JP3775199B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関するものであり、特に、基準信号に基づき感光体上にトナー像を形成するとともに当該トナー像を回転移動するベルト状転写媒体に転写する像形成・転写処理を、各トナー色について実行してベルト状転写媒体上にカラー画像を形成するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置としては、例えば図19に示すものがある。この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成する装置であり、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号が制御ユニット(図示省略)に与えられると、この制御ユニットからの指令に応じてエンジン部Eの各部を制御して転写紙、複写紙やOHPシートなどのシート部材Sに画像信号に対応する画像を形成する。
【0003】
このエンジン部Eでは、像担持体ユニット2の感光体21にトナー像を形成可能となっている。すなわち、像担持体ユニット2は、図19の矢印方向に回転可能な感光体21を備えており、さらに感光体21の周りにその回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ22、現像手段としての現像器23Y,23C,23M,23K、および感光体用クリーナブレード24がそれぞれ配置されている。
【0004】
この装置では、帯電ローラ22が感光体21の外周面に当接して外周面を均一に帯電させた後、感光体21の外周面に向けて露光ユニット3からレーザ光Lが照射される。この露光ユニット3は、同図に示すように、画像信号に応じて変調駆動される半導体レーザなどの発光素子31を備えており、この発光素子31からのレーザ光Lが高速モータ32によって回転駆動される多面鏡33に入射されている。そして、多面鏡33によって反射されたレーザ光Lはレンズ34およびミラー35を介して感光体21上に主走査方向(同図の紙面に対して垂直な方向)に走査して画像信号に対応する静電潜像を形成する。なお、符号36は主走査方向における同期信号、つまり水平同期信号HSYNCを得るための水平同期用読取センサである。
【0005】
こうして形成された静電潜像は現像部23によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では現像部23として、イエロー用の現像器23Y、シアン用の現像器23C、マゼンタ用の現像器23M、およびブラック用の現像器23Kがこの順序で感光体21に沿って配置されている。これらの現像器23Y,23C,23M,23Kは、それぞれ感光体21に対して接離自在に構成されており、制御ユニットからの指令に応じて、上記4つの現像器23Y,23C,23M,23Kのうちの一の現像器が選択的に感光体21に当接するとともに、高電圧が印加されて選択された色のトナーを感光体21の表面に付与して感光体21上の静電潜像を顕在化する。
【0006】
現像部23で現像されたトナー像は、ブラック用現像器23Kと感光体用クリーナブレード24との間に位置する一次転写領域R1で転写ユニット4の中間転写ベルト41上に一次転写される。また、一次転写領域R1から周方向(図19の矢印方向)に進んだ位置には、感光体用クリーナブレード24が配置されており、一次転写後に感光体21の外周面に残留付着しているトナーを掻き落とす。
【0007】
次に、転写ユニット4の構成について説明する。この実施形態では、転写ユニット4は、ローラ42〜47と、これら各ローラ42〜47に掛け渡された中間転写ベルト41と、この中間転写ベルト41に転写された中間トナー像をシート部材Sに二次転写する二次転写ローラ48と、感光体21および中間転写ベルト41を同期して回転駆動する感光体/ベルト駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシート部材Sに転写する場合には、感光体21上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト41上に重ね合わせてカラー像を形成するとともに、給排紙ユニット6の給紙部63によってカセット61、手差しトレイ62あるいは増設カセット(図示省略)からシート部材Sを取出して二次転写領域R2に搬送する。さらに、このシート部材Sにカラー像を二次転写することでフルーカラー画像を得ている。
【0008】
なお、二次転写後、中間転写ベルト41の外周面に残留付着しているトナーについては、ベルトクリーナ49に設けられているクリーナブレード491によって除去される。すなわち、このベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41を挟んでローラ46と対向して配置されており、適当なタイミングでクリーナブレード491が中間転写ベルト41に対して当接してその外周面に残留付着しているトナーを掻き落す。
【0009】
また、ローラ43の近傍には、中間転写ベルト41の基準位置を検出するためのセンサ40が配置されており、主走査方向とほぼ直交する副走査方向における同期信号、つまり垂直同期信号VSYNCを得るための垂直同期用読取センサとして機能する。
【0010】
上記のようにして転写ユニット4によってトナー像が転写されたシート部材Sは、給排紙ユニット6の給紙部63によって所定の給紙経路(2点鎖線)に沿って二次転写領域R2の下流側に配設された定着ユニット5に搬送され、搬送されてくるシート部材S上のトナー像をシート部材Sに定着する。そして、当該シート部材Sはさらに給紙経路に沿って排紙部64に搬送された後、標準排紙トレイに排紙される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように構成された画像形成装置では、複数色のトナー像を相互にレジストしながら重ね合わせるために、垂直同期用読取センサ40から出力される垂直同期信号VSYNCを利用している。すなわち、垂直同期信号VSYNCが出力されるごとに所定タイミングで感光体21上にトナー像を形成した後、感光体21と同期して一定の搬送速度で回転する中間転写ベルト41上に当該トナー像を一次転写しており、このようにレジスト制御することで複数色のトナー像を正確に重ね合わせている。したがって、垂直同期信号VSYNCが出力されてから一次転写が完了するまでの間、中間転写ベルト41を感光体21に同期して一定速度で回転搬送する必要がある。
【0012】
しかしながら、上記したように中間転写ベルト41には、適当なタイミングで二次転写ローラ48やクリーナブレード491が一時的に当接する。そのため、その当接によって中間転写ベルト41の回転搬送が妨げられたり、中間転写ベルト41が弾性的に伸びたり、さらには中間転写ベルト41を回転駆動するベルト駆動部(図示省略)に対して負荷がかかり、その離当接によって中間転写ベルト41が一定速度で回転搬送されなくなってしまう。その結果、中間転写ベルト41に対して二次転写ローラ48またはクリーナブレード491が離当接することによって、トナー色間でトナー像が相互にずれてしまう、つまりレジストズレが生じてしまい、画像品質の低下を招くことがあった。
【0013】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ベルト状転写媒体上に複数のトナー像を重ね合わせて高品質なカラー画像を形成することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0014】
この発明は、基準信号に基づき感光体上にトナー像を形成するとともに当該トナー像を副走査方向に回転移動するベルト状転写媒体に転写する像形成・転写処理を、互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置にであって、上記目的を達成するために、ベルト状転写媒体に対して離当接自在に設けられた当接手段と、下記のレジスト制御モードと下記のレジスト優先モードとを有し、これら2つのモードのうちの一のモードを選択可能となっており、その選択されたモードで当接手段のベルト状転写媒体への離当接動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。ここで、レジスト制御モードとは、像形成・転写処理を繰り返している際にベルト状転写媒体に対して一時的に当接手段を当接させるとともに、基準信号に基づき、(1)ベルト状転写媒体から離間していた当接手段がベルト状転写媒体に当接した場合の周期と、(2)当接手段がベルト状転写媒体に当接し続ける場合の周期と、(3)ベルト状転写媒体に当接していた当接手段がベルト状転写媒体から離間した場合の周期と、(4)当接手段がベルト状転写媒体から離間し続ける場合の周期とを測定し、これらの周期の相違量から、当接手段がベルト状転写媒体に離当接することによって生じるベルト状転写媒体上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求めるとともに、該レジスト制御量に基づいて複数のトナー色のうち少なくとも2つ以上のトナー色について、像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心を、相互に一致させるモードである。また、レジスト優先モードとは、複数のトナー色のうち最終トナー色についての像形成・転写処理が完了した後に当接手段をベルト状転写媒体に一時的に当接させ、しかも、当接手段をベルト状転写媒体から離間させた後に次のトナー像の像形成・転写処理を開始するモードである。
【0015】
当接手段がベルト状転写媒体に当接して所定の処理(二次転写処理やクリーニング処理など)を実行する画像形成装置では、当接手段がベルト状転写媒体に当接することにより、後の「A.レジストズレの発生要因の解析」の項で詳述するようにベルト状転写媒体の弾性的な伸びなどが生じることがある。そして、像形成・転写処理を実行している間に上記伸びなどが発生することによってレジストズレが発生する。また、当接手段がベルト状転写媒体に当接している間、ベルト状転写媒体の伸び量は徐々に増大する一方、当接手段がベルト状転写媒体から離間すると、弾性的に伸びていたベルト状転写媒体が縮んで元の安定状態に戻る。そして、このようにベルト状転写媒体が伸び縮みしている状態、つまり不安定状態で像形成・転写処理を実行する場合にも、レジストズレが発生する。
【0016】
しかしながら、この発明では、レジスト優先モードとレジスト制御モードとを有するとともにレジスト優先モードを選択した場合は、ベルト状転写媒体への当接手段の当接タイミングは複数のトナー色のうち最終トナー色についての像形成・転写処理が完了した後であるため、ベルト状転写媒体に弾性的な伸びなどが生じていない状態、つまり安定状態で像形成・転写処理が実行されることとなり、ベルト状転写媒体の弾性的な伸びなどに起因するレジストズレが確実に防止される。また、当接手段がベルト状転写媒体から離間してベルト状転写媒体が安定状態に戻った後で次のトナー像についての像形成・転写処理が実行されるため、次のトナー像についてもレジストズレが確実に防止される。
【0018】
また、このように構成された発明では、レジスト制御モードが選択された場合には、像形成・転写処理の繰返し中に、ベルト状転写媒体への当接手段の離当接が実行されるため、上記レジスト優先モードに比べ、優れた処理効率を有し、高いスループットが可能となる。その反面、上述したように、ベルト状転写媒体が不安定な状態で像形成・転写処理を実行するため、レジストズレが発生するが、この発明では次のようにしてレジストズレを補正している。すなわち、複数のトナー色のうち少なくとも2つ以上のトナー色について、像形成・転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心を相互に一致させている。このため、当該トナー色の間でのレジストズレを抑制して高品質なカラー画像が得られる。なお、好ましくは、すべてのトナー色についてレジストズレの振れ幅中心を相互に一致させるべきであり、こうすることで、より高品質なカラー画像が得られる。
【0019】
なお、ここで、「レジストズレの振れ幅中心」とは、例えば後で説明する図3や図4などに示すようにレジストズレが一次転写処理の進行に伴って変動する場合の変動中心(図3および図4中の直線AC1,AC2)のみを意味するものではなく、例えば後で説明する図5や図13などに示すようにレジストズレ量が一次転写処理中、ゼロあるいは一定値である場合の当該ズレ量を示す直線(図5および図13中の直線AC0,AC3に相当)も含まれる。
【0020】
また、「振れ幅中心を相互に一致させる」とは、完全一致させることのみならず、所定の範囲内に振れ幅中心を収めてほぼ一致させることも含んでいる。
【0021】
【発明の実施の形態】
A.レジストズレの発生要因の解析
従来より、一次転写処理を繰り返している際に、二次転写ローラやクリーナブレードなどの当接手段を中間転写ベルトに当接させると、レジストズレが発生し、画像品質の低下を招くという現象自体は知られていた。しかしながら、それが如何なる技術的事項に基づき発生するものか、また当接手段の離当接とレジストズレ量との関係については詳しく解析されていなかった。そこで、図19の画像形成装置を図1に示す動作シーケンスで動作させた場合のレジストズレの発生状況を詳細に検討し、その検討結果に基づきレジストズレを補正して画像品質を向上させるために必要となるレジスト制御量を求めた。以下、それについて図1ないし図6を参照しつつ詳述する。
【0022】
図1は、図19の画像形成装置における動作シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、装置電源を投入した後、あるいは画像形成装置のスリープモードが解除されると、中間転写ベルト41が回転搬送されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCが間欠的に出力される。そして、垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT7,…で出力されるごとに、一定時間をおいてイエロー静電潜像、シアン静電潜像、マゼンタ静電潜像およびブラック静電潜像がこの順序で繰り返して感光体21上に形成される。静電潜像が形成された後、現像器23Y,23C,23M,23Kのうちの一の現像器が選択的に感光体21に当接して感光体21上の静電潜像を顕在化し、そのトナー像を中間転写ベルト41上に一次転写する。したがって、各色のトナー像は垂直同期信号VSYNCを基準信号として感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ベルト41に対しても同一位置で一次転写される(各トナー色についての像形成・転写処理)。
【0023】
そして、上記像形成・転写処理を4色分繰り返すと、4色のトナー像が中間転写ベルト41上で重ね合わせてカラー画像が形成される。こうしてカラー画像が得られると、二次転写ローラ48がシート部材Sを挟んで中間転写ベルト41に当接してシート部材Sにカラー画像を二次転写するとともに、CB信号に応じてクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接して当該ベルト表面に残存しているトナーが除去される。このような動作が繰り返されてカラー画像が形成されたシート部材Sが順次標準排紙トレイに排紙される。
【0024】
これが図1の動作シーケンスに従った画像形成装置の動作概要であるが、このような動作と副走査方向におけるレジストズレ量との関係について調べると、1枚目と2枚目以降とで異なる結果が得られた。このような相違点は動作シーケンスの相違に起因するものであり、以下、1枚目の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第1印字シーケンス」という)と、2枚目以降の画像形成を行う動作シーケンス(以下、「第2印字シーケンス」という)とに分けて説明する。また、この種の装置では、空転処理に伴う第3印字シーケンスが存在するため、これについても併せて説明する。
【0025】
A−1.第1印字シーケンス
まず、装置電源が投入される(あるいは画像形成装置のスリープモードが解除される)と、中間転写ベルト41が回転搬送されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1〜VT3で順次出力されるが、最初のタイミングVT1に対応して上記のようにしてイエロートナー像Y1が中間転写ベルト41上に一次転写され、またタイミングVT2に対応してシアントナー像C1がイエロートナー像Y1に重ねて中間転写ベルト41上に一次転写され、さらにタイミングVT3に対応してマゼンタトナー像M1がイエロートナー像Y1およびシアントナー像C1に重ねて中間転写ベルト41上に一次転写される。この間、中間転写ベルト41のクリーニング処理および二次転写処理は行われず、当接手段(二次転写ローラ48およびクリーナブレード491)は中間転写ベルト41から離間している。このため、これら3つのトナー像Y1,C1,M1は、いずれも中間転写ベルト41上の同一位置に重ね合わされ、副走査方向において正確にレジストされる。つまり、図2に示すように、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。なお、同図(および後で説明する図10)中の1点鎖線は各トナー像が転写される一次転写位置を示しており、実際の一次転写処理ではこの1点鎖線部分で各トナー像が順番に重ね合わされるが、ここでは説明の便宜から、各トナー像を上下方向に離間して図示している。
【0026】
次に、タイミングVT4で垂直同期信号VSYNCが出力されると、図3に示すように、所定時間T10後に露光ユニット3にVIDEO信号が与えられてブラックトナー像K1に相当する静電潜像を他のトナー色と同様に所定の基準潜像形成位置に形成しながら、ブラック用現像器23Kによってトナー現像する。そして、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT4)から一定時間T20経過した時点より一次転写処理を開始する。この時点では、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1およびマゼンタトナー像M1の場合と同様に、クリーナブレード491は中間転写ベルト41から離間しており、その結果、図2に示すように、ブラックトナー像K1の転写開始位置も他のトナー像Y1,C1,M1と同様に基準転写開始位置に一致している。そして、離間継続中においては中間転写ベルト41の搬送速度Vは一定であり、ブラックトナー像K1は既に一次転写されている他のトナー像Y1,C1,M1と正確にレジストされながら、重ね合わされていく。
【0027】
しかしながら、ブラックトナー像K1の一次転写後半に差し掛ったある時点、つまりタイミングt1で、クリーナブレード491の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれてしまう。すなわち、タイミングt1でクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接し、中間転写ベルト41の搬送負荷として作用し、中間転写ベルト41について瞬間的に副走査方向に伸びA27が生じる。その結果、(−)方向にレジストズレ量A27だけレジストズレが生じる。
【0028】
また、タイミングt1以降、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまでクリーナブレード491は中間転写ベルト41に当接した状態に維持されて中間転写ベルト41のクリーニング処理を実行するのであるが、ブラックトナー像K1の一次転写処理はタイミングt2までその当接状態のまま継続される。その結果、レジストズレはさらに大きくなり、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、
A32=A27+A6
となり、図2に示すように、ブラックトナー像K1の転写後端位置は基準転写後端位置から(−)方向にズレ量A32だけずれる。ただし、符号A6はタイミングt1からタイミングt2までの間(つまり時間A7)、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接し続けていることによって生じたベルト伸びに相当する。また、同図(および後で説明するレジストズレ状況を示す図)において、太実線は対応トナー色のトナー像についてのレジストズレを示す一方、太破線はレジストズレ発生状況の理解を助けるための補助線である。
【0029】
このように、1枚目のカラー画像については、図2に示すように、後半部分でブラックトナー像K1のみが他のトナー像Y1,C1,M1からずれ、特にカラー画像の最後尾部分ではレジストズレ量A32だけずれてしまう。より詳しくは、図3に示すように、1枚目のブラックトナー像については、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A32/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。なお、クリーナブレード491の当接前に二次転写ローラ48も中間転写ベルト41に当接して同様のレジストズレが発生するのであるが、それに対応するレジストズレ量はクリーナブレード491のそれに比べて小さく、発明の基本原理の理解を容易にするため、ここでは中間転写ベルト41に対する二次転写ローラ48の離当接によるレジストズレを無視して説明する。
【0030】
A−2.第2印字シーケンス
このようなレジストズレは1枚目のみに生じるものではなく、2枚目のカラー画像においても現れる。すなわち、2枚目のイエロートナー像Y2を形成するために、図4に示すように、タイミングVT5で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのイエロートナー像Y2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、イエロートナー像Y2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、イエロー用現像器23Yによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT5)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt3より一次転写処理を開始する。
【0031】
ところが、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT5からしばらくすると、上記したようにクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接して中間転写ベルト41について副走査方向に瞬間伸びA27が生じる。しかも、その当接状態が後述するように次にCB信号がHレベルに立ち上がるまで継続されるため、副走査方向への伸びが時間経過ととも増大する。そして、一次転写開始タイミングt3では、副走査方向におけるレジストズレ量A30は、
A30=A27+A9
となる。ただし、符号A9はタイミングt1からタイミングt3までの間(つまり時間A10)、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接し続けていることによって生じたベルト伸びに相当する。
【0032】
また、中間転写ベルト41が約1周分だけベルトクリーナ49を通過すると、ベルト全体がクリーニングされてクリーニング処理が完了するので、タイミングt4でCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間する。一次転写開始(タイミングt3)からクリーナブレード491の離間(タイミングt4)までの間、クリーナブレード491は中間転写ベルト41に当接し続けており、その間A12(=t4−t3)に中間転写ベルト41は副走査方向に伸び量A11だけ伸びてレジストズレがさらに増大し、タイミングt4直前でのレジストズレ量は(−)方向にズレ量A35になる。
【0033】
一方、このタイミングt4では、クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間する。したがって、当接時とは逆に、中間転写ベルト41に与えられていた負荷が解放されるため、中間転写ベルト41は縮み量A26だけ縮み、副走査方向におけるレジストズレ量はA26だけ減少する。 このように、2枚目のカラー画像については、イエロートナー像Y2の転写開始位置が基準転写開始位置から大きくずれてしまう。しかも、一次転写の進行とともに、ズレ量が増大し、一次転写中にタイミングt4でクリーナブレード491が離間すると、今度は逆にレジストズレ量は減少する。すなわち、図4に示すように、2枚目のイエロートナー像Y2については、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC2を中心として副走査方向の(+)および(−)方向のそれぞれにズレ量(A26/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0034】
また、イエロートナー像Y2に続いて一次転写されるシアントナー像C2についても、クリーナブレード491の離当接による影響を受けて転写開始位置が基準転写開始位置からずれてしまう。この現象について、図5を参照しつつ説明する。
【0035】
2枚目のシアントナー像C2を形成するために、タイミングVT6で垂直同期信号VSYNCが出力されてから所定時間T10経過した後にそのシアントナー像C2を形成するためのVIDEO信号が露光ユニット3に与えられる。そして、シアントナー像C2に相当する静電潜像を感光体21上に形成しながら、シアン用現像器23Cによってトナー現像する。また、垂直同期信号VSYNCの出力(タイミングVT6)から一定時間T20経過した時点、つまりタイミングt5より一次転写処理を開始する。
【0036】
ここでは、垂直同期信号VSYNCの出力タイミングVT6時点では、上記したようにクリーナブレード491は中間転写ベルト41に当接しており、タイミングt4(CB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がる)まで、つまり時間A14だけ、この当接状態が維持される。そのため、タイミングVT6からタイミングt4までの間に中間転写ベルト41はA13だけ伸びる。一方、タイミングt4でクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間すると、上記したように、今度は当接時とは逆に、中間転写ベルト41に与えられていた負荷が解放されて中間転写ベルト41はA26だけ縮む。そして、それ以降は、次にCB信号が再度LレベルからHレベルに立ち上がるまで離間状態に保たれる。その結果、シアントナー像C2の一次転写開始時点(タイミングt5)では、副走査方向におけるレジストズレ量A34は、
A34=A26−A13
となる。
【0037】
このように、2枚目のシアントナー像C2については、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC3を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC3自体が副走査方向(+)にズレ量A34だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。
【0038】
上記のようにしてシアントナー像C2の一次転写が完了すると、次にマゼンタトナー像M2のトナー像形成および一次転写処理を行うのであるが、その処理の間、クリーナブレード491は中間転写ベルト41から離間した状態のままであるため、1枚目と同様に副走査方向におけるレジストズレは発生せず、ズレ量はゼロとなる。したがって、マゼンタトナー像M2については、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、レジストズレ量がゼロの軸(図3、図4などにおける1点鎖線AC0)を振れ幅中心とし、その振幅量もゼロとなっている。このことから、図1に示す動作シーケンスで画像形成を行う画像形成装置では、マゼンタトナー像を基準トナー像とし、その転写開始位置および転写後端位置を、それぞれ「基準転写開始位置」および「基準転写後端位置」とすることができる。
【0039】
また、マゼンタトナー像M2の一次転写が完了すると、3枚目のブラックトナー像の像形成および一次転写処理を行うのであるが、この場合、2枚目と同様に一次転写途中でクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接して中間転写ベルト41を伸びA32だけ伸ばし、副走査方向において(−)方向にレジストズレが発生する。なお、動作シーケンスに対するレジストズレ量の変化を示すプロファイル(以下においては、単に「プロファイル」と称する)は図3と同一であり、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC1を中心として副走査方向の(+)および(−)方向にそれぞれズレ量(A32/2)の範囲内で発生し、画像品質の低下を招いている。
【0040】
さらに、3枚目のカラー画像に続いて、4枚目以降のカラー画像を連続的に形成する場合、上記した2枚目と同様のレジストズレが発生する。
【0041】
A−3.第3印字シーケンス
さらに、この種の画像形成装置では、中間転写ベルト41を空転させることがある。例えばホストコンピュータなどの外部装置からの画像データの間隔が一定以上あくと、中間転写ベルト41を空転させるが、2回以上空転させる必要がある場合には、一旦装置を止めてしまう。このとき、クリーナブレード491は中間転写ベルト41に当接状態となっている。そして、新たに画像形成を開始する場合には、中間転写ベルト41が回転駆動されて画像形成が開始されるが、最初のイエロートナー像を一次転写する際、図5に示す2枚目以降のシアントナー像の場合と同様のレジストズレが発生する。
【0042】
すなわち、図6に示すように、画像形成が再開されて中間転写ベルト41が回転駆動されると、垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT01で出力され、そのタイミングVT01から一定時間A14後にクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間した後、イエロートナー像の一次転写が開始される。そのため、上記「A−2.第2印字シーケンス」のシアントナー像C2の場合と同様の理由により、転写開始位置が(+)方向にズレ量A34だけずれる。つまり、一次転写中での副走査方向におけるレジストズレは、振れ幅中心AC3を中心として振幅量0となっており、一次転写処理中においてレジストズレ量は変化しないものの、振れ幅中心AC4自体が副走査方向(+)にズレ量A34だけ平行シフトしており、これによって画像品質の低下を招いている。
【0043】
そして、続くシアンおよびマゼンタトナー像の一次転写は常時クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間した状態で実行されるため、レジストズレは発生しないが、最後のブラックトナー像については、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に一次転写している最中にクリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接して(−)方向にズレ量A32のレジストズレが発生する。
【0044】
B.第1実施形態(レジスト制御モード)
上記「A.レジストズレの発生要因の解析」の項で詳述したように、像形成・転写処理を繰り返している間に、クリーナブレード491などの当接手段が中間転写ベルト41に離当接すると、離当接タイミングに応じて所定のレジストズレ量が発生する。このプロファイル自体は装置構成や動作条件などによって決まる固有のものであり、装置構成や動作シーケンスを変更しない限り当該プロファイル自体は変化しないが、レジストズレ量に応じて転写開始位置を副走査方向に移動させることで基準トナー像に対するレジストズレをゼロまたは抑制することができる。例えばシアントナー像C2については、図5に示すように、シアントナー像C2の転写開始位置が基準転写開始位置に対して(+)方向にズレ量A34となっており、それ以降ではレジストズレ量の増減が見られないため、シアントナー像C2の転写開始位置が基準転写開始位置からレジストズレ量A34だけ(−)方向にずれるように制御することによって、レジストズレ量をゼロにすることができる。
【0045】
したがって、以下に説明する第1実施形態では、実際の画像形成処理に先立って、装置構成および動作シーケンス等から上記したと同様の解析を予め行ってレジストズレ量を導出し、そのレジストズレ量をゼロあるいは抑制するために必要なレジスト制御量(例えば、上記シアンの場合におけるA34に相当)を求めている。そして、実際の画像形成処理においてはレジスト制御量に基づき転写開始位置を副走査方向に補正することによって、基準トナー色(マゼンタ)以外のトナー色(Y,C,K)の振れ幅中心AC1〜AC4を基準トナー色の振れ幅中心AC0と一致させている。こうすることで、レジストズレを抑制し、高品質な画像を形成することができる。以下、第1実施形態について詳述する。
【0046】
この第1実施形態(および後の実施形態)にかかる画像形成装置は、図19と同一の機械的構成を有する一方、その電気的構成および画像形成方法において従来例にはない顕著な特徴を有している。そこで、以下においては、機械的構成の説明は省略し、電気的構成および画像形成方法を中心に詳述する。
【0047】
B−1.電気的構成について
図7は、この発明にかかる画像形成装置の実施形態を示す電気的構成図であり、すべての実施形態に共通する構成を有している。この画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号が制御ユニット1のメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ12が図19に示すように構成されたエンジン部Eの各部を制御してシート部材Sに画像信号に対応する画像を形成する。
【0048】
このエンジンコントローラ12はCPU121を有しており、エンジン部Eからの入力信号として水平同期用読取センサ36から水平同期信号HSYNCを、また垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCを、さらに定着ユニット5に設けられた温度センサ51から定着温度を示す温度信号を、それぞれ受けている。また、これらの入力信号および各種情報などに基づき、CPU121は感光体21と中間転写ベルト41とを同期して回転駆動する感光体/ベルト駆動部41aと駆動制御するための駆動指令信号を感光体/ベルト駆動制御回路122に与え、この感光体/ベルト駆動制御回路122によってDCモータを駆動源とする感光体/ベルト駆動部41aを制御して感光体21の回転速度および中間転写ベルト41の搬送速度Vを加減速制御している。また、CPU121は後述するレジスト制御量の制定・記憶処理、シーケンスフラグの更新処理、レジスト制御量制定処理などを実行する。
【0049】
また、エンジンコントローラ12には、転写ユニット4を制御する専用の制御回路として、感光体/ベルト駆動制御回路122以外にも転写ローラ離当接制御回路123およびベルトクリーナ離当接制御回路124をさらに備えている。この転写ローラ離当接制御回路123はCPU121から指令信号に基づき二次転写ローラ用駆動部48aを制御して適当なタイミングで二次転写ローラ48を中間転写ベルト41に対して離当接させる。一方、ベルトクリーナ離当接制御回路124はCPU121から指令信号に基づきCB信号をベルトクリーナ用駆動部49aを与えることでベルトクリーナ用駆動部49aを制御して適当なタイミングでクリーナブレード491を中間転写ベルト41に対して離当接させる。
【0050】
なお、図中の符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号125はエンジン部Eを制御するための制御データやCPU121における演算結果などを一時的に記憶するためのRAMであり、さらに符号126はCPU121で行う演算プログラムなどを記憶するROMである。
【0051】
B−2.動作について
次に、この実施形態にかかる画像形成装置の動作について説明する。図8は、上記画像形成装置の動作を示すフローチャートである。この画像形成装置では、装置電源が投入されると、実際の画像形成処理に先立って、レジスト制御量制定工程(ステップS1)を実行して3種類のレジスト制御量を自動的に制定し、記憶部たるRAM125に記憶する。この実施形態では、3種類のレジスト制御量として以下のレジスト制御量Ra,Rb,Rc、つまり、
Ra:例えば図2および図3に示すように、一次転写処理中にクリーナブレード491が当接し、その当接状態のまま一次転写処理を完了することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
Rb:例えば図4に示すように、一次転写開始前にクリーナブレード491が当接し、その当接状態で一次転写処理が継続され、その処理途中でクリーナブレード491が離間することで発生するレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
Rc:例えば図5および図6に示すように、一次転写開始前に当接していたクリーナブレード491が離間し、その後、その離間状態のまま一次転写処理を行う際に生じるレジストズレを補正するためのレジスト制御量、
が制定される。なお、これら3種類のレジスト制御量の自動制定動作(ステップS1)の詳細については、後で詳述する。
【0052】
こうして3種類のレジスト制御量Ra,Rb,Rcの制定(ステップS1)が完了すると、ホストコンピュータなどの外部装置からの印字要求を待つ(ステップS2)。そして、印字要求があると、その印字モードがモノクロ印字か、カラー印字であるかを判断し(ステップS3)、モノクロ印字と判断した場合には、レジスト制御することなく、通常の画像形成処理を実行してステップS2に戻る。一方、ステップS3でカラー印字であると判断した場合には、3つのシーケンスフラグF0,F1,F2のうちから印字シーケンス状態に応じたシーケンスフラグを選択的に設定する(識別変数設定工程:ステップS4)。なお、ここでは、3つのシーケンスフラグF0,F1,F2を準備しているが、これらは上記した第1ないし第3印字シーケンスにそれぞれ対応した識別変数であり、各印字シーケンスを上記した3つのレジスト制御量Ra,Rb,Rcと関連付けることができるからである。
【0053】
図9は、図8のシーケンスフラグの更新内容を示すフローチャートである。このシーケンスフラグの更新処理では、印字内容が1枚目のカラー印字であるか否かを判断する(ステップS41)。そして、1枚目であると判断した場合、つまり第1印字シーケンスが実行されることを検出すると、シーケンスフラグF0を設定する(ステップS42)。一方、ステップS41で、2枚目以降であると判断した場合には、ステップS43に進んで、空転処理が行われているか否かを判断する。
【0054】
空転処理が行われていない、つまり連続印字の場合には、第2印字シーケンスが実行されることから、シーケンスフラグF1を設定する(ステップS44)。一方、空転処理が行われている場合、第3印字シーケンスが実行されることから、シーケンスフラグF2を設定する(ステップS45)。
【0055】
以上のようにして、シーケンスフラグ更新処理(ステップS4)によって印字シーケンスが検出され、それに対応するシーケンスフラグが設定・更新されるが、各シーケンスフラグF0,F1,F2は上記レジスト制御量と以下のような関連付けがなされている。
【0056】
<シーケンスフラグF0:第1印字シーケンス>
第1印字シーケンスは、図9に示したように1枚目のカラー印字、つまり電源投入やスリープモードが解除された後に行う1枚目のカラー画像を形成する場合のものである。このように電源投入やスリープモードが解除された時点では、中間転写ベルト41にトナーは残留しておらず、そのまま一次転写処理を実行することができるため、1枚目のカラー画像形成におけるイエロー、シアン、マゼンタの各トナー像を一次転写する間、クリーナブレード491も二次転写ローラ48も中間転写ベルト41から離間しており、これらの一次転写を行っている際には、レジストズレは発生しない。これに対し、ブラックトナー像を一次転写している最中にクリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接してレジストズレが発生する。
【0057】
そこで、第1印字シーケンスでは、フラグF0が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF0に対応してイエロートナー像Y1、シアントナー像C1、マゼンタトナー像M1のレジスト制御量として「0」が設定される一方、ブラックトナー像K1のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0058】
【表1】
【0059】
<シーケンスフラグF1:第2印字シーケンス>
第2印字シーケンスは、図9に示したように2枚目以降のカラー印字を連続して行う場合のものである。このように2枚目以降では、図4を用いて詳述したようにイエロートナー像の転写開始位置が副走査方向にずれ、また一次転写中においてもクリーナブレード491などの中間転写ベルト41への離当接によってレジストズレ量が変化する。シアントナー像の一次転写中にも、図5を用いて説明したように、転写開始位置が副走査方向にずれる。しかも、ブラックトナー像についても、1枚目と同様に、一次転写している最中にクリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接してレジストズレが発生する。
【0060】
そこで、第2印字シーケンスでは、フラグF1が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF1に対応してイエロートナー像Y2のレジスト制御量として制御量Rbが設定され、シアントナー像C2のレジスト制御量として制御量Rcが設定され、マゼンタトナー像M2のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像(K2)のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0061】
<シーケンスフラグF2:第3印字シーケンス>
第3印字シーケンスは、図9に示したように2枚目以降のカラー印字であるが、その直前に空転処理が行われた場合のものである。このように空転処理が存在する場合、次のn枚目(n≧2)の画像形成を開始すると、すでに説明したように、イエロートナー像を一次転写する前に、クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間し、転写開始位置が副走査方向にずれる(図6)。そして、続くシアンおよびマゼンタトナー像の一次転写は常時クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間した状態で実行されるため、レジストズレは発生しないが、最後のブラックトナー像については、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に一次転写している最中にクリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接してレジストズレが発生する。
【0062】
そこで、この印字シーケンスでは、フラグF2が設定され、表1に示すように、このシーケンスフラグF2に対応してイエロートナー像のレジスト制御量として制御量Rcが設定され、シアントナー像およびマゼンタトナー像のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像のレジスト制御量として制御量Raが設定される。
【0063】
上記のようにして印字シーケンスに対応したシーケンスフラグの更新が完了すると、そのシーケンスフラグに応じたレジスト制御量を設定した(レジスト制御量設定工程:ステップS5)後、各トナー像を一次転写するにあたって、感光体21を所定の加減速可能期間の間に加減速制御して潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量だけシフト移動させる。これによって一次転写される中間転写ベルト41上でのトナー像の転写位置も副走査方向にレジスト制御量だけ移動する。例えば、1枚目のカラー画像を印字する場合には、ステップS4で第1印字シーケンスに対応するシーケンスフラグF0が設定されるため、ステップS5でイエロートナー像Y1、シアントナー像C1、マゼンタトナー像M1のレジスト制御量として「0」が設定される一方、ブラックトナー像K1のレジスト制御量として制御量Raが設定される。したがって、イエロートナー像Y1、シアントナー像C1、マゼンタトナー像M1は、従来例と同様に、すべて感光体21上の所定位置、つまり基準潜像形成位置に形成されることとなり、感光体21と同期して回転する中間転写ベルト41に対しても同一位置で一次転写される。その結果、図10に示すように、これら3つのトナー像Y1,C1,M1の転写開始位置はすべて基準転写開始位置に一致し、しかもそれらの転写後端位置も基準転写後端位置にすべて一致している。
【0064】
一方、ブラックトナー像K1については、レジスト制御量として制御量Raが設定されていることから、図11に示すように、タイミングVT4で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してブラックトナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対し副走査方向の(+)側に制御量Ra(=A32/2)だけシフト移動させる。ここで、「加減速可能期間」とは、VIDEO信号がHレベルにあり、露光処理が停止している間の期間をいう。また、この加減速可能期間T11においては、1つ前のトナー像(マゼンタトナー像M1)の一次転写処理を継続中であるが、この実施形態では中間転写ベルト41は感光体21と同期して駆動制御されるため、感光体21および中間転写ベルト41の加減速制御と並行して一次転写されるトナー像に乱れは生じない。
【0065】
上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Kで顕在化し、そのブラックトナー像K1を中間転写ベルト41上に一次転写する。その結果、図10に示すように、ブラックトナー像K1の転写開始位置は基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけずれる。
【0066】
そして、図11に示すように、この一次転写処理が進行し、その後半部分に差し掛ったタイミングt1で、クリーナブレード491の動作を制御するCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接してブラックトナー像K1がその他のトナー像Y1,C1,M1に対して副走査方向にずれる。さらに当該当接状態がタイミングt2まで継続され、その結果、レジストズレはさらに大きくなるが、最終的なブラックトナー像K1の副走査方向におけるレジストズレ量は、(−)方向にズレ量(A32/2)となる。つまり、ブラックトナー像K1の転写開始位置を基準転写開始位置に対して(+)方向にレジスト制御量Raだけ移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させており、こうすることで、すべてのトナー色について一次転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致している。
【0067】
この結果、この実施形態では、図10に示すように、ブラックトナー像K1は他のトナー像Y1,C1,M1に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図2および図3)の半分になる。
【0068】
このようにしてレジスト制御量に基づきレジストズレを抑制しながら、1枚目のカラー画像の形成が完了すると、ステップS7で印字を終了したか否かを判断し、印字終了と判断した場合には、ステップS2に戻り、次の印字要求を待つ。一方、印字が終了していないと判断した場合には、ステップS3に戻り、上記と同様の処理を繰り返す。したがって、上記したように1枚目のカラー画像形成に続いて2枚目のカラー画像を形成する場合(第2印字シーケンス)には、ステップS3からさらにステップS4に進み、シーケンスフラグとしてフラグF1が設定された後、以下のようにして、レジストズレを抑えて高品質な画像形成が可能となる。
【0069】
すなわち、ステップS5でそのシーケンスフラグF1に対応するレジスト制御量が設定される。つまり、イエロートナー像Y2のレジスト制御量として制御量Rbが設定され、シアントナー像C2のレジスト制御量として制御量Rcが設定され、マゼンタトナー像M2のレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像K2のレジスト制御量として制御量Raが設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0070】
まず、イエロートナー像Y2については、レジスト制御量として制御量Rbが設定されていることから、図12に示すように、タイミングVT5で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21を加減速制御してイエロートナー像の潜像形成位置を基準潜像形成位置に対して副走査方向の(+)側に制御量Rbだけシフト移動させる。そして、この潜像を現像器23Yで顕在化する。
【0071】
そして、タイミングt1でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、離間していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接する。その後、同図の太実線で示すプロファイルでレジストズレ量が変化しながら、イエロートナー像Y2の転写処理が行われて転写後端側で(+)方向に(A26/2)だけずれるが、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対する最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図4)に比べて大幅に縮小される。
【0072】
このように、この実施形態では、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Rbだけ基準潜像形成位置に対して副走査方向にシフト移動させることで2枚目のイエロートナー像Y2の転写開始位置を調整している。これにより、イエロー色についての振れ幅中心AC2を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量を振れ幅(A26/2)の範囲内に抑制することができる。
【0073】
イエロートナー像Y2に続いて、シアントナー像C2の一次転写処理が行われるが、このシアントナー像C2のレジスト制御量として制御量Rcが設定されている。そのため、図13に示すように、タイミングVT6で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の回転速度および中間転写ベルト41の搬送速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転搬送する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ベルト41の搬送量をレジスト制御量Rcだけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rcだけシフト移動する。
【0074】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Cで顕在化し、そのシアントナー像C2を中間転写ベルト41上に一次転写する。したがって、クリーナブレード491の離当接によるレジストズレ量(A26)と、感光体21上でのトナー像C2のシフト量Rcとが一致してシアントナー像C2の転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0075】
また、シアントナー像C2の中間転写ベルト41への一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、シアントナー像C2の転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0076】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41を加減速制御することで、シアン色についての振れ幅中心AC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像M2)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0077】
シアントナー像C2に続いてマゼンタトナー像M2の一次転写処理が実行されるが、この転写処理においては、クリーナブレード491および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、マゼンタトナー像M2の転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0078】
こうして、3色のトナー像Y2,C2,M2が完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像K2の一次転写処理が実行される。この一次転写処理では、1枚目のブラックトナー像K1の場合と同様に、感光体21上での潜像形成位置をレジスト制御量Rbだけ副走査方向にシフト移動させることで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。
【0079】
したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図2および図3)の半分になる。
【0080】
このように、2枚目についても、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとに対応するレジスト制御量に基づき感光体21の回転速度および中間転写ベルト41の搬送速度を同期して加減速制御することでトナー像の転写開始位置を補正している。その結果、シアントナー像C2を基準トナー像であるマゼンタトナー像M2に完全にレジストさせることができるとともに、イエロートナー像Y2およびブラックトナー像K2については基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0081】
また、シーケンスフラグF2が設定されている場合には、イエロートナー像Ynのレジスト制御量として制御量Rcが設定され、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnのレジスト制御量として「0」が設定されるとともに、ブラックトナー像Knのレジスト制御量として制御量Raが設定される。そして、各トナー像についてレジスト制御が実行される。
【0082】
まず、イエロートナー像Ynについては、レジスト制御量として制御量Rcが設定されていることから、図14に示すように、タイミングVT01で出力された垂直同期信号VSYNCを基準として加減速可能期間T11のタイミングt11で、感光体21の回転速度および中間転写ベルト41の搬送速度Vを一時的に遅くすることで、一定速度で回転搬送する場合(基準トナー像、つまりマゼンタトナー像の場合)に比べて感光体21の回転量および中間転写ベルト41の搬送量をレジスト制御量Rcだけ少なくする。その結果、感光体21上での潜像形成位置が基準潜像形成位置に対して副走査方向にレジスト制御量Rcだけシフト移動する。
【0083】
そして、上記のようにして感光体21の上に形成された潜像を現像器23Yで顕在化し、そのイエロートナー像Ynを中間転写ベルト41上に一次転写する。したがって、クリーナブレード491の離当接によるレジストズレ量(A26)と、感光体21上でのトナー像Ynのシフト量Rcとが一致してイエロートナー像Ynの転写開始位置は基準転写開始位置と一致する。
【0084】
また、イエロートナー像Ynの中間転写ベルト41への一次転写処理が開始される前のタイミングt4でCB信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、当接していたクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間しているため、一次転写処理中でのレジストズレは生じない。このため、イエロートナー像Ynの転写後端位置は転写後端位置と一致する。
【0085】
このように、この実施形態では、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41を加減速制御することで、イエロー色についての振れ幅中心AC4を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。このため、基準トナー像(マゼンタトナー像Mn)に対するズレ量をゼロに抑制することができる。
【0086】
イエロートナー像Ynに続いて、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像Mnの一次転写処理が順次行われるが、これらの転写処理においては、クリーナブレード491および二次転写ローラ48の離当接は一切なく、両トナー色についての振れ幅中心は相互に一致しており、両トナー像CnおよびMnの転写開始位置および転写後端位置はそれぞれ基準転写開始位置および転写後端位置と一致する。
【0087】
こうして、3色のトナー像Yn,Cn,Mnが完了すると、次に最終トナー色、つまりブラックトナー像Knの一次転写処理が実行される。この一次転写処理では、第1および第2印字シーケンスの場合と同様に、レジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41を加減速制御することで、ブラック色についての振れ幅中心AC1を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0と一致させている。したがって、基準トナー像に対して転写開始側で(+)方向に(A32/2)だけずれるとともに、転写後端側で(−)方向に(A32/2)だけずれており、最大ズレ量はレジスト制御を行わない場合(図2および図3)の半分になる。
【0088】
このように、空転処理後のカラー印字についても、すべてのトナー色について、転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心が相互に一致するように、各トナー色ごとにレジスト制御量Rcに基づき感光体21および中間転写ベルト41を加減速制御することで、トナー像の転写開始位置を補正している。その結果、イエロートナー像Yn、シアントナー像Cnおよびマゼンタトナー像(基準トナー像)Mnを完全にレジストさせることができるとともに、ブラックトナー像Knについては基準トナー像に完全にレジストすることができないまでも、レジストズレ量を最小限に抑えることができ、高品質な画像形成が可能となる。
【0089】
B−3.作用効果について
以上のように、この第1実施形態によれば、当接手段(二次転写ローラ48およびクリーナブレード491)が中間転写ベルト41に当接することでレジストズレが発生するが、ブラック、イエローおよびシアン色について、一次転写処理中における各トナー色ごとの副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心AC1,AC2(またはAC4)およびAC3を基準トナー色であるマゼンタ色についての振れ幅中心AC0に一致させることで、すべてのトナー色の間でのレジストズレを最小限に抑制して高品質なカラー画像が得られる。
【0090】
また、この実施形態では次のような作用効果が得られる。すなわち、上記のようにクリーナブレード491が当接してレジストズレを発生させるが、ズレ量を抑制するために例えば中間転写ベルト41のヤング率を高くし当接時の弾性伸びを抑制することも考えられるが、これでは使用可能なベルト材質が限定されてしまい、コスト増大を招いていしまう。また、既に設計・製造されている装置に対しては、そのまま適用できず、装置改良が必要となってしまう。これに対して、上記実施形態によれば、装置構成の依存せずにレジストズレを抑制し、画像品質を向上させることができ、より汎用性の高い技術といえる。
【0091】
B−4.レジスト制御量の制定処理について
図15は、レジスト制御量を自動的に制定する処理内容を示すフローチャートである。まず、第1実施形態にかかる画像形成装置の装置構成および動作シーケンスに基づき以下の初期設定条件を予め設定し、ROM126に記憶させておく。そして、図16に示すように、VSYNC信号を基準として、(1)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接する周期T1、(2)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接し続ける周期T2、(3)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41から離間する周期T3、および、(4)クリーナブレード491および二次転写ローラ48が中間転写ベルト41から離間し続ける周期T4を1ジョブとするレジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を、所定回数、例えば20回繰り返す(ステップS12)。
【0092】
なお、初期条件は、
A2:プロセス速度(中間転写ベルト41の周速)、
A7:クリーナブレード491の当接からブラックトナー像の一次転写終了までの時間(図3および図11参照)、
A8:中間転写ベルト41が一周するのに要する時間
A10:クリーナブレード当接からイエロートナー像の一次転写開始までの時間(図4および図12参照)、
A12:イエロートナー像の転写開始位置からクリーナブレード離間までの時間(図4および図12参照)、
A14:VSYNC信号からクリーナブレード離間までの時間(図5および図13参照)、
A17:周期T1におけるVSYNC信号からクリーナブレード当接までの時間間隔(図16参照)、
A18:周期T3におけるVSYNC信号からクリーナブレード離間までの時間間隔(図16参照)、
となっている。
【0093】
また、この実施形態では、レジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を繰り返して実行している間、帯電バイアスおよび一次転写バイアスについては常時ON状態に設定されている。また、図19への図示を省略しているが、一次転写領域R1と感光体用クリーナブレード24との間に除電ランプが設けられているが、この除電ランプも常時ON状態に設定されている。さらに、二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に当接している間、二次転写バイアスを与えて実印字に近い状態でレジスト制御量を求めている。
【0094】
こうして、各周期T1〜T4について、それぞれ20個の実測値が得られると、これらの平均値T1(av)〜T4(av)をそれぞれ演算する(ステップS13)。さらに、レジスト制御量Ra,Rb,Rcをそれぞれ以下の数式に基づき演算によって求める(ステップS14)。なお、その理由について、それぞれ分けて説明する。
【0095】
<レジスト制御量Raについて>
図3に示すように、ブラックトナー像K1を中間転写ベルト41に一次転写している最中に、クリーナブレード491の当接が開始され、例えばA3サイズのブラックトナー像K1の一次転写が完了する時点においてもクリーナブレード491の当接が継続されているため、副走査方向におけるレジストズレ量A32が発生する。そのレジストズレ量A32は2つの伸びA6,A27の総和となる。つまり、
A32=A6+A27
となる。
【0096】
ここで、当接伸びA6は、クリーナブレード491が当接した状態で中間転写ベルト41が回転搬送されることで発生する当接伸びであり、伸びA27は、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接した時の瞬間伸び(弾性分+滑り分)である。
【0097】
まず、伸びA6について検討する。クリーナブレード491が当接していることで、周期差A1が発生するが、この周期差A1については次式、
A1=(T2(av)−T4(av))×A2×1000
で求めることができる。そして、ブラックトナー像K1の一次転写中においてクリーナブレード491は所定時間A7だけしか当接していないので、当接伸びA6は、
A6=A1×A7/A8
となる。
【0098】
一方、瞬間伸びA27は、周期T1,T4を比較することで求めることができる。すなわち、瞬間伸びA27は、次式
A27=(T1(av)−T4(av))×A2×1000−A15
で求めることができる。ただし、伸びA15は、図16に示すように、周期T1中においてクリーナブレード491が所定時間A17だけ当接していることによる伸びであり、この伸びA15は、
A15=A1×(A8−A17)/A8
で求めることができる。
【0099】
したがって、レジストズレ量A32を、
A32=A6+A27
によって求めることができ、この半分の値だけ予め転写開始位置を基準転写開始位置に対して副走査方向にずらしておくことでブラックトナー像K1のレジストズレを最小限に抑えることができる。そこで、この実施形態では、レジスト制御量Raを、
Ra=A32/2
に設定している。
【0100】
<レジスト制御量Rbについて>
図4に示すように、ブラックトナー像K1の一次転写に続いてイエロートナー像Y2を中間転写ベルト41に一次転写する場合、クリーナブレード当接からイエロートナー像の一次転写開始までの時間A10の間に副走査方向に伸びA30(=A27+A9)が発生している。また、一次転写が開始された後もクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接しているために伸びA11が生じる反面、一次転写が完了する直前にクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間し、縮みA26が発生する。したがって、同図に示すように、縮みA26が伸びA11よりも大きな場合には、レジスト制御量Rbを、
Rb=A35−A26/2
ただし、A35=A30+A11
に設定する一方、逆の場合(A26<A11)には、レジスト制御量Rbを、
Rb=A35−A11/2
に設定することで、イエロートナー像のレジストズレを最小限に抑えることができる。
【0101】
ここで、一次転写開始時点での伸びA30は、上記したように、
A30=A27+A9
となるが、伸びA9はクリーナブレード491が当接した状態で中間転写ベルト41が時間A10の間だけ回転搬送されることにより生じた伸びであり、次式
A9=A1×A10/A8
で求めることができる。
【0102】
また、伸びA11は一次転写が開始された後もクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接しているために生じた伸びであり、次式
A11=A1×A12/A8
で求めることができる。
【0103】
さらに、縮みA26は、クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間したことによるものであり、周期T3,T4を比較することで求めることができる。すなわち、次式
A26=A25−(T3(av)−T4(av))×A2×1000
に基づき求めることができる。なお、同式中のA25は、図16に示すように、周期T3における伸びであり、次式
A25=A1×A18/A8
で求めることができる。
【0104】
<レジスト制御量Rcについて>
図5に示すように、イエロートナー像の一次転写に続いてシアントナー像を中間転写ベルト41に一次転写する場合、当該一次転写の基準となるVSYNC信号VT6が出力された時点でクリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接されており、その後、シアントナー像の一次転写が開始されるまでに、時間A14の間だけ当接状態のまま中間転写ベルト41が回転搬送されるため、伸びA13が発生する。つまり、その伸びA13は、
A13=A1×A14/A8
となる。
【0105】
また、クリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間すると、上記<レジスト制御量Rbについて>の項で説明したように、縮みA26が発生する。したがって、シアントナー像の一次転写開始時点では、レジストズレ量A34(=A13−A26)が生じているが、一次転写をしている間では、副走査方向におけるズレは発生しない。そこで、この実施形態では、この値(レジストズレ量A34)だけ予め転写開始位置を副走査方向にずらしておくことでシアントナー像のレジストズレをゼロに抑えることができるため、レジスト制御量Rcを、
Rc=A34
に設定している。
【0106】
以上のように、このレジスト制御量の制定処理においては、二次転写ローラ48を中間転写ベルト41に当接している間、二次転写バイアスを与えているが、これはレジスト制御量を制定する上で必須の要件ではなく、二次転写バイアスを与えない、あるいは二次転写バイアスと逆極性のバイアスを与えるようにしてもよく、それぞれの場合で以下のような効果が得られる。すなわち、二次転写バイアスを与えない場合には、レジスト制御量の制定処理を簡素化することができる。また、二次転写バイアスを与えた場合には、二次転写ローラ48によって中間転写ベルト41や感光体/ベルト駆動部41aに対して与える負荷が実印字状態に近づき、レジスト制御量を正確に求めることができる。さらに、逆極性のバイアスを与える場合には、二次転写ローラ48に付着したトナーを中間転写ベルト41側に戻して二次転写ローラ48をクリーニングして二次転写ローラ48によるシート部材の裏汚れを防いで、良好な印字結果を得ることができる。
【0107】
また、上記したレジスト制御量の制定処理では、一次転写バイアスを中間転写ベルト41に与えて実印字に近い状態でレジスト制御量を求めているため、レジスト制御量を正確に求めることができる。
【0108】
さらに、上記したレジスト制御量の制定処理では、駆動開始からレジスト制御量制定ジョブ(ステップS11)を20回繰り返し(ステップS12)、周期T1〜T4の実測値をそれぞれ20個ずつ測定し、これらの実測値に基づきレジスト制御量を求めている。しかしながら、駆動開始直後において、中間転写ベルト41の回転搬送が安定していないことがあり、このような状態で実測した周期T1〜T4に基づきレジスト制御量を求めたのでは、レジスト制御量の精度が低下してしまうおそれがある。そこで、このような問題を解消するためには、駆動開始から所定回数だけ中間転写ベルト41が回転搬送され、その動作が安定した後で、各周期T1〜T4を実測し、それらの実測値に基づきレジスト制御量を求めるようにすればよく、こうすることで、レジスト制御量を精度良く求めることができる。
【0109】
なお、上記実施形態では、マゼンタ色を基準トナー色とし、その他のトナー色(イエロー、シアンおよびブラック色)の振れ幅中心がマゼンタ色について振れ幅中心に一致させているが、マゼンタ色以外のトナー色を基準トナー色としてもよい。ただし、この実施形態では、4つのトナー色をイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびブラック(K)の順番で行い、マゼンタのトナー像が第3番目に一次転写されるため、上記したように当接手段(二次転写ローラ48やクリーナブレード491)の離当接による影響を最も受けないため、マゼンタ色は基準トナー色とする上で好適であるといえる。また、基準トナー色を設けずに、すべてのトナー色についての振れ幅中心を適当な位置、例えば図5に示すように直線AC00(「副走査方向におけるレジストズレ量=k」)で相互に一致させるようにしてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、すべてのトナー色について各振れ幅中心を相互に一致させているが、4種類のトナー色のうち少なくとも2色について各振れ幅中心を相互に一致させることによって画像品質を向上させることが可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、感光体21と中間転写ベルト41とを同一の感光体/ベルト駆動部41aで駆動制御することで両者を同期して駆動しているが、感光体21を駆動制御する感光体駆動部と、中間転写ベルト41を駆動制御するベルト駆動部とを設け、感光体21と中間転写ベルト41とを同期駆動するようにしてもよい。
【0112】
また、上記のように感光体駆動部とベルト駆動部とを別個に設けた場合には、感光体21を一定速度で回転駆動する一方、中間転写ベルト41のうちトナー像の形成されない領域が一次転写領域R1に位置している期間(一次転写を行わない期間)において、レジスト制御量に基づき中間転写ベルト41のみを可変速制御して転写開始位置を調整するようにしてもよい。
【0113】
C.第2実施形態(レジスト優先モード)
この第2実施形態は、第1実施形態と異なり、レジスト制御量の制定処理やレジスト制御量に基づく転写開始位置の補正などを行うことなく、カラー画像形成の間に3回転の空転処理を入れ、その空転処理中に二次転写処理およびクリーニング処理を実行している。以下、図17を参照しつつ第2実施形態における印字動作について詳述する。
【0114】
図17は、この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態における動作シーケンスを示すタイミングチャートである。この実施形態では、装置電源を投入した後、あるいは画像形成装置のスリープモードが解除されると、同図に示すように中間転写ベルト41が回転搬送されて垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCが間欠的に出力される。そして、垂直同期信号VSYNCがタイミングVT1で出力されると、この垂直同期信号VSYNCを基準信号とし、それから一定時間をおいてイエロートナー像Y1が感光体21上に形成されるとともに、そのトナー像が中間転写ベルト41上に一次転写される。なお、かかる一連の処理をこの明細書では「像形成・転写処理」と称する。
【0115】
また、イエロー色についての一次転写が実行されている間に、次の垂直同期信号VSYNCがタイミングVT2で出力されるが、この垂直同期信号VSYNCを基準信号としてシアン色についての像形成・転写処理が実行される。また、同様にしてマゼンタ色およびブラック色についての像形成・転写処理が実行される。その結果、4色のトナー像が中間転写ベルト41上で重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0116】
この実施形態では、最終トナー色であるブラックについて像形成・転写処理に続いて中間転写ベルト41を3回転だけ空転させる。この間、像形成・転写処理を実行しない一方、中間転写ベルト41が1回転だけ空転した後、2回転目で二次転写ローラ48がシート部材Sを挟んで中間転写ベルト41に当接してカセットなどから給紙されてきたシート部材Sにカラー画像を二次転写する(二次転写処理)とともに、クリーナブレード491が中間転写ベルト41に当接して当該ベルト表面に残存しているトナーが除去される(クリーニング処理)。さらに、中間転写ベルト41が1回転だけ空転する。
【0117】
このように、最終トナー色たるブラック色についての像形成・転写処理が完了した後で二次転写ローラ48およびクリーナブレード491を中間転写ベルト41に当接させているので、中間転写ベルト41に弾性的な伸びなどが生じていない安定した状態のまま、全てのトナー色について像形成・転写処理を実行することができる。その結果、中間転写ベルト41の弾性的な伸びなどに起因するレジストズレを確実に防止して高品質なカラー画像を形成することができる。
【0118】
また上記のように中間転写ベルト41が3回転だけ空転している間に、二次転写処理およびクリーニング処理が完了し、二次転写ローラ48およびクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間すると、その離間後に垂直同期用読取センサ40から垂直同期信号VSYNCがタイミングVT8で出力される。すると、上記と同様にして2枚目のイエロー色についての像形成・転写処理が実行される。また、シアン色、マゼンタ色、ブラック色についても順次像形成・転写処理が実行されて2枚目のカラー画像が形成される。
【0119】
このように、この実施形態によれば、二次転写ローラ48およびクリーナブレード491が中間転写ベルト41から離間して中間転写ベルト41が安定状態に戻った後で次のトナー像についての像形成・転写処理を実行するように構成しているので、2枚目のトナー像についてもレジストズレを確実に防止することができ、高品質なカラー画像を形成することができる。
【0120】
なお、上記実施形態では、1枚目のカラー画像を形成する第1カラー画像形成工程と、2枚目のカラー画像を形成する第2カラー画像形成工程とを連続的に実行する場合を例示して説明しているが、2枚目のカラー画像に続いて3枚目以降のカラー画像を形成する場合についても全く同様である。つまり、n(n≧1)枚目のカラー画像を形成する第1カラー画像形成工程における最終トナー色の像形成・転写処理が本発明の「第1処理」に相当し、また(n+1)枚目のカラー画像を形成する第2カラー画像形成工程における最初のトナー色の像形成・転写処理が本発明の「第2処理」に相当するが、これら第1および第2処理の間で中間転写ベルト41を3回転だけ空転させるとともに、その空転処理中に二次転写処理およびクリーニング処理を実行すればよい。また、空転回数は3回転に限定されるものではなく、4回転以上空転させるようにしてもよい。
【0121】
D.第3実施形態(モード切替)
上記第1実施形態(レジスト制御モード)では像形成・転写処理の繰返し中に、中間転写ベルト41に対して当接手段(二次転写ローラ48およびクリーナブレード491)が離当接するため、上記レジスト優先モードに比べ、優れた処理効率を有し、高いスループットが可能となる。一方、上記第2実施形態(レジスト優先モード)ではレジストズレを確実に防止して高品質なカラー画像の形成を可能としている。これらの実施形態を対比すると、スループットの観点から見れば第1実施形態が優れている一方、画像品質の観点から見れば第2実施形態が優れているといえる。すなわち、スループットを重視する場合には第1実施形態を実行するのが好ましく、画像品質を最優先する場合には第2実施形態を実施するのが好ましい。
【0122】
そこで、この第3実施形態では、レジスト制御モードとレジスト優先モードとを実行可能に構成するとともに、図18に示すように、まずステップS101でいずれの処理モードで画像形成を実行するかを選択している。ここでは、ユーザが明示的に処理モードを選択指定するように構成してもよいし、またカラー画像を形成するシート部材Sの種類などに基づき制御ユニット1が自動設定するように構成してもよい。
【0123】
そして、レジスト制御モードが選択された場合には、ステップS102に進んで「B.第1実施形態(レジスト制御モード)」の項で詳述した動作フローにしたがってカラー画像形成を実行する。一方、レジスト優先モードが選択された場合には、ステップS103に進んで「C.第2実施形態(レジスト優先モード)」の項で詳述した動作フローにしたがってカラー画像形成を実行する。
【0124】
この実施形態によれば、レジスト制御モードとレジスト優先モードとを有し、これら2つのモードのうちの一のモードを選択可能となっており、その選択されたモードで制御ユニット1が二次転写ローラ48およびクリーナブレード491の中間転写ベルト41への離当接動作を制御するように構成しているので、画像品質および処理時間などに応じてモードを適切に切り替えてカラー画像形成を行うことができる。
【0125】
E.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態にかかる画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート部材に印字するプリンタであるが、本発明は複写機やファクシミリ装置などの電子写真方式のカラー画像形成装置、つまり複数色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置全般に適用することができる。
【0126】
また、上記実施形態では、像形成・転写処理を各トナー色について実行して中間転写ベルト41上にカラー画像を形成しているが、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写ベルト、転写シート、中間転写ドラム、中間転写シート、反射型記録シートあるいは透過性記憶シートなど)にトナー像を転写してカラー画像を形成する画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0127】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、複数のトナー色のうち最終トナー色についての像形成・転写処理が完了した後で当接手段をベルト状転写媒体に一時的に当接させているため、ベルト状転写媒体に弾性的な伸びなどが生じていない安定した状態のまま像形成・転写処理が実行されることとなり、ベルト状転写媒体の弾性的な伸びなどに起因するレジストズレを確実に防止して高品質なカラー画像を形成することができる。また、当接手段がベルト状転写媒体から離間した後に次のトナー像の像形成・転写処理を開始するように構成しているので、次のトナー像についてもレジストズレを確実に防止して高品質なカラー画像を形成することができる。
【0128】
また、レジスト制御モードとレジスト優先モードとを有し、これら2つのモードのうちの一のモードを選択可能となっており、その選択されたモードで当接手段のベルト状転写媒体への離当接動作を制御するように構成することで、画像品質および処理時間などに応じてモードを適切に切り替えてカラー画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に適用対象である画像形成装置における動作タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図2】レジスト制御を行うことなしに図1の動作タイミングで像形成・転写処理を行った場合の各トナー像のレジスト状況を模式的に示す図である。
【図3】レジスト制御を行うことなしにブラックトナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図4】レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図5】レジスト制御を行うことなしにシアントナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図6】レジスト制御を行うことなしにイエロートナー像を転写した際のレジストズレ状況を示す図である。
【図7】この発明にかかる画像形成装置の実施形態を示す電気的構成図である。
【図8】第1実施形態にかかる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8のシーケンスフラグの更新内容を示すフローチャートである。
【図10】レジスト制御しながら、図1の動作タイミングで像形成・転写処理を行った場合の各トナー像のレジスト状況を模式的に示す図である。
【図11】図8に示す画像形成装置においてブラックトナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図12】図8に示す画像形成装置においてイエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図13】図8に示す画像形成装置においてシアントナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図14】図8に示す画像形成装置においてイエロートナー像を転写する際のレジスト制御内容を示す図である。
【図15】レジスト制御量を自動的に制定する処理内容を示すフローチャートである。
【図16】レジスト制御量制定ジョブの内容を示すタイミングチャートである。
【図17】この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態における動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図18】この発明にかかる画像形成装置の第3実施形態にかかる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】この発明の背景技術となる画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…制御ユニット(制御手段)
4…転写ユニット
11…メインコントローラ
12…エンジンコントローラ(制御手段)
21…感光体
40…垂直同期用読取センサ
41…中間転写ベルト(転写媒体)
48…二次転写ローラ(当接手段)
121…CPU(制御手段)
123…転写ローラ離当接制御回路
124…ベルトクリーナ離当接制御回路
491…クリーナブレード(当接手段)
AC00,AC0〜AC4…振れ幅中心
C1,C2,Cn…シアントナー像
E…エンジン部
K1…ブラックトナー像
M1,M2…マゼンタトナー像
Ra,Rb,Rc…レジスト制御量
VSYNC…垂直同期信号(基準信号)
Y1,Y2,Yn…イエロートナー像
Claims (1)
- 基準信号に基づき感光体上にトナー像を形成するとともに当該トナー像を副走査方向に回転移動するベルト状転写媒体に転写する像形成・転写処理を、互いに異なる複数のトナー色について繰り返して各トナー色のトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置において、
前記ベルト状転写媒体に対して離当接自在に設けられた当接手段と、
下記のレジスト制御モードと下記のレジスト優先モードとを有し、これら2つのモードのうちの一のモードを選択可能となっており、その選択されたモードで前記当接手段の前記ベルト状転写媒体への離当接動作を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
前記レジスト制御モードとは、前記像形成・転写処理を繰り返している際に前記ベルト状転写媒体に対して一時的に前記当接手段を当接させるとともに、前記基準信号に基づき、
(1)前記ベルト状転写媒体から離間していた前記当接手段が前記ベルト状転写媒体に当接した場合の周期と、
(2)前記当接手段が前記ベルト状転写媒体に当接し続ける場合の周期と、
(3)前記ベルト状転写媒体に当接していた前記当接手段が前記ベルト状転写媒体から離間した場合の周期と、
(4)前記当接手段が前記ベルト状転写媒体から離間し続ける場合の周期と
を測定し、これらの周期の相違量から、前記当接手段が前記ベルト状転写媒体に離当接することによって生じる前記ベルト状転写媒体上でのトナー像の相対的なレジストズレを補正するために必要なレジスト制御量を求めるとともに、該レジスト制御量に基づいて前記複数のトナー色のうち少なくとも2つ以上のトナー色について、前記像形成・転写処理中における各トナー色ごとの前記副走査方向におけるレジストズレの振れ幅中心を、相互に一致させるモードである。
前記レジスト優先モードとは、前記複数のトナー色のうち最終トナー色についての像形成・転写処理が完了した後に前記当接手段を前記ベルト状転写媒体に一時的に当接させ、しかも、前記当接手段を前記ベルト状転写媒体から離間させた後に次のトナー像の像形成・転写処理を開始するモードである。
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