JP3891334B2 - 液体封入式マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体封入式マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の作業車両においては、作業時や走行時に発生する振動や衝撃がキャブに伝達するのを低減するために、キャブを液体封入式マウントを介して車体フレームに装着している。
一般的に液体封入式マウントは、ゴム等の弾性体と、弾性体を貫通するスタッドと、開口部に前記弾性体及びスタッドを嵌挿して粘性液を封入するカップ状のケースと、粘性液に浸かる状態でスタッドに装着された減衰部材とを備えており、ケースを車体フレーム側に固定し、スタッドをキャブ側に固定している。車体の左右方向に比べ上下方向(マウントの軸方向)には大きな荷重が作用し、弾性体が大きく変位して破損する虞があるため、スタッドを軸方向に摺動可能とすると共に、軸方向の荷重を支持するコイルスプリングを内蔵するマウントが考案されている。
【0003】
図10は、軸方向に大荷重が作用しスタッドが大変位した場合でも、弾性体の破損を防ぐことのできる特開2001−241488号公報に記載された液体封入式マウントを示す断面図である。
カップ状のケース1の内部に、スタッド3の下端に取着された減衰部材14が収納されている。減衰部材14は、ケース1の内径よりも少し小さい径を有するキャップ形状をなし、その外周部とケース1との間に環状の隙間K1を形成している。ケース1と減衰部材14との間にはコイルスプリング13が配設されている。ケース1の上部に装着される筒状の弾性体48の内周にスリーブ49が接合されており、スリーブ49の上端部と下端部の内面に設けられた周方向の溝にはダストシール41とオイルシール42とがそれぞれ装着されている。スタッド3はスリーブ49の内周に気密的に接して軸方向に摺動可能に保持される。弾性体48の下面には周方向の凹部48aが設けられている。ケース1の段差1eには、座金形状のストッパ12が配置され、弾性体48のケース1への装着により固定されており、スリーブ49の下端部までを包み込む弾性体48とストッパ12との間に環状の隙間K2を形成している。
【0004】
上記構成により、ケース1の内部はストッパ12及び減衰板14により、下方からa室Sa、b室Sb、c室Scに分割される。なお、a室Saとb室Sbとは環状隙間K1を介して連通しており、b室Sbとc室Scとは環状隙間K2を介して連通している。弾性体48、スリーブ49及びスタッド3により密封されたケース1の内部には、液面が凹部48a(c室Sc)の中間部に達するまで粘性液Lが封入されている。
【0005】
スタッド3に軸方向の大荷重が作用してもスプリング13により支持され、弾性体48にはこの荷重が作用しないので、弾性体48の破損を防ぐことができる。上下方向の振動や衝撃が作用した場合には、スタッド3の上下動に応じて粘性液Lが環状隙間K1,K2にて絞られて流れる際の圧力損失により大きな減衰力が得られ、軸方向に垂直な方向(ラジアル方向)の振動や衝撃の成分に対しては、弾性体48による減衰作用が発揮され、キャブに伝わる振動及び衝撃を少なくしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下に述べるような問題点がある。
作業車両の機種や作業現場によっては、塵埃が多量に発生してダストシール41のシール部に堆積しシール部付近のスタッド3の表面の損傷を早めてしまい、粘性液Lが漏れる虞がある。また、高価なダストシール41及びオイルシール42を用いると共に、スリーブ49にこれらを装着するために溝加工を施す必要があり、コスト高となる。また、車体の振動や衝撃によりc室Scの空気が粘性液Lに混じりやすく、粘性液Lに混じって環状隙間K2を流れb室Sbに達した空気が減衰部材14により攪拌されて、細かい気泡の状態で混じっている空気混入(aeration)の状態となる虞がある。この状態になると、スタッド3の上下動による圧力変動に応じて細かい気泡を含む粘性液Lが圧縮又は膨張するため、環状隙間K1,K2での減衰特性が悪化してしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、低コストで性能の優れた液体封入式マウントを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、液体封入式マウントにおいて、軸方向に移動自在とされたスタッドと、スタッドに取着した減衰部材と、内部に粘性液が満たされ、前記減衰部材をスタッドの軸方向に移動自在に収容する液室と、マウントの外部と気密的に設けられた空気室と、前記スタッドの外周に設けられ、スタッドを該スタッドの軸方向に摺動自在に支持する支持手段とを備えると共に、空気室と液室とを連通する連通通路を前記支持手段に設け、粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した構成としている。
また第2発明は、第1発明において、前記支持手段が、ラジアル力を支持するラジアル力支持手段である構成としている。
【0009】
第1発明によると、粘性液が満たされた液室と空気室とが連通通路を介して分離されると共に、粘性液の液面が連通通路内に位置しているので、狭い通路内では空気は粘性液に混じりにくく空気混入状態の発生を防止でき、減衰特性の優れたマウントが得られる。空気室と液室とを連通する連通通路を、スタッドを該スタッドの軸方向に摺動自在に支持する支持手段に設けるので、軸方向の孔を設けるといった方法により連通通路を容易に形成することができ、さらに、連通通路をマウントの外部に設ける必要はなく、コンパクトなマウントを得ることができる。
第2発明によると、通常ラジアル力支持手段は、軸方向長さを大きくとってラジアル力を支持する構造となり、連通通路を該ラジアル力支持手段に設けるので、連通通路の軸方向長さを大きくできる。このため、スタッドの上下動により液面位置が変動しても、液面位置の変動を連通通路内でカバーすることができる。このため、振動や衝撃が作用する場合であっても、空気混入の発生を防止でき、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
【0010】
また、第3発明は、液体封入式マウントにおいて、内部に粘性液を満たし、液室を構成するケースと、前記ケースに対して軸方向に移動自在とされたスタッドと、前記スタッドに取着され、スタッドの軸方向に移動自在に液室内部に収容された減衰部材と、マウントの外部と気密的に設けられた空気室と、前記ケースに固定され、空気室と液室とを分割する部材と、前記分割する部材に設けられ、該空気室と液室とを連通する連通通路とを備えると共に、スタッドが定常位置及び最上方のストローク位置にある場合に、粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した構成としている。
第4発明は、第3発明において、前記スタッドが最下方のストローク位置にある場合にも、粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した構成としている。
また、第5発明は、第3又は第4発明において、前記分割する部材が、スタッドの外周に設けられ、スタッドを該スタッドの軸方向に摺動自在にラジアル力を支持するラジアル力支持手段である構成としている。
【0011】
第3発明によると、液室と空気室とが連通通路を介して分離されると共に、スタッドの最上方ストローク位置(液面の最下位置)においても連通通路内に粘性液の液面があるので、狭い通路内では空気は粘性液に混じりにくく、これにより粘性液の空気混入状態の発生を防止でき、減衰特性の優れたマウントが得られる。この場合、スタッドの最下方ストローク位置(液面の最上位置)においては液面が空気室に達することがあるが、粘性液に空気が混入し液面が連通通路の中に戻ったとしても、連通通路を移動中に気泡が分離し上昇するので、気泡は液室には到達しにくい。
第4発明によると、スタッドの最下方ストローク位置(液面の最上位置)においても、液面が連通通路の中にあるので、スタッドの全ストローク位置で粘性液に空気が混入するのを確実に防止できる。
第5発明によると、連通通路をラジアル力支持手段に設けるので、軸方向の孔を設けるといった方法により連通通路を容易に形成することができ、さらに、連通通路をマウントの外部に設ける必要はなく、コンパクトなマウントを得ることができる。また、通常ラジアル力支持手段は、軸方向長さを大きくとってラジアル力を支持する構造となり、連通通路をラジアル力支持手段に設けるので、連通通路の軸方向長さを大きくできる。このため、スタッドの上下動により液面位置が変動しても、液面位置の変動を連通通路内でカバーすることができる。このため、振動や衝撃が作用する場合であっても、空気混入の発生を防止でき、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
【0012】
また、第6発明は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、前記連通通路内に空気と粘性液とを分離する分離部材を移動自在に備えた構成としている。
【0013】
第6発明によると、スタッドの上下動により液面位置が変動しても、分離部材が液面の変動に応じて上下に移動し空気と粘性液とを分離するので、空気混入を確実に防止でき、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
【0014】
さらに、第7発明は、第1発明から第6発明のいずれかにおいて、前記連通通路よりスタッドに対して外方の部材とスタッドの上部との間を気密的に覆うカバーを備えた構成としている。
【0015】
第7発明によると、軸方向に移動自在なスタッド回りの気密性を確保できるので、連通通路上方からの空気の漏れや粘性液の漏れを確実に防止できる。また、スタッドを軸方向に摺動自在に支持するラジアル力支持手段を用いるマウントに対しては、ラジアル力支持手段の摺動支持部をカバーが気密的に覆う構成なので、塵埃によるスタッドの摺動部の損傷を防止でき、又、外部に粘性液が漏れることもない。このため、摺動支持部に高価なシール部品を設ける必要がなく、低コストで耐久性に優れたマウントを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
図1は液体封入式マウントの平面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。なお、「軸方向」は、液体封入式マウントの軸方向、即ち、後述のスタッド3の軸方向を意味し、「ラジアル方向」は軸方向に垂直な方向を意味する。また、図2は、キャブ等の被マウント装置の搭載により設定荷重がかかり、スタッド3が定常状態の位置に沈んだ状態を表しており、以後の断面図も同様の状態を表している。
【0017】
ケース1は、カップ部1aと、取付孔1b及び固定用爪1cが設けられたフランジ1dとを有している。また、カップ部1aの中間部のやや上寄りには段差1eが設けられ、段差1eより下方のケース1の内径は少し小さくなっており、さらに先に向かって徐々に内径は小さくなっている。
【0018】
ケース1の内部には、スタッド3の下端にワッシャ15を介してボルト18により固着された減衰部材14が収納されている。
減衰部材14は、段差1eより下方のケース内径よりも少し小さい径を有するキャップ形状をなしており、その外周部とケース1との間に環状の隙間K1を形成している。また、減衰部材14の上面には、後述する粘性液を封入した後に、減衰部材14の内側に溜まる空気を上方に逃がすために、小孔14aが設けられている。
ケース1と減衰部材14との間にはコイルスプリング13が配設されている。コイルスプリング13の内径よりも若干小さい外径を有するワッシャ15は、コイルスプリング13の横ずれを防ぐリテーナとしての機能も有している。
【0019】
スタッド3は、上端部中心にねじ穴3aを有する円柱形状で、上面端部には回り止めのピン17が取着されている。スタッド3の外周面には、二硫化モリブデン焼き付けや硬質クロムメッキ等の表面処理、またはリン酸マンガン被膜処理等の潤滑性を向上する表面処理が施されている。
弾性カバー部材6は、筒状ケース5の円筒部5aを包含する円筒部6aと、この円筒部6aの上端部とスタッド3の上部とを繋ぐカバー部6bとを有しており、ゴムや樹脂等から成型されている。なお、弾性カバー部材6とスタッド3との接合部は、全周に亘り気密的に接合されている。筒状ケース5の下端部には、フランジ1dと略同形状のフランジ5dが設けられ、弾性カバー部材6の下端部からラジアル方向に張出している。フランジ5dには、フランジ1dの取付孔1bに対応する取付孔5bが設けられている。
【0020】
スリーブ9は円筒形で、内周面にスタッド3と気密的に接する内径を有するDUブッシュ等のドライベアリング11を装着し、スタッド3を軸方向に摺動自在に保持している。また、スリーブ9には、軸方向に貫通する複数の連通孔Hが設けられている。スリーブ9は、筒状ケース7と共に円筒状の弾性体8により互いに同心位置に接合されており、弾性体8をケース1に挿入することにより、弾性体8を介してケース1の軸心位置でスリーブ9の下端が段差1eの近辺になるように保持されている。これにより、スタッド3も弾性体8及びスリーブ9を介してケース1の軸心位置に保持されている。
【0021】
スリーブ9を内周面に接合する円筒状の弾性体8は、スリーブ9と共にラジアル力支持手段を構成し、スタッド3に作用するラジアル力を支持している。弾性体8の上端には、弾性カバー部材6の円筒部6aの下部内周面と気密的に嵌合する環状の凸部8aが設けられている。弾性体8は、筒状ケース7の円筒部7aを包含し、ゴムや樹脂等から成型されている。筒状ケース7の上端部には、フランジ1dと略同形状のフランジ7dが設けられ、弾性体8の上部からラジアル方向に張出している。フランジ7dには、フランジ1dの取付孔1bに対応する取付孔7bが設けられている。
【0022】
ケース1の段差1e部に座金形状のストッパ12が配置されており、弾性体8をケース1に挿入することにより、弾性体8によりケース1の段差1eに押し付けられてケース1に固定される。そして、弾性カバー部材6を弾性体8の凸部8aに嵌合させた後、ケース1の固定用爪1cをフランジ5d,7dの側面を包み込むように折り曲げかしめることにより、ケース1に筒状ケース5,7を固着し弾性体8及び弾性カバー部材6の装着を完成させている。なお、このとき、各フランジ1d,5d,7dの各取付孔1b,5b,7bは一致する位置関係にある。
【0023】
被マウント部材の搭載により設定荷重が作用するスタッド3の上端は定常位置Pとなる。振動や衝撃による荷重により、スタッド3は、定常位置Pから上方に距離m1、下方に距離m2の範囲内でのストロークが可能である。なお、距離m1は減衰部材14とストッパ12との距離で規定され、距離m2はスタッド3の上端と弾性カバー部材6の円筒部6aの上面とで規定される。
【0024】
上記構成により、ケース1の内部はラジアル力支持手段(弾性体8及びスリーブ9)により、上側の空気室Fと下側の液室Gとに分割され、空気室Fと液室Gとはスリーブ9に設けられた連通通路としての複数の連通孔Hを介して連通している。また、液室Gは減衰部材14により上下に分割され、この上下間は環状隙間K1及び小孔14aを介して連通している。
【0025】
ケース1の内部には、スタッド3が定常状態の位置Pに沈んだ状態において、液面が連通孔Hの中央近辺となるようにシリコンオイルなどの粘性液Lが封入されている。ケース1の底面には粘性液Lの注入用の孔が設けられており、栓体19により閉じられている。スタッド3の上下動に応じて液面は上下動するが、前記距離m1,m2の最大ストロークの場合であっても、液面は連通孔H内部となるように、スタッド3による最大押しのけ容積に対応して、連通孔Hの総容積(連通孔Hの径と長さと本数)と定常状態における液面位置とが設定されている。
【0026】
キャブなどの被マウント装置からの軸方向の荷重は、コイルプリング13が支持している。車両に発生する振動や衝撃により、被マウント装置に固定されたスタッド3及び減衰部材14が上下動する場合には、コイルプリング13が弾性的に支持すると共に、粘性液Lが環状隙間K1や連通孔Hを流れる際に大きな減衰力が作用する。また、振動や衝撃による振動のラジアル成分は、ドライベアリング11とこれを保持するスリーブ9を介して、スリーブ9に固着された弾性体8により減衰される。
【0027】
上記構成によれば、スタッド3の摺動支持部(スリーブ9及びドライベアリング11)を弾性カバー部材6により気密的に覆っているので、塵埃が多量に発生する場合であっても、摺動部に塵埃が堆積しないので摺動部を損傷することもなく、又、外部に粘性液Lが漏れることもない。このため、高価なダストシールやオイルシール等が不要となり、低コストで耐久性に優れたマウントを得ることができる。
【0028】
また、弾性カバー部材6によりマウント上部に空気室Fを形成すると共に、液室Gとの間をラジアル力支持手段(弾性体8及びスリーブ9)により分離し、スリーブ9に細長い連通孔Hを設けている。このため、スタッド3が上下動しても、粘性液Lの液面位置は連通孔Hの内部に位置すると共に、液面は連通孔Hの数に対応して比較的狭く分割されるので、空気は粘性液Lに非常に混じりにくくなる。また、粘性液Lが空気室Fに侵入して粘性液Lに空気が混入し連通孔Hに戻ったとしても、連通孔を移動中に気泡が分離上昇するので、気泡は液室Gには到達しにくい。これにより、粘性液Lの空気混入の発生を防止できるので、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
また、連通孔Hをスリーブ9に設けているので、空気室Fと液室Gとを連通する連通通路を容易に設けることができ、さらに、連通通路をケース1の外部に設ける必要はなく、コンパクトなマウントを得ることができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、本発明の範囲内において変更や修正を加えることができるのは言うまでもない。
例えば、図3に示すように、複数の連通孔Hをスリーブ9Aではなく弾性体8Aに設けても構わない。また、図示しないが、連通孔をスリーブ及び弾性体の双方に設けてもよい。いずれの場合も、スタッド3が上下方向に最大ストローク移動しても、液面位置が連通孔H内となるように連通孔の総容積と定常状態における液面位置とを設定するのが望ましい。
【0030】
実施形態においては、ドライベアリング11をスリーブ9が保持する例にて説明したが、図4に示すように、ドライベアリング11を弾性体8Bが直接保持する構成であっても構わない。また、図示しないが、ドライベアリングを用いずに、スリーブの内周面で直接スタッドを摺動自在に保持する形式のマウントに本発明を適用してもよい。この場合、スリーブの材質としては、例えば、銅・鉛系等の潤滑性の良好な材質とすればよい。
【0031】
また、図5、6に示すように、連通孔Hの孔径よりもやや小さい径を有する球体21又は円柱体22を、分離部材として連通孔Hの液面に配してもよい。これにより、スタッド3の上下動により液面位置が変動しても、球体21又は円柱体22が液面の変動に応じて上下に移動し空気と粘性液Lとを分離するので、空気混入を確実に防止できる。球体21及び円柱体22は、例えば、エンジニアリングプラスチック等の耐摩耗性に優れた軽量な材質がよい。又、中空構造や多孔質構造により軽量化することが望ましい。
球体21又は円柱体22を用いる場合、これらが連通孔Hから離脱しないように、連通孔Hの上端部には小径部が設けられている。又、下方への離脱防止に関しては、弾性体8Aに連通孔Hが設けられた場合には、図5に示すように、ストッパ12が球体21又は円柱体22の下方への離脱を防止し、スリーブ9に連通孔Hが設けられた場合には、図6に示すように、球体21又は円柱体22の収容後に、連通孔Hの下端周辺をセンタポンチ等による打刻で連通孔Hの内方に突出する突起を形成して、球体21又は円柱体22の下方への離脱を防止すればよい。
【0032】
実施形態においては、軸方向の荷重をコイルスプリング13で支持する例にて説明したが、図7、8に示すように、コイルスプリングを用いずに、マウントの内圧と大気圧との差圧でスタッド3を支持するエアばね方式のマウントに本発明を適用しても構わない。この場合、スタッド3の径(受圧面積)を大きくすることにより、より大きな軸方向支持力を得ることができる。
空気室Fの容積が小さいと、エアばねとしてのばね特性が硬いので、図8に示すように、スタッド3Aの内部に空気室を設けてばね特性を柔らかくしてもよい。即ち、スタッド3Aの上部に雄ねじ3Aaを設けると共に、スタッド3Aの内部に下方に開口する穴3Abを設ける。また、穴3Abには空気室Fと連通する孔3Acを設ける。スタッド3Aの下端部は、溶接等の手段により全周に亘り減衰部材14Aと気密的に接合する。これにより、空気室Fに加えスタッド3Aの内部の穴3Abも空気室として機能するので、ばね特性を柔らかくでき、乗り心地を向上できる。
軸方向の支持力を大きくする方策として、受圧面積を大きくする以外に空気室の圧力を高くしてもよい。例えば、雄ねじ3Aaに穴3Abに連通する孔を設け、この孔の出口にタイヤに用いるようなバルブを装着し、空気室を加圧するように構成すればよい。
【0033】
連通通路としてスリーブ9に複数の連通孔Hを設ける場合に、図9に示すように、複数の連通孔Hの下部が、下方に向って開口する環状溝Rで繋がる構造の連通通路であっても構わない。このとき、この環状溝Rを有する連通通路に図5,6にて説明した分離部材(球体21、円柱体22)を適用する場合には、図9に示すように環状溝Rに遊嵌するリング23を用いればよい。これにより、スタッドの上下動により液面位置が変動しても、リング23が液面の変動に応じて上下に移動し空気と粘性液Lとを分離するので、空気混入を確実に防止でき、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
【0034】
また、スタッドが上下方向に最大ストローク移動しても、液面位置が連通孔H内となることが望ましいが、下方の最大ストローク時に液面が上昇し、空気室に粘性液が少量流入する設定であっても構わない。少量であれば、空気室内で液面がゆれることがなく空気が混入する虞がない。また、通常のストローク時に粘性液が連通孔に戻り、粘性液が空気室に溜まることもない。
また、必要に応じて弾性カバー部材6のカバー部6bに、補強用の繊維を埋設してもよい。
また、被マウント部材としてキャブを例に挙げたが、キャブ以外に振動や衝撃の低減を目的とする被マウント部材に適用しても構わない。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、スタッドの摺動支持部を弾性カバー部材により気密的に覆っているので、塵埃による摺動部の損傷を防止でき、又、外部に粘性液が漏れることもない。このため、高価なシール部品が不要となり、低コストで耐久性に優れたマウントを得ることができる。
また、弾性カバー部材を用いてマウント上部に空気室を形成し、ラジアル力支持手段に設けた細長い連通通路に液面を位置させ、空気室と液室を連通させている。このため、スタッドが上下動しても、液面は連通通路に対応して比較的狭くなっているので、空気は粘性液に非常に混じりにくい。これにより、粘性液の空気混入を防止でき、減衰特性の優れたマウントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わる平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施形態の別態様に係わる断面図である。
【図4】実施形態の別態様に係わる断面図である。
【図5】実施形態の別態様に係わる要部断面図である。
【図6】実施形態の別態様に係わる要部断面図である。
【図7】実施形態の別態様に係わる断面図である。
【図8】実施形態の別態様に係わる断面図である。
【図9】実施形態の別態様に係わるスリーブの斜視図である。
【図10】従来技術の液体封入式マウントの断面図である。
【符号の説明】
1…ケース、3…スタッド、6…弾性カバー部材、8…弾性体、9…スリーブ、11…ドライベアリング、12…ストッパ、13…コイルスプリング、14…減衰部材、F…空気室、G…液室、H…連通孔、L…粘性液。

Claims (7)

  1. 液体封入式マウントにおいて、
    軸方向に移動自在とされたスタッドと、
    スタッドに取着した減衰部材と、
    内部に粘性液が満たされ、前記減衰部材をスタッドの軸方向に移動自在に収容する液室と、
    マウントの外部と気密的に設けられた空気室と、
    前記スタッドの外周に設けられ、スタッドを該スタッドの軸方向に摺動自在に支持する支持手段とを備えると共に、
    空気室と液室とを連通する連通通路を前記支持手段に設け、
    粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  2. 請求項1記載の液体封入式マウントにおいて、
    前記支持手段が、ラジアル力を支持するラジアル力支持手段である
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  3. 液体封入式マウントにおいて、
    内部に粘性液を満たし、液室を構成するケースと、
    前記ケースに対して軸方向に移動自在とされたスタッドと、
    前記スタッドに取着され、スタッドの軸方向に移動自在に液室内部に収容された減衰部材と、
    マウントの外部と気密的に設けられた空気室と、
    前記ケースに固定され、空気室と液室とを分割する部材と、
    前記分割する部材に設けられ、該空気室と液室とを連通する連通通路とを備えると共に、
    スタッドが定常位置及び最上方のストローク位置にある場合に、粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  4. 請求項3記載の液体封入式マウントにおいて、
    前記スタッドが最下方のストローク位置にある場合にも、粘性液の液面が前記連通通路内に位置するように粘性液を封入した
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  5. 請求項3又は4記載の液体封入式マウントにおいて、
    前記分割する部材が、スタッドの外周に設けられ、スタッドを該スタッドの軸方向に摺動自在にラジアル力を支持するラジアル力支持手段である
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の液体封入式マウントにおいて、
    前記連通通路内に空気と粘性液とを分離する分離部材を移動自在に備えた
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の液体封入式マウントにおいて、
    前記連通通路よりスタッドに対して外方の部材とスタッドの上部との間を気密的に覆うカバーを備えた
    ことを特徴とする液体封入式マウント。
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