JP3893162B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真複写機、スキャナー、ファックス等の画像処理装置に関し、特にデジタル的に処理する画像処理装置の地肌除去機能に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、地肌除去機能を有した画像処理装置であって、原稿画像データをデジタル的に処理する画像処理装置において、地肌除去機能を働かせる場合には、基準白板の読み取り値と、あらかじめ定められた値とを比較してシェーディングデータを生成し、原稿の地肌部読み取りデータと一致させるように地肌濃度検出部の利得を調整していた。その際、地肌濃度検出時の地肌データにノイズが重畳してもその影響を受けないように、ノイズ分を吸収し得る程度に地肌濃度検出部の利得を大きく調整していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように地肌濃度検出部の増幅器の利得を調整する方法では、個々の装置毎に調整するのが面倒であり、しかも調整後の部品の経年変化等によって増幅器の利得が変動する虞もあって、高品質の画像を長期間に亙って維持することができなかった。また、シェーディングデータを上記地肌濃度検出部と同一回路を使って生成するように構成すれば、利得調整用に用いているボリュウム等の可変手段を省略することが出来るが、この方法では地肌濃度検出部の利得をノイズ分を吸収するように調整出来なくなるため、地肌検出部の画像データにはノイズ分がデータとして出力されてしまい、高精度な地肌飛ばしが不可能になると云う不具合を生じていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は上述したような従来の画像処理装置における問題点を解決するためになされたものであって、地肌濃度検出部の増幅器の利得調整の面倒さを除去し、しかも、経年変化による地肌濃度検出時のノイズ分の影響をなくし高精度な地肌飛ばしが可能な画像処理装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は上記目的を達成するために、基準白板を読み取ってシェーディングデータを作成して原稿画像データをシェーディング補正するとともに、原稿の地肌を除去する画像処理装置において、基準白板と原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた信号のレベルを可変利得で増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力信号を基準電圧に基づいてA/D変換するA/D変換手段と、前記増幅手段の出力信号のピーク値を検出するとともに、前記基準白板のピーク値検出時には時定数を短くし、前記原稿の地肌のピーク値検出時には時定数を長くして検出するピーク検出手段と、前記読取手段が基準白板と原稿の地肌を読み取る時に前記ピーク検出手段により検出されたピーク値を前記基準電圧として前記A/D変換手段に印加する手段と、前記A/D変換手段により変換された値に基づいて黒オフセットレベル値を検知する黒レベル検知手段と、地肌データのノイズ分を抑制するようにあらかじめ定められた値を出力するノイズ抑制手段と、前記A/D変換手段の出力に対して前記黒レベル検知手段の出力及び前記ノイズ抑制手段の出力を加減算することにより前記A/D変換手段の出力を補正する補正手段と、前記読取手段が基準白板と原稿の地肌を読み取る時に前記補正手段の出力が所定値になるように前記増幅手段の可変利得を制御する利得制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記補正手段は基準白板を読み取る時に、A/D変換手段の出力から前記黒レベル検知手段の出力と前記ノイズ抑制手段の出力を減算することにより前記シェ−ディングデ−タを作成することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像処理装置において、前記補正手段は原稿の地肌を読み取る時に、前記A/D変換手段の出力から前記黒レベル検知手段の出力を減算し、前記ノイズ抑制手段の出力を加算することを特徴とする。
【0006】
【作用】
本発明によれば、基準白板を読んでシェーディングデータを生成する際も地肌濃度を検出する際にもそのピーク値を基準電圧としてA/D変換手段に印加し、A/D出力の補正手段の出力が所定値になるように、読取手段により読み取られた信号のレベルを増幅する増幅手段の可変利得を制御するので、地肌濃度検出部の増幅器の利得調整の面倒さを除去することができ、また、A/D変換手段の出力から黒オフセットレベル値と地肌データのノイズ分を抑制する値を加減算するので、地肌濃度検出時にノイズがあってもその影響を除去することができる。
【0007】
また、基準白板を読み取る時にA/D変換手段の出力から黒レベル検知手段の出力とノイズ抑制手段の出力を減算することによりシェ−ディングデ−タを作成するので、シェーディングデータ値からノイズ分に相当する値を前以て減算することによって、地肌検出時のデータにノイズ分が含まれていても、その影響を受けることなく地肌を正しく検出可能となる。
【0008】
また、原稿の地肌を読み取る時にA/D変換手段の出力から黒レベル検知手段の出力を減算し、ノイズ抑制手段の出力を加算するので、地肌検出時のデータにノイズ分が重畳し出力が減少しても、地肌濃度検出時の地肌データ値はノイズ分の影響を受けることはない。
【0009】
【実施例】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。ここに示す実施例では、画像処理装置として代表的な電子写真複写機(以下、複写機と記す)のスキャナー部を例に説明するが、本発明はこの例に限らず他の画像処理装置にも同様に適用可能である。図2は、本発明を適用した複写機のスキャナー部を示す側面構成図である。同図に示すスキャナーは、原稿を載置するコンタクトガラス21と、その上に載置された原稿22と、基準白板23と、主走査方向スケール24と、光源25、第一ミラー26、第二ミラー27、第三ミラー28とからなる光学系と、レンズ29と、CCD等の読取り手段1とを備えたものである。
【0010】
この構成において、動作を簡単に説明すれば、コンタクトガラス21上に置かれた原稿22が読み取られる前に、光源25の光源自身によるバラツキや、温度、経時変化によるバラツキを補正したり、光源25やCCD等の読み取り素子1aの主走査方向(図面に対し垂直方向)1ラインのバラツキを補正する。そのために、光源25、第一ミラー26、第二ミラー27、第三ミラー28からなる光学系を最右端の主走査方向スケール24付近に位置するホームポジッション(図中にH・Pで指示)に移し、そこからあらかじめ定められた速度で左方向(副走査方向)に移動させ、基準白板23上に光学系が位置したときに基準白板23上の主走査方向1ラインを光源25で照射すると共に、反射光を第一ミラー26、第二ミラー27、第三ミラー28でレンズ29に導き、読み取り素子1aによって読み取る。その際、先ず光源25の光源自身によるバラツキや、温度、経時変化によるバラツキを補正するために、読み取り出力のピーク値があらかじめ定められている目標値になるように読取手段1の中のGCA増幅器1Cの利得を調整するようになっている(図1参照)。
【0011】
図3はコンタクトガラス21上に置かれた原稿22を上方から見た図で、原稿22は主走査方向スケール24と副走査方向スケール30に、原稿22の直交する2辺が当接するように置かれている。この例では原稿22上の斜線範囲22aが地肌を検知する部分に当る。主走査方向スケール24の下部であってコンタクトガラス21に隣接する部分には上述したように基準白板23が配置されている。
【0012】
図4は原稿読取りデ−タの出力例を示す図であり、基準白板23上の主走査方向1ラインの読み取り出力を曲線f1で示し、読み取り出力のピーク値Vp1(P1点の出力値)が目標設定値Vp0になるように(P1点がP0点に移動するように)利得を変化させる補正を行った結果を曲線f2にて示している。
【0013】
上記の補正が終了すると、基準白板23上の主走査方向1ラインの読み取りからシェーディングデータ生成を行う。即ち、図5は基準白板の読取り方法を説明する図であり、同図に示したようにピーク値補正後の出力曲線f2を、読み取リ画素毎にサンプリングして、出力値(b1、b2、b3〜bn)を記憶し、シェーディングデータとする。
【0014】
次に、図2に示す光学系が副走査方向に移動して原稿22の先端に位置すると、原稿22の読み取りを開始し、原稿画像の読み取りデータが、先に読まれているシェーディングデータにより補正(シェーディング補正)されて、次の画像処理部に送られる。その際、地肌除去を行う場合には、図6に示すように原稿の地肌部についても原稿画像の読み取り画素データのピーク値を検知する。上記のピーク値補正後のシェーディングデータf2のピーク値Vp0をaとし、それに対する固定の比較基準値Vref0のb値を図のように設定する。また、原稿画像の実際の読み取りデータの出力曲線f3(読取手段1出力)のピーク値の位置P2点の値が、ピーク値Vp2(=a´)であるとき、ピーク検出手段2を通過すると、上述したように利得補正される結果、出力曲線f3のP2点で取る値はVrefAE となる。この波高値電圧 をb´とすると、従来は次式にて示される値になるようにピーク増幅器2bの利得を調整していた。
a´÷b´=a÷b
従って、精度の良い調整を行うにはピーク増幅器2bの利得を微細に調整する必要があった。また設定後、ピーク増幅器2bの利得可変手段として抵抗器等を使用すると、経年変化によって設定値が変動し、調整利得が変化して、精度良く地肌を飛ばすことが出来なくなる等の不具合があったこと、上述した通りである。
【0015】
本実施例は、ピーク検出手段2の利得可変手段を不要として無調整化を図り、高精度に地肌を飛ばすことが出来る画像処理装置を提供するものである。
図1は本発明の一実施例を示す画像処理装置の要部のブロック図であって、先に示した図2乃至図6及び、図7、図8を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
先ず、図1に示した画像処理装置の構成を簡単に説明すれば、符号1は読取り部であって、CCD 等の読取り素子1a と、サンプルホールド回路1bと、利得可変増幅器1cと、ゼロクランプ回路1d を備えている。また2はピーク検出手段であり、ピークホールド回路2a と、ピーク増幅器2b とを備えている。更に、3は比較出力手段、4は黒レベル検出手段、5はノイズ制御手段、6は比較出力補正手段、7は選択回路、8はゲート発生回路、9は利得制御回路、10はCPU 、11はシェーディング補正回路である。
【0016】
この構成において基本的動作を説明する。原稿画像や基準白版23は読取手段1で読み取られ、比較出力手段3の入力の一端Vinに伝達される。一方、比較出力手段3は、比較基準値の入力端Vrefに基準となる値が入力され、上記Vin に入力する値との差がデジタル的に出力される。即ち、比較出力手段3はA/Dコンバータの機能をも持っている。読取手段1は、CCD等の読み取り素子1aと、読み取り素子1aからの出力をサンプリングして保持するサンプルホールド回路1bと、利得可変読取増幅器1cと、黒(ゼロ)レベルの基準を作り出すゼロクランプ回路1dから構成されている。また、地肌除去機能の達成のために、読取手段1の出力の一部はピーク検出手段2に伝達され、このピーク検出手段2では入力される信号のピーク値が検出される。選択回路7でピーク検出手段2の出力が選択されると、選択回路7の出力端Qを経て、上記比較出力手段3の比較基準入力端Vrefに伝達される。ピーク検出手段2はピーク値を保持記憶するピークホールド(P/H)回路2aと、所定の利得を持ったピーク増幅器2bを含んでいる。従来は、上記の図6で説明したように、a´÷b´=a÷bとなるようにピーク増幅器2bの利得可変器を調整していたが、本実施例では、以下に述べるように、ピーク増幅器2bの利得可変器を不要にしたものである。
【0017】
図7の地肌除去機能の動作時のタイミング図と合わせて説明すると、光学系がホームポジッションから移動を開始し、基準白板23上に来ると、ゲート発生回路8から選択回路7のS1端子に供給される基準白板23の読み取りを有効とするWTGTゲート信号がイネーブルとなり、同時にゲート発生回路8からAGC 回路9に供給されるAGC 信号もイネーブルとなり、読取増幅器1cの利得を制御する利得制御(AGC)回路9を起動する。選択回路7はWTGTゲートが開くと、入力端Aに入力する信号が選択され、同時にVref0が与えられるようになっている。このとき、基準白板23を読み取った最大出力値が図4のVp0になるように、利得制御(AGC)回路9から読取増幅器1cの利得を制御するD−AGC1を与え、AGCGTゲートを閉じる。この動作により光源25の光源自身によるバラツキや、温度、経時変化によるバラツキ、読み取り素子1aの感度のバラツキを補正している。
【0018】
次に、地肌除去機能を有効にするAEMODOゲートと、シェーディングデータの作成期間に当るSHGTゲートを開き、シェーディングデータを生成する。その際、原稿の地肌検知と同じ様に基準白板23の読取手段1の出力を、ピークホールド(P/H)回路2aとピーク増幅器2bから構成されるピーク検出手段2に導き、ピーク値を検出して比較出力手段3の比較基準入力端Vrefに入力する。その際、選択回路7の出力端Qは入力端Cが選択されるように制御されている。図7のSEL−Qは選択回路7の出力端Qの出力状態を示している。なお、上記の処理を行うために地肌検知期間を表すPWINDゲートを、図3に示す地肌を検知する斜線範囲22aに相当する期間イネーブルにしておく必要があることは云うまでもない。
【0019】
このように、基準白板23に基づいてシェーディングデータの生成を終了すると、WTGTゲートとSHGTゲートを閉じる。続いて、光学系が移動し、原稿22上に来ると、副走査方向画像有効期間、即ち、原稿22の読み取り期間を表すFGATEゲートを開き、ピーク検出手段2を起動して原稿の地肌検知を行う。上記のようにシェーディングデータを生成する際、及び原稿22の読み取り期間の地肌検知においても、同様にピーク値を検出し、比較出力手段3の比較基準入力端Vrefに入力するので、ピーク検出手段2のピーク増幅器2bが経年変化等により利得変化が発生した場合であっても、その影響を除去することが出来る。更に、ピーク増幅器2bの利得の調整も不要となり、作業効率を向上することができる。
【0020】
次に、理論的考察を加える。前提条件として、上記比較出力手段3は入力端Vinに入力した値が、0から255迄のディジタル値に変換されて出力されるものとする。従って、入力値Vinがリファレンス値Vrefに等しいか、それ以上の場合は、比較出力手段3の出力値は全て255となる。今、DG を原稿の読み取りデータ、DSHをシェーディングデータとすると、画像の読み取りはシェーディングデータとの相対値として濃度を表すことになるので、画像データGDは、
GD=(DG ÷DSH)×255 ……………(1)
で示され、シェーディング補正される。地肌除去機能が非動作時には、原稿読み取りは、VG を原稿読み取り時の比較出力手段3の入力端Vinの値、vG をCCD等の読み取り素子1aの出力値、VREF1を比較出力手段3の比較基準入力端Vrefに入力する値、AV0をGCA増幅器1cの利得とすると、比較出力手段3の働きによって、
DG =INT〔(VG ÷VREF1)×255〕
=INT〔(vG ×AV0÷VREF1)×255〕 …………(2)
となる。ここで、INT〔 〕は最大255迄の計算式の整数部を示す。同様に
、基準白板23の読み取り時には、
DSH=INT〔(VSH÷VREF0)×255〕
=INT〔(vSH×AV0÷VREF0)×255〕 ………(3)
となり、INT〔 〕は比較出力手段3でA/D変換する時の量子化を意味して
いるのみであるので省略し、(2)、(3)式を(1)式に代入すると、
GD=(DG ÷DSH)×255
=〔(vG ÷VREF1)÷(vSH÷VREF0)〕×255 ……(4)
となる。なお、(vSH÷VREF0)は原稿読み取りのダイナミックレンジを決めるものである。その最低濃度(最高反射率)となる読み取りデータに添字N を付けると、
(vGN÷VREF1)=(vSH÷VREF0) ……………(5)
が成立するように比較出力手段3の比較基準入力値VREF0を決めているので(4)式は、
GD=(vG ÷vGN )×255 …………………………(6)
が成立し、原稿濃度の相対値として比較出力手段3からの画像データが生成されることが判る。
【0021】
従来の地肌除去機能動作方法は、原稿読み取り時のみ選択回路7の入力端C、即ち、ピーク検出手段2のピーク値が選択されるので、その比較基準入力値をVREF−AEとすると、
DAE−G=INT〔(VG ÷VREF−AE)×255〕 ………(7)
となる。ここで、図1から判る通り、VREF−AEは読取手段1の出力がピーク検出手段2を通過したものであるから、原稿地肌部の画像データ最高値をVGJとし、ピーク増幅器2bの利得をAV1とすると、
DAE−G=INT〔(VG ×255)÷(VGJ×AV1)〕
=INT〔(vG ×AV0×255)÷(vGJ×AV0×AV1)〕
=INT〔(vG ×255)÷(vGJ×AV1)〕 ……(8)
となり、(1)式、(8)式から、
GDAE÷255=DAE−G÷DSH
=〔vG ÷( vGJ×AV0×AV1)〕÷(vSH÷VREF0)……(9)
となる。ここで、基準白板23の読み取り時も比較出力手段3の比較基準入力端の値をピーク検出手段2のピーク値として求められる。即ち、(9)式のVREF0は、選択回路7の入力端Cが選択されている原稿読み取り時のピーク検出手段2を通過したVREF−AEに対応したように、基準白板23の読み取り出力がピーク検出手段2を通過したものであるので、
VREF0=vSH×AV0×AV1 ……………………………(10)
となる。これを(9)式に代入すると
GDAE=(vG ÷vGJ)×255 …………………………(11)
が得られ、ピーク検出手段2の増幅器2bの利得A V1 に左右されることなく、地肌を飛ばすことが出来る。
【0022】
一般に、地肌検出を行うピーク検出手段2におけるピークホールド回路2aは
1.ノイズや、原稿上の小さな点の明るさの影響を小さくする。
2.比較的大きな黒べたの画像が存在してもピーク値に影響を及ぼさない。
等が要求されるので、大きな時定数(図1ではτ0 =R1×C1)を持たせている。しかし、コストの問題や、画像処理装置の読み取り処理能力の向上から、基準白板23の副走査方向の幅は出来るだけ短くする必要があるため、基準白板23のピーク検出時には時定数をより短くするのが得策である。
【0023】
ここで、シェーディングデータの生成の方法を検討すると、基準白板23の読み取りデータを上述した方法により、比較出力手段3によってデジタル化したデータDG0を得る。このデータDG0には、CCDの暗電流からなるゼロレベルのバラツキを含んでおり、これを除去するために、黒オフセットレベル値のデータDOPB (図5のVOPB の比較出力手段3の出力値)を黒レベル検知手段4で検知し、比較出力手段3の出力値DG0からデータDOPB を減算するようになっている。地肌除去機能の非動作時は、データDG0よりDOPB を比較出力補正手段6で減算してシェーディングデータD´G0を生成すれば良いが、地肌除去機能の動作時では地肌を飛ばすことが目的であるためこれだけでは不十分である。前の(11)式から地肌部の濃度が分母になっているので、地肌部を読んだ時のデータGDAEJ は
となる。しかし、実際の画像データにはノイズ分vN が含まれているため、
となる。そこで、本発明では、地肌除去機能の動作時はノイズ分vN を抑制するような出力補正値DOFF 分シェーディングデータを小さくして、ノイズ分vN がデータとして表れないようにしている。即ち、
が成立すれば、例え地肌部のデータにノイズ分vN が含まれていても、常にGDAEJ は255を出力することになり、ノイズ分vN の画像データへの影響を除去することができる。従って、図1のように本発明では上述したようにDOFF をCPU10に接続するノイズ抑制手段5から出力させる構成になっている。
【0024】
一般的な値としては、地肌除去時のみDOFF を5程度とし、その他の場合は0をセットしている。このように、比較出力手段3でデジタル化したデータDG0から、黒レベル検知手段4で検知した黒オフセットレベル値のデータDOPB と、ノイズ抑制手段5の出力値DOFF を、比較出力補正手段6で減算してシェーディングデータD´G0を生成し、その後、シェーディング補正回路11にてシェーディングデータを生成する。
【0025】
上記の説明では、(13)式のように出力補正値DOFF だけシェーディングデータを小さくすることによって、ノイズ分vn がデータに表れないようにする方法を述べたが、逆に、地肌部を読み取った時のデータにノイズ分vn を加える方法も可能である。その際、上記(13)式を、
GDAEJ =INT〔(DGJ+DOFF )÷DAE-SH ×255〕…(14)
と変形すれば、ノイズ分vn が地肌部読み取り中に発生して、
GDAEJ
=INT〔(DGJ+DOFF-DN )÷DAE-SH ×255〕……(15)
となっても、DN <DOFF が成立すれば、地肌部のデータにノイズ分vN が含まれていても、常にGDAEJ は255を出力することになり、ノイズ分vN が画像データに出力されず、(13)式で述べた場合と同様の効果が得られる。
【0026】
図8は シェーディング補正回路11の一構成例を示す図であり、この例では、比較出力補正手段6で減算されたデータをD´G とすると、SHGTゲートが開いている期間に、主走査一画素毎に平均値を平均値回路11aで計算し、そのデータを先入れ先出し(FIFO)回路11bに全て蓄積する。その後、読み取ったデータと対応する先入れ先出し回路11bのデータとの一対がROM11cのアドレスに入力し、あらかじめROM11cに書き込まれた計算結果を出力することにより、シェーディング動作を行っている。なお、ROM11cには,
GD=INT〔(D´G÷DSH)×255〕
の計算結果が入力されており、シェーディングデータを生成するとWTGTゲートとSHGTゲートを閉じる。しかし、この状態では図1の構成からも明らかなように、ピークホールド回路2aのコンデンサC1は充電されたままであるので、原稿22の地肌が基準白版23より濃度的に暗い場合は、原稿22の地肌濃度を正確に検知することが出来ない。そこで、図7のように、原稿22の読み取り前(FGATEゲートが開く前)に、一度AEMODOゲートを閉じて、SW1を閉じ、コンデンサC1の電荷を放電させている。放電が終了すると、AEMODOゲートを再び開き、光学系が原稿22の読み取りが出来る位置迄移動するのを待って、FGATEゲートを開き原稿22の読み取りを開始する。原稿22の読み取り範囲が終了すると、FGATEゲートを閉じ、地肌検知期間を表すPWINDゲートを閉じ、読取増幅器1cの利得D−AGCを所定の値に戻す。その後、AEMODOゲートを閉じ、ピークホールド回路2aのコンデンサC1の電荷を放電すると共に、選択回路7の出力を、ピーク検出手段2の出力である入力端Cから、通常の入力端Bに戻し読み取り動作を終了する。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、基準白板を読んでシェーディングデータを生成する際も地肌濃度を検出する際にもそのピーク値を基準電圧としてA/D変換手段に印加し、A/D出力の補正手段の出力が所定値になるように、読取手段により読み取られた信号のレベルを増幅する増幅手段の可変利得を制御するので、地肌濃度検出部の増幅器の利得調整の面倒さを除去することができ、また、A/D変換手段の出力から黒オフセットレベル値と地肌データのノイズ分を抑制する値を加減算するので、地肌濃度検出時にノイズがあってもその影響を除去することができる。
【0028】
また、基準白板を読み取る時にA/D変換手段の出力から黒レベル検知手段の出力とノイズ抑制手段の出力を減算することによりシェ−ディングデ−タを作成するので、シェーディングデータ値からノイズ分に相当する値を前以て減算することによって、地肌検出時のデータにノイズ分が含まれていても、その影響を受けることなく地肌を正しく検出可能となる。
【0029】
また、原稿の地肌を読み取る時にA/D変換手段の出力から黒レベル検知手段の出力を減算し、ノイズ抑制手段の出力を加算するので、地肌検出時のデータにノイズ分が重畳し出力が減少しても、地肌濃度検出時の地肌データ値はノイズ分の影響を受けることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す画像処理装置の要部のブロック図である。
【図2】本発明を適用する画像処理装置の読み取り部の一例を示す要部構成図である。
【図3】本発明の実施例を説明するための、画像処理装置の原稿台上に載置した原稿の地肌読み取り部を示す図である。
【図4】本発明の実施例の動作を説明するための図であって、画像処理装置の基準白板読み取り時の信号波形図である。
【図5】本発明の実施例の動作を説明するための図であって、画像処理装置の基準白板読み取り時の信号波形図である。
【図6】本発明の実施例の動作を説明するための図であって、画像処理装置の原稿の地肌部の読み取り時の信号波形図である。
【図7】本発明の実施例の動作を説明するための図であって、画像処理装置の読み取りにおける要部のタイミングチャート図である。
【図8】本発明の一実施例を示す画像処理装置のシェーディング補正回路の要部のブロック図である。
【符号の説明】
1・・・読取手段、1a・・・読み取り素子、1b・・・サンプルホールド回路、1c・・・読取増幅器、1d・・・ゼロクランプ回路、2・・・ピーク検出手段、2a・・・ピークホールド回路、2b・・・ピーク増幅器、3・・・比較出力手段、4・・・黒レベル検知手段、5・・・ノイズ抑制手段、6・・・比較出力補正手段、7・・・選択回路、8・・・ゲート発生回路、9・・・利得制御回路。10・・・CPU、11・・シェーディング補正回路、11a・・・平均値回路、11b・・・先入れ先出し回路、11c・・ROM、21・・・コンタクトガラス、22・・・原稿、23・・・基準白板、24・・・主走査方向スケール、25・・・光源、26・・・第一ミラー、27・・・第二ミラー、28・・・第三ミラー、29・・・レンズ、30・・・副走査方向スケール。
Claims (3)
- 基準白板を読み取ってシェーディングデータを作成して原稿画像データをシェーディング補正するとともに、原稿の地肌を除去する画像処理装置において、
基準白板と原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた信号のレベルを可変利得で増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の出力信号を基準電圧に基づいてA/D変換するA/D変換手段と、
前記増幅手段の出力信号のピーク値を検出するとともに、前記基準白板のピーク値検出時には時定数を短くし、前記原稿の地肌のピーク値検出時には時定数を長くして検出するピーク検出手段と、
前記読取手段が基準白板と原稿の地肌を読み取る時に前記ピーク検出手段により検出されたピーク値を前記基準電圧として前記A/D変換手段に印加する手段と、
前記A/D変換手段により変換された値に基づいて黒オフセットレベル値を検知する黒レベル検知手段と、
地肌データのノイズ分を抑制するようにあらかじめ定められた値を出力するノイズ抑制手段と、
前記A/D変換手段の出力に対して前記黒レベル検知手段の出力及び前記ノイズ抑制手段の出力を加減算することにより前記A/D変換手段の出力を補正する補正手段と、
前記読取手段が基準白板と原稿の地肌を読み取る時に前記補正手段の出力が所定値になるように前記増幅手段の可変利得を制御する利得制御手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記補正手段は基準白板を読み取る時に、A/D変換手段の出力から前記黒レベル検知手段の出力と前記ノイズ抑制手段の出力を減算することにより前記シェ−ディングデ−タを作成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記補正手段は原稿の地肌を読み取る時に、前記A/D変換手段の出力から前記黒レベル検知手段の出力を減算し、前記ノイズ抑制手段の出力を加算することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
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