JP3889668B2 - 光造形装置とリコータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光造形装置に関し、詳しくは、光造形装置の液面センサ及びリコータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のワーク沈下法に基づく光造形装置1の典型例を図1に模式的に示す。この光造形装置1は、タンク2と、液面センサ3と、光照射装置5と、液面調節装置7と、ベースプレート6と、リコータ4とを備えている。
このタイプの光造形装置1は、タンク2に貯留した光硬化液R中に、鉛直方向に昇降移動するベースプレート6を水平に配置するとともに、ベースプレート6の表面と液面との間に所定の間隔をおき、所定の厚みの光硬化性液Rをベースプレート6上方に供給しておく。そして、光照射装置5からベースプレート6上方の光硬化性液Rの液面に対してレーザー等の光を照射する。このことによって当該光照射部分が光硬化し、所定の厚みの光硬化体Sがベースプレート6の上面に形成される。
次いで、光硬化体Sの上面と液面との間に上記と同じ間隔(厚み)が得られるようにベースプレート6を所定の距離だけ鉛直方向に降下させ、所定の厚みの光硬化性液Rを当該光硬化体Sの上方に供給しておく。そして、当該光硬化性液Rに対して同様に光を照射する。かかるベースプレート4の降下および光照射処理を繰り返すことにより、所定の厚みの光硬化体Sがベースプレート4上に順次積層される。なお、かかる光照射は、目的物の立体形状を上下方向に等間隔の水平面でスライスして得た断面図形データ(通常、CADシステムによって得られる)に基づいて行われる。これにより、当該断面図形データに対応する形状の光硬化体(光硬化層)が次々と積層されていくこととなり、最終的に目的とする3次元形状の物体が造形される。
【0003】
ところで、図示するタイプの光造形装置1では、ベースプレート6を支持する軸6Aの降下の度合(即ち硬化性液R中に沈下する度合)や光硬化性液Rの光硬化時における収縮反応等によって、タンク2内の液面R0の高さが変動する。しかし、正確な形状の光硬化体Sを積層するには、光照射装置5から液面R0までの距離(即ち焦点距離)が変動しないように液面R0の高さを常に一定に調節する必要がある。
そこで、かかるタイプの光造形装置1では、光硬化体Sを形成・積層する過程において、液面センサ3で液面R0の高さを継続的に検出している。そして、その検出値に応じて液面調節装置7(例えば鉛直方向に移動する錘)を適宜作動させ、光照射の前に液面R0を一定の高さに保つ処理が行われる。従来、この種の液面センサ3は、造形物と干渉しないように、タンク2の側壁2Aの一部に設置されており、タンク2の比較的隅の部分の液面高さを検出していた。
【0004】
図1に示すタイプの光造形装置1では、上述のように光硬化体Sを積層する度にベースプレート6を所定の距離だけ鉛直方向に降下させるが、その距離はせいぜい0.2mmか又はそれ以下である。この程度の僅かな降下では、光硬化性液Rの表面張力等に阻まれる結果、光硬化性液Rがベースプレート6上に積層した光硬化体Sの上面全域に均等の厚さで供給され難い。
そこで、従来の光造形装置1では、リコータ(recoater)4と呼ばれる装置が別途備えられている。かかるリコータ4は、光硬化性液Rの液面R0よりも僅かに上方に配置され、該リコータ4の下部に光硬化性液Rを吸入・保持しつつ液面R0上を水平移動する装置である。而して、ベースプレート6及びそこに積層されている光硬化体Sの上方をリコータ4が通行することによって光硬化性液Rの表面張力を打破し、当該光硬化体Sの上面に光硬化性液Rが均等の厚さ(深さ)で供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図1に示すタイプの光造形装置1では、従来、次のような問題点があった。
すなわち、リコータ4を水平移動させてベースプレート6及び光硬化体Sの上方に光硬化性液Rを供給すると、そのリコータ4の動きに因ってタンク2内の液面R0が、しばらくの間、揺動(波打ち)してしまう。このため、リコータ4を水平移動させた後、しばらくの間は上記液面センサ3による正確な液面R0の高さの検出が困難であった。従って、従来の光造形装置1を用いて光造形を行う場合、リコータ4を作動させて光硬化体Sの上方に光硬化性液Rを供給した後、タンク2内の液面R0の揺動が収まる(静止する)のを待って液面センサ3による液面高さの検出を行っていた。そして、必要に応じて液面調節装置7によって液面R0の高さを調整した後に光照射処理(光硬化処理)を行っていた。
【0006】
このように、従来の光造形装置1では、リコータ4を作動させた後、液面センサ3による液面高さの検出を開始する迄に相当の待ち時間(即ち液面R0の揺動が収まるまでの時間)があった。この待ち時間(即ちリコータ4の水平移動後、液面測定処理及び液面調節処理を行うまでの時間)は光造形処理の進行を遅延させ、その迅速化及び/又は効率化を阻む要因となる。従って、かかる待ち時間を短縮化し得る技術の開発が要望されている。
そこで本発明は、上記待ち時間を短縮して迅速に光造形処理を実行し得る技術の開発を課題とし、そのような技術を具現化した光造形装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
本発明者は、リコータを作動(水平移動)させることによって生じた揺動液面が時間の経過とともにどのように推移して元の静止状態の液面に戻るかを詳細に検討し、図2〜図5に示すような現象を明らかにした。
すなわち、図2に示すようにt0時においてリコータ14を図中矢印方向に水平移動させはじめ、ベースプレート16(図3参照)及び光硬化体の上方に光硬化性液Rを供給する。t1時においてその作業を終了し、液面R0上を水平移動してきたリコータ14を所定の位置に停止させる。このとき、リコータ14の移動によって図示されるような揺動(波打ち)が液面R0に生じている。具体的には、リコータ14の進行方向前方の液面Rfはリコータ14の進行に伴って本来の液面R0(点線で表示)よりも隆起した波紋を形成する一方、リコータ14の進行方向後方の液面Rbはリコータ14の進行に引きずられるようにして、本来の静止液面R0よりも沈降している。なお、図示は縦方向の倍率を著しく拡大して示している。
【0008】
次いで、図2に示す状態の揺動液面Rf&Rbがリコータ14の停止後(即ちt1時以降)にどのように推移して本来の静止状態の液面R0に戻るかを詳細に検討した。
そして、図3、図4及び図5に示すように、リコータ14の水平移動によって生じた揺動液面Rf&Rbは、先ず、水平移動後に停止したリコータ14の近傍から本来の静止状態の液面R0に戻っていき、時間の経過(t1→t2→t3→t4)とともに斯かる液面R0の沈静化が段々とリコータ14の遠方に及んでいくことを突き止めた。而して、本発明者は、かかる静止液面R0の回復機序の解明に基づき、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明によって提供される光造形装置は、光硬化性液を貯留するタンクと、タンク内に配置されているとともに光硬化性液の液面に光が照射されることによって形成される光硬化体を積層するベースプレートと、光硬化性液の液面のやや上方高さにおいて水平方向に移動可能に設置されているとともに移動することによって光硬化体の上方に光硬化性液を導入するリコータと、リコータに追従して移動するとともに光硬化性液の液面の高さを検出する液面センサとを有する。
【0010】
本発明の光造形装置では、リコータを作動させてベースプレート及び光硬化体の上方に光硬化性液を供給し終えた後、そのリコータの停止位置又はその近傍の液面の高さを液面センサによって検出する。この構成によると、リコータの停止位置又はその近傍の液面が比較的速やかに本来の静止状態に回復する結果(図3参照)、リコータを作動させた後の上記待ち時間を短縮して従来よりも早い時期に、液面高さの検出および必要ならば液面高さの調節を行うことができる。
すなわち、従来の光造形装置(図1参照)では、上述のとおり、リコータ14から離れたタンク2の側壁等に液面センサ3を設けていたために、図5に示す状態のとき即ちリコータ14の動作停止(t1)から比較的長時間(t4−t1)が経過した時期(t4)に液面高さの検出を行う必要があった。
一方、本発明の光造形装置では、図3に示す状態のとき即ちリコータ14の動作停止(t1)から比較的短時間(t2−t1)が経過した時期(t2)に液面高さの検出を行うことができる。このため、本発明の光造形装置によると、上述の待ち時間を短縮し、迅速に光造形処理を進めていくことができる。
【0011】
本発明の光造形装置としてさらに好ましいものは、前記液面センサが前記リコータに設けられていることを特徴とする。なお、ここで「リコータ」とは、水平移動してベースプレートに積層された光硬化体の上方に光硬化性液を供給する装置全体(リコータ本体及びリコータ本体と一体的に水平移動する付属部材を包含する)をいう。
かかる構成の光造形装置では、水平移動するリコータに付随して液面センサも移動する。このため、リコータの停止位置に拘わらず、常にリコータの停止位置又はその近傍の液面の高さを検出することができる。従って、本構成の光造形装置によると、単純な機構で確実に上述の待ち時間を短縮し得、迅速に光造形処理を行うことができる。
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成する他の側面として、光造形装置に装備されたタンク内に貯留される光硬化性液の液面高さを検出する液面センサを備えたリコータを提供する。
【0013】
リコータに液面センサを設けた構成とした光造形装置として、特に好ましいものの一つは、前記リコータに測定冶具が脱着可能であり、その測定冶具がリコータに固定されると測定冶具上面がリコータ下端と同一高さに揃い、前記液面センサが測定冶具上面までの距離を測定することによってリコータ下端までの距離を測定することを特徴とする。
このような測定治具を備えることにより、高さゲージ等の高度測定手段を別途用意することなく、リコータに装備された上記液面センサを流用してリコータの下端部の高さを測定することができる。延いては、その測定値に基づいてリコータと液面との間の距離が適切となるように、リコータの高さを調節することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば液面センサの設置位置)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば光造形装置の各エレメントを作動させるための制御部の構成、3次元CADに基づく図形データの作成)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
図6は、本発明の光造形装置10として典型的な一実施形態を模式的に示すブロック図である。この図に示すように、本形態の光造形装置10は、ワーク沈下法に基づいて設計されるものであり、典型的には、タンク12と、液面センサ13と、液面調節装置17と、光照射装置15と、ベースプレート16と、リコータ14と、制御部11とを備えている。
タンク12は、光硬化性液(典型的には光硬化性樹脂液)を貯留し得るものであれば、その形状、サイズ、材質に特に制限はない。典型的には、タンクの側壁12Aには、リコータ14を水平移動させるためのガイド部材(レール等)が設けられる(後述する図7参照)。
【0016】
光照射装置15は、従来の光造形装置に装備されているものを特に制限なく用いることができる。好ましくは、高輝度の紫外光を発生させ得る光源(種々のレーザ光源が好ましい)15Aと適当な光走査手段(典型的にはガルバノミラー等の光偏向デバイス)15Bとを備える。
図6に示すタイプの光造形装置10に装備されるベースプレート16としては、ワーク沈下法を実施するために設計されたものであればよく、軸16Aを介して図示しないプレート昇降装置に連結する。
【0017】
液面調節装置17は、タンク12内の光硬化性液Rの液面R0を調節するための装置であればよい。典型的には、一定の体積を有する錘と当該錘を光硬化性液R中に沈めたり引き上げたりできる昇降装置とから構成される。この種の液面調節装置17では、光硬化性液R中に沈ませた錘の体積に応じて液面R0の高さを容易に調節することができる。
リコータ14の本質的な構造自体は、従来の光造形装置に装備されているものと同様のものであればよく、本発明の光造形装置に装備し得るリコータは特定の構造物に限定されない。従来の光造形装置を構築する場合と同様、リコータ14は、液面R0よりも僅かに上方に配置されて液面上を水平移動可能に設置されるとともに、所定の時期にリコータ14の下端部を光硬化性液Rに接触させることができるように設置される。リコータ14の下端部は、リコータを一旦光硬化性液Rに接触させてから液面R0よりもやや上方(即ち水平移動させるための所定位置)まで引き上げたときに、光硬化性液Rが液面R0から持ち上がるようにして当該下端部に吸入・保持された状態を形成し得るように設計されている。
【0018】
液面センサ13は、液面高さを測定し得る機構のものであれば、特に制限はない。構造が単純であり信頼性も高いという観点から一般的な光学的手段によるセンサが好適である。
なお、本発明の光造形装置10では、かかる液面センサ13は、水平移動したリコータ14がベースプレート16上の光硬化体(図示せず)の上方に光硬化性液Rを供給し終えて停止した位置又はその近傍の液面の高さを検出し得るように設置する。このことによって、上述の図3に示すように、リコータ14が停止した時(t1)からあまり時間が経過していない時期(t2)に、正確な液面R0を検出することができる。
【0019】
リコータ14の停止位置又はその近傍の液面R0の高さを検出できる限り、液面センサ13の設置位置は特に限定されない。
図6に模式的に示すように、本発明の実施にあたって特に好ましい液面センサ13の設置部位はリコータ14の一部である。液面上を水平移動するリコータ14そのものに液面センサ13を設けることによって、リコータ14の停止位置が水平移動を繰り返す毎に変動する場合であっても、常にリコータ13の停止位置又はその近傍の液面R0の高さを検出することができる。
【0020】
制御部(コンピュータ)11は、所定のCADデータに基づいて、リコータ14(具体的にはリコータ本体を水平方向及び上下方向に動かすための図示しない駆動装置)、光照射装置15、ベースプレート16(具体的にはプレート昇降装置)等を作動させ、光造形処理を行う。また、液面センサ13から液面検出データを入力し、必要に応じて液面調節装置17を作動させる。
なお、光造形装置10の制御手段自体は、従来と同様でよく、本発明を特徴付けるものでもないため、詳細な説明は省略する。
【0021】
【実施例】
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0022】
図7及び図8は、本発明に係る第1実施例の光造形装置20を模式的に示す平面図及び部分側面図である。なお、これらの図では、本実施例の説明に必要のない装置類(光照射装置等)は省略している。
図7及び図8に示すように、この光造形装置20は、光硬化性液R(典型的にはアクリル系やエポキシ系等の光造形用光硬化性樹脂液)を貯留するタンク22と、熱硬化性液R中に沈下した状態で水平に配置されたベースプレート26と、タンク22の一方の側壁22Aから反対側の側壁22Bに差し渡されるサイズの長板形状のリコータ30と、液面センサ23(好ましくは光学式又は超音波式の非接触型センサ)とを備える。
また、これら側壁22A,22Bの外方には、リコータ30を水平移動可能に支持するための支持フレーム27A,27Bが各々設けられている。
【0023】
図8及び図9に示すように、この実施例のリコータ30は、大まかにいって、上記一対の支持フレーム27A,27Bに水平移動可能に連結される可動本体部31と、リコータの下端部に相当し、液面R0のやや上方に配置される作用部33と、当該作用部33を可動本体部31に連結するための連結部32とから実質的に構成されている。本実施例では作用部33と連結部32とは一体に成形されており、連結部32と可動本体部31とは、高さ調節機構付きボルト34A,34Bによって連結されている。
可動本体部31の長手方向の両端部の上面には、支持部35A,35Bが各々立設されており、かかる支持部35A,35Bを介して可動本体部31が両支持フレーム27A,27Bと水平移動可能に連結している。特に限定しないが、本実施例では、一方の支持フレーム27Aに設けられているLMガイド28Aと、他方の支持フレーム27Bに設けられているガイドレール28B及びボール28Cとによって、可動本体部31と両支持フレーム27A,27Bとの水平移動可能な連結が実現している。
【0024】
作用部33は、リコータ30の幅方向両端に設けられた長手方向に延びる長尺状のブレード33A,33Bを有する。そして、両ブレード33A,33B間には、液面R0方向に開口する凹部33Cが形成される。かかる構造の作用部33を有する結果、リコータ30を降下させて両ブレード33A,33Bの下部を光硬化性液Rに一旦浸し、その後にブレード33A,33Bの下端が液面R0のやや上方に配置されるようにリコータ30を再び引き上げると、凹部33Cに光硬化性液Rが吸引・保持される。この状態を維持しつつべースプレート26の上方を水平移動することにより、当該べースプレート26に積層されている光硬化体の上面に光硬化性液Rを供給することができる。
【0025】
図7〜図9に示すように、本実施例に係る光造形装置20では、リコータ30の可動本体部31の上面に液面センサ23が設置されている。すなわち、可動本体部31の一方の端部に立設する支持部35Aの側面に本実施例に係る液面センサ23が取り付けられている。この液面センサ23の下部には図示しない出力素子と入力素子が設けられている。他方、液面センサ23の下方に位置する可動本体部31には、液面センサ23の出力素子から発射され且つ入力素子に受け入れられる液面検知用媒体(光、超音波等)を通過させるための検知孔36が設けられている。かかる構成の結果、本実施例に係る光造形装置20(リコータ30)では、リコータ30の直下にある液面R0の高さを検知孔36を介して検出することができる。すなわち、ベースプレート26に積層される光硬化体の上方に光硬化性液Rを供給するためにリコータ30を水平移動させた後、当該リコータ30の停止位置における液面R0の高さを検出することができる。
本実施例に係る光造形装置20によると、リコータ30の水平移動による液面の揺動が比較的速く収まる部位で所定の静止状態の液面を測定することができる。このため、上述の待ち時間を短縮して迅速に光造形を行うことができる。
【0026】
なお、本実施例に係る光造形装置20のように、リコータ30の一部に液面センサ23を設けることによって、上記光造形処理の迅速化に関する効果以外の副次的効果を奏し得る。
例えば、本実施例に係る光造形装置20では、リコータ30が正確に水平方向に移動するように設置されているか否かを当該液面センサ23によって簡単に判定することが可能である。すなわち、リコータ30を上述のように水平移動可能にタンク22上に設置した後、作用部33に光硬化性液Rを吸引・保持させない状態、換言すればタンク22中の光硬化性液Rが全域に亘って静止状態を保っている状態のままリコータ30を水平移動させる。このとき、液面センサ23を同時に作動させ、リコータ30の移動に合わせて液面R0の高さをモニタリングするとよい。この簡単な操作によって、何らかの不具合があってリコータ30が正しく水平移動していない場合には、そのことを液面センサ23からの液面検出データに基づいて検知することができる。水平方向に対して僅かに上下に傾斜してリコータ30が移動すると、当該リコータ30即ち液面センサ23と液面R0との間の距離(高さ)が変化する結果となり、その変化は液面センサ23から出力される液面検出データの変動として捉えることができるからである。
これによって、フレーム27A,27Bやレール28A,28Bの水平からの傾きや、カーブしていること等がわかる。
【0027】
次に、図10及び図11を参照しつつ、第2実施例に係る光造形装置40を詳細に説明する。この実施例の光造形装置は、第1実施例の構成に加えて、上述の測定治具58を備えたことを特徴とする。なお、以下の説明は、第2実施例に特有の構成及び作用・効果について説明し、第1実施例と同じ構成及び作用効果については重複した説明は行わない。すなわち、図10及び図11中に示すタンク42、タンク側壁42A,42B、支持フレーム47A,47B、LMガイド48A、ガイドレール48B、ボール48C、ベースプレート46及び液面センサ43は、いずれも、第1実施例の光造形装置20に設けられたタンク22、タンク側壁22A,22B、支持フレーム27A,27B、LMガイド28A、ガイドレール28B、ボール28C、ベースプレート26及び液面センサ23と同じものである。これらの部材については第1実施例を参照されたい。
【0028】
第2実施例の光造形装置に装備されるリコータ30は、第1実施例と同様、可動本体部51と、連結部52と、作用部53とから構成されている。作用部には第1実施例と同形状の一対のブレード53A,53Bが設けられており、その間に凹部53Cが形成されている。
作用部53と連結部52とは一体に成形されており、その連結部52と可動本体部51とは、高さ調節機構付きボルト54A,54Bによって連結されている。可動本体部51の長手方向の両端部の上面には、支持部55A,55Bが各々立設されており、かかる支持部55A,55Bを介して可動本体部31が両支持フレーム47A,47Bと水平移動可能に連結している。
本実施例に係る光造形装置40についても、リコータ50の可動本体部51の一方の端部に立設する支持部55Aの側面に本実施例に係る液面センサ43が取り付けられている。この液面センサ43の下方に位置する可動本体部51には、液面センサ43の出力素子から発射され且つ入力素子に受け入れられる液面検知用媒体(光、超音波等)を通過させるための検知孔56が設けられている。
以上の構成を有する第2実施例の光造形装置40は、第1実施例に係る光造形装置20と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
本実施例に係る光造形装置40には、光硬化性液Rの液面R0のやや上方に配置されたリコータ50の下端部(即ちブレード53A,53Bの下端部)の高さ、延いては液面R0と当該下端部との間の距離を判定するための測定治具58が備えられている。なお、通常の光造形処理を行っている最中は測定治具58は使用しない。即ち、リコータ50に装着されない。
【0030】
図10に示すように、測定治具58は、プレート状の付属部材であり、凹凸のない高度に平坦な表面58Aを有している。この表面には、後述する一対の取付けボルト54C(図10,図11参照)を固着させるための取付け孔(図示せず)が設けられている。以下、この測定治具58の使用態様を説明する。
【0031】
本実施例に係る幅広の可動本体部51の両端部には、測定治具58を両ブレード53A,53Bの下端部に装着するための一対の貫通孔(図示せず)が設けられている。図11に示すように、測定治具58の上記平坦面58Aをブレード53A,53Bの下端部に密接させる。而して、上記貫通孔を通過させつつ取付けボルト54Cを測定治具58の上記取付け穴に螺合させる。このことによって、リコータ50の下端部(ブレード53A,53B下端部)に測定治具を装着することができる。
このとき、測定治具58の平坦面58Aの一部が、上記検知孔56の真下に来るようにして測定治具58を取付ける。これにより、液面センサ43の図示しない出力素子から発射された液面検知用媒体(光、超音波等)は、検知孔56を通過して測定治具58の表面に到達する。すなわち、上記のように測定治具58を取り付けた状態では、液面センサ43は、光硬化性液の液面の高さを測定する代わりにリコータの下端部(ブレード53A,53B下端部)の高さを測定することになる。このことによって、高さゲージ等の高度測定手段を別途用意することなく、リコータに装備された上記液面センサを流用してリコータの下端部の高さを測定することができる。延いては、その測定値に基づいてリコータと液面との間の距離が適切となるように、リコータの高さを調節することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上述の実施例の光造形装置は、いわゆるワーク沈下法を実施するために構成されたものであるが、この方式に限られず、いわゆる液面上昇法を実施するために構成された光造形装置に対しても本発明を適用することができる。また、上述の実施例では、リコータの一部に検知孔を設け、その孔を通して液面高さを測定しているがこれに限られず、例えばリコータの側面近くの液面高さを測定してもよい(図6参照)。この場合は上記検知孔は不要となる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の光造形装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】 リコータを水平移動させた際に生じる液面の揺動状態を模式的に示した説明図である。
【図3】 リコータ停止後の時間の経過とともに揺動液面がどのように変化していくかを模式的に示した説明図である。
【図4】 リコータ停止後の時間の経過とともに揺動液面がどのように変化していくかを模式的に示した説明図である。
【図5】 リコータ停止後の時間の経過とともに揺動液面がどのように変化していくかを模式的に示した説明図である。
【図6】 本発明の光造形装置の構成の一例を模式的に示したブロック図である。
【図7】 一実施例に係る本発明の光造形装置を模式的に示した平面図である。
【図8】 一実施例に係る本発明の光造形装置を模式的に示した部分側面図である。
【図9】 図8におけるIX−IX線断面図である。
【図10】 一実施例に係る本発明の光造形装置を模式的に示した部分側面図である。
【図11】 図10におけるXI−XI線断面図である。
【符号の説明】
1,10,20,40 光造形装置
2,12,22,42 タンク
3,13,23,43 液面センサ
4,14,30,50 リコータ
31,51 可動本体部
32,52 連結部
33,53 作用部
33A,33B,53A,53B ブレード
35A,35B,55A,55B 支持部
36,56 検知孔
58 測定治具
R 光硬化性液
R0 液面
S 光硬化体
Claims (4)
- 光硬化性液を貯留するタンクと、タンク内に配置されているとともに光硬化性液の液面に光が照射されることによって形成される光硬化体を積層するベースプレートと、光硬化性液の液面のやや上方高さにおいて水平方向に移動可能に設置されているとともに移動することによって光硬化体の上方に光硬化性液を導入するリコータと、リコータに追従して移動するとともに光硬化性液の液面の高さを検出する液面センサとを有する光造形装置。
- 前記液面センサが前記リコータに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光造形装置。
- 前記リコータに測定冶具が脱着可能であり、その測定冶具がリコータに固定されると測定冶具上面がリコータ下端と同一高さに揃い、前記液面センサが測定冶具上面までの距離を測定することによってリコータ下端までの距離を測定することを特徴とする請求項2に記載の光造形装置。
- 光造形装置に装備されるリコータであって、
光造形装置に装備されたタンク内に貯留される光硬化性液の液面高さを検出する液面センサを備えたリコータ。
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