, 127.63, 127.96, 128.23, 140.05, 143.11, 173.09
CI-MS m/z: 511(MH+ )
Mp(decomposition): 145℃(M,S,S)体
【0098】
[実施例4]
i) 2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
4−ブロモ−1−ブテンの代わりに6−ブロモ−3−エチル−3−ヘキセンを用いた以外は実施例1の工程i)と同様の操作で表記化合物を無色液体として収率90%で得た。
【0099】
IR(neat): 2970, 1728, 1458, 1204, 1173, 1088, 910, 733cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.94(t, J=7.7Hz, 6H), 0.97(t, J=7.5Hz, 6H), 1.25(t, J=7.1Hz, 6H), 1.82-2.07(m, 16H), 4.18(q, J=7.1Hz, 4H), 5.00-5.09(m, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ12.63, 13.19, 14.02, 22.24, 23.09, 28.99, 32.56, 57.12, 60.82, 121.02, 143.21, 171.33
【0100】
ii) 2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)−1,3−プロパンジオールの合成
2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルを基質として用い、実施例1の工程ii)と同様の操作で表記化合物を無色結晶として収率88%で得た。
【0101】
IR(neat): 3348, 2963, 2955, 2878, 1458, 1373, 1242, 1049, 849cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.96(t, J=7.6Hz, 6H), 0.98(t, J=7.3Hz, 6H), 1.27-1.40(m, 4H), 1.84(s, 2H), 1.89-2.12(m, 12H), 3.61(s, 4H), 5.06(t, J=7.0Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ12.84, 13.34, 14.19, 21.04, 21.14, 23.23, 29.10, 31.16, 41.17, 68.63, 122.43, 142.69
Mp: 31-35℃
【0102】
iii) 2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)マロノアルデヒドの合成2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)−1,3−プロパンジオールを基質として用い、実施例1の工程 iii)と同様の操作により、表記化合物を未精製体として得、そのまま次反応に用いた。
【0103】
iv) 2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)マロノジオキシムの合成
未精製2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)マロノアルデヒドを基質として用い、実施例1の工程iv)と同様の操作により、表記化合物を無色結晶として81%(2工程で)の収率で得た。
【0104】
IR(neat): 3356, 2967, 2936, 2874, 1458, 1292, 1080, 941, 760cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.84-1.05(m, 12H), 1.41-1.80(m, 4H), 1.90-2.12(m, 12H), 4.94-5.07(t, J=7.2Hz, 2H), 7.44(s, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ13.18, 14.14, 22.16, 23.19, 29.02, 36.38, 45.77, 121.53, 143.56, 154.10
EI-MS m/z(relative intensity): 322(M+ , 13), 278(14), 195(69), 55(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C19H34N2 O2 (M+ ) 322.2620, found 322.2619
Mp: 32-33℃
【0105】
V) スピロビスイソオキサゾリン(X)の合成
【化17】
【0106】
2,2−ビス(4−エチル−3−ヘキセニル)マロノジオキシムを基質として用い、実施例1の工程V)と同様の操作により目的とする表記化合物を60%の収率で得た。ジアステレオマーの内訳は、(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が31%、(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物が7%、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が22%であった。
【0107】
(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR(KBr): 2966, 2870, 1512, 1458, 1350, 1265, 1157, 1072, 980, 903, 833, 748, 548cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.90(t, J=4.6, 7.3Hz, 6H), 0.92(t, J=4.6, 7.5Hz, 6H), 1.38(dq, J=7.3, 14.3Hz, 2H), 1.60-2.05(m, 10H), 2.12(dt, J=5.9, 12.3Hz, 2H), 2.50(ddt, J=1.2, 6.1, 12.3Hz, 2H), 3.46(dd, J=7.3, 11.8Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ7.46, 9.23, 23.44, 23.62, 28.40, 41.30, 43.27, 61.53, 92.75, 175.79
EI-MS m/z(relative intensity): 318(M+ +1, 47), 290(63), 147(22), 91(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C19H30N2 O2 (M+ ) 318.2307, found 318.2322
Mp: 88-92℃ (M,S,S)体
【0108】
(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR(CCl4 ): 2963, 2878, 1636, 1458, 1381, 1273, 1119, 1057cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.83(t, J=7.1Hz, 6H), 0.86(t, J=7.1Hz, 6H), 1.27-1.43(dq, J=7.1, 14.3Hz, 2H), 1.49-1.73(m, 6H), 1.74-1.90(m, 4H), 2.09(ddd, J=3.1, 8.1, 13.2Hz, 2H), 2.60(ddd, J=7.4, 9.7, 13.2Hz, 2H),
3.54(dd, J=8.6, 10.4Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ7.78, 8.97, 21.77, 24.62, 29.09, 41.72, 59.82, 93.25, 172.49
EI-MS m/z(relative intensity): 318(M+ , 9), 288(100, bp), 218(19), 57(97)
EI-HRMS: calcd for C19H30N2 O2 (M+ ) 318.2307, found 318.2291
Mp: 79-85℃ (M,R,R)体
【0109】
(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR(KBr): 2970, 2878, 1458, 1381, 1350, 941, 864, 833cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.84-1.03(m, 12H), 1.24-1.51(m, 2H), 1.51-2.07(m, 10H), 2.07-2.24(m, 2H), 2.48(dt, J=7.6, 13.0Hz, 1H), 2.70(dd, J=6.0, 12.6Hz, 1H), 3.51(dd, J=7.6, 11.6Hz, 1H), 3.70(t, J=9.2Hz, 1H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ7.42, 7.63, 9.08, 9.24, 20.81, 23.49, 23.90, 24.19, 28.54, 28.97, 41.51, 41.87, 42.44, 59.5, 61.37, 92.92, 93.32, 172.58, 174.42
EI-MS m/z(relative intensity): 318(M+ , 46), 301(13), 289(100, bp), 57(58)
EI-HRMS: calcd for C19H30N2 O2 (M+ ) 318.2307, found 318.2285
Mp: 89-92℃ (M,R,S)体
【0110】
ラセミ体混合物を実施例1の工程v)と同様にダイセル社製 Chiralpak AD(登録商標)を用いて各鏡像体に光学分割した。
【0111】
[実施例5]
i) 2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
4−ブロモ−1−ブテンの代わりに1−ブロモ−5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセンを用いた以外は実施例1の工程i)と同様の操作で表記化合物を収率93%で得た。淡黄色液体。
【0112】
IR(neat): 2963, 2870, 1732, 1462, 1366, 1261, 1238, 1211, 1180, 1034, 864, 664cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.98(d, J=6.9Hz, 24H), 1.25(t, J=7.1Hz, 6H), 1.90(s, 2H), 1.92(s, 2H), 2.26(sept, J=6.9Hz, 2H), 2.72(sept, J=6.9Hz, 2H), 4.19(q, J=7.1Hz, 4H), 5.08(t, J=3.0Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ14.20, 21.30, 22.13, 24.56, 28.83, 29.35, 32.79, 57.43, 61.05, 119.67, 151.97, 171.62
CI-MS m/z : 437(MH+ )
EI-HRMS: calcd for C27H48O4 (M+ ) 436.3553, found 436.3542
【0113】
ii) 2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)−1,3−プロパンジオールの合成
2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)プロパン−1,3−ジカルボン酸ジエチルエステルを基質として用い、実施例1の工程ii)と同様の操作で表記化合物を無色結晶として収率91%で得た。
【0114】
IR(KBr): 3287, 2959, 2928, 2870, 1462, 1381, 1362, 1246, 1115, 1050, 1007, 853, 664cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.99(d, J=6.8Hz, 12H), 1.01(d, J=6.9Hz, 12H), 1.26-1.37(m, 4H), 1.93-2.06(m, 4H), 2.27(sept, J=6.8Hz, 2H), 2.78(sept, J=6.9Hz, 2H), 3.61(s, 4H), 5.09(t, J=7.2Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ20.96, 21.34, 24.66, 28.62, 29.43, 31.50, 69.28, 120.81, 120.88, 151.45
CI-MS m/z : 351(M-1)
Mp: 69-72℃
【0115】
iii) 2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)マロノジオキシムの合成
2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)−1,3−プロパンジオールを基質として用い、実施例1の工程 iii)およびiv) と同様の操作により、表記化合物を無色結晶として90%(2工程で)の収率で得た。
【0116】
IR(KBr): 3310, 2959, 2928, 2870, 1470, 1362, 1296, 1030, 949, 667cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.98(d, J=6.9Hz, 12H), 0.99(d, J=6.9Hz, 12H), 1.62-1.75(m, 4H), 1.97-2.10(m, 4H), 2.26(sept, J=7.0Hz, 2H), 2.73(sept, J=6.9 H z, 2H), 5.04(t, J=7.1Hz, 2H), 6.89(s, 2H), 7.44(s, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ21.28, 22.02, 24.62, 28.70, 29.44, 36.55, 45.81, 120.01, 151.96, 154.40
EI-MS m/z(relative intensity): 378(M+ , 14), 363(10), 320(34), 69(100, bp)
EI-HRMS: calcd for C23H42N2 O2 (M+ ), 378.3246, found 378.3257
Mp: 94-97℃
【0117】
iv) スピロビスイソオキサゾリン(XI )の合成
【化18】
【0118】
2,2−ビス(5−メチル−4−イソプロピル−3−ヘキセニル)マロノジオキシムを基質として用い、実施例1の工程V)と同様の操作により目的とする表記化合物を60%の収率で得た。ジアステレオマーの内訳は、(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が31%、(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物が7%、(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物が22%であった。
【0119】
(M,S,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR( 反射法): 2961, 2933, 2897, 2876, 1466, 1385, 1373, 1364, 1005, 889, 868, 783, 704cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.91(d, J=6.8Hz, 6H), 0.94(d, J=7.1Hz, 6H), 1.00(d, J=6.8Hz, 6H), 1.07(d, J=6.8Hz, 6H), 1.78-1.81(m, 2H), 1.87-2.34(m, 8H), 2.47-2.61(m, 2H), 3.64(dd, J=7.5, 11.4Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ17.94, 18.36, 18.83, 18.91, 24.12, 31.19, 31.53, 40.66, 44.60, 56.83, 95.49, 172.68
CI-MS m/z : 375(MH+ )
Mp(decomposition): 160℃(M,S,S)体
【0120】
(M,R,R)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR( 反射法): 2961, 2878, 1466, 1385, 1342, 1007, 922, 899, 868, 841, 795cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.82-1.04(m, 24H), 1.81-1.98(m, 6H), 2.17-2.34(m, 4H), 2.73(dt, J=8.4, 13.4Hz, 2H), 3.78(t, J=9.8Hz, 2H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ17.44, 17.99, 18.37, 18.88, 21.96, 31.64, 31.85, 41.68, 41.95, 54.54, 96.69, 170.88
CI-MS m/z : 375(MH+ )
【0121】
(M,R,S)体とその鏡像体のラセミ混合物:
IR( 反射法): 2955, 2932, 1458, 1382, 1340, 995, 891, 860, 831, 800cm−1
1 H-NMR(270MHz, CDCl3 ): δ0.82-1.04(m, 24H), 1.65-1.95(m, 5H), 2.02-2.48(m, 6H), 2.73-2.86(m, 1H), 3.70(dd, J=7.7, 11.4Hz, 1H), 4.03(t, J=9.4Hz, 1H)
13C-NMR(67.5MHz, CDCl3 ): δ17.00, 17.64, 17.76, 17.96, 18.40, 18.55, 18.92, 20.26, 23.74, 31.11, 31.55, 31.57, 31.78, 40.15, 40.86, 42.40, 53.07, 56.10, 95.73, 96.93, 169.68, 172.19
CI-MS m/z : 375(MH+ )
【0122】
ラセミ体混合物を実施例1の工程v)と同様にダイセル社製 Chiralpak AD(登録商標)を用いて各鏡像体に光学分割した。
【0123】
[実施例6]
光学活性3−エチルシクロヘキサノンの合成
実施例1で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VII] の(M,S,S)体(7.6mg,0.037mmol)と銅(II)トリフラート(9.4mg,0.026mmol)から調製した錯体とシクロヘキセノン(51μl,0.52mmol)のトルエン溶液(1.65ml)にジエチル亜鉛(0.68mmol)のトルエン溶液(0.61ml)を加え、全体を−50℃で4.5時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、混合液をエーテルで抽出した。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=30:1)にて精製し、その光学純度をダイセル社製 Chiralpak AS (ヘキサン:イソプロピルアルコール98: 2)により決定した。収率68%、22%ee。
【0124】
[実施例7]
光学活性3−エチルシクロヘキサノンの合成
実施例2で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VIII] (9.7mg,0.037mmol)と銅(II)トリフラート(9.4mg,0.026mmol)から調製した錯体とシクロヘキセノン(51μl,0.52mmol)のトルエン溶液(1.65ml)にジエチル亜鉛(0.68mmol)の溶液(0.61ml)を加え、−50℃で2時間攪拌した。実施例6と同様に処理して生成物を得、光学純度を求めた。収率92%、31%ee。
【0125】
[実施例8]
光学活性3−エチルシクロヘキサノンの合成
実施例1で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VII] の(M,S,S)体(10.3mg,0.050mmol)と銅(II)アセチルアセトナート(9.3mg,0.0356mmol)から調製した錯体とシクロヘキセノン(70μl,0.713mmol)のトルエン溶液(2.3ml)にジエチル亜鉛(0.926mmol)のトルエン溶液(0.85ml)を加え、−30℃で2時間攪拌した。実施例6と同様に処理して生成物を得、光学純度を求めた。収率79%、45%ee。
【0126】
[実施例9]
光学活性3−イソプロピルシクロヘキサノンの合成
実施例1で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VII] の(M,S,S)体(6.4mg,0.031mmol) と銅(II)トリフラート(9.4mg,0.026mmol)から調製した錯体とシクロヘキセノン(51μl,0.52mmol)のトルエン溶液(1.65ml)にジイソプロピル亜鉛(0.68mmol)のトルエン溶液(0.61ml)を加え、−30℃で4時間攪拌した。実施例6と同様に処理して生成物を得、光学純度を求めた。収率79%、49%ee。
【0127】
[実施例10]
光学活性1,3−ジフェニルペンタン−1−オンの合成
実施例1で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VII] の(M,S,S)体(7.4mg,0.0357mmol)と銅(II)トリフラート(9.2mg,0.0255mmol)から調製した錯体とカルコン(107mg,0.51mmol)のトルエン溶液(2.2ml)にジエチル亜鉛(0.663mmol)のトルエン溶液(0.6ml)を加え、全体を−30℃で7時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、混合液をエーテルで抽出した。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=30:1)にて精製し、その光学純度をダイセル社製 Chiralpak AD (登録商標)(ヘキサン:イソプロピルアルコール98:2)により決定した。収率69%、36%ee。
【0128】
[実施例11]
光学活性trans −トランス−2−フェニルシクロヘキサノールの合成
実施例1で得られた光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[VII] の(M,S,S)体(14mg,0.07mmol)とシクロヘキセンオキシド(0.1ml,1.0mmol)のジエチルエーテル溶液(2.2ml)にフェニルリチウム(0.86Mヘキサン溶液)の溶液(3.0ml)を加え、全体を0℃で12時間攪拌した。反応液に1N塩酸を加えて反応を停止した後、混合液を酢酸エチルで抽出した。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、その光学純度をダイセル社製 Chiralcel OD (登録商標)(ヘキサン:イソプロピルアルコール=98:2)により決定した。収率58%、16%ee。
Claims (20)
- 4つのRがいずれも水素原子であるかまたはメチル基である請求項1に記載のビスイソオキサゾリン誘導体。
- R´がメチレン基である請求項1または2に記載のビスイソオキサゾリン誘導体。
- 光学活性体である請求項1〜3のいずれかに記載のビスイソオキサゾリン誘導体。
- 得られたビスイソオキサゾリン誘導体を光学分割する請求項5に記載のビスイソオキサゾリン誘導体の製造法。
- R´がメチレン基である請求項7に記載のジオキシム。
- R´がメチレン基である請求項10に記載のジアルデヒド。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のビスイソオキサゾリン誘導体[I]に金属を配位してなる錯体。
- 請求項4に記載の光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[I]からなる不斉合成反応触媒。
- 請求項4に記載の光学活性ビスイソオキサゾリン誘導体[I]に遷移金属を配位してなる錯体からなる不斉合成反応触媒。
- 遷移金属が、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、およびPdからなる群から選ばれる請求項15に記載の触媒。
- 請求項14〜16のいずれかに記載の触媒を用いて不斉合成反応を行う方法。
- 不斉合成反応が不斉求核付加反応である請求項17に記載の触媒の方法。
- 請求項14に記載の触媒を用いてエポキシ化合物の不斉開環反応を行う方法。
- 請求項15または16に記載の触媒を用いて共役エノンへの不斉マイケル型求核付加反応を行う方法。
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