JP3890854B2 - シリコン単結晶の引上げ方法及び引上げ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶棒引上げ装置の石英るつぼに貯留されたシリコン融液に棒状シリコン原料を融解させた後に、その石英るつぼに貯留されたシリコン融液からシリコン単結晶棒を引上げる方法及びその方法を実現可能な引上げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコン単結晶棒を育成する方法としてるつぼ内のシリコン融液から半導体用の高純度シリコン単結晶棒を成長させるチョクラルスキー法(以下、CZ法という)が知られている。このCZ法では、石英るつぼの周囲に設けられたカーボンヒータにより石英るつぼ内のシリコン融液を加熱して所定温度に維持し、ミラーエッチングされた種結晶をシリコン融液に接触させ、種結晶を引上げてシリコン単結晶棒を育成するものである。このシリコン単結晶棒の育成方法では、種結晶を引上げてシリコン融液から種絞り部を作製した後、目的とするシリコン単結晶棒の直径まで結晶を徐々に太らせて肩部を形成し、その後更に引上げてシリコン単結晶棒の直胴部を形成するようになっている。
【0003】
一方、石英るつぼに当初供給される多結晶シリコンは塊状物であるため、塊状物と塊状物との間に存在する空間がその多結晶シリコンを融解するとともに消滅し、多結晶シリコンを融解して得られるシリコン融液の液面は石英るつぼに当初供給された多結晶シリコンの上面より下降する。このため、当初供給された多結晶シリコンが融解して石英るつぼに貯留されたシリコン融液に、上方から棒状シリコン原料を下降させ、シリコン融液の液面が正規の位置になるまでその棒状シリコン原料を追加融解させることが行われる。
【0004】
また、シリコン融液は固化時に約10%の体積膨張があるため、一旦シリコン融液が貯留された石英るつぼは、冷却時の残留融液の固化によって亀裂が生じ再使用できないのが一般的である。この経済的問題を解決するために、残量融液を固化させることなく、一旦シリコン単結晶棒の引上げを行った後、残留融液に棒状シリコン原料を上方から下降させて追加融解させ、再びシリコン単結晶棒を引上げて育成することが行われている(特開平3−12385)。
更に、シリコン融液に接触させた種結晶を引上げてシリコン単結晶棒の直胴部を形成しているときに、所望の直胴部が形成されなくなった場合には、すでに引上げられた直胴部を下降させて棒状シリコン原料として融解させる、いわゆるメルトバックも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、棒状シリコン原料の融解はカーボンヒータにより加熱することにより行われるが、カーボンヒータは石英るつぼの周囲に設けられるため、棒状シリコン原料を融解する際に石英るつぼが必要以上に加熱され、石英るつぼ自体の劣化が促進する不具合がある。また、経済的観点からは、棒状シリコン原料の融解時間を可能な限り短縮して、引上げ装置の稼働率を向上させることが望まれる。
本発明の目的は、棒状シリコン原料の融解時間を短縮して装置の稼働率を向上させるとともに、石英るつぼの劣化を抑制し得るシリコン単結晶の引上げ方法及び引上げ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12に上方から棒状シリコン原料20を下降させて融解させた後に、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12からシリコン単結晶棒を引上げる方法の改良である。
その特徴ある点は、棒状シリコン原料20の融解時には棒状シリコン原料20周囲のシリコン融液12表面を覆うように設けられた複数の熱反射板37a〜37hを上方に向かって小径となる状態で配置することによりシリコン融液12の上面から放射された熱を反射して棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中して加熱し、シリコン単結晶棒を引上げる際には複数の熱反射板を下方に向かって小径となる状態で配置するところにある。
この請求項1に記載されたシリコン単結晶の引上げ方法では、棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分の集中加熱により、棒状シリコン原料20の融解は促進してその融解時間が短縮されるとともに、石英るつぼ13がカーボンヒータにより必要以上に加熱されることを抑制する。
【0007】
また、棒状シリコン原料20周囲のシリコン融液12表面を覆うように設けられた複数の熱反射板37a〜37hによりシリコン融液12の上面から放射された熱を反射して棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分に集中させるので、新たな加熱源を設けることなく反射したシリコン融液12の熱により棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中して加熱することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、チャンバ11内に設けられシリコン融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英るつぼ13の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱するヒータ18と、シリコン融液12の上方に棒状シリコン原料20を釣支しかつ下降可能に構成された釣支手段22と、棒状シリコン原料20の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように構成された円筒状又は下方に向かって小径となるコーン状の熱遮蔽部材26とを備えた引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、各基端が熱遮蔽部材28の下端に揺動可能に取付けられ各先端が棒状シリコン原料20の外周面又はヒータ18の内周面に向って突設されかつシリコン融液12表面を覆う複数の熱反射板37a〜37hと、複数の熱反射板37a〜37hのシリコン融液12表面に対する角度を調整する角度調整手段41とを備えたところにある。
【0009】
この請求項2に記載された引上げ装置では、シリコン単結晶棒の引上げに際して、複数の熱反射板37a〜37hはシリコン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぎ、放熱抑制部26cとともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進させる。一方、シリコン融液12に上方から棒状シリコン原料20を下降させて融解させる際に、角度調整手段41は複数の熱反射板37a〜37hを回転させ、反射したシリコン融液12の熱により棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中して加熱する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図4にシリコン単結晶の引上げ装置10を示す。この引上げ装置10のチャンバ11内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられ、この石英るつぼ13の外面は黒鉛サセプタ14により被覆される。石英るつぼ13の下面は上記黒鉛サセプタ14を介して支軸16の上端に固定され、この支軸16の下部はるつぼ駆動手段17に接続される。るつぼ駆動手段17は図示しないが石英るつぼ13を回転させる第1回転用モータと、石英るつぼ13を昇降させる昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英るつぼ13が所定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能となっている。石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13から所定の間隔をあけてヒータ18により包囲され、このヒータ18は保温筒19により包囲される。
【0011】
またチャンバ11の上端には円筒状のケーシング21が接続される。このケーシング21にはシリコン単結晶棒25を引上げるための種結晶24(図4)及び棒状シリコン原料20(図1)を釣支する釣支手段22が設けられる。釣支手段22はケーシング21の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させる第2回転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ13の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル23と、上記ヘッド内に設けられワイヤケーブル23を巻取り又は繰出す引上げ用モータ(図示せず)とを有する。
【0012】
また、釣支された棒状シリコン原料20又は引上げられたシリコン単結晶棒25の外周面と石英るつぼ13の内周面との間にはそれら棒状シリコン原料20又はシリコン単結晶棒25の外周面を包囲する熱遮蔽部材26が設けられる。この実施の形態における熱遮蔽部材26は円筒状に形成され、ヒータ18からの輻射熱を遮る筒部26aと、この筒部26aの上縁に連設され外方に略水平方向に張り出すフランジ部26bとを有する。上記フランジ部26bを保温筒19上に載置することにより、筒部26aの下縁がシリコン融液12表面から所定の距離だけ上方に位置するように熱遮蔽部材26がチャンバ11内に固定される。
【0013】
更に、チャンバ11にはこのチャンバ11のシリコン単結晶棒側に不活性ガスを供給しかつ上記不活性ガスをチャンバ11のるつぼ内周面側から排出するガス給排手段28が接続される。ガス給排手段28は一端がケーシング21の周壁に接続され他端が上記不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パイプ29と、一端がチャンバ11の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ30とを有する。供給パイプ29及び排出パイプ30にはこれらのパイプ29,30を流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁31,32がそれぞれ設けられる。
【0014】
熱遮蔽部材26の下端、即ち筒部26aの下端には、8枚の熱反射板37a〜37h(図3)の基端が揺動可能に取付けられる。これらの熱反射板37a〜37hの各先端は引上げ中のシリコン単結晶棒25又は釣支手段22により釣支された棒状シリコン原料20の外周面に向って突設され、これらの熱反射板37a〜37hによりシリコン融液12表面が覆われる。図3に詳しく示すように、各熱反射板37a〜37hはその側縁が隣接する熱反射板37a〜37hの側縁に重合するように配設される。8枚の熱反射板37a〜37hのうちの1枚の熱反射板37aの両側縁はこの熱反射板37aの両隣の熱反射板37b,37hの側縁の下側に位置し、上記熱反射板37aのシリコン単結晶棒25又は棒状シリコン原料20を中心として反対側に位置する熱反射板37eの両側縁はこの両隣の熱反射板37d,37fの側縁の上側に位置し、他の熱反射板37b〜37d,37f〜37hは熱反射板37aに近い側縁が隣の熱反射板37a〜37c,37g,37hの側縁の上側に位置しかつ熱反射板37eに近い側縁が隣の熱反射板37c〜37gの側縁の下側に位置するように各熱反射板37a〜37hは配設される。両側縁が両隣の熱反射板37b,37hの側縁の下側に位置する熱反射板37aをその基端を中心に上下に揺動させると、他の熱反射板37b〜37hも上下に揺動するように構成される。なお、熱反射板37a〜37hは、熱輻射率が比較的低い、例えばモリブデン、タングステン、ニオブ又はタンタル等の単一材料からなる板材で構成される。また、熱反射板の枚数は2〜7枚又は9枚以上でもよい。
【0015】
図1及び図4に示すように、上記熱反射板37a〜37hのシリコン融液12表面に対する角度は、角度調整手段41により調整される。角度調整手段41はチャンバ11の上部に設けられたギヤボックス43に内蔵された駆動ギヤと、チャンバ11の上部に設けられこの駆動ギヤを駆動する駆動モータ46と、チャンバ11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒42と、支持棒42の下端と熱反射板37aを連結する連結ワイヤ44とを有する。連結ワイヤ44は筒部26aの外側に設けられた転向ローラ26e(図2)によりその方向を変化させて配索される。角度調整手段41は、駆動モータ46による回転軸46aの回転によりギヤボックス43に内蔵された図示しない駆動ギヤが回転し、支持棒42を上下動させることにより連結ワイヤ44を介して各基端を中心として熱反射板37aの各先端を図2の破線及び実線に示すように回転させ、複数の熱反射板37a〜37hのシリコン融液12に対する角度を変更可能に構成される。
【0016】
複数の熱反射板37a〜37hの下面はシリコン融液12からの放熱を反射可能に鏡面仕上げされ、複数の熱反射板37a〜37hは下方に向かって小径となるように配置されることにより(図4)、シリコン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐとともに、放熱抑制部26cとともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進するようになっている。一方、複数の熱反射板37a〜37hは上方に向かって小径となるように回転することにより(図1)、実線で示すように反射したシリコン融液12の熱が棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中させるようになっている。なお、ワイヤ44の下端は各熱反射板37a〜37hに取付けても、或いは1枚置き又は複数枚置きに取り付けてもよい。
【0017】
このように構成された装置によるシリコン単結晶育成前のシリコン原料の融解方法を説明する。
図示しないが、塊状物又は粒状物からなる多結晶シリコン原料を所定量未満入れた石英るつぼ13を黒鉛サセプタ14に配置し、釣支手段22のワイヤケーブル23には棒状シリコン原料20を釣支させてケーシング21に収容させる。この状態で石英るつぼ13に入れられた所定量未満の多結晶シリコン原料をカーボンヒータ18により先ず融解させる。次に、多結晶シリコン原料が融解して石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12に、上方から棒状シリコン原料20を下降させて更に融解させる。この棒状シリコン原料20を融解させる際に、角度調整手段41は複数の熱反射板37a〜37hを上方に向かって小径となるような状態に配置させる。これにより、シリコン融液12の上面から放射された熱はこれら複数の熱反射板37a〜37hにより反射され、その反射された熱は棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分に集中する。即ち、これら複数の熱反射板37a〜37hは、反射したシリコン融液12の熱により棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中加熱し、棒状シリコン原料20の融解を促進させてその融解時間を短縮するとともに、カーボンヒータ18により石英るつぼ13が必要以上に加熱されることを抑制する。
【0018】
次にシリコン単結晶棒の引上げについて説明する。
棒状シリコン原料20が融解して石英るつぼ13に所定量のシリコン融液12が貯留された後には、そのシリコン融液12の融液面温度をカーボンヒータ18により所定の温度に調整するとともに、釣支手段22のワイヤ23から残存するシリコン単結晶棒を取り外してシリコン単結晶棒25を引上げるための種結晶24をそのワイヤ23に釣支させる。その後、図示しない引上げ用モータによりワイヤ24を繰出して種結晶24を降下させてその先端部をシリコン融液12に接触させる。その後種結晶24を徐々に引上げて種絞り部25aを形成した後、図4に示すように、更に種結晶24を引上げて種絞り部25aの下部にシリコン単結晶棒25を育成させる。
【0019】
この引上げに際しては、第1及び第2流量調整弁31,32を開くことにより不活性ガスをケーシング21内に供給してシリコン融液12の表面から蒸発したガスをこの不活性ガスとともに排出パイプ30から排出させ、直胴部25cの形成に際し、角度調整手段41は支持棒42を下方に移動させて複数の熱反射板37a〜37hを回転させる。図4に示すように、下方に向かって小径となるように配置された複数の熱反射板37a〜37hは、シリコン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐとともに、放熱抑制部26cとともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進させる。なお、直胴部25cの育成に伴い、シリコン融液12の表面は低下し、減少する融液12の量に応じて図示しない昇降用モータはるつぼ13を上昇させ、種結晶24の引上げとともに低下するシリコン融液12の表面を所定位置に維持させる。
【0020】
最後にシリコン単結晶棒育成後の残留シリコン融液への棒状シリコン原料20の融解方法を説明する。
釣支手段22のワイヤ23から引上げられたシリコン単結晶棒25を取り外し、追加して融解させる棒状シリコン原料20をそのワイヤ23に釣支させてケーシング21に収容させる。次に、このワイヤ23を繰り出して石英るつぼ13に残存するシリコン融液12に上方からこの棒状シリコン原料20を下降させて融解させる。この際に、角度調整手段41は支持棒42を上方に移動させて複数の熱反射板37a〜37hを再び回転させ、図1に示すように上方に向かって小径となるような状態に配置させる。これにより、反射したシリコン融液12の熱により棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分は集中して加熱され、棒状シリコン原料20の融解は促進してその融解時間が短縮されるとともに、石英るつぼ13がカーボンヒータにより必要以上に加熱されることを抑制する。
【0021】
なお、上述した実施の形態では、シリコン単結晶育成前のシリコン原料の融解方法、及びシリコン単結晶棒育成後のシリコン原料の融解方法を説明したが、本発明の融解方法は、シリコン単結晶棒の直胴部を形成しているときに、所望の直胴部が形成されなくなった場合に、すでに引上げられた直胴部を下降させて棒状シリコン原料として融解させる、いわゆるメルトバックさせる場合にも適用することができる。
また、上述した実施の形態では、複数の熱反射板の各先端が棒状シリコン原料20の外周面に向って突設された場合を示したが、複数の熱反射板はヒータ18の内周面に向って突設するように熱遮蔽部材の各基端を熱遮蔽部材の下端に揺動可能に取付けても良い。特に、円筒状からなる熱遮蔽部材26が棒状シリコン原料20の外径より僅かに大きい程度のものである場合に有効である。
【0022】
また、上述した実施の形態では、円筒状からなる熱遮蔽部材26を用いて説明したが、図5に示すように、熱遮蔽部材26は下方に向かって小径となるコーン状のものであっても良い。この場合、複数の熱反射板37a〜37hはヒータ18の内周面に向って突設するように各基端を熱遮蔽部材26の下端に揺動可能に取付けることが好ましい。このように複数の熱反射部材37a〜37hを取付けた場合、角度調整手段41により複数の熱反射板37a〜37hを上方に向かって小径となるように配置されることにより、反射したシリコン融液12の熱を棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分に集中させることができる。一方、複数の熱反射板37a〜37hを図の一点鎖線で示すように熱遮蔽部材26に重なるように下方に向かって小径となるように配置すれば、その熱遮蔽部材26とともにシリコン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐとともに、その放熱抑制部26cとともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進することができる。
【0023】
更に、上述した実施の形態では、熱輻射率が比較的低い、例えばモリブデン、タングステン、ニオブ又はタンタル等の単一材料からなる板材で構成される熱反射板37a〜37hを説明したが、図5の拡大図に示すように、熱反射板37a〜37hはカーボンのケーシングAの内部に断熱材Bを充填することにより作られたものであっても良い。このような二重構造を有する熱反射板37a〜37hであっても、シリコン融液12の熱を有効に反射することができ、棒状シリコン原料20とシリコン融液12の接触部分を集中して加熱することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、石英るつぼに貯留されたシリコン融液に上方から棒状シリコン原料を下降させて融解させる際に、棒状シリコン原料とシリコン融液の接触部分を集中して加熱するので、この集中加熱により棒状シリコン原料の融解は促進されるとともに、石英るつぼがカーボンヒータにより必要以上に加熱されることが抑制される。この結果、棒状シリコン原料の融解時間は従来より短縮され、消費電力を減少させるとともに装置の稼働率を向上させ、併せて石英るつぼの寿命を向上させることができる。
この場合、棒状シリコン原料周囲のシリコン融液表面を覆うように設けられた複数の熱反射板により、シリコン融液の上面から放射された熱を反射してその接触部分を集中加熱させれば、新たな発熱源を設けることなく棒状シリコン原料とシリコン融液の接触部分を集中して加熱することができる。
【0025】
また、複数の熱反射板の各基端を熱遮蔽部材の下端に揺動可能に取付け、それらの各先端を棒状シリコン原料の外周面又はヒータの内周面に向って突設させてシリコン融液表面を覆い、これら複数の熱反射板のシリコン融液表面に対する角度を調整する角度調整手段を備えれば、棒状シリコン原料を融解させる際に、これら複数の熱反射板を棒状シリコン原料とシリコン融液の接触部分を集中加熱する反射板として使用するとともに、シリコン単結晶棒の引き上げに際しての放熱抑制及びシリコン単結晶棒の冷却を促進させるためのものとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の釣支手段により釣支された棒状シリコン原料を下降して融解する状態を示す引上げ装置の断面構成図。
【図2】図1のA部拡大断面図。
【図3】本発明の複数の熱反射板の構成を示す斜視図。
【図4】シリコン単結晶棒が引き上げられる状態を示す図1に対応する本発明の引上げ装置の断面構成図。
【図5】下方に向かって小径となるコーン状の熱遮蔽部材を備えた本発明の別の引上げ装置を示す図1に対応する断面構成図。
【符号の説明】
10 引上げ装置
11 チャンバ
12 シリコン融液
13 石英るつぼ
18 ヒータ
20 棒状シリコン原料
22 釣支手段
26 熱遮蔽部材
37a〜37h 熱反射板
41 角度調整手段
Claims (2)
- 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融液(12)に上方から棒状シリコン原料(20)を下降させて融解させた後に、前記石英るつぼ (13) に貯留されたシリコン融液 (12) からシリコン単結晶棒を引上げる方法において、
前記棒状シリコン原料 (20) の融解時には前記棒状シリコン原料 (20) 周囲の前記シリコン融液 (12) 表面を覆うように設けられた複数の熱反射板 (37a 〜 37h) を上方に向かって小径となる状態で配置することにより前記シリコン融液 (12) の上面から放射された熱を反射して前記棒状シリコン原料(20)と前記シリコン融液(12)の接触部分を集中して加熱し、
前記シリコン単結晶棒を引上げる際には前記複数の熱反射板を下方に向かって小径となる状態で配置する
ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。 - チャンバ(11)内に設けられシリコン融液(12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(13)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒータ(18)と、シリコン融液(12)の上方に棒状シリコン原料(20)を釣支しかつ下降可能に構成された釣支手段(22)と、前記棒状シリコン原料(20)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するように構成された円筒状又は下方に向かって小径となるコーン状の熱遮蔽部材(26)とを備えた引上げ装置において、
各基端が前記熱遮蔽部材(26)の下端に揺動可能に取付けられ各先端が前記棒状シリコン原料(20)の外周面又は前記ヒータ(18)の内周面に向って突設されかつ前記シリコン融液(12)表面を覆う複数の熱反射板(37a〜37h)と、
前記複数の熱反射板(37a〜37h)の前記シリコン融液(12)表面に対する角度を調整する角度調整手段(41)とを備えた
ことを特徴とする引上げ装置。
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