JP3890869B2 - 横軸回転窓のクッション装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窓枠の左右縦枠材の上部に障子を偏心状態で軸支し、軸支箇所より上側部分の障子の室内面側に重りを取付けた構造の横軸回転窓に使用するクッション装置に関するもので、さらに詳しく言えば、開放状態の障子が風に煽られた勢いで閉鎖して窓枠にぶつかる衝撃を緩和する横軸回転窓のクッション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の横軸回転窓には、窓枠の左右縦枠材の中間高さより上部に、障子を偏心状態で軸支し、障子上框の室内面側に重りを取付けた構造のものがある。これは、閉鎖状態の障子を重りの作用によって自然に開放するだけでなく、障子の軸支箇所に対して下側部分の面積が上側部分の面積より広いことから、開放状態の障子が風で煽られた勢いで自然と閉鎖するものである。ところが、強風時には障子が勢い良く閉鎖して窓枠にぶつかり、その際の衝撃音がうるさいだけでなく、窓枠や障子を傷めるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、開放状態の障子が強風で煽られた勢いで自然に閉鎖して窓枠にぶつかる衝撃を緩和する横軸回転窓のクッション装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
窓枠の左右縦枠材の上部に障子を偏心状態で軸支し、軸支箇所より上側部分の障子の室内面側に重りを取付けた横軸回転窓に用い、躯体又は縦枠材にベースを取り付け、障子竪框の下部室内面に当接するクッション本体をベースに揺動可能に軸支し、クッション本体が障子閉鎖時には障子に寄り掛かる形態から障子開放時には重量バランスによって横倒れ形態となる範囲にクッション本体の揺動範囲をストッパで規制した横軸回転窓のクッション装置であって、横倒れ形態のクッション本体は、ベースへ取り付けるボディと、ボディに対して室内外方向に往復動可能に設けるローラ支持体と、ローラ支持体を室外側に向かって押付ける弾性部材と、ローラ支持体に回転可能に支持されると共に障子との接点を窓枠開口部内又は開口部よりも室外側に配置するローラを備えるものであって、ベースとボディのうち少なくとも一方にブレーキ手段を、ローラと室内外方向に離して設け、ブレーキ手段がローラの回転を相互の摩擦によって止めるものであることを特徴とする。
【0005】
本装置は、窓枠開口部に対して左右両側のうち少なくとも一方に固定すればよい。「寄り掛かる形態」とは、クッション本体が急勾配で傾いた形態で、「横倒れ形態」とは、クッション本体が緩勾配で傾いた形態である。横倒れ形態のクッション本体のローラを窓枠開口部内または開口部よりも室外側に配置したのは、障子が完全に閉鎖する前に、ローラに当接させる為である。「往復動」とは、開放している障子が閉鎖する勢いでローラ支持体を室内側に押し込み、その押込み力で変形した弾性部材の復元力によって、クッション本体を元の位置に押し戻す動作を言う。弾性部材には、スプリングが一例として挙げられる。
【0006】
本装置は、閉鎖時の障子を開放すると、それまで障子に寄り掛かった形態のクッション本体が自然と回転し、その回転をストッパーによって止めて横倒れ形態に支持する。そして、障子開放時には、横倒れ形態のクッション本体のローラを窓枠開口部内、若しくは開口部より室外側に配置して設けてあるので、風で障子が煽られると、障子が完全に閉鎖する前に、ローラに当接するようになる。この障子の閉鎖する勢いが、弾性部材の押し付け力よりも弱い場合には、ローラ支持体を往動させることができず、単に押し込んでローラを回転させながらクッション本体を反転させて起き上がらせ、その反転をストッパーによって制限して障子に寄り掛かった形態とする。
【0007】
一方、障子の閉鎖する勢いが弾性部材の押し付け力よりも強い場合には、クッション機能が十分に働く。つまり、横倒れ形態のクッション本体のローラ支持体を往動させて、障子の閉鎖する勢いを弱め、ローラがブレーキ手段を強く押圧し、押圧による変形によって摩擦力が強まり、その摩擦力によってローラの回転を防ぎ、ひいては、クッション本体の起き上がりを阻止する。
【0008】
また、障子の閉鎖具合によっては、ローラとブレーキ手段が軽く接触する程度に、ローラ支持体が僅かに往動してクッション機能が少し働くこともある。この場合、摩擦力が不十分でローラが回転する。ローラが回転すると、クッション本体が横倒れ形態から起き上がろうとするので、これを防ぐことがクッション機能を保持するには望ましい。例えば、請求項2記載の発明のように、ブレーキ手段は、ベースに有する第一ブレーキと、ボディに有する揺動変形可能な第二ブレーキとを備えていれば良い。
【0009】
このようにすればローラが両ブレーキに接触することでブレーキ力が増加する。ローラが両ブレーキに接触しながら回転する場合は、第二ブレーキが揺動変形することで、ブレーキ力がさらに増加してローラの回転が止まり、クッション本体が横倒れ形態から起き上がるのを阻止する。ブレーキ力をさらに増加するには、第二ブレーキの揺動範囲を制限する規制体を、第二ブレーキの揺動方向に離して設けておくことが望ましい。このようにすれば、規制体で第二ブレーキの揺動範囲を制限するので、ブレーキ力が増加する。従って、障子の閉鎖する勢いが微妙な場合であっても、クッション機能が発揮され、障子閉鎖時の衝撃緩和や、衝突音を小さくすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する横軸回転窓は図12及び図13に示すように、窓枠1を構成する左右縦枠材2,2の中間高さより上部に、障子3を偏心状態で軸支し、障子上框4の室内面側に重り5を取付け、揺動運動によって障子3を自動的に開閉する手段Kを窓枠1より室内側に設けている。
【0011】
開閉手段Kは、窓枠1の左右側方(窓枠を固定する躯体)であって障子3の軸支箇所と略同じ高さ位置に、軸受6を夫々固定し、障子3の支軸7と平行なロッド8を、両軸受6,6間に回転可能に架設し、該ロッド8の左右に障子竪框9に当接する支杆10をロッド8に直交する方向に突設し、ロッド8にモータMを直結したものである。そして、支杆10の先部で障子3を閉鎖方向に押し付けた状態から、モータMによって支杆10を室内側に傾倒する方向に回転させると、重り5の作用によって障子3が自然と開き、また、その逆に、支杆10を傾倒状態から障子3の閉鎖方向に回転させると、障子3が閉鎖する。
【0012】
本発明品である横軸回転窓のクッション装置11は、図13に示すように、左右縦枠材2,2の下部の室内面にそれぞれ対称的に固定されている。各クッション装置11は図1から図11に示すように、縦枠材2に固定するベース12と、障子竪框9に当接するクッション本体13とを備え、ベース12の上部にクッション本体13を揺動可能に支持し、クッション本体13が閉鎖状態の障子3に寄り掛かる形態から障子開放時には重量バランスで横倒れ形態となる範囲にストッパ14で規制され、横倒れ形態のクッション本体13が収縮したときに起き上がるのをブレーキ手段15で阻止している。
【0013】
横倒れ形態のクッション本体13の角度は図1に示すように、開放した障子3が風力で閉鎖してクッション本体13に接触した場合に、クッション本体13の伸縮方向と障子竪框9の長手方向とで形成される上側の交差角度を、直角よりも僅かに鈍角に設定した角度である。この角度設定によって、開放状態の障子3が閉鎖する勢いに対応して、横倒れ形態のクッション本体13が起き上がったり、横倒れ形態を維持してクッション機能を発揮したりする。また、開閉手段Kを作動させて自動的に障子3を閉鎖させることも可能となる。
【0014】
ベース12は、窓枠縦枠材2にブラケット16を固定し、ブレーキ手段15の一要素としての第一ブレーキ17をブラケット16に内蔵し、ブラケット16にストッパ14を高さ調整可能に取り付けたものである。
【0015】
ブラケット16は、縦枠材2の室内面にネジ止めする固定片18の一側端に、固定片18より背の高いコ字状のケース19を室外側に向かって開口し、ケース19内の上部に第一ブレーキ17を固定し、ケース19の左右側面及び室内面にストッパ14をそれぞれ取り付けてある。
【0016】
第一ブレーキ17は、室外面側が円弧形状のゴム板で、室外面の中間高さから上側の範囲に複数のひだ20を放射状に突出してある。また、第一ブレーキ17は、その中央部に、回転軸Jを支持する軸受Uを通し、外周側にピンPを通して固定してある。
【0017】
ストッパ14は、L字状の板体で、ブラケット16に沿わせた一片にネジ止め用の長穴21を形成し、ブラケット16から離れる方向に延びた他片の上に消音用の柔軟なシート22を貼ったものである。
【0018】
横倒れ形態のクッション本体13は、ベース12に軸支されたボディ23と、ボディ23に対して往復動可能に設けるローラ支持体24と、ローラ支持体24を室外側に向かって押付ける弾性部材25と、を備え、ローラ支持体24の先部に備えたローラ26の往動方向にブレーキ手段15が間隔を開けて配置され、ローラ26の回転をブレーキ手段15で止めるものである。
【0019】
ボディ23は、べース12に第一ハウジング27を回転軸Jで揺動可能に連結し、第一ハウジング27でベース12の上方と左右を囲み、ブレーキ手段15の一要素としての第二ブレーキ28を第一ハウジング27の上面に固定し、く字状に屈曲した第二ブレーキ28の先部をローラ26の往動方向に向かって延長してある。また、ローラ支持体24をボディ23に対して往復動可能にする構造として、図7に示すように第一ハウジング27の左右側面の下部には一対の支片29を、室内外に間隔を開けて突出し、各支片29に抜穴を開け、抜穴に通したガイド管30の鍔31を各支片29に固定し、両ガイド管30,30内にローラ支持体24のシャフト32を挿通してある。さらに、ローラ支持体24を室外側に向かって押し付ける構造として、各シャフト32には両支片29,29の間の室外側にワッシャ33を固定し、シャフト32に通した弾性部材25としてのスプリングを、室内側のガイド管30の端面とワッシャ33の間に少し縮んだ状態で保持し、シャフト32の室外端部に設けた鍔34によってガイド管30から脱落不能に保持してある。
【0020】
ローラ支持体24は、左右のシャフト32,32の室外端部に第二ハウジング35を架設し、第二ハウジング35内にゴム製ローラ26を、軸受Uに通した回転軸Jで回転可能に支持し、ローラ26が第一、第二ブレーキ17,28から室外側に同程度離れて窓枠開口部36内に配置されたものである。また、第二ブレーキ28の揺動を止める規制体37は、第二ハウジング35の一部、即ちローラ26の上方を覆う一片である。
【0021】
上記した本装置の作動具合を以下に説明する。クッション装置11は、障子3が開放状態の場合にはクッション本体13が横倒れ形態となっている。障子3が風力で閉鎖してローラ26に衝突した場合に、風力が弱いときには、クッション本体13は収縮しない。しかし、クッション本体13と障子竪框9との交差角度を直角よりも僅かに鈍角にしたことによって、ローラ26が押されて回転し、それに伴ってクッション本体13が起きあがって図3に示すように障子3に寄り掛かる形態となる。一方、風力が強いとき、即ち障子3の閉鎖力が強いときには、ローラ26が往動する。しかも、図5に示すようにローラ26が第一、第二ブレーキ17,28を強固に押圧して相互に僅かに変形することによって、ローラ26の回転を阻止して、クッション本体13が横倒れ形態を維持する。また、風力の程度によっては、障子3で押し込まれたローラ26が第一、第二ブレーキ17,28を軽く押圧しながらも回転することがあり、この場合は図6に示すように、第二ブレーキ28の先部が揺動して規制体37に衝突し、ローラ26の回転を止め、クッション本体13が起き上がるのを阻止し、クッション機能を発揮する。なお、第一ブレーキ17のひだ20は、ローラ26の押圧力が小さい場合でも、摩擦力を高める役割を果たす。
【0022】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ローラ26、ブレーキ手段15の素材は、ゴムに限定されず、弾性変形可能な素材であればよい。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、開放状態の障子が風力で勢いよく閉鎖すると、クッション本体が横倒れ形態のままローラ支持体が往動してクッション機能が十分に働き、そのままローラがブレーキ手段を強く押圧し、相互の摩擦力によってローラの回転を防ぎ、クッション本体の起き上がりを阻止する。従って、強風時に障子が閉鎖時に窓枠に伝える衝撃は、クッション機能を果たす弾性部材によって緩和され、その結果、窓枠及び障子を傷付け難くし、且つ、障子閉鎖時に発する衝突音も小さくなる。なお、障子がゆっくり閉鎖すると、ローラが往動せずに単に押し込まれて回転し、それに伴ってクッション本体が横倒れ形態から起き上がって障子に寄り掛かる形態となる。
【0024】
請求項2記載の発明は、ブレーキが二つあるので、ローラの回転が止まりやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】障子がローラに接触した状態の本発明の横軸回転窓のクッション装置を示す要部縦断面図である。
【図2】障子がローラを往動させた状態を示す要部縦断面図である。
【図3】クッション本体が障子に寄り掛かった形態を示す要部縦断面図である。
【図4】図1で示した横軸回転窓のクッション装置の拡大図である。
【図5】図2で示した横軸回転窓のクッション装置の拡大図である。
【図6】揺動変形させた第二ブレーキに規制体が衝突した状態を示す拡大図である。
【図7】クッション装置の内部構造を示す横断面図である。
【図8】クッション本体が横倒れ形態であるクッション装置を示す拡大正面図である。
【図9】クッション本体が寄り掛かる形態であるクッション装置を示す拡大正面図である。
【図10】図8のクッション装置の右側面図である。
【図11】ローラに障子が接触した状態を示す平面図である。
【図12】(イ)(ロ)クッション装置の使用状態を全体的に示す説明図である。
【図13】クッション装置の取り付け具合を室内側から見た状態を示す図面である。
【符号の説明】
1 窓枠
2 縦枠材
3 障子
5 重り
9 障子竪框
11 クッション装置
12 ベース
13 クッション本体
14 ストッパ
15 ブレーキ手段
17 第一ブレーキ
23 ボディ
24 ローラ支持体
26 ローラ
28 第二ブレーキ
36 窓枠開口部
37 規制体

Claims (2)

  1. 窓枠(1)の左右縦枠材(2,2)の上部に障子(3)を偏心状態で軸支し、軸支箇所より上側部分の障子(3)の室内面側に重り(5)を取付けた横軸回転窓に用い、躯体又は縦枠材にベース(12)を取り付け、障子竪框(9)の下部室内面に当接するクッション本体(13)をベース(12)に揺動可能に軸支し、クッション本体(13)が障子閉鎖時には障子(3)に寄り掛かる形態から障子開放時には重量バランスによって横倒れ形態となる範囲にクッション本体(13)の揺動範囲をストッパ(14)で規制した横軸回転窓のクッション装置(11)であって、
    横倒れ形態のクッション本体(13)は、ベース(12)へ取り付けるボディ(23)と、ボディ(23)に対して室内外方向に往復動可能に設けるローラ支持体(24)と、ローラ支持体(24)を室外側に向かって押付ける弾性部材(25)と、ローラ支持体(24)に回転可能に支持されると共に障子との接点を窓枠開口部(36)内又は開口部(36)よりも室外側に配置するローラ(26)を備えるものであって、
    ベース(12)とボディ(23)のうち少なくとも一方にブレーキ手段(15)を、ローラ(26)と室内外方向に離して設け、ブレーキ手段(15)がローラ(26)の回転を相互の摩擦によって止めるものであることを特徴とする横軸回転窓のクッション装置。
  2. ブレーキ手段(15)は、ベース(12)に有する第一ブレーキ(17)と、ボディ(23)に有する揺動変形可能な第二ブレーキ(28)とを備えていることを特徴とする請求項1記載の横軸回転窓のクッション装置。
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