JP3895649B2 - 鉄道車両用制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両のブレーキや駆動についての制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両用ブレーキの作動装置として、例えば特表2001−521468号公報に記載されたような、モータの回転で押し棒を移動させる常用ブレーキ機構部と、ばねの力によって押し棒を移動させる安全ブレーキ機構部とを備えた電気式ブレーキアクチュエータがある。安全ブレーキ機構部は、停電等で常用ブレーキ機構部が動作しないとき、蓄圧したばねの力により、押し棒を移動させて、車両を安全に停止させる。一旦放勢したばねは、停電等から復帰した常用ブレーキ機構部に最大ブレーキ力を発生させるよう動作させることにより、その反力を利用して蓄圧することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような作動装置における安全ブレーキ機構部は、通常の走行時にはばねが蓄圧された状態で待機していなければならない。しかしながら、車輪に対応して車両に複数個搭載された作動装置の安全ブレーキ機構部のうち、蓄圧未完了状態のものが一定数以上ある状態で発車してしまうと、非常時にブレーキ力が不足する。
一方、一旦放勢したばねは、常用ブレーキ機構部に最大ブレーキ力を発生させる動作を行わせることによって蓄圧されるので、走行中に蓄圧すると、車輪が滑走してすり減る。また、蓄圧には大きな電気エネルギーを必要とするため、停電時にバッテリーで蓄圧するとバッテリーの負担が大きくなり、好ましくない。
【0004】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、モータ出力による常用ブレーキ機構部及びばね出力による安全ブレーキ機構部を有する作動装置を搭載した鉄道車両用制御システムにおいて、安全ブレーキ機構部によるブレーキの信頼性を高めることを目的とする。また、安全ブレーキ機構部のばねを適時に蓄圧することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、駆動用の主電動機を制御する電動機制御部と、車輪又は車軸に対応して一車両に複数個設けられ、モータ出力による常用ブレーキ機構部及びばね出力による安全ブレーキ機構部を有する作動装置と、前記作動装置及び電動機制御部を制御するとともに、制御の対象とするすべての前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態であるか否かを示す信号を出力する制御装置とを備えた鉄道車両用制御システムであって、前記制御装置は前記電動機制御部に対して、制御の対象とするすべての前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態となるまで力行禁止の信号を出力することを特徴とするものである(請求項1)。
上記のように構成された鉄道車両用制御システムでは、制御装置により、制御の対象とするすべての作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態であるか否かを示す信号が出力される。従って、この信号の出力を条件に力行の操作をして発車すれば、安全ブレーキ機構部によるブレーキ力が確保される。
【0006】
また、制御の対象とするすべての作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態となるまで力行禁止の信号が出力され、この信号が解除されなければ力行の操作をしても発車できない。従って、発車後の安全ブレーキ機構部によるブレーキ力が常に確保される。
【0007】
また、上記鉄道車両用制御システム(請求項1)において、記制御装置は、制御電源が供給されていない作動装置については制御の対象から除外するものであってもよい(請求項2)。
この場合、制御電源が供給されていない作動装置については蓄圧がされなくても、他の作動装置について蓄圧が完了すれば力行禁止の信号が解除される。
【0008】
また、上記鉄道車両用制御システム(請求項1)において、制御装置は、車両が停止していることを条件として作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねの蓄圧を許可するものであってもよい(請求項3)。
この場合、車両が停止しているとき、ばねの蓄圧が可能となる。従って、走行中の蓄圧を避けることができる。
【0009】
また、上記鉄道車両用制御システム(請求項1)において、制御装置は、架線から受電していることを条件として作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねの蓄圧を許可するものであってもよい(請求項4)。
この場合、架線から受電しているとき、ばねの蓄圧が可能となる。従って、バッテリーによる蓄圧を避けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による鉄道車両用制御システムについて図面を参照して説明する。まず、当該制御システムに用いる作動装置について説明する。
図1は、作動装置100を示す断面図である。図において、当該作動装置100は、ハウジング本体1aと、上部カバー1bと、上部カバー1bの中央部に取り付けられた蓋1cとによって構成されるハウジング1内(但し、一部突出している。)に、モータを駆動源とする常用ブレーキ機構部2と、ばねの出力を駆動源とする安全ブレーキ機構部3と、これら両機構部によって、図の左右方向を軸方向として駆動される押し棒機構部4とを備えている。安全ブレーキ機構部3は、上記モータが使用不可の場合や、停電時等にのみ、保安ブレーキとして作動する。また、車両が車庫入りした後は、電源がオフになることにより、安全ブレーキ機構部3が作動する。逆に、出庫の際にはその都度、安全ブレーキ機構部3のばねが蓄圧される。
【0011】
上記押し棒機構部4において、ガイドチューブ401は、ハウジング1により軸方向に摺動可能に保持されている。このガイドチューブ401に内挿された押し棒402は、左端部以外が円筒状であり、ガイドチューブ401に対して軸方向に摺動可能である。この押し棒402にはボールねじが内蔵されており、当該ボールねじを構成するねじ403の右端側小径部403aに、ガイドチューブ401の内径より小さい外径を有するリング404が外嵌されている。リング404とガイドチューブ401の右端部401aとの間には、スラストベアリング405が装着されている。外周側が歯車になっている歯車リング406は、ねじ403の右端部403bに外嵌されている。ラジアルベアリング407は、歯車リング406の内筒部406aとガイドチューブ401の右端部401aとの間に装着されている。
【0012】
また、力伝達リング408は、ガイドチューブ401に外挿され、かつ、固定されている。力伝達リング408の両側面には、一対の押し棒ローラ409が回転自在に取り付けられている。この押し棒ローラ409がねじ403の軸方向に移動すると、力伝達リング408を介してガイドチューブ401が移動する。一方、押し棒ローラ409と対向してガイドチューブ401の両側面に配置された一対のハウジングローラ410は、ハウジング1に回転自在に支持されている。
【0013】
一方、常用ブレーキ機構部2にはモータ200が設けられている。被駆動シャフト202は、モータ200のシャフト201の右端に対向して、かつ、シャフト201と同軸に配置されている。シャフト201と被駆動シャフト202との間には、クラッチ装置203が介在している。被駆動シャフト202の右端に設けられた小歯車204は、ハウジング1に対して回転自在に支持されている大歯車205と噛合して、これを駆動する。大歯車205は、歯車リング406と噛合して、これを駆動する。上記クラッチ装置203は、シャフト201の回転を被駆動シャフト202に伝達するとともに、シャフト201が回転停止したとき、それまで回転していた方向と逆方向に被駆動シャフト202が回転することを阻止する構成となっている。
【0014】
また、安全ブレーキ機構部3においては、上部カバー1bの中央に、鍔状部301aと円筒状部301bとを有する案内スリーブ301が取り付けられている。案内スリーブ301の円筒状部301bには、略円筒状の押さえ部材302が外挿されている。押さえ部材302は、案内スリーブ301に対して、軸方向に微小な所定範囲で摺動可能である。押さえ部材302の外周には、リング状のばね受け303が係合している。
【0015】
一方、楔ピストン304は、押さえ部材302に外挿される円筒状のピストン部304aと、略円盤状のばね支持部304bと、紙面に垂直な方向に互いに離隔して一対設けられた楔部304cとを備えている。この楔部304cの先端は、前述の押し棒ローラ409及びハウジングローラ410と係合している。大小2個のコイルばねのうち外側のばね305は、楔ピストン304のばね支持部304bと、ばね受け303との間に装着されている。また、内側のばね306は、ばね支持部304bとばね受け303との間に、リング状の他のばね受け307を介して装着されている。ねじ軸308は、楔ピストン304のばね支持部304b内周に装着された雌ねじ部材309に螺合して、ボールねじのような関係を構成している。
【0016】
上記ねじ軸308の上端側には、円筒形のねじ軸サポート310が取り付けられている。押さえ部材302に取り付けられた円筒部材311は、ねじ軸サポート310と同一の外径を有する。ねじ軸サポート310と円筒部材311との間には、スラストベアリング312が装着されている。係止スリーブ313は、案内スリーブ301に対して径方向に隙間を保って内挿されている。係止ばね314は、ねじ軸サポート310及び円筒部材311の外周に巻装され、その一端が係止スリーブ313に係止され、他端がねじ軸サポート310に係止されている。
【0017】
案内スリーブ301の鍔状部301aの内側には、電磁石315が取り付けられている。電磁石315の内側には、ベアリング317を介して、軸部材318が回転可能に支持されている。軸部材318は円盤部318aを備えており、この円盤部318a上に、磁性体からなるリング316が取り付けられている。電磁石315が励磁されるとリング316はこれに吸引され、軸部材318は回転できない。逆に、電磁石315が消磁されるとリング316は釈放され、軸部材318は回転可能となる。上記係止スリーブ313は、この軸部材318の下端部に嵌合されており、軸部材318と一体に回転する。通常は、電磁石315が励磁されており、軸部材318及び係止スリーブ313は回転できない。
なお、安全ブレーキ機構部3内の上記各部材は、ねじ軸308を中心として同軸的に配置されている。
【0018】
上記押さえ部材302の下端中央部は、ねじ軸308の外周の一部に設けた溝に係止された支持リング321と係合している。これにより、押さえ部材302の下方への移動が規制されている。また、押さえ部材302の上端部は、案内スリーブ301に装着されたリング状の弾性部材(ゴム等)322に当接するとともに、ある程度以上弾性部材322に押し付けられると、案内スリーブ301に当接して上限位置となるように構成されている。従って、押さえ部材302は、支持リング321(図1)によって規制された下限位置から、当該上限位置までの範囲で、軸方向に摺動可能である。また、押さえ部材302は案内スリーブ301に対して、軸方向への僅かな移動を妨げられない程度に緊密に外挿されている。こうして、固定部材である案内スリーブ301は、押さえ部材302を、ばね305,306の伸縮方向に沿った軸方向に案内するとともに、軸方向に対して傾斜する方向への押さえ部材302の移動を規制する案内部材として機能している。
【0019】
一方、圧力センサ323は案内スリーブ301の上面から装着され、弾性部材322の上端面の一部に当接している。圧力センサ323は案内スリーブ301に螺着されたロックナット324によって固定され、ロックナット324にはキャップ325が被せられている。
押さえ部材302が摺動して弾性部材322が押圧されると、その荷重に応じた出力信号が圧力センサ323から出力される。
【0020】
なお、上記係止ばね314は、係止スリーブ313とねじ軸サポート310との間でワンウェイクラッチとしての機能を有しており、例えば、ねじ軸サポート310がばね305,306の蓄圧に対応する方向に回転するときはこれを妨げないが、放勢に対応する方向に回転するときはねじ軸サポート310に張り付いて、ねじ軸サポート310の回転可否を係止スリーブ313の回転可否に依存させる。また、軸部材318、リング316及び電磁石315は、係止スリーブ313の回転可否を制御する。従って、これらの部材(310,313〜316,318)によって、ばね305,306を蓄圧状態で保持する保持手段が構成されている。係止スリーブ313は、電磁石315が消磁状態のとき回転可能であり、励磁状態のとき回転規制される。
【0021】
図2は、図1のII部の拡大図である。ばね支持部304bの外周の一部には、磁石(永久磁石)326が取り付けられている。また、この磁石326に対向可能なハウジング本体1aの内面に、磁気センサ327が取り付けられている。磁気センサ327は、例えば、リードスイッチやホール素子を検出素子とする磁気形近接スイッチからなる。ばね305の伸縮に伴い、磁石326は、ばね軸方向に移動する。磁石326の磁束が磁気センサ327の検知エリアに入ると、磁気センサ327がこれを検知して信号を出力する。このようにして、ばね305,306の蓄圧状態を、ばね軸方向への変位によって検知することができる。ばね軸方向への変位は、正確に蓄圧状態を表すので、圧力センサ323による蓄圧状態の検知よりも高い検知精度を得ることができる。また、磁石326と磁気センサ327とによる検知は、構成が簡素な上に高感度である。
【0022】
なお、上記の磁石326及び磁気センサ327は別の場所に設けることもできる。例えば、図3に示すように、力伝達リング408の外周の一部に磁石326を設け、押し棒機構部4のハウジングの内面に磁気センサ327を設けてもよい。この場合、力伝達リング408の軸方向への動きと、楔ピストン304の軸方向への動きとの間には一定の関係があるので、力伝達リング408に取り付けられた磁石326を磁気センサ327で検知することにより、図1,図2の構成と同様に、ばね305,306の蓄圧状態を検知することができる。
【0023】
図4は、作動装置100の制御に関する概略のブロック回路図である。上述の作動装置100は、制御装置(ブレーキ受量器)50により制御される。制御装置50は、作動装置100とは別個に車両に設けられ、モータ200及び電磁石315と接続されている。制御装置50には、圧力センサ323及び磁気センサ327からの入力信号、並びに、力行やブレーキの指令信号が入力される。
【0024】
上記のように構成された作動装置100の動作について説明する。
まず、常用ブレーキ動作について簡単に説明する。制御装置50にブレーキ指令信号が入力され、制御装置50が、図1に示す状態(ブレーキ解除状態)からモータ200を所定方向に回転させると、クラッチ装置203を介して被駆動シャフト202が回転駆動される。これにより、小歯車204、大歯車205、歯車リング406及びねじ403が回転し、押し棒402が図の左方向へ前進する。押し棒402の前進により、図示しないブレーキ装置が作動する。一方、ブレーキ解除の指令信号に基づいてモータ200が逆方向に回転すると、押し棒402が後退して、ブレーキが解除される。
【0025】
次に、安全ブレーキ動作について説明する。図1に示す状態において、ばね305,306は蓄圧され、楔ピストン304のばね支持部304bは下方に付勢されている。これにより、ねじ軸308は、楔ピストン304の下方移動に対応した回転方向に付勢されている。従って、ねじ軸サポート310及び係止ばね314を介して、係止スリーブ313及び軸部材318も所定の回転方向に付勢されている。しかしながら、通常は、軸部材318及び係止スリーブ313が回転できないので、ねじ軸308は回転しない。
【0026】
上記の状態から、安全ブレーキ指令に基づいて電磁石315が消磁されると、リング316が釈放され、軸部材318及び係止スリーブ313が回転し始める。これに追随して、ねじ軸サポート310及びねじ軸308も回転し、楔ピストン304は下降する。下降する楔ピストン304の楔部304cが、押し棒ローラ409とハウジングローラ410との間に押し入ることにより、可動側の押し棒ローラ409が左方へ移動する。これに伴って、力伝達リング408を介して、ガイドチューブ401が左方へ前進する。このときガイドチューブ401は、押し棒402その他内部に含む全ての部材及び歯車リング406を引き連れて前進する。歯車リング406は、幅広な歯を有する大歯車205との噛合を維持したまま、左方へ移動する。こうして、前進する押し棒402により、後述するブレーキシューが作動する。
【0027】
ブレーキ装置の作動により、その反力が、楔部304cを介して楔ピストン304の軸方向への反力に変換される。この反力が、ばね305,306、ばね受け307、ばね受け303、押さえ部材302及び弾性部材322を介して、圧力センサ323により検知される。従って、圧力センサ323が所定の反力を検知することにより、実際に所定のブレーキ力が生じたことを確認することができる。
【0028】
一旦動作した安全ブレーキ機構部3を復帰させるには、モータ200が稼働可能となってから、制御装置50に指令を与えて所定方向に回転させ、ねじ403を制動方向に回転させる。このとき押し棒402は既に所定のストローク分前進してブレーキをかけた状態であるため、それ以上前進することはできない最大ブレーキの状態となる。従って、ねじ403の回転力は、ねじ403自身を後退させる反力に変換され、ガイドチューブ401、力伝達リング408及び押し棒ローラ409に後退方向への力が付与される。押し棒ローラ409に後退方向への力が付与されると、楔ピストン304には上昇方向への力が付与される。その結果、楔ピストン304は、ねじ軸308を回転させながら上昇する。こうして、ばね305,306が再び蓄圧される。蓄圧完了後、モータ200を逆転させて、ブレーキを緩める。
【0029】
次に、上記の作動装置100を含む本発明の一実施形態による鉄道車両用制御システムについて説明する。
図5は、当該制御システムの要部構成を示すブロック図である。図において、車両51は例えば2つの台車52を備えており、車両毎に前述の制御装置50が配置されている。この制御装置50には、運転士が操作するマスターコントローラ53、駆動用の主電動機(図示せず。)を制御する電動機制御部としてのVVVF(可変電圧可変周波数)装置54及び電源変換装置(SIV)55が接続されている。VVVF装置54に接続されたモータ(図示せず。)は、VVVF装置54を介して、力行や電気制動の動作を行うように構成されている。マスターコントローラ53から制御装置50へは、力行、常用ブレーキ及び安全ブレーキ(保安ブレーキ)の指令信号が出力される。電源変換装置55は、パンタグラフ55aからの架線電圧を制御電圧に変換する。
【0030】
上記の各台車52には前後一対の車軸57が設けられており、各車軸57の左右両端部には車輪58が設けられている。各車輪58には例えば車輪踏面に圧接するタイプのブレーキシュー59が設けられ、各ブレーキシュー59に対応して前述の作動装置(図中ではEBIと表記)100が設けられている。ブレーキシュー59は、作動装置100の押し棒402(図1)によって駆動される。各作動装置100は制御装置50と接続されており、マスターコントローラ53から制御装置50を介して、常用ブレーキ又は安全ブレーキの動作が行われる。また、各台車52における左右一対二組の作動装置100には、それぞれ回路遮断器56を介して、制御電源としてのDC電源が供給される。DC電源は、パンタグラフ55aを介して架線から受電しているときは、この受電電圧を変圧・整流等して供給されるが、架線から受電していないときは、バッテリーから供給される。また、供給されるDC電源は制御装置50にも取り込まれており、これによって、制御装置50はDC電源が作動装置100に印加されているかどうかをモニタすることができる。
【0031】
なお、各車軸57に対応する左右一対の作動装置100のうち一方が故障した場合、対応する回路遮断器56をオフ操作して左右双方の作動装置100を不使用の状態とする。このようにして一対の作動装置100をブレーキシステムから除外しても、他の作動装置100が正常であれば、全体として十分な制動力が確保できるように、余裕を持たせてある。従って、故障の修理を後回しにして発車させてもよい。しかしながら、異なる2箇所以上の車軸57に対応した作動装置100が故障した場合には、十分な制動力が確保できない恐れがあるため、故障の修理が先決である。
【0032】
なお、上記台車52の一方における車軸57の一方には、制御装置50に接続された速度センサ60が配置されており、車軸57の回転から車両の走行速度を検出することができるように構成されている。なお、速度センサ60は他の車軸57や車輪58に対して設けてもよい。
また、応荷重器61は台車52ごとに設けられ、車体や乗客等の重量に応じた荷重信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、この荷重信号を勘案して必要なブレーキ力を決定する。
【0033】
上記のように構成された鉄道車両用制御システムでは、マスターコントローラ53からの力行指令に従って、制御装置50及びVVVF装置54によって主電動機が駆動され、車両が走行する。また、マスターコントローラ53からの常用ブレーキ指令に従って、応荷重器61からの荷重信号を勘案した所要の制動力を生じさせるべく、制御装置50から作動装置100にブレーキ信号が出力される。これにより、ブレーキシュー59が車輪58に圧接してブレーキがかかる。
【0034】
次に、安全ブレーキの動作を含む当該鉄道車両用制御システムの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートの処理は、制御装置50によって実行される。
まず、車両基地の車庫から車両を発車させるとき、作動装置100における安全ブレーキ機構部3は、通常、放勢してブレーキが作動した状態となっている。これは、制御電源がオフになることにより、電磁石315(図4)が消磁されるからである。この状態から、発車前に制御電源が供給されると、制御装置50から作動装置100に蓄圧指令が出力される。続いて制御装置50は、速度センサ60からの入力に基づいて、車両が停止中であるか否かを判断する(ステップS1)。ここでは発車前であるから、ステップS2へ進み、電源変換装置(SIV)55が起動しているか、すなわち、架線から受電して制御電圧が生じているか否かを判断する。受電していなければ蓄圧を中止する(ステップS8)。この理由は、受電していない状態で一斉に蓄圧を行うとバッテリーの負担が大きく、特に、バッテリーの蓄電量が低下している場合には、DC電圧が一気に低下する恐れがあるからである。
【0035】
次に制御装置50は、作動装置100に対して蓄圧の信号を出力する(ステップS3)。具体的には、前述の、一旦動作した安全ブレーキ機構部3を復帰させる動作が行われる。なお、オフになっている回路遮断器56に接続されている作動装置100については、制御(蓄圧)の対象から除外する。続いて、制御装置50は、作動装置100に制御電源を供給する電路に設けられている回路遮断器56が2個以上オフになっているか否かを、制御装置50に入力されている電圧を見て判断する(ステップS4)。ここで、2個以上がオフであれば、十分な制動力を確保することができない恐れがあるため、VVVF装置54に対して力行禁止信号を出力する(ステップS7)。従って、運転士が力行の操作をしても、車両は発車しない。
【0036】
他方、回路遮断器56がすべてオンか若しくはオフのものがあっても1個のみである場合には、ステップS5へ進み、制御装置50は、蓄圧が完了したか否かを、各作動装置100内の磁気センサ327(図1)の信号に基づいて判断する。このとき、判断の対象となるのは、電圧が印加されている作動装置100のみである。ここで、ステップS3〜S5を繰り返しながら蓄圧の完了を待ち、完了により力行許可信号をVVVF装置54に出力する(ステップS6)。従って、運転士は力行操作により車両を発車させることができる。
こうして、意図的に除外したものを除く、制御の対象とされているすべての作動装置100における蓄圧が完了するまでは、力行を許可しないシステムとすることができる。言い換えれば、当該システムによれば、稼動するすべての作動装置100における蓄圧が完了して発車するので、発車後の安全ブレーキ機構部3のブレーキ力が保証され、ブレーキの信頼性を高めることができる。
また、制御電源の供給がなされていない作動装置100を制御の対象外とすることにより、1台の作動装置100が故障してその制御電源がオフの場合に即刻発車不能となる不便を避け、力行を敢行することができる。
【0037】
発車後、例えば走行中に保安ブレーキ操作等の事態が起きると、安全ブレーキ機構部3が作動して車両は停止する。ここで、車両が停止する前に、蓄圧指令が出力され、放勢したばね305,306の再蓄圧が開始されるとすると、前述のように、最大ブレーキ力が作用し、その反力によって蓄圧が行われることになる。従って、走行中にこのような蓄圧が行われると、最大ブレーキ力によって車輪58がロックし、滑走して摩耗する。しかしながら、ステップS1において車両停止中か否かの判断が行われることにより、停止前であれば蓄圧は中止される(ステップS8)。従って、車輪58の滑走を防止することができる。このようにして、車両の停止中、及び、架線から受電している状態、という蓄圧の「適時」にのみ、蓄圧を行わせることができる。
【0038】
なお、上記実施形態は、力行禁止又は力行許可という形で制御を行うシステムとしたが、例えば運転室に表示手段(視聴覚等に訴えるもの)を設けて、力行禁止の警告や力行許可の状態を示す信号出力を、当該表示手段に表示する(禁止はしない)システムとしてもよい。この場合には、力行許可信号の出力を条件に力行の操作をして発車すれば、安全ブレーキ機構部によるブレーキ力が確保され、ブレーキの信頼性を高めることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、各車輪58に対して一対一に作動装置100を設けたが、車軸57に設けたブレーキディスクにブレーキシューを圧接させるディスクブレーキタイプの場合には、車軸57ごとに作動装置100を設ければよい。
【0040】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の鉄道車両用制御システムによれば、制御装置により、制御の対象とするすべての作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態であるか否かを示す信号が出力されるので、この信号の出力を条件に力行の操作をして発車すれば、安全ブレーキ機構部によるブレーキ力が確保され、ブレーキの信頼性を高めることができる。
【0041】
また、制御の対象とするすべての作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態となるまで力行禁止の信号が出力され、この信号が解除されなければ力行の操作をしても発車できないので、発車後の安全ブレーキ機構部によるブレーキ力が常に確保され、ブレーキの信頼性を、より確実なものとすることができる。
【0042】
請求項2の鉄道車両用制御システムによれば、制御電源が供給されていない作動装置については蓄圧がされなくても、他の作動装置について蓄圧が完了すれば力行禁止の信号が解除されるので、一の作動装置が故障してその制御電源がオフの場合に即刻発車不能となる不便を避け、力行を敢行することができる。
【0043】
請求項3の鉄道車両用制御システムによれば、車両が停止しているとき、ばねの蓄圧が可能となるので、走行中の蓄圧を避け、適時に蓄圧することができる。
【0044】
請求項4の鉄道車両用制御システムによれば、架線から受電しているとき、ばねの蓄圧が可能となるので、バッテリーによる蓄圧を避け、適時に蓄圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による鉄道車両用制御システムに用いる作動装置を示す断面図である。
【図2】図1のII部の拡大図である。
【図3】磁石及び磁気センサの配置が図1とは異なる作動装置を示す断面図である。
【図4】上記作動装置の制御に関する概略のブロック回路図である。
【図5】本発明の一実施形態による鉄道車両用制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【図6】上記制御システムにおける制御装置によって実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
2 常用ブレーキ機構部
3 安全ブレーキ機構部
50 制御装置
51 車両
54 VVVF装置(電動機制御部)
57 軸
58 車輪
100 作動装置
Claims (4)
- 駆動用の主電動機を制御する電動機制御部と、
車輪又は車軸に対応して一車両に複数個設けられ、モータ出力による常用ブレーキ機構部及びばね出力による安全ブレーキ機構部を有する作動装置と、
前記作動装置及び電動機制御部を制御するとともに、制御の対象とするすべての前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態であるか否かを示す信号を出力する制御装置とを備えた鉄道車両用制御システムであって、
前記制御装置は前記電動機制御部に対して、制御の対象とするすべての前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねが蓄圧完了状態となるまで力行禁止の信号を出力することを特徴とする鉄道車両用制御システム。 - 前記制御装置は、制御電源が供給されていない作動装置については制御の対象から除外する請求項1記載の鉄道車両用制御システム。
- 前記制御装置は、車両が停止していることを条件として前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねの蓄圧を許可する請求項1記載の鉄道車両用制御システム。
- 前記制御装置は、架線から受電していることを条件として前記作動装置の安全ブレーキ機構部におけるばねの蓄圧を許可する請求項1記載の鉄道車両用制御システム。
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