JP3895784B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等のように画像の形成を行う画像形成装置に係わり、詳細には像担持体上のトナー像を転写ローラあるいは転写ベルト等の転写部材によって、用紙等の転写材に転写するようにした画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置では、例えば感光体ドラム上に静電潜像を形成し、これを現像装置で現像してトナー像を作成している。この作成されたトナー像は転写器を使用して用紙等の転写材に転写される。このときの転写には、トランスファコロトロンと呼ばれるコロトロンを使用する場合もあるが、位置調整の容易さや保守の容易さの利点からローラ等の転写部材にバイアス電圧を印加して、トナー像を転写材に転写するようにしたものも存在する。後者の転写器を使用した画像形成装置では、バイアス電圧の印加方式として、電圧を一定に制御する定電圧制御方式を使用するものと、電流を一定に制御する定電流制御方式を使用するものが一般的である。
【0003】
定電圧制御方式を使用した画像形成装置では、転写器として使用される転写ローラ等の転写部材として、ゴムに導電性粒子を分散させてその体積抵抗率を適宜に調整したものを通常使用している。体積抵抗率は、画像形成装置の使用環境によって大きく変化するので、1種類の定まった値のバイアス電圧を印加することにすると、常時安定した転写特性を得ることが困難である。
【0004】
例えば、常温常湿環境(以下本明細書では温度22度Cで55%RH(相対湿度)の環境をいう。)の場合に最適なバイアス電圧を設定したとする。これを低温低湿環境(以下本明細書では温度10度Cで15%RHの環境をいう。)に変更すると、転写ローラ等の転写部材と用紙等の転写材の双方の抵抗値が大きくなるので、転写不良が発生する。また、逆に高温高湿環境(以下本明細書では温度32度Cで85%RHの環境をいう。)になると、転写ローラ等の転写部材と用紙等の転写材の双方の抵抗値が非常に小さくなる。この結果、過大な電流が転写部材や転写材に流れ込み、トナーの一部が転写バイアスと同極性に転換される。このようにトナーの本来の極性と逆の極性に転換されたトナーは、転写材に転移せずに転写抜けの現象を発生させることになる。また、感光体自体に過大な電流が流入してその画像に対応すべき電位が変化してしまい、いわゆる転写メモリを発生させて、次の画像形成サイクルの際にも画像に悪影響を与えることになった。
【0005】
このような不具合を回避するために、特開平3−62075号公報では、転写部位に転写材が存在しない像担持体の非通紙部で定電圧あるいは定電流制御を行っている。そして、そのときに得られた電流値や電圧値に応じて転写材を通すときに印加する電圧を決定して、通紙時には定電圧制御方式でトナー像の転写を行うようにしている。
【0006】
また、特開平4−258980号公報では、出力電圧値と電流検知手段によって検知される電流とによってソフトウェアを介して転写時の出力電圧を演算するようにしている。そして、演算によって得られた電圧を用いて定電圧制御方式でトナー像の転写を行うようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの画像形成装置では、このような工夫によって環境変化に対する転写器自体の対応は可能である。しかしながら、転写部位に転写材がまだ到来しない転写動作の開始前に転写のための電圧値を決定しているので、転写材の違いに起因する転写特性上の問題は解決されていない。すなわち、用紙等の転写材は含水率や抵抗値が個々にあるいは環境によって相違しており、抵抗値が大きな転写材では転写に必要な電荷が不足してしまうといった不都合が発生する。また、転写材の厚さの相違によって像担持体と転写ローラ等の転写部材の当接している部分のニップ圧やニップ幅が変動することになるが、これにより必要以上の転写電圧値の電圧が印加されたり、逆に電圧が不十分で転写不良を発生させてしまうという問題も発生する。このため、従来の画像形成装置ではこのような問題を解決しようとすると、転写器の電流電圧特性の検知に非常に高い精度が要求され、結果的に装置のコストをかなりつり上げてしまうといった問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、転写ローラ等の転写部材を像担持体に接触させてトナー像の転写を行う際に、使用環境や転写材の状態によらず安定した転写性能を得ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、使用環境や転写材の状態に比較的大きな変化が検出されたときには転写材に印加する電圧を修正することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、(イ)荷電したトナー粒子をその表面に保持する感光体ドラム等の像担持体と、(ロ)この像担持体と転接する導電性の転写ローラ等の転写部材と、(ハ)この転写部材にトナー粒子の電荷と反対極性の電圧を印加する電圧印加手段と、(ニ)この電圧印加手段によって電圧が印加されているとき像担持体と転写部材の間を流れる電流を検出する電流検出手段と、(ホ)像担持体と転写部材の間にトナー粒子の転写を受ける普通紙等の転写材が存在しない状態で電圧印加手段で転写部材に所定の電圧を印加しこれを基に転写材へのトナー粒子の転写時に転写部材に印加する電圧を演算する印加電圧演算手段と、(へ)この印加電圧演算手段による演算結果の電圧を印加して、像担持体と転写部材の間に転写材が存在する状態で転写を行いつつ、電流検出手段によって転写電流値を検出し、検出された転写電流値が、転写材に対するトナー粒子の転写が良好に行われる電流値の最大値と最小値で定めた範囲を越えるときには、常温常湿環境における標準的な秤量の転写材に対応する電流値となるように電圧印加手段によって印加する電圧を修正する印加電圧修正手段とを画像形成装置に具備させる。
【0011】
すなわち請求項1記載の発明では、像担持体と転写部材の間にトナー粒子の転写を受ける転写材が存在しない状態で電圧印加手段で転写部材に所定の電圧を印加しこれを基に転写材へのトナー粒子の転写時に転写部材に印加する電圧を演算する。そして、演算結果の電圧を印加して、像担持体と転写部材の間に転写材が存在する状態で転写を行いつつ、電流検出手段によって転写電流値を検出し、検出された転写電流値が、転写材に対するトナー粒子の転写が良好に行われる電流値の最大値と最小値で定めた範囲を越えるときには、常温常湿環境における標準的な秤量の転写材に対応する電流値となるように電圧印加手段によって印加する電圧を修正するようにしている。
【0016】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施例における画像形成装置の構成の要部を表わしたものである。この装置は例えば図示しないホストコンピュータに接続されたプリンタに適用されるものである。画像形成装置11の感光体ドラム12の周囲には、帯電ローラ13と現像ローラ15と転写ローラ16の3種類のローラが配置されている。帯電ローラ13は矢印18方向(時計方向)に回転する感光体ドラム12を一様に帯電させるためのローラである。現像ローラ15は現像装置19内に配置されており、磁化されたトナー粒子によって静電潜像を現像するようになっている。これら帯電ローラ13と現像装置19の間の所定位置には、画像信号によって変調されたレーザビーム21が感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に繰り返し照射され、前記した静電潜像の形成が行われるようになっている。
【0018】
現像装置19を通過したドラム表面にはトナー像が形成されており、転写ローラ16はこれを用紙23に転写するようになっている。この用紙23は、用紙搬送路24、25によって図示しないカセットトレイ等の用紙供給源から搬送されてくるようになっており、その搬送タイミングは用紙搬送路24、25の間を通過する物体を検出する透過型の光学センサ26によって検知されるようになっている。転写ローラ16を通過してトナー像の転写された用紙23は、図示しない定着装置に送られてそこでトナー像を定着され、同じく図示しない排出トレイ上に排出されるようになっている。また、用紙23に転写されずに感光体ドラム12上に残留したトナー粒子は、転写ローラ16と帯電ローラ13の間のドラム表面に所定の圧力で押し当てられたクリーニングブレード27によって掻き取られるようになっている。このようにしてドラム表面の清掃が行われた後は、再び帯電ローラ13による電荷の付与が行われ、次の画像形成作業が開始されることになる。
【0019】
このような画像形成装置では、高圧電源28によって作成されたそれぞれ所定の電圧が帯電ローラ13と現像ローラ15と転写ローラ16の3種類のローラに印加されるようになっている。また、転写ローラ16は出力電流検知回路29にも接続されており、出力電流の検知が行われるようになっている。高圧電源28には電圧制御回路31が接続されており、出力電流検知回路29の検知結果を基にして転写ローラ16に印加する電圧の制御を行う他、各ローラ13、15、16に対する電圧印加のタイミングの制御も行うようになっている。
【0020】
図2は、電圧制御回路を中心としたこの画像形成装置の回路構成の概要を表わしたものである。画像形成装置11は各種制御の中枢的な機能を有するCPU41(中央処理装置)を搭載している。CPU41はデータバス等のバス42を通じて装置内の各部と接続され、一般的な画像形成のための制御を行う他、本実施例における転写ローラ16に対する電圧の制御も行うようになっている。
【0021】
このうちROM43は前記した各種の制御を行うためのプログラムや固定的なデータを記憶したリード・オンリ・メモリである。作業用メモリ44は、制御に必要なデータを一時的に格納するランダム・アクセス・メモリである。入力回路45は操作パネル46と接続されており、各種操作用のデータが入力されるようになっている。D/A変換器48はディジタル信号をアナログ信号に変換するためのものであり、変換後のアナログ信号は電圧制御回路31に供給されるようになっている。電圧制御回路31には出力電流検出回路29から出力電流の検出結果が入力されるようになっており、電圧制御回路31は高圧電源の電圧を制御するようになっている。また、A/D変換器49は逆にアナログ信号をディジタル信号に変換するためのものであり、電圧制御回路31側の検出結果がCPU41側に入力され、認識されるようになっている。
【0022】
画像形成装置にはセンサ入力回路51が配置されており、装置本体内部で検出した光学センサ26の検出結果等の各種センサの検出結果が入力されるようになっている。メインモータ駆動回路53は図1に示した感光体ドラム12を定速で回転させるためのメインモータ54の駆動を行うようになっている。
【0023】
図3は、本実施例の画像形成装置の画像形成時の制御の第1段階としてプリント信号受信から用紙の搬送が開始されるまでの制御の概要を表わしたものである。前記したホストコンピュータ等の外部装置からプリント開始信号が到来すると(ステップS101;Y)、図2に示したCPU41はこれを受け取り、メインモータ駆動回路53を制御してメインモータ54を駆動させる(ステップS102)。これにより、感光体ドラム12(図1)が定速回転を開始する。また、CPU41は電圧制御回路31に高圧印加信号を送出し帯電ローラ13による感光体ドラム12の帯電等を開始させる(ステップS103)。すなわち高圧印加信号が供給されると、電圧制御回路31は高圧電源28を制御して帯電ローラ13に負の電圧が印加され、ドラム表面が−400Vの電圧VH に均一帯電される。このドラム表面がレーザビーム21の書込位置に到達すると、そのタイミングでCPU41は画像信号によってレーザビーム21の変調を開始させ、感光体ドラム12上に静電潜像の形成が行われる。また、電圧制御回路31は同じく高圧電源28を制御して現像ローラ15と転写ローラ16に対しても高圧を印加する。感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、現像装置19でトナー粒子によって現像され可視像となる。
【0024】
ところで、CPU41は感光体ドラム12の帯電を開始させたら、転写ローラ16に印加する電圧を調整するためにこの転写ローラ16に初期的に転写電圧決定用電圧V0 を印加する(ステップS104)。そして、これによる転写電流I0 を検出し(ステップS105)、次に、この転写電流I0 と転写電圧決定用電圧V0 を用いて転写電圧VT を演算し決定する(ステップS106)。ただし、この時点では転写ローラ16にまだこの転写電圧VT の印加は行わない。
【0025】
ところで本実施例の装置で使用する転写ローラ16は、ウレタンゴムにカーボン等の導電性粒子を配合したもので、前記した常温常湿環境で体積抵抗が1×108 cm・Ω程度に調整している。また、感光体ドラム12のプロセススピードは25mm/秒である。更に、体積抵抗は、導電板に測定対象の転写ローラ16をそのロール軸両端に500gf/cmの押し圧で圧接させた状態で、1000Vの電圧を印加したときに流れる電流を測定して求めたものである。
【0026】
図4は、転写ローラの体積抵抗値と環境の変化の関係を表わしたものである。横軸でL/Lとは前記した低温低湿環境を示しており、N/Nとは前記した常温常湿環境を示している。H/Hは前記した高温高湿環境を示している。このように低温低湿環境から高温高湿環境に変化すると体積抵抗が低下することになる。
【0027】
図5は、図4で代表的に示したL/L、N/NおよびH/Hの3つの環境下における転写ローラの電圧−電流特性を示したものである。ここでは転写ローラ16と感光体ドラム12が接触している状態、すなわち用紙23がこれらに挟まれていない初期的な状態を示している。転写ローラ16に流れる電流が1.0μA(マイクロアンペア)以下になると転写不良が発生し、反対に2.0μA以上になると転写メモリが発生する。1.0〜2.0μAの範囲が最適転写域となる。この図から分かるように折れ線61で示す高温高湿環境(H/H)時の方が体積抵抗が低くなっているために、折れ線62で示す常温常湿環境(N/N)および折れ線63で示す低温低湿環境(L/L)よりも印加電圧が低い状態で最適転写域となる。
【0028】
この図5で例えば各環境で転写ローラ16に+600Vの電圧を印加する場合を考察してみる。転写ローラ16に流れる電流は、低温低湿環境(L/L)下で0.1〜0.3μAであり、常温常湿環境(N/N)下で0.6〜0.9μAでである。また、高温高湿環境(H/H)下では1.6〜1.9μAとなる。したがって、前2者で転写不良が発生し、後者の高温高湿環境下では最適な転写が行われることになる。
【0029】
図3のステップS106では最適転写性能を得ることのできる1.5μA程度の転写出力電流が得られるようにするために、転写電圧VT を次の(1)式で演算する。ここでは、印加電圧が+600Vであるとする。
VT =(600V)×(1.5μA)÷(600V時の検知電流値)……(1)
【0030】
常温常湿環境の場合を例にとる。600Vで0.75μAの検知電流が測定されたものとする。この場合には(1)式は次のようになる。
VT =(600)×(1.5)÷(0.75)=1200(V)
【0031】
すなわちこの場合には印加電圧を+1200Vと決定する。そして通紙時にはこの決定した電圧で定電圧制御を行うことにより、使用環境が常温常湿の場合の安定した転写特性を得ることができる。使用環境が異なっても、その時の環境に基づいて演算が行われるので転写ローラ16の体積抵抗値の変動にかかわらず安定した転写特性を確保することができる。しかしながら、以上の演算は用紙23の紙質や秤量および含水率を何ら考慮していない。
【0032】
図6は、転写材としての用紙の秤量と転写ローラに流れる電流の関係を常温常湿の場合について示したものである。ここでは、転写ローラ16に印加する電圧が+800Vの場合の例である。この図では用紙23の秤量が増加するにつれて転写ローラ16に流れる電流が少なくなることが示されているが、用紙23の紙質(例えばトレーシングペーパやOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用の用紙)や含水率によって、転写ローラ16を流れる電流が大きく変動することは特に説明することを要しない。
【0033】
このように仮に同一電圧を転写ローラ16に転写バイアス電圧として印加するとしても、用紙23の各状況によって電流値は大きく変動する。したがって、従来からすべての転写材を想定して最適な転写電流域を確保することは不可能であった。すなわち、画像形成装置の使用環境を検知して、標準的な転写材を想定して最適な転写電圧を選択したとしても、その使用される転写材の抵抗値が非常に低いものであれば2μA以上の電流が流れてしまい、転写メモリが発生してしまう。また逆にその使用される転写材の抵抗値が非常に高いものであれば、1.0μA以下の電流しか流れず、転写に十分な電荷を得ることができずに転写不良を発生させてしまう。そこで本実施例の画像形成装置では、実際に用紙23に対する転写が開始された後も転写ローラ16を流れる電流を監視し、それが最適な転写電流域を外れるときには転写電圧VT を再演算することにしている。
【0034】
それでは図3に戻って、ステップS106で最初の演算を行った以降の制御について説明する。用紙23を何ら考慮せずに初期的な転写電圧VT が求められたら(ステップS106)、CPU41はレーザビーム21の変調を開始させることで潜像の書き込みを開始させる(ステップS107)。そして、この時刻から所定の時間t1が経過した時点で(ステップS108;Y)、図示しないカセットトレイに収容されている用紙23の搬送を開始させる(ステップS109)。ここで時間t1は、潜像の書き込みが開始されたドラム表面の部位が転写ローラ16の場所まで送られてくる時間と用紙23がこの転写ローラ16に到達するまでの時間を調整するためのものである。
【0035】
図7は、本実施例の画像形成装置の画像形成時の制御の第2段階として現像の開始から用紙に対する転写が終了するまでの制御の概要を表わしたものである。図3のステップS109で用紙23の搬送が開始されると、CPU41は現像装置19を制御して現像動作を開始させる(ステップS110)。この状態でCPU41は光学センサ26が用紙23の先端を検出する時点を監視しており(ステップS111)、検知されると(Y)、これから時間t2 を測定する(ステップS112)。この時間t2 は用紙23の先端が転写ローラ16と感光体ドラム12の間に挟み込まれるまでの時間である。時間t2 が測定されると(Y)、この時点からステップS106で決定した転写電圧VT を転写ローラ16に印加する(ステップS113)。そして、これと共に転写ローラ16を流れる転写電流が図5で示した最適転写域の範囲内に留まっているかどうかの監視を開始する(ステップS114)。
【0036】
すなわち、用紙23の転写が終了するまでの間(ステップS115)で、転写電流が1.0μA未満となったり、あるいは2.0μAを越えるような事態が発生したら(ステップS114;N)、そのときの転写電流を(1)式に代入して新たに転写電圧VTを演算する(ステップS116)。そして、この転写電圧VTに変更する(ステップS117)。この結果として転写ローラ16を流れる転写電流が変化するが、これが1.0μA未満となったり、あるいは2.0μAを越えるような事態が発生すれば転写が終了するまで、再度同様に演算が繰り返されることになる。
【0037】
ただし、転写電圧VT についての再演算は、例えば転写電流が1.5μAとなるように常に小刻みに行われるのではなく、前記したように許容範囲としての1.0μAから2.0μAの範囲を外れたとき例外的に行われるようになっている。これは、転写電流を常に一定値に制御することによる転写電圧VT の変動によって、画像の濃淡にむらが発生してしまう等の弊害が発生するのを防止するためである。すなわち本実施例で行われる転写電圧VT の再演算は、用紙23の紙質が標準的なものと大きく相違していたような場合や、局部的に含水率が大きく変動していた場合のように、その転写電圧VT を保持してトナー像の転写を行っても画質が保証されないような場合に、画質を維持するための再演算である。したがって、演算値が大きく変更されるような場合にはその境界で多少の濃淡が発生する可能性があるが、転写電圧VT を変更しない場合よりも画質が向上することは明らかである。
【0038】
図8は、本実施例の画像形成装置の画像形成時の制御の第3段階として用紙に対するトナー像の転写が終了した以降の制御の概要を表わしたものである。トナー像の転写が終了すると、CPU41は電圧制御回路31を制御して転写ローラ16に対する印加電圧を解除する(ステップS116)。この後、用紙23は図示しない定着装置によって定着され(ステップS117)、同じく図示しない排出トレイ上に排出される(ステップS118)。この時点でCPU41は後続するページのプリント信号の受信を開始しているかどうかをチェックし(ステップS119)、開始していなければ(N)、各部の動作を停止させて(ステップS120)、一連の制御を終了させる。
【0039】
ステップS119で後続するページのプリント信号が受信を開始している場合には(Y)、図3のステップS107に進んでそのページの印字のために潜像の書き込みを開始する。これ以降の制御は前と同一である。ただし、ステップS113で転写電圧VT の印加を行うとき、ステップS106で演算した初期的な値を用いるようにしてもよいし、ステップS117で修正した値を転写電圧VT として設定するようにしてもよい。ただし、一連のプリントを行う場合には、同一種類の用紙23を使用することが通常行われるので、後者の修正後の転写電圧VT を設定することが有効な場合が多いと考えられる。
【0040】
なお、本実施例では後続するページが存在する場合にはステップS119からステップS107に進むことにしたが、ステップS104に進んで転写電圧決定用電圧V0 を印加し、転写電圧VT の演算を再度行うようにしてもよい。
【0041】
図9は、電圧制御回路の要部と電圧制御回路の周辺部を表わしたものである。電圧制御回路31は例えば転写ローラ16に印加する転写電圧VT や転写電圧決定用電圧V0 のオン・オフ制御に関しては、転写電圧出力オン・オフ回路71を備えており、バス42から送られてきた制御信号によって駆動電流制御回路をオン・オフ制御するようになっている。また、転写電圧決定用電圧V0 や演算値としての転写電圧VT はD/A変換器48から電圧制御回路31内の出力電圧制御回路73に与えられ、高圧電源28の電圧制御が行われるようになっている。出力電流検出回路29は、転写ローラ16と感光体ドラム12の間を流れる電流を検出し、その結果は電圧制御回路31を経由してA/D変換器49に出力され、ここでディジタル信号に変換されてバス42に供給されるようになっている。もちろん、CPU41がD/A変換器48やA/D変換器49としての機能を有する場合にはバス42を電圧制御回路31に直接接続する構成とすることができる。
【0042】
なお、以上説明した実施例では像担持体として感光体ドラムを使用する例を説明したが、感光体ベルトやその他の感光体やトナー像をその表面に保持した像担持体にも本発明を適用することができることは当然である。また、実施例では転写電流の最適転写域を1.0μAから2.0μAの範囲としたが、感光体等の特性や測定条件によってこれらの値が変動するものであることは当然である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、像担持体と転写部材の間にトナー粒子の転写を受ける転写材が存在しない状態で電圧印加手段で転写部材に所定の電圧を印加しこれを基に転写材へのトナー粒子の転写時に転写部材に印加する電圧を演算する。そして、演算結果の電圧を印加して、像担持体と転写部材の間に転写材が存在する状態で転写を行いつつ、電流検出手段によって転写電流値を検出し、検出された転写電流値が、転写材に対するトナー粒子の転写が良好に行われる電流値の最大値と最小値で定めた範囲を越えるまではこの印加電圧の修正を行わないので、微細な電流変化に対して印加電圧を調整する場合と比べて画像の再現に悪い影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】 電圧制御回路を中心としたこの画像形成装置の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】 本実施例の画像形成装置のプリント信号受信から用紙の搬送が開始されるまでの制御の様子を表わした流れ図である。
【図4】 転写ローラの体積抵抗値と環境の変化の関係を表わした特性図である。
【図5】 図4で代表的に示したL/L、N/NおよびH/Hの3つの環境下における転写ローラの電圧−電流特性を示した特性図である。
【図6】 転写材としての用紙の秤量と転写ローラに流れる電流の関係を常温常湿の場合について示した特性図である。
【図7】 本実施例の画像形成装置の現像の開始から用紙に対する転写が終了するまでの制御の様子を表わした流れ図である。
【図8】 本実施例の画像形成装置の用紙に対するトナー像の転写が終了した以降の制御の様子を表わした流れ図である。
【図9】 電圧制御回路の要部と電圧制御回路の周辺部を表わしたブロック図である。
【符号の説明】
11…画像形成装置、12…感光体ドラム、16…転写ローラ、23…用紙、28…高圧電源、29…出力電流検知回路、31…電圧制御回路、41…CPU、43…ROM、44…作業用メモリ
Claims (1)
- 荷電したトナー粒子をその表面に保持する像担持体と、
この像担持体と転接する導電性の転写部材と、
この転写部材に前記トナー粒子の電荷と反対極性の電圧を印加する電圧印加手段と、
この電圧印加手段によって電圧が印加されているとき前記像担持体と転写部材の間を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記像担持体と転写部材の間にトナー粒子の転写を受ける転写材が存在しない状態で前記電圧印加手段で転写部材に所定の電圧を印加しこれを基に転写材へのトナー粒子の転写時に転写部材に印加する電圧を演算する印加電圧演算手段と、
この印加電圧演算手段による演算結果の電圧を印加して、前記像担持体と転写部材の間に前記転写材が存在する状態で転写を行いつつ、前記電流検出手段によって転写電流値を検出し、検出された転写電流値が、転写材に対するトナー粒子の転写が良好に行われる電流値の最大値と最小値で定めた範囲を越えるときには、常温常湿環境における標準的な秤量の転写材に対応する電流値となるように前記電圧印加手段によって印加する電圧を修正する印加電圧修正手段
とを具備することを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25333794A JP3895784B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25333794A JP3895784B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | 画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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