JP3896060B2 - マイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス密度測定方法に関し、特に、マイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ガス提供事業としては、対電力提供事業とのコスト競争にともない、天然ガスのストレート供給及び託送の時代を迎えると、供給されるガスの成分及び熱量にかなりの変動がでることが予想される。そうなると、工業炉やバーナーの燃焼にも影響が出てきて、性能低下や製品不良が発生することも予想される。これを防止するための一方策としては、供給されるガスとガス器具との適応性を所定の指標を用いて判断する必要があるが、そのためには、ガスの密度を正確に測定する必要がある。
【0003】
ガス密度計としては、例えば、薄膜円筒の共振周波数が周囲の気体密度により変化することを利用したバイブロガス密度計や、振動管式密度計からの密度周期信号を受けて、ガスの密度、比重等を演算する密度演算器等が知られているが、これらはいずれも構造が大型であったり、複雑であったり、応答性が悪かったり、更には、非常に高価なものであった。
【0004】
ここで、本明細書中で引用する文献を以下に示す。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−12988号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この問題を解決するため、本出願人は、周知のマイクロフローセンサをガス密度測定に利用することを試み、被測定ガスが通過するガス流路の内壁に形成されたポケット部内に取り付けられたマイクロフローセンサに含まれる複数のサーモパイルから出力される温度検出信号を利用して、ガスの密度を求めることに成功したが、より広いスパンにわたって高い精度でガス密度を測定することが望まれている。
【0007】
そこで、よって本発明は、上述した現状に鑑み、マイクロフローセンサを用い、簡易な方法でありながら、被測定ガスのスパン範囲が広い場合でも、精度よくガス密度を測定することを可能にするガス密度測定方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のガス密度測定方法は、被測定ガスが通過するガス流路の内壁に形成されたポケット部内に取り付けられたマイクロフローセンサに含まれる複数のサーモパイルからそれぞれ出力される温度検出信号のうちの少なくともいずれかひとつから得られるセンサ出力値を利用して、前記被測定ガスの密度を求めるマイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法であって、前記被測定ガスのスパン範囲に基づいて、前記センサ出力値と前記被測定ガスの密度逆数とが線形関係にあるとする第1形態、或いは、前記センサ出力値と前記被測定ガスの密度とが線形関係にあるとする第2形態、のいずれかのうちで、より近似されている方を選択し、この選択した形態を利用して、前記センサ出力値から前記被測定ガスの密度を求める、ことを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、被測定ガスが通過するガス流路の内壁に形成されたポケット部内に取り付けられたマイクロフローセンサに含まれる複数のサーモパイルからそれぞれ出力される温度検出信号のうちの少なくともいずれかひとつから得られるセンサ出力値と被測定ガスの密度との関係を、被測定ガスのスパン範囲に基づいて、センサ出力値と前記被測定ガスの密度逆数とが線形関係にあるとする第1形態、或いは、センサ出力値と被測定ガスの密度とが線形関係にあるとする第2形態、のいずれかのうちで、より近似されている方を選択し、この選択した形態を利用して、センサ出力値から前記被測定ガスの密度を求めるようにしているので、線形の回帰式を用いるだけで、複雑な近似をすることなく、被測定ガスの密度を求めることができるようになる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載のガス密度測定方法は、請求項1記載のガス密度測定方法において、前記被測定ガスのスパン範囲が比較的広い場合には前記第1形態を選択し、前記被測定ガスのスパン範囲が比較的狭い場合には前記第2形態を選択する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、被測定ガスのスパン範囲が比較的広い場合には第1形態を選択し、被測定ガスのスパン範囲が比較的狭い場合には第2形態を選択するようにしているので、被測定ガスのスパン範囲が広い場合でも狭い場合でも、精度よく密度を測定することが可能になる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載のガス密度測定方法は、所定トリガーに基づいて前記センサ出力値を増幅する増幅器の増幅定数を設定又は解除した後、前記第1形態又は前記第2形態を選択する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、所定トリガーに基づいてセンサ出力値を増幅する増幅器の増幅定数を設定又は解除した後、第1形態又は第2形態を選択するようにしているので、更に精度よく密度を測定することが可能になる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載のガス密度測定方法は、請求項3記載のガス密度測定方法において、前記増幅器の後段に接続されたA/D変換回路からの出力値に基づいて、前記第1形態、或いは、前記第2形態を自動的に選択する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、A/D変換回路からの出力値に基づいて、第1形態、或いは、第2形態を自動的に選択するようにしているので、より高い利便性を有しつつ、被測定ガスの密度を精度よく求めることができるようになる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載のガス密度測定方法は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス密度測定方法において、前記被測定ガスの密度が0.6〜2.5程度と想定される場合には前記第1形態を選択し、前記被測定ガスの密度が0.7〜1.1程度と想定される場合には前記第2形態を選択する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、被測定ガスの密度が0.6〜2.5程度と想定される場合には第1形態を選択し、被測定ガスの密度が0.7〜1.1程度と想定される場合には第2形態を選択するようにしているので、現実に則して更に高精度に、被測定ガスの密度を求めることができるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にて使用されるマイクロフローセンサ1(1′)の構成図である。このマイクロフローセンサ1は、Si基板2、ダイヤフラム3、ダイヤフラム3上に形成された白金等からなるマイクロヒータ4、マイクロヒータ4の下流側でダイヤフラム3上に形成された下流側サーモパイル5(又は、第1サーモパイルとよぶ)、マイクロヒータ4に図示しない電源から駆動電流を供給する電源端子6A、6B、マイクロヒータ4の上流側でダイヤフラム3上に形成された上流側サーモパイル8(又は、第2サーモパイルとよぶ)、下流側サーモパイル5から出力される第1温度検出信号を出力する第1出力端子7A、7B、上流側サーモパイル8から出力される第2温度検出信号を出力する第2出力端子9A、9B、を備える。
【0019】
また、マイクロフローセンサ1は、マイクロヒータ4に対してガスの流れ方向(PからQへの方向)と略直交方向に配置され、第3温度検出信号を出力する右側サーモパイル11(又は、第3サーモパイルとよぶ)、この右側サーモパイル11から出力される第3温度検出信号を出力する第3出力端子12A、12B、マイクロヒータ4に対してガスの流れ方向(PからQへの方向)と略直交方向に配置され、第4温度検出信号を出力する左側サーモパイル13(又は、第4サーモパイルとよぶ)、この左側サーモパイル13から出力される第4温度検出信号を出力する第4出力端子14A、14B、ガスの温度を得るための抵抗15、16、この抵抗15、16からのガスの温度信号を出力する出力端子17A、17Bを備える。
【0020】
上流側サーモパイル8、下流側サーモパイル5、右側サーモパイル11及び左側サーモパイル13は、熱電対から構成されている。この熱電対は、p++ ̄Si及びAlにより構成され、冷接点と温接点とを有し、熱を検出し、冷接点と温接点との温度差から熱起電力が発生することにより、温度検出信号を出力するようになっている。また、Si基板2上に形成されたダイヤフラム3には、マイクロヒータ4、上流側サーモパイル8、下流側サーモパイル5、右側サーモパイル11及び左側サーモパイル13のそれぞれの温接点が形成されている。
【0021】
このような構成のマイクロフローセンサ1において、マイクロヒータ4が外部からの駆動電流により過熱された際の上記第1温度検出信号及び第2温度検出信号は、例えば所定の流路を通過する被測定ガスの流速を求めるために利用され、上記第3温度検出信号及び/又は第4温度検出信号は、例えばこの被測定ガスの物性値等を求めるために利用される。このようなマイクロフローセンサや流速計測方法等は、例えば、上記特許文献1等でも開示されているので、ここでは、詳細な説明は省略する。本発明では、このマイクロフローセンサ1が流量センサのみならず、密度センサとして利用される。これについて以下に説明する。
【0022】
上記構成のマイクロフローセンサの基本性能について図2を用いて説明する。図2(A)及び図2(B)は、熱伝導率と左側サーモパイル(TP)の出力との関係を示す図である。
【0023】
ここで、左側サーモパイルは、図1で説明したとおり、ガスの流れ方向と略直交方向に配置されている。右側サーモパイルも、この左側サーモパイルと同様の特性を示す。左側サーモパイル及び右側サーモパイルは、ガスの流れ方向と略直交するように配置されている。図2(A)及び図2(B)に示すように、流れがあってもなくても、熱伝導率と左側及び右側サーモパイルの出力とは直線性の関係があることがわかる。
【0024】
このような特性に着目して、マイクロフローセンサを用いたガス密度測定が可能になる。図3(A)は本発明のガス密度測定方法に係る概略断面図であり、図3(B)は図3(A)のポケット部の拡大断面図である。
【0025】
図3(A)に示すように、被測定ガスが通過するガス流路20の内壁に凹形状に形成され、ガス流路20の通じる開口部21Aを有するポケット部21が形成されている。このポケット部21内には、密度センサとして、図1で示した構成のマイクロフローセンサ1′が取り付けられている。ポケット部21については、再度後で説明を加える。また、ガス流路20には、マイクロフローセンサ1′と同一構成の流量センサとしてのマイクロフローセンサ1が取り付けられている。このマイクロフローセンサ1の測定面は、ガス流路20に暴露するように取り付けられている。また、このマイクロフローセンサ1の設置箇所に基づいて、ガス流路20の断面を均等に分割するように、複数の整流格子22がそれぞれ等間隔かつ平行になるように配置されている。更に、この整流格子22を上流側P及び下流側Qからそれぞれ挟み込むように、メッシュ23A〜23C及びメッシュ23Dが、ガス流路20の途中に配置されている。これら整流格子22及びメッシュ23A〜23Dは整流作用を有し、マイクロフローセンサ1による流量測定の精度を向上させる。
【0026】
図3(B)に示すように、ポケット部21は、例えば、略円筒形をしており、上部には、測定面が下を向くようにして、マイクロフローセンサ1′が取り付けられている。また、ポケット部21の下部には、ガス流路20の通じる略円形状の開口部21Aが形成されている。この開口部21Aの口径は、ガス流路20を通過する被測定ガスによる流れの影響を受けないように、ポケット部21の容積に対して十分小さくしている。
【0027】
上記のように配置されたポケット部21に取り付けられた密度センサとしてのマイクロフローセンサ1′に接続される、本ガス密度測定方法で用いられる検出回路部について、図4を用いて説明する。図4は、上記マイクロフローセンサ1′に接続される密度検出回路部の一例を示す回路構成図である。
【0028】
図4に示すように、この密度検出回路部においては、マイクロフローセンサ1′の下流側サーモパイル5、上流側サーモパイル8、右側サーモパイル11及び左側サーモパイル13にはそれぞれ、増幅器AMP1、増幅器AMP2、増幅器AMP3及び増幅器AMP4が接続されている。増幅器AMP1、増幅器AMP2、増幅器AMP3及び増幅器AMP4は、下流側サーモパイル5、上流側サーモパイル8、右側サーモパイル11及び左側サーモパイル13からそれぞれ供給される第1温度検出信号、第2温度検出信号、第3温度検出信号及び第4温度検出信号を増幅して加算回路30に出力する。
【0029】
加算回路30では、基本的に、第1〜第4検出信号を加算してゼロ点調整回路40に出力する。但し、必ずしも、第1〜第4検出信号の全てを使用する必要はない。すなわち、第1〜第4温度検出信号の少なくともいずれかひとつを使用してもよいし、第1〜第4検出信号のうちのいずれか2つ以上を使用するようにしてもよい。その組み合わせ方も任意であり、例えば、第1検出信号と第2検出信号との組み合わせ、第3検出信号と第4検出信号の組み合わせ等であってもよい。これにより、複数の温度検出信号のうちで良好な温度検出信号を採用することが可能になり、最終的にセンサ出力を向上させることができるようになる。また、ポケット部の渦流量の影響も排除することができるようになる。
【0030】
ゼロ点調整回路40は、抵抗R1、R2、Rx、可変抵抗器VR1、増幅定数変更スイッチSW1及び増幅器AMP5を含んで構成され、その入力端が加算回路30に接続され、出力端がスパン調整回路50に接続されている。そして、増幅定数変更スイッチSW1を切り替え制御することにより、増幅器AMP5の増幅率を調整することが可能である。
【0031】
スパン調整回路50は、抵抗R3、R4、Ry、可変抵抗器VR2、増幅定数変更スイッチSW2及び増幅器AMP6を含んで構成され、その入力端がゼロ点調整回路40に接続され、出力端がA/D変換回路60に接続されている。そして、増幅定数変更スイッチSW2を切り替え制御することにより、増幅器AMP6の増幅率を調整することが可能である。
【0032】
A/D変換回路60は、スパン調整回路50の増幅器AMP6から供給される増幅されたアナログ値であるセンサ出力をディジタル値に変換する。このディジタル値は制御部70を介してディジタル出力端子71から直接、出力するようにしてもよいし、制御部70にて、パルス変換して出力するようにしてもよいし、周波数変換して出力するようにしてもよいし、或いは、通信電文に変換して出力するようにしてもよい。
【0033】
制御部70は、ヒータ駆動回路100を指令して、マイクロヒータ4を最適な温度に制御したり、センサ出力をリニアリティのあるディジタル出力に変換してディジタル出力端子71から出力したり、センサ出力に対して所定の温度補正を施したりする。また、制御部70は、増幅定数変更ロジック701及び出力形態変更ロジック702を含む。これらロジック701及び702に関しては、図7に示す処理手順と共に後述する。
【0034】
D/A変換回路80は、制御部70から供給されるディジタル出力値を、必要なアナログ規格値に適合する範囲内のアナログ信号に変換して、アナログ出力端子81から出力する。出力方法としては、例えば、4−20mAの定電流信号や、1−5Vの定電圧信号等が適用可能である。
【0035】
トリガー受信回路90は、電文、スイッチ又はジャンパー等にて入力される各トリガー(請求項の所定トリガーに相当)に基づいて、上記スイッチSW1、SW2を切り替え制御するための信号を制御部70に出力する。制御部70では、増幅定数変更ロジック701にて、スイッチSW1、SW2を切り替えるための制御信号を生成して、これを各スイッチSW1、SW2に出力する。
【0036】
ヒータ駆動回路100は、例えばトランジスタ回路で構成され、制御部70に指令されて、マイクロヒータ4の温度制御を行う回路である。駆動方法としては、公知の定電圧駆動、定電流駆動、定電力駆動、定温度駆動、或いは、定温度差駆動等が適用可能である。
【0037】
ところで、上記構成を用いたガス密度測定方法によると、スパン範囲に依存して、センサ出力は、密度そのものに対してより線形近似可能な場合と、密度逆数に対してより線形近似可能な場合とがある。これを図5及び図6を用いて説明する。
【0038】
図5(A)及び図5(B)は、スパン範囲が比較的広い場合のセンサ出力と密度、密度逆数との関係を示すグラフであり、図6(A)及び図6(B)は、スパン範囲が比較的狭い場合のセンサ出力と密度、密度逆数との関係を示すグラフである。なお、図5(A)及び図5(B)においては、センサ出力を左側サーモパイルの出力電圧値で示し、図6(A)及び図6(B)においては、センサ出力を出力電流値に変換して示している。また、図6(A)及び図6(B)において、Rは実際値を示し、Lは線形回帰線を示している。
【0039】
図5(A)及び図5(B)に示すように、被測定ガスのスパン範囲が比較的広い場合には、センサ出力は、密度そのもよりも密度逆数に対する方が、より線形近似可能であることがわかる。一方、図6(A)及び図6(B)に示すように、被測定ガスのスパン範囲が比較的狭い場合には、センサ出力は、密度逆数よりも密度そのものに対する方が、より線形近似可能であることがわかる。
【0040】
このような特性に着目して、被測定ガスのスパン範囲によって、センサ出力を、密度そのもの、或いは、密度逆数により線形近似するかを、上記制御部70にファームウエアとして含まれる出力形態変更ロジック702にて選択して、これにしたがって密度計算するようにしている。
【0041】
次に、図7を用いて、上記制御部70にて行われる本発明のガス密度測定方法の一実施形態に係る処理手順について説明する。図7は、本発明のガス密度測定方法の一実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
図7の処理手順においては、トリガー受信回路90からのトリガー受信が待機されており、ステップS1においてトリガー受信ありと判定されるとステップS2に進み(ステップS1のY)、さもなければステップS4に進む(ステップS1のN)。
【0043】
トリガー受信があった場合のステップS2においては、まず、電文、スイッチ又はジャンパー等にて入力されたトリガーに基づいて、上記スイッチSW1、SW2を切り替えるための制御信号が生成されて、これらがスイッチSW1、SW2に出力される。スイッチSW1、SW2は、制御信号応答して切り替え動作して、これにより、増幅器AMP5、AMP6の増幅率が変更される。なお、この制御は、上記増幅定数変更ロジック701にて行われる。
【0044】
次に、ステップS3において、第1出力形態(請求項の第1形態に相当)が選択され、これに基づいて被測定ガスの密度が求められる。この第1出力形態は、センサ出力値と被測定ガスの密度逆数とが線形関係にあるとして(図5(B)参照)、センサ出力値から被測定ガスの密度を補完、算出するためのものである。なお、この制御は、上記出力形態変更ロジック702にて行われる。
【0045】
一方、トリガー受信がない場合のステップS4おいては、上記A/D変換回路60からのA/D変換値が、閾値以上であるか、或いは、閾値未満であるかが判定される。ステップS4において、A/D変換値が閾値以上であると判定されるとスパン範囲が狭いと判断できステップS5に進み、A/D変換値が閾値未満であると判定されるとスパン範囲が広いと判断できステップS2に進んで上記説明したような処理がここでも行われる。例えば、上記A/D変換値は左側サーモパイル13の出力に基づくものとし、上記閾値は4.5ボルトとする。
【0046】
ステップS5においては、第2出力形態(請求項の第2形態に相当)が選択され、これに基づいて被測定ガスの密度が求められる。この第2出力形態は、センサ出力値と被測定ガスの密度とが線形関係にあるとして(図6(A)参照)、センサ出力値から被測定ガスの密度を補完、算出するためのものである。なお、この制御は、上記出力形態変更ロジック702にて行われる。
【0047】
このように、A/D変換回路60からの出力値に基づいて、第1形態、或いは、第2形態を自動的に選択するようにしているので、より高い利便性を有しつつ、被測定ガスの密度を精度よく求めることができるようになる。なお、被測定ガスの密度が0.6〜2.5程度と想定される場合には第1出力形態を選択し、被測定ガスの密度が0.7〜1.1程度と想定される場合には第2出力形態を選択することが好ましいことが確認されている。
【0048】
更に、図8を用いて、本発明の他の実施形態について説明する。図8は、本発明の他の実施形態に係る回路構成図である。この図8に示す回路構成図は、上記図4の回路構成図に準じるが、ここでは、図4で示した構成要素中、抵抗Rx、Ry、スイッチSW1、SW2、及び、制御部70′にて、増幅定数変更ロジック701が削除される。なお、図8において図4と共通する部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
ここでは、被測定ガスのスパン範囲に基づき、抵抗R1、R2、R3、R4等を調整して、予め所定の増幅定数が設定された装置を準備しておき、実際の被測定ガスのスパン範囲に基づき、適切な増幅定数が設定された装置を選択するようにする。但し、この図8においても、制御部70に出力形態変更ロジック702が含まれており、これによる処理手順は、図7に示した処理手順に準ずるものとなる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、マイクロフローセンサを用い、簡易な方法でありながら、被測定ガスのスパン範囲が広い場合でも、勿論、狭い場合でも、精度よくガス密度を測定することが可能になる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、図3に示すポケット部21の下流側に直管部を設け、ここに更にメッシュ23D等と同等の他のメッシュを設けるようにしてもよい。こうすることにより、ポケット部21の乱流が緩和されてより測定精度が向上する。また、ポケット部21は円筒形でなくてもよい。また、マイクロフローセンサ1′の測定面は横を向くように配置してもよい。また、実施形態に示したような流量センサ、整流格子及びメッシュは必ずしも必要でなく、マイクロフローセンサを密度計のみに利用してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、被測定ガスが通過するガス流路の内壁に形成されたポケット部内に取り付けられたマイクロフローセンサに含まれる複数のサーモパイルからそれぞれ出力される温度検出信号のうちの少なくともいずれかひとつから得られるセンサ出力値と被測定ガスの密度との関係を、被測定ガスのスパン範囲に基づいて、センサ出力値と前記被測定ガスの密度逆数とが線形関係にあるとする第1形態、或いは、センサ出力値と被測定ガスの密度とが線形関係にあるとする第2形態、のいずれかのうちで、より近似されている方を選択し、この選択した形態を利用して、センサ出力値から前記被測定ガスの密度を求めるようにしているので、線形の回帰式を用いるだけで、複雑な近似をすることなく、被測定ガスの密度を求めることができるようになる。
【0053】
請求項2記載の発明によれば、被測定ガスのスパン範囲が比較的広い場合には第1形態を選択し、被測定ガスのスパン範囲が比較的狭い場合には第2形態を選択するようにしているので、被測定ガスのスパン範囲が広い場合でも狭い場合でも、精度よく密度を測定することが可能になる。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、所定トリガーに基づいてセンサ出力値を増幅する増幅器の増幅定数を設定又は解除した後、第1形態又は第2形態を選択するようにしているので、更に精度よく密度を測定することが可能になる。
【0055】
請求項4記載の発明によれば、A/D変換回路からの出力値に基づいて、第1形態、或いは、第2形態を自動的に選択するようにしているので、より高い利便性を有しつつ、被測定ガスの密度を精度よく求めることができるようになる。
【0056】
請求項5記載の発明によれば、被測定ガスの密度が0.6〜2.5程度と想定される場合には第1形態を選択し、被測定ガスの密度が0.7〜1.1程度と想定される場合には第2形態を選択するようにしているので、現実に則して更に高精度に、被測定ガスの密度を求めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にて使用されるマイクロフローセンサの構成図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、熱伝導率と左側サーモパイルの出力との関係を示す図である。
【図3】図3(A)は本発明のガス密度測定方法に係る概略断面図であり、図3(B)は図3(A)のポケット部の拡大断面図である。
【図4】図3のマイクロフローセンサに接続される密度検出回路部の一例を示す回路構成図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、スパン範囲が比較的広い場合のセンサ出力と密度、密度逆数との関係を示すグラフである。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、スパン範囲が比較的狭い場合のセンサ出力と密度、密度逆数との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のガス密度測定方法の一実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態に係る回路構成図である。
【符号の説明】
1′ マイクロフローセンサ(密度センサ)
20 流路
21 ポケット部
30 加算回路
40 ゼロ点調整回路
50 スパン調整回路
60 A/D変換回路
70 制御部
71 ディジタル出力端子
80 D/A変換回路
81 アナログ出力端子
90 トリガー受信回路
100 ヒータ駆動回路
Claims (5)
- 被測定ガスが通過するガス流路の内壁に形成されたポケット部内に取り付けられたマイクロフローセンサに含まれる複数のサーモパイルからそれぞれ出力される温度検出信号のうちの少なくともいずれかひとつから得られるセンサ出力値を利用して、前記被測定ガスの密度を求めるマイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法であって、
前記被測定ガスのスパン範囲に基づいて、前記センサ出力値と前記被測定ガスの密度逆数とが線形関係にあるとする第1形態、或いは、前記センサ出力値と前記被測定ガスの密度とが線形関係にあるとする第2形態、のいずれかのうちで、より近似されている方を選択し、この選択した形態を利用して、前記センサ出力値から前記被測定ガスの密度を求める、
ことを特徴とするガス密度測定方法。 - 請求項1記載のガス密度測定方法において、
前記被測定ガスのスパン範囲が比較的広い場合には前記第1形態を選択し、前記被測定ガスのスパン範囲が比較的狭い場合には前記第2形態を選択する、
ことを特徴とするガス密度測定方法。 - 請求項2記載のガス密度測定方法において、
所定トリガーに基づいて前記センサ出力値を増幅する増幅器の増幅定数を設定又は解除した後、前記第1形態又は前記第2形態を選択する、
ことを特徴とするガス密度測定方法。 - 請求項3記載のガス密度測定方法において、
前記増幅器の後段に接続されたA/D変換回路からの出力値に基づいて、前記第1形態、或いは、前記第2形態を自動的に選択する、
ことを特徴とするガス密度測定方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス密度測定方法において、
前記被測定ガスの密度が0.6〜2.5程度と想定される場合には前記第1形態を選択し、前記被測定ガスの密度が0.7〜1.1程度と想定される場合には前記第2形態を選択する、
ことを特徴とするガス密度測定方法。
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JP2002292050A JP3896060B2 (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | マイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法 |
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JP2002292050A JP3896060B2 (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | マイクロフローセンサを用いたガス密度測定方法 |
Publications (2)
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