JP3896051B2 - 分散型電源の単独運転検出方法 - Google Patents
分散型電源の単独運転検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3896051B2 JP3896051B2 JP2002227270A JP2002227270A JP3896051B2 JP 3896051 B2 JP3896051 B2 JP 3896051B2 JP 2002227270 A JP2002227270 A JP 2002227270A JP 2002227270 A JP2002227270 A JP 2002227270A JP 3896051 B2 JP3896051 B2 JP 3896051B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voltage
- injection
- current
- distributed power
- admittance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Supply And Distribution Of Alternating Current (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統基本波の非整数倍周波数の次数間高調波の電流を系統に注入して、系統電源に連系運転される分散型電源の系統停止時の単独運転を検出する分散型電源の単独運転検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、需要家の太陽光発電装置,燃料電池装置等の分散型電源は、例えば6.6KVの高圧系統やさらに高圧の特別高圧(特高)系統に接続されて系統電源に連系運転される。
【0003】
そして、系統事故等により変電所の遮断器が開放される系統停止時、系統電源が消失して分散型電源が連系運転から単独運転に移行すると、単独運転による系統充電での感電事故等が発生する虞れがある。
【0004】
そのため、系統停止時に迅速に系統から分散型電源を切離し、解列する必要がある。
【0005】
この系統事故等による系統停止を需要家等の側(以下需要家等側という)で迅速かつ確実に検出するため、従来、例えば分散型電源を有する需要家等側から系統にその基本波に同期した系統基本波周波数の非整数倍周波数のm次(mは帯小数)の次数間高調波を注入し、その需要家等側で系統の注入次数mの次数間高調波を計測し、この計測に基づいて系統の注入次数mの次数間高調波のアドミタンスを検出し、その大きさ(絶対値)の変化から、系統停止を検出する分散型電源の単独運転検出方法が提案されている(例えば特開平10−248168号公報参照)。
【0006】
また、特高系統に連系された分散型電源の単独運転防止(逆潮流有り)にあっては、「分散型電源系統連系技術指針,JEAG9701−2001」(社団法人 日本電気協会発行)にも記載されているように、いわゆる他律方式の転送遮断装置が用いられる。
【0007】
この転送遮断装置は、変電所側の転送発信装置に通信線を介して需要家等側の転送受信装置を接続して形成され、系統事故が発生すると、転送発信器から通信線を介して転送受信装置に事故通知の信号を送り、受信装置によって系統停止を検出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の検出方法では、系統のバックグランドノイズの影響を受けないように、十分な電圧歪みを生じさせて系統の注入次数mの電圧を確実に検出するため、十分な大きさの次数間高調波を注入する必要がある。
【0009】
そして、種々の実験等によると、本来は存在しない次数間高調波が、系統に基本波電圧の0.01%程度のバックグランドノイズとして存在するため、系統の注入次数mのアドミタンスの変化から分散型電源の単独運転を検出するには、次数間高調波を注入して系統に0.05%程度の歪みを生じさせる必要がある。
【0010】
この0.05%程度の歪みを生じさせるには、とくに短絡容量が極めて大きい特高系統では相当な大電流注入が必要になり、高圧系統にあってもアンペア単位の電流注入が必要になる。
【0011】
一方、前記技術指針の他律方式では、受信装置や送信装置を要するだけでなく、両装置の間に長距離の通信ケーブルの敷設も必要になり、その上、需要家等側だけでは検出することができない。
【0012】
そして、この種の単独運転検出にあっては、注入電流を極力少なくして系統への影響を極力少なくするとともに、注入電源を小型,軽量化等することが極めて重要な課題の1つになっている。
【0013】
なお、系統停止による分散型電源の単独運転は、アドミタンスの逆数のインピーダンスの変化から検出することも考えられるが、この場合、系統正常時の系統の注入次数mの検出インピーダンスは系統電源の短絡インピーダンスによって小さくなり、系統停止時の系統の注入次数mの検出インピーダンスは系統負荷に依存して変動し、系統正常時と系統停止時の検出インピーダンスの差は大きくない場合もある。
【0014】
そのため、系統の注入次数mのインピーダンス変化からは系統停止の有無の確実な判別は困難であり、このインピーダンスの変化から単独運転を検出することは、実用的でない。
【0015】
本発明は、従来より注入電流量を少なくして系統への影響を低減しつつ、系統のバックグランドノイズによる誤検出を防止して系統の注入周波数(注入次数m)のアドミタンス(又はそのサセプタンス)を検出し、このアドミタンス(又はサセプタンス)の変化から確実に分散型電源の単独運転を検出することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1の分散型電源の単独運転検出方法は、系統に次数間高調波を注入し、
系統の注入次数の次数間高調波の電圧,電流を計測し、
計測電圧,計測電流から系統の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、
検出したアドミタンスの変化から系統停止時の分散型電源の単独運転を検出する分散型電源の単独運転検出方法であって、
系統の注入次数の次数間高調波のバックグランドノイズより大きく、かつ、系統停止時の注入次数の次数間高調波の電圧より小さく系統に歪みを生じさせる注入次数の次数間高調波の電圧を、検出無効の基準値電圧として設定し、
前記計測電圧と前記基準値電圧とを比較し、
前記計測電圧が前記基準値電圧以下のときは、前記計測電圧を無効にして前記単独運転とみなさず、
前記計測電圧が前記基準値電圧より大きいときにのみ、前記計測電圧,前記計測電流から系統の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、
検出したアドミタンスの変化から単独運転の検出を行う。
【0017】
この場合、系統に注入する次数間高調波の電流(注入電流)が従来より少なくても分散型電源が単独運転に移行する系統停止時は、系統電源が切離されて注入周波数(注入次数m)の系統インピーダンスが大きくなり、系統の注入周波数のアドミタンスが小さくなることから、注入電流に基づく系統の注入周波数の電圧(注入電圧)がバックグランドノイズより十分に大きくなり、注入電流及び注入電圧を精度よく計測して系統の注入周波数(注入次数の次数間高調波)のアドミタンス(=注入電流(計測電流)/注入電圧(計測電圧))を精度よく演算して検出することができる。
【0018】
一方、分散型電源が系統電源に連系運転される系統正常時は、系統インピーダンスが小さく、系統の注入周波数のアドミタンスが大きくなるため、注入電流が少ないと、注入電圧はバックグラウンドノイズレベル程度に小さくなり、系統の注入周波数のアドミタンス(=注入電流(計測電流)/注入電圧(計測電圧))は、分子、分母ともに0に近づくため誤った値を演算し、誤検出してしまう可能性が高まり、しかも、そのレベルが容易に変動するため、注入電流は計測できても、注入電圧は計測が困難になる。
【0019】
そこで、本発明においては、系統の注入次数の次数間高調波のバックグランドノイズより大きく、かつ、系統停止時の注入次数の次数間高調波の電圧より小さく系統に歪みを生じさせる注入次数の次数間高調波の電圧を、検出無効の基準値電圧として設定し、計測電圧と基準値電圧とを比較し、計測電圧が基準値電圧以下のときは、計測電圧を無効にして単独運転とみなさず、計測電圧が基準値電圧より大きくなるときのみ、計測電圧が有効であるとし、このときにのみ計測電流と計測電圧とから系統の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、この検出したアドミタンスの変化から分散型電源の単独運転を検出する。
【0020】
したがって、計測電圧が基準値電圧以下のときは、計測電圧を無効にして、系統が正常であるとみなして分散型電源の単独運転を誤検出しないようにすることができ、高圧系統の分散型電源については、従来より注入電流を少なくして確実に単独運転を検出することができ、短絡容量が小さい特高系統の分散型電源については、少ない注入電流で単独運転を検出することができる、新規な自律方式の能動型単独運転検出方法を提供できる。
【0021】
そして、注入周波数のアドミタンスとして、そのサセプタンスを検出してもよい。
また、次数間高調波の注入電流は分散電源のインバータから系統に注入してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、図1〜図4を参照して説明する。
(1形態)
まず、実施の1形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は電力系統の1例の単線結線図であり、上位系統1に変電所2の1又は複数の変圧器3の1次側が接続され、各変圧器3の2次側から遮断器4を介して1又は複数の下位の電力系統5が分枝状に引出される。
【0023】
これらの電力系統5は、例えば、6.6kVの高圧系統の場合、分散型電源6を有する需要家設備7,分散型電源6が設けられていない一般需要家設備8等の複数の需要家設備が接続される。
【0024】
そして、本発明が適用される需要家設備7は他の需要家設備と同様、電力系統5に引込線9の遮断器10を介して負荷母線11が接続され、この負荷母線11に各負荷フィーダ12の変圧器13を介してそれぞれの負荷が接続される。
【0025】
また、負荷母線11に遮断器14が接続され、この遮断器14に解列用の開閉器15を介して分散型電源6が接続されるとともに、次数間高調波の電流注入装置16が接続される。
【0026】
この電流注入装置16は次数間高調波の注入電流を出力するインバータ等の電源部17,この電源部17と負荷母線11との間に設けられた注入用の変圧器18により形成される。
【0027】
また、引込線9の遮断器10より負荷母線11側に、受電点変圧器19及び受電点変流器20が設けられ、それらの3相各相の電圧,電流の計測信号が系統停止検出処理装置21のサンプル・ホールド回路22に供給される。
【0028】
このサンプル・ホールド回路22は水晶発振器等の定周波発生器で形成されたタイミング指令部23の一定周波数のサンプリング指令のタイミング信号により系統電圧,両計測信号をサンプル・ホールドし、その出力が後段のA/D変換回路24によりデジタル信号に変換され、サンプリングデータとなる。
【0029】
そして、A/D変換回路24によりデジタル信号に変換された電圧,電流のサンプリングデータが演算処理部25に供給される。
【0030】
この処理部25はマイクロコンピュータ等で形成され、そのソフトウェア処理により、両サンプリングデータに公知のフーリエ変換のデジタルフィルタ演算を施し、電流注入装置16から電力系統5に注入された注入次数の次数間高調波を抽出して検出し、その変化から遮断器4が開放する系統停止の発生,すなわち分散型電源6の単独運転の発生を監視して検出する。
【0031】
さらに、この単独運転の検出時は、演算処理部25から開閉器15に解列の指令が供給されて開閉器15が開放され、分散型電源6が電力系統5から切離される。
【0032】
ところで、系統正常時は、遮断器4,10,14及び開閉器15がいずれも閉成され、上位系統1の電力が電力系統5に給電され、電力系統5が電力供給状態にある。
【0033】
このとき、分散型電源6は電力系統5に連系して運転され、その出力は自設備7内で消費されるとともに余剰分が引込線9を介して電力系統5に出力される。
【0034】
さらに、需要家設備7においては、受電点変圧器19,受電点変流器20により、受電点Aの電圧及び受電点Aを出入する電流が常時計測される。
【0035】
また、演算処理部25がタイミング指令部23の一定周波数のタイミング信号に同期して電源部17に周期的に起動指令を出力し、この指令に基づき、電源部17が前記タイミング信号に同期して系統基本波の非整数倍周波数の次数間高調波の電流を形成し、この注入電流が変圧器18,負荷母線11,引込線9を介して需要家設備7の受電点Aから電力系統5に注入される。
【0036】
このとき、従来は電力系統5に存在する0.01%程度のバックグランドノイズを考慮し、注入電流によって系統電圧を基本波電圧の0.05%程度歪ませてアドミタンスの検出,監視を行うため、注入電流を、例えば1A程度の比較的大きな電流としていたが、本形態の場合、注入電流を単独運転発生時に十分な電圧歪みが生じる程度まで少なくし、例えば従来の1/5の0.2A程度とする。
【0037】
そのため、電流注入の系統5への影響は少なく、しかも、電流注入装置16等が従来装置より小容量,小型,軽量になる。
【0038】
そして、受電点Aからの電流の注入に基づき、受電点変圧器19,受電点変流器20の計測信号に注入次数mの次数間高調波の電圧,電流が含まれる。
【0039】
そして、これらの計測信号はタイミング指令部23のタイミング信号に基づき、前記したようにサンプル・ホールド回路22のサンプリングにより、サンプル・ホールドされる。
【0040】
さらに、電圧,電流のホールド出力がA/D変換回路24によりデジタル信号に変換され、これらのデジタル信号に変換されたサンプリングデータが演算処理部25で処理され、注入電流に基づく系統5の注入次数mの次数間高調波の計測電圧,計測電流が抽出されて検出される。
【0041】
そして、これらの計測電圧,計測電流をVih,Iihとし、受電点Aからみた電力系統5の注入周波数のアドミタンスをYihとすると、アドミタンスYihは、Yih=Iih/Vihの演算から検出され、アドミタンスYihのサセプタンスbihは、bih=Im(Iih/Vih),(Imは虚数成分を示す関数)から求まる。
【0042】
そして、分散型電源6が系統電源に連系運転される系統正常時(健全時)は、受電点Aからみた電力系統5の電源インピーダンスが短絡インピーダンスであり、このとき受電点Aからみた電力系統5の注入次数の次数間高調波のアドミタンスYih,そのサセプタンスbihは大きくなる。
【0043】
つぎに、系統事故等に基づく電力系統5の停止により遮断器4が開放されると、受電点Aからみた電力系統5の電源インピーダンスが短絡インピーダンスから開放インピーダンスに増大するため、受電点Aからみた電力系統5のアドミタンスYih,サセプタンスbihは小さくなり、このアドミタンスYih又はサセプタンスbihの変化から電力系統5の停止,すなわち分散型電源6の単独運転を検出できる。
【0044】
しかし、注入電流Iihを極力少なくしているため、とくに系統正常時、電圧Vihが極めて小さくなり、場合によっては電圧Vihが電力系統5のバックグランドノイズ以下になることから、この電圧Vihを用いてアドミタンスYih又はサセプタンスbihを算出すると、誤検出が生じる。
【0045】
そこで、この形態においては、電力系統5の注入次数mのバックグランドノイズの電圧歪み0.01%よりは大きく、単独運転時の注入次数mの電圧歪みよりは極力小さい程度なレベルの電圧,具体的には例えば0.02%の電圧歪みが生じる電圧を、検出無効の基準値電圧Vrefとして演算処理部25に設定する。この演算処理部25は、具体的には、図2の単独運転検出フローを実行する。
【0046】
そして、設定された計測インターバル毎に、この検出フローのステップS1 により、電力系統5の3相各相の電圧,電流の計測信号をA/D変換して電力系統5の時々刻々のサンプリング時点kの電圧V(k),電流I(k)の計測データを得ると、ステップS2 により例えば回帰形DFT演算を実行し、各相毎に、つぎの数1の式で示される注入次数mの次数間高調波の各時点kでの電圧Vm(k),電流Im(k)を求める。
【0047】
【数1】
Vm(k)=(2/N)・{Vm(k−1)−V(k−N)+V(k))・x-1
Im(k)=(2/N)・{Im(k−1)−I(k−N)+I(k))・x-1
【0048】
但し、式中のNはDFT演算に用いる時系列のサンプリング数であり、過去Nサンプリングの計測データを用いてDFT演算が行われる。
【0049】
なお、Nの具体的な値は、例えば系統基本波32波に渡り、基本波1周期当り64サンプリングをくり返して得られる(64×32=)2048サンプリング数である。
また、xはx=exp(j・2π・m/N)である。
【0050】
さらに、電圧Vm(k),電流Im(k)は複素数値であり、3相をa相,b相,c相とし、数1の式から求まるa,b,c各相の電圧Vam(k),Vbm(k),Vcm(k),電流Iam(k),Ibm(k),Icm(k)に基づき、ステップS3 により、例えば、つぎの数2の逆相演算から電力系統5の注入次数mの計測電圧V2m(k),計測電流I2m(k)を求める。
【0051】
【数2】
V2m(k)=(Vam(k)+a・a・Vbm(k)+a・Vcm(k))/3
I2m(k)=(Iam(k)+a・a・Ibm(k)+a・Icm(k))/3
【0052】
なお、計測電圧V2m(k),計測電流I2m(k)は、正相演算から求めたものであってもよく、aはa=exp・(2π/3))である。
【0053】
つぎに、ステップS4 に移行し、計測電圧V2m(k)と設定された基準値電圧Vrefとを比較し、V2m(k)>Vrefであれば、ステップS5 に移行し、電力系統5の注入次数mの例えば逆相のアドミタンスYihのサセプタンスbih(=b2m(k))を、つぎの数3の式から演算して算出する。なお、Imは虚部(虚数成分)を示す関数である。
【0054】
【数3】
bih=b2m(k)=−Im(I2m(k)/V2m(k))
【0055】
さらに、ステップS6,S7により、検出したサセプタンスbih(=b2m(k))の大きさ(絶対値)が、設定された整定時間T継続して単独運転検出のサセプタンス判定値bref,例えば0.6(s)以下か否かを監視して検出する。
【0056】
そして、bih≦brefの状態が例えばT=0.7秒の整定時間継続したときにステップS8 に移行し、このとき、系統停止による分散型電源6の単独運転への移行が発生したことを検出し、この検出により遮断器15を開放して分散型電源6を電力系統5から切離し、処理を終了する。
【0057】
つぎに、系統正常時は計測電圧V2m(k)が小さく、この計測電圧V2m(k)が基準値電圧Vref以下であれば、注入電流量が少なく、計測電圧V2m(k)の正確な判別は困難であり、かつ、ほとんどの場合、系統正常と考えられるため、ステップS4からステップS9に移行する。
【0058】
そして、ステップS9 により、この形態では注入次数mのサセプタンスbih(=b2m(k))を、判定値brefより大きい設定値bfix,例えば1.0(s)に固定してステップS6に移行する。
【0059】
このとき、bih(=b2m(k))≧brefになるため、ステップS6 からステップS1 に戻り、単独運転を検出することなく、つぎのインターバルの計測を開始する。
【0060】
例えば、図3に示すように、時刻t1 に遮断器4の開放による系統停止が検出され、それからΔt(=0.05秒)遅れて0.7秒経過したときに分散型電源6の単独運転が検出されて遮断器15が開放され、分散型電源6が系統から切離される場合、電力系統5の基本波電圧は、同図の(a)に示すように変化し、注入周波数(例えば136Hz)の計測電圧Vih(=V2m(k))は同図の(b)に示すように変化する。
【0061】
さらに、この計測電圧Vihに基づき、Vih<Vrefの間は、図3の(c)に示すようにサセプタンスbih(=b2m(k))が設定値bfix(>bref)に固定され、実質的にサセプタンスbihは演算から検出されず、Vih≧Vrefを検出するt1 +ΔTから、サセプタンスbih(=b2m(k))の演算が始まり、単独運転の有効な検出が始まる。
【0062】
そして、t2 時までbih(=b2m(k))>brefの状態が継続すれば、単独運転が検出されて分散型電源6が切離され、このとき、電力系統5の基本波電圧が消失する。
【0063】
そして、注入電流量を従来より少なくしたことで、系統正常時、電力系統5の注入周波数(注入次数m)の電圧Vihが極めて小さくなり、電圧Vihの測定が行えなくなっても、その間はサセプタンスbihを設定値bfixに固定することで、分散型電源6の単独運転の誤検出を防止することができ、従来より注入電流量が少なく、電源部17が小容量,小型の構成で分散型電源6の単独運転を確実に検出することができる。
【0064】
ところで、前記形態では、図2のステップS4 でV2m(k)≦Vrefになり、電圧Vih(=V2m(k))の検出が困難になると、ステップS9 に移行してサセプタンスbihを設定値bfixに固定した後、ステップS6,S7により、形式的にサセプタンスbihと判定値brefとを比較したが、処理の簡素化等を図る場合は、ステップS4 でV2m(k)≦Vrefになると、直ちにステップS1に戻り、サセプタンスbih,brefの比較判定を省いてもよい。
【0065】
つぎに、前記形態では、電力系統5のアドミタンスYihの系統停止による変化が主にそのサセプタンスbihの変化に依存することから、サセプタンスbihの変化から分散型電源6の単独運転検出を行うようにしたが、アドミタンスYihの変化から分散型電源6の単独運転を検出するようにしてもよく、この場合は、例えば図2のステップS5 により、アドミタンスYihを、Yih=I2m(k)/V2m(k)から演算して検出し、ステップS6,S7により、その絶対値|Yih|が整定時間以上、設定した判定値Yref以下か否かを判別し、さらに、ステップS4でV2m(k)≦Vrefであれば、ステップS9によりアドミタンスYihを設定値Yfix(≧Yref)にすればよい。
【0066】
なお、基準値電圧Vrefは、具体的には、系統5の抵抗負荷と誘導性負荷との割合いが6対4であるとして、系統5の最大予測負荷を求め、この負荷から系統5の最大のバックグラウンドノイズを予測して設定すればよい。
【0067】
(他の形態)
つぎに、他の形態について、図4を参照して説明する。
前記1形態では、前記注入装置16を分散型電源6と別個独立に設けたが、分散型電源6がインバータ電源等の場合は、例えば図4に示すように構成して分散型電源6から電力系統5に注入電流を注入してもよく、この場合は、図1の電流注入装置16を省くことができる。
【0068】
図4において、図1と同一符合は同一もしくは相当するものを示し、21′は図1の検出処理装置21の代わりに設けられた分散型電源運転制御兼系統停止検出処理装置、26は分散型電源6の基本波出力を制御するマイクロコンピュータ構成の主処理部であり、サンプル・ホールド回路22,A/D変換回路24を、注入次数mの電圧,電流の検出と、基本波の電圧,電流の検出とに兼用し、この基本波の電圧,電流の検出に基づき、主処理部26が分散型電源6の基本波の電圧,電流の指令信号を加算部27に出力する。
【0069】
また、演算処理部25が注入周波数の注入電流の指令信号を加算部27に出力する。
【0070】
そして、加算部27により両指令信号が加算合成され、その出力信号で分散型電源6であるインバータ電源が運転され、分散型電源6が基本波の電力と注入電流とを電力系統5に出力する。
【0071】
ところで、前記両形態では高圧系統に適用したが、本発明は、短絡容量が大きい特高系統にも同様に適用することができ、従来はなかった特高系統の自律方式の能動型単独運転検出方法を実現することができる。
【0072】
この場合、特高系統であっても、注入電流量が従来の高圧系統と同程度でよく、系統への注入の影響が極めて少なくなる利点もある。
【0073】
そして、前記両形態において、次数間高調波の注入周波数(注入次数m),注入量及び基準値電圧Vref,判定値bref,設定値bfix等は両形態のものに限られるものではなく、系統条件等に応じて適当に設定してよいのは勿論である。
【0074】
そして、本発明は高圧系統、特高系統を含む種々の電力系統の分散型電源の単独運転検出に適用できる。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載する効果を奏する。
まず、請求項1の場合、電力系統5に注入する次数間高調波の電流(注入電流)を従来より少なくしても分散型電源が単独運転に移行する系統停止時は、系統電源が切離されて系統5の注入周波数のインピーダンスが大きくなってそのアドミタンスは小さくなり、注入電流に基づく注入周波数の電圧(注入電圧)が系統の注入周波数のバックグランドノイズより十分に大きくなり、注入電流及び注入電圧を確実に計測して系統の注入周波数(注入次数の次数間高調波)のアドミタンス(=注入電流(計測電流)/注入電圧(計測電圧))を確実に演算して検出することができる。
【0076】
一方、分散型電源6が系統電源に連系運転される系統正常時は、系統インピーダンスが小さいため、系統5の注入周波数のアドミタンスは大きくなり、注入電流が少ないと、注入電圧がバックグラウンドノイズのレベル程度に小さくなり、系統の注入周波数のアドミタンス(=注入電流(計測電流)/注入電圧(計測電圧))は、分子、分母ともに0に近づくため誤った値を演算し、誤検出してしまう可能性が高まり、しかも、その計測レベルが変動し、注入電流は計測できても、注入電圧は計測できなくなることから、系統の注入次数の次数間高調波のバックグランドノイズより大きく、かつ、系統停止時の注入次数の次数間高調波の電圧より小さく系統に歪みを生じさせる注入次数の次数間高調波の電圧を、検出無効の基準値電圧として設定し、計測電圧と基準値電圧とを比較し、計測電圧が基準値電圧以下のときは、計測電圧を無効にして単独運転とみなさず、計測電圧が基準値電圧より大きくなるときのみ、計測電圧が有効であるとし、このときにのみ計測電流と計測電圧とから系統5の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、この検出したアドミタンスの変化から分散型電源の単独運転を検出する。
【0077】
したがって、計測電圧が基準値電圧以下のときは、計測電圧を無効として、系統5が正常であるとみなし、分散型電源6の単独運転を誤検出しないようにして、その単独運転を確実に検出することができ、高圧系統の分散型電源の単独運転を、従来より注入電流を少なくして系統5への影響を防止しつつ確実に検出することができ、注入電源を小型,軽量化することができる。
【0078】
また、短絡容量が小さい特高系統の分散型電源の単独運転についても、少ない注入電流で確実に検出することができ、従来は存在しなかった自律式の能動型単独運転検出方法を提供することができる。
【0079】
つぎに、請求項2の場合は、電力系統5のアドミタンスの変化が、主にそのサセプタンスに依存することから、注入周波数のアドミタンスとして、そのサセプタンスを検出して請求項1の効果を得ることができる。
【0080】
さらに、請求項3の場合は、次数間高調波の注入系統を分散型電源6から系統5に注入したため、一層の小形化,簡素化を図って検出できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1が適用される電力系統の単線結線図である。
【図2】図1の分散型電源の単独運転検出のフローチャートである。
【図3】(a)は図1の電力系統の基本波電圧波形図、(b)は同図の電力系統の注入周波数成分の電圧波形図、(c)は同図の電力系統のサセプタンス特性図である。
【図4】本発明の実施の他の形態の一部の単線結線図である。
【符号の説明】
5 電力系統
6 分散型電源
Claims (3)
- 系統に次数間高調波を注入し、
系統の注入次数の次数間高調波の電圧,電流を計測し、
計測電圧,計測電流から系統の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、
検出したアドミタンスの変化から系統停止時の分散型電源の単独運転を検出する分散型電源の単独運転検出方法であって、
系統の注入次数の次数間高調波のバックグランドノイズより大きく、かつ、系統停止時の注入次数の次数間高調波の電圧より小さく系統に歪みを生じさせる注入次数の次数間高調波の電圧を、検出無効の基準値電圧として設定し、
前記計測電圧と前記基準値電圧とを比較し、
前記計測電圧が前記基準値電圧以下のときは、前記計測電圧を無効にして前記単独運転とみなさず、
前記計測電圧が前記基準値電圧より大きいときにのみ、前記計測電圧,前記計測電流から系統の注入次数の次数間高調波のアドミタンスを演算して検出し、
検出したアドミタンスの変化から前記単独運転の検出を行うことを特徴とする分散型電源の単独運転検出方法。 - 注入周波数の次数間高調波のアドミタンスを、前記アドミタンスのサセプタンスとしたことを特徴とする請求項1記載の分散型電源の単独運転検出方法。
- 注入次数の次数間高調波の電流を、分散型電源から系統に注入することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の分散型電源の単独運転検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002227270A JP3896051B2 (ja) | 2002-08-05 | 2002-08-05 | 分散型電源の単独運転検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002227270A JP3896051B2 (ja) | 2002-08-05 | 2002-08-05 | 分散型電源の単独運転検出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004072863A JP2004072863A (ja) | 2004-03-04 |
JP3896051B2 true JP3896051B2 (ja) | 2007-03-22 |
Family
ID=32014356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002227270A Expired - Lifetime JP3896051B2 (ja) | 2002-08-05 | 2002-08-05 | 分散型電源の単独運転検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3896051B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4690706B2 (ja) * | 2004-11-22 | 2011-06-01 | 東芝三菱電機産業システム株式会社 | 電源システム |
JP5389066B2 (ja) * | 2011-01-25 | 2014-01-15 | 中国電力株式会社 | 分散電源の単独運転検出システムおよび単独運転検出方法 |
-
2002
- 2002-08-05 JP JP2002227270A patent/JP3896051B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004072863A (ja) | 2004-03-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11522355B2 (en) | Method and apparatus for use in earth-fault protection | |
US6545885B2 (en) | Isolated operation prevention device for distributed power supply and interharmonic detection method | |
RU2358273C2 (ru) | Способ и устройство для определения неустойчивого замыкания на землю | |
US20080238215A1 (en) | Method, memory media and apparatus for detection of grid disconnect | |
JP2018183034A (ja) | 電力供給システムの保護装置及びそれを備えたシステム | |
US6326796B1 (en) | Harmonic measuring method and a current injection device for harmonic measurement | |
JP2002040067A (ja) | 次数間高調波検出方法 | |
Taheri et al. | Power swing detection using the variation rates of the average value of apparent power | |
CN112636312B (zh) | 一种基于注入零序特征信号的微电网保护方法 | |
Saber et al. | A signed correlation index-based differential protection scheme for inverter-based islanded microgrids | |
JP3896051B2 (ja) | 分散型電源の単独運転検出方法 | |
JP2012163384A (ja) | 短絡容量計測システム | |
JP3367371B2 (ja) | 分散型電源の単独運転防止装置 | |
KR20080034530A (ko) | 마이크로 그리드용 단독 운전 검출 방법 및 그 장치 | |
US11018497B2 (en) | In-phase motor bus transfer | |
JP5903143B1 (ja) | 断線検出装置およびその方法 | |
JP3601518B2 (ja) | 分散電源の単独運転検出方法 | |
US11043803B2 (en) | Reference signal generating method for distance and directional protection elements | |
JP3367412B2 (ja) | 分散型電源の単独運転防止装置 | |
JP4926146B2 (ja) | 単独運転検出方法および単独運転検出装置 | |
JP4040800B2 (ja) | 分散電源の単独運転検出装置 | |
US11735908B2 (en) | Dependable open-phase detection in electric power delivery systems with inverter-based resources | |
WO2024034004A1 (ja) | 配電系統管理装置、配電系統管理方法および配電系統管理システム | |
JP2003244851A (ja) | 分散電源の単独運転検出方法 | |
JP2011072056A (ja) | 系統連系発電システム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041208 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060823 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060829 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061030 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061212 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061215 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3896051 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101222 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111222 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121222 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131222 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |