JP3890315B2 - 医用装置の遠隔診断システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、医用装置の遠隔診断システムに係り、とくに、病院などのサイトに設置された医用装置と、その医用装置を管理するセンタとを電話回線で結んだ遠隔診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
病院などのサイトに設置された医用装置(例えばX線CTスキャナ)と、この医用装置の機能が正常か否かを遠隔地から管理するセンタ(例えば工場)とを電話回線で結んだ遠隔診断システムがある。この遠隔診断システムにおいては、通常、センタから電話回線を介して定期的に医用装置を呼び出し、装置側の診断プログラムを起動させる。この診断プログラムによって医用装置の機能に関する診断が実施され、その診断結果が再び電話回線を介してセンタに戻される。そこで、センタでは、診断結果を分析し、異常発生か否かの判断を下すのである。なお、センタが診断プログラム起動の遠隔指令を発するタイミングは必ずしも定期的ではなく、サイトにおいて医用装置の運営及び保守点検に直接携わるスタッフ(例えば病院側のオペレータ、サービスエンジニアなど)からの異常発生の情報が入ったときにも上述と同様に臨時の診断を実施できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の遠隔診断システムにおいて、定期診断及び臨時診断のいずれの場合であっても、センタ側がアクションを起こして初めて、装置側の診断プログラムが起動されるという構成であるため、異常検出までの時間が長期化するという問題があった。例えば、定期診断の場合には、診断プログラムが定期的に起動されるが、異常が発生しているときには、その異常検出までに既に長時間が経過していることもある。このようなときには、医用装置の異常発生に速やかに対応できず、装置異常の状態が長引き、医療行為に少なからず悪影響を及ぼすという問題があった。また、臨時診断の場合には、例えば病院のオペレータからセンタへの通報が必要であるから、異常発生からその対処までの時間が必然的に長くなり、上述と同様の問題があった。
【0004】
本発明は、上述した従来の遠隔診断システムの問題を改善するもので、遠隔診断により、医用装置の異常発生を速やかにとらえ、修復までの時間を極力短縮して、長時間の装置異常の状態を排除することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係る医用装置の遠隔診断システムは、医用装置(例えば医用X線CTスキャナなど)の機能の状態を通信手段を介して遠隔で管理する管理装置を備える。
【0006】
この遠隔診断システムでは、その一態様として、医用装置と、この医用装置の機能の状態を通信手段を介して遠隔で管理する管理装置とを備えた医用装置の遠隔診断システムにおいて、前記医用装置は、当該医用装置に関する自己診断を行なう自己診断手段と、得られた診断結果から前記医用装置の機能の異常を示す異常データが回復可能なエラーか否かの異常の程度および回復可能なエラーの発生数が多いか否かの異常発生の頻度に応じて当該異常に関わる情報を前記管理装置に送信するか否かを判断する判断手段と、この判断手段による回復可能なエラーか否かの前記異常の程度の判断に応じて自動コールの呼び出し先を変更させる自動コール手段と、この自動コール処理で前記医用装置と管理装置とを接続し、前記判断手段が前記異常に関わる情報を送信すると判断したときに、当該情報を前記通信手段を介して前記管理装置に送信する送信手段とを備え、前記管理装置は、前記通信手段を介して送信されてきた前記医用装置の機能の異常に関わる情報に基づいて当該異常を修復するための指示を行う修復指令手段を備え、この修復指令手段は、前記異常に関わる情報を分析する分析手段と、この分析手段による分析結果に応じて前記異常を回避するための設定変更を前記通信手段を介して前記医用装置に指令する変更指令手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0007】
好適な一例として、前記修復指令手段は、前記分析手段による分析結果に応じて前記異常の修復に必要な処置をとる手段と、この手段による実行される処置の内容を前記通信手段を介して前記医用装置に返送する手段と更に含んでいてもよい。また、前記処置をとる手段は、前記異常の修復に必要な前記医用装置の部品の調達及び前記異常の修復に必要な保守管理員の派遣のうち、少なくとも一方を指令するように構成された手段であってもよい。
【0008】
さらに別の好適な例としては、前記医用装置は、X線CTスキャナ、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置のいずれかであってもよい。また、前記管理装置は、前記通信手段を介して複数の同種の医用装置に接続されていてもよい。さらに、前記管理装置は、前記通信手段を介して異なる種類の複数の医用装置に接続されていてもよい。
【0009】
【作用】
医用装置側では、例えば適宜なタイミングで診断プログラムが実行されて自己の機能が検査される。この診断結果に基づいて、機能上の異常発生が判断される。医用装置の機能の異常の程度および異常発生の頻度に応じて異常に関わる情報を管理装置に送信するか否かを判断する判断手段による回復可能なエラーか否かの判断に応じて自動コールの呼び出し先を自動コールで変更させ、この自動コール手段で、医用装置の機能の異常の程度、異常発生の頻度、緊急度に応じて最適なコール先を自動的に定め、管理装置側の修復指令手段で異常の最適な修復を迅速にかつ正確に行い得るようにしたものである。
【0010】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図1〜図7を参照して説明する。
【0011】
この実施例の遠隔診断システムは、複数台のX線CTスキャナの遠隔診断を実施するものである。この遠隔診断システムでは、図1に示すように、サイトとしての複数の病院A,B,…,Nに医用装置としてのX線CTスキャナ10a,10b,…10nが各々据え付けられており、このX線CTスキャナ10a,10b,…10nのコンピュータは個別にモデム11a,11b,…,11nを介して電話回線12に接続されている。モデム11a,11b,…,11nは、X線CTスキャナ10a,10b,…,10nと別体であってもよいし、スキャナ内部のコンピュータに一体に組み込まれたものでもよい。
【0012】
また、上記電話回線12には、モデム13を介してサービスセンタSのコンピュータ14が接続されている。サービスセンタSは、各病院A〜NのX線CTスキャナ10a,10b,…,10nの保守点検を集中管理するもので、上述した電話回線12の通信ネットワークにより各病院A〜Nと通信可能になっている。サービスセンタSのコンピュータ14は、発明の管理装置に対応する。
【0013】
さらに、上記電話回線12は、X線CTスキャナ10a,10b,…,10nを製造したメーカーの工場FTと、X線CTスキャナ10a,10b,…,10nの保守点検を担う担当サービスステーションSTa,STb,…STnにも同様に通信可能に接続されている。
【0014】
次いで、上記遠隔診断システムの診断の流れを図2に基づいて説明する。
【0015】
図2のステップ20〜30は医用装置側、即ちX線CTスキャナ10a〜10nの各々において実施される処理である。まず、X線CTスキャナ10a(〜10n)のコンピュータは、ステップ20において、通常の撮影処理を実施している。この実施中の適宜なタイミング(例えば、ある患者の撮影が完了して次の患者の撮影に移る前)で、ステップ21の自己診断の処理を実行する。このステップでは、スキャナ10a(〜10n)のコンピュータは予め記憶している装置側診断プログラムを自ら走らせて、その診断結果を得る。次いでステップ22に移行し、スキャナ10a(〜10n)のコンピュータは診断結果中に、スキャナの機能として異常を示す異常データが有るか否かを判断する。ステップ22において、異常データが無い(NO)の判断のときはステップ20の通常処理に戻るが、異常データが有る(YES)の判断のときはステップ23に移行する。
【0016】
ステップ23では、ステップ22で見つかった異常データが回復可能なエラーを示すものか否かを判断し、回復不能なエラーである(NO)と判断されたときは、続いてステップ24〜26の処理を行う。ステップ24では、異常データが有り、回復不能である旨の表示、例えば「……というエラーが発生しました。サービスセンタに連絡中です。」がスキャナ10a(〜10n)のモニタに表示される。次いでステップ25では、スキャナ10a(〜10n)のコンピュータが自動コール処理プログラムを起動することにより、モデム11a(〜11n)、電話回線12及びモデム13を介してサービスセンタSのコンピュータ14を自動的に呼び出し、両方のコンピュータ間をつなぐ。次いでステップ26では、スキャナ10a(〜10n)でそれまでに収集した異常データ、スキャナ側の履歴情報などのデータが、つながれた電話回線を介してサービスセンタSに転送される。
【0017】
一方、上記ステップ23の判断でYES、即ち異常データが検知されたが、回復可能なエラーであると判断されたときは、ステップ27に移行してエラーログに記録した後、ステップ28に移行する。ステップ28で、エラー発生数(頻度)が多いか否かを、予め定めたしきい値と比較するなどの処理によって判断する。この判断の結果、特定のエラー発生数(頻度)が多い(YES)とされたときは、前述したと同様に、ステップ29のサービスセンタSへの自動コール処理、及びステップ30のサービスセンタSへのデータ転送処理に付された後、ステップ20の通常処理に戻り、通常処理を並行して可能にする。ステップ28で、エラー発生数(頻度)が少なく(NO)、未だ異常状態であるとは特定できないとするときは、ステップ20の通常処理に戻る。
【0018】
さらに、サービスセンタ側のコンピュータ14が実行するステップ31〜33の処理を説明する。まず、ステップ31では、電話回線12を介してX線CTスキャナ10a(〜10n)から転送されたデータを例えば随時受信し、そのデータを分析する。次いでステップ32では、ステップ31での分析結果に基づいて、スキャナ10a(〜10n)の異常状態を解除するための対応(例えば部品の交換、修理)をサービス拠点や工場に発令する。この対応処理の発令は、サービス拠点や工場が同じ電話回線を通じてネットワーク化されているときは、そのネットワークを介して行ってもよいし、ネットワーク化されていないときは、サービスセンタのオペレータにその旨告知し、オペレータから別の通信手段で行うようにしてもよい。さらにステップ33では、サービスセンタSからスキャナ10a(〜10n)側へ電話回線を通して、ステップ32での対応内容を転送する。
【0019】
この対応内容の転送を受けたスキャナ10a(〜10n)側のコンピュータは、ステップ34で、そのモニタに対応内容(例えば、「サービスセンタに連絡致しました。担当のサービスステーションからの連絡をお待ち下さい。」)を表示し、スキャナ10a(〜10n)は待機状態に入る。
【0020】
これにより、上記ステップ32で異常状態への対応を依頼された、例えば工場FTは必要な修理部品を病院A(〜N)又は担当サービスステーションSTa(〜STn)に発送するし、同様に、ステップ32で対応を依頼された担当サービスステーションSTa(〜STn)は病院A(〜N)にサービスエンジニアを派遣したりすることになる。
【0021】
このため、X線CTスキャナ10a(〜10n)が故障しても、病院側のオペレータの連絡を待たずに、直ちに異常事態の修復作業に入ることができ、スキャナのダウンタイムを極力短縮させ、医療行為への支障を最小限に食い止めることができる。
【0022】
なお、電話回線12は、データ伝送や対応結果の伝送時にのみ繋ぐようにしてもよいし、図2の処理で説明すれば、ステップ26,31〜34までの間、繋いでおくようにしてもよい。
【0023】
上述した図2において、ステップ21の処理が機能的に自己診断手段を形成し、ステップ22の処理が機能的に異常判断手段を形成し、さらに、ステップ25及びステップ29の処理が機能的に自動コール手段を形成している。また、ステップ21〜23、27,28の処理が判断手段を形成し、ステップ25,26,29,30の処理が送信手段を機能的に形成している。さらに、ステップ31〜33の処理が構成要素としての修復指令手段を機能的に形成している。さらに、ステップ31の処理が受信手段に相当する。
【0024】
ここで、上述した図2中のステップ21〜23,27,28を中心とする自己診断処理及び異常判断処理の具体例を図3〜図7に基づいて説明する。
【0025】
画像再構成装置の診断例を図3に示す。X線CTスキャナ10a(…10n)は、まず、図3のステップ40において磁気ディスクからテスト用生データを読出し、ステップ41において再構成演算装置にテスト用生データを用いた画像再構成を命じる。次いでステップ42に移行し、予め記憶しているテスト用画像と再構成した画像とを比較し、ステップ43において両者が一致しているか否か判断する。このステップ43でOK(即ち、両画像が一致)の場合は、ステップ44でテスト継続か否か判断し、継続する場合はステップ40に戻るし、継続しない場合はステップ45の判断に移行する。ステップ45では、それまで規定回数テストした中に異常データが在るか否か判断し、異常データが無い場合は処理を終了し、異常データが在る場合はその旨のモニタ表示、センタ自動コール及びデータ転送(図2のステップ24〜26の処理参照)を行う。これに対し、ステップ43でOKでない(即ち、両画像が一致していない)の場合は、ステップ46でテスト継続か否か判断し、YESの場合はステップ47で異常データを記憶した後、上述した処理を繰り返す。しかし、NOの場合は、上述したと同様にモニタ表示、センタ自動コール及びデータ転送を行う。
【0026】
また、X線高電圧装置の通常スキャン時の診断例を図4に示す。なお、この診断に対するハードウエア構成を図5に示す。
【0027】
最初に、図5のハードウエア構成から説明する。このX線高電圧装置は、X線制御部50に接続された高圧トランス51を有し、この高圧トランス51の2次側に、整流回路52、52を介してX線管53が負荷として接続されている。整流回路52、52とX線管53の間には、演算増幅器、比較器を各々有する管電流検出回路54及び管電圧検出回路55が接続され、それらの検出信号がCPU56に供給されている。なお、検出回路54、55の各比較器には、管電流、菅電圧の上限値、下限値に相当する基準電圧が各々供給されている。
【0028】
上記CPU56は、図4に示すように動作する。つまり、図4のステップ60で通常スキャンを指令している間の適宜なタイミングで、ステップ61のエラー発生か否かの判断を行う。この判断は、上記管電流検出回路54及び管電圧検出回路55から供給される、論理レベルの検出信号を読み込んで、過管電流、過管電圧、主回路の過電流、X線管オーバヒート、熱交換器のフロー異常などの項目をチェックすることで行う。この判断でNO(エラー発生なし)の場合はステップ60に戻るが、YES(エラー発生)の場合はステップ62の致命的なエラーか否かを判断する。この判断でYES(致命的なエラーである)の場合は、図2のステップ24〜26の処理と同様に、モニタ表示、センタ自動コール及びデータ転送を行う。しかし、NO(致命的なエラーではない)の場合はステップ63に移行して、異常データを記録し、さらにステップ64に移行して、エラーの発生頻度が基準値よりも大きいか否かを判断する。このステップ64でNOの判断が下されたときはステップ60に戻るが、YES(エラー発生頻度が大きい)の判断が下されたときはモニタ表示、センタ自動コール及びデータ転送を行う。
【0029】
さらに、X線高電圧装置のテスト条件での曝射時の診断例を図6に示す。なお、この診断に対するハードウエア構成を図7に示す。
【0030】
図7のハードウエア構成から説明すると、このX線高電圧装置は整流回路52、52とX線管53の間に、演算増幅器、A/D変換器を各々有する管電流検出回路54及び管電圧検出回路55が接続され、それらの検出信号がCPU56に供給されている。その他の回路は、図5記載のものと同様である。
【0031】
上記CPU56は、図6に示すように動作する。つまり、図6のステップ70でテスト条件でのX線曝射を行い、ステップ71で管電圧、管電流及び曝射時間が許容範囲内か否かを判断する。この判断でNO(許容範囲内ではない)とされたときは、前述と同様に、モニタ表示、センタ自動コール及びデータ転送を行う。しかし、YES(許容範囲内である)とされたときは、ステップ72に移行し、テスト継続か否かを判断し、YES(テスト継続)ならばステップ70に戻るが、NO(テスト継続しない)ならば処理を終える。
【0032】
なお、上述した実施例については、種々の変形例が可能である。
【0033】
第1に、回復可能なエラーである(即ち、致命的なエラーではない)か否かの判断に応じて、自動コールの呼び出し先を変えるようにしてもよい。例えば、致命的なエラーの場合には直接、担当のサービスステーションSTa(〜STn)に自動コールさせるようにすれば、その緊急性に応じた処置が可能になる。
【0034】
第2に、前述した自己診断プログラムは夜間に走らせるようにしてもよく、その自己診断の結果、致命的なエラーではない場合(例えば、何千回かに1回の割合で生じる、画像再構成時のエラー)、スキャナ側の自動コール処理プログラムが起動され、スキャナ側のモデムを通して、サービスセンタSの自動呼び出しを行う。そして、スキャナ側情報、異常発生日時、異常データなどをサービスセンタSに転送しておいて、転送後は、通常のシステムとして使用継続できるようにしてもよい。また、これら一連の処理は、スキャナの通常使用のバックグラウンドでのソフトウエア処理としてもよい。
【0035】
第3に、図2のステップ31の処理に係る分析結果、サービスセンタS側でスキャナ10a(〜10n)の更に詳細な異常状態を知りたいと判断したとき、センタ側から装置側へ別の診断プログラムを走らせたり、エラーを回避するモードへの自動的な設定変更を装置側に指令したりすることができる(図8のステップ31a参照:同図中で図2と同一符号のステップは同一処理を示す)。なお、センタ側から遠隔診断の処理を指示した後、一旦回線を切り離し、医用装置側の処理が終了した時点で、自動コールし、データ転送するシステムも可能である。このとき、異常時であると判断したときのみ、自動コールするようにしてもよい。
【0036】
第4に、通常使用中にエラーが発生した場合、サービスセンタSへの自動コールの要、不要の判断をオペレータにさせるようにしてもよい。
【0037】
第5に、オペレータの判断に応じて自動コールを行う手段を設けてもよい。即ち、オペレータが気付いた異常情報を入力させ、それらの情報をオペレータの操作に基づき自動コールし、転送するようにする。これにより、自動的な自己診断には依存しない各種の不具合を転送可能になる。このとき、オペレータが緊急度を指定できるようにしておけば、ちょっとしたオペレータの要望なども入手できるようになる。即ち、緊急度の低い改善、要望などであって、サービスステーションにわざわざ連絡したり、サービスエンジニアを呼んで要望したりするほどでもない情報を地道に収集できる。
【0038】
以上のように、致命的なエラー(例えば、X線管の故障,寝台の故障など)であろうと、間欠的なエラー(例えば、X線管放電など)、診断プログラムの実行で検出されるエラー、又はオペレータの改善要望などであろうとも、その緊急度、頻度が適確に判断され、その判断結果に応じて適宜に自動コールされ且つ対応処置が講ぜられる。このため、医用装置のダウンタイムを大幅に減少させ、その機能を存分に発揮させることができる。
【0039】
また、前述した実施例によれば、医用装置としてのX線CTスキャナ及びサービスセンタ間は、一般の電話回線で接続しているため、専用回線を設置する場合に比べて低いコストで運用できる。また、電話回線を使用した自動コールは、モデムと自動コール用処理プログラムがあれば実現できるから、X線CTスキャナのようなコンピュータを備えた医用装置では、コンピュータを兼用でき、ハードウエア的にも安価なシステムとなる。
【0040】
なお、本発明における医用装置はX線CTスキャナに限定されることなく、またその数も任意である。例えば、医用装置としては磁気共鳴イメージング装置や核医学診断装置であってもよいし、その接続構成としては異なる種類の医用装置をセンタと接続するものでもよいし、さらに単一の装置とセンタとを接続する構成でもよい。また、本発明のセンタとしては必ずしもサービスセンタと呼称されるものに限定されることなく、医用装置の機能診断を遠隔管理できる機構であればよい。さらに、本発明におけるサイトは医用装置が設置されている場所を言うのであって、必ずしも「〜病院」と呼称される必要は無い。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る医用装置の遠隔診断システムによれば、医用装置の異常状態が迅速に修復され、医用装置のダウンタイムが短縮して、医用装置を効率的に運用できると共に、装置異常が医療行為に与える影響を最小限に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遠隔診断システムの一例を示す概略ブロック図。
【図2】 自己診断から異常状態修復指令までの処理の一例を示すフローチャート。
【図3】 画像再構成時の自己診断及び異常判断の具体例を示すフローチャート。
【図4】 X線高電圧装置の自己診断及び異常判断の具体例を示すフローチャート。
【図5】 図4の処理を実施するときのハードウエア構成を示すブロック図。
【図6】 X線高電圧装置の自己診断及び異常判断の別の具体例を示すフローチャート。
【図7】 図6の処理を実施するときのハードウエア構成を示すブロック図。
【図8】 自己診断から異常状態修復指令までの処理の別の例を示す部分的なフローチャート。
【符号の説明】
10a〜10n X線CTスキャナ
11a〜11n モデム
12 電話回線
13 モデム
14 コンピュータ
A〜N 病院
S サービスセンタ
Claims (6)
- 医用装置と、この医用装置の機能の状態を通信手段を介して遠隔で管理する管理装置とを備えた医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記医用装置は、当該医用装置に関する自己診断を行なう自己診断手段と、
得られた診断結果から前記医用装置の機能の異常を示す異常データが回復可能なエラーか否かの異常の程度および回復可能なエラーの発生数が多いか否かの異常発生の頻度に応じて当該異常に関わる情報を前記管理装置に送信するか否かを判断する判断手段と、
この判断手段による回復可能なエラーか否かの前記異常の程度の判断に応じて自動コールの呼び出し先を変更させる自動コール手段と、
この自動コール処理で前記医用装置と管理装置とを接続し、前記判断手段が前記異常に関わる情報を送信すると判断したときに、当該情報を前記通信手段を介して前記管理装置に送信する送信手段とを備え、
前記管理装置は、前記通信手段を介して送信されてきた前記医用装置の機能の異常に関わる情報に基づいて当該異常を修復するための指示を行う修復指令手段を備え、
この修復指令手段は、前記異常に関わる情報を分析する分析手段と、
この分析手段による分析結果に応じて前記異常を回避するための設定変更を前記通信手段を介して前記医用装置に指令する変更指令手段と、を含むことを特徴とする医用装置の遠隔診断システム。 - 請求項1に記載の医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記修復指令手段は、前記分析手段による分析結果に応じて前記異常の修復に必要な処置をとる手段と、この手段による実行される処置の内容を前記通信手段を介して前記医用装置に返送する手段と更に含む医用装置の遠隔診断システム。 - 請求項2に記載の医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記処置をとる手段は、前記異常の修復に必要な前記医用装置の部品の調達及び前記異常の修復に必要な保守管理員の派遣のうち、少なくとも一方を指令するように構成された手段である医用装置の遠隔診断システム。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載の医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記医用装置は、X線CTスキャナ、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置のいずれかであることを特徴とする医用装置の遠隔診断システム。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記管理装置は、前記通信手段を介して複数の同種の医用装置に接続されていることを特徴とする医用装置の遠隔診断システム。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の医用装置の遠隔診断システムにおいて、
前記管理装置は、前記通信手段を介して異なる種類の複数の医用装置に接続されていることを特徴とする医用装置の遠隔診断システム。
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