JP3893871B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、像形成・転写処理を互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を転写ドラムや転写ベルトなどの転写媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。なお、この明細書では、「像形成・転写処理」とは、感光体および転写媒体を副走査方向に回転させながら、感光体上にトナー像を形成した後、当該トナー像を転写媒体に転写する一連の処理を意味する。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置としては、例えば図29に示すものがある。この画像形成装置は、回転駆動される感光体21に互いに異なる複数のトナー色、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー像を形成可能となっている。そして、各トナー像は感光体21と同期して回転する転写ベルトや転写ドラムなどの転写媒体41に一次転写される。このように感光体21および転写媒体41を回転させるために、この画像形成装置には直流モータやパルスモータなどの駆動源81が設けられている。そして、この駆動源81で発生した回転駆動力が複数のギアやベルトなどの動力伝達部材91によって構成された動力伝達ユニット9を介して感光体21および転写媒体41側に与え、感光体21および転写媒体41を相互に同期させながら回転駆動している。
【0003】
この画像形成装置では、上記像形成・転写処理が複数色について繰り返されることによって各色のトナー像が転写媒体41上に重ね合わされて転写媒体41上にカラー像が形成される。そして、それに続いて、このカラー画像はカセットや手差しトレイなどから給紙されてくるシート部材Sに二次転写される。
【0004】
ここで、良好なカラー画像を得るためには、複数色のトナー像を相互にレジストしながら重ね合わせる必要がある。そこで、上記画像形成装置では、例えば転写媒体41の基準位置を検出するためのセンサ40が転写媒体41の近傍に配置されており、転写媒体41が1回転するごとにセンサ40から出力される信号を基準信号として像形成・転写処理を行っている。より具体的には、基準信号が出力されるごとに所定タイミングで感光体21上にトナー像を形成した後、感光体21と同期して一定の速度で回転する転写媒体41上に当該トナー像を一次転写することによって、複数色のトナー像を正確に重ね合わせている。したがって、センサ40から基準信号が出力されてから一次転写が完了するまでの間、転写媒体41を感光体21に同期して一定速度で回転駆動する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、転写媒体41に対して二次転写処理を行うための二次転写ローラや転写媒体41のクリーニング処理を行うためのクリーナブレードなどの当接手段400が適当なタイミングで一時的に当接して転写媒体41や動力伝達部材91などに対する負荷が変動することがある。つまり、その当接によって転写媒体41の回転駆動が妨げられたり、転写媒体41が弾性的に伸びたり、動力伝達部材91が同様に弾性変形したり、さらには転写媒体41を回転駆動する駆動部(図示省略)に対して負荷変動が生じ、その離当接によって転写媒体41が一定速度で回転駆動されなくなってしまう。
【0006】
特に、この種の画像形成装置では、駆動源81からの回転駆動力を精度良く感光体21および転写媒体41側に伝達するために、動力伝達部材91としてポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルサイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)等の樹脂材料で成形されたギアを用いることが多く、上記負荷変動に応じてギアが弾性変形し、これがレジストズレの主要因のひとつとなっていた。また、転写媒体41が転写ベルトである場合には、上記負荷変動に伴う転写媒体41の伸縮もレジストズレの主要因のひとつとなっている。なお、レジストズレの発生要因については、後の「レジストズレの発生要因の解析について」の項で詳述する。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、転写媒体に対する当接手段の離当接により発生する負荷変動に応じて構成要素の一部が弾性変形する構成を有しながらも、その弾性変形に伴うレジストズレを抑制して高品質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1態様は、像形成・転写処理を互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を転写ドラム上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置に関するものである。特に、当接手段が像形成・転写処理を繰り返している際に転写ドラムに離当接することによって発生する負荷変動に応じて、回転駆動力を感光体および転写ドラムに伝達する複数の動力伝達部材の少なくとも1つが弾性変形する装置を発明の対象としている。
また、この発明の第2態様は、像形成・転写処理を互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を転写ベルト上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置に関するものである。特に、当接手段が像形成・転写処理を繰り返している際に転写ベルトに離当接することによって発生する負荷変動に応じて、回転駆動力を感光体および転写ベルトに伝達する複数の動力伝達部材の少なくとも1つ、または転写ベルトが弾性変形する装置を発明の対象としている。
【0009】
そして、上記目的を達成するために、この発明の第1態様は、カラー画像の形成前に下記のレジスト制御量制定処理を実行して弾性変形によって生じる転写ドラム上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求めるとともに、該レジスト制御量に基づき複数のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色について、当接手段の離当接タイミングより前に予めトナー像の転写開始位置を補正している。ここで、レジスト制御量制定処理は、基準信号に基づき、(1)当接手段が転写ドラムから離間し続ける場合の周期と、当接手段が転写ドラムに当接し続ける場合の周期の一方を定常状態として、(2)転写ドラムから離間していた当接手段が転写ドラムに当接した場合の周期と、転写ドラムに当接していた当接手段が転写ドラムから離間した場合の周期の一方を離当接周期として、それぞれ測定し、定常周期と離当接周期との相違量からレジスト制御量を求めることをその処理内容とする。
また、上記目的を達成するために、この発明の第2態様は、カラー画像の形成前に下記のレジスト制御量制定処理を実行して弾性変形によって生じる転写ベルト上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要な
(A)転写処理中に当接手段が当接し、その当接状態のまま転写処理を完了することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量Raと、
(B)像形成・転写処理において、転写処理開始前から当接手段が当接しており、その当接状態で転写処理が開始され、しかも、その処理途中で当接手段が離間することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量Rbと、
(C)像形成・転写処理において、基準信号の検出時点であって転写処理開始前に当接していた当接手段が該基準信号の検出後且つ転写処理開始前に離間し、その後、その離間状態のまま転写処理を行う際に生じるレジストズレを補正するためのレジスト制御量Rcと
を求めるとともに、これらレジスト制御量Ra、レジスト制御量Rb及びレジスト制御量Rcに基づき複数のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色について、当接手段の離当接タイミングより前に予めトナー像の転写開始位置を補正している。ここで、レジスト制御量制定処理は、基準信号に基づき、(a)転写ベルトから離間していた当接手段が転写ベルトに当接した場合の周期と、(b)当接手段が転写ベルトに当接し続ける場合の周期と、(c)転写ベルトに当接していた当接手段が転写ベルトから離間した場合の周期と、(d)当接手段が転写ベルトから離間し続ける場合の周期とを測定し、これらの周期の相違量からレジスト制御量を求めることをその処理内容とする。
【0010】
上記第1態様のように構成された発明では、転写処理の繰り返し中に、転写ドラムに対して当接手段が離当接されるが、当接手段の離当接によって負荷変動が生じ、動力伝達部材が弾性変形する。そして、この弾性変形がレジストズレの主要因の一つとなる。そこで、この発明の第1態様では、レジスト制御量制定処理によりレジストズレが予め求められ、このレジスト制御量に基づき複数のトナー色のうち少なくとも一色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置が補正される。したがって、レジストズレを抑制して高品質なカラー画像が得られる。
また、上記第2態様のように構成された発明では、転写処理の繰り返し中に、転写ベルトに対して当接手段が離当接されるが、当接手段の離当接によって負荷変動が生じ、動力伝達部材や転写ベルトが弾性変形する。そして、この弾性変形がレジストズレの主要因の一つとなる。そこで、この発明の第2態様では、レジスト制御量制定処理によりレジストズレが予め求められ、このレジスト制御量に基づき複数のトナー色のうち少なくとも一色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置が補正される。したがって、レジストズレを抑制して高品質なカラー画像が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
A.第1実施形態
以下、図面を参照しつつ、この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態について詳述する。
【0012】
A−1.装置構成について
図1は、この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字要求内容を示す信号)が制御ユニット1に与えられると、制御ユニット1内に設けられたメインコントローラ11が画像形成装置のエンジン部Eの動作指示に適した形式のジョブデータ(印字情報)に変換し、エンジンコントローラ12に与える。これを受けたエンジンコントローラ12はジョブデータに応じて画像形成装置のエンジン部Eを制御している。
【0013】
このエンジン部Eでは、プロセスユニット2の感光体21にトナー像を形成可能となっている。すなわち、プロセスユニット2は、図1の矢印方向に回転可能な感光体21を備えており、さらに感光体21の周りにその回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ22、現像手段としての現像器23Y,23C,23M,23K、および感光体用クリーナブレード24がそれぞれ配置されている。帯電ローラ22は帯電バイアス回路(図示省略)から帯電バイアスが印加されており、感光体21の外周面に当接して外周面を均一に帯電させる。なお、感光体21および後で説明する中間転写ドラム41Dを回転駆動するための構成については、図29に示す構成と同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0014】
そして、この帯電ローラ22によって帯電された感光体21の外周面に向けて露光ユニット3からレーザ光Lが照射される。この露光ユニット3は、図1に示すように、画像信号に応じて変調駆動される半導体レーザなどの発光素子31を備えており、この発光素子31からのレーザ光Lが高速モータ32によって回転駆動される多面鏡33に入射されている。そして、多面鏡33によって反射されたレーザ光Lはレンズ34およびミラー35を介して感光体21上に主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に走査して画像信号に対応する静電潜像を形成する。なお、符号36は主走査方向における同期信号、つまり水平同期信号HSYNCを得るための水平同期用読取センサである。
【0015】
こうして形成された静電潜像は現像部23によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では現像部23として、イエロー用の現像器23Y、シアン用の現像器23C、マゼンタ用の現像器23M、およびブラック用の現像器23Kが軸中心に回転自在に設けられている。これらの現像器23Y,23C,23M,23Kは回転位置決めされるとともに、感光体21に対して選択的に当接し、トナーを感光体21の表面に付与する。これによって、感光体21上の静電潜像が顕在化される。そして、現像部23で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット4の中間転写ドラム41D上に一次転写される。
【0016】
また、一次転写領域TR1から周方向(図1の矢印方向)に進んだ位置には、感光体用クリーナブレード24が配置されており、一次転写後に感光体21の外周面に残留付着しているトナーを掻き落とす。
【0017】
転写ユニット4の中間転写ドラム41Dは感光体21と当接しながら、モータなどの駆動源(図29の符号81)からの回転駆動力を受けて回転し、一次転写領域TR1で感光体21上のトナー像が中間転写ドラム41D上に一次転写される。そして、カラー画像を印字する場合には、感光体21上に形成される各色のトナー像を中間転写ドラム41D上に重ね合わせてカラー像を形成する。また、モノクロ画像を印字する場合には、感光体21上のブラックトナー像のみを中間転写ドラム41D上に形成する。この一次転写領域TR1の近傍には、中間転写ドラム41Dの基準位置を検出するためのセンサ40が配置されており、主走査方向とほぼ直交する副走査方向における同期信号、つまり垂直同期信号VSYNCを得るための垂直同期用読取センサとして機能する。
【0018】
また、この転写ユニット4には、この中間転写ドラム41Dに転写された中間トナー像をシート部材Sに二次転写する二次転写ローラ48と、感光体21および中間転写ドラム41Dを同期して回転駆動する感光体/転写媒体駆動部41aとを備えている。そして、カラー画像を印字する場合には、給排紙ユニット6によってカセット、手差しトレイあるいは増設カセット(図示省略)からシート部材Sを取出して二次転写領域TR2に搬送するとともに、このシート部材Sにカラー像を二次転写する。
【0019】
さらに、この二次転写領域TR2の近傍には、中間転写ドラム41Dに対して接離可能にクリーニング部49が設けられており、適当なタイミングで中間転写ドラム41Dに当接して、二次転写後に中間転写ドラム41Dの外周面に残留付着しているトナーについては、クリーニング部49によって掻き落される。
【0020】
さらに、搬送経路(図1の1点鎖線)に沿って二次転写領域TR2の下流側には、定着ユニット5が配置されており、搬送経路に沿って搬送されてくるシート部材S上のトナー像をシート部材Sに定着する。そして、当該シート部材Sはさらに搬送経路に沿って排出トレイ(図示省略)に搬送される。
【0021】
次に、図2を参照しつつ図1の画像形成装置の電気的構成について説明する。この画像形成装置に設けられたメインコントローラ11は、CPU111と、ホストコンピュータなどの外部装置との間で信号の授受を行うインターフェース112と、このインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するための画像メモリ113とを備えており、上記したようにジョブデータ(印字情報)を作成し、エンジンコントローラ12に与える。
【0022】
エンジンコントローラ12はCPU121を有しており、エンジン部Eからの入力信号として水平同期用読取センサ36から水平同期信号HSYNCを、また垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCを、さらに定着ユニット5に設けられた温度センサ51から定着温度を示す温度信号を、それぞれ受けている。また、これらの入力信号および各種情報などに基づき、CPU121は動力伝達ユニット(図29の符号9)を介して駆動源(図29の符号81)から与えられる回転駆動力を受けて感光体21と中間転写ドラム41Dとを同期して回転駆動する感光体/転写媒体駆動部41aを駆動制御するための駆動指令信号を感光体/転写媒体駆動制御回路122に与え、この感光体/転写媒体駆動制御回路122によって感光体/転写媒体駆動部41aを制御して感光体21の表面速度および中間転写ドラム41Dの表面速度Vを加減速制御している。また、CPU121は後述するレジスト制御量の制定・記憶処理、シーケンスフラグの更新処理、レジスト制御量制定処理などを実行する。
【0023】
また、エンジンコントローラ12には、転写ユニット4を制御する専用の制御回路として、感光体/転写媒体駆動制御回路122以外にも転写ローラ離当接制御回路123およびクリーナ離当接制御回路124をさらに備えている。この転写ローラ離当接制御回路123はCPU121からの指令信号に基づき二次転写ローラ用駆動部48aを制御して適当なタイミングで二次転写ローラ48を中間転写ドラム41Dに対して離当接させる。一方、クリーナ離当接制御回路124はCPU121から指令信号に基づきCB信号をクリーナ用駆動部49aを与えることでクリーナ用駆動部49aを制御して適当なタイミングでクリーニング部49を中間転写ドラム41Dに対して離当接させる。
【0024】
なお、図中の符号125はエンジン部Eを制御するための制御データやCPU121における演算結果などを一時的に記憶するためのRAMであり、さらに符号126はCPU121で行う演算プログラムなどを記憶するROMである。
【0025】
A−2.基本動作について
図3は、上記のように構成された画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。このような画像形成装置では、像形成・転写処理を繰り返している際に、二次転写ローラ48やクリーニング部49などの当接手段が中間転写ドラム41Dに当接すると、後の「A−3.レジストズレの発生要因の解析について」の項で詳述するように種々のレジストズレが発生するが、レジスト制御量だけ転写開始位置を補正することでレジストズレを抑制して画像品質を向上させている。
【0026】
この画像形成装置では、装置電源が投入されると、実際の画像形成処理に先立って、レジスト制御量制定処理(ステップS1)を実行して3種類のレジスト制御量を自動的に制定し、これらを初期レジスト制御量として記憶部たるメモリ125に記憶する。この実施形態では、3種類の初期レジスト制御量として以下のレジスト制御量Ra,Rb,Rc、つまり、
Ra:一次転写処理中にクリーニング部49が当接し、その当接状態のまま一次転写処理を完了することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
Rb:像形成・転写処理において、一次転写開始前からクリーニング部49が当接しており、その当接状態で一次転写処理が開始され、しかも、その処理途中でクリーニング部49が離間することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
Rc:像形成・転写処理において、当接状態にあるクリーニング部49が一次転写開始前に離間し、その後、その離間状態のまま一次転写処理を行う際に生じるレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
が制定される。なお、このレジスト制御量の自動制定動作(ステップS1)の詳細については、後の「A−4.初期レジスト制御量の制定処理について」の項で詳述する。
【0027】
こうして初期レジスト制御量Ra〜Rcの制定(ステップS1)が完了すると、ホストコンピュータなどの外部装置からの画像信号、つまり印字要求を待つ(ステップS2)。そして、印字要求があると、その印字モードがモノクロ印字か、カラー印字であるかを判断し(ステップS3)、モノクロ印字と判断した場合には、レジスト制御することなく、通常の画像形成処理を実行してステップS2に戻る。一方、ステップS3でカラー印字であると判断した場合には、3つのシーケンスフラグF0,F1,F2のうちから印字シーケンス状態に応じたシーケンスフラグを選択的に設定する(ステップS4)。なお、このステップS4の詳細については、後の「A−5.シーケンスフラグの更新について」の項で詳述する。
【0028】
そして、そのシーケンスフラグに応じたレジスト制御量を設定した(ステップS5)後、各トナー色についての像形成・転写処理にあたって、感光体21を所定の加減速可能期間の間に加減速制御して潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量だけシフト移動させる(ステップS6)。これによって一次転写される中間転写ドラム41D上でのトナー像の転写位置も副走査方向にレジスト制御量だけ移動する。こうして、転写開始位置を補正してレジストズレを抑制する。なお、この詳細については、後の「A−6.転写開始位置の補正について」の項で詳細に説明する。
【0029】
このようにしてレジスト制御量に基づきレジストズレを抑制しながら、カラー画像の形成が完了すると、ステップS7で印字を終了したか否かを判断し、印字終了と判断した場合には、ステップS2に戻り、次の印字要求を待つ。一方、印字が終了していないと判断した場合には、ステップS3に戻り、上記と同様の処理を繰り返す。
【0030】
A−3.レジストズレの発生要因の解析について
ここでは、転写開始位置の補正を全く行わずに図1の画像形成装置を図4に示す動作シーケンスで動作させた場合のレジストズレの発生状況について、図4ないし図8を参照しつつ詳述する。
【0031】
図4は、図1の画像形成装置における動作シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、装置電源が投入された後、あるいは画像形成装置のスリープモードが解除されると、中間転写ドラム41Dが回転駆動されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCが間欠的に出力される。そして、垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT7,…で出力されるごとに、一定時間をおいてイエロー静電潜像、シアン静電潜像、マゼンタ静電潜像およびブラック静電潜像がこの順序で繰り返して感光体21上に形成される。各静電潜像が形成された後、現像器23Y,23C,23M,23Kのうちの一の現像器が選択的に感光体21に当接して感光体21上の静電潜像を顕在化し、そのトナー像を中間転写ドラム41D上に一次転写する。したがって、各色のトナー像はすべて感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ドラム41Dに対しても同一位置で一次転写される(各トナー色についての像形成・転写処理)。
【0032】
そして、上記像形成・転写処理を4色分繰り返すと、4色のトナー像が中間転写ドラム41D上で重ね合わせてカラー画像が形成される。こうしてカラー画像が得られると、二次転写ローラ48がシート部材Sを挟んで中間転写ドラム41Dに当接してシート部材Sにカラー画像を二次転写するとともに、CB信号に応じてクリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接して当該ドラム表面に残存しているトナーが除去される。このような動作が繰り返されてカラー画像が形成されたシート部材Sが順次標準排紙トレイに排紙される。
【0033】
これが図4の動作シーケンスに従った画像形成装置の動作概要であるが、このような動作と副走査方向におけるレジストズレ量との関係について調べると、1枚目と2枚目以降とで異なる結果が得られた。このような相違点は動作シーケンスの相違に起因するものであり、以下、1枚目の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第1印字シーケンス」という)と、2枚目以降の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第2印字シーケンス」という)とに分けて説明する。また、この種の装置では、空転処理に伴う第3印字シーケンスが存在するため、これについても併せて説明する。
【0034】
A−3−1.第1印字シーケンス
まず、装置電源が投入される(あるいは画像形成装置のスリープモードが解除される)と、中間転写ドラム41Dが回転駆動されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT3で順次出力されるが、最初のタイミングVT1に対応してイエロートナー像Y1が中間転写ドラム41D上に一次転写され、またタイミングVT2に対応してシアントナー像C1がイエロートナー像Y1に重ねて中間転写ドラム41D上に一次転写され、さらにタイミングVT3に対応してマゼンタトナー像M1がイエロートナー像Y1およびシアントナー像C1に重ねて中間転写ドラム41D上に一次転写される。この間、中間転写ドラム41Dのクリーニング処理および二次転写処理は行われず、当接手段(二次転写ローラ48およびクリーニング部49)は中間転写ドラム41Dから離間している。このため、これら3つのトナー像Y1,C1,M1は、いずれも中間転写ドラム41D上の同一位置に重ね合わされ、副走査方向において正確にレジストされる。つまり、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。
【0035】
次に、タイミングVT4で垂直同期信号VSYNCが出力されると、図5に示すように、所定時間T10後に露光ユニット3にVIDEO信号が与えられてブラックトナー像K1に相当する静電潜像を他のトナー色と同様に所定の基準潜像形成位置に形成しながら、ブラック用現像器23Kによってトナー現像する。そして、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT4)から一定時間T20経過した時点より一次転写処理を開始する。この時点では、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1の場合と同様に、クリーニング部49は中間転写ドラム41Dから離間しており、その結果、ブラックトナー像K1の転写開始位置も他のトナー像Y1,C1,M1と同様に基準転写開始位置に一致している。そして、離間継続中においては中間転写ドラム41Dの表面速度Vは一定であり、ブラックトナー像K1は既に一次転写されている他のトナー像Y1,C1,M1と正確にレジストされながら、重ね合わされていく。
【0036】
しかしながら、ブラックトナー像K1の一次転写後半に差し掛ったある時点、つまりタイミングt1で、クリーニング部49の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれてしまう。すなわち、タイミングt1でクリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接し、中間転写ドラム41Dの搬送負荷として作用し、中間転写ドラム41Dに回転駆動力を与える動力伝達部材91(図29)が弾性変形し、瞬間的に副走査方向に伸びA27が生じる。その結果、(−)方向にレジストズレ量A27だけレジストズレが生じる。
【0037】
また、タイミングt1以降、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまでクリーニング部49は中間転写ドラム41Dに当接した状態に維持されて中間転写ドラム41Dのクリーニング処理を実行するのであるが、ブラックトナー像K1の一次転写処理はタイミングt2までその当接状態のまま継続される。その結果、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、ズレ量(−A27)となり、ブラックトナー像K1の転写後端位置は基準転写後端位置から(−)方向にズレ量A27だけずれる。ただし、図5(および後で説明するレジストズレ状況を示す図)において、太実線は対応トナー色のトナー像についてのレジストズレを示す一方、太破線はレジストズレ発生状況の理解を助けるための補助線である。
【0038】
このように、1枚目のカラー画像については、後半部分でブラックトナー像K1のみが他のトナー像Y1,C1,M1からずれ、特にカラー画像の最後尾部分ではレジストズレ量(−A27)だけずれてしまう。より詳しくは、図5に示すように、1枚目のブラックトナー像については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A27/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。なお、クリーニング部49の当接前に二次転写ローラ48も中間転写ドラム41Dに当接して同様のレジストズレが発生するのであるが、それに対応するレジストズレ量はクリーニング部49のそれに比べて小さく、発明の基本原理の理解を容易にするため、ここでは中間転写ドラム41Dに対する二次転写ローラ48の離当接によるレジストズレを無視して説明する。
【0039】
A−3−2.第2印字シーケンス
このようなレジストズレは1枚目のみに生じるものではなく、2枚目のカラー画像においても現れる。すなわち、2枚目のイエロートナー像Y2を形成するために、図6に示すように、タイミングVT5で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのイエロートナー像Y2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、イエロートナー像Y2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、イエロー用現像器23Yによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT5)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt3より一次転写処理を開始する。
【0040】
ところが、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT5からしばらくすると、上記したようにタイミングt1でクリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接し、動力伝達部材91の弾性変形によって副走査方向に瞬間伸びA27が生じる。しかも、その当接状態が後述するように次にCB信号がHレベルに立ち上がるまで継続されるため、一次転写開始タイミングt3では、副走査方向におけるレジストズレ量は、ズレ量(−A27)となる。
【0041】
また、中間転写ドラム41Dが約1周分だけクリーニング部49を通過すると、ドラム全周がクリーニングされてクリーニング処理が完了するので、タイミングt4でCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がり、クリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間する。したがって、当接時とは逆に、中間転写ドラム41Dに与えられていた負荷が解放されるため、動力伝達部材91は元の状態に戻り、副走査方向におけるレジストズレ量はゼロとなる。
【0042】
このように、2枚目のカラー画像については、イエロートナー像Y2の転写開始位置が基準転写開始位置から大きくずれてしまう。しかも、一次転写の進行中、ズレ量は一定であるが、一次転写中にタイミングt4でクリーニング部49が離間すると、今度は逆にレジストズレ量はゼロに戻る。すなわち、図6に示すように、2枚目のイエロートナー像Y2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC2を中心として副走査方向の(+)および(−)方向のそれぞれにズレ量(A27/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0043】
また、イエロートナー像Y2に続いて形成されるシアントナー像C2についても、クリーニング部49の離当接による影響を受けて転写開始位置が基準転写開始位置からずれてしまう。この現象について、図7を参照しつつ説明する。
【0044】
2枚目のシアントナー像C2を形成するために、タイミングVT6で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのシアントナー像C2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、シアントナー像C2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、シアン用現像器23Cによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT6)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt5より一次転写処理を開始する。
【0045】
ここでは、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT6時点では、上記したようにクリーニング部49は中間転写ドラム41Dに当接しており、タイミングt4(CB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がる)でクリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間する。すると、上記したように、今度は当接時とは逆に、中間転写ドラム41Dに与えられていた負荷が解放されて動力伝達部材91は元の状態に戻り、副走査方向におけるレジストズレ量はレジスト量A27だけ(+)方向に増える。そして、それ以降は、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまで離間状態に保たれる。その結果、シアントナー像C2の一次転写開始時点(タイミングt5)では、副走査方向におけるレジストズレ量は、ズレ量(+A27)となる。
【0046】
このように、2枚目のシアントナー像C2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC3を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC3自体が副走査方向(+)にズレ量A27だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。すなわち、4色のトナー色のうち第2番目のトナー色については、その一次転写処理中に当接手段(二次転写ローラ48やクリーニング部49)は中間転写ドラム41Dに対して離当接していないにもかかわらず、レジストズレが発生している。したがって、レジストズレを抑えて高品質のカラー画像を形成するためには、第2番目のトナー色において発生するレジストズレを如何に抑制するかが重要となってくる。
【0047】
上記のようにしてシアントナー像C2の一次転写が完了すると、次にマゼンタトナー像M2のトナー像形成および一次転写処理を行うのであるが、その処理の間、クリーニング部49は中間転写ドラム41Dから離間した状態のままであるため、1枚目と同様に副走査方向におけるレジストズレは発生せず、ズレ量はゼロとなる。したがって、マゼンタトナー像M2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、レジストズレ量がゼロの軸(図5、図6などにおける1点鎖線AC0)を振れ幅中心とし、その振幅量もゼロとなっている。このことから、図4に示す動作シーケンスで画像形成を行う画像形成装置では、マゼンタトナー像を基準トナー像とし、その転写開始位置および転写後端位置を、それぞれ「基準転写開始位置」および「基準転写後端位置」とすることができる。
【0048】
また、マゼンタトナー像M2の一次転写が完了すると、2枚目のブラックトナー像の像形成および一次転写処理を行うのであるが、この場合、1枚目と同様に一次転写途中でクリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接し、動力伝達部材91の弾性変形によって副走査方向に瞬間伸びA27が生じて副走査方向において(−)方向にレジストズレが発生する。なお、動作シーケンスに対するレジストズレ量の変化を示すプロファイル(以下においては、単に「プロファイル」と称する)は図5と同一であり、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A27/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0049】
さらに、2枚目のカラー画像に続いて、3枚目以降のカラー画像を連続的に形成する場合、上記した2枚目と同様のレジストズレが発生する。
【0050】
A−3−3.第3印字シーケンス
さらに、この種の画像形成装置では、中間転写ドラム41Dを空転させることがある。例えばホストコンピュータなどの外部装置からの画像信号の間隔が一定以上あくと、中間転写ドラム41Dを空転させるが、2回以上空転させる必要がある場合には、一旦装置を止めてしまう。このとき、クリーニング部49は中間転写ドラム41Dに当接状態となっている。そして、新たに画像形成を開始する場合には、中間転写ドラム41Dが回転駆動されて画像形成が開始されるが、最初のイエロートナー像を一次転写する際、図7に示す2枚目以降のシアントナー像の場合と同様のレジストズレが発生する。
【0051】
すなわち、図8に示すように、画像形成が再開されて中間転写ドラム41Dが回転駆動されると、垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT01で出力され、そのタイミングVT01から一定時間A14後にクリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間した後、イエロートナー像の一次転写が開始される。そのため、上記「A−3−2.第2印字シーケンス」のシアントナー像C2の場合と同様の理由により、転写開始位置が(+)方向にズレ量A27だけずれる。つまり、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC4を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC4自体が副走査方向(+)にズレ量A27だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。
【0052】
そして、続くシアンおよびマゼンタトナー像の一次転写はクリーニング部49が常時中間転写ドラム41Dから離間した状態で実行されるため、レジストズレは発生しないが、最後のブラックトナー像については、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に一次転写している最中にクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接して(−)方向にズレ量A27のレジストズレが発生する。
【0053】
以上のように、像形成・転写処理を繰り返している間に、クリーニング部49などの当接手段が中間転写ドラム41Dに離当接すると、離当接タイミングに応じて所定のレジストズレ量が発生する。このプロファイル自体は装置構成や動作条件などによって決まる固有のものであり、装置構成や動作シーケンスを変更しない限り当該プロファイル自体は変化しないが、レジストズレ量に基づき少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を副走査方向に移動させることで基準トナー像に対するレジストズレをゼロまたは抑制することができる。例えばシアントナー像C2については、図7に示すように、シアントナー像C2の転写開始位置が基準転写開始位置に対して(+)方向にズレ量A27となっており、それ以降ではレジストズレ量の増減が見られないため、シアントナー像C2の転写開始位置がレジストズレ量A27だけ(−)方向にずれるように制御することによって、レジストズレ量をゼロにすることができる。
【0054】
したがって、この実施形態では、上記したように実際の画像形成処理に先立って、装置構成および動作シーケンス等から上記したと同様の解析を予め行ってレジストズレ量を導出し、そのレジストズレ量をゼロあるいは抑制するために必要なレジスト制御量(例えば、上記シアンの場合におけるA27に相当)を求めておき、実際の画像形成処理においてはレジスト制御量に基づき少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を副走査方向に補正することによって、レジストズレを抑制し、高品質な画像を形成することができる。例えば、基準トナー色(マゼンタ)以外のトナー色(Y,C,K)の振れ幅中心AC1〜AC4を基準トナー色の振れ幅中心AC0と一致させることで、レジストズレを抑制し、高品質な画像を形成している。
【0055】
A−4.初期レジスト制御量の制定処理について
図9は、初期レジスト制御量を自動的に制定する処理(レジスト制御量制定処理)を示すフローチャートである。まず、実施形態にかかる画像形成装置の装置構成および動作シーケンスに基づきプロセス速度(中間転写ドラム41Dの周速)A2を予め設定し、メモリ125に記憶させておく。そして、図10に示すように、VSYNC信号を基準として、
(a)クリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dから離間し続ける周期T1a、
(b)離間しているクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接する周期T1b、および
(c)クリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dから離間する周期T1c
を1ジョブとするレジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を、所定回数、例えば20回繰り返す(ステップS12)。
【0056】
また、この実施形態では、レジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を繰り返して実行している間、刻々と得られる周期データ(周期T1a〜T1c)をメモリ125に記憶していく。また、その間、帯電バイアスおよび一次転写バイアスについては常時ON状態に設定されている。また、図1への図示を省略しているが、一次転写領域TR1と感光体用クリーナブレード24との間に除電ランプが設けられており、この除電ランプも常時ON状態に設定されている。さらに、二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接している間、二次転写バイアスを与えて実印字に近い状態で初期レジスト制御量を求めている。
【0057】
こうして、各周期T1a〜T1cについて、それぞれ20個の実測値が得られると、その周期データをメモリ125から読み出し、これらの平均値T1a(av)〜T1c(av)をそれぞれ演算する(ステップS13)。さらに、初期レジスト制御量Ra,Rb,Rcをそれぞれ以下の数式に基づき演算によって求める(ステップS14)。なお、その理由について、それぞれ分けて説明する。
【0058】
<初期レジスト制御量Raについて>
例えば図5に示すように、ブラックトナー像K1を中間転写ドラム41Dに一次転写している最中に、クリーニング部49の当接が開始される。その当接の瞬間に負荷変動が生じ、中間転写ドラム41Dに回転駆動力を与える動力伝達部材91(図29)が弾性変形し、瞬間的に副走査方向に伸びA27が生じる。この伸び量A27については、周期T1a,T1bを比較することで求めることができる。すなわち、瞬間伸びA27は、次式
A27=(T1b(av)−T1a(av))×A2×1000
で求めることができる。
【0059】
したがって、この半分の値だけ予め転写開始位置を副走査方向にずらしておくことでブラックトナー像K1のレジストズレを最小限に抑えることができる。そこで、この実施形態では、初期レジスト制御量Raを、
Ra=A27/2
に設定している。
【0060】
<初期レジスト制御量Rbについて>
イエロートナー像Y2やブラックトナー像K2などについても全く同様であり、初期レジスト制御量Rbを、
Rb=A27/2(=Ra)
に設定している。
【0061】
<初期レジスト制御量Rcについて>
一方、シアントナー像C2やイエロートナー像Ynなどについては、上記したように一次転写開始時点で、レジストズレ量A27が生じているが、一次転写をしている間では、副走査方向におけるズレは発生しない。そこで、この実施形態では、この値(レジストズレ量A27)だけ予め副走査方向の(−)方向にずらしておくことでシアントナー像C2やイエロートナー像Ynなどのレジストズレをゼロに抑えることができるため、初期レジスト制御量Rcを、
Rc=−A27
に設定している。
【0062】
なお、この第1実施形態では、(a)クリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dから離間し続ける周期T1aを定常周期として測定するとともに、(b)離間しているクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接する周期T1bを離当接周期として測定し、これらの相違量から各レジスト制御量Ra,Rb,Rcを求めているが、次のようにして各レジスト制御量Ra,Rb,Rcを求めるようにしてもよい。すなわち、(c)クリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dから離間する周期T1cを離当接周期として測定し、周期T1aとの相違量から各レジスト制御量Ra,Rb,Rcを求めてもよい。
【0063】
また、周期T1aの代わりに、(d)クリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接し続ける周期T1dを定常周期として求め、この周期T1dと、離当接周期T1bまたはT1cとの相違量から各レジスト制御量Ra,Rb,Rcを求めてもよい。
【0064】
以上のように、このレジスト制御量制定処理においては、カラー画像を形成するための印字シーケンス(図1)と異なる専用シーケンス(図9)で行っているので、高精度なレジスト制御を行う上で欠くことのできないレジスト制御量Ra,Rb,Rcを正確に求めることができる。なお、この作用効果、ならびに次に説明する種々の作用効果については、後の第2実施形態においても同様に発揮されるものである。
【0065】
この実施形態では、中間転写ドラム41Dが1周するたびに基準信号たる垂直同期信号VSYNCが1回出力されるように構成されているが、例えば中間転写ドラム41Dに複数の基準位置が設けられており、中間転写ドラム41Dが1周する間に基準信号が複数回出力される場合にも本発明を適用することができることはいうまでもない。特に、この場合、上記各周期を短く設定することができ、初期レジスト制御量の制定処理にかかる時間を短縮することができる。
【0066】
また、この初期レジスト制御量の制定処理(レジスト制御量制定処理)においては、二次転写ローラ48を中間転写ドラム41Dに当接している間、二次転写バイアスを与えているが、これは初期レジスト制御量を制定する上で必須の要件ではなく、二次転写バイアスを与えない、あるいは二次転写バイアスと逆極性のバイアスを与えるようにしてもよく、それぞれの場合で以下のような効果が得られる。すなわち、二次転写バイアスを与えない場合には、初期レジスト制御量の制定処理を簡素化することができる。また、二次転写バイアスを与えた場合には、二次転写ローラ48によって中間転写ドラム41Dや感光体/転写媒体駆動部41aに対して与える負荷が実印字状態に近づき、初期レジスト制御量を正確に求めることができる。さらに、逆極性のバイアスを与える場合には、二次転写ローラ48に付着したトナーを中間転写ドラム41D側に戻して二次転写ローラ48をクリーニングして二次転写ローラ48によるシートの裏汚れを防いで、良好な印字結果を得ることができる。
【0067】
また、上記した初期レジスト制御量の制定処理では、一次転写バイアスを中間転写ドラム41Dに与えて実印字に近い状態で初期レジスト制御量を求めているため、初期レジスト制御量を正確に求めることができる。
【0068】
さらに、上記した初期レジスト制御量の制定処理では、駆動開始からレジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を20回繰り返し(ステップS12)、周期T1a〜T1cの実測値をそれぞれ20個ずつ測定し、これらの実測値に基づき初期レジスト制御量を求めている。しかしながら、駆動開始直後において、中間転写ドラム41Dの回転搬送が安定していないことがあり、このような状態で実測した周期T1a〜T1cに基づき初期レジスト制御量を求めたのでは、初期レジスト制御量の精度が低下してしまうおそれがある。そこで、このような問題を解消するためには、駆動開始から所定回数だけ中間転写ドラム41Dが回転搬送され、その動作が安定した後で、各周期T1a〜T1cを実測し、それらの実測値に基づき初期レジスト制御量を求めるようにすればよく、こうすることで、初期レジスト制御量を精度良く求めることができる。
【0069】
A−5.シーケンスフラグの更新について
図11は、図3のシーケンスフラグの更新内容を示すフローチャートである。このシーケンスフラグの更新処理では、まず印字内容が1枚目のカラー印字であるか否かを判断する(ステップS41)。そして、1枚目であると判断した場合、つまり第1印字シーケンスが実行されることを検出すると、シーケンスフラグF0を設定する(ステップS42)。一方、ステップS41で、2枚目以降であると判断した場合には、ステップS43に進んで、空転処理が行われているか否かを判断する。
【0070】
空転処理が行われていない、つまり連続印字の場合には、第2印字シーケンスが実行されることから、シーケンスフラグF1を設定する(ステップS44)。一方、空転処理が行われている場合、第3印字シーケンスが実行されることから、シーケンスフラグF2を設定する(ステップS45)。
【0071】
以上のようにして、シーケンスフラグ更新処理(ステップS4)によって印字シーケンスが検出され、それに対応するシーケンスフラグが設定・更新されるが、各シーケンスフラグF0,F1,F2は上記レジスト制御量と以下のような関連付けがなされている。
【0072】
<シーケンスフラグF0:第1印字シーケンス>
第1印字シーケンスは、図11に示したように1枚目のカラー印字、つまり電源投入やスリープモード解除の後に行う1枚目のカラー画像を形成する場合のものである。このように電源投入時点やスリープモード解除時点では、中間転写ドラム41Dにトナーは残留しておらず、そのまま像形成・転写処理を実行することができるため、1枚目のカラー画像形成におけるイエロー、シアン、マゼンタの各トナー像を一次転写する間、クリーニング部49も二次転写ローラ48も中間転写ドラム41Dから離間しており、これらの一次転写を行っている際には、レジストズレは発生しない。これに対し、図5を用いて詳述したようにブラックトナー像を一次転写している最中にはクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接してレジストズレが発生する。
【0073】
そこで、第1印字シーケンスでは、フラグF0が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF0に対応してイエロートナー像Y1、シアントナー像C1、マゼンタトナー像M1のレジスト制御量として「0」が設定される一方、ブラックトナー像K1のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0074】
【表1】
【0075】
<シーケンスフラグF1:第2印字シーケンス>
第2印字シーケンスは、図11に示したように2枚目以降のカラー印字を連続して行う場合のものである。このように2枚目以降では、図6を用いて詳述したようにイエロートナー像の転写開始位置が副走査方向にずれ、また一次転写中においてもクリーニング部49などの中間転写ドラム41Dへの離当接によってレジストズレ量が変化する。シアントナー像の像形成・転写中にも、図7を用いて説明したように、転写開始位置が副走査方向にずれる。しかも、ブラックトナー像についても、1枚目と同様に、一次転写している最中にクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接してレジストズレが発生する。
【0076】
そこで、第2印字シーケンスでは、フラグF1が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF1に対応してイエロートナー像Y2のレジスト制御量として制御量Rbが設定され、シアントナー像C2のレジスト制御量として制御量Rcが設定され、マゼンタトナー像M2のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像K2のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0077】
<シーケンスフラグF2:第3印字シーケンス>
第3印字シーケンスは、図11に示したように2枚目以降のカラー印字であるが、その直前に空転処理が行われた場合のものである。このように空転処理が存在する場合、次のn枚目(n≧2)の画像形成を開始すると、すでに説明したように、垂直同期信号VSYNCが出力されてイエロー用の像形成・転写処理が開始された後で、しかもイエロートナー像を一次転写する前に、クリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間し、転写開始位置が副走査方向にずれる(図8)。そして、続くシアンおよびマゼンタトナー像の像形成・転写処理は常時クリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間した状態で実行されるため、レジストズレは発生しないが、最後のブラックトナー像については、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に一次転写している最中にクリーニング部49および二次転写ローラ48が中間転写ドラム41Dに当接してレジストズレが発生する。
【0078】
そこで、この印字シーケンスでは、フラグF2が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF2に対応してイエロートナー像のレジスト制御量として制御量Rcが設定され、シアントナー像およびマゼンタトナー像のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0079】
A−6.転写開始位置の補正について
実際に、1枚目からカラー画像を順次印字する場合、以下のようにして転写開始位置が補正されてレジストズレが抑制される。1枚目のカラー画像を印字する場合には、図3のステップS4で第1印字シーケンスに対応するシーケンスフラグF0が設定されるため、図3のステップS5でイエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1のレジスト制御量として「0」がそれぞれ設定される一方、ブラックトナー像K1のレジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定される。したがって、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1はすべて感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ドラム41Dに対しても同一位置で一次転写される。その結果、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。
【0080】
一方、ブラックトナー像K1については、レジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定されていることから、図12に示すように、タイミングVT4で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してブラックトナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対し副走査方向の(+)側に制御量Ra(=A27/2)だけシフト移動させる。ここで、「加減速可能期間」とは、VIDEO信号がHレベルにあり、露光処理が停止している間の期間をいう。また、この加減速可能期間T11においては、1つ前のトナー像(マゼンタトナー像M1)の一次転写処理を継続中であるが、この実施形態では中間転写ドラム41Dは感光体21と同期して駆動制御されるため、感光体21および中間転写ドラム41Dの加減速制御と並行して一次転写されるトナー像に乱れは生じない。
【0081】
上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Kで顕在化し、そのブラックトナー像K1を中間転写ドラム41D上に一次転写する。その結果、ブラックトナー像K1の転写開始位置は基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけずれる。
【0082】
そして、図12に示すように、この一次転写処理が進行し、その後半部分に差し掛ったタイミングt1で、クリーニング部49の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれるが、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、(−)方向にズレ量(A27/2)となる。つまり、ブラックトナー像K1の転写開始位置を基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけ移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させており、こうすることで、すべてのトナー色について像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致している。
【0083】
この結果、この実施形態では、ブラックトナー像K1は他のトナー像Y1,C1,M1に対して転写開始側で(+)方向に(A27/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A27/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図5)の半分になる。
【0084】
次に、1枚目のカラー画像形成に続いて2枚目のカラー画像を形成する場合(第2印字シーケンス)では、図3のステップS4でシーケンスフラグとしてフラグF1が設定された後、以下のようにして、レジストズレを抑えて高品質な画像形成が可能となる。
【0085】
すなわち、ステップS5でそのシーケンスフラグF1に対応するレジスト制御量が設定される。つまり、イエロートナー像Y2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rb(=A27/2)が設定され、シアントナー像C2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rc(=−A27)が設定され、マゼンタトナー像M2のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像K2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Ra(=A27/2)が設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0086】
まず、イエロートナー像Y2については、レジスト制御量として初期レジスト制御量Rbが設定されていることから、図13に示すように、タイミングVT5で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してイエロートナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向の(+)側に制御量Rb(=A27/2)だけシフト移動させる。そして、この潜像を現像器23Yで顕在化する。
【0087】
そして、タイミングt1でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、離間していたクリーニング部49が中間転写ドラム41Dに当接すると、動力伝達部材91(図29)が弾性変形することによって伸びA27が発生し、一次転写開始タイミングt3では、副走査方向におけるレジストズレ量は、ズレ量(−A27/2)となる。そして、イエロートナー像Y2の一次転写後半でクリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間すると、逆に動力伝達部材91が元の状態に戻ってレジストズレが(+)方向に変化し、最終的にはイエロートナー像Y2の転写後端側でのズレ量は(+A27/2)となる。その結果、ブラックトナー像K1と同様に、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図6)の半分になり、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対する最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図6)に比べて大幅に縮小される。
【0088】
このように、この実施形態では、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Rbだけ基準潜像形成位置に対して副走査方向にシフト移動させることで2枚目のイエロートナー像Y2の転写開始位置を調整している。これにより、イエロー色についての振れ幅中心AC2を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量を振れ幅(A27/2)の範囲内に抑制することができる。
【0089】
イエロートナー像Y2に続いて、シアントナー像C2の像形成・転写処理が行われるが、このシアントナー像C2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rc(=−A27)が設定されている。そのため、図14に示すように、タイミングVT6で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の表面速度および中間転写ドラム41Dの表面速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転駆動する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ドラム41Dの搬送量をズレ量A27だけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rcだけシフト移動する。
【0090】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Cで顕在化し、そのシアントナー像C2を中間転写ドラム41D上に一次転写する。したがって、クリーニング部49の離当接によるレジストズレ量(A27)と、感光体21上でのトナー像C2のシフト量Rcとが一致してシアントナー像C2の転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0091】
また、シアントナー像C2の中間転写ドラム41Dへの一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、シアントナー像C2の転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0092】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ドラム41Dを加減速制御することで、シアン色についての振れ幅中心AC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0093】
シアントナー像C2に続いてマゼンタトナー像M2の像形成・転写処理が実行されるが、この像形成・転写処理においては、クリーニング部49および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、マゼンタトナー像M2の転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0094】
こうして、3色のトナー像Y2,C2,M2が完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像K2の像形成・転写処理が実行される。この像形成・転写処理では、1枚目のブラックトナー像K1の場合と同様に、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Raだけ副走査方向にシフト移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。
【0095】
したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A27/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A27/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図5)の半分になる。
【0096】
このように、2枚目についても、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとに対応するレジスト制御量に基づき感光体21の表面速度および中間転写ドラム41Dの表面速度を同期して加減速制御することでトナー像の転写開始位置を補正している。つまり、ここでは4色のトナー色のうちイエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の3色について各トナー像の転写開始位置をレジスト制御量に基づき補正している。その結果、シアントナー像C2を基準トナー像であるマゼンタトナー像M2に完全にレジストさせることができるとともに、イエロートナー像Y2およびブラックトナー像K2については基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0097】
また、シーケンスフラグF2が設定されている場合には、イエロートナー像Ynのレジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定され、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnのレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像Knのレジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0098】
まず、イエロートナー像Ynについては、レジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定されていることから、図15に示すように、タイミングVT01で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の表面速度および中間転写ドラム41Dの表面速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転駆動する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ドラム41Dの搬送量をズレ量A27だけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rc(=−A27)だけシフト移動する。
【0099】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Yで顕在化し、そのイエロートナー像Ynを中間転写ドラム41D上に一次転写する。したがって、クリーニング部49の離当接によるレジストズレ量(A27)と、感光体21上でのトナー像Ynのシフト量Rcとが一致してイエロートナー像Ynの転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0100】
また、イエロートナー像Ynの中間転写ドラム41Dへの一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーニング部49が中間転写ドラム41Dから離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、イエロートナー像Ynの転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0101】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ドラム41Dを加減速制御することで、イエロー色についての振れ幅中心AC4を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像Mn)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0102】
イエロートナー像Ynに続いて、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnの像形成・転写処理が順次行われるが、これらの像形成・転写処理においては、クリーニング部49および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、両トナー色についての振れ幅中心は相互に一致しており、両トナー像CnおよびMnの転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0103】
こうして、3色のトナー像Yn,Cn,Mnが完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像Knの像形成・転写処理が実行される。この像形成・転写処理では、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に、レジスト制御量Raに基づき感光体21および中間転写ドラム41Dを加減速制御することで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A27/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A27/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図5)の半分になる。
【0104】
このように、空転処理後のカラー印字についても、4色のトナー色のうちイエロー(Y)およびブラック(K)の2色について各トナー像の転写開始位置をレジスト制御量に基づき補正している。つまり、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとのレジスト制御量に基づき感光体21および中間転写ドラム41Dを加減速制御することで、トナー像の転写開始位置を補正している。その結果、イエロートナー像Yn、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像(基準トナー像)Mnを完全にレジストさせることができるとともに、ブラックトナー像Knについては基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0105】
A−7.作用効果について
以上のように、この第1実施形態によれば、次のような作用効果が得られる。まず第1に、像形成・転写処理の繰返し中に、転写媒体である中間転写ドラム41Dへの当接手段(二次転写ローラ48やクリーニング部49)の離当接を実行しているため、上記において説明したように動力伝達部材91の弾性変形を引き起こし、これがレジストズレの主要因となる。しかしながら、印字シーケンス状態に応じてレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求め、このレジスト制御量に基づき4色のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を補正することでレジストズレを最小限に抑えることができる。より具体的には、この実施形態では、ブラック、イエローおよびシアン色について、像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心AC1,AC2(またはAC4)およびAC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0に一致させることで、すべてのトナー色の間でのレジストズレを最小限に抑制して高品質なカラー画像が得られる。
【0106】
また、ズレ量を抑制するために動力伝達部材91を高剛性材料、例えば金属やセラミック材料などを用いて成形し、弾性変形を抑制することも考えられるが、これらの高剛性材料の精密加工により動力伝達部材91を製造した場合、当該部材のコストが大幅に増大し、延いては画像形成装置の製造コストを引き上げてしまう。また、既に設計・製造されている装置に対しては、そのまま適用できず、装置改良が必要となってしまう。これに対して、上記実施形態によれば、装置構成に依存せずにレジストズレを抑制し、画像品質を向上させることができ、より安価で汎用性の高い技術といえる。
【0107】
さらに、この種の画像形成装置は終日通電されているのではなく、1日の業務を開始する際に電源を投入し、また1日の業務が完了すると電源を落とすのが一般的な使用態様であり、装置電源の投入のたびに、レジスト制御量の制定処理(ステップS1)を実行してレジスト制御量Ra,Rb,Rcを自動的に求めており、画像形成装置を長期間使用したとしても、常に毎日最新かつ最適なレジスト制御量Ra,Rb,Rcでレジストズレを補正することができ、長期間に亘って安定して高品質のカラー画像が得られる。
【0108】
B.第2実施形態
上記第1実施形態にかかる画像形成装置は転写媒体として転写ドラムを採用した装置であるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、いわゆる転写ベルト方式の画像形成装置にも適用することができる。ただし、転写ベルト方式の画像形成装置では、転写ベルト自体が当接手段の離当接によって弾性変形するため、当然にレジストズレ量の変化を示すプロファイルも転写ドラム方式のそれと大きく相違している。そこで、転写ベルト方式の画像形成装置に本発明を適用した第2実施形態について、主として相違点を中心に以下詳述する。
【0109】
B−1.装置構成について
図16はこの発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。機械的構成について第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、転写ユニット4の具体的構成である。すなわち、第1実施形態では転写ドラム方式の転写ユニット4を採用しているのに対し、第2実施形態では転写ベルト方式の転写ユニット4が採用されている。その他の機械的構成(プロセスユニット2、露光ユニット3、定着ユニット5、給排紙ユニット6)はほぼ同一である。また、電気的構成についても、第1実施形態のそれ(図2)と同一である。
【0110】
この画像形成装置のプロセスユニット2では、第1実施形態と同様に、図16の矢印方向に回転可能な感光体21の周りにその回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ22、現像手段としての現像器23Y,23C,23M,23K、および感光体用クリーナブレード24がそれぞれ配置されている。そして、感光体21の外周面に向けて露光ユニット3からレーザ光Lが照射されて画像信号に対応する静電潜像が形成される。そして、こうして形成された静電潜像は現像部23によってトナー現像される。
【0111】
そして、現像部23で現像されたトナー像は、ブラック用現像器23Kと感光体用クリーナブレード24との間に位置する一次転写領域TR1で転写ユニット4の中間転写ベルト41B上に一次転写される。また、一次転写領域TR1から周方向(図1の矢印方向)に進んだ位置には、感光体用クリーナブレード24が配置されており、一次転写後に感光体21の外周面に残留付着しているトナーを掻き落とす。
【0112】
次に、転写ユニット4の構成について説明する。この実施形態では、転写ユニット4は、ローラ42〜47と、これら各ローラ42〜47に掛け渡された中間転写ベルト41Bと、この中間転写ベルト41Bに転写された中間トナー像をシート部材Sに二次転写する二次転写ローラ48と、感光体21および中間転写ベルト41Bを同期して回転駆動する感光体/転写媒体駆動部41a(図2)とを備えている。そして、カラー画像を印字する場合には、感光体21上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト41B上に重ね合わせてカラー像を形成するとともに、給排紙ユニット6の給紙部63によってカセット61、手差しトレイ62あるいは増設カセット(図示省略)からシート部材Sを取出して二次転写領域TR2に搬送する。さらに、このシート部材Sにカラー像を二次転写することでフルカラー画像を得ている。
【0113】
なお、二次転写後、中間転写ベルト41Bの外周面に残留付着しているトナーについては、クリーニング部49に設けられているクリーナブレード491によって除去される。すなわち、このクリーニング部49は、中間転写ベルト41Bを挟んでローラ46と対向して配置されており、後述するタイミングでクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに対して当接してその外周面に残留付着しているトナーを掻き落す。
【0114】
また、ローラ43の近傍には、中間転写ベルト41Bの基準位置を検出するためのセンサ40が配置されており、主走査方向とほぼ直交する副走査方向における同期信号、つまり垂直同期信号VSYNCを得るための垂直同期用読取センサとして機能する。
【0115】
上記のようにして転写ユニット4によってトナー像が転写されたシート部材Sは、給排紙ユニット6の給紙部63によって所定の給紙経路(2点鎖線)に沿って二次転写領域TR2の下流側に配設された定着ユニット5に搬送され、シート部材S上のトナー像をシート部材Sに定着する。そして、当該シート部材Sはさらに給紙経路に沿って排紙部64に搬送された後、標準排紙トレイに排紙される。
【0116】
B-2.基本動作について
上記のような画像形成装置では、像形成・転写処理を繰り返している際に、二次転写ローラ48やクリーナブレード491などの当接手段が中間転写ベルト41Bに一時的に当接すると、種々のレジストズレが発生する。ただし、この実施形態では、動力伝達部材91のみならず、転写ユニット4の一構成要素たる中間転写ベルト41Bも負荷変動に応じて弾性変形するため、第1実施形態よりも複雑な要素が絡み合っている。そこで、この実施形態では、後の「B−3.レジストズレの発生要因の解析について」の項で説明するようにレジストズレの発生要因について詳しく解析した。そして、この解析結果に基づきレジストズレ量を求めた後、レジスト制御量だけ転写開始位置を補正することでレジストズレを抑制して画像品質を向上させている。その基本動作については、第1実施形態のそれ(図2)と同一であるため、ここでは動作フローの図示は省略し、図2を参照しながら詳述する。
【0117】
この画像形成装置では、装置電源が投入されると、実際の画像形成処理に先立って、レジスト制御量制定処理(ステップS1)を実行して3種類のレジスト制御量Ra,Rb,Rcを自動的に制定し、これらを初期レジスト制御量として記憶部たるメモリ125に記憶する。ここで、各レジスト制御量Ra,Rb,Rcの技術的意味は第1実施形態と同一であるが、レジストズレの発生要因が第1実施形態と相違するため、各レジスト制御量Ra,Rb,Rcの値は後の「B−4.初期レジスト制御量の制定処理について」の項で詳述するように第1実施形態のそれらと大きく相違する。なお、このレジスト制御量の自動制定動作(ステップS1)の詳細については、後の「B−4.初期レジスト制御量の制定処理について」の項で詳述する。
【0118】
こうして初期レジスト制御量Ra〜Rcの制定(ステップS1)が完了すると、ホストコンピュータなどの外部装置からの画像信号、つまり印字要求を待つ(ステップS2)。そして、印字要求があると、その印字モードがモノクロ印字か、カラー印字であるかを判断し(ステップS3)、モノクロ印字と判断した場合には、レジスト制御することなく、通常の画像形成処理を実行してステップS2に戻る。一方、ステップS3でカラー印字であると判断した場合には、先に「A−5.シーケンスフラグの更新について」の項で詳述したようにして、3つのシーケンスフラグF0,F1,F2のうちから印字シーケンス状態に応じたシーケンスフラグを選択的に設定する(ステップS4)。
【0119】
そして、そのシーケンスフラグに応じたレジスト制御量を設定した(ステップS5)後、各トナー像についての像形成・転写処理にあたって、感光体21を所定の加減速可能期間の間に加減速制御して潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量だけシフト移動させる(ステップS6)。これによって一次転写される中間転写ベルト41B上でのトナー像の転写位置も副走査方向にレジスト制御量だけ移動する。こうして、転写開始位置を補正してレジストズレを抑制する。なお、この詳細については、後の「B−5.転写開始位置の補正について」の項で詳細に説明する。
【0120】
このようにしてレジスト制御量に基づきレジストズレを抑制しながら、カラー画像の形成が完了すると、ステップS7で印字を終了したか否かを判断し、印字終了と判断した場合には、ステップS2に戻り、次の印字要求を待つ。一方、印字が終了していないと判断した場合には、ステップS3に戻り、上記と同様の処理を繰り返す。
【0121】
B-3.レジストズレの発生要因の解析について
ここでは、転写開始位置の補正を全く行わずに図16の画像形成装置を図4に示す動作シーケンスで動作させた場合のレジストズレの発生状況について、図4、図17ないし図21を参照しつつ詳述する。
【0122】
この第2実施形態にかかる画像形成装置は、第1実施形態のそれと同一シーケンスで動作する。つまり図4に示すように、装置電源が投入された後、あるいは画像形成装置のスリープモードが解除されると、中間転写ベルト41Bが回転駆動されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCが間欠的に出力される。そして、垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT7,…で出力されるごとに、一定時間をおいてイエロー静電潜像、シアン静電潜像、マゼンタ静電潜像およびブラック静電潜像がこの順序で繰り返して感光体21上に形成される。静電潜像が形成された後、現像器23Y,23C,23M,23Kのうちの一の現像器が選択的に感光体21に当接して感光体21上の静電潜像を顕在化し、そのトナー像を中間転写ベルト41B上に一次転写する。したがって、各色のトナー像はすべて感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ベルト41Bに対しても同一位置で一次転写される(各トナー色についての像形成・転写処理)。
【0123】
そして、上記像形成・転写処理を4色分繰り返すと、4色のトナー像が中間転写ベルト41B上で重ね合わせてカラー画像が形成される。こうしてカラー画像が得られると、二次転写ローラ48がシート部材Sを挟んで中間転写ベルト41Bに当接してシート部材Sにカラー画像を二次転写するとともに、CB信号に応じてクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接して当該ベルト表面に残存しているトナーが除去される。このような動作が繰り返されてカラー画像が形成されたシート部材Sが順次標準排紙トレイに排紙される。
【0124】
これが図4の動作シーケンスに従った画像形成装置の動作概要であるが、このような動作と副走査方向におけるレジストズレ量との関係について調べると、1枚目と2枚目以降とで異なる結果が得られた。このような相違点は動作シーケンスの相違に起因するものであり、以下、1枚目の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第1印字シーケンス」という)と、2枚目以降の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第2印字シーケンス」という)とに分けて説明する。また、この種の装置では、空転処理に伴う第3印字シーケンスが存在するため、これについても併せて説明する。
【0125】
B−3−1.第1印字シーケンス
まず、装置電源が投入される(あるいは画像形成装置のスリープモードが解除される)と、中間転写ベルト41Bが回転駆動されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT3で順次出力されるが、最初のタイミングVT1に対応して上記のようにしてイエロートナー像Y1が中間転写ベルト41B上に一次転写され、またタイミングVT2に対応してシアントナー像C1がイエロートナー像Y1に重ねて中間転写ベルト41B上に一次転写され、さらにタイミングVT3に対応してマゼンタトナー像M1がイエロートナー像Y1およびシアントナー像C1に重ねて中間転写ベルト41B上に一次転写される。この間、中間転写ベルト41Bのクリーニング処理および二次転写処理は行われず、当接手段(二次転写ローラ48およびクリーナブレード491)は中間転写ベルト41Bから離間している。
【0126】
このため、これら3つのトナー像Y1,C1,M1は、いずれも中間転写ベルト41B上の同一位置に重ね合わされ、副走査方向において正確にレジストされる。つまり、図17に示すように、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。なお、同図(および後で説明する図24)中の1点鎖線は各トナー像が転写される一次転写位置を示しており、実際の一次転写処理ではこの1点鎖線部分で各トナー像が順番に重ね合わされるが、ここでは説明の便宜から、各トナー像を上下方向に離間して図示している。
【0127】
次に、タイミングVT4で垂直同期信号VSYNCが出力されると、図18に示すように、所定時間T10後に露光ユニット3にVIDEO信号が与えられてブラックトナー像K1に相当する静電潜像を他のトナー色と同様に所定の基準潜像形成位置に形成しながら、ブラック用現像器23Kによってトナー現像する。そして、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT4)から一定時間T20経過した時点より一次転写処理を開始する。この時点では、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1の場合と同様に、クリーナブレード491は中間転写ベルト41Bから離間しており、その結果、図17に示すように、ブラックトナー像K1の転写開始位置も他のトナー像Y1,C1,M1と同様に基準転写開始位置に一致している。そして、離間継続中においては中間転写ベルト41Bの表面速度Vは一定であり、ブラックトナー像K1は既に一次転写されている他のトナー像Y1,C1,M1と正確にレジストされながら、重ね合わされていく。
【0128】
しかしながら、ブラックトナー像K1の一次転写後半に差し掛ったある時点、つまりタイミングt1で、クリーナブレード491の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれてしまう。すなわち、タイミングt1でクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接し、中間転写ベルト41Bの搬送負荷として作用し、中間転写ベルト41Bについて副走査方向に瞬間伸びが生じる。また、併せて中間転写ベルト41Bに動力を伝達する動力伝達部材91(図29)も同様に弾性変形をおこす。その結果、(−)方向にレジストズレ量A27だけレジストズレが生じる。
【0129】
また、タイミングt1以降、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまでクリーナブレード491は中間転写ベルト41Bに当接した状態に維持されて中間転写ベルト41Bのクリーニング処理を実行するのであるが、ブラックトナー像K1の一次転写処理はタイミングt2までその当接状態のまま継続される。その結果、レジストズレはさらに大きくなり、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、
A32=A27+A6
となり、図17に示すように、ブラックトナー像K1の転写後端位置は基準転写後端位置から(−)方向にズレ量A32だけずれる。ただし、符号A6はタイミングt1からタイミングt2までの間(つまり時間A7)、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接し続けていることによって生じたベルト伸びに相当する。
【0130】
このように、1枚目のカラー画像については、図17に示すように、後半部分でブラックトナー像K1のみが他のトナー像Y1,C1,M1からずれ、特にカラー画像の最後尾部分ではレジストズレ量A32だけずれてしまう。より詳しくは、図18に示すように、1枚目のブラックトナー像については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A32/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。なお、クリーナブレード491の当接前に二次転写ローラ48も中間転写ベルト41Bに当接して同様のレジストズレが発生するのであるが、それに対応するレジストズレ量はクリーナブレード491のそれに比べて小さく、発明の基本原理の理解を容易にするため、ここでは中間転写ベルト41Bに対する二次転写ローラ48の離当接によるレジストズレを無視して説明する。
【0131】
B−3−2.第2印字シーケンス
このようなレジストズレは1枚目のみに生じるものではなく、2枚目のカラー画像においても現れる。すなわち、2枚目のイエロートナー像Y2を形成するために、図19に示すように、タイミングVT5で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのイエロートナー像Y2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、イエロートナー像Y2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、イエロー用現像器23Yによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT5)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt3より一次転写処理を開始する。
【0132】
ところが、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT5からしばらくすると、上記したようにタイミングt1でクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接して副走査方向における中間転写ベルト41Bの瞬間伸びおよび動力伝達部材91(図29)の弾性変形によるレジストズレ量A27が生じる。しかも、その当接状態が後述するように次にCB信号がHレベルに立ち上がるまで継続されるため、副走査方向への伸びが時間経過ととも増大する。そして、一次転写開始タイミングt3では、副走査方向におけるレジストズレ量A30は、
A30=A27+A9
となる。ただし、符号A9はタイミングt1からタイミングt3までの間(つまり時間A10)、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接し続けていることによって生じたベルト伸びに相当する。
【0133】
また、中間転写ベルト41Bが約1周分だけクリーニング部49を通過すると、ベルト全体がクリーニングされてクリーニング処理が完了するので、タイミングt4でCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間する。一次転写開始タイミングt3からクリーナブレード491の離間タイミングt4までの間、クリーナブレード491は中間転写ベルト41Bに当接し続けており、その間A12(=t4−t3)に中間転写ベルト41Bは副走査方向に伸び量A11だけ伸びてレジストズレがさらに増大し、タイミングt4直前でのレジストズレ量は(−)方向にズレ量A35になる。
【0134】
一方、このタイミングt4では、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間する。したがって、中間転写ベルト41Bに与えられていた負荷が解放されるため、当接時とは逆に中間転写ベルト41Bは縮むとともに、弾性変形していた動力伝達部材(ギヤやベルトなど)91が元の状態に戻り、あわせて副走査方向におけるレジストズレ量はA26だけ減少する。このように、2枚目のカラー画像については、イエロートナー像Y2の転写開始位置が基準転写開始位置から大きくずれてしまう。しかも、一次転写の進行とともに、ズレ量が増大し、一次転写中にタイミングt4でクリーナブレード491が離間すると、今度は逆にレジストズレ量は減少する。すなわち、図19に示すように、2枚目のイエロートナー像Y2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC2を中心として副走査方向の(+)および(−)方向のそれぞれにズレ量(A26/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0135】
また、イエロートナー像Y2に続いて形成されるシアントナー像C2についても、クリーナブレード491の離当接による影響を受けて転写開始位置が基準転写開始位置からずれてしまう。この現象について、図20を参照しつつ説明する。
【0136】
2枚目のシアントナー像C2を形成するために、タイミングVT6で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのシアントナー像C2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、シアントナー像C2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、シアン用現像器23Cによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT6)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt5より一次転写処理を開始する。
【0137】
ここでは、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT6時点では、上記したようにクリーナブレード491は中間転写ベルト41Bに当接しており、タイミングt4(CB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がる)まで、つまり時間A14だけ、この当接状態が維持される。そのため、タイミングVT6からタイミングt4までの間に中間転写ベルト41BはA13だけ伸びる。一方、タイミングt4でクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間すると、上記したように、今度は当接時とは逆に、中間転写ベルト41Bに与えられていた負荷と、動力伝達部材91に与えられていた負荷とがともに解放されて中間転写ベルト41BはA26だけ縮む。そして、それ以降は、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまで離間状態に保たれる。その結果、シアントナー像C2の一次転写開始時点(タイミングt5)では、副走査方向におけるレジストズレ量A34は、
A34=A26−A13
となる。
【0138】
このように、2枚目のシアントナー像C2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC3を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC3自体が副走査方向(+)にズレ量A34だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。すなわち、4色のトナー色のうち第2番目のトナー色については、その一次転写処理中に当接手段(二次転写ローラ48やクリーナブレード491)は中間転写ベルト41Bに対して離当接していないにもかかわらず、レジストズレが発生している。したがって、レジストズレを抑えて高品質のカラー画像を形成するためには、第2番目のトナー色において発生するレジストズレを如何に抑制するかが重要となってくる。
【0139】
上記のようにしてシアントナー像C2の一次転写が完了すると、次にマゼンタトナー像M2のトナー像形成および一次転写処理を行うのであるが、その処理の間、クリーナブレード491は中間転写ベルト41Bから離間した状態のままであるため、1枚目と同様に副走査方向におけるレジストズレは発生せず、ズレ量はゼロとなる。したがって、マゼンタトナー像M2については、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、レジストズレ量がゼロの軸(図18、図19などにおける1点鎖線AC0)を振れ幅中心とし、その振幅量もゼロとなっている。このことから、図4に示す動作シーケンスで画像形成を行う画像形成装置では、マゼンタトナー像を基準トナー像とし、その転写開始位置および転写後端位置を、それぞれ「基準転写開始位置」および「基準転写後端位置」とすることができる。
【0140】
また、マゼンタトナー像M2の一次転写が完了すると、2枚目のブラックトナー像の像形成および一次転写処理を行うのであるが、この場合、2枚目と同様に一次転写途中でクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接して中間転写ベルト41Bを伸びA32だけ伸ばし、副走査方向において(−)方向にレジストズレが発生する。なお、動作シーケンスに対するレジストズレ量の変化を示すプロファイルは図18と同一であり、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A32/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0141】
さらに、2枚目のカラー画像に続いて、3枚目以降のカラー画像を連続的に形成する場合、上記した2枚目と同様のレジストズレが発生する。
【0142】
B−3−3.第3印字シーケンス
さらに、この種の画像形成装置では、中間転写ベルト41Bを空転させることがある。例えばホストコンピュータなどの外部装置からの画像データの間隔が一定以上あくと、中間転写ベルト41Bを空転させるが、2回以上空転させる必要がある場合には、一旦装置を止めてしまう。このとき、クリーナブレード491は中間転写ベルト41Bに当接状態となっている。そして、新たに画像形成を開始する場合には、中間転写ベルト41Bが回転駆動されて画像形成が開始されるが、最初のイエロートナー像を一次転写する際、図20に示す2枚目以降のシアントナー像の場合と同様のレジストズレが発生する。
【0143】
すなわち、図21に示すように、画像形成が再開されて中間転写ベルト41Bが回転駆動されると、垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT01で出力され、そのタイミングVT01から一定時間A14後にクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間した後、イエロートナー像の一次転写が開始される。そのため、上記「B−3−2.第2印字シーケンス」のシアントナー像C2の場合と同様の理由により、転写開始位置が(+)方向にズレ量A34だけずれる。つまり、像形成・転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC3を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC4自体が副走査方向(+)にズレ量A34だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。
【0144】
そして、続くシアンおよびマゼンタトナー像の一次転写は常時クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間した状態で実行されるため、レジストズレは発生しないが、最後のブラックトナー像については、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に一次転写している最中にクリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bに当接して(−)方向にズレ量A32のレジストズレが発生する。
【0145】
以上のように、像形成・転写処理を繰り返している間に、クリーナブレード491などの当接手段が中間転写ベルト41Bに離当接すると、離当接タイミングに応じて所定のレジストズレ量が発生する。このプロファイル自体は装置構成や動作条件などによって決まる固有のものであり、装置構成や動作シーケンスを変更しない限り当該プロファイル自体は変化しないが、レジストズレ量に基づき少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を副走査方向に移動させることで基準トナー像に対するレジストズレをゼロまたは抑制することができる。例えばシアントナー像C2については、図20に示すように、シアントナー像C2の転写開始位置が基準転写開始位置に対して(+)方向にズレ量A34となっており、それ以降ではレジストズレ量の増減が見られないため、シアントナー像C2の転写開始位置が基準転写開始位置からレジストズレ量A34だけ(−)方向にずれるように制御することによって、レジストズレ量をゼロにすることができる。
【0146】
したがって、実際の画像形成処理に先立って、装置構成および動作シーケンス等から上記したと同様の解析を予め行ってレジストズレ量を導出し、そのレジストズレ量をゼロあるいは抑制するために必要なレジスト制御量(例えば、上記シアンの場合におけるA34に相当)を求めておき、実際の画像形成処理においてはレジスト制御量に基づき少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を副走査方向に補正することによって、レジストズレを抑制し、高品質な画像を形成することができる。例えば、基準トナー色(マゼンタ)以外のトナー色(Y,C,K)の振れ幅中心AC1〜AC4を基準トナー色の振れ幅中心AC0と一致させることで、レジストズレを抑制し、高品質な画像を形成することができる。
【0147】
B-4.初期レジスト制御量の制定処理について
図22は、レジスト制御量を自動的に制定する処理内容を示すフローチャートである。まず、第2実施形態にかかる画像形成装置の装置構成および動作シーケンスに基づき以下の初期設定条件を予め設定し、ROM126に記憶させておく。そして、図23に示すように、VSYNC信号を基準として、
(a)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bに当接する周期T2a、
(b)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bに当接し続ける周期T2b、
(c)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bから離間する周期T2c、および、
(d)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bから離間し続ける周期T2d
を1ジョブとするレジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を、所定回数、例えば20回繰り返す(ステップS12)。
【0148】
なお、初期条件は、
A2:プロセス速度(中間転写ベルト41Bの周速)、
A7:クリーナブレード491の当接からブラックトナー像の一次転写終了までの時間(図18参照)、
A8:中間転写ベルト41Bが一周するのに要する時間
A10:クリーナブレード当接からイエロートナー像の一次転写開始までの時間(図19参照)、
A12:イエロートナー像の転写開始位置からクリーナブレード離間までの時間(図19参照)、
A14:VSYNC信号からクリーナブレード離間までの時間(図20参照)、
A17:周期T1におけるVSYNC信号からクリーナブレード当接までの時間間隔(図23参照)、
A18:周期T2cにおけるVSYNC信号からクリーナブレード離間までの時間間隔(図23参照)、
となっている。
【0149】
また、この実施形態では、レジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を繰り返して実行している間、帯電バイアスおよび一次転写バイアスについては常時ON状態に設定されている。また、図16への図示を省略しているが、一次転写領域TR1と感光体用クリーナブレード24との間に除電ランプが設けられており、この除電ランプも常時ON状態に設定されている。さらに、二次転写ローラ48が中間転写ベルト41Bに当接している間、二次転写バイアスを与えて実印字に近い状態でレジスト制御量を求めている。
【0150】
こうして、各周期T2a〜T2dについて、それぞれ20個の実測値が得られると、これらの平均値T2a(av)〜T2d(av)をそれぞれ演算する(ステップS13)。さらに、レジスト制御量Ra,Rb,Rcをそれぞれ以下の数式に基づき演算によって求める(ステップS14)。なお、その理由について、それぞれ分けて説明する。
【0151】
<レジスト制御量Raについて>
図18に示すように、ブラックトナー像K1を中間転写ベルト41Bに一次転写している最中に、クリーナブレード491の当接が開始され、例えばA3サイズのブラックトナー像K1の一次転写が完了する時点においてもクリーナブレード491の当接が継続されているため、副走査方向におけるレジストズレ量A32が発生する。そのレジストズレ量A32は2つの伸びA6,A27の総和となる。つまり、
A32=A6+A27
となる。
【0152】
ここで、当接伸びA6は、クリーナブレード491が当接した状態で中間転写ベルト41Bが回転駆動されることで発生する当接伸びであり、伸びA27は、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接した時の瞬間伸び(弾性分+滑り分)と、中間転写ベルト41Bに動力を伝達する動力伝達部材(例えばギア、ベルト)91の弾性変形分をあわせたものである。
【0153】
まず、伸びA6について検討する。クリーナブレード491が当接していることで、周期差A1が発生するが、この周期差A1については次式、
A1=(T2b(av)−T2d(av))×A2×1000
で求めることができる。そして、ブラックトナー像K1の一次転写中においてクリーナブレード491は所定時間A7だけしか当接していないので、当接伸びA6は、
A6=A1×A7/A8
となる。
【0154】
一方、瞬間伸びA27は、周期T2a,T2dを比較することで求めることができる。すなわち、瞬間伸びA27は、次式
A27=(T2a(av)−T2d(av))×A2×1000−A15
で求めることができる。ただし、伸びA15は、図23に示すように、周期T2a中においてクリーナブレード491が所定時間A17だけ当接していることによる伸びであり、この伸びA15は、
A15=A1×(A8−A17)/A8
で求めることができる。
【0155】
したがって、レジストズレ量A32を、
A32=A6+A27
によって求めることができ、この半分の値だけ予め転写開始位置を基準転写開始位置に対して副走査方向にずらしておくことでブラックトナー像K1のレジストズレを最小限に抑えることができる。そこで、この実施形態では、レジスト制御量Raを、
Ra=A32/2
に設定している。
【0156】
<レジスト制御量Rbについて>
図19に示すように、ブラックトナー像K1の像形成・転写に続いてイエロートナー像Y2を中間転写ベルト41Bに像形成・転写する場合、クリーナブレード当接からイエロートナー像の一次転写開始までの時間A10の間に副走査方向に伸びA30(=A27+A9)が発生している。また、一次転写が開始された後もクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接しているために伸びA11が生じる反面、一次転写が完了する直前にクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間し、弾性変形していた中間転写ベルト41Bおよび動力伝達部材91が元の状態に戻るため、縮みA26が発生する。したがって、同図に示すように、縮みA26が伸びA11よりも大きな場合には、レジスト制御量Rbを、
Rb=A35−A26/2
ただし、A35=A30+A11
に設定する一方、逆の場合(A26<A11)には、レジスト制御量Rbを、
Rb=A35−A11/2
に設定することで、イエロートナー像のレジストズレを最小限に抑えることができる。
【0157】
ここで、一次転写開始時点での伸びA30は、上記したように、
A30=A27+A9
となるが、伸びA9はクリーナブレード491が当接した状態で中間転写ベルト41Bが時間A10の間だけ回転駆動されることにより生じた伸びであり、次式
A9=A1×A10/A8
で求めることができる。
【0158】
また、伸びA11は一次転写が開始された後もクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接しているために生じた伸びであり、次式
A11=A1×A12/A8
で求めることができる。
【0159】
さらに、縮みA26は、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間したことによるものであり、周期T2c,T2dを比較することで求めることができる。すなわち、次式
A26=A25−(T2c(av)−T2d(av))×A2×1000
に基づき求めることができる。なお、同式中のA25は、図23に示すように、周期T2cにおける伸びであり、次式
A25=A1×A18/A8
で求めることができる。
【0160】
<レジスト制御量Rcについて>
図20に示すように、イエロートナー像の像形成・転写に続いてシアントナー像の像形成・転写処理を行う場合、当該像形成・転写の基準となるVSYNC信号VT6が出力された時点でクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接されており、その後、シアントナー像の一次転写が開始されるまでに、時間A14の間だけ当接状態のまま中間転写ベルト41Bが回転駆動されるため、伸びA13が発生する。つまり、その伸びA13は、
A13=A1×A14/A8
となる。
【0161】
また、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間すると、上記<レジスト制御量Rbについて>の項で説明したように、縮みA26が発生する。したがって、シアントナー像の一次転写開始時点では、レジストズレ量A34(=A13−A26)が生じているが、一次転写をしている間では、副走査方向におけるズレは発生しない。そこで、この実施形態では、この値(レジストズレ量A34)だけ予め転写開始位置を副走査方向にずらしておくことでシアントナー像のレジストズレをゼロに抑えることができるため、レジスト制御量Rcを、
Rc=A34
に設定している。
【0162】
B-5.転写開始位置の補正について
実際に、1枚目からカラー画像を順次印字する場合、以下のようにして転写開始位置が補正されてレジストズレが抑制される。1枚目のカラー画像を印字する場合には、図3のステップS4で第1印字シーケンスに対応するシーケンスフラグF0が設定されるため、図3のステップS5でイエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1のレジスト制御量として「0」がそれぞれ設定される一方、ブラックトナー像K1のレジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定される。したがって、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1、マゼンタトナー像M1はすべて感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ベルト41Bに対しても同一位置で一次転写される。その結果、図24に示すように、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。
【0163】
一方、ブラックトナー像K1については、レジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定されていることから、図25に示すように、タイミングVT4で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してブラックトナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対し副走査方向の(+)側に制御量Ra(=A32/2)だけシフト移動させる。また、この加減速可能期間T11においては、1つ前のトナー像(マゼンタトナー像M1)の一次転写処理を継続中であるが、この実施形態では中間転写ベルト41Bは感光体21と同期して駆動制御されるため、感光体21および中間転写ベルト41Bの加減速制御と並行して一次転写されるトナー像に乱れは生じない。
【0164】
上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Kで顕在化し、そのブラックトナー像K1を中間転写ベルト41B上に一次転写する。その結果、図24に示すように、ブラックトナー像K1の転写開始位置は基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけずれる。
【0165】
そして、図25に示すように、この一次転写処理が進行し、その後半部分に差し掛ったタイミングt1で、クリーナブレード491の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれる。さらに当該当接状態がタイミングt2まで継続され、その結果、レジストズレはさらに大きくなるが、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、(−)方向にズレ量(A32/2)となる。つまり、ブラックトナー像K1の転写開始位置を基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけ移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させており、こうすることで、すべてのトナー色について像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致している。
【0166】
この結果、この実施形態では、図24に示すように、ブラックトナー像K1は他のトナー像Y1,C1,M1に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図17および図18)の半分になる。
【0167】
次に、1枚目のカラー画像形成に続いて2枚目のカラー画像を形成する場合(第2印字シーケンス)では、図3のステップS4でシーケンスフラグとしてフラグF1が設定された後、以下のようにして、レジストズレを抑えて高品質な画像形成が可能となる。
【0168】
すなわち、ステップS5でそのシーケンスフラグF1に対応するレジスト制御量が設定される。つまり、イエロートナー像Y2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rbが設定され、シアントナー像C2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定され、マゼンタトナー像M2のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像K2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0169】
まず、イエロートナー像Y2については、レジスト制御量として初期レジスト制御量Rbが設定されていることから、図26に示すように、タイミングVT5で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してイエロートナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向の(+)側に制御量Rbだけシフト移動させる。そして、この潜像を現像器23Yで顕在化する。
【0170】
そして、タイミングt1でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、離間していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bに当接する。その後、同図の太実線で示すプロファイルでレジストズレ量が変化しながら、イエロートナー像Y2の転写処理が行われて転写後端側で(+)方向に(A26/2)だけずれるが、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対する最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図19)に比べて大幅に縮小される。
【0171】
このように、この実施形態では、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Rbだけ基準潜像形成位置に対して副走査方向にシフト移動させることで2枚目のイエロートナー像Y2の転写開始位置を調整している。これにより、イエロー色についての振れ幅中心AC2を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量を振れ幅(A26/2)の範囲内に抑制することができる。
【0172】
イエロートナー像Y2に続いて、シアントナー像C2の像形成・転写処理が行われるが、このシアントナー像C2のレジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定されている。そのため、図27に示すように、タイミングVT6で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の表面速度および中間転写ベルト41Bの表面速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転駆動する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ベルト41Bの搬送量をレジスト制御量Rcだけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rcだけシフト移動する。
【0173】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Cで顕在化し、そのシアントナー像C2を中間転写ベルト41B上に一次転写する。したがって、クリーナブレード491の離当接によるレジストズレ量(A26)と、感光体21上でのトナー像C2のシフト量Rcとが一致してシアントナー像C2の転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0174】
また、シアントナー像C2の中間転写ベルト41Bへの一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、シアントナー像C2の転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0175】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41Bを加減速制御することで、シアン色についての振れ幅中心AC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0176】
シアントナー像C2に続いてマゼンタトナー像M2の像形成・転写処理が実行されるが、この像形成・転写処理においては、クリーナブレード491および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、マゼンタトナー像M2の転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0177】
こうして、3色のトナー像Y2,C2,M2が完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像K2の一次転写処理が実行される。この一次転写処理では、1枚目のブラックトナー像K1の場合と同様に、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Rbだけ副走査方向にシフト移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。
【0178】
したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図17および図18)の半分になる。
【0179】
このように、2枚目についても、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとに対応するレジスト制御量に基づき感光体21の表面速度および中間転写ベルト41Bの表面速度を同期して加減速制御することでトナー像の転写開始位置を補正している。つまり、ここでは4色のトナー色のうちイエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の3色について各トナー像の転写開始位置をレジスト制御量に基づき補正している。その結果、シアントナー像C2を基準トナー像であるマゼンタトナー像M2に完全にレジストさせることができるとともに、イエロートナー像Y2およびブラックトナー像K2については基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0180】
また、シーケンスフラグF2が設定されている場合には、イエロートナー像Ynのレジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定され、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnのレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像Knのレジスト制御量として初期レジスト制御量Raが設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0181】
まず、イエロートナー像Ynについては、レジスト制御量として初期レジスト制御量Rcが設定されていることから、図28に示すように、タイミングVT01で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の表面速度および中間転写ベルト41Bの表面速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転駆動する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ベルト41Bの搬送量をレジスト制御量Rcだけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rcだけシフト移動する。
【0182】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Yで顕在化し、そのイエロートナー像Ynを中間転写ベルト41B上に一次転写する。したがって、クリーナブレード491の離当接によるレジストズレ量(A26)と、感光体21上でのトナー像Ynのシフト量Rcとが一致してイエロートナー像Ynの転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0183】
また、イエロートナー像Ynの中間転写ベルト41Bへの一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41Bから離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、イエロートナー像Ynの転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0184】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41Bを加減速制御することで、イエロー色についての振れ幅中心AC4を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像Mn)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0185】
イエロートナー像Ynに続いて、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnの像形成・転写処理が順次行われるが、これらの像形成・転写処理においては、クリーナブレード491および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、両トナー色についての振れ幅中心は相互に一致しており、両トナー像CnおよびMnの転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0186】
こうして、3色のトナー像Yn,Cn,Mnが完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像Knの一次転写処理が実行される。この一次転写処理では、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41Bを加減速制御することで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図17および図18)の半分になる。
【0187】
このように、空転処理後のカラー印字についても、4色のトナー色のうちイエロー色およびブラック色の2色について各トナー像の転写開始位置をレジスト制御量に基づき補正している。つまり、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとにレジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41Bを加減速制御することで、トナー像の転写開始位置を補正している。その結果、イエロートナー像Yn、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像(基準トナー像)Mnを完全にレジストさせることができるとともに、ブラックトナー像Knについては基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0188】
B-6.作用効果について
以上のように、この第2実施形態によれば、次のような作用効果が得られる。まず、像形成・転写処理の繰返し中に、転写媒体である中間転写ベルト41Bへの当接手段(二次転写ローラ48やクリーナブレード491)の離当接を実行しているため、上記において説明したように中間転写ベルト41Bおよび動力伝達部材91の弾性変形を引き起こし、これらがレジストズレの主要因となる。しかしながら、印字シーケンス状態に応じてレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求め、このレジスト制御量に基づき4色のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を補正することでレジストズレを最小限に抑えることができる。より具体的には、この実施形態では、ブラック、イエローおよびシアン色について、像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心AC1,AC2(またはAC4)およびAC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0に一致させることで、すべてのトナー色の間でのレジストズレを最小限に抑制して高品質なカラー画像が得られる。
【0189】
また、上記のようにクリーナブレード491が当接してレジストズレを発生させるが、ズレ量を抑制するために例えば中間転写ベルト41Bのヤング率を高くし当接時の弾性伸びを抑制することも考えられるが、これでは使用可能なベルト材質が限定されてしまい、コスト増大を招いていしまう。また、既に設計・製造されている装置に対しては、そのまま適用できず、装置改良が必要となってしまう。これに対して、上記実施形態によれば、装置構成に依存せずにレジストズレを抑制し、画像品質を向上させることができ、より汎用性の高い技術といえる。
【0190】
また、上記第2実施形態では、中間転写ベルト41Bと動力伝達部材91とがともに弾性変形するという前提に立って説明したが、動力伝達部材91が例えば金属やセラミックなどの高剛性材料で成形されており、負荷変動による弾性変形が生じない場合であっても、上記第2実施形態にかかる発明を適用することによって上記作用効果が得られる。
【0191】
C.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、レジスト制御量に応じて転写開始位置を調整するために、感光体21と転写媒体(中間転写ドラム41D、中間転写ベルト41B)とを同期して可変速制御することで、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量に応じて副走査方向にシフト移動させているが、感光体21上での潜像形成位置をシフト移動させる方法としては、上記感光体/転写媒体駆動制御以外に、露光タイミングを制御することでも可能である。また、感光体/転写媒体駆動制御と露光タイミング制御とを組み合わせてもよい。
【0192】
また、上記実施形態では、感光体21と転写媒体(中間転写ドラム41D、中間転写ベルト41B)とを同一の感光体/転写媒体駆動部41aで駆動制御することで両者を同期して駆動しているが、感光体21を駆動制御する感光体駆動部と、転写媒体(中間転写ドラム41D、中間転写ベルト41B)を駆動制御する転写媒体駆動部とを設け、これらの感光体駆動部と転写媒体駆動部との連係によって感光体21と転写媒体(中間転写ドラム41D、中間転写ベルト41B)とを同期駆動するようにしてもよい。
【0193】
また、感光体駆動部と転写媒体駆動部とを別個に設けた場合には、感光体21を一定速度で回転駆動する一方、転写媒体(中間転写ドラム41D、中間転写ベルト41B)のうちトナー像の形成されない領域が一次転写領域TR1に位置している期間(一次転写を行わない期間)において、レジスト制御量に基づき転写媒体のみを可変速制御して転写開始位置を調整するようにしてもよい。
【0194】
また、上記実施形態では、装置電源の投入後にレジスト制御量制定工程(ステップS1)を実行して3種類のレジスト制御量Ra,Rb,Rcを自動的に制定し、記憶部たるRAM125に記憶し、シーケンスフラグの更新処理(ステップS4)によって印字シーケンスに対応するシーケンスフラグを更新・設定することで印字シーケンスに対応するレジスト制御量を設定しているが、レジスト制御量制定工程(ステップS1)によって求められた3種類のレジスト制御量Ra,Rb,Rcを印字シーケンスと対応したテーブル形式で記憶するようにしてもよい。
【0195】
すなわち、3つの印字シーケンスに1対1で対応してシーケンスフラグF0,F1,F2が設けられているが、表1に示すようにシーケンスフラグと、各シーケンスフラグに対応する印字シーケンスに応じたレジスト制御量とを相互に関連付けた状態でRAM125に記憶してもよい。この場合、シーケンスフラグの更新処理(ステップS4)によって印字シーケンスに対応するシーケンスフラグが設定されると、そのシーケンスフラグに対応するレジスト制御量をRAM125中のテーブルから一括して読み出し、当該レジスト制御量に基づき4色のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を補正することで、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0196】
また、上記実施形態では、装置電源の投入後のレジスト制御量制定工程(ステップS1)によってレジスト制御量Ra,Rb,Rcを自動的に制定し、RAM125に記憶させているが、装置電源の投入毎のレジスト制御量制定工程の実行が必須というわけではなく、レジスト制御量制定工程の実行条件については任意に設定することができ、次のように連続する印字処理中に行うようにしてもよい。
【0197】
この種の画像形成装置では、メインコントローラ11に対して外部装置から画像形成指令が与えられると、メインコントローラ11はこの画像形成指令を1または複数のジョブデータに変換してエンジンコントローラ12に順次与える。例えば、外部装置からA4サイズの文書を5頁印字する旨の画像形成指令がメインコントローラ11に送信されると、本実施形態にかかる画像形成装置では、メインコントローラ11は画像形成指令をエンジン部Eの動作指示に適した形式とすべく、次の3つのジョブデータに変換する。
【0198】
(1)A4サイズの文書を2頁分印字するジョブ;
(2)A4サイズの文書を2頁分印字するジョブ;
(3)A4サイズの文書を1頁分印字するジョブ;
そこで、ジョブとジョブの間でレジスト制御量制定工程を実行するようにしてもよい。このように、一のカラー画像を形成した後で、しかも次のカラー画像を形成する前にレジスト制御量制定工程を実行するようにしてもよい。
【0199】
また、レジスト制御量制定工程を、装置電源の投入から所定時間だけ経過した時点、装置電源の投入から所定枚数だけ印字処理を実行した時点、または上記ジョブを所定回数だけ繰り返した時点などに行うようにしてもよく、このように装置の稼動状況に基づきレジスト制御量制定工程の実行タイミングを決定してもよい。
【0200】
また、上記実施形態では、装置の稼動中にレジスト制御量制定工程を実行することでレジスト制御量を求めているが、レジスト制御量制定工程の代わりに予めレジスト制御量を求めておき、ROM126に記憶させるように構成してもよい。例えば、転写ユニット4に対して記憶手段を組み込んでおき、転写ユニット4の組立段階で当該転写ユニット4のみを単独で駆動させてレジスト制御量を求め、転写ユニット4の記憶手段に記憶させるようにしてもよい。この場合、転写ユニット4の製造組立時点でレジスト制御量を求めることができ、他のユニット、例えばプロセスユニット2や露光ユニット3などの完成を待つことなく、レジスト制御量を求めることができるため、装置全体の組立作業効率を向上させることができる。
【0201】
また、画像形成装置全体が組み上がった段階でレジスト制御量を求め、ROM126に記憶するようにしてもよい。こうすることで、転写ユニット4以外のユニットがレジスト制御量に与える影響を反映した結果が得られ、転写ユニット4単独でレジスト制御量を求める場合に比べて精度の高いレジスト制御量が得られる。
【0202】
また、上記実施形態では、マゼンタ色を基準トナー色とし、その他のトナー色(イエロー、シアンおよびブラック色)の振れ幅中心がマゼンタ色について振れ幅中心に一致させているが、マゼンタ色以外のトナー色を基準トナー色としてもよい。ただし、この実施形態では、4つのトナー色をイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびブラック(K)の順番で行い、マゼンタのトナー像が第3番目に一次転写されるため、上記したように当接手段(二次転写ローラ48やクリーナブレード491)の離当接による影響を最も受けないため、マゼンタ色は基準トナー色とする上で好適であるといえる。また、基準トナー色を設けずに、すべてのトナー色についての振れ幅中心を適当な位置、例えば図7や図20に示すように直線AC00(「副走査方向におけるレジストズレ量=k」)で相互に一致させるようにしてもよい。この場合、すべてのトナー色についてトナー像の転写開始位置を補正することになる。
【0203】
また、上記実施形態では、3種類の印字シーケンスに区分けし、各印字シーケンスに対応する識別変数をそれぞれ設定しているが、印字シーケンスの区分け数はこれに限定されるものではなく、区分け数が2以上であれば、上記実施形態と同様の作用効果、つまりシーケンスが変化するごとにレジスト制御量を新たに求め直す必要がなくなり、優れた制御性が得られる。
【0204】
また、上記実施形態では、転写媒体(中間転写ドラム41Dや中間転写ベルト41B)を回転駆動する駆動源として例えばDCモータを採用し、レジスト制御量に基づきDCモータを加減速制御することでレジスト制御しているが、DCモータの代わりにステッピングモータなどのパルスモータを用い、レジスト制御量に基づきパルス駆動制御することでレジスト制御するようにしてもよい。
【0205】
さらに、上記実施形態にかかる画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート部材に印字するプリンタであるが、本発明は複写機やファクシミリ装置などの電子写真方式のカラー画像形成装置、つまり複数色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置全般に適用することができる。
【0206】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、弾性変形によって生じる転写媒体上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量に基づき複数のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色についてトナー像の転写開始位置を補正するように構成しているので、転写媒体に対して当接手段の離当接による負荷変動が生じ、その負荷変動による弾性変形が発生する画像形成装置であっても、その弾性変形に起因するレジストズレを抑制することができ、高品質なカラー画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明にかかる画像形成装置における動作シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】図1の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにブラックトナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図6】図1の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図7】図1の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにシアントナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図8】図1の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図9】初期レジスト制御量を自動的に制定する処理(レジスト制御量制定処理)を示すフローチャートである。
【図10】レジスト制御量制定ジョブの内容を示すタイミングチャートである。
【図11】図3のシーケンスフラグの更新内容を示すフローチャートである。
【図12】図1に示す画像形成装置においてブラックトナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図13】図1に示す画像形成装置においてイエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図14】図1に示す画像形成装置においてシアントナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図15】図1に示す画像形成装置においてイエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図16】この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。
【図17】図16の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしに図4の動作タイミングで一次転写処理を行った場合の各トナー像のレジスト状況を模式的に示す図である。
【図18】図16の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにブラックトナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図19】図16の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図20】図16の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにシアントナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図21】図16の画像形成装置において、レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図22】初期レジスト制御量を自動的に制定する処理(レジスト制御量制定処理)を示すフローチャートである。
【図23】レジスト制御量制定ジョブの内容を示すタイミングチャートである。
【図24】図16の画像形成装置において、レジスト制御しながら、図4の動作タイミングで一次転写処理を行った場合の各トナー像のレジスト状況を模式的に示す図である。
【図25】図16の画像形成装置において、ブラックトナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図26】図16の画像形成装置において、イエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図27】図16の画像形成装置において、シアントナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図28】図16の画像形成装置において、イエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図29】この発明の背景技術となる画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…制御ユニット(制御手段)
3…露光ユニット(露光手段)
4…転写ユニット
9…動力伝達ユニット(動力伝達手段)
12…エンジンコントローラ(制御手段)
21…感光体
40…垂直同期用読取センサ(基準信号検出手段)
41…転写媒体
41B…中間転写ベルト(転写媒体)
41D…中間転写ドラム(転写媒体)
41a…感光体/転写媒体駆動部
48…二次転写ローラ(当接手段)
49…クリーニング部(当接手段)
81…駆動源
91…動力伝達部材
121…CPU(制御手段)
400…当接手段
491…クリーナブレード(当接手段)
C1,C2,Cn…シアントナー像
K1…ブラックトナー像
M1,M2…マゼンタトナー像
Ra,Rb,Rc…レジスト制御量
T1a〜T1c,T2a〜T2d…周期
VSYNC…垂直同期信号(基準信号)
V…(転写媒体の)表面速度
Y1,Y2,Yn…イエロートナー像
Claims (2)
- 感光体および転写ドラムを副走査方向に回転させながら、前記感光体上にトナー像を形成した後、当該トナー像を前記転写ドラムに転写する一連の処理を像形成・転写処理としたとき、当該像形成・転写処理を互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を前記転写ドラム上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、
回転駆動力を発生する駆動源と、
複数の動力伝達部材を有し、これら複数の動力伝達部材によって前記駆動源からの回転駆動力を前記感光体および前記転写ドラムに伝達する動力伝達手段と、
前記転写ドラムの回転動作に関連して基準信号を出力する基準信号検出手段と、
前記像形成・転写処理を繰り返している際に前記転写ドラムに対して一時的に当接する当接手段と、
装置各部を制御する制御手段とを備え、
前記当接手段が前記転写ドラムに離当接することによって発生する負荷変動に応じて、前記複数の動力伝達部材の少なくとも1つが弾性変形するように構成されており、
前記制御手段は、カラー画像の形成前に下記のレジスト制御量制定処理を実行して前記弾性変形によって生じる前記転写ドラム上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求めるとともに、該レジスト制御量に基づき前記複数のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色について、前記当接手段の離当接タイミングより前に予めトナー像の転写開始位置を補正することを特徴とする画像形成装置。
前記レジスト制御量制定処理は、前記基準信号に基づき、
(1)前記当接手段が前記転写ドラムから離間し続ける場合の周期と、前記当接手段が前記転写ドラムに当接し続ける場合の周期の一方を定常状態として、
(2)前記転写ドラムから離間していた前記当接手段が前記転写ドラムに当接した場合の周期と、または前記転写ドラムに当接していた前記当接手段が前記転写ドラムから離間した場合の周期の一方を離当接周期として、
それぞれ測定し、前記定常周期と前記離当接周期との相違量から前記レジスト制御量を求めることをその処理内容とする。 - 副走査方向に回転する感光体と、前記副走査方向に回転する転写ベルトと、前記転写ベルトの回転周期に関連して基準信号を出力する基準信号検出手段とを備え、前記感光体上にトナー像を形成する処理を像形成処理とし、該像形成処理により形成されたトナー像を、前記基準信号の検出時点から所定時間経過後に前記転写ベルトに転写する処理を転写処理としたとき、当該像形成・転写処理を互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を前記転写ベルト上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、
回転駆動力を発生する駆動源と、
複数の動力伝達部材を有し、これら複数の動力伝達部材によって前記駆動源からの回転駆動力を前記感光体および前記転写ベルトに伝達する動力伝達手段と、
前記像形成・転写処理を繰り返している際に前記転写ベルトに対して一時的に当接する当接手段と、
装置各部を制御する制御手段とを備え、
前記当接手段が前記転写ベルトに離当接することによって発生する負荷変動に応じて、前記複数の動力伝達部材の少なくとも1つ、または前記転写ベルトが弾性変形するように構成されており、
前記制御手段は、カラー画像の形成前に下記のレジスト制御量制定処理を実行して前記弾性変形によって生じる前記転写ベルト上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要な
(A)転写処理中に前記当接手段が当接し、その当接状態のまま転写処理を完了することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量Raと、
(B)像形成・転写処理において、転写処理開始前から前記当接手段が当接しており、その当接状態で転写処理が開始され、しかも、その処理途中で前記当接手段が離間することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量Rbと、
(C)像形成・転写処理において、前記基準信号の検出時点であって転写処理開始前に当接していた前記当接手段が該基準信号の検出後且つ転写処理開始前に離間し、その後、その離間状態のまま転写処理を行う際に生じるレジストズレを補正するためのレジスト制御量Rcと
を求めるとともに、前記レジスト制御量Ra、前記レジスト制御量Rb及び前記レジスト制御量Rcに基づき前記複数のトナー色のうち少なくとも1色以上のトナー色について、前記当接手段の離当接タイミングより前に予めトナー像の転写開始位置を補正することを特徴とする画像形成装置。
前記レジスト制御量制定処理は、前記基準信号に基づき、
(a)前記転写ベルトから離間していた前記当接手段が前記転写ベルトに当接した場合の周期と、
(b)前記当接手段が前記転写ベルトに当接し続ける場合の周期と、
(c)前記転写ベルトに当接していた前記当接手段が前記転写ベルトから離間した場合の周期と、
(d)前記当接手段が前記転写ベルトから離間し続ける場合の周期と
を測定し、これらの周期の相違量から前記レジスト制御量Ra、前記レジスト制御量Rb及び前記レジスト制御量Rcを求めることをその処理内容とする。
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