JP3895854B2 - 内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管 - Google Patents

内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ部材の内周面に独立した環状の補強リング部材を所定の間隔で一体に形成することにより、任意の位置でパイプを切断することができるとともに、捻れがなく、敷設等が容易な電気配線保護管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、機械設備や建造物における電気配線保護管、光ファイバー保護管等の用途に、パイプ部材の内周面に補強部材を一体に形成した合成樹脂製パイプが採用されている。
【0003】
この合成樹脂製パイプは、一般的には、溶融状態の合成樹脂材料を連続的に押し出してパイプ部材を成形しながら、このパイプ部材の内側又は外側において、溶融状態の硬質の合成樹脂材料を螺旋状に押し出し、この硬質の合成樹脂材料からなる螺旋状の補強部材をパイプ部材の内周面又は外周面に融着して一体化することにより製造するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この合成樹脂製パイプは、硬質の合成樹脂材料からなる螺旋状の補強部材をパイプ部材の内周面又は外周面に融着して一体化するようにしているため、強度に優れているものの、合成樹脂製パイプの横断面内に補強部材が必ず含まれることとなるため、パイプを切断しにくいという問題点があった。
また、螺旋状の補強部材によって、パイプが捻れ、敷設等に困難を伴う場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来の合成樹脂製パイプの有する問題点に鑑み、パイプ部材の内周面に独立した環状の補強リング部材を所定の間隔で一体に形成することにより、任意の位置でパイプを切断することができるとともに、捻れがなく、敷設等が容易な電気配線保護管を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管は、溶融状態の第1の合成樹脂材料を連続的に押し出してパイプ部材を成形しながら、該パイプ部材の内側において、溶融状態の第2の合成樹脂材料を円周方向に押し 出し、これを環状に切断して補強リング部材を成形し、前記パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化することにより、第1の合成樹脂材料を連続的に押し出して成形したパイプ部材と、該パイプ部材の内周面に順次融着して一体化した独立した環状の補強リング部材とで構成するようにしたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、環状に切断した補強リング部材を円周方向に拡径することにより、パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化するようにしたり、パイプ部材を伸張して円周方向に縮径することにより、パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化するようにすることができる。
【0008】
この内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管は、合成樹脂製パイプの横断面内に補強部材が含まれない横断面が存在するため、その位置でパイプを容易に切断することができるとともに、捻れにくく、敷設等を容易に行うことができる。
そして、パイプ部材の内周面に補強リング部材を融着して一体化することができ、強度及び耐久性に優れた電気配線保護管を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図4は、本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管(以下、「パイプ」という。)の製造装置の第1実施例を示す。
【0011】
このパイプの製造装置は、溶融状態の第1の合成樹脂材料を連続的にパイプ状に押し出す外ダイス1と、この外ダイス1の内側において、溶融状態の第2の合成樹脂材料を円周方向に押し出す内ダイス3と、外ダイス1及び内ダイス3間において、軸方向に移動可能に配設し、内ダイス3の吐出口32を閉鎖することにより、内ダイス3から円周方向に押し出された溶融状態の第2の合成樹脂材料を環状に切断して補強リング部材Lを成形するカッター4とからその主要部が構成される。
【0012】
外ダイス1は、同心状に配設した外管1a及び内管1bからなり、外管1a及び内管1bの隙間をパイプ部材Pの肉厚となるように設定して、第1の合成樹脂材料の供給通路11を形成して、溶融状態の第1の合成樹脂材料を連続的にパイプ状に押し出すようにする。
外ダイス1の外管1aは、装置本体に固定したベース5の先端に、固定部材6を介してボルトBにて固定し、一方、内管1bは、ベース5の内側に固定した固定部材2の先端に固定するようにする。
なお、第1の合成樹脂材料の供給通路11の基端側は、固定部材7により固定されたスリーブ9により閉鎖するようにする。
この場合、外管1a及び内管1bは、径の異なる部材と交換可能であり、これにより、パイプ部材Pの径及び肉厚を任意に設定することができる。
【0013】
第1の合成樹脂材料は、供給通路11の基端部、例えば、図3に示すように、ベース5の外周部51から供給するようにするが、この合成樹脂材料には、特に限定されるものではないが、通常、パイプ部材Pに所要の可撓性を持たせるため、軟質の合成樹脂材料を用いるようにする。
【0014】
内ダイス3は、中心に第2の合成樹脂材料の供給通路31を貫通して形成し、装置本体に固定した固定部材30と、固定部材30の先端に着脱可能に取り付けた口金33とよりなり、この口金33と内ダイス取付具30の先端との間に円周方向に開口する吐出口32を形成し、この吐出口32と第2の合成樹脂材料の供給通路31とを連通して、吐出口32から溶融状態の第2の合成樹脂材料を円周方向に押し出すようにする。
この場合、口金33を調節又は交換することにより、吐出口32の開口幅を変更することができ、これにより、後述の補強リング部材Lの線径を調整することができる。
【0015】
第2の合成樹脂材料は、供給通路31の基端部から供給するようにするが、この合成樹脂材料には、特に限定されるものではないが、通常、補強リング部材Lに所要の剛性及び弾性を持たせるため、硬質の合成樹脂材料を用いるようにする。
【0016】
カッター4は、外ダイス1及び内ダイス2間に配設され、軸方向に移動することにより、内ダイス3の吐出口32を間欠的に閉鎖して、内ダイス3から円周方向に押し出された溶融状態の第2の合成樹脂材料を環状に切断して、補強リング部材Lを成形するように構成する。
この場合において、カッター4の外周面を、先端41を尖鋭に、後方を大径のテーパ面42に形成することができ、これにより、環状に切断した補強リング部材Lを、カッター4の軸方向への移動に合わせて、円周方向に拡径して、パイプ部材Pの内周面に補強リング部材Lを確実に融着して一体化することができる。
【0017】
カッター4は、その基端を、図3に示すように、外ダイス1の内管1bを固定した固定部材2より突出させ、固定部材2との間に復帰用ばねSを介在して、カッター4を内ダイス3の吐出口32を開放する方向に付勢するとともに、カッター4の基端には、移動機構8を対設する。
【0018】
この移動機構8の一例を図4に示す。
この移動機構8は、外周部に複数個のローラ8Rを備えた回転体80を、支軸8Sを中心にして回転させ、これにより、ローラ8Rにてカッター4の端面を押圧して、復帰用ばねSの付勢力に抗して、カッター4を軸方向への移動し、カッター4により内ダイス3の吐出口32を閉鎖するようにする。
この場合、カッター4を移動させるストロークを調節したり、テーパ面42のテーパ角度の異なるカッター4を使用することにより、環状に切断した補強リング部材Lの円周方向の拡径量を調整することができる。
なお、移動機構8は、このほか、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、カム機構等を採用することができる。
【0019】
本実施例においては、外ダイス1にて形成されるパイプ部材Pの内径が、内ダイス3にて形成される補強リング部材Lの外径よりもかなり大きく、環状に切断した補強リング部材Lを円周方向に拡径することにより、パイプ部材Pの内周面に補強リング部材Lを順次融着して一体化するようにしているが、補強リング部材Lを円周方向に拡径する代わりに、図5に示す本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成したパイプの製造装置の第2実施例のように、任意の引取装置(図示省略)の速度を調節することにより外ダイス1にて形成されたパイプ部材Pを伸張して円周方向に縮径することにより、パイプ部材Pの内周面に補強リング部材Lを順次融着して一体化するようにすることもできる。
【0020】
次に、上記のパイプの製造装置による内周面に環状補強リング部材を一体に形成したパイプの製造方法について説明する。
図1〜図4に示す第1実施例のパイプの製造装置において、外ダイス1の第1の合成樹脂材料の供給通路11に、溶融状態の軟質の合成樹脂材料を供給すると、外ダイス1によりパイプPが連続的に成形される。
これと同時に、内ダイス3の第2の合成樹脂材料の供給通路31に、溶融状態の硬質の合成樹脂材料を供給し、吐出口32から円周方向に押し出すようにする。そして、この吐出量が所定の量に達したとき、後退位置で待機していたカッター4を、移動機構8を駆動することにより、軸方向に前進させ、内ダイス3の吐出口32を閉鎖するとともに、内ダイス3から円周方向に押し出された溶融状態の第2の合成樹脂材料を環状に切断して、補強リング部材Lを成形するようにする。
さらに、環状に切断された補強リング部材Lは、先端41を尖鋭に、後方を大径のテーパ面42に形成したカッター4の外周面により、カッター4の軸方向への前進に合わせて、円周方向に拡径され、パイプ部材Pの内周面に確実に融着されるものとなる。
その後、カッター4を、移動機構8を駆動するとともに、復帰用ばねSの付勢力により、軸方向に後退させ、1行程を完了する。
以下、同様の操作を繰り返すことにより、内周面に環状補強リング部材Lを一体に形成したパイプを製造することができる。
【0021】
この場合、パイプ部材Pの押出成形の速度と、補強リング部材Lを切断する時間間隔、すなわち、カッター4の往復1工程の時間間隔を調節することにより、補強リング部材Lの形成ピッチを変更することができ、強度及び可撓性の異なる多様なパイプを簡易に得ることができる。
【0022】
また、図5に示す第2実施例のパイプの製造装置においても、基本的な動作は、上記第1実施例のパイプの製造装置と同様であるが、任意の引取装置(図示省略)により外ダイス1にて形成されたパイプ部材Pを伸張して円周方向に縮径することにより、パイプ部材Pの内周面に補強リング部材Lを順次融着して一体化するため、パイプ部材Pの押出成形の速度より5〜30%程度の速い速度で外ダイス1にて形成されたパイプ部材Pを引っ張るようにする。
【0023】
この場合、パイプ部材Pの押出成形の速度及び補強リング部材Lを切断する時間間隔、すなわち、カッター4の往復1工程の時間間隔が同じでも、パイプ部材Pの引取速度を調節することにより、補強リング部材Lの形成ピッチを変更することができ、強度及び可撓性の異なる多様なパイプを簡易に得ることができる。
【0024】
そして、このようにして得られたパイプ部材Pの内周面に環状補強リング部材Lを一体に形成したパイプは、合成樹脂製パイプの横断面内に補強部材が含まれない横断面が存在するため、その位置でパイプを容易に切断することができるとともに、捻れにくく、敷設等を容易に行うことができる特性を有するため、機械設備や建造物における電気配線保護管、光ファイバー保護管等の用途に、広範囲に、かつ好適に用いることができるものとなる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管によれば、合成樹脂製パイプの横断面内に補強部材が含まれない横断面が存在するため、その位置でパイプを容易に切断することができるとともに、捻れにくく、敷設等を容易に行うことができる。
そして、パイプ部材の内周面に補強リング部材を融着して一体化することができ、強度及び耐久性に優れた電気配線保護管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成したパイプの製造装置の第1実施例を示す要部の断面図である。
【図2】 同装置によるパイプ部材の内周面に補強リング部材を一体に形成する工程を示す説明図である。
【図3】 同装置の全体の断面図である。
【図4】 カッターの移動装置を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図5】 本発明の内周面に環状補強リング部材を一体に形成したパイプの製造装置の第2実施例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 外ダイス
11 第1の合成樹脂材料の供給通路
3 内ダイス
31 第2の合成樹脂材料の供給通路
32 吐出口
4 カッター
42 テーパ面
P パイプ部材
L 補強リング部材

Claims (3)

  1. 溶融状態の第1の合成樹脂材料を連続的に押し出してパイプ部材を成形しながら、該パイプ部材の内側において、溶融状態の第2の合成樹脂材料を円周方向に押し出し、これを環状に切断して補強リング部材を成形し、前記パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化することにより、第1の合成樹脂材料を連続的に押し出して成形したパイプ部材と、該パイプ部材の内周面に順次融着して一体化した独立した環状の補強リング部材とで構成するようにしたことを特徴とする内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管
  2. 環状に切断した補強リング部材を円周方向に拡径することにより、パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管
  3. パイプ部材を伸張して円周方向に縮径することにより、パイプ部材の内周面に補強リング部材を順次融着して一体化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の内周面に環状補強リング部材を一体に形成した電気配線保護管
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