JP3889127B2 - 自動車用ホイールディスクの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクホイールの加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ディスクホイールのうち乗用車用スチールホイールはホイールディスクとホイールリムの2つの部品を接合(一般に溶接)して完成品となり様々な形状のものが実用に供されている。特に、ホイールディスクは意匠面を形成する意味合いから、ホイールリムとの接合の態様においてその外径接合部分についても様々な形状に加工されている。例えば、図10,図11に示すホイールディスク3とホイールリム2がリムビードシート部で接合される自動車用ホイール1において、ホイールディスク3の外径接合部分3aは図12の如き形状に加工されている。図13はその外径接合部分3aの加工順序を示す説明図で、便宜上ホイールディスク3の外径部の一部のみを断面で示している。
【0003】
しかして、図13において(a)は最初のプレス加工を示し円筒絞りにより外径接合部分3aを粗成形する。3bはディスクの意匠面(表)側、3cは裏面側、3dは外径接合先端部を示す。
【0004】
図13(b)は第2段目の据込加工を示し、外径接合先端部3dを先細り形状に加工する。図13(c)は最後の工程である切削加工を示し、3eはデザイン上の必要から形成するテーパー面であり、前工程の据込加工にて形成されている。3fはリムビードシート部に嵌合するために必要な5°テーパー面であり、前工程の据込加工で肉厚となった面を所定の外径、テーパーとなる様に切削加工して形成される。3gは図示省略したハブ取付面からの距離hに長さを決めて切削加工した先端面であり、この部位の肉厚tは一般にホイールリムの肉厚にほぼ等しい肉厚に設定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来は、プレス加工→据込加工(プレス加工の一種)→切削加工の3工程を必要とし、就中切削加工は他の加工と異なるため専用の加工装置を必要とする他、加工のためのサイクルタイムも余分に必要とするため、トータルの生産性が低い問題がある。
【0006】
しかも切削屑発生による材料原単位の低下と屑処理に要する人件費も必要とする。また、切削加工を外注で実施する場合には輸送コスト、輸送時間も浪費することとなり、これらの課題を解決する手段の出現が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するためになしたものであり、その要旨とするところは、
ホイールディスクとホイールリムがリムビードシート部で接合される自動車用ディスクホイールにおけるホイールディスクの加工において、該ディスクの外径接合部分に絞り加工としごき加工を同時に加えて外径接合先端部を先細り形状とし、次いで先細り形状とした外径接合部分に据込加工を施し塑性流動によって最終形状とすることを特徴とする自動車用ホイールディスクの加工方法である。
【0008】
本発明においては、第1段のプレス加工の加工内容を単なる円筒絞りだけでなく、同時にしごき加工を施す加工形態としたので、ホイールディスクの外径接合先端部を先細り形状にプレス加工できる。
【0009】
これによって最終形状に近い形状に加工しうるので、次の据込加工では目的の最終形状に成形加工を達成でき、従来採用していた切削加工工程を全廃することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に図1乃至図9に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1はホイールディスク3の外径接合部分を示す部分断面図であり、図中の符号は図13で示したものと同じ意味で使用している。
先ず、図1(a)は最初のプレス加工後の形状を示し、絞り加工としごき加工を同時に加え外径接合先端部3dを先細り形状に加工する。このときの先細りの程度は、最先端部において最終肉厚に近い肉厚となるまで加工する。これによって次の据込加工で最終形状・寸法に加工することが容易になる。
【0012】
この最初のプレス加工は絞り加工としごき加工を同時に行うので加工時間は従来と変わらない利点が得られる。
次に、図1(b)は据込加工後の最終形状を示し、据込加工においては外径接合先端部3dのうちデザイン上の好ましさから形成するテーパー面3eと、リムビードシート部への嵌合のために必要な5°テーパー面3f、及びリムビードシート部とのアーク溶接接合のためハブ取付面(図示省略)からの距離hまでにその長さを決めた最先端面3gの3ヶ所を据込加工し最終の形状・寸法にする。ここに最先端部の肉厚tはホイールリムの肉厚とほぼ等しい肉厚に加工することが良好な溶接強度を得る上で好ましい。
【0013】
尚、前記デザイン上の好ましさから形成するテーパー面3eは必ずしも形成する必要はなくこの部位の据込加工は省略しても良い。
次に図2乃至図9に基づいて加工方法の詳細について説明する。
【0014】
図2は絞り加工としごき加工を行う最初のプレス加工に用いるプレス機を示す。図2において、プレス機4は下型プレート5と上型プレート6とを備え、それぞれに下型台7、上型台8が固定されている。
【0015】
上型台8に固定されているガイドポスト9は、下型台7のガイドブシュ10に案内されて上下に摺動するようになっている。下型台5には下型補助プレート11が固着されており、その上に絞りパンチ12とハネ出し13が配置されている。ハネ出し13はクッションロッド14によって、クッションパッド15と連結されており、クッションピン16を介して上下に動き、ディスク3となるワークW1の成形後、絞りパンチ12からハライ出す役目を担っている。
【0016】
上型台8には絞りリング17が固着されており、上型台8と同時に下降することにより、ワークW1の外周端部E3を折り曲げる(絞る)役目を担っている。上型台8に配置されている上型補助プレート18とフロートダイ19はノックアウトロッド20によってノックアウトパッド21と連結されており、ノックアウトピン22を介して上下に動き、ワークW1の外周端部E3を折り曲げたときにワークW1全体が変形しないように押さえる役目と、ワークW1を絞りリング17からハライ出す役目を担っている。
【0017】
次に上記のプレス機4による最初の加工状態について図3乃至図5により説明する。
図3はワークW1の外周端部E3を成形する直前の状態を表す。図中のW2は図1のワークW1の前工程のワークを示す。
【0018】
ワークW2は絞りパンチ12とフロートダイ19によって矢印b,cの方向に作用力を受けている。絞りリング17は矢印aの方向に働く。
図4はワークW2の外周端部E1を加工し始めたワークを表す。
【0019】
絞りリング17が矢印aの方向へさらに動くことにより、ワークW2の外周端部E1は絞りパンチ12の外周部P1を基点とし、絞りリング17の先端部R1によって折り曲げられる(絞られる)。ワークW3の外周端部E2は矢印d,eの方向へ作用力を受けている。
【0020】
図5はワークW1の外周端部E3が成形完了した状態を表す。
絞りパンチ12の外周部はP1からP2にかけてテーパーとなっており、絞りリング17との空間S1はワークW1の外周端部E3に向かって狭くなっている。よってワークW1の外周端部E3は矢印d,e,f,gの作用力によって絞りとしごきの同時加工を行っている。ワークW1の外周端部E3は矢印d,g方向へ塑性流動し、先細り粗加工されたことで、後工程の据込加工での最終成形をし易くしている。
【0021】
次に据込加工を行う最終工程に使用するプレス機について説明する。
図6はそのプレス機を示すもので、図6において、プレス機24は、下型プレート25と上型プレート26とを備え、それぞれに下型台27、上型台28が固定されている。
【0022】
上型台28に固定されているガイドポスト29は下型台27のガイドブシュ30に案内されて上下に摺動するようになっている。
下型台27には下型補助プレート31が固着されており、その上に据込みパンチ32と据込みリング33とハネ出し34が配置されている。ハネ出し34はクッションロッド35によってクッションパッド36と連結されており、クッションピン37を介して上下に動き、ワークW4の成形後、据込みパンチ32、及び据込みリング33からハライ出す役目を担っている。
【0023】
上型台28には上型補助プレート38と据込みダイ39が固着されており、上型台28とともに上下に摺動するようになっている。
そして、据込みダイ39によってワークW4の外周部のテーパー面E6が成形され、据込みパンチ32によってワークW4の外周端面E4の成形、据込みリング33によってワークW4の外周部のテーパー面E6から外周端面E4にかけてのテーパ面E7(リムビードシートとの嵌合部:図9参照)が成形される。
【0024】
次に上記のプレス機24による最終の加工状態について説明する。
図7は上記のプレス機4によって成形されたワークW1を据込加工する直前の状態を表す。
【0025】
ハネ出し34に乗ったワークW1は、据込みダイ39が矢印h方向へ下降することにより、矢印jの作用力を受けている。それに伴い、ハネ出し34も矢印i方向へクッション圧力をワークW1にかけながら矢印h方向へ下降する。ワークW1の外周端部E3は、据込みリング33のテーパー面R3の入り口R2に接触し、そのテーパー面R3に沿って下降し始める。
【0026】
図8はワークW1の外周端部E3が、据込みパンチ32の端面成形部P3に到達したときの状態を表す。
ワークW1の外周端部E3は据込リング33によって矢印k方向に作用力を受ける。この作用力によってワークW1の外周部E5は矢印k,m方向へ塑性流動する。
【0027】
図9はワークW1を据込加工完了した状態を示す(図中のW4は据込加工完了したワークを表す)。
図8でのワークW1と据込みパンチ32とのスキマS2分を、さらに据込ダイ39を矢印h方向に下降させることにより、ワークW1の外周端部E3は矢印k,n,o,p方向に作用力を受け、矢印k,n,o方向に塑性流動し、据込みダイ39のテーパー面D、据込みパンチ32の端面成形部P3とテーパー面P4、据込みリング33の外周テーパー面R3によって保持され、ワークW4の外周面E6,E7,E4が成形される。
【0028】
上記最終工程により加工された上記外周面E6,E7,E4は、図1(b)に示すテーパー面3e,5°テーパー面3f,ハブ取付面3gに該当し、図1(b)に示す形状の外径接合部分3aが形成される。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明によれば、前記従来の工程に比べて切削工程の省工程化が可能なため、設備投資の削減の他、ディスク材料原単位の向上が図られかつ生産性の向上も同時に達成できるため、ホイールディスク生産コストの削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すホイールディスクの外径接合部分を示す部分断面図で、(a)は最初のプレス加工後の形状を示し、(b)は据込加工後の最終形状を示す。
【図2】本発明の最初のプレス加工を行うプレス機を示す縦断面図。
【図3】図2のプレス機によってワークを成形する直前の状態を示す要部断面図。
【図4】図3の状態からワークの外周端面を成形し始めた状態を示す要部断面図。
【図5】ワークの外周端面の成形完了状態を示す要部断面図。
【図6】本発明の最終の据込加工を行うプレス機を示す縦断面図。
【図7】図6のプレス機によって据込加工する直前の状態を示す要部断面図。
【図8】据込加工の途中を示す要部断面図。
【図9】据込加工完了状態を示す要部断面図。
【図10】本発明を適用するホイールディスクとホイールリムを接合したホイールの縦断面図。
【図11】図10のホイールの正面図。
【図12】従来技術により成形された外径接合部分を示す断面図。
【図13】(a)〜(c)は従来の成形工程を示す各断面図。
【符号の説明】
2…リム 3…ディスク
3a…外径接合部分 3d…外径接合先端部
3e,3f,3g…据込加工を施した面
Claims (1)
- ホイールディスクとホイールリムがリムビードシート部で接合される自動車用ディスクホイールにおけるホイールディスクの加工において、該ディスクの外径接合部分に絞り加工としごき加工を同時に加えて外径接合先端部を先細り形状とし、次いで先細り形状とした外径接合部分に据込加工を施し塑性流動によって最終形状とすることを特徴とする自動車用ホイールディスクの加工方法。
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JP23013097A JP3889127B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 自動車用ホイールディスクの加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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