JP3888255B2 - 蒸気圧縮式冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
膨脹機一体型圧縮機として、例えば特開2001−107881号公報に記載の発明では、モータシャフトの一端側に圧縮機を連結し、他端側に膨脹機を連結して膨脹機で回収した膨脹エネルギーを圧縮機側に供給することにより、圧縮機の消費動力の低減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載の発明では、圧縮機と膨脹機とがモータシャフトを介して直結されているので、膨脹機にて冷媒を膨脹させる際に得られる膨脹機の回転数が圧縮機の回転数に対して低いと、膨脹機で回収した膨脹エネルギーを圧縮機側に供給することができず、圧縮機に対して膨脹機が制動力を作用させることになるので、却って、圧縮機の消費動力、つまり圧縮機を駆動する電動モータの消費電力が増大する。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、蒸気圧縮式冷凍機における圧縮機の消費動力を低減することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を膨脹機(4)を迂回させて蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるようにバイパス通路(8)を流れる冷媒量をバイパス制御弁(9a)により制御し、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、バイパス制御弁(9a)および膨脹機制御弁(9b)のいずれか一方を全閉とし、両制御弁(9a、9b)のうち他方の制御弁にて冷媒を減圧膨脹させることを特徴とする。
【0006】
これにより、放熱器出口側冷媒温度が所定温度以上のときに、高圧冷媒の圧力を所定の設定範囲に制御することで、膨脹機(4)が圧縮機(1)側から減速作用を受けないようにしながら膨脹機(4)の回転エネルギーを圧縮機(1)側に供給できる(後述の段落0047参照)。
また、膨脹機(4)が圧縮機(1)に対して制動力を作用させる際に動力の伝達をクラッチ(6)により遮断することができる。したがって、圧縮機(1)に対して膨脹機(4)が制動力を作用させると言ったことを防止でき得るので、圧縮機(1)の消費動力が増大することを防止でき得るとともに、従来と異なる新規な蒸気圧縮式冷凍機を得ることができる。
【0007】
請求項4に記載の発明では、クラッチ(6)は、膨脹機(4)から圧縮機(1)側に動力を伝達し、圧縮機(1)側から膨脹機(4)に動力が伝達されることを阻止するワンウェイクラッチであることを特徴とする。
【0008】
これにより、膨脹機(4)の回転数が圧縮機(1)の回転数を下回る際には、自動的に動力の伝達が遮断されるので、圧縮機(1)に対して膨脹機(4)が制動力を作用させると言ったことを容易かつ簡便に防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を膨脹機(4)を迂回させて蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるようにバイパス通路(8)を流れる冷媒量をバイパス制御弁(9a)により制御し、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、膨脹機制御弁(9b)を全閉として、バイパス制御弁(9a)にて冷媒を減圧膨脹させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
放熱器(3)から流出した冷媒を膨脹機(4)を迂回させて蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるようにバイパス通路(8)を流れる冷媒量をバイパス制御弁(9a)により制御し、
放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、バイパス制御弁(9a)を全閉として、膨脹機制御弁(9b)にて膨脹機(4)の運転状態を制御することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明では、圧縮機(1)、膨脹機(4)及びクラッチ(6)は、1つのケーシング(7)内に収納されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、圧縮機(1)、膨脹機(4)及びクラッチ(6)の三者を一体化した膨脹機一体型圧縮機を得ることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、圧縮機(1)を駆動する電動モータ(2)がケーシング(7)内に収納されており、さらに、電動モータ(2)のシャフト(2a)の一端側に圧縮機(1)が配置され、他端側にクラッチ(6)を介して膨脹機(4)が配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る蒸気圧縮式冷凍機を給湯装置に適用したものであって、図1は蒸気圧縮式冷凍機の模式図であり、図2は膨脹機の軸方向断面図であり、図3は図2のA−A断面図である。
【0018】
先ず、図1に基づいて蒸気圧縮式冷凍機の構成について述べる。
【0019】
圧縮機1は電動式のモータ2から動力を得て冷媒を吸入圧縮し、放熱器3は圧縮機1からから吐出する冷媒と給湯水とを熱交換して給湯水を加熱する高圧側熱交換器である。
【0020】
なお、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機1の吐出圧を冷媒の臨界圧力以上まで上昇させて必要な給湯能力(温度)を得ている。
【0021】
膨脹機4は放熱器3から流出する高圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨脹させながら膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換して機械的エネルギーを回収し、その回収した機械的エネルギーをモータ2に与えることにより間接的に回収したエネルギーを圧縮機1に与えるラジアル型流体機械であり、蒸発器5は減圧膨脹された冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器である。
【0022】
そして、膨脹機4とモータ2とはクラッチ6を介して連結されており、このクラッチ6は、膨脹機4から圧縮機1側にのみ動力を伝達し、圧縮機1側から膨脹機4に動力が伝達されることを阻止するワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)である。
【0023】
因みに、本実施形態では、ローラ型のワンウェイクラッチを採用しているが、スプラグ型等のその他形式のワンウェイクラッチを採用してもよいことは言うまでもない。
【0024】
また、本実施形態では、モータ2のシャフト2aの一端側に圧縮機1を配置し、他端側にクラッチ6を介して膨脹機4を配置するとともに、圧縮機1、膨脹機4及びクラッチ6を1つのケーシング7内に収納することにより、圧縮機1、膨脹機4及びクラッチ6を一体化して膨脹機一体型圧縮機を構成している。
【0025】
バイパス制御弁9aは、放熱器3から流出した冷媒を膨脹機4を迂回させて蒸発器5に導くバイパス通路8の連通状態を制御するバルブであり、膨脹機制御弁9bは、膨脹機4の冷媒流れ上流側に設けられて膨脹機4に流入する冷媒量を制御する可変絞りである。
【0026】
圧力センサ9cは放熱器3の冷媒入口側にて高圧側冷媒の圧力を検出する圧力検出手段であり、温度センサ9dは放熱器3から流出する冷媒温度検出することにより間接的に給湯水の温度を検出する温度検出手段である。
【0027】
そして、バイパス制御弁9a及び膨脹機制御弁9bの開度は、両センサ9c、9dの検出値に基づいて予め設定されたプログラムに従って電子制御装置(ECU)9eにより制御される。
【0028】
次に、図2、3を用いて膨脹機4の構造について述べる。
【0029】
膨脹機4は、図2に示すように、概略、ハウジング10、回転ライナー11、回転シリンダ12、プランジャ13及びバルブ14等からなるものである。
【0030】
そして、回転ライナー11は軸受15aを介して第1保持器16に回転可能に支持された円筒状のものであり、回転シリンダ12は、図3に示すように、回転ライナー11内において、回転ライナー11の回転中心からずれた位置に、回転ライナー11の回転中心軸線と平行な回転中心軸線を有して回転する略円柱状のものである。
【0031】
なお、回転シリンダ12は、図2に示すように、軸受15b、15cを介して第1保持器16及び第2保持器17に可能に支持されているとともに、その回転軸12cにモータ2のシャフト2aがクラッチ6を介して連結され、第1、2保持器16、17は、ハウジング10内に圧入固定されている。
【0032】
プランジャ13は、図3に示すように、回転シリンダ12に形成された挿入穴12aに摺動可能に収納された円柱状のピストンであり、その一端側13aは、回転ライナー11の内壁11aの曲率半径より小さな曲率半径を有する曲面状に形成されているとともに、回転ライナー11の内壁11aに接触している。
【0033】
このとき、挿入穴12aは、プランジャ13の断面中心を通ってプランジャ13の摺動方向と平行なプランジャ摺動軸線CLpが、回転シリンダ12の回転中心からずれるように回転シリンダ12に複数本(本実施形態では、4本)形成されている。
【0034】
バルブ14は、回転シリンダ12の回転中心に位置して外部、つまり放熱器3の冷媒出口側と作動室12bとを連通させる吸排ポート18を開閉する略円柱状のバルブ手段であり、このバルブ14の外周面には、図2に示すように、回転シリンダ12の回転角に対する吸排ポート18の開閉時期を制御する吸入溝部14a及び排出溝部14bが形成され、その中心部には、放熱器3から流出した高圧の冷媒を作動室12b内に導く導入通路14cが形成されている。
【0035】
ここで、作動室12bとは、プランジャ13の他端側と挿入穴12aとによって形成される空間であり、本実施形態では、作動室12bの体積を拡大することにより冷媒を減圧膨脹させる。
【0036】
また、吸入溝部14aは作動室12bに流入する際に吸排ポート18の開閉時期を制御するものであり、排出溝部14bは作動室12bから流出する際に吸排ポート18の開閉時期を制御するものである。
【0037】
次に、本実施形態に係る膨脹機4の作動を述べる(図3参照)。
【0038】
なお、本実施形態に係る膨脹機4の基本的作動は、周知のラジアル型流体機械と同じであるので、ここで、周知のラジアル型流体機械との相違点を中心に本実施形態に係る膨脹機4の作動を述べる。因みに、ラジアル型流体機械について記載された書籍としては、例えば「ピストンポンプ・モータの理論と実際」(オーム社)等がある。
【0039】
放熱器3からバルブ14に導かれた高圧冷媒は、吸入溝部14aと連通する吸排ポート18に連なる作動室12b内に流入する。そして、作動室12b内に流入した冷媒は、作動室12bの体積を拡大させる向きの力をプランジャ13に作用させるので、プランジャ13の先端側13aは、回転ライナー11の内径を拡大させるような向きの力を回転ライナー11の内壁11aに作用させる。
【0040】
このとき、プランジャ13は、回転ライナー11の内壁11aから反力Fとして、作動室12bの体積を縮小させる向きの力を受けるが、プランジャ摺動軸線CLpが回転シリンダ12の回転中心がずれているので、回転ライナー11の内壁11aからの反力Fが回転シリンダ12を回転させる力となる。
【0041】
そして、作動室12b内に流入した冷媒は、プランジャ13を回転ライナー11の内壁11a側に押し付けて作動室12bを拡大させて、自らは減圧膨脹していく。
【0042】
なお、図3において、▲1▼に示す位置にある作動室12bは、冷媒の吸入が完了した直後を示しており、反力Fが最も大きくなる時である。▲2▼に示す位置にある作動室12bは膨脹過程の最後を示しており、▲3▼に示す位置にある作動室12bは膨脹を終えた冷媒を排出する排出工程を示し、▲4▼に示す位置にある作動室12bは冷媒の吸入を開始する直前の状態を示すものである。
【0043】
次に、本実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の特徴的作動を図4に示すフローチャートに基づいて述べる。
【0044】
温度センサ9dの検出温度、つまり給水温度が所定温度TB以上であるか否かを判定し(S10)、給水温度が所定温度TB以上であるときには、膨脹機制御弁9bを全開として(S20)、バイパス制御弁9aにてバイパス通路8を流れる冷媒量を制御して圧力センサ9cの検出圧力、つまり高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるように膨脹機4の作動状態を制御する(S30〜S50)。
【0045】
つまり、給水温度上昇すると、後述の図5に示すように膨脹機4に流入する冷媒の等エントロピ線の傾き(=圧力の変化量/比エンタルピの変化量)が小さくなり、膨脹機4で回収される回転エネルギーが増大し、圧縮機1の回転数を増大させようとする。
【0046】
しかし、圧縮機1の回転数、つまりモータ2の回転数は流量が所定流量となるように制御されているため、膨脹機4は増速することはできず、むしろ、圧縮機1側から減速作用を受ける。
【0047】
そこで、本実施形態では、バイパス通路8を流れる冷媒量を制御して高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるように膨脹機4の作動状態を制御することにより、膨脹機4が圧縮機1側から減速作用を受けないようにしながら、膨脹機4で回収した回転エネルギー(機械エネルギー)を圧縮機1側に供給している。
【0048】
また、S10にて給水温度が所定温度TB未満であると判定されたときには、膨脹機制御弁9bを全閉として(S60)、バイパス制御弁9aにて冷媒を減圧膨脹させながら、高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるように絞り開度を制御する(S70)。
【0049】
なお、所定温度TBとは、上述の説明から推察されるように、膨脹機4の回転数が圧縮機1側の回転数以上となり、膨脹機4が圧縮機に対して制動力を作用させないような温度である。
【0050】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0051】
本実施形態によれば、膨脹機4と圧縮機1側とがクラッチ6を介して繋がっているので、膨脹機4が圧縮機に対して制動力を作用させる際に動力の伝達を遮断することができる。したがって、圧縮機1に対して膨脹機4が制動力を作用させると言ったことを防止でき得るので、圧縮機1の消費動力、つまりモータ2の消費電力が増大することを防止でき得る。
【0052】
また、本実施形態では、クラッチ6としてワンウェイクラッチを作用しているので、膨脹機4の回転数が圧縮機1の回転数を下回る際には、自動的に動力の伝達が遮断される。したがって、圧縮機1に対して膨脹機4が制動力を作用させると言ったことを容易かつ簡便に防止することができる。
【0053】
なお、この説明から明らかなように、バイパス通路8、バイパス制御弁9a及び膨脹機制御弁9bを廃止しても、膨脹機4の回転数が圧縮機1の回転数を下回る際にクラッチ6により動力の伝達を遮断するれば、圧縮機1に対して膨脹機4が制動力を作用させると言ったことを防止することができる。
【0054】
ところで、図5は本実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の作動を示すp−h線図であり、図6は本実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の成績係数(COP)と放熱器3出口側の冷媒温度(給湯温度)との関係を示すもので、本実施形態では、放熱器3出口側の冷媒温度が40℃未満の場合には膨脹機制御弁9bを閉じて膨脹機4によるエネルギー回収を停止し、放熱器3出口側の冷媒温度が40℃以上の場合には膨脹機4によるエネルギー回収を行う。
【0055】
なお、本実施形態では、膨脹機4によるエネルギー回収を行う際に高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるようにバイパス制御弁9aの絞り開度するので、実質的に放熱器3出口側の冷媒温度が40℃以上、約55℃以下の範囲内で膨脹機4によるエネルギー回収が行われる。
【0056】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態と同一構成において、両制御弁9a、9bの制御方法を変更したものである。
【0057】
具体的には、図7に示すように、給水温度が所定温度TB以上であるか否かを判定し(S100)、給水温度が所定温度TB以上であるときには、第1実施形態と同様に、膨脹機制御弁9bを全開として(S110)、バイパス制御弁9aにてバイパス通路8を流れる冷媒量を制御して圧力センサ9cの検出圧力、つまり高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるように膨脹機4の作動状態を制御する(S120〜S140)。
【0058】
また、S100にて給水温度が所定温度TB未満であると判定されたときには、バイパス制御弁9aを全閉として、高圧冷媒の圧力Phが所定の設定範囲となるように膨脹機制御弁9bにて膨脹機4の運転状態を制御する(S150、S160)。
【0059】
なお、このとき、膨脹機4の回転数は圧縮機1の回転数を下回るが、クラッチ6により動力の伝達が遮断されるので、圧縮機1に対して膨脹機4が制動力を作用させることはない。
【0060】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る膨脹機4では、プランジャ摺動軸線CLpが回転シリンダ12の回転中心からずれていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図8に示すように、プランジャ摺動軸線CLpを回転シリンダ12の回転シリンダ12の回転中心と一致させてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、クラッチ6としてワンウェイクラッチを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電磁クラッチのごとく、双方向において断続可能に動力を伝達するものであってもよい。なお、この場合には、膨脹機4の回転数が圧縮機1の回転数を下回る際に動力の伝達を遮断する必要がある。
【0062】
また、上述の実施形態では、冷媒を二酸化炭素として高圧側圧力を臨界圧力以上としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0063】
また、上述の実施形態では、給湯装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えば空調装置や冷凍・冷蔵庫等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る膨脹機一体型圧縮機の断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の作動を示すp−h線図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の成績係数(COP)と放熱器3出口側の冷媒温度(給湯温度)との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る膨脹機一体型圧縮機の断面図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…モータ、3…放熱器、4…膨脹機、5…蒸発器、
6…ワンウェイクラッチ。
Claims (6)
- 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
前記圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
前記膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを前記圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を前記膨脹機(4)を迂回させて前記蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
前記バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
前記膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、前記膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるように前記バイパス通路(8)を流れる冷媒量を前記バイパス制御弁(9a)により制御し、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、前記バイパス制御弁(9a)および前記膨脹機制御弁(9b)のいずれか一方を全閉とし、前記両制御弁(9a、9b)のうち他方の制御弁にて冷媒を減圧膨脹させることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
前記圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
前記膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを前記圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を前記膨脹機(4)を迂回させて前記蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
前記バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
前記膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、前記膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるように前記バイパス通路(8)を流れる冷媒量を前記バイパス制御弁(9a)により制御し、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、前記膨脹機制御弁(9b)を全閉として、前記バイパス制御弁(9a)にて冷媒を減圧膨脹させることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(1)と、
前記圧縮機(1)から吐出した冷媒を冷却する放熱器(3)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を減圧膨脹させながら、膨脹エネルギーを回転エネルギーに変換する膨脹機(4)と、
減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(5)と、
前記膨脹機(4)で回収した回転エネルギーを前記圧縮機(1)側に伝達するクラッチ(6)と、
前記放熱器(3)から流出した冷媒を前記膨脹機(4)を迂回させて前記蒸発器(5)に導くバイパス通路(8)と、
前記バイパス通路(8)の連通状態を制御するバイパス制御弁(9a)と、
前記膨脹機(4)に流入する冷媒量を制御する膨脹機制御弁(9b)とを備え、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度以上のときには、前記膨脹機制御弁(9b)を全開として、高圧冷媒の圧力が所定の設定範囲となるように前記バイパス通路(8)を流れる冷媒量を前記バイパス制御弁(9a)により制御し、
前記放熱器(3)の出口側冷媒温度が所定温度未満のときには、前記バイパス制御弁(9a)を全閉として、前記膨脹機制御弁(9b)にて前記膨脹機(4)の運転状態を制御することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 前記クラッチ(6)は、前記膨脹機(4)から前記圧縮機(1)側に動力を伝達し、前記圧縮機(1)側から前記膨脹機(4)に動力が伝達されることを阻止するワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍機。
- 前記圧縮機(1)、前記膨脹機(4)及び前記クラッチ(6)は、1つのケーシング(7)内に収納されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍機。
- 前記圧縮機(1)を駆動する電動モータ(2)が前記ケーシング(7)内に収納されており、
さらに、前記電動モータ(2)のシャフト(2a)の一端側に前記圧縮機(1)が配置され、他端側に前記クラッチ(6)を介して前記膨脹機(4)が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
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