JP3891179B2 - 光モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活線挿抜型の光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、発光ユニットや受光ユニットを搭載した光モジュールをホストボードにはめ込んで使用する活線挿抜型の光モジュールが知られていた。この光モジュールは、図28A及び図28Bに示すように、ホストボードに設けられたフック41と光モジュールのハウジング14に設けられた突起部15とが係合することによって、ホストボードに固定されるのが一般的である。このように固定された光モジュールは次のようにしてホストボードから取り外される。まず、図28A及び図28Bに示されるように、くさび型のアクチュエータ50を矢印の方向に移動してフック41に押し付ける。これにより、フック41がアクチュエータ50の斜面に沿って持ち上がり、フック41は突起部15から外れる。そして、フック41が外れた状態を保ちつつ、光モジュールをホストボードから引き抜く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した光モジュールを取り外すための機構は、作業性が悪いという問題点があった。すなわち、フック41を外すためには、光モジュールをホストボードから引き抜く際に、光モジュールを押し込む方向に向かってアクチュエータ50を移動させなければならないので作業の効率が悪かった。特に、光モジュールはホストボードに集積して搭載される場合が多いので、作業スペースは小さく、アクチュエータ50をフック41の方向に押し付けつつ、光モジュールを引き抜くことは困難であった。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解決し、ホストボードから容易に取り外すことができる光モジュールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光モジュールは、ホストボードにはめ込まれる光モジュールにおいて、ホストボードに挿入されるモジュール本体と、モジュール本体に形成されると共に、ホストボードに設けられたフックと係合する突起部と、突起部に係合されたフックをはずして係合を解除するためにモジュール本体に揺動可能に取り付けられたレバーと、を備え、レバーは、モジュール本体に向かう方向に力が加えられることによって移動する第1の部分と、突起部に隣接すると共に、第1の部分が移動することに応じて移動する第2の部分と、を有し、第1の部分に力が加えられて第1の部分が移動したときに、第2の部分は突起部の隆起方向に向かって移動してフックを突起部の隆起方向に押し上げ、フックと突起部との係合を解除する。レバーは、一端が第1の部分、他端が第2の部分を構成する板状部と、板状部の第1の部分と第2の部分との中間部に一体的に設けられた、板状部をモジュール本体に取り付けるための取付部と、を有し、板状部と取付部との両者間は弾性変形可能なV字型の屈曲部とされており、その屈曲部の復元力によって第2の部分が突起部の頂部 よりモジュール本体側に位置することを特徴とする。
【0006】
このようにモジュール本体に対して揺動可能なレバーを有し、このレバーの第1の部分をモジュール本体の方向に移動させると、突起部に隣接する第2の部分が突起部の隆起方向に移動して、突起部に係合しているフックが外れる。つまり、第1の部分をモジュール本体の方向、すなわち、モジュール本体を把持する際に力を加える方向に第1の部分を移動することでフックが外れるので、光モジュールを取り外す際の作業性を高めることができる。また、このようにV字型の屈曲部を介して板状部と取付部とが一体的に形成されたレバーは、取付部がモジュール本体に固定されると、屈曲部を中心としてモジュール本体に対して板状部が揺動する。これにより、板状部の一端(第1の部分)にモジュール本体の方向に力を加えると、板状部は屈曲部を支点とするてこのように動作し、板状部の他端(第2の部分)がモジュール本体から離隔する方向に移動する。また、屈曲部は弾性変形可能であるため、第1の部分に力が加わらない場合には、V字型の屈曲部は復元力によって板状部はもとの位置(角度)に戻る。このような構成でレバーを一体的に形成することにより、容易にレバーを作ることができる。
【0007】
上記光モジュールにおいて、板状部には、屈曲部と第1の部分との間に位置すると共に取付部に向かって突出するリブが形成され、第1の部分を取付部に向かって移動したときにリブがモジュール本体又は取付部に当接し、その当接部が板状部の揺動の中心となることを特徴とすることができる。
【0008】
上記光モジュールにおいて、レバーの第1の部分に摺接する摺接部を含んで構成されると共に光コネクタを挿入する光コネクタ挿入口を囲む作動部材であって、摺接部に隣接する部分を軸部として回動可能に設けられた作動部材をさらに備え、作動部材を軸部回りに回動させることにより、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させることを特徴とすることができる。また、上記光モジュールにおいて、軸部は、レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った作動部材の部分によって構成され、摺接部は軸部から光コネクタの挿入方向に向かって延び、レバー取付面と対向する面の縁に沿った作動部材の部分にグリップ部が形成され、グリップ部が前記光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に作動部材を回動することによって、摺接部が第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させる、ことを特徴とすることができる。
【0009】
上記光モジュールにおいて、レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った軸部と、軸部に一体的に形成されると共にレバーの第1の部分に摺接する摺接部と、軸部に垂直でかつ光コネクタ挿入口の縁に沿って延びるグリップ部と、を有する作動部材をさらに備え、作動部材を軸部回りに回動させることにより、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させることを特徴とすることができる。
【0010】
上記光モジュールにおいて、レバーは、第2の部分を突起部の頂部よりモジュール本体側に位置させる復元手段をさらに有することを特徴としても良い。
【0011】
このように突起部の頂部よりモジュール本体側に第2の部分を位置させる復元手段を有することにより、第1の部分に力が加わっていない状態では、第2の部分は復元手段の復元力によって突起部の頂部より本体側に位置する。従って、光モジュールを挿入する際に、フックが突起部に係合することを第2の部分が妨げることなく、ホストボードに光モジュールがスムーズに固定されることになる。なお、復元手段は、ばね等の弾性体をレバーに取り付けることとしても良いし、レバー自体を弾性材料によって構成することとしても良い。
【0012】
上記光モジュールにおいて、第1の部分に力を加える方向は、モジュール本体を挿入する方向と垂直な方向であることを特徴としても良い。
【0013】
このように、第1の部分に力を加える方向を、モジュール本体を挿入する方向と垂直な方向にすることにより、光モジュールを把持する力を第1の部分に加える力として効率良く利用することができる。
【0014】
上記光モジュールにおいて、板状部には、屈曲部と第1の部分との間に位置すると共に取付部に向かって突出するリブが形成され、第1の部分を取付部に向かって移動したときにリブがモジュール本体又は取付部に当接し、その当接部が板状部の揺動の中心となることを特徴としても良い。
【0015】
このように取付部に向かって突出するリブが板状部に形成されていることにより、第1の部分が取付部に向かって移動してリブがモジュール本体に当接すると、その当接部が揺動の中心となって板状部が揺動する。リブは屈曲部より第1の部分に近い位置に形成されているので、第1の部分を移動したときの第2の部分の移動量が増大し、効率的にフックを外すことができる。
【0016】
上記光モジュールは、モジュール本体の中心から離隔した位置に操作部を有するハンドルが第1の部分に取り付けられていることを特徴としても良い。
【0017】
操作部がモジュール本体の中心から離隔した位置にあるハンドルが第1の部分に取り付けられていることにより、モジュール本体の中央部の高さ(厚さ)を低減させることができる。これにより、光モジュールを縦に並べた場合の高さを低減させることができ、光モジュールの高密度化を図ることができる。
【0018】
上記光モジュールにおいて、モジュール本体は、発光ユニット又は受光ユニットの少なくとも一方を有する光ユニットと、光ユニットを動作させるための回路が搭載された光ユニット用回路基板と、光ユニット及び光ユニット用回路基板を収容するハウジングと、を備え、突起部は、ハウジングに形成されていることが好ましい。
【0019】
上記光モジュールにおいて、光ユニットは、発光ユニット及び受光ユニットを有することが好ましい。
【0020】
上記光モジュールにおいて、光ユニットは、少なくとも一の発光ユニットを有することが好ましい。
【0021】
上記光モジュールにおいて、光ユニットは、少なくとも一の受光ユニットを有することが好ましい。
【0022】
上記光モジュールにおいて、レバーは、金属からなることを特徴としても良い。
【0023】
このように金属によってレバーを構成することにより、機械特性に優れ、外力が加えられた場合にも壊れにくくなる。
【0024】
上記光モジュールにおいて、レバーは、プラスチックからなることを特徴としても良い。
【0025】
このようにプラスチックによってレバーを構成することにより、レバーを色分けすることができ、これにより、複数の光モジュールがホストボードに搭載される際にレバーによって光モジュールを識別することができる。
【0026】
上記光モジュールは、レバーの第1の部分に摺接する摺接部を含んで構成されると共に光コネクタを挿入する光コネクタ挿入口を囲む作動部材であって、摺接部に隣接する部分を軸部として回動可能に設けられた作動部材をさらに備え、作動部材を軸部回りに回動させることにより、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体に向かって移動させることを特徴としても良い。
【0027】
このように第1の部分に摺接する摺接部を含む作動部材をさらに備え、この作動部材が回動すると摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体に向かって移動する構成を採用することで、作動部材を回動させるという動作によって第1の部分を容易に移動させて、突起部に係合するフックを外すことができる。特に、ホストボードに高密度に光モジュールが集積される場合には、レバーを操作するためのスペースが十分に確保できない場合もあるので、このような構成が有効である。また、作動部材は光コネクタ挿入口を囲む形状であるので、光コネクタを挿入する際に作動部材が邪魔になることはない。
【0028】
上記光モジュールにおいて、軸部は、レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った作動部材の部分によって構成され、摺接部は軸部から光コネクタの挿入方向に向かって延び、レバー取付面と対向する面の縁に沿った作動部材の部分にグリップ部が形成され、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に移動して作動部材が回動することによって、摺接部が第1の部分をモジュール本体に向かって移動させる、ことを特徴としても良い。
【0029】
レバー取付面の縁に沿った部分によって軸部が構成され、レバー取付面と対向する面の縁に沿った部分にグリップ部が形成された構成により、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に作動部材を回動させると、それに伴って、軸部から光コネクタの挿入方向に延びる摺接部が回動し、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体方向に移動させる。これにより、光モジュールが高密度に配置された場合であっても、他の光モジュールの邪魔にならず、容易に操作することができる。
【0030】
上記光モジュールは、挿入される光コネクタの占有領域に、回動によってグリップ部が達する前に、フックと突起部との係合が解除されることを特徴としても良い。
【0031】
このように、光モジュールに挿入される光コネクタが占有する領域にグリップ部が達する前にフックと突起部との係合が解除されることにより、光モジュールに光コネクタが挿入されている状態でも、ホストボードから光モジュールを抜くことができる。
【0032】
上記光モジュールは、フックと突起部との係合が解除されるための作動部材の回動角度は68°以下であることを特徴としても良い。
【0033】
グリップ部が挿入された光コネクタと当たるときの作動部材の回動角度は68°であるので、回動角度が68°以下のときにフックと突起部との係合が解除される構成とすることにより、光モジュールに光コネクタが挿入されている状態でも、ホストボードから光モジュールを抜くことができる。ここで「回動角度」とは、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接した状態から回動した角度を意味する。
【0034】
上記光モジュールは、挿入される光コネクタの占有領域に、回動によってグリップ部が進入したときに、または回動によってグリップ部が占有領域を越えたときにフックと突起部との係合が解除されることを特徴としても良い。
【0035】
このように光モジュールに挿入される光コネクタが占有する領域にグリップ部が進入したとき、またはその領域を越えたときにフックと突起部との係合が解除されることにより、光モジュールに光コネクタが挿入されている状態では、グリップ部が光コネクタに衝突するために作動部材の回動が規制され、ホストボードから光モジュールを抜くことができなくなる。すなわち、光モジュール動作中に、誤って光モジュールがホストボードから外れることがなくなる。
【0036】
上記光モジュールは、フックと突起部との係合が解除されるための作動部材の回動角度は68°より大きいことを特徴としても良い。
【0037】
グリップ部が挿入された光コネクタと当たるときの作動部材の回動角度は68°であるので、回動角度が68°より大きいときにフックと突起部との係合が解除される構成とすることにより、光モジュールに光コネクタが挿入されている状態では、ホストボードから光モジュールを抜くことができなくなる。
【0038】
上記光モジュールにおいて、作動部材は、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接する第1の位置とグリップ部がレバー取付面と同一平面上に位置する第2の位置との間で回動可能であり、作動部材の第2の位置から第1の位置へ向かう方向の回動を第2の位置で規制するために摺接部と係合する突起部がレバーの第1の部分に形成されている、ことを特徴としても良い。
【0039】
このようにグリップ部が光コネクタ挿入口に隣接する第1の位置とグリップ部がレバー取付面と同一平面上に位置する第2の位置との間で作動部材が回動可能な構成により、作動部材が第2の位置にあるときにグリップ部を引っ張ることによって、光モジュールをホストボードから引き抜くことができる。特に、ホストボードに光モジュールが高密度に集積されて光モジュールを把持するスペースが十分でない場合には、グリップ部によって光モジュールを引っ張ることができる本構成は有効である。レバーが復元手段を有する場合には、復元手段の復元力によってレバーの第1の部分がモジュール本体から離隔する方向に移動し、第1の部分と摺接する摺接部が第1の部分に押されるので、作動部材には第1の位置に向かう復元力が作用する。本発明の構成によれば、作動部材が第2の位置にあるときに、摺接部と第1の部分に形成された突起部とが係合して、作動部材が第1の位置に向かう回動が規制されるので、グリップ部を引っ張りやすい。
【0040】
上記光モジュールにおいて、作動部材は、第2の位置からさらに第1の位置へ向かう方向とは反対の方向に回動可能なことを特徴としても良い。
【0041】
第2の位置において、第1の位置から第2の位置の方向への移動が規制されずさらに回動可能とされていることにより、グリップ部に第1の位置から第2の位置に向かう過度の力が加えられた場合にも、作動部材が第2に位置からさらに回動することにより、作動部材が外れるなどの故障を回避することができる。
【0042】
上記光モジュールは、レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った軸部と、軸部に一体的に形成されると共にレバーの第1の部分に摺接する摺接部と、軸部に垂直でかつ光コネクタ挿入口の縁に沿って延びるグリップ部と、を有する作動部材をさらに備え、作動部材を軸部回りに回動させることにより、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体に向かって移動させることを特徴としても良い。
【0043】
このように第1の部分に摺接する摺接部を有する作動部材をさらに備え、この作動部材が回動すると摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体に向かって移動させる構成を採用することで、作動部材を回動させるという動作によって第1の部分を容易に移動して、突起部に係合するフックを外すことができる。特に、ホストボードに高密度に光モジュールが集積される場合には、レバーを操作するためのスペースが十分に確保できない場合もあるので、このような構成が有効である。また、作動部材は、レバー取付面に沿った軸部及び軸部に一体的に形成された摺接部と、光コネクタ挿入口の縁に沿って延びるグリップ部とを構成要素としているので、光コネクタを挿入する際に作動部材が邪魔になることはない。
【0044】
上記光モジュールにおいて、摺接部は軸部から光コネクタの挿入方向に向かって延び、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に作動部材を回動することによって、摺接部が第1の部分をモジュール本体に向かって移動させる、ことを特徴としても良い。
【0045】
このような構成を採用することにより、グリップ部が光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に作動部材を回動させると、それに伴って、軸部から光コネクタの挿入方向に延びる摺接部が回動し、摺接部が第1の部分を摺動しつつ第1の部分をモジュール本体方向に移動させる。これにより、光モジュールが高密度に配置された場合であっても、他の光モジュールの邪魔にならず、容易に操作することができる。また、軸部と垂直な方向に延びるグリップ部は、軸部を中心に回動しても挿入された光コネクタと当たらないので、光コネクタが挿入されているときにも、作動部材を回動させることによって、光モジュールをホストボードから抜くことができる。
【0046】
上記光モジュールにおいて、レバーの第1の部分は、摺接部と摺接する面が凹となるように湾曲されている、ことを特徴としても良い。
【0047】
このように摺接部と摺接するレバーの第1の部分が湾曲されていることにより、その湾曲の度合いによって、作動部材の回動に伴って第1の部分がモジュール本体の方向へ移動する量を調整することができる。例えば、湾曲の度合いを調整することで、作動部材の回動に伴って第2の部分が突起部の頂部に向かって押し上げられて第2の部分が頂部の高さに達した後は、さらに作動部材が回動されても第1の部分がモジュール本体から離隔したり、近接したりすることがないようにして、第2の部分が突起部の頂部の高さを維持するようにすることができる。このような構成を採用すれば、突起部とフックとの係合を解除できる回動角度に幅を持たせることができ便利である。
【0048】
上記光モジュールは、摺接部を挟んで第1の部分の反対側に位置すると共に摺接部に当接する当接部と、光コネクタ挿入口を有する端面から光コネクタ挿入方向と反対に突出すると共に当接部と連続した把持部と、を有する把手をさらに備えることを特徴としても良い。
【0049】
このように光コネクタ挿入口より突出した把手をさらに備えることにより、光モジュールが高密度に集積されて、作動部材のグリップ部を動かしづらい場合であっても作動部材を容易に操作することができる。すなわち、光コネクタの挿入方向と垂直に前記作動部材のグリップ部の方向へ把持部を動かすことにより、把手の当接部が作動部材の摺接部をモジュール本体の方向に押して、作動部材を回動させる。この作動部材の回動に伴って作動部材のグリップ部が光コネクタ挿入口を有する端面より手前に移動するので、グリップを容易に操作することができる。
【0050】
上記光モジュールにおいて、レバーは、第1の部分から光コネクタ挿入口を有する端面から光コネクタの挿入方向と反対に突出して延びる延出部をさらに有し、把手の把持部とレバーの延出部とが接続されて、把手とレバーとが連続していることを特徴としても良い。
【0051】
レバーと把手とが連続した構成を採用すれば、作動部材のグリップ部の方向に把手を移動させることに伴って、把手の当接部が摺接部を介してレバーの第1の部分をモジュール本体の方向に押し、これにより、レバーが突起部とフックとの係合を解除する方向に移動するので好ましい。また、レバーと把手とが一体に形成されることにより、部品点数を減らすことができる。
【0052】
上記光モジュールにおいて、作動部材のグリップ部には、光コネクタ挿入方向とは反対方向に、光コネクタ挿入口を有する端面より突出した突出部が形成されていることを特徴としても良い。
【0053】
このようにグリップ部に、光コネクタ挿入口の端面より突き出た突出部が形成されていることにより、その突出部に指を掛けて作動部材を回動させることができる。特に、光モジュールが高密度に集積された場合には、光ジュール間のスペースが乏しく、グリップ部を掴んで作動部材を回動させることが困難となるので、突出部を形成することが好ましい。
【0054】
上記光モジュールは、光ユニットに接続される光コネクタがハウジングに挿入された場合に、当該光コネクタに接触することによって第1の部分の移動を制限するつめをさらに有することを特徴としても良い。
【0055】
このように、光コネクタが挿入された場合に、光コネクタに接触するつめによって、第1の部分の移動を制限することによって、第1の部分の移動に応じて移動する第2の部分の移動も制限され、突起部に係合したフックを外すことができなくなる。すなわち、光モジュールに光コネクタが挿入されている場合には、光モジュールをホストボードから抜き取ることができなくなり、光モジュールの動作中に誤って光モジュールが抜けてしまうという不都合を低減することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明に係る光モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
図1は実施形態に係る光モジュール10と光モジュール10がはめ込まれるホストボード40を示す斜視図であり、図2は光モジュール10の分解斜視図である。図1に示されるように、光モジュール10はホストボード40に設けられたケージ42に挿入される。そして、光モジュール10のハウジング14に形成された突起部(図1では見えない)がホストボード40に設けられたフック41に係合し、光モジュール10はホストボード40に対して固定される。突起部とフック41とが係合する態様は、図28A及び図28Bに示される係合の態様と同じである。
【0058】
次に、実施形態に係る光モジュール10について説明する。図2は、光モジュール10を図1における下斜め方向から見た図である。図2に示されるように光モジュール10は、発光ユニット12と、受光ユニット11と、発光ユニット12及び受光ユニット11(これらを総称して「光ユニット」という)を動作させるための回路を搭載した回路基板13と、光ユニット及び回路基板13を収容するハウジング14とを有している。ハウジング14内に収容された回路基板13は、基板押さえ16によって押さえられている。また、ハウジング14には、フック41と係合する突起部15が形成されており、突起部15の付近にはレバー20が取り付けられる。なお、ここでは発光ユニット12と受光ユニット11とを有する光トランシーバモジュールについて説明しているが、一又は複数の発光ユニットを有する発光モジュールや、一又は複数の受光ユニットを有する受光モジュールであっても良い。また、光モジュール10に含まれる発光ユニット12や受光ユニット11の数も2個に限定されるものではなく、4個であっても良いし、それ以上でも良い。
【0059】
次に、フック41を突起部15から取り外すためのレバー20について説明する。最初に、図3を用いてレバー20によって突起部15とフック41との係合を解除する原理について説明する。図3はこの原理について説明するための図であり、説明に必要な要素以外は省略している。光モジュール10がホストボード40に固定されている場合には、図3に示すように、ハウジング14に形成された突起部15にホストボード40のフック41が係合している。レバー20は、フック41を持ち上げるため、てこの原理を利用しており、揺動の中心となる支点Cと、レバーに力を加える力点Aと、フック41を持ち上げるための作用点Bと、を有する。力点Aに力が加えられて力点Aがハウジング14側に移動すると、それに伴って作用点Bがハウジング14とは離隔する方向に移動し、フック41を持ち上げることになる。また、力点Aに力が加えられてないときには、復元手段Dによって、レバー20の作用点Bが突起部15の頂部よりハウジング14の側に位置するようにしているので、光モジュール10がホストボード40に挿入される際に、レバー20が、突起部15とフック41とが係合することの妨げになることはない。以上が、本発明において係合を解除するためのレバー20の原理である。
【0060】
続いて、実施形態に係るレバー20について説明する。図4は、第1実施形態に係る光モジュール10が有するレバー20を示す斜視図である。図4に示されるように、レバー20は、力点となる第1の部分21Aと作用点となる第2の部分21Bとを両端に有する板状部21と、板状部21の一部が屈曲されて形成された取付部23とを有している。レバー20は機械特性に優れた金属製で、板状部21と取付部23は一体に形成されている。取付部21と板状部23とを繋いでいる屈曲部22が板状部21を揺動させる支点となる。図5は、レバー20を光モジュール10の側から見た斜視図であるが、取付部21の側面は2箇所が折り曲げられ折り曲げ部23a、23bが形成され、その折り曲げの高さ(量)は、屈曲部22から自由端に向けて大きくなっている。この折り曲げ部23a、23bは、取付部23をハウジング14に固定する役割を有する。ハウジング14のレバー20を取り付ける部分には、図6に示されるように、レバー20を取り付けるための溝14aが形成されている。折り返し部23a、23bの高さの最大値をhとすると、溝14aの高さはhより若干小さい値(h−Δh)に設計される。なお、ハウジング14端部に形成された切り欠き14bは誤動作防止つめ24を光コネクタ収容領域に入れるためのものである。次に、図7を参照しながら取付部23の溝14aへの固定について説明する。図7は、取付部23の折り曲げ部23a、23bと溝14aとの関係を示す図である。溝14aに取付部23を挿入する際には、折り曲げ量の小さい側から挿入されるので取付部23がスムーズに溝14aに入っていくが、一旦溝14aに挿入された取付部23を逆方向(取り外す方向)に移動させようとすると、折り曲げ部23a、23bが溝に引っかかることになる。このようにして効率良く取付部が溝14aにはめ込まれ、レバー20がハウジング14に固定されることになる。
【0061】
また、図5を再び参照すると、レバー20の第1の部分21Aには、取付部23の方向へ延びる誤動作防止つめ24が設けられている。この誤動作防止つめ24は、光コネクタが挿入されている場合に、光モジュール10がホストボード40から外れないようにする役割を有する。この誤動作防止つめ24の役割について、図8を参照して説明する。図8は、ハウジング14とハウジング14に取り付けられたレバー20とを光モジュール10の側面から見た図であり、誤動作防止つめ24の役割を説明するために不要な要素は省略している。ハウジング14のレバー20を固定する側は切り欠かれており(図6参照)、光コネクタが収容される領域と通じている。この切り欠き14bを通じて、レバー20に設けられた誤動作防止つめ24が光コネクタ収容領域に進入することが可能となっている。図8では、光コネクタが収容されていない場合に第1の部分21Aに力が加えられたときのレバー20の位置を点線で示している。光コネクタ18が収容されていない場合に第1の部分21Aに力が加えられると、図8において点線で示すように、第1の部分21Aはハウジング14側に移動し、これに伴って第2の部分21Bがハウジング14とは離隔する方向に移動して突起部15からフック41を外す。ところが、光コネクタ収容領域に光コネクタ18が収容されると、図8に示されるように、第1の部分21Aがハウジング14の方向へ移動した際に光コネクタに誤動作防止つめ24が接触するので、誤動作防止つめ24と光コネクタが接触した時点で第1の部分21Aの移動は制限されることになる。これにより、第2の部分21Bの移動も制限され、突起部15からフック41を外すことはできないことになる。なお、誤動作防止つめ24の長さは、第2の部分21Bによってフック41を外すことができない程度に、第1の部分21Aの移動を制限する長さであれば良い。具体的に述べると、レバー20が、第1の部分21Aが△xだけ移動して、図8に点線で示す位置になったときにフック41が外れるとすれば、第1の部分21Aの変位量が△xより小さくなるように誤動作防止つめ24の長さを決定する。
【0062】
次に、第1実施形態に係る光モジュール10の効果について説明する。第1実施形態に係る光モジュール10は、第1の部分21Aと第2の部分21Bとを有する揺動可能なレバー20を備え、第1の部分21Aをハウジング14側へ移動すると突起部15付近の第2の部分がハウジング14から離隔するように移動するので、ホストボード40から光モジュール10を引き抜く際には、レバー20の第1の部分21Aを把持することにより、突起部15に係合したフック41が第2の部分21Bによって外され、スムーズに光モジュール10をホストボード40から取り外すことができる。
【0063】
また、レバー20の第1の部分21Aには、光コネクタ18を収容する領域に伸びる誤動作防止つめ24が設けられているので、光モジュール10に光コネクタ18が挿入されている場合には、レバー20の動きが制限される。これにより、光モジュール10の動作中は、誤って突起部15からフック41が外れてしまうことがない。従来のスライド式アクチュエータによって光モジュール10を取り外すための仕組みでは、アクチュエータの前後の動きを規制する仕組みがなかったので、光モジュール10の動作中でも誤って光モジュール10が外れてしまっていたが、実施形態に係る光モジュール10ではこの点も制御可能となった。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態に係る光モジュール10について説明する。第2実施形態に係る光モジュール10は、第1実施形態に係る光モジュール10と基本的な構成は同様であるが、フック41を外すためのレバー30が第1実施形態に係る光モジュール10とは異なる。
【0065】
図9は、第2実施形態に係る光モジュール10が有するレバー30を示す斜視図である。レバー30はプラスチック製であるが、第1実施形態に係るレバー20と同様に、力点となる第1の部分31Aと作用点となる第2の部分31Bとを両端に有する板状部31と、板状部31の一部が屈曲されて形成された取付部33とを有している。板状部31と取付部33は一体に形成されている。取付部33と板状部31とを繋いでいる屈曲部32が板状部31を揺動させる支点となる。このような構成により、第1実施形態に係るレバー20と同様に、レバー30は、第1の部分31Aに力を加えて移動させることによって第2の部分31Bがフック41を持ち上げるという動作をすることとなる。また、第1実施形態に係るレバー20と同様に、光コネクタ18が接続されている際に光モジュール10がホストボード40から抜けてしまうことを防止するための誤動作防止つめが第1の部分31Aに設けられている(図9では見えない)。
【0066】
レバー30の取付部33は保持用ガイド33aと抜け防止つめ33bとを有しており、これらによってレバー30はハウジング14に取り付けられる。図10はハウジング14の一部を示す斜視図であるが、図10に示されるようにレバー30を固定する面には、保持用ガイド33aと嵌合する保持用ガイド嵌合溝17aが形成され、その一部に抜け防止つめ突き当て面17bが形成されている。レバー30は、その取付部33がハウジング14に形成された保持用ガイド嵌合溝17aに嵌合することによってハウジング14に対して固定される。図11は、取付部33が保持用ガイド嵌合溝17aに嵌合する様子を段階的に示す図である。まず、図11A及び図11Bに示されるように、レバー30の保持用ガイド33aをハウジング14の端面からスライドさせるようにして保持用ガイド嵌合溝17aにはめ込んでいく。プラスチック製の抜け防止つめ33bが保持用ガイド嵌合溝17aに入ると、図11Cに示されるように、抜け防止つめ33bが弾性変形して保持用ガイド嵌合溝17a内に収まる。さらに、レバー30がスライドされていくと、抜け防止つめ33bが抜け防止つめ突き当て面17bに達し、図11Dに示されるように弾性変形していた抜け防止つめ33bがもとの状態に戻って突き当て面17bに嵌合し、レバー30がハウジング14に対して固定される。
【0067】
次に、第2実施形態に係る光モジュール10の効果について説明する。第2実施形態に係る光モジュール10は、第1実施形態に係る光モジュール10と同様に、第1の部分31Aと第2の部分31Bとを有する揺動可能なレバー30を備え、第1の部分31Aをハウジング14側へ移動すると突起部15付近の第2の部分31Bがハウジング14から離隔するように移動するので、ホストボード40から光モジュール10を引き抜く際には、レバーの第1の部分31Aを把持することにより、突起部15に係合したフック41が第2の部分31Bによって外され、スムーズに光モジュール10をホストボード40から取り外すことができる。
【0068】
また、レバー30の第1の部分31Aには、光コネクタを収容する領域に伸びる誤動作防止つめが設けられているので、光モジュール10に光コネクタが挿入されている場合には、レバー30の動きが制限される。これにより、光モジュール10の動作中は、誤って突起部15からフック41が外れてしまうことがない。
【0069】
また、レバー30はプラスチック製であるので容易に着色することができ、これにより、レバー30の色によって光モジュール10の種類を識別することができる。光モジュール10はホストボード40に高密度に集積されることが多いので、色によって光モジュール10の種類を識別できると便利である。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態に係る光モジュール60について説明する。図12は、レバー取付面から見た第3実施形態に係る光モジュール60の斜視図である。図12に示されるように、第3実施形態に係る光モジュール60は、モジュール本体に形成された突起部15と、突起部15に隣接して取り付けられたレバー70と、レバー70の第1の部分71Aをモジュール本体方向に移動させる作動部材80と、を有している。
【0071】
突起部15は、第1実施形態における突起部15と同様に、ホストボードに設けられたフックと係合する機能を有する。
【0072】
図13は、レバー70を示す斜視図である。レバー70は、力点となる第1の部分71Aと作用点となる第2の部分71Bとを両端に有する板状部71と、板状部71の一部が屈曲されて形成された取付部73とを有している。レバー70は機械特性に優れた金属製で、板状部71と取付部73は一体に形成されている。取付部73と板状部71とを繋いでいる屈曲部72が板状部71を揺動させる支点となる。取付部73は、第1の部分71Aを挟む2箇所において屈曲され、作動部材80の軸部80bを回動可能に支持する作動部材支持部74が形成されている。第1の部分71Aは、取付部73と略平行に延び、その先端は取付部73と離隔する方向に屈曲されている。第1の部分71Aは、作動部材支持部74に軸通されることとなる軸部80bより取付部73側に位置するように形成されている。
【0073】
作動部材80は、図12に見られるように、光コネクタ挿入口を囲み、光モジュール60の端面の縁にほぼ沿った形状を有する環状の部材である。レバー取付面の縁に沿った作動部材80の部分は軸部80bを構成する。また、レバー取付面と対向する面の縁の沿った作動部材80の部分にはグリップ部80cが形成されている。軸部80bの中央付近には、光コネクタの挿入方向に向かって突出する摺接部80aが形成されている。作動部材80は、その軸部80bが取付部73の作動部材支持部74に軸通されることによって、回動可能にレバー70に取り付けられる。軸部80bは、摺接部80aを挟む2箇所がレバー70の作動部材支持部74によって支持される。なお、本実施形態では、作動部材80はレバー70に取り付けられているが、作動部材80はモジュール本体に取り付けられても良い。
【0074】
次に、図14A及び図14Bを参照しながら作動部材80が回動する動作について説明する。図14A及び図14Bはレバー取付面と対向する面の方向から見た光モジュール60の斜視図である。光コネクタを挿入する場合には、図14Aに示されるように、作動部材80を光コネクタ挿入口に隣接させ、光コネクタ挿入口の前のスペースを空ける。光モジュール60をホストボードから外すときには作動部材80を回動し、図14Bに示されるように、グリップ部80cがレバー取付面と同一平面となるように位置させる。以下、図14Aに示す作動部材80の位置を「第1の位置」、図14Bに示す作動部材80の位置を「第2の位置」という。
【0075】
続いて、図15A及び図15Bを参照しながら、作動部材80とレバー70の動作について説明する。レバーが第1の位置にあるときには、図15Aに示すように、レバー70は屈曲部72の復元力によって第2の部分71Bが突起部15の頂部より下(モジュール本体側)に位置し、図示しないフックが突起部15に係合する。次に、作動部材80のグリップ部80cを光コネクタ挿入口から離隔するように移動して作動部材80を回動させると、それに伴って作動部材80の摺接部80aが軸部80b回りに回動する(図では左回り)。この動きによって、摺接部80aはモジュール本体側(図15Bでは上向き)に回転移動し、また、摺接部80aはレバー70の第1の部分71Aを摺動するので、第1の部分71Aはモジュール本体側に押し込まれる。これにより、屈曲部72を中心としてレバー70が揺動し、図15Bに示すように、レバー70の第2の部分71Bは突起部15の隆起方向に移動する。そして、突起部15に係合するフック(図示せず)を押し上げ、フックを突起部15から外す。図16は、図15Bの状態での摺接部80aと第1の部分71Aとの接触状態を拡大して示す部分拡大図である。図16に見られるように、作動部材80が第2の位置にあるときには、第1の部分71Aに形成された突起部75aに作動部材80の摺接部80aが係合することにより、図16における矢印Aの方向への作動部材80の回動が規制される。これにより、レバー70の復元力によって作動部材80が第1の位置に戻ってしまわないようにされている。なお、グリップ部80cに所定以上の力を加えることにより、摺接部80aは突起部75aを乗り越え、作動部材80を第1の位置に戻すことができる。また、第1の部分71Aに形成された突起部75bに作動部材の摺接部80aが係合することにより、図16における矢印Bの方向への作動部材80の回動が規制される。これにより、グリップ部80cがレバー取付面と同一平面上にある第2の位置で、作動部材80の回動が規制されることとなり、第2の位置においてグリップ部80cを引っ張って光モジュールを抜けばよいということユーザに意識させることができる。さらに、作動部材80は、摺接部80aが突起部75bを乗り越え、図15Cに示すように、第1の位置とは反対の方向に回動させることが可能である。このような遊びを持たせることにより、図15Bの位置でグリップ部80cに下方向に力が加えられたときに作動部材80が外れてしまうなどの故障を防止することができる。なお、作動部材80が図15Cに示す状態まで回動する間、第2の部分71Bが突起部15の頂部の位置を維持するように、摺接部80aと摺接する第1の部分71Aは湾曲されている。
【0076】
次に、突起部15とフック41との係合が解除されるときの作動部材80の回動角度について説明する。図17A及び図17Bは、突起部15とフック41との係合が解除されるときの作動部材80の位置を示す図である。
【0077】
作動部材80は、上述のようにグリップ部80cが光コネクタ挿入口に隣接した状態から、光コネクタ挿入口から離隔するように回動する。図17Aに示す例では、グリップ部80cが、挿入される光コネクタが占有する領域Rに達する前に、第2の部分71Bが突起部15の頂部にまで移動し、突起部15とフック41との係合が解除される。グリップ部80cが光コネクタの占有領域Rに達する作動部材80の回動角度は、光モジュール60端面の高さ及び光コネクタの高さなどから算出することができ、標準規格の光モジュールでは68°である。従って、68°以下の回動角度でフック41と突起部15との係合が解除されるように設計する。図17Bに示す例では、グリップ部80cが、挿入される光コネクタが占有する領域Rに進入したとき、または光コネクタの占有領域Rを越えて回動されたときに、第2の部分71Bが突起部15の頂部にまで移動し、突起部15とフック41との係合が解除される。この場合は、68°より大きい回動角度でフック41と突起部15との係合が解除されるように設計する。本実施形態に係る光モジュール60では、係合解除時の作動部材80の回動角度を、図17A及び図17Bにそれぞれ示されるように、設計することができる。なお、作動部材80の回動角度を変えるためには、図17A及び図17Bに示すように、グリップ部80cの位置に対する摺接部80aの角度を変更する、また、摺接部80aが摺動する第1の部分71Aの湾曲度を変更する等の方法がある。
【0078】
グリップ部80cが光コネクタの占有領域Rに達する前に係合が解除される態様(図17A参照)では、光モジュール60に光コネクタが挿入されている状態で、突起部15に係合したフック41を外すことができるという効果がある。通常、光コネクタを光モジュール60から取り外したときには、再び挿入する前にクリーニングを行う必要があるが、このような構成を採用することにより、光コネクタを光モジュール60に挿入した状態で、光モジュール60をホストボード40から外すことができる。なお、このように光コネクタ挿入時にフック41が外れるように構成する場合には、第1実施形態及び第2実施形態において説明した、第1の部分24の移動を制限するつめ24を有しない。グリップ部80cが光コネクタの占有領域Rに進入したとき(図17B参照)、または光コネクタの占有領域Rを越えて回動したときに係合が解除される態様では、光モジュール60に光コネクタが挿入されている状態では、挿入された光コネクタにグリップ部80cが当たるために回動が規制され、光コネクタ挿入状態では光モジュール60がホストボード40から抜けない。すなわち、光コネクタに信号光が流れている動作中に誤って光モジュール60がホストボード40から抜けてしまうという事態を防止することができる。図17A及び図17Bのいずれの態様で作動部材80を設計するかは、光モジュール60がどのような環境において用いられるかによって選択することができる。つまり、例えば、幹線部分などのように動作中に光モジュール60が抜けては困る環境に用いられる場合は、図17Bに示すような誤動作防止型の作動部材80が好ましい。逆に、例えばスイッチング部分などのように、しばしば切り替えを行うような環境に用いられる場合は、光コネクタ挿入中でもホストボード40からの挿抜を行うことができる図17Aのような態様の作動部材80が好ましい。
【0079】
なお、図17A及び図17Bには記載していないが、本発明において言及する光コネクタの占有領域Rには、光コネクタを光モジュール60に接続するための光プラグも含む。すなわち、図18Aに示されるように、グリップ部80cの回動半径を小さくすることにより、図18Bに示されるように、作動部材の回動の途中でグリップ部80cが光プラグに当たることにより、その回動を規制することができる。これにより、光コネクタが挿入されている場合には、光コネクタが抜けるという誤動作を防止することができる。
【0080】
次に、本発明の第4実施形態に係る光モジュール90について説明する。第4実施形態に係る光モジュール90は、第3実施形態に係る光モジュール60と同様に作動部材82を有するが、作動部材82の形状が異なる。図19A及び図19Bは第4実施形態に係る光モジュール90を示す斜視図、図20は第4実施形態に係る光モジュール90の作動部材82を示す図である。図19Aに示されるように、作動部材82は、光モジュール90のレバー取付面の縁に沿った軸部82bと、軸部82bに垂直でかつ光コネクタ挿入口の縁に沿ったグリップ部82cとを有する。グリップ部82cの軸部82bから離隔した側には、図20に示されるように、端面から光コネクタ挿入方向とは反対側に突き出た突出部82dが形成されている。図19Bに示されるように、作動部材82は軸部82bを中心として回動する。このような構成を採用することにより、挿入される光コネクタの占有領域にグリップ部82cが進入することがないので、グリップ部82cが光コネクタに当たって作動部材82の回動が規制されることがなく、光コネクタが挿入されている状態で、突起部15に係合したフック41を外し、光モジュール90をホストボード41から外すことができる。また、グリップ部82cに形成された、光モジュール90の端面より光コネクタ挿入方向とは反対方向に突き出た突出部82dは、「把手」としての役割を有する。すなわち、突出部82dに指を掛けてグリップ部82cを引っ張ることにより、作動部材82を容易に回動させることができる。
【0081】
なお、グリップ部に突出部を形成する構成は、第3実施形態に係る作動部材80に適用することもできる。図21は、突出部80dが形成された作動部材80を有する光モジュール80がホストボード40に複数挿入された状態を示す図である。グリップ部80cの一端に光モジュール60の端面より突き出た突出部80dが形成されている。突出部80dが形成されていることにより、図21に示されるように光モジュール60が高密度に集積された場合であっても、容易に作動部材80を回動させることができる。突出部80dは、グリップ部80cの両端に形成することとしても良いが、図21に示すように、一端にのみ突出部80dを形成することにより、一の作動部材80を回動させる際に隣接する作動部材80が一緒に回動することがないのでより好ましい。
【0082】
次に、本発明の第5実施形態に係る光モジュール100について説明する。図22は第5実施形態に係る光モジュール100を示す斜視図、図23は第5実施形態に係る光モジュール100を示す断面図である。第5実施形態に係る光モジュール100は、基本的な構成は第3実施形態に係る光モジュール70と同じであるが、作動部材80の摺接部80aを動かすための把手77を有する点が異なる。図23に示されるように、把手77はレバー70と一体であり、把手77はレバーの第1の部分71Aから連続して延びている。把手77は、摺接部80aと当接する当接部77aと、把手77に力を作用させる把持部77bとを有している。把手77は、光コネクタの挿入方向とは反対に延びるレバー70の一部が折り返されて形成され、その折り返し部付近が把持部77bとなっている。ここでは、把手77がレバー70と一体に形成されている場合について説明したが、把手77とレバー70とは異なる部品によって構成することとしても良い。
【0083】
第5実施形態に係る光モジュール100は、第3実施形態に係る光モジュール100と同様に、作動部材80を回動させることにより容易にフック41と突起部15との係合を解除するという効果を有するのに加え、把手77を備えていることにより、次のような効果を有する。図21に示すように、光モジュール100が高密度に集積される場合には、作動部材80のグリップ部80cに指を掛けることが難しいが、第5実施形態に係る光モジュール100のように、光モジュール100の端面から突出した把手77を有することにより、容易にグリップ部80cを操作することができる。すなわち、把手77を矢印L1の方向に動かすことにより、把手77の当接部77aが作動部材80の摺接部80aをモジュール本体15の方向に押し、これにより作動部材80は軸部80bを中心として矢印L2の方向に回動する。すると、グリップ部80cが光コネクタの挿入方向とは反対に移動するので、グリップ部80cを容易に操作することができる。
【0084】
また、第5実施形態に係る光モジュール100では、レバー70と把手77とが一体であり、把手77はレバー70の第1の部分71Aから延びているので、レバー70を矢印L1の方向に動かすことによって、レバー70の第1の部分71Aをモジュール本体15の方向に動かすことになり、この動作によって突起部15のフック41との係合解除をサポートすることができる。
【0085】
以上、本発明の光モジュールについて、実施形態を用いて詳細に説明したが、本発明に係る光モジュールは、上記実施形態に限定されるものではない。
【0086】
上記第1実施形態又は第2実施形態では、力を加える第1の部分21A、31Aが光モジュール10の中央部にある場合について説明しているが、図24に示すように、光モジュール10の中央から離隔した位置に操作部があるハンドル35をレバーに取り付け、このハンドル35によってレバーを操作することとしても良い。このように、力を加える部分を光モジュール10の中央から離隔させることによって、レバーが取り付けられた面を向かい合わせにして複数の光モジュール10が集積された場合なども、容易にレバーに力を加えることができ、操作性を向上させることができる。
【0087】
また、上記実施形態で説明した揺動可能なレバーは、本発明を実現するレバーの一例であり、光モジュール10本体の方向に力を加えることによって突起部15のフック41を外すレバーの構成はさまざまなものが考えられる。上記実施形態では、レバーは屈曲部を中心として揺動するが、第1の部分の変位に対する第2の部分の変位量を変えるため、屈曲部の位置を変えることとしても良い。具体的に述べると、図25Aは、上記第3実施形態におけるレバー70を示す図であるが、第1の部分に力Fを加えて第1の部分71Aを押し下げると、図25Bに示すように第2の部分71BはX1変位する。これに対して、図26Aに示すように、屈曲部72の位置を第1の部分71Aの近くすることにより、第1の部分71Aに力Fを加えて第1の部分71Aを押し下げると、第2の部分71BはX2(X1<X2)変位することとなり、第1の部分71Aの少ない変位によってフックを外すことができる。また、図27Aに示されるように、屈曲部72の位置はそのままで、屈曲部72と第1の部分71Aとの間に板状部71にリブ76を形成することとしても良い。これにより、第1の部分71Aに力Fを加えて第1の部分71Aを押し下げると、リブ76がレバー取付面又は取付部73に当接し、その当接部を中心として板状部71が揺動することとなるので、図27Bに示すように、第2の部分71Bは変位X3(X1<X3)することとなる。この場合は第2の部分71Bの剛性が低下しないので、経年変化が生じにくくフックを確実に外すことができる。さらに、リブ76は、図27Cに示すように取付部73あるいはモジュール本体に形成することとしても良い。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、モジュール本体に対して揺動可能なレバーを有し、このレバーの第1の部分をモジュール本体の方向に移動させると、突起部に隣接する第2の部分が突起部の隆起方向に移動して、突起部に係合しているフックが外れる。つまり、第1の部分をモジュール本体の方向、すなわち、モジュール本体を把持する際に力を加える方向に第1の部分を移動することでフックが外れるので、光モジュールを取り外す際の作業性を高めることができる。
【0089】
また、レバーの第1の部分と摺接する摺接部を含むと共にその摺接部に隣接する軸部を中心として回動可能な作動部材を備え、作動部材を回動させてレバーの第1の部分をモジュール本体の方向に移動させる構成を採用することで、光モジュールが高密度に集積された場合でも作動部材によって容易にフックを外して、ホストボードから引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、実施形態に係る光モジュールと光モジュールを収容するホストボードを示す斜視図である。
【図2】図2は、光モジュールの分解斜視図である。
【図3】図3は、レバーによって係合を解除する原理を説明するための図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るレバーを示す斜視図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係るレバーを示す斜視図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係るハウジングの一部を示す斜視図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係るレバーが取り付けられる原理を示す図である。
【図8】図8は、誤動作防止つめの役割を説明する図である。
【図9】図9は、第2実施形態に係るレバーを示す斜視図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係るハウジングの一部を示す斜視図である。
【図11A】図11Aは、第2実施形態係るレバーが取り付けられる様子を示す図である。
【図11B】図11Bは、第2実施形態係るレバーが取り付けられる様子を示す図である。
【図11C】図11Cは、第2実施形態係るレバーが取り付けられる様子を示す図である。
【図11D】図11Dは、第2実施形態係るレバーが取り付けられる様子を示す図である。
【図12】図12は、第3実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
【図13】図13は、第3実施形態におけるレバーを示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、作動部材の回動の様子を示す図である。
【図14B】図14Bは、作動部材の回動の様子を示す図である。
【図15A】図15Aは、作動部材によってレバーを揺動させる仕組みを説明する図である。
【図15B】図15Bは、作動部材によってレバーを揺動させる仕組みを説明する図である。
【図15C】図15Cは、作動部材によってレバーを揺動させる仕組みを説明する図である。
【図16】図16は、レバーの第1の部分に形成された突起部について説明する図である。
【図17A】図17Aは、突起部とフックとの係合が解除される際の作動部材の回動角度について説明する図である。
【図17B】図17Bは、突起部とフックとの係合が解除される際の作動部材の回動角度について説明する図である。
【図18A】図18Aは、突起部とフックとの係合が解除される際の作動部材の回動角度について説明する図である。
【図18B】図18Bは、突起部とフックとの係合が解除される際の作動部材の回動角度について説明する図である。
【図19A】図19Aは、第4実施形態に係る光モジュールの構成を示す図である。
【図19B】図19Bは、第4実施形態に係る光モジュールの構成を示す図である。
【図20】図20は、第4実施形態の係る光モジュールに用いられる作動部材を示す図である。
【図21】図21は、グリップ部に突出部を形成した作動部材の例を示す図である。
【図22】図22は、第5実施形態に係る光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図23】図23は、第5実施形態に係る光モジュールの構成を示す図である。
【図24】図24は、レバーの変形例を示す図である。
【図25A】図25Aは、レバーの第1の部分と第2の部分の変位について説明する図である。
【図25B】図25Bは、レバーの第1の部分と第2の部分の変位について説明する図である。
【図26A】図26Aは、屈曲部の位置を変えたレバーの例を示す図である。
【図26B】図26Bは、屈曲部の位置を変えたレバーの例を示す図である。
【図27A】図27Aは、板状部にリブを形成したレバーの例を示す図である。
【図27B】図27Bは、板状部にリブを形成したレバーの例を示す図である。
【図27C】図27Cは、取付部にリブを形成したレバーの例を示す図である。
【図28A】図28Aは、突起部とフックとの係合を解除する従来の機構を示す図である。
【図28B】図28Bは、突起部とフックとの係合を解除する従来の機構を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
10…光モジュール、40…ホストボード、14…ハウジング、11…受光ユニット、12…発光ユニット、13…回路基板、15…突起部、16…基板押さえ、18…光コネクタ、20…レバー、23…取付部、24…誤動作防止つめ、30…レバー、31…板状部、33…取付部、35…ハンドル、41…フック、60…光モジュール、70…レバー、71…板状部、72…屈曲部、73…取付部、74…作動部材支持部、76…リブ、77…把手、80…作動部材、82…作動部材、90…光モジュール、100…光モジュール

Claims (5)

  1. ホストボードにはめ込まれる光モジュールにおいて、
    前記ホストボードに挿入されるモジュール本体と、
    前記モジュール本体に形成されると共に、前記ホストボードに設けられたフックと係合する突起部と、
    前記突起部に係合されたフックをはずして係合を解除するために前記モジュール本体に揺動可能に取り付けられたレバーと、
    を備え、
    前記レバーは、
    前記モジュール本体に向かう方向に力が加えられることによって移動する第1の部分と、
    前記突起部に隣接すると共に、前記第1の部分が移動することに応じて移動する第2の部分と、
    を有し、
    前記第1の部分に力が加えられて前記第1の部分が移動したときに、前記第2の部分は前記突起部の隆起方向に向かって移動して前記フックを前記突起部の隆起方向に押し上げ、前記フックと前記突起部との係合を解除し、
    前記レバーは、
    一端が前記第1の部分、他端が前記第2の部分を構成する板状部と、
    前記板状部の前記第1の部分と前記第2の部分との中間部に一体的に設けられた、前記板状部を前記モジュール本体に取り付けるための取付部と、
    を有し、
    前記板状部と前記取付部との両者間は弾性変形可能なV字型の屈曲部とされており、その屈曲部の復元力によって前記第2の部分が前記突起部の頂部より前記モジュール本体側に位置する、
    ことを特徴とする光モジュール。
  2. 前記板状部には、前記屈曲部と前記第1の部分との間に位置すると共に前記取付部に向かって突出するリブが形成され、前記第1の部分を前記取付部に向かって移動したときに前記リブが前記モジュール本体又は前記取付部に当接し、その当接部が前記板状部の揺動の中心となることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
  3. 前記レバーの第1の部分に摺接する摺接部を含んで構成されると共に前記光コネクタを挿入する光コネクタ挿入口を囲む作動部材であって、前記摺接部に隣接する部分を軸部として回動可能に設けられた作動部材をさらに備え、
    前記作動部材を前記軸部回りに回動させることにより、前記摺接部が前記第1の部分を摺動しつつ前記第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
  4. 前記軸部は、前記レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った前記作動部材の部分によって構成され、
    前記摺接部は前記軸部から前記光コネクタの挿入方向に向かって延び、
    前記レバー取付面と対向する面の縁に沿った前記作動部材の部分にグリップ部が形成され、
    前記グリップ部が前記光コネクタ挿入口に隣接した状態から離隔する方向に前記作動部材を回動することによって、前記摺接部が前記第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の光モジュール。
  5. 前記レバーが取り付けられたレバー取付面の縁に沿った軸部と、
    前記軸部に一体的に形成されると共に前記レバーの第1の部分に摺接する摺接部と、
    前記軸部に垂直でかつ光コネクタ挿入口の縁に沿って延びるグリップ部と、
    を有する作動部材をさらに備え、
    前記作動部材を前記軸部回りに回動させることにより、前記摺接部が前記第1の部分を摺動しつつ前記第1の部分を前記モジュール本体に向かって移動させることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
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