JP3888707B2 - 血管新生病治療剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、難治性疾患である眼科的疾患群、慢性関節リウマチ、乾癬および粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網等の血管新生病を対象とする治療薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血管新生は、血管から内皮細胞が出芽し、新しい血管網が形成される現象であり、そのプロセスは、▲1▼プロテアーゼによる基底膜の破壊と融解、▲2▼血管内皮細胞の出芽と遊走、▲3▼内皮細胞の分裂増殖、▲4▼内皮細胞の分化による管腔形成、▲5▼基底膜の形成、▲6▼周細胞による内皮細胞の包囲、に分類されている(実験医学、第10巻、第48ページ、1992年)。
【0003】
近年、フォルクマン(Folkman)とクラグスブルン(Klagsbrun)により、血管の異常新生を病態とする疾患について、血管新生病(angiogenic diseases)という概念が提唱された[サイエンス(Science)、第235巻、第442ページ、1987年]。すなわち、それまでは全く無関係であると思われていた各種疾患において、基本的病態が毛細血管の異常増殖であることが判明したため、このような疾患群を血管新生病と総称するようになった。
【0004】
この血管新生病は、井藤(代謝、第25巻、第12号、第1075〜1081ページ、1990年)によれば、次の疾患群の総称と定義されている。
1)固型悪性新生物
2)眼科的疾患
▲1▼増殖性糖尿病性網膜症
▲2▼未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症)
▲3▼虹彩ルベオーシス
▲4▼鎌状赤血球網膜症
▲5▼網膜中心静脈閉鎖症
▲6▼網膜静脈分枝閉鎖症
▲7▼網膜中心動脈閉鎖症
▲8▼老人性円板状黄斑変性症
▲9▼その他嘘血を来たす病態
3)慢性関節リウマチ
4)血管腫、血管線維腫
5)乾癬
6)粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網
従来、これらの血管新生病の治療薬としては、プロタミン、ステロイドとヘパリンの併用、ステロイドとヘキスロニル・ヘキソサミノグリカン・サルフェートの併用、ミトキサントロン、フィブロネクチンのヘパリン結合断片、プロスタグランジン・シンセターゼ阻害剤、γ−インターフェロン、金化合物、リンホトキシン、D−ペニシラミン、ステロイドとβ−サイクロデキストリン・テトライカサルフェートの併用、プロテアーゼ阻害剤、メソトレキセート、インターフェロンα2a 等が知られている(代謝、第25巻、第12号、第1075〜1081ページ、1990年)。
【0005】
一方、ラクトフェリン(lactoferrin 、以下Lfと記載することがある)は、母乳中に極めて多量に含まれている分子量約80,000の鉄結合性糖蛋白質であり、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌、ブドウ球菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すことが知られている[ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pediatrics)、第94巻、第1ページ、1979年、およびジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス(Journal of Dairy Science)、第67巻、第60ページ、1984年]。また、感染モデル動物を用いてLfの効果も報告されており、ザグルスキ(Zagulski)らは、ラットを用い、致死量の大腸菌を投与する24時間前にLfを静脈内に投与した群、および無投与群について生存率を比較し、Lfに感染防御作用があることを立証している[ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・パソロジー(British Journal of Experimantal Pathology )、第70巻、第697ページ、1989年]。
【0006】
さらに、ウィルス感染実験においてもLfに感染防御効果があることは知られている[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第47巻、第4184ページ、1987年]。これらの感染動物で認められた効果は、Lfのin vitro(試験管内)で認められた抗菌作用によるものと考えるよりも、Lfが宿主の免疫力を賦活したためであると考えられている。すなわち、Lfには、抗菌作用の他に免疫賦活作用があると理解されている。Lfの免疫賦活作用を抗癌に応用した例もあり、ベザウルト(Bezault)らは、癌モデルマウスにLfを静脈内に投与し、癌の成長および転移に対するLfの効果を検討し、その結果、Lfに癌の成長および転移を抑制する効果が認められ、特に、免疫賦活作用の観点から、ナチュラル・キラー細胞の活性化作用によるものと考えられている[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第54巻、第2310ページ、1994年]。
【0007】
血管新生阻害活性とは異なる観点からではあるが、前記井藤による血管新生病に該当する疾患の治療剤にラクトフェリンを応用した例として、抗腫瘍剤(特公平5−85932号公報)および抗リウマチ剤(特開平5−186368号公報)が知られている。
また、Lfの分解物については、抗菌性およびチロシナーゼ活性阻害(ヨーロッパ特許公開第438750号)、細胞への病原菌付着防止(特開平3−220130号公報)、抗ウイルス作用(特開平1−233226号公報)等が知られている。さらに、ラクトフェリンの加水分解物から得られる特定のアミノ酸配列を有する2種以上のペプチド混合物を有効成分とする非経口用抗腫瘍剤(特開平7−309771号公報)も知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、従来より種々の血管新生病治療剤が開発されてきてはいるが、それらの多くのものは化学合成品、微生物由来のもの等であり、副作用等の点から長期間使用した場合の安全性については必ずしも好ましいものではなかった。
この発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、副作用等が少なく安全性の高い血管新生病治療剤を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の発明者等は、食品である乳から単離したラクトフェリン類およびその加水分解物の生物学的活性について研究を行っていたが、これらの物質が血管新生の初期段階の血管内皮細胞の遊走を阻害するという新規な事実を発見し、この発明を完成した。
【0010】
すなわち、この発明は、上記の課題を解決するものとして、ラクトフェリン類、ラクトフェリン類の加水分解物、ラクトフェリン類の加水分解物由来のペプチド、このペプチドと同一または相同のアミノ酸配列を有するペプチド、これらのペプチドの薬学的に許容される誘導体、これらのペプチドの薬学的に許容される塩類、またはこれらの混合物を有効成分として含有する血管新生病治療剤を提供する。
【0011】
また、この発明の血管新生病治療剤においては、上記の有効成分の含有量が製剤1g当たり0.1μg〜100mgであること、および上記ペプチドが配列番号1から配列番号31のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するペプチドであることを望ましい態様としてもいる。
なお、この発明の血管新生病治療剤が対象とする疾患は、たとえば前記井藤の定義による以下の疾患である。
ア)眼科的疾患
▲1▼増殖性糖尿病性網膜症
▲2▼未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症)
▲3▼虹彩ルベオーシス
▲4▼鎌状赤血球網膜症
▲5▼網膜中心静脈閉鎖症
▲6▼網膜静脈分枝閉鎖症
▲7▼網膜中心動脈閉鎖症
▲8▼老人性円板状黄斑変性症
▲9▼その他嘘血を来たす病態
イ)慢性関節リウマチ
ウ)乾癬
エ)粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網
以下、この発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の血管新生病治療剤の有効成分として使用するラクトフェリン類は、市販のLf、獣乳、人乳から常法により分離されるLf、これらのLfから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに常法により鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属を完全にまたは一部キレートさせた金属飽和、もしくは金属部分飽和ラクトフェリンの総称であって、これらのいずれか1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0013】
この発明の血管新生病治療剤の有効成分として使用するラクトフェリン類の加水分解物は、前記ラクトフェリン類を常法により酸または酵素で加水分解して得られた分解物、この加水分解物を常法により精製したもの、またはこれらの混合物のいずれであってもよく、各種ペプチドの混合物である。また、ラクトフェリン類の加水分解物は、ラクトフェリン類そのものと異なり、加熱による変性がなく、生物学的活性の喪失がなく、製剤化工程における取扱いがラクトフェリン類に比して有利であるので、この発明の血管新生病治療剤に使用する有効成分として特に望ましい。
【0014】
この発明の血管新生病治療剤の有効成分として使用するペプチドは、前記ラクトフェリン類の分解物から公知の分離手段によって得られるペプチド、このペプチドと同一または相同のアミノ酸配列を有するペプチド、これらのペプチドの薬学的に許容される誘導体、これらのペプチドの薬学的に許容される塩類、またはこれらの任意の混合物であり、公知の方法により化学的に合成することもできる。これらのペプチド類は、例えば、特開平5−92994号公報、特開平5−78392号公報、特開平5−148297号公報、特開平5−148296号公報および特開平5−148295号公報の各発明に記載された方法によって得ることができる。
【0015】
前記の方法によって得られるペプチドは次のアミノ酸配列を有するペプチド、その誘導体または塩類を望ましい態様として例示できる。例えば、配列番号1、2および27のアミノ酸配列を有するペプチド、その塩類またはその誘導体(特開平5−78392号公報)、配列番号3、4、5および6のアミノ酸配列を有するペプチド、その塩類またはその誘導体(特開平5−148297号公報)、配列番号7、8、9および31のアミノ酸配列を有するペプチド、その塩類またはその誘導体(特開平5−148296号公報)、配列番号10から21のアミノ酸配列を有するペプチド、その塩類またはその誘導体(特開平5−148295号公報)、配列番号22から26、28、29および30のアミノ酸配列を有するペプチド、その塩類またはその誘導体(特開平5−92994号公報)である。
【0016】
前記ペプチドの薬学的に許容される塩類としては、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩等の酸付加塩を例示でき、前記ペプチドの薬学的に許容される誘導体としては、カルボキシル基をアミド化またはアシル化した誘導体を例示することができる。
この発明の血管新生病治療剤は、以上に例示した有効成分の1種または2種以上を含有する一般的な医薬製剤の形態で実用に供することができる。また、使用目的に応じて各種の剤形を適宜選択可能であり、例えば、ローション剤、エアゾール剤(スプレー)、液状塗布剤、軟膏剤等の外用剤、点眼剤、坐剤、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、注射剤等を例示することができる。
【0017】
この発明の血管新生病治療剤の有効成分の配合量は特に制限されず、疾患の種類、症状等により適宜選択できるが、望ましい含量は製剤1g当たり0.1μg〜100mgの範囲である。
また、この発明の血管新生病治療剤の有効成分は、食品に由来する天然物であるから、それらの安全性について問題がないことは明らかである。
【0018】
次に試験例を示してこの発明を具体的に説明する。
試験例1
この試験は、牛大動脈血管内皮細胞CPAE(American Type Culture Collectionから購入)を用いて、細胞の遊走に対するLf、ラクトフェリン類の加水分解物および加水分解物由来のペプチドの効果を調べるために行なった。
(1)試料の調製
市販のウシ・ラクトフェリン(オレオフィナ社製。試料1)、参考例1と同一の方法により調製したウシ・ラクトフェリン類の加水分解物(試料2)、参考例2および参考例3と同一の方法によりそれぞれ調製した2種のペプチド(試料3)(試料4)を用いた。
(2)試験方法
CPAE細胞をシャーレ(直径35mm)に蒔き、10%牛胎児血清を含むダルベッコ変法イーグル培養液(日水製薬社製)で培養し、モノレーアー(単層)を形成させた。培養液を除去し、カッターナイフで細胞を一部剥離し、表1に示す試験検体(試料1〜試料4)を含む1mlのダルベッコ変法イーグル培養液(日水製薬社製)および試験検体を含まない同量の同培地(対照試料)により、それぞれ24時間培養した。のち細胞をホルマリン固定し、遊走した細胞を計数した。
(3)試験結果
この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、対照試料における遊走細胞数を100としたときの各試料のそれらの割合で示している。ウシ・ラクトフェリン(試料1)、ラクトフェリン類の加水分解物(試料2)、および2種のペプチド(試料3および4)のいずれも血管内皮細胞の遊走に対する阻害活性が認められた。このことから、Lf、ラクトフェリン類の加水分解物および加水分解物由来のペプチドは、いずれも血管内皮細胞遊走阻害活性を有することが確認され、血管の新生を阻害することが立証された。なお、他の有効成分についても試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0019】
【表1】
Figure 0003888707
【0020】
参考例1(ラクトフェリン類の加水分解物の調製)
ウシ・ラクトフェリン(オレオフィナ社製。以下bLfと記載することがある)を使用し、ラクトフェリン類の加水分解物(以下bLf−Hyと記載することがある)を次の方法により調製した。
市販のbLf500gを、精製水9.5lに溶解し、得られた溶液に塩酸を添加してpHを3.0に調整し、のち市販の豚ペプシン(和光純薬社製)を10g添加し、37℃で6時間加水分解した。次に6規定の水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、室温に冷却し、セライト濾過し、濾液を凍結乾燥し、粉末状のラクトフェリン加水分解物約470gを得た。
参考例2(ラクトフェリン類の加水分解物からのペプチドの調製)
市販のウシ・ラクトフェリン(シグマ社製)50mgを精製水0.9mlに溶解し、0.1規定の塩酸でpHを2.5に調整し、のち市販のブタペプシン(シグマ社製)1mgを添加し、37℃で6時間加水分解した。次いで0.1規定の水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整し、80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、室温に冷却し、15,000rpmで30分間遠心分離し、透明な上清を得た。この上清100μlをTSKゲルODS−120T(東ソ−社製)を用いた高速液体クロマトグラフィ−にかけ、0.8ml/分の流速で試料注入後10分間0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)を含む20%アセトニトリルで溶出し、のち30分間0.05%TFAを含む20〜60%のアセトニトリルのグラジエントで溶出し、24〜25分の間に溶出する画分を集め、真空乾燥した。この乾燥物を2%(W/V)の濃度で精製水に溶解し、再度TSKゲルODS−120T(東ソ−社製)を用いた高速液体クロマトグラフィ−にかけ、0.8ml/分の流速で試料注入後10分間0.05%TFAを含む24%アセトニトリルで溶出し、のち30分間0.05%TFAを含む24〜32%のアセトニトリルのグラジエントで溶出し、33.5〜35.5分の間に溶出する画分を集めた。上記の操作を25回反復し、真空乾燥し、ペプチド約1.5mgを得た。
【0021】
上記のペプチドを6規定の塩酸で加水分解し、アミノ酸分析計を用いて常法によりアミノ酸組成を分析した。同一の試料を気相シ−クェンサ−(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて25回のエドマン分解を行ない、25個のアミノ酸残基の配列を決定した。またDTNB[5,5−ジチオ−ビス(2−ニトロベンゾイック・アシド)]を用いたジスルフィド結合分析法[アナリティカル・バイオケミストリ−(Analytical Biochemistry )、第67巻、第493頁、1975年]によりジスルフィド結合が存在することを確認した。
【0022】
その結果、このペプチドは、25個のアミノ酸残基からなり、3番目と20番目のシステイン残基がジスルフィド結合し、3番目のシステイン残基からN−末端側に2個のアミノ酸残基が、20番目のシステイン残基からC−末端側に5個のアミノ酸がそれぞれ結合した、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有していることが確認された。
参考例3(ペプチドの合成)
ペプチド自動合成装置(ファルマシアLKBバイオテクノロジ−社製。LKBBiolynx4170)を用い、シェパ−ド等による固相ペプチド合成法[ジャ−ナル・オブ・ケミカル・ソサイエティ−・パ−キンI(Journal of Chemical Society Perkin I)、第538頁、1981年]に基づいてペプチドを次のようにして合成した。
【0023】
アミン官能基を9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護したアミノ酸[以下Fmoc−アミノ酸またはFmoc−固有のアミノ酸の名称(例えば、Fmoc−アスパラギン)と記載することがある]に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを添加して所望のアミノ酸の無水物を生成させ、このFmoc−アミノ酸無水物を合成に用いた。ペプチド鎖を製造するためにC−末端のアスパラギン残基に相当するFmoc−アスパラギン無水物を、そのカルボキシル基を介し、ジメチルアミノピリジンを触媒としてウルトロシンA樹脂(ファルマシアLKBバイオテクノロジ−社製)に固定する。次いでこの樹脂をピペリジンを含むジメチルホルムアミドで洗浄し、C−末端アミノ酸のアミン官能基の保護基を除去する。のちアミノ酸配列のC−末端から2番目に相当するFmoc−アルギニン(Pmc:2,2,5,7,8-Pentamethylchroman-6-sulphonyl基)無水物を前記C−末端アミノ酸残基を介して樹脂に固定されたアスパラギンの脱保護アミン官能基にカップリングさせた。以下同様にして順次グルタミン、トリプトファン、グルタミン、およびフェニルアラニンを固定した。全部のアミノ酸のカップリングが終了し、所望のアミノ酸配列のペプチド鎖が形成された後、94%TFA、5%フェノ−ル、および1%エタンジオ−ルからなる溶媒で保護基の除去およびペプチドの脱離を行ない、高速液体クロマトグラフイ−によりペプチドを精製し、この溶液を濃縮し、乾燥し、ペプチド粉末を得た。
【0024】
前記のペプチドについてアミノ酸分析計を用いて常法によりアミノ酸組成を分析し、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有することを確認した。
次に実施例を示してこの発明をさらに具体的に説明するが、この発明は以下の実施例に限定されるものでない。
【0025】
【実施例】
実施例1(親水性軟膏)
市販ラクトフェリン(オレオフィナ社製) 10(g)
白色ワセリン 250
ステアリルアルコール 220
プロピレングリコール 120
ウラリル硫酸ナトリウム 15
パラオキシ安息香酸メチル 0.25
パラオキシ安息香酸プロピル 0.15
精製水 適量
常法により前記各成分を混合して、1000gの親水性軟膏を製造した。すべての原料は市販品を用いた。
実施例2(錠剤)
ラクトフェリン加水分解物から得られたペプチド
(参考例2と同一の方法により製造) 15(mg)
結晶セルロース 170
コーンスターチ 66
タルク 11
ステアリン酸マグネシウム 3
1錠当り前記の割合の各原料を常法により均一に混合し、造粒し、乾燥し、打錠し、錠剤を得た。なお、ラクトフェリン加水分解物から得られたペプチド以外の原料はいずれも市販品を用いた。
実施例3(散剤)
ラクトフェリン類の加水分解物
(参考例1と同一の方法により製造) 50(g)
結晶セルロース 375
コーンスターチ 575
前記各材料を均一に混合し、常法により散剤1000袋を調製した。なお、ラクトフェリンの加水分解物以外の原料はいずれも市販品を用いた。
実施例4(カプセル剤)
ラクトフェリン加水分解物に由来する合成ペプチド
(参考例3と同一の方法により製造) 10(mg)
乳糖 120
結晶セルロース 42
カルボキシメチルセルロース 10
タルク 15
ステアリン酸マグネシウム 3
1錠当り前記の割合の各原料を、常法により均一に混合し、カプセル充填機を用いてカプセル剤を調製した。なお、ラクトフェリン加水分解物に由来する合成ペプチド以外の原料はいずれも市販品を用いた。
実施例5(点眼剤)
ラクトフェリン加水分解物に由来する合成ペプチド
(参考例3と同一の方法により製造) 10(mg)
プロピレングリコール 500
リン酸水素二ナトリウム 10
ホウ酸 1300
塩化ナトリウム 900
前記の割合の割合の各原料を精製水100mlに溶解し、滅菌フィルタ−を通し、点眼剤を調製した。なお、ラクトフェリン加水分解物に由来する合成ペプチド以外の原料はいずれも市販品を用いた。
【0026】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、副作用等がなく、長期間使用した場合にも安全性について問題のない血管新生病治療剤が提要される。これによって、眼科的疾患群、慢性関節リウマチ、乾癬、および粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網等の難治性疾患の治療に新たな可能性がもたらされる。
【0027】
【配列表】
Figure 0003888707
【0028】
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【0029】
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【0030】
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【0031】
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【0032】
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【0033】
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【0034】
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【0035】
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【0036】
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【0037】
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【0038】
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【0039】
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【0040】
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【0041】
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【0046】
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【0050】
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【0057】
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【0058】
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Claims (2)

  1. ラクトフェリン、ラクトフェリンをペプシンで分解したラクトフェリン加水分解物、配列番号10若しくは配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、これらのペプチドの薬学的に許容される塩類、またはこれらの混合物を有効成分として含有する眼科的疾患、乾癬、及び粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網からなる群から選択される血管新生病用の治療剤。
  2. 有効成分の含有量が、製剤1g当たり0.01μg〜100mgである請求項1の血管新生病用の治療剤。
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