JP3892644B2 - Method for producing optically active cyanohydrin - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボニル化合物及び青酸(シアン化水素酸)を原料として、酵素反応により光学活性シアノヒドリンを合成する反応に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルボニル化合物及び青酸を原料として、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素を触媒に用い、光学活性シアノヒドリンを合成する反応については多くの報告がある。しかし、いずれも工業的に生産されている青酸に安定剤が含まれており、しかも、その安定剤がヒドロキシニトリルリアーゼの活性に重大な影響を及ぼすことについては全く言及されていない。この理由として、これまでの報告例が工業的に生産された青酸ではなく、実験室内でごく少量調製された青酸であるため、安定剤を含まないためにこの事実に気がつかなかったこと、また、反応系に添加する青酸が低濃度である場合には、安定剤の影響が出難いことなどから、この事実について知られていなかったためであろうことが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カルボニル化合物及び青酸を原料として、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素を触媒に用い、光学活性シアノヒドリンを合成するに際し、工業的に有利な方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、工業的に利用可能な青酸に安定剤として含まれている酸性物質(亜硫酸や硫酸)がヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素の活性を阻害しており、この安定剤の阻害作用を低減させることにより、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素の寿命を大幅に延長することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)青酸を1.5Mの濃度で水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解した溶液と純水とを、有機相と水相に二相分離する比率で混合した後、静置して得られる水相のpHが5以下を示す、安定剤として酸性物質を含む青酸、及びカルボニル化合物を原料として、酵素反応により光学活性シアノヒドリンを合成するに際し、当該安定剤の酵素に対する阻害作用を低減させるための処理を行った青酸を原料として用いることを特徴とする光学活性シアノヒドリンの製造方法。
【0006】
(2)青酸及びカルボニル化合物を原料として、酵素反応により光学活性シアノヒドリンを合成する方法において、青酸を一旦水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶液を調製し、次いで当該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝液を飽和量以上加え、混合した後、青酸有機溶媒溶液相を回収し、反応に用いることを特徴とする光学活性シアノヒドリンの製造方法。
(3)緩衝液がpH4〜7の範囲で緩衝能を有する緩衝液である前記(2)に記載の方法。
(4)酵素反応がヒドロキシニトリルリアーゼを用いる酵素反応である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるヒドロキシニトリルリアーゼとは、シアン化水素とカルボニル化合物とから光学活性なシアノヒドリンを合成する活性を有するものを意味し、R体のシアノヒドリンを合成するヒドロキシニトリルリアーゼ((R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ)としては、アーモンド(Prunus amygdalus)などのバラ科植物由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、アマ科植物由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、S体のシアノヒドリンを合成するヒドロキシニトリルリアーゼ((S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ)としては、モロコシ(Sorghum bicolor)などのイネ科植物由来の(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、キャッサバ(Manihot esculenta)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)などのトウダイグサ科植物由来の(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、キシメニア(Ximenia americana)などのボロボロノキ科植物由来の(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼなどが例示できる。
【0008】
前記酵素は酵素を含む生物組織からの抽出によって調製することができるが、前記酵素の遺伝子をクローニングし、当該遺伝子を組み込んで作成した遺伝子組換え生物によっても生産することができる。
【0009】
前記酵素は、酵素粉末状、酵素液状、適当な担体に固定化してなる固定化酵素などの状態のものを使用することができる。酵素を固定化する方法としては、種々の方法があるが、例えば、多孔性の無機担体、セルロースなどの繊維状の担体、高分子化合物からなる担体などが挙げられ、具体的には、多孔性のセラミック粒子、多孔性のシリカゲル粒子、ゼオライト系粒子、寒天、アルギン酸カルシウム、キトサンなどの天然高分子ゲル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの合成高分子ゲルなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。酵素の固定化方法としては、特に制限はなく、例えば、担体に酵素液を吸収させる方法、酵素液と担体とを混合し、酵素を吸着固定する方法、酵素を包括固定化する方法、酵素を架橋剤で架橋する方法等が挙げられる。
【0010】
本発明においては、光学活性シアノヒドリンの製造原料としてカルボニル化合物及び青酸(シアン化水素酸)を用いる。
ここでカルボニル化合物とは、アルデヒド又はケトンをいい、具体的には、次式(I):
【0011】
【化1】
R1−CO−R2 (I)
(式中、R1及びR2は、互いに異なり、それぞれ水素原子又は炭素数22以下の1価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基中、−CH2−並びに−CH3のCH2はカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CH2は=O又は=Sで置き換えられていてもよく、また−CH2−のC−H、−CH3のC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H並びに=CH2のC−Hは、N又はC−ハロゲンで置き換えられていてもよく、また、R1及びR2は、共同して非対称の2価の基を表してもよい。)
で示される。
【0012】
前記式(I)において、炭素数22以下の1価の炭化水素基とは、直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある単環式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある多環式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のあるスピロ炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある環集合構造の炭化水素基、あるいは、前記の環式炭化水素基が置換した鎖状炭化水素基のいずれをも含む。また、飽和な炭化水素基並びに不飽和な炭化水素基のいずれをも含むが、不飽和な炭化水素基において、C=C=Cのアレン構造を含む基は除く。直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水素基としては、例えば、飽和な鎖状炭化水素基である、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、炭素数3以上の分岐状アルキル基、不飽和な鎖状炭化水素基である、炭素数2以上の直鎖状アルケニル基、炭素数3以上の分岐状アルケニル基、炭素数3以上の直鎖状アルキニル基、炭素数4以上の分岐状アルキニル基、炭素数4以上の直鎖状アルカジエニル基、炭素数5以上の分岐状アルカジエニル基などを例示することができる。単環式炭化水素基としては、例えば、飽和な単環式炭化水素基である、炭素数3以上の側鎖のないシクロアルキル基、総炭素数4以上の側鎖のあるシクロアルキル基、不飽和な単環式炭化水素基である、炭素数4以上の側鎖のないシクロアルケニル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロアルキニル基、炭素数5以上の側鎖のないシクロアルカジエニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルカジエニル基などを例示することができる。不飽和な単環式又は多環式炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基など総炭素数6〜22の側鎖のない芳香族基、総炭素数7以上の側鎖のある芳香族基、更には、環集合構造の炭化水素基でもある、炭素数12のフェニルフェニル基、総炭素数13以上の側鎖のあるフェニルフェニル基を例示することができる。また、多環式炭化水素基としては、炭素数6以上の側鎖のない縮合環式炭化水素基、総炭素数7以上の側鎖のある縮合環式炭化水素基、炭素数7以上の側鎖のない架橋環式炭化水素基、総炭素数8以上の側鎖のある架橋環式炭化水素基、総炭素数9以上の側鎖のないスピロ炭化水素基、総炭素数10以上の側鎖のあるスピロ炭化水素基などを例示することができる。なお、前記の側鎖のない縮合環式炭化水素基において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、その総炭素数が9以上となるものを挙げることができ、前記の側鎖のある縮合環式炭化水素基において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、その総炭素数が10以上となるものを挙げることができる。環集合構造の炭化水素基としては、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキリデンシクロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキリデンシクロアルキル基などを例示することができる。なお、これらの環式炭化水素において、側鎖のあるとは、環上に鎖状炭化水素基が置換していることを意味する。前述する環式炭化水素基が置換した鎖状炭化水素基としては、総炭素数7以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数8以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐状アルキル基、総炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐状アルキル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐状アルケニル基、総炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐状アルケニル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖状アルキニル基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖状アルキニル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐状アルキニル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐状アルキニル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖状アルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖状アルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐状アルカジエニル基、総炭素数12以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐状アルカジエニル基、総炭素数4以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐状アルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐状アルキル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐状アルケニル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐状アルケニル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖状アルキニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖状アルキニル基、総炭素数7以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐状アルキニル基、総炭素数8以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐状アルキニル基、総炭素数8以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐状アルカジエニル基、総炭素数9以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐状アルカジエニル基などを例示することができる。
【0013】
なお、以下においては、側鎖のない芳香族基、側鎖のある芳香族基、並びに、フェニルフェニル基又は側鎖のあるフェニルフェニル基などを併せて、アリール基といい、このアリール基で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基をアラルキル基という。他の環式炭化水素基に関しても、特に明記しない場合、環上に側鎖のないものとあるものを併せて指す場合には、単にシクロアルキル基等の名称を用いる。鎖状炭化水素基についても、直鎖状のものと分岐状のものを併せて指す場合には、単にアルキル基等の名称を用いる。
【0014】
前記炭化水素基中、−CH2−がカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられると、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエーテルの構造が導入され、−CH3の−CH2−がカルボニル基、−O−又は−S−で置き換わると、それぞれホルミル基(アルデヒド)、水酸基又はメルカプト基に変わり、あるいは、末端の=CH2が=O又は=Sに置き換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されることを意味し、また、−CH2−のC−HがNに変わると、−NH−となり、>CH−のC−HがNに変わると、>N−となり、=CH−のC−HがNに変わると、=N−となり、末端の−CH3のC−HがNに変わると、−NH2が導入され、=CH2のC−HがNに変わると、=NHとなる。また、−CH3、−CH2−、=CH−、≡CH又は>CH−のC−HがC−ハロゲンで置き換えられると、当該炭素上へハロゲン原子を置換することになる。なお、炭素鎖中における−O−、−S−、Nへの置き換えは、当該炭化水素基に対する、それぞれオキサ置換、チア置換、アザ置換に当たり、例えば、炭化水素環の環の骨格炭素で起こると、炭化水素環のそれぞれ含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環への変換となる。該炭化水素基中、CH2並びにC−Hにおける置き換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを行った後、なお当該炭素上にCH2又はC−Hが残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。更には、前記の置き換えにより、−CH2−CH3の−CO−O−H;カルボン酸構造への変換などもなされる。
【0015】
本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を指すが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
従って、前記炭化水素基としては、鎖状炭化水素基並びに環式炭化水素基など環構造を有する炭化水素基のいずれをも選択でき、例えば、飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又は分岐状のアルキル基、不飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又は分岐状のアルケニル基、直鎖状又は分岐状のアルキニル基、直鎖状又は分岐状のアルカジエニル基など、飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基、不飽和な環式炭化水素基であるシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、シクロアルカジエニル基など、芳香族炭化水素基であるアリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。
【0016】
更に詳しくいえば、直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基など、シクロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基など、ビシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基などが挙げられる。直鎖状又は分岐状のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基(2−ブテニル基)、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)など、シクロアルケニル基又はシクロアルカジエニル基としては、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサンジエニル基などが挙げられる。直鎖状又は分岐状のアルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9−アントリル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、ジエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フェネチル基(2−フェニルエチル基)、1−フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、メチルフェネチル基、ジメチルベンジル基、ジメチルフェネチル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などが挙げられる。アリールアルケニル基としては、例えばスチリル基、メチルスチリル基、エチルスチリル基、ジメチルスチリル基、3−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0017】
前記炭化水素基中のCH2がカルボニル基、スルホニル基、O又はSで、又はC−HがN又はC−ハロゲンで置き換えられた基としては、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、スルホン、エーテル、チオエーテル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲン、複素環(例えば、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環)などの構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環とは、環式炭化水素基の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄、窒素で置き換わるものを意味し、更には、これらヘテロ原子置換が二種以上ある複素環であってもよい。前記の置換を有する炭化水素基としては、例えば、ケトン構造のアセチルメチル基、アセチルフェニル基;スルホン構造のメタンスルホニルメチル基;エーテル構造のメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、フェノキシメチル基;チオエーテル構造のメチルチオメチル基、メチルチオフェニル基;アミン構造のアミノメチル基、2−アミノエチル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、2,3−ジアミノプロピル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノブチル基、2,3−ジアミノブチル基、2,4−ジアミノブチル基、3,4−ジアミノブチル基、2,3,4−トリアミノブチル基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、プロピルアミノメチル基、シクロペンチルアミノメチル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、アミノメチルフェニル基;含酸素複素環のテトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリルエチル基;含酸素複素芳香環のフリル基、フルフリル基、ベンゾフリル基、ベンゾフルフリル基;含硫黄複素芳香環のチエニル基;含窒素複素芳香環のピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリジルメチル基;アルコール構造の2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシブチル基、2,4−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4−トリヒドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロキシエチルフェニル基;チオール構造の2−メルカプトエチル基、2−メルカプトプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2,3−ジメルカプトプロピル基、2−メルカプトブチル基、3−メルカプトブチル基、4−メルカプトブチル基、メルカプトフェニル基;ハロゲン化炭化水素基である2−クロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、トリクロロフェニル基、フルオロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基;アミン構造とアルコール構造を有する2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル基、2−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、2,4−ジアミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2,4−ジヒドロキシブチル基、2,3−ジアミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2,3−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジアミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−3,4−ジヒドロキシブチル基、アミノヒドロキシフェニル基;ハロゲンと水酸基で置換された炭化水素基であるフルオロヒドロキシフェニル基、クロロヒドロキシフェニル基;カルボン構造のカルボキシフェニル基などが挙げられる。
【0018】
R1及びR2で表される非対称の2価の基としては、特に制限はなく、例えば、ノルボルナン−2−イリデン、2−ノルボルネン−5−イリデンが挙げられる。前記式(I)で示されるカルボニル化合物としては、例えば、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フルフラール等の芳香族アルデヒド;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;エチルメチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルペンチルケトン、メチル(2−メチルプロピル)ケトン、メチル(3−メチルブチル)ケトン等の飽和脂肪族ケトン;メチル(2−プロペニル)ケトン、(3−ブテニル)メチルケトン等の不飽和脂肪族ケトン;(3−クロロプロピル)メチルケトン等のアルキル(ハロアルキル)ケトン;2−(アルコキシカルボニルアミノ)−3−シクロヘキシルプロピオンアルデヒド等の2−(保護アミノ)アルデヒド;3−メチルチオプロピオンアルデヒド等のアルキルチオ脂肪族アルデヒドが挙げられる。
【0019】
本発明においては、青酸としては安定剤として酸性物質を含む青酸を用いる。前記安定剤とは、大量生産された青酸の重合などによる変質を抑制し、品質を安定に保持するために添加されている物質で亜硫酸、硫酸などの酸性物質を意味する。
本発明に用いる安定剤として酸性物質を含む青酸としては、青酸を1.5Mの濃度で水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解した溶液と純水とを、有機相と水相に二相分離する比率で混合した後、静置して得られる水相のpHが5以下を示すものを意味し、当該pHが4以下を示すものに本発明の方法を適用することが好ましい。
【0020】
本発明における、青酸に含まれる安定剤の酵素に対する阻害効果を低減させる方法としては、例えば、前記安定剤として酸性物質を含む青酸を一旦水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶液を調製し、次いで当該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝液を飽和量以上加え、混合した後、有機相を回収し、反応に用いる方法;アルカリ性水溶液又はpH4〜7で緩衝能を有する水性緩衝液を当該青酸に添加して、pHを5〜6の間になるように調整する方法が挙げられる。
【0021】
前記安定剤の酵素に対する阻害効果を低減させる方法の好ましい手順の一例を以下に示す。
1.通常、水と実質的に混和しない有機溶媒(既に水又は水性緩衝液で飽和されていてもよい)に安定剤を含む青酸を所定量添加する。
2.緩衝液を前記溶液の飽和溶解量より過剰に添加、混合し、静置する。
3.二相分離した有機相を分離し、反応に用いる。
【0022】
以上のような極めて簡単な方法によって工業生産された青酸に含まれる安定剤の悪影響を効果的に除去することが可能になる。
シアン化水素の供給方法としては液体として供給する方法、気体として供給する方法のいずれをも採用することができる。
【0023】
前記の安定剤の酵素に対する阻害効果を低減させる方法に用いる緩衝液とは、酵素活性の最適pH付近において緩衝能を発揮する緩衝液を意味し、具体的には、クエン酸、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、o−フタル酸、コハク酸などの塩等が挙げられ、通常pHが4〜7、好ましくは5〜7の範囲のものが用いられる。緩衝液の濃度は、所定量の青酸を溶解した有機溶媒と混合した後の水相のpHを5〜7の範囲に維持することができる濃度が好ましい。
【0024】
本発明においては、反応原料の濃度を高め、生産性を高めるために、反応溶媒として、水と実質的に混和しない有機溶媒を用いる。ここで、「水と実質的に混和しない有機溶媒」とは、水に任意の割合で溶解する溶媒を除く有機溶媒を意味する。有機溶媒としては、水と実質的に混和せず、基質及び生成物を充分に溶解し、酵素反応に悪影響を与えないものであれば特に制限なく用いることができる。このような有機溶媒は、原料のアルデヒド又はケトンの物性、生成物であるシアノヒドリンの物性に応じて適宜選択することができる。
【0025】
水と実質的に混和しない有機溶媒としては、具体的には、ハロゲン化されていてもよい炭化水素系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルムなど;ハロゲン化されていてもよいアルコール系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族アルコール、アラルキルアルコール)、例えば、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−アミルアルコールなど;ハロゲン化されていてもよいエーテル系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族エーテル、芳香族エーテル)、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタンなど;ハロゲン化されていてもよいエステル系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族エステル、芳香族エステル)、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられ、これらを単独で用いてもまた2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
前記有機溶媒は、水又は水性緩衝液で飽和されていてもよい。また、更に過剰の水又は水性緩衝液を加えて有機溶媒相と水相との二相系を形成する溶液状態で使用してもよい。前記の有機溶媒を水又は水性緩衝液で飽和する方法としては、特に制限はないが、例えば、前記の有機溶媒と水又は水性緩衝液を二相を形成する割合で混合し、暫く撹拌した後、静置し、その有機層を用いる方法が挙げられる。ここで用いる水性緩衝液としては、特に制限はないが、例えば、前記の緩衝液が挙げられる。
【0027】
本発明は、工業的に生産され、安定剤を含む青酸を光学活性シアノヒドリンの合成反応に用いるにあたり、当該青酸に含まれる安定剤の酵素に対する悪影響を低減させる方法を提供するものであり、当該青酸を使用する形態については制限しない。即ち、本発明が提供する安定剤の悪影響を低減する方法を実施して得られる青酸は、水・有機溶媒混合系、有機溶媒系、有機溶媒水二相系、固定化酵素を使う反応系などのいずれの反応系においても効果的に使用することができる。
【0028】
固定化酵素及び基質の使用量、反応温度は、用いる基質に応じて適宜決定される。通常、固定化酵素の使用量は基質であるカルボニル化合物50mmolに対して1〜1000単位、好ましくは10〜500単位である。基質の濃度は、カルボニル化合物の場合は通常0.1〜10mol/Lの範囲に設定し、シアン化水素は用いるカルボニル化合物に対して1〜5倍モル、好ましくは1.1〜3倍モルの濃度で添加する。本反応は基質濃度によって酵素活性及び反応速度が変化するので、用いるカルボニル化合物の種類に応じて適宜決定する。反応時間は、基質であるカルボニル化合物の転換率が80%以上、好ましくは90%以上に達するまでの時間が適当であるが、この限りではない。反応温度は酵素の活性が十分発揮される温度であればよく、通常0〜40℃、好ましくは4〜30℃である。
【0029】
本発明方法によって生成された光学活性シアノヒドリンは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などによって、測定、定量することができ、必要に応じて、抽出、減圧蒸留、カラム分離などの通常の手段によって分離精製することができ、長時間保存する場合には安定剤を添加してもよい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(調製例1)(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼの調製
(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、酵母サッカロマイセス・セレビシエを宿主として、キャッサバ由来の当該遺伝子をクローニングしたものを当該酵母へ遺伝子組換えして得た遺伝子組換え酵母を培養することによって調製した。当該遺伝子組換え酵母をYPD培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グルコース2%)1Lで24時間当該遺伝子組換え酵母を培養し、回収した菌体を破砕して不溶分を除去した液を回収した。
【0031】
(調製例2)固定化(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼの調製
調製例1の方法で調製した(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ酵素液に、酵素活性300単位に対して1gの固定化担体(多孔性シリカゲル、microbead silicagel 300A、富士シリシア化学製)を添加し、緩やかに一晩混合した。次いで、濾過して固定化酵素を回収し、これを以降の反応に用いた。
【0032】
(実施例1)
t−ブチルメチルエーテル610gと安定剤として亜硫酸を含む青酸41gを混合したものに、0.2Mクエン酸緩衝液(pH7)を40ml添加し、攪拌混合した後、静置してから有機相を分離した。この有機相に調製例2で調製した固定化酵素(6万単位)を添加し、次いでベンズアルデヒド106gを添加した。これを室温で攪拌することによって、(S)−マンデロニトリルの合成を行った。30分間反応させた後、反応液を回収し、HPLCによりアルデヒドの転換率を測定した。反応終了後、固定化酵素を回収し、前記と同じ操作で調製した基質液と回収した固定化酵素を再び混合し、同じ条件で繰り返し反応を行った。この検討の結果、反応を繰り返しても、酵素の活性は安定に保持され、11回の反応において、活性の低下は認められなかった(図1)。11回目の反応液2.5mlを採取し、純水5mlと混合して得た水相のpHは5であった。
【0033】
なお、原料として用いた、安定剤として亜硫酸を含む青酸を1.5Mの濃度でt−ブチルメチルエーテルに溶解した溶液と純水とを、有機相と水相に二相分離する比率(有機相:水=1:2(v/v))で混合した後、静置して得られた水相のpHは2.9であった。
【0034】
(比較例1)
10mMリン酸緩衝液(pH5)で飽和させたt−ブチルメチルエーテル610gと安定剤として亜硫酸を含む青酸41gを混合したものに調製例2で調製した固定化酵素(6万単位)を添加し、次いでベンズアルデヒド106gを添加した。これを室温で攪拌することによって、(S)−マンデロニトリルの合成を行った。30分間反応させた後、反応液を回収し、HPLCによりアルデヒドの転換率を測定した。反応終了後、固定化酵素を回収し、前記と同じ操作で調製した基質液と回収した固定化酵素を再び混合し、同じ条件で繰り返し反応を行った。この検討の結果、繰り返し反応5回目で活性が顕著に低下し、6回目でほぼ活性がなくなった(図1)。この時の反応液を2.5ml採取し、純水5mlと混合したときの水相のpHを測定したところ、3.5に低下していた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素の活性低下を抑制でき、酵素としての寿命を大幅に延長することができる。そのため、工業的に生産された安定剤を含む青酸を用いて、光学活性シアノヒドリンを安価に安定的に工業的生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繰り返し反応の回数とアルデヒドの転換率との関係を示す図である。
【符号の説明】
● 実施例1
○ 比較例1[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a reaction for synthesizing optically active cyanohydrin by enzymatic reaction using carbonyl compound and hydrocyanic acid (hydrocyanic acid) as raw materials.
[0002]
[Prior art]
There have been many reports on reactions for synthesizing optically active cyanohydrins using carbonyl compounds and hydrocyanic acid as raw materials and enzymes such as hydroxynitrile lyase as catalysts. However, in all cases, industrially produced hydrocyanic acid contains a stabilizer, and no mention is made that the stabilizer has a significant influence on the activity of hydroxynitrile lyase. The reason for this is that the reported examples so far are not industrially produced hydrocyanic acid, but hydrocyanic acid prepared in a very small amount in the laboratory, so this fact was not noticed because it contained no stabilizer, It is conceivable that this fact was not known because the effect of the stabilizer was difficult to occur when the concentration of hydrocyanic acid added to the reaction system was low.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide an industrially advantageous method for synthesizing an optically active cyanohydrin using a carbonyl compound and a hydrocyanic acid as raw materials and an enzyme such as hydroxynitrile lyase as a catalyst.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to achieve the above-mentioned problems, the present inventors have found that acidic substances (sulfurous acid and sulfuric acid) contained as stabilizers in industrially available hydrocyanic acid are the activity of enzymes such as hydroxynitrile lyase. It has been found that by reducing the inhibitory action of this stabilizer, the lifetime of enzymes such as hydroxynitrile lyase can be greatly extended, and the present invention has been completed.
[0005]
That is, the present invention includes the following inventions.
(1) A solution prepared by dissolving hydrocyanic acid in an organic solvent that is substantially immiscible with water at a concentration of 1.5 M and pure water are mixed in a ratio that separates the organic phase and the aqueous phase into two phases, and then allowed to stand. When synthesizing optically active cyanohydrin by enzymatic reaction using hydrocyanic acid containing an acidic substance as a stabilizer and a carbonyl compound, the pH of the resulting aqueous phase is 5 or less, the inhibitory action on the enzyme of the stabilizer is reduced. The manufacturing method of the optically active cyanohydrin characterized by using the hydrocyanic acid which processed for this as a raw material.
[0006]
(2) In a method of synthesizing an optically active cyanohydrin by enzymatic reaction using hydrocyanic acid and a carbonyl compound as raw materials, hydrocyanic acid is once dissolved in an organic solvent substantially immiscible with water to prepare a hydrocyanic acid organic solvent solution, and then A method for producing an optically active cyanohydrin, wherein a buffer solution is added in a saturated amount or more to a cyanate organic solvent solution and mixed, and then the phase of the cyanate organic solvent solution is recovered and used in the reaction.
(3) The method according to (2) above, wherein the buffer solution is a buffer solution having a buffer capacity in the range of
(4) The method according to any one of (1) to (3), wherein the enzyme reaction is an enzyme reaction using hydroxynitrile lyase.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The hydroxynitrile lyase used in the present invention means one having an activity of synthesizing an optically active cyanohydrin from hydrogen cyanide and a carbonyl compound, and a hydroxynitrile lyase ((R) -hydroxynitrile lyase) for synthesizing an R form of cyanohydrin. Examples include (R) -hydroxynitrile lyase derived from rose family plants such as almond (Prunus amygdalus), (R) -hydroxynitrile lyase derived from flaxaceae, and hydroxynitrile lyase that synthesizes S-type cyanohydrin ((S)). -Hydroxynitrile lyase) (S) -derived from grasses such as sorghum (Sorghum bicolor)-(S) -derived from Euphorbiaceae such as hydroxynitrile lyase, cassava (Hania esculenta) Hydroxynitrile DNase, ximenia (Ximenia americana) from Boroboronoki family plants such (S) - such as hydroxynitrile lyase can be exemplified.
[0008]
The enzyme can be prepared by extraction from a biological tissue containing the enzyme, but can also be produced by a genetically modified organism prepared by cloning the gene of the enzyme and incorporating the gene.
[0009]
The enzyme may be in the form of an enzyme powder, an enzyme liquid, or an immobilized enzyme that is immobilized on a suitable carrier. There are various methods for immobilizing an enzyme. Examples thereof include a porous inorganic carrier, a fibrous carrier such as cellulose, and a carrier made of a polymer compound. Ceramic particles, porous silica gel particles, zeolite particles, natural polymer gels such as agar, calcium alginate, chitosan, and synthetic polymer gels such as polyacrylic acid, polyacrylamide, and polyvinyl alcohol. It is not limited. The enzyme immobilization method is not particularly limited. For example, the enzyme solution is absorbed in a carrier, the enzyme solution and the carrier are mixed, the enzyme is adsorbed and immobilized, the enzyme is immobilized and the enzyme is immobilized. Examples include a method of crosslinking with a crosslinking agent.
[0010]
In the present invention, a carbonyl compound and hydrocyanic acid (hydrocyanic acid) are used as raw materials for producing optically active cyanohydrin.
Here, the carbonyl compound refers to an aldehyde or a ketone, specifically, the following formula (I):
[0011]
[Chemical 1]
R 1 -CO-R 2 (I)
(Wherein R 1 And R 2 Are different from each other and each represents a hydrogen atom or a monovalent hydrocarbon group having 22 or less carbon atoms, and in the hydrocarbon group, —CH 2 -And -CH Three CH 2 May be replaced by a carbonyl group, a sulfonyl group, -O- or -S- 2 May be replaced by ═O or ═S, and —CH 2 -C-H, -CH Three C—H,> CH—C—H, ═CH—C—H and ═CH 2 C—H may be replaced by N or C-halogen, and R 1 And R 2 May jointly represent an asymmetric divalent group. )
Indicated by
[0012]
In the formula (I), the monovalent hydrocarbon group having 22 or less carbon atoms is a linear or branched chain hydrocarbon group, a monocyclic hydrocarbon group having no side chain or having a side chain, A polycyclic hydrocarbon group having no side chain or having a side chain, a spiro hydrocarbon group having no side chain or having a side chain, a hydrocarbon group having a ring assembly structure having no side chain or having a side chain, or Any of the chain hydrocarbon groups substituted by the cyclic hydrocarbon group is included. Further, it includes both a saturated hydrocarbon group and an unsaturated hydrocarbon group, but the unsaturated hydrocarbon group excludes a group containing an allene structure of C═C═C. Examples of the linear or branched chain hydrocarbon group include a saturated chain hydrocarbon group, a linear alkyl group having 1 or more carbon atoms, a branched alkyl group having 3 or more carbon atoms, and an unsaturated group. A straight chain alkenyl group having 2 or more carbon atoms, a branched alkenyl group having 3 or more carbon atoms, a linear alkynyl group having 3 or more carbon atoms, or a branched alkynyl group having 4 or more carbon atoms. And a linear alkadienyl group having 4 or more carbon atoms and a branched alkadienyl group having 5 or more carbon atoms. Examples of the monocyclic hydrocarbon group include a saturated monocyclic hydrocarbon group having no side chain having 3 or more carbon atoms, a cycloalkyl group having side chains having 4 or more carbon atoms, A saturated monocyclic hydrocarbon group having no side chain with 4 or more carbon atoms, a cycloalkynyl group having a side chain with 5 or more carbon atoms, or a cycloalkadi with no side chain having 5 or more carbon atoms Examples thereof include an enyl group and a cycloalkadienyl group having a side chain having 6 or more carbon atoms in total. The unsaturated monocyclic or polycyclic hydrocarbon group includes aromatic hydrocarbon groups such as phenyl group, 1-naphthyl group, 2-naphthyl group, 9-anthryl group, etc. An aromatic group having no chain, an aromatic group having a side chain having a total carbon number of 7 or more, a phenylphenyl group having 12 carbon atoms and a side chain having a total carbon number of 13 or more, which are also hydrocarbon groups having a ring assembly structure Examples of the phenylphenyl group are as follows. The polycyclic hydrocarbon group includes a condensed cyclic hydrocarbon group having no side chain having 6 or more carbon atoms, a condensed cyclic hydrocarbon group having a side chain having 7 or more total carbon atoms, and a side having 7 or more carbon atoms. Cross-linked cyclic hydrocarbon group having no chain, cross-linked cyclic hydrocarbon group having a side chain having 8 or more carbon atoms, spiro hydrocarbon group having no side chain having 9 or more carbon atoms, side chain having 10 or more carbon atoms Examples of the spiro hydrocarbon group are as follows. In addition, in the condensed cyclic hydrocarbon group having no side chain, when one of the condensed rings is a benzene ring, examples in which the total number of carbon atoms is 9 or more can be mentioned. In the condensed cyclic hydrocarbon group, when one of the condensed rings is a benzene ring, one having a total carbon number of 10 or more can be exemplified. The hydrocarbon group having a ring assembly structure includes a cycloalkyl cycloalkyl group having no side chain having 6 or more carbon atoms, a cycloalkyl cycloalkyl group having a side chain having 7 or more carbon atoms, and a side chain having 6 or more carbon atoms. Examples thereof include a cycloalkylidenecycloalkyl group having no carbon atoms and a cycloalkylidenecycloalkyl group having a side chain having a total carbon number of 7 or more. In these cyclic hydrocarbons, having a side chain means that a chain hydrocarbon group is substituted on the ring. Examples of the chain hydrocarbon group substituted by the cyclic hydrocarbon group described above include a linear alkyl group substituted with an aromatic group having no side chain having a total carbon number of 7 or more, and a side chain having a total carbon number of 8 or more. A linear alkyl group substituted with a certain aromatic group, a branched alkyl group substituted with an aromatic group having no side chain having a total carbon number of 9 or more, and an aromatic group having a side chain having a total number of carbon atoms of 10 or more. A substituted branched alkyl group, a linear alkenyl group substituted with an aromatic group having no total side chain of 8 or more carbon atoms, and a straight chain substituted with an aromatic group having a side chain total number of 9 or more carbon atoms Alkenyl group, branched alkenyl group substituted with an aromatic group having 9 or more carbon atoms and no side chain, branched alkenyl group substituted with an aromatic group having 10 or more carbon atoms and a side chain, total carbon A straight-chain alkynyl group substituted with an aromatic group having no side chain of several 8 or more, a side chain having 9 or more carbon atoms in total A linear alkynyl group substituted with an aromatic group, a branched alkynyl group substituted with an aromatic group having no total side chain of 10 or more carbon atoms, and an aromatic group having a side chain with a total number of carbon atoms of 11 or more. A substituted branched alkynyl group, a linear alkadienyl group substituted with an aromatic group having no total side chain of 10 or more carbon atoms, a straight chain substituted with an aromatic group having a side chain having a total number of carbon atoms of 11 or more -Like alkadienyl group, branched alkadienyl group substituted with aromatic group having 11 or more carbon atoms and no side chain, branched alkadienyl group substituted with aromatic group having 12 or more carbon atoms in side chain, total carbon A linear alkyl group substituted with a cycloalkyl group having no side chain of 4 or more, a linear alkyl group substituted with a cycloalkyl group having a side chain of 5 or more carbon atoms, a total of 6 or more carbon atoms Substituted with cycloalkyl group without side chain A branched alkyl group, a branched alkyl group substituted with a cycloalkyl group having a side chain having a total carbon number of 7 or more, a linear alkenyl group substituted with a cycloalkyl group having no total side chain of 5 or more carbon atoms, Linear alkenyl group substituted with a cycloalkyl group having a side chain with a total carbon number of 6 or more, branched alkenyl group substituted with a cycloalkyl group with a side chain with a total number of carbon atoms of 6 or more, total carbon number of 7 or more A branched alkenyl group substituted with a cycloalkyl group having a side chain, a linear alkynyl group substituted with a cycloalkyl group having no total side chain of 5 or more carbon atoms, or a side chain having a total number of carbon atoms of 6 or more Substituted with a straight chain alkynyl group substituted with a cycloalkyl group, a branched alkynyl group substituted with a cycloalkyl group having no total side chain of 7 or more carbon atoms, or a cycloalkyl group having a side chain with a total number of carbon atoms of 8 or more Branch Illustrative examples include linear alkynyl groups, branched alkadienyl groups substituted with a cycloalkyl group having 8 or more carbon atoms and no side chain, and branched alkadienyl groups substituted with a cycloalkyl group having 9 or more carbon atoms and a side chain. can do.
[0013]
In the following, an aromatic group having no side chain, an aromatic group having a side chain, and a phenylphenyl group or a phenylphenyl group having a side chain are collectively referred to as an aryl group. The linear or branched alkyl group thus formed is called an aralkyl group. As for other cyclic hydrocarbon groups, unless otherwise specified, when referring to those having no side chain on the ring, names such as cycloalkyl groups are simply used. As for the chain hydrocarbon group, when referring to a straight chain and a branched chain together, a name such as an alkyl group is simply used.
[0014]
In the hydrocarbon group, —CH 2 When-is replaced by a carbonyl group, a sulfonyl group, -O- or -S-, a ketone, sulfone, ether or thioether structure is introduced, respectively, and -CH Three -CH 2 When-is replaced by a carbonyl group, -O- or -S-, it changes to a formyl group (aldehyde), a hydroxyl group or a mercapto group, respectively, or the terminal = CH 2 Is replaced with ═O or ═S means that a structure of ketone or thioketone is introduced, and —CH 2 When -CH is changed to N, -NH- is obtained, and when CH of -CH- is changed to N,> N- is obtained, and when CH of -CH- is changed to N, = N- And the terminal —CH Three When C—H of N is changed to N, —NH 2 Is introduced and = CH 2 When C—H is changed to N, ═NH. Also, -CH Three , -CH 2 When C—H of —, ═CH—, ≡CH or> CH— is replaced by C-halogen, a halogen atom is substituted on the carbon. In addition, when the substitution to —O—, —S—, or N in the carbon chain corresponds to oxa substitution, thia substitution, or aza substitution for the hydrocarbon group, respectively, for example, occurs at the skeleton carbon of the ring of the hydrocarbon ring. The hydrocarbon ring is converted into an oxygen-containing heterocycle, a sulfur-containing heterocycle and a nitrogen-containing heterocycle, respectively. In the hydrocarbon group, CH 2 In addition, the replacement in C—H may be performed independently, and in addition, after the above replacement, CH is still present on the carbon. 2 Alternatively, further replacement may be performed when C—H remains. Furthermore, by the above replacement, 2 -CH Three -CO-O-H; conversion into a carboxylic acid structure is also performed.
[0015]
In this specification, the halogen atom refers to a fluorine atom, a chlorine atom, a bromine atom, or an iodine atom, and a fluorine atom, a chlorine atom, or a bromine atom is preferable.
Therefore, as the hydrocarbon group, any of a hydrocarbon group having a ring structure such as a chain hydrocarbon group and a cyclic hydrocarbon group can be selected. For example, a straight chain or branched chain which is a saturated chain hydrocarbon group Saturated cyclic carbonization such as linear alkyl group, unsaturated chain hydrocarbon group linear or branched alkenyl group, linear or branched alkynyl group, linear or branched alkadienyl group, etc. Cycloalkenyl groups that are hydrogen groups, cycloalkenyl groups that are unsaturated cyclic hydrocarbon groups, cycloalkynyl groups, cycloalkadienyl groups, aryl groups that are aromatic hydrocarbon groups, aralkyl groups, arylalkenyl groups, etc. Is mentioned.
[0016]
More specifically, examples of the linear or branched alkyl group include a methyl group, an ethyl group, a propyl group, an isopropyl group, a butyl group, a 1-methylpropyl group, a pentyl group, a 1-methylbutyl group, a hexyl group, 1-methylpentyl group, heptyl group, 1-methylhexyl group, 1-ethylpentyl group, octyl group, nonyl group, decyl group, undecyl group, dodecyl group, tridecyl group, tetradecyl group, 2-methylpropyl group, 2- Methylbutyl group, 3-methylbutyl group, 2-methylpentyl group, 3-methylpentyl group, 4-methylpentyl group, methylhexyl group, methylheptyl group, methyloctyl group, methylnonyl group, 1,1-dimethylethyl group, 1 , 1-dimethylpropyl group, 2,6-dimethylheptyl group, 3,7-dimethyloctyl group, 2-ethyl Examples of the cycloalkyl group such as a cyclohexyl group include a cyclopentylmethyl group and a cyclohexylmethyl group. Examples of the cycloalkyl group include a cyclopropyl group, a cyclobutyl group, a cyclopentyl group, a methylcyclopentyl group, a cyclohexyl group, a methylcyclohexyl group, and a cycloheptyl group. Examples of the bicycloalkyl group such as a cyclooctyl group include a norbornyl group, a bicyclo [2.2.2] octyl group, an adamantyl group, and the like. Examples of the linear or branched alkenyl group include a vinyl group, an allyl group, a crotyl group (2-butenyl group), an isopropenyl group (1-methylvinyl group), and the like as a cycloalkenyl group or a cycloalkadienyl group. Includes a cyclopentenyl group, a cyclopentadienyl group, a cyclohexenyl group, a cyclohexanedienyl group, and the like. Examples of the linear or branched alkynyl group include an ethynyl group, a propynyl group, and a butynyl group. Examples of the aryl group include a phenyl group, 1-naphthyl group, 2-naphthyl group, 2-phenylphenyl group, 3-phenylphenyl group, 4-phenylphenyl group, 9-anthryl group, methylphenyl group, dimethylphenyl group, Examples thereof include a trimethylphenyl group, an ethylphenyl group, a methylethylphenyl group, a diethylphenyl group, a propylphenyl group, and a butylphenyl group. Examples of aralkyl groups include benzyl, 1-naphthylmethyl, 2-naphthylmethyl, phenethyl (2-phenylethyl), 1-phenylethyl, phenylpropyl, phenylbutyl, phenylpentyl, phenyl Examples include hexyl group, methylbenzyl group, methylphenethyl group, dimethylbenzyl group, dimethylphenethyl group, trimethylbenzyl group, ethylbenzyl group, and diethylbenzyl group. Examples of the arylalkenyl group include a styryl group, a methyl styryl group, an ethyl styryl group, a dimethyl styryl group, and a 3-phenyl-2-propenyl group.
[0017]
CH in the hydrocarbon group 2 Is a carbonyl group, a sulfonyl group, O or S, or a group in which C—H is replaced by N or C-halogen includes ketone, aldehyde, carboxylic acid, sulfone, ether, thioether, amine, alcohol, thiol, halogen And a group containing at least one structure such as a heterocyclic ring (for example, an oxygen-containing heterocyclic ring, a sulfur-containing heterocyclic ring, or a nitrogen-containing heterocyclic ring). The oxygen-containing heterocycle, sulfur-containing heterocycle, and nitrogen-containing heterocycle mean those in which the carbon of the ring skeleton of the cyclic hydrocarbon group is replaced by oxygen, sulfur, or nitrogen, respectively. May be a heterocycle having two or more. Examples of the hydrocarbon group having the substitution include acetylmethyl group and acetylphenyl group having a ketone structure; methanesulfonylmethyl group having a sulfone structure; methoxymethyl group, methoxyethyl group, ethoxyethyl group, and methoxypropyl group having an ether structure. , Butoxyethyl group, ethoxyethoxyethyl group, methoxyphenyl group, dimethoxyphenyl group, phenoxymethyl group; thioether structure methylthiomethyl group, methylthiophenyl group; amine structure aminomethyl group, 2-aminoethyl group, 2-aminopropyl Group, 3-aminopropyl group, 2,3-diaminopropyl group, 2-aminobutyl group, 3-aminobutyl group, 4-aminobutyl group, 2,3-diaminobutyl group, 2,4-diaminobutyl group, 3,4-diaminobutyl group, 2,3,4-tria Nobutyl group, methylaminomethyl group, dimethylaminomethyl group, methylaminoethyl group, propylaminomethyl group, cyclopentylaminomethyl group, aminophenyl group, diaminophenyl group, aminomethylphenyl group; tetrahydrofuranyl group of oxygen-containing heterocycle, Tetrahydropyranyl group, morpholylethyl group; oxygen-containing heteroaromatic furyl group, furfuryl group, benzofuryl group, benzofurfuryl group; sulfur-containing heteroaromatic thienyl group; nitrogen-containing heteroaromatic pyrrolyl group, imidazolyl group, oxazolyl Group, thiadiazolyl group, pyridyl group, pyrimidinyl group, pyridazinyl group, pyrazinyl group, tetrazinyl group, quinolyl group, isoquinolyl group, pyridylmethyl group; 2-hydroxyethyl group, 2-hydroxypropyl group, 3-hydroxy group of alcohol structure Propyl group, 2,3-dihydroxypropyl group, 2-hydroxybutyl group, 3-hydroxybutyl group, 4-hydroxybutyl group, 2,3-dihydroxybutyl group, 2,4-dihydroxybutyl group, 3,4-dihydroxy Butyl group, 2,3,4-trihydroxybutyl group, hydroxyphenyl group, dihydroxyphenyl group, hydroxymethylphenyl group, hydroxyethylphenyl group; thiol structure 2-mercaptoethyl group, 2-mercaptopropyl group, 3-mercapto Propyl group, 2,3-dimercaptopropyl group, 2-mercaptobutyl group, 3-mercaptobutyl group, 4-mercaptobutyl group, mercaptophenyl group; 2-chloroethyl group and 2-chloropropyl which are halogenated hydrocarbon groups Group, 3-chloropropyl group, 2-chlorobutyl Group, 3-chlorobutyl group, 4-chlorobutyl group, fluorophenyl group, chlorophenyl group, bromophenyl group, difluorophenyl group, dichlorophenyl group, dibromophenyl group, chlorofluorophenyl group, trifluorophenyl group, trichlorophenyl group, fluoromethyl Phenyl group, trifluoromethylphenyl group; 2-amino-3-hydroxypropyl group, 3-amino-2-hydroxypropyl group, 2-amino-3-hydroxybutyl group, 3-amino- having an amine structure and an alcohol structure 2-hydroxybutyl group, 2-amino-4-hydroxybutyl group, 4-amino-2-hydroxybutyl group, 3-amino-4-hydroxybutyl group, 4-amino-3-hydroxybutyl group, 2,4- Diamino-3-hydroxybutyl group, 3-amino -2,4-dihydroxybutyl group, 2,3-diamino-4-hydroxybutyl group, 4-amino-2,3-dihydroxybutyl group, 3,4-diamino-2-hydroxybutyl group, 2-amino-3 , 4-dihydroxybutyl group, aminohydroxyphenyl group; fluorohydroxyphenyl group and chlorohydroxyphenyl group which are hydrocarbon groups substituted with halogen and hydroxyl group; carboxyphenyl group having a carboxylic structure.
[0018]
R 1 And R 2 The asymmetric divalent group represented by the formula is not particularly limited, and examples thereof include norbornane-2-ylidene and 2-norbornene-5-ylidene. Examples of the carbonyl compound represented by the formula (I) include benzaldehyde, m-phenoxybenzaldehyde, p-methylbenzaldehyde, o-chlorobenzaldehyde, m-chlorobenzaldehyde, p-chlorobenzaldehyde, m-nitrobenzaldehyde, 3,4 -Aromatic aldehydes such as methylenedioxybenzaldehyde, 2,3-methylenedioxybenzaldehyde, phenylacetaldehyde, furfural; Aliphatic aldehydes such as acetaldehyde, butyraldehyde, isobutyraldehyde, valeraldehyde, cyclohexanealdehyde; ethyl methyl ketone, butyl methyl Ketone, methyl propyl ketone, isopropyl methyl ketone, methyl pentyl ketone, methyl (2-methylpropyl) ketone, methyl ( -Saturated aliphatic ketones such as methyl butyl) ketone; unsaturated aliphatic ketones such as methyl (2-propenyl) ketone and (3-butenyl) methyl ketone; alkyl (haloalkyl) ketones such as (3-chloropropyl) methyl ketone; (Alkoxycarbonylamino) -3- (protected amino) aldehyde such as cyclohexylpropionaldehyde; alkylthioaliphatic aldehyde such as 3-methylthiopropionaldehyde.
[0019]
In the present invention, as the hydrocyanic acid, hydrocyanic acid containing an acidic substance is used as a stabilizer. The stabilizer means an acidic substance such as sulfurous acid or sulfuric acid that is added to suppress deterioration due to polymerization of mass-produced hydrocyanic acid and to keep the quality stable.
As the hydrocyanic acid containing an acidic substance as a stabilizer used in the present invention, a solution obtained by dissolving hydrocyanic acid in an organic solvent which is substantially immiscible with water at a concentration of 1.5 M and pure water are separated into an organic phase and an aqueous phase. It means that the pH of the aqueous phase obtained by mixing after mixing at a separation ratio is 5 or less, and the method of the present invention is preferably applied to the one where the pH is 4 or less.
[0020]
In the present invention, as a method for reducing the inhibitory effect on the enzyme of the stabilizer contained in the hydrocyanic acid, for example, hydrocyanic acid containing an acidic substance as the stabilizer is once dissolved in an organic solvent substantially immiscible with water, A method of preparing an organic solvent solution, then adding a saturated amount or more of a buffer solution to the organic acid solution of cyanide and mixing, and then recovering the organic phase and using it for the reaction; alkaline aqueous solution or pH 4-7 having buffer capacity A method of adjusting the pH to be between 5 and 6 by adding an aqueous buffer to the hydrocyanic acid can be mentioned.
[0021]
An example of a preferred procedure for reducing the inhibitory effect of the stabilizer on the enzyme is shown below.
1. Usually, a predetermined amount of hydrocyanic acid containing a stabilizer is added to an organic solvent substantially immiscible with water (which may already be saturated with water or an aqueous buffer).
2. The buffer solution is added in excess of the saturated dissolution amount of the solution, mixed and allowed to stand.
3. The two-phase separated organic phase is separated and used for the reaction.
[0022]
By the extremely simple method as described above, it is possible to effectively remove the adverse effect of the stabilizer contained in the cyanuric acid produced industrially.
As a method of supplying hydrogen cyanide, either a method of supplying as a liquid or a method of supplying as a gas can be employed.
[0023]
The buffer used in the method for reducing the inhibitory effect of the stabilizer on the enzyme means a buffer that exhibits a buffering capacity near the optimum pH of the enzyme activity, specifically, citric acid, glutaric acid, apple Examples thereof include salts such as acid, malonic acid, o-phthalic acid, and succinic acid, and those having a pH of 4 to 7, preferably 5 to 7 are usually used. The concentration of the buffer solution is preferably a concentration capable of maintaining the pH of the aqueous phase in the range of 5 to 7 after mixing with an organic solvent in which a predetermined amount of hydrocyanic acid is dissolved.
[0024]
In the present invention, an organic solvent that is substantially immiscible with water is used as the reaction solvent in order to increase the concentration of the reaction raw material and increase the productivity. Here, the “organic solvent substantially immiscible with water” means an organic solvent excluding a solvent that dissolves in water at an arbitrary ratio. Any organic solvent can be used without particular limitation as long as it is substantially immiscible with water, sufficiently dissolves the substrate and product, and does not adversely affect the enzyme reaction. Such an organic solvent can be appropriately selected according to the physical properties of the raw material aldehyde or ketone and the physical properties of the product cyanohydrin.
[0025]
Specific examples of organic solvents that are substantially immiscible with water include hydrocarbon solvents that may be halogenated (eg, linear, branched or cyclic saturated or unsaturated aliphatic hydrocarbons, aromatics). Group hydrocarbons), for example, pentane, hexane, cyclohexane, benzene, toluene, xylene, methylene chloride, chloroform, etc .; alcohol solvents that may be halogenated (for example, linear, branched or cyclic saturated or unsaturated). Saturated aliphatic alcohols, aralkyl alcohols), such as n-butanol, isobutanol, t-butanol, hexanol, cyclohexanol, n-amyl alcohol, etc .; ether solvents that may be halogenated (eg, linear, Branched or cyclic saturated or unsaturated aliphatic ethers, aromatic ethers), for example diethyl Ethers, dipropyl ethers, diisopropyl ethers, dibutyl ethers, t-butyl methyl ethers, dimethoxyethanes, etc .; ester solvents which may be halogenated (eg linear, branched or cyclic saturated or unsaturated aliphatics) Ester, aromatic ester), for example, methyl formate, methyl acetate, ethyl acetate, butyl acetate, methyl propionate and the like. These may be used alone or in combination of two or more.
[0026]
The organic solvent may be saturated with water or an aqueous buffer. Further, an excess of water or an aqueous buffer may be added to use in a solution state in which a two-phase system of an organic solvent phase and an aqueous phase is formed. The method for saturating the organic solvent with water or an aqueous buffer is not particularly limited. For example, the organic solvent and water or an aqueous buffer are mixed in a ratio of forming two phases and stirred for a while. , Standing and using the organic layer. Although there is no restriction | limiting in particular as an aqueous buffer solution used here, For example, the said buffer solution is mentioned.
[0027]
The present invention provides an industrially produced method for reducing the adverse effect of the stabilizer contained in the cyanide on the enzyme in using the cyanide containing the stabilizer in the synthesis reaction of the optically active cyanohydrin. There is no restriction on the form of using. That is, cyanic acid obtained by carrying out the method for reducing the adverse effects of the stabilizer provided by the present invention is a water / organic solvent mixed system, an organic solvent system, an organic solvent water two-phase system, a reaction system using an immobilized enzyme, etc. Any of these reaction systems can be used effectively.
[0028]
The usage amount of the immobilized enzyme and the substrate and the reaction temperature are appropriately determined according to the substrate used. Usually, the amount of the immobilized enzyme used is 1-1000 units, preferably 10-500 units, with respect to 50 mmol of the substrate carbonyl compound. In the case of a carbonyl compound, the concentration of the substrate is usually set in the range of 0.1 to 10 mol / L, and hydrogen cyanide is used in a concentration of 1 to 5 times mol, preferably 1.1 to 3 times mol of the carbonyl compound used. Added. In this reaction, the enzyme activity and the reaction rate vary depending on the substrate concentration, so that it is appropriately determined according to the type of the carbonyl compound used. The reaction time is not limited to a suitable time until the conversion rate of the carbonyl compound as a substrate reaches 80% or more, preferably 90% or more. The reaction temperature may be a temperature at which the activity of the enzyme is sufficiently exerted, and is usually 0 to 40 ° C, preferably 4 to 30 ° C.
[0029]
The optically active cyanohydrin produced by the method of the present invention can be measured and quantified by high performance liquid chromatography (HPLC) or the like, and if necessary, separated and purified by ordinary means such as extraction, vacuum distillation, column separation and the like. In the case of storage for a long time, a stabilizer may be added.
[0030]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to examples, but the scope of the present invention is not limited thereto.
(Preparation Example 1) Preparation of (S) -hydroxynitrile lyase
(S) -Hydroxynitrile lyase was prepared by culturing a genetically modified yeast obtained by genetic recombination of a cassava-derived gene cloned into the yeast using the yeast Saccharomyces cerevisiae as a host. A solution obtained by culturing the genetically modified yeast in 1 L of YPD medium (yeast extract 1%, peptone 2%,
[0031]
(Preparation Example 2) Preparation of immobilized (S) -hydroxynitrile lyase
1 g of immobilization carrier (porous silica gel, microbead silicagel 300A, manufactured by Fuji Silysia Chemical Co., Ltd.) is added to the (S) -hydroxynitrile lyase enzyme solution prepared by the method of Preparation Example 1 with respect to 300 units of enzyme activity. Mixed overnight. Subsequently, the immobilized enzyme was recovered by filtration and used for the subsequent reaction.
[0032]
Example 1
To a mixture of 610 g of t-butyl methyl ether and 41 g of hydrocyanic acid containing sulfurous acid as a stabilizer, 40 ml of 0.2 M citrate buffer (pH 7) was added, mixed with stirring, allowed to stand, and then the organic phase was separated. did. To this organic phase, the immobilized enzyme (60,000 units) prepared in Preparation Example 2 was added, and then 106 g of benzaldehyde was added. This was stirred at room temperature to synthesize (S) -mandelonitrile. After reacting for 30 minutes, the reaction solution was recovered, and the conversion rate of aldehyde was measured by HPLC. After completion of the reaction, the immobilized enzyme was recovered, the substrate solution prepared by the same operation as described above and the recovered immobilized enzyme were mixed again, and the reaction was repeated under the same conditions. As a result of this examination, even when the reaction was repeated, the activity of the enzyme was stably maintained, and no decrease in activity was observed in 11 reactions (FIG. 1). The pH of the aqueous phase obtained by collecting 2.5 ml of the 11th reaction solution and mixing with 5 ml of pure water was 5.
[0033]
In addition, the ratio (organic phase which separates into two phases the organic phase and the water phase which used the raw material, the solution which melt | dissolved the cyanuric acid containing a sulfurous acid as a stabilizer in t-butyl methyl ether in the density | concentration of 1.5M, and pure water : Water = 1: 2 (v / v)), and the pH of the aqueous phase obtained by standing was 2.9.
[0034]
(Comparative Example 1)
The immobilized enzyme (60,000 units) prepared in Preparation Example 2 was added to a mixture of 610 g of t-butyl methyl ether saturated with 10 mM phosphate buffer (pH 5) and 41 g of hydrocyanic acid containing sulfite as a stabilizer, Then 106 g of benzaldehyde was added. This was stirred at room temperature to synthesize (S) -mandelonitrile. After reacting for 30 minutes, the reaction solution was recovered, and the conversion rate of aldehyde was measured by HPLC. After completion of the reaction, the immobilized enzyme was recovered, the substrate solution prepared by the same operation as described above and the recovered immobilized enzyme were mixed again, and the reaction was repeated under the same conditions. As a result of this examination, the activity decreased remarkably at the 5th repeated reaction and almost no activity at the 6th reaction (FIG. 1). When 2.5 ml of the reaction solution was sampled and mixed with 5 ml of pure water, the pH of the aqueous phase was measured and found to be 3.5.
[0035]
【The invention's effect】
According to the present invention, a decrease in the activity of an enzyme such as hydroxynitrile lyase can be suppressed, and the lifetime as an enzyme can be greatly extended. Therefore, the industrial production of the optically active cyanohydrin can be stably carried out at low cost by using hydrocyanic acid containing an industrially produced stabilizer.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the relationship between the number of repeated reactions and the conversion rate of aldehydes.
[Explanation of symbols]
● Example 1
○ Comparative Example 1
Claims (4)
(a)前記安定剤として酸性物質を含む青酸を一旦水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶液を調製し、次いで当該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝液を飽和量以上加え、混合した後、有機相を回収し、反応に用いる方法、又は
(b)アルカリ性水溶液又はpH4〜7で緩衝能を有する水性緩衝液を当該青酸に添加して、pHを5〜6の間になるように調整する方法
によって、当該安定剤の酵素に対する阻害作用を低減させた青酸を原料として用いることを特徴とする光学活性シアノヒドリンの製造方法。 A hydrocyanic acid containing an acidic substance as a stabilizer, and a solution in which the hydrocyanic acid is dissolved in an organic solvent substantially immiscible with water at a concentration of 1.5 M and pure water are separated into two phases into an organic phase and an aqueous phase. after mixing at a ratio, standing blue acid shows the pH of 5 or less of the aqueous phase obtained, and a carbonyl compound as a starting material, upon synthesizing the optically active cyanohydrin by an enzymatic reaction,
(A) A hydrocyanic acid containing an acidic substance as the stabilizer is once dissolved in an organic solvent substantially immiscible with water to prepare a hydrocyanic acid organic solvent solution, and then a saturating amount of a buffer solution with respect to the hydrocyanic acid organic solvent solution. After adding and mixing, the organic phase is recovered and used in the reaction, or
(B) A method of adjusting the pH to be between 5 and 6 by adding an alkaline aqueous solution or an aqueous buffer having a buffer capacity at pH 4 to 7 to the hydrocyanic acid.
A process for producing an optically active cyanohydrin, characterized in that hydrocyanic acid having a reduced inhibitory effect on the enzyme of the stabilizer is used as a raw material.
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