JP3889631B2 - 密着性ラップフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用、特に家庭用ラップフィルムとして好適に使用される結晶性高分子からなる密着性ラップフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用ラップフィルムは、主として冷蔵庫や冷凍庫での食品の保存や、電子レンジで容器に盛った食品を加熱する際にオーバーラップして使用されている。この家庭用ラップフィルムのラップ適性には、透明性およびカット性、ハリ・コシ感などが要求されており、また電子レンジなどでの加熱調理中にも溶融穿孔および大きな変形あるいは容器への融着やそれ自身の変質が少ない安定性を有すると共に、とくにラッピング時のラップ同士および容器に対する密着性が要求され、また、密着性と同時に、それに対し相反する特性である化粧箱内の巻回ラップフィルムを箱の外に引き出すときの引出し性の良さもまた消費者から強く求められている。
【0003】
この家庭用ラップフィルムとして現在市販されているものの中で、最も使い勝手の良いという評価を受けているものは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主体としたフィルムである。一方、その他にもポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂や、ポリ塩化ビニル系樹脂或いはポリ4−メチルペンテン−1樹脂等を主成分としたフィルムなども市販されているが、いずれもポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの密着性にはおよばず、ラップ適性の劣るものであり、塩化ビニリデン製のラップが広く普及している。
【0004】
しかし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、フィルムや繊維に溶融成形する際、そのままでは加熱により熱分解しやすく、塩酸などが発生する可能性があるという課題がありこの解決のため実際の工程では、安定剤などを添加して成形している。しかしながら熱分解による若干の黄色の着色は避けられていない。従って、相反する特性を有する非塩素系の密着性の良好な、引出性のよい、ハリ・コシ感のあるラップフィルムが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は非塩素系の結晶高分子を主成分としたラップ適性の良い新規なラップフィルムであり、使用時の密着性の良好な、引出性のよい、ハリ・コシ感、透明性、カット性、耐熱性を有するラップフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、非塩素系の高分子でありながら、優れた密着性と良好な引出性、ハリ・コシ感、透明性、耐熱性を有するという観点から、鋭意検討を加えた結果、従来は接触面積の観点から密着には表面ヘイズなどで計測される平滑な表面が有効と考えられていたフィルム表面に、液状成分の添加と、その液状成分の表面保持に有効な微細な網目構造をフィルム表面に付与することでポリ塩化ビニリデン系ラップ並もしくは以上の密着性の付与が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1) 液状成分を少なくとも1種類以上含む非塩素系の結晶性高分子を主体としたフィルムであって、そのフィルム表面は原子間力顕微鏡の位相像で観察される網目構造を有し、かつこの網目構造はフィブリルのように観察される部分の太さが平均幅100nm以下であり、かつ孔のように観察される部分のサイズが平均1μm以下の構造でることを特徴とするラップフィルム。
(2) 液状成分を少なくとも1種類以上含む非塩素系の結晶性高分子を主体としたフィルムであって、そのフィルム表面は原子間力顕微鏡の位相像で観察される網目構造を有し、かつこの網目構造はフィブリルのように観察される部分の太さが平均幅30nm以下であり、かつ孔のように観察される部分のサイズが平均35nm以下の構造であることを特徴とするラップフィルム。
【0007】
) 該液状成分が食品添加物であることを特徴とする上記(1)ないしは(2)に記載のラップフィルム。
) 該主体となる結晶性高分子がポリオレフィン系樹脂もしくはポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のうちから選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載のラップフィルム。
) 該液状成分がその沸点が200℃以上であることを特徴とする上記(1)から()のいずれかに記載のラップフィルム。
【0008】
) 該液状成分がその溶解度パラメーター(δs、単位:(MPa)1/2)が該主体となる結晶性高分子の溶解度パラメーター(δp)とδp−7≦δs≦δp+7の範囲にあることを特徴とする上記(1)から()のいずれかに記載のラップフィルム。
) 該液状成分がその含有量が0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする上記(1)から()のいずれかに記載のラップフィルム。
(8) 該液状成分がその含有量が10重量%〜30重量%であることを特徴とする上記(1)から(7)のいずれかに記載のラップフィルム。
(9)該ラップフィルムがその密着仕事量X(mJ)が1≦X≦2.5であり、かつ、引出力Y(N)が0.4≦Y≦0.8であることを特徴とする上記(1)から()のいずれかに記載のラップフィルム、に係る。
以下に本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明において非塩素系の結晶性高分子とは、塩素元素を含まず、結晶性の高分子であればよく、フィルム形成能のある高分子である。この高分子はフィルム全体の50重量%以上を占める高分子のことを意味する。非晶性の高分子では後述するが密着性の付与に必要な表面網目構造を形成できないので本発明ではフィルムの主体となる高分子としては用いることは出来ない。ただし、非晶性高分子であっても結晶性高分子が部分的に結晶化できる量であればブレンドして用いることは可能である。さらに、結晶性高分子でも明確な結晶融点を持たないセルロースや芳香族ポリアミドのような水素結合性のポリマーでもよいが、結晶融点が分解温度以上の場合には湿式製膜を試みることになり、溶媒の回収など工程が必要となるので操作的には不利になり、操作性の観点から製造工程での溶融成形が可能である結晶融点が350℃以下のポリマーが好適に用いられる。
【0010】
さらに好適にはポリオレフィン系樹脂・ポリエステル系樹脂・ポリアミド系樹脂が用いられる。たとえばポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1およびこれらを主体とした共重合体等、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシグリコール酸など、ポリアミド系樹脂としてはナイロン6、ナイロン7、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン6Tなどを挙げることが出来る。本発明ではフィルムは1層の単独組成である必要は必ずしもなく、多層構造の場合には容器に接触する層が結晶性高分子が主体でAFMの位相像で観察される網目構造を持ち、液状成分を含んでいれば、実用上の密着性は変わりなく、2層以上の多層構造から構成されていても良い。
【0011】
次に本発明における液状成分は、高分子の種類によって好適に用いられる液状成分は各々異なる。そして少なくとも1種類は、フィルムに柔軟性を付与する観点から、たとえば、脂肪族炭化水素系の高分子であれば、液状成分中にアルキル基もしくはメチレン連鎖部分を保有するものが好適に用いられるし、エステル系高分子、アミド系高分子ではカルボニル基やエーテル基、水酸基などの水素結合能のある官能基を含むものが好適に用いられる。
【0012】
たとえば、アルキル基を持つものとしては、ミネラルオイル、流動パラフィン、飽和炭化水素化合物などが挙げられる。カルボニル基やエーテル基、水酸基などの水素結合能のある官能基を含むものとしては、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、これらの多価アルコール、および上述のアルコール成分と脂肪族または芳香族(多価)カルボン酸とのエステル、脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコールおよび/または脂肪酸とのエステル、およびこれらエステルの変性物、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび又はそのエステルなどを挙げることが出来る。さらに具体的には、たとえば、グリセリンやジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン類、およびこれらをアルコール成分の原料とし、酸成分として、脂肪酸、たとえばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等とのモノ、ジ、トリエステル、ポリエステル等、またはソルビタンと上記脂肪酸とのエステル、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、およびこれらの縮合物と上記脂肪酸とのエステル、又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸としてクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等と炭素数10以下の低級アルコールとのエステル、又は多価カルボン酸としてマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等と脂肪族アルコールとのエステル、又はこれらエステルの変性物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。特に、食品包装用ラップとして使用する場合は、食品衛生法で規定されている食品添加物である液状成分が好適に用いられる。また、耐熱性の観点からは液状成分の沸点は200℃以上のものが好適に用いられる。
【0013】
また、主体となる結晶性高分子との相溶性の観点から液状成分のその溶解度パラメーターδs(単位:(MPa)1/2)が、主体となる結晶性高分子のδpに対してδp−7≦δs≦δp+7の範囲にあるものが好ましい。さらに、液状成分の含有量は0.5重量%〜30重量%の範囲が好ましい。液状成分はフィルムの柔軟性を付与する以外に、本発明の目的である密着性において、その濡れ広がる性質から、フィルムと被着体との間隙を埋めて密着性をあげる作用をもつ。そのため、液状成分が0.5重量%以下ではフィルム表面に被着体との間隙を埋めるのに充分な量の液状成分が存在し難く、密着性が不十分なものとなってしまう。また、30重量%以上では弾性率の低下を引き起こし、ハリ・コシ感が低下するし、融点降下によって多くの高分子ではラップとしての耐熱性が発現し難い。さらに液状成分の含有量の上限はべたつきの観点から20重量%以下がより好ましい。一方、密着性の付与の観点からは液状成分の含有量の下限は1重量%以上がより好ましい。
【0014】
次に、本発明における網目構造とは、AFMの位相像で観察される網目を構成するフィブリルが平均幅100nm以下の幅でなければならない。フィブリルの幅が100nmを超えた場合には、表面の凹凸もそれに応じて大きくなるため、被着体との接触面積が減り、充分な密着性を発現できない。表面平滑性の観点からは、フィブリルの幅は50nm以下がより好ましい。さらに好ましくは30nm以下である。一方、観察される孔がサイズ平均1μm以下でなければならない。
ここで、AFMの位相像とは、AFMのカンチレバーの刺激に対する位相の情報が画像化されたものである。本発明の網目構造ではフィブリルがカンチレバーの刺激に対する位相の遅れの少ない部分で、孔が位相の遅れの大きい部分であり、図1に例示したように、暗い部分が孔、明るい部分がフィブリルである。すなわちフィブリルと孔を比較した場合、孔の部分がより非晶的である。
【0015】
一般に、結晶高分子の場合は可塑剤などの添加剤は結晶領域ではなく、非晶領域に存在しており、本発明でもより非晶的な部分として観察される孔に液状成分がより多く存在し、網目構造に保持されているためにアンカー効果を発揮して、密着性の発現に寄与しているものと考えられる。この考え方を支持するように、孔がサイズ1μmを超えた場合は、液状添加剤が保持されにくくなり必要以上に液状添加剤が表面に存在しやすくなる。その結果、粘性の低い液状添加剤を用いている場合にはアンカー効果を発揮できなくなり密着性の低下を引き起こすと考えられる。逆に粘性の高い液状成分を用いている場合は、べたつき感が増すので難い。また、孔はサイズ平均3nm以上である方がより好ましい。孔はサイズ3nm未満である場合は、表面に液状成分が必要量存在し難く、密着性が低くなる場合がある。液状成分の保持という観点からは、孔サイズはより好ましくは10nm−500nmであり、さらに好適には20nmから100nmである。
【0016】
また、本発明の表面網目構造の製造方法については種々の製造方法があるが、網目構造は2軸の延伸過程での配向結晶化によって形成させることが出来る。本発明の網目構造を発現させるには2軸延伸が好ましい。ただし、湿式製膜のような場合は積極的な延伸を行わなくても、緊張下での脱溶媒などの工程があれば、収縮応力によって実質的に延伸されるので、自由収縮を起こさせなければ、積極的な2軸延伸をおこなわなくとも良い。
【0017】
ところで、延伸のタイミングであるが、高分子の結晶化速度が速い場合はその高分子を溶融で押出して空冷し、結晶化させながら延伸させてもよいが、結晶化に時間がかかる場合は、溶融状態での延伸では結晶化が追随せず、有効に配向結晶化がおこらず、網目構造が発現しない場合があるので、一旦固体状態にしたのちガラス転移温度以上で延伸するのが好ましい。また、結晶化速度を早くするために適宜核剤を添加しても良い。また、延伸倍率は問わない。もちろん未延伸ではフィルムの強度が発現し難いし、1軸延伸では網目構造が形成され難い。ところで、網目のサイズは延伸倍率によってコントロールでき、延伸倍率が大きくなるほどフィブリルの幅は細くなり、孔サイズは大きくなる傾向にある。同時に、孔サイズは相分離によっても支配されており、より可塑化効果の高い添加剤成分を加えた系では孔サイズが大きくなる傾向がある。
【0018】
次に、本発明におけるラップフィルムの好ましい密着性の評価は後述する方法で測定した表現される密着仕事量X(mJ)が1≦X≦2.5、引出力Y(N)が0.4≦Y≦0.8の範囲である。X<1やY<0.4では充分な密着性を発現し難いし、X>2.5やY>0.8では剥離が困難となりいわゆる過剰密着となり、食品包装用の巻回ラップの場合は引き出しが困難となる。実用の使用感からはさらに好ましくは1.5≦X≦2.4、0.4≦Y≦0.7であり、より好ましくは1.8≦X≦2.3、0.4≦Y≦0.6である。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。また、AFMによるラップ表面網目構造の観察、ラップの密着性、引出性、ハリ・コシ感、透明性、カット性、耐熱性の評価には以下の測定方法を使用した。
(1)AFM測定
フィルムをガラスに貼付け固定し、表面をデジタルインスツルメント社製NanoScopeIIIaにてTappingモードで位相像を観察した。測定にはSi単結晶のカンチレバー(ばね定数=0.07−0.58N/m)を用い、Scan rateが0.5−1Hz、Scansizeが2μm×2μm(図2)もしくは0.5μm×0.5μm(図3)で、Z limitが440V、サンプリング点数256×256もしくは512×512の条件で実施した。フィルムによってカンチレバーの触圧をコントロールしたが、targetamplitudeが 2Vの場合はSet Pointが0.8−1.4V、target amplitudeが4Vの場合はSet Pointが2.0−3.5Vの範囲であった。フィブリルの幅、および孔サイズは代表的であると思われるそれぞれ任意に選んだ5箇所を測長し、その平均値を採用した。
【0020】
(2)密着性の評価
密着仕事量:この方法は、食器などの容器や食品にラップフィルムを被せたときのフィルム同士の密着性を評価したものであり、以下の通り、測定した。
底面積が25平方センチメートルで同一で質量が400gの円柱を2本用意した。そして、これらの底面に、底面と面積が同一の濾紙を予め貼り付けた。この濾紙を貼り付けた2つの円柱の底面に、ラップフィルムを皺が入らないように緊張させて固定した。そして、これらのフィルム面の相互がぴったり重なり合うように片方の円柱の上にもう1本の円柱を合わせた後、すぐに500gの重りを載せて荷重し、1分間圧着した。所定時間経過後に重りを取り外し、すぐに、重なり合わせた円柱に固定されたままのフィルム相互を引っ張り試験機にて5mm/分の速度で面に垂直な方向に引き離し、このとき生じたエネルギー(mJ)を密着仕事量とした。測定は23℃の雰囲気中で行った。試験回数は、10回行い、平均値を採用した。
【0021】
(3)引出性の評価
引出力:この方法は、巻回フィルムからフィルムを引き出した時の引き出し性を評価したものであり、以下のようにして測定した。
最初に、30cm幅で筒状紙管に巻かれた巻回フィルムを、専用のジグで挟んで引っ張り試験機の下部に固定した。このジグは、巻回フィルムの紙管の両端を挟んで固定する構造となっており、更にこの紙管を固定した部分が軽負荷で回転する構造となっているものを使用した。次に、フィルム先端を巾330mmの上部固定具に貼り付けて固定し、23℃雰囲気中で1000mm/分の速度でフィルムを巻解きながら得られる力を測定した。このときに得られた最大荷重を引出力とした。試験回数は10回行い、平均値を採用した。
【0022】
(4)ハリ・コシ感の評価
熟練したパネリスト20人を用意して、開口部の直径15cmのガラス容器に長さ、幅共30cmのラップフィルムを使用し、該容器を覆う際の使用感を加味し下記要領にて評価を行った。
評価記号内容
◎:ハリ・コシ感が極めて優れ、取り扱いが極めて容易である
○:ハリ・コシ感が優れ、取り扱い上問題を感じない
×:ハリ・コシ感が劣り使い難い。
【0023】
(5)透明性
熟練したパネリスト20人を用意して、幅共30cmのラップフィルムを使用し、目視により下記要領にて透明性の評価を行った。
評価記号内容
◎:非常に透明性がよい
○:透明性がよい
×:透明性がおとる
【0024】
(6)カット性
箱型のラップフィルムの収納箱(例えば2001年9月発売されている30cm×20mの家庭用サランラップ(旭化成株式会社、登録商標)に使用されているラップフィルム収納箱)に、幅30cmの巻回ラップフィルムを収納し、熟練したパネリスト20人を用意して、収納箱から約30cmのラップフィルムを引出し、カットした際のラップフィルムのカット性を使用感を加味し下記要領にて評価を行った。
評価記号内容
◎:容易にカットでき、カット性に優れ、取り扱いが極めて容易である
○:取り扱い上問題を感じない
×:カットしづらいなど、カット性が劣り使い難い
【0025】
(7)耐熱性
幅30mm、長さ140mmの短冊状フィルム試料片の上下25mmに紙をあて10gのおもりを下げる。110℃、130℃、150℃の一定温度に調節したエアーオーブン中で1時間吊るし、フィルムが切れないかどうかを観察し、フィルムが切れない最高温度で下記要領にて評価した。
評価記号内容
◎:150℃でもフィルムが切れず、耐熱性に非常に優れる
○:130℃でもフィルムが切れず、耐熱性に優れる
△:110℃ではフィルムが切れず、やや耐熱性に劣る
×:110℃でもフィルムが切れ、耐熱性に劣る
【0026】
【実施例1〜3、比較例1、2】
主体となる結晶性高分子にそれぞれ液状成分やその他添加剤を表1に示す割合で混合し、融点以上の温度で混合溶融させ、径が100mmφでスリットが1.0mmの環状ダイ装着した押出機より押出し、水で急冷却し環状パリソンを形成させた。ついで、この原反をガラス転移点以上に予熱を行い、インフレーションによる同時2軸延伸を施して環状ラップフィルムとした。次に巻き取り機で耳を切り取り、厚み約10μmの2枚のフィルムに巻き取った。
【0027】
に実施例1で得られたフィルム表面のAFMの位相像を示すが、均一な網目構造が観察された。実施例2,3および比較例1、2でも網目構造は観察された。実施例2で得られたフィルムのAFMの位相像を図に示す。実施例等は、適当な網目構造があるので効果的に液状成分を表面に保持できて別表の評価に示す効果が得られた。しかしながら、比較例1は液状成分を含まないので密着性が低かった。また、比較例2は孔サイズが1.5μmと大きく、べたつき感があり、密着仕事量、引出力ともに非常に大きく実用適正範囲を超えていた。評価結果を表2に示す。
【0028】
【実施例4】
実施例1と同じ組成物を200℃の温度で混合溶融させ、スリット幅が20mm×0.5mmTダイ装着した押出機より押出し、水で急冷し、フィルム上シートを形成させた。ついでこの原反を140℃にセットした加熱ゾーンを通しながら、ストレッチャーで5×5倍に逐次2軸延伸を施し巻き取った。得られたフィルムの表面にはAFMの位相像において均一な網目構造が観察された。評価結果を表2に示す。
【0029】
【比較例3,4】
市販のポリエチレン製ラップフィルム(エヌピーフィルム株式会社製ワンラップ)、ポリプロピレン製多層(PP/Ny/PP)ラップフィルム(ライオン株式会社製リードラップ(R))の評価結果を表2に示す。いずれのラップも表面に網目構造は観察されなかった。
【0030】
【比較例5】
ポリ乳酸90重量部にグリセリントリアセテート10部を混合し、220℃で混合溶融させ、径が100mmφでスリットが1.0mmの環状ダイ装着した押出機より押出し、そのまま、溶融状態でインフレーションによる同時2軸延伸を施して環状ラップとした。次に巻き取り機で耳を切り取り、厚み約10μmの2枚のフィルムに巻き取った。得られたフィルムのAFMの位相像では表面に網目構造は観察されなかった。評価結果を表2に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003889631
【0032】
【表2】
Figure 0003889631
【0033】
【比較例6】
実施例4と同じ組成・押出し条件であるが延伸倍率が2×2倍でフィルムを形成させた。得られたフィルムのAFMの位相像では表面に網目構造は観察されたものの、フィブリルの幅が150nmと大きかった。評価結果を表2に示す。
以上、表2に示すように実施例1〜4は表面網目構造を持ち、密着性、ハリ・コシ感、透明性、カット性、耐熱性とも良好であった。比較例1は表面に網目構造をもつものの、液状成分を含まず、また、比較例2は網目構造をもつものの孔サイズが1.5μmと大きく、べたつきと同時に密着性が過剰であり、比較例3〜5は液状成分を含有するものの、表面に網目構造は観察されず、さらに、比較例6は網目構造が観察されるもののフィブリル幅が150nmと大きく、いずれも密着性において満足の行くものではなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、非塩素系の結晶高分子を主成分としたラップ適性の良い新規なラップフィルムであり、使用時の密着性の良好な、引出性のよい、ハリ・コシ感、透明性、カット性、耐熱性を有するラップフィルムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のAFMの位相像で観察される網目構造の模式図であり、1は孔、2はフィブリルである。
【図2】 本発明の実施形態の一である実施例1のラップフィルム表面のAFMの位相像であり、明るい部分がフィブリル、暗い部分が孔である。
【図3】 本発明の実施形態の一である実施例2のラップフィルム表面のAFMの位相像であり、明るい部分がフィブリル、暗い部分が孔である。

Claims (9)

  1. 液状成分を少なくとも1種類以上含む非塩素系の結晶性高分子を主体としたフィルムであって、そのフィルム表面は原子間力顕微鏡の位相像で観察される網目構造を有し、かつこの網目構造はフィブリルのように観察される部分の太さが平均幅100nm以下であり、かつ孔のように観察される部分のサイズが平均1μm以下の構造でることを特徴とするラップフィルム。
  2. 液状成分を少なくとも1種類以上含む非塩素系の結晶性高分子を主体としたフィルムであって、そのフィルム表面は原子間力顕微鏡の位相像で観察される網目構造を有し、かつこの網目構造はフィブリルのように観察される部分の太さが平均幅30nm以下であり、かつ孔のように観察される部分のサイズが平均35nm以下の構造であることを特徴とするラップフィルム。
  3. 該液状成分が食品添加物であることを特徴とする請求項1ないしは2に記載のラップフィルム。
  4. 該主体となる結晶性高分子がポリオレフィン系樹脂もしくはポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のうちから選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラップフィルム。
  5. 該液状成分がその沸点が200℃以上であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のラップフィルム。
  6. 該液状成分がその溶解度パラメーター(δs、単位:(MPa)1/2)が該主体となる結晶性高分子の溶解度パラメーター(δp)とδp−7≦δs≦δp+7の範囲にあることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のラップフィルム。
  7. 該液状成分がその含有量が0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のラップフィルム。
  8. 該液状成分がその含有量が10重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のラップフィルム。
  9. 該ラップフィルムがその密着仕事量X(mJ)が1≦X≦2.5であり、かつ、引出力Y(N)が0.4≦Y≦0.8であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のラップフィルム。
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