JP3888064B2 - 徐放性製剤およびその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、徐放性製剤およびその製法に関し、更に詳しくは、少ない被覆量で長時間にわたって効率的に薬物放出を制御しつつ、薬物放出の頭打ち現象を起こさず、かつ、水分量の少ない消化管下部においても継続して薬物を放出し続けることが可能な徐放性製剤およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
経口徐放性製剤として、薬物を含有する芯物質に水不溶性の被覆物質を施した製剤が知られている。このような製剤は、薬物は持続的に放出されるが、時間の経過と共に放出速度が減少し、その結果薬物が完全には放出されないという問題点、すなわち、放出の頭打ち現象があった(特開平7−196477)。
【0003】
例えば、製剤中の薬物の50%が放出されるのに必要な時間(T50%)が1時間程度となるような少ない被覆量であれば、薬物はほぼ完全に放出される。しかし、一日一回服用型製剤とするために被覆量を増やしてT50%が6〜10時間とした製剤では、放出開始20時間後の薬物の放出量(D20h)が60%程度にしかならないケースが多く、難溶性薬物の場合には、これ以下であることもしばしば認められる。このような放出の頭打ち現象はバイオアベイラビリティの低下を招来するため、製剤として望ましくない。一方、水溶性の非常に高い薬物の場合には、このような放出の頭打ち現象は生じにくいが、反面、薬物の放出速度を制御するためには多量のコーティングを要する。そのため、コーティング時間が非常に長くなり、生産効率の面で不利となる上、高含量の製剤は得られない。
【0004】
また、消化管内を下降しながら薬物が吸収されていく経口徐放性製剤においては、水分量が多い消化管上部においては薬物が良好に放出されるものの、水分量が少ない消化管下部においては、薬物の放出が抑制されるため、薬物の吸収が不十分となることが多い。そのため、仮にin vitroの溶出試験において24時間薬物を一定速度で放出しつづける製剤が得られたとしても、24時間薬効が持続可能な製剤が得られるとは限らない。
【0005】
したがって、従来の水不溶性被覆物質を施した製剤では、一日一回服用タイプの徐放性製剤を得ることは非常に困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少ない被覆量で長時間にわたって効率的に薬物放出を制御しつつ、薬物放出の頭打ち現象を起こさず、かつ、水分量が少ない消化管下部においても継続して薬物を放出し続けることが可能な徐放性製剤およびその製法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明者らは、薬物含有芯物質を、隣接する層同士が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有するように構成した多層被覆層で被覆すれば、長時間にわたって効率的に薬物の放出を制御できるにもかかわらず、薬物放出の頭打ち現象がほとんど起こらないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
さらに本発明の製剤は、経口投与した際、時間の経過と共に、すなわち、消化管内での移動と共に、多層被覆層がエロージョンを起こして徐々に薄くなるため、水分量の少ない消化管下部においても十分薬物が放出されるという優れた効果も併せ持つ。
【0009】
すなわち、本発明は、薬物含有芯物質および該芯物質を覆う多層被覆層からなり、該多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有することを特徴とする徐放性製剤に関する。
【0010】
また、本発明は、薬物含有芯物質に、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を、噴霧コーティングし、得られたコーティング層上に、異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を続けて噴霧コーティングし、この工程を繰り返すことを特徴とする隣接する層同士が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する多層被覆層を有する徐放性製剤の製法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製剤の多層被覆層は、各層が疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する層からなり、該多層被覆層において隣接する層同士は、互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する。
【0012】
本発明において疎水性有機化合物とは、高分子重合物を除く疎水性の有機化合物のうち、塩形成していないものを意味し、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する層に用いられる疎水性有機化合物としては、例えば、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級アルコール、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸のトリグリセリド、水素添加されていてもよい天然油脂などが挙げられる。
【0013】
炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等が挙げられ、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等があげられ、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸のトリグリセリドとしては、上記高級脂肪酸のトリグリセリド、例えば、ステアリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド等があげられ、水素添加されていてもよい天然油脂としては、例えば、硬化ひまし油、硬化ヤシ油、牛脂等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸、パルミチン酸がとりわけ好ましく、ステアリン酸が最も好ましい。
【0014】
これら疎水性有機化合物は、1種のみならず、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する層に用いられる水溶性高分子物質としては、例えば、水溶性セルロースエーテル、水溶性ポリビニル誘導体、アルキレンオキシド重合体などがあげられる。
【0016】
水溶性セルロースエーテルとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等があげられ、水溶性ポリビニル誘導体としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等があげられ、アルキレンオキシド重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのうちヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。
【0017】
これら水溶性高分子は、1種のみならず、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の疎水性有機化合物と水溶性高分子の好ましい組み合わせとしては、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸−水溶性セルロースエーテル(例えば、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース、パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース、ミリスチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース、ベヘン酸−ヒドロキシプロピルセルロースなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸−水溶性ポリビニル誘導体(例えば、ステアリン酸−ポリビニルピロリドン、パルミチン酸−ポリビニルピロリドン、ラウリン酸−ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸−ポリビニルピロリドン、ベヘン酸−ポリビニルピロリドンなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸−アルキレンオキシド重合体(例えば、ステアリン酸−ポリエチレングリコール、パルミチン酸−ポリエチレングリコール、ラウリン酸−ポリエチレングリコール、ミリスチン酸−ポリエチレングリコール、ベヘン酸−ポリエチレングリコールなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級アルコール−水溶性セルロースエーテル(例えば、ステアリルアルコール−ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリルアルコール−ヒドロキシプロピルセルロース、ミリスチルアルコール−ヒドロキシプロピルセルロース、セチルアルコール−ヒドロキシプロピルセルロース、ベヘニルアルコール−ヒドロキシプロピルセルロースなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級アルコール−水溶性ポリビニル誘導体(例えば、ステアリルアルコール−ポリビニルピロリドン、ラウリルアルコール−ポリビニルピロリドン、ミリスチルアルコール−ポリビニルピロリドン、セチルアルコール−ポリビニルピロリドン、ベヘニルアルコール−ポリビニルピロリドンなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級アルコール−アルキレンオキシド重合体(例えば、ステアリルアルコール−ポリエチレングリコール、ラウリルアルコール−ポリエチレングリコール、ミリスチルアルコール−ポリエチレングリコール、セチルアルコール−ポリエチレングリコール、ベヘニルアルコール−ポリエチレングリコールなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸のトリグリセリド−水溶性セルロースエーテル(例えば、ステアリン酸トリグリセリド−ヒドロキシプロピルセルロース、ミリスチン酸トリグリセリド−ヒドロキシプロピルセルロース、パルミチン酸トリグリセリド−ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリン酸トリグリセリド−ヒドロキシプロピルセルロースなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸のトリグリセリド−水溶性ポリビニル誘導体(例えば、ステアリン酸トリグリセリド−ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸トリグリセリド−ポリビニルピロリドン、パルミチン酸トリグリセリド−ポリビニルピロリドン、ラウリン酸トリグリセリド−ポリビニルピロリドンなど)、炭素数6〜22の不飽和結合を有していてもよい高級脂肪酸のトリグリセリド−アルキレンオキシド重合体(例えば、ステアリン酸トリグリセリド−ポリエチレングリコール、ミリスチン酸トリグリセリド−ポリエチレングリコール、パルミチン酸トリグリセリド−ポリエチレングリコール、ラウリン酸トリグリセリド−ポリエチレングリコールなど)、水素添加されていてもよい天然油脂−水溶性セルロースエーテル(例えば、硬化ヒマシ油−ヒドロキシプロピルセルロース、硬化ヤシ油−ヒドロキシプロピルセルロース、牛脂−ヒドロキシプロピルセルロースなど)、水素添加されていてもよい天然油脂−水溶性ポリビニル誘導体(例えば、硬化ヒマシ油−ポリビニルピロリドン、硬化ヤシ油−ポリビニルピロリドン、牛脂−ポリビニルピロリドンなど)、水素添加されていてもよい天然油脂−アルキレンオキシド重合体(例えば、硬化ヒマシ油−ポリエチレングリコール、硬化ヤシ油−ポリエチレングリコール、牛脂−ポリエチレングリコールなど)の他、上記疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を任意に混合して得られる混合物などがあげられる。
【0019】
本発明の多層被覆層の各層に含まれる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の疎水性有機化合物含有率(重量%:(疎水性有機化合物)/(疎水性有機化合物+水溶性高分子)×100)は、特に限定されないが、20〜99.5重量%の範囲内とするのが好ましい。
【0020】
芯物質が、平均粒子径200μm以下の微粒子のように、比表面積が大きいため溶出制御が困難な場合には、単層でもある程度の放出制御効果が期待できるような疎水性有機化合物含有率を選択することが被覆量を少なくする上で好ましい。この場合の疎水性有機化合物含有率は、用いる疎水性有機化合物、水溶性高分子の種類にもよるが、通常、80〜99.5重量%の範囲内であり、特に好ましくは、85〜99重量%の範囲内である。
【0021】
一方、芯物質が顆粒、錠剤、カプセルなどのような平均粒子径700μm以上の場合は、比表面積が比較的小さく、微粒子に比べて少ない被覆率で放出制御が可能であるが、意図的に放出制御効果の低い疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を用いて被覆量を多くし、製剤強度を高めたり、被覆量のバラツキを防止することも考えられる。この場合には、疎水性有機化合物含有率を、通常、20〜80重量%の範囲内、とりわけ40〜80重量%の範囲内とするのが好ましい。
【0022】
更に、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する層は、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物のみから形成されていてもよいが、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物以外に、種々の添加剤が配合されていてもよく、かかる添加剤としては、着色剤、隠蔽剤、可塑剤、滑沢剤等があげられる。
【0023】
着色剤としては、例えば、食用色素、レーキ色素、カラメル、カロチン、アナット、コチニール、三二酸化鉄等のほかレーキ色素とシロップを主体とした不透明着色剤オパラックス(OPALUX)等があり、具体的には食用赤色2号、3号、黄色4号、5号、緑色3号、青色1号、2号、紫1号等の食用アルミニウムレーキ、アナット(ベニノキ由来の天然色素)、カルミン(カルミン酸アルミニウム塩)、パールエッセンス(グアニンを主成分とする)等があげられる。
【0024】
隠蔽剤としては,例えば、二酸化チタン、沈降炭酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、硫酸カルシウム等があげられる。
【0025】
可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸誘導体のほか、シリコン油、クエン酸トリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。
【0026】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、合成ケイ酸マグネシウム、微粒子性酸化ケイ素等があげられる。
【0027】
これらの添加物の添加量は、製剤技術の分野で常用される範囲であれば、何ら問題なく使用することができる。
【0028】
本発明の製剤の多層被覆層においては、隣接する層同士が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有しているが、隣接する層同士が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する場合としては、(A)隣接する層同士が、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方の種類が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する場合、(B)隣接する層同士が、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同一であって、疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する場合、いずれも含まれる。
【0029】
上記(A)の場合には、含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を隣接する層同士で比較すると、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方の種類が異なっており、疎水性有機化合物の種類のみが異なる場合、水溶性高分子の種類のみが異なる場合、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類が共に異なる場合があげられる。
【0030】
上記(A)の場合において、水溶性高分子の種類が異なるとは、成分名が同一でも、分子量が異なっている場合も含まれる。ただし、本明細書においては、特に記載のない限り、両者の成分名が同一であれば、分子量も同一とする。
【0031】
上記(A)の場合のうち、水溶性高分子の種類のみが異なる場合の隣接する層同士の具体的組み合わせとしては、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層の組み合わせ、パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸・パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸・パルミチン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層の組み合わせ、パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸・パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸・パルミチン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層の組み合わせなどがあげられる。
【0032】
上記(A)の場合のうち、疎水性有機化合物の種類のみが異なる場合の隣接する層同士の具体的組み合わせとしては、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層の組み合わせなどがあげられる。
【0033】
上記(A)の場合のうち、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類が共に異なる場合の隣接する層同士の組み合わせとしては、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層とパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層とパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層の組み合わせなどがあげられる。
【0034】
上記(B)の場合には、含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を隣接する層同士で比較すると、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同一であるが、疎水性有機化合物含有率が異なっており、疎水性有機化合物含有率(重量%)の差は、混合物の種類にもよるが、通常5〜50重量%の範囲内であるのが好ましく、5〜20重量%の範囲内とするのがとりわけ好ましい。
【0035】
上記(B)の場合の隣接する層同士の組み合わせを具体的に例示すると、ステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸含有率90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層の組み合わせ、パルミチン酸含有率98重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層の組み合わせ、パルミチン酸含有率90重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層の組み合わせ、ステアリン酸含有率90重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層とステアリン酸含有率98重量%の同混合物を含有する層の組み合わせなどがあげられる。
【0036】
本発明の多層被覆層は、隣接する層同士がすべて上記(A)、すなわち多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方の種類が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有するように構成されていてもよいし、すべて上記(B)、すなわち多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同一であって、疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有するように構成されていてもよく、さらには(A)と(B)が混在、すなわち多層被覆層における一部の隣接する層同士は、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有し、他の隣接する同士は、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同じであって、疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有するように構成されていてもよい。
【0037】
さらに、本発明の多層被覆層においては、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の組み合わせが、製剤中に一組のみの場合と複数組の場合がある。
【0038】
多層被覆層における隣接する層同士がすべて上記(A)で構成され、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の組み合わせが、製剤中に一組のみの場合の具体例としては、例えば、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とパルミチン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、パルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロースを含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層などがあげられる。
【0039】
多層被覆層における隣接する層同士がすべて上記(A)で構成され、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の組み合わせが、製剤中に複数組ある場合の具体例としては、例えば、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリビニルピロリドン混合物を含有する層とパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層からなる多層被覆層、ステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層とパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層からなる多層被覆層などがあげられる。
【0040】
多層被覆層における隣接する層同士がすべて上記(B)で構成され、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の組み合わせが、製剤中に一組のみの場合の具体例としては、例えば、ステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、ステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、ステアリン酸含有率90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層、ステアリン酸含有率90重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物を含有する層とステアリン酸含有率98重量%の同混合物を含有する層が交互に積層されてなる多層被覆層などがあげられる。
【0041】
多層被覆層における隣接する層同士がすべて上記(B)で構成され、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の組み合わせが、製剤中に複数組ある場合の具体例としては、(a)多層被覆層の内側の層の方が、含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の疎水性有機化合物含有率が高く、外側の層の方が低くレイアウトされている場合(例えば、内側からステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層、ステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層、ステアリン酸含有率85重量%の同混合物を含有する層の順に積層されてなる多層被覆層)、(b)多層被覆層の内側の層の方が含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の疎水性有機化合物含有率が低く、外側の層の方が高くレイアウトされている場合(例えば、内側からステアリン酸含有率85重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層、ステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層、ステアリン酸含有率98重量%の同混合物を含有する層の順に積層されてなる多層被覆層)、(c)各疎水性有機化合物含有率の疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する各層がランダムにレイアウトされている場合(例えば、内側からステアリン酸含有率85重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層、ステアリン酸含有率98重量%の同混合物を含有する層、ステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層の順に積層されてなる多層被覆層)などがあげられる。
【0042】
多層被覆層において、上記(A)と(B)が混在している場合としては、(A)が内側で(B)が外側となる場合、逆に(A)が外側で(B)が内側となる場合、(A)と(B)がランダムにレイアウトされている場合のいずれも含まれる。
【0043】
本発明の製剤は、多層被覆層の層数を増やすことにより、薬物の放出速度を遅くすることができる。したがって、層数を増減させることにより薬物の放出速度を調節することができる。
【0044】
層数を増加させる手段としては、単に新たに層を追加していく方法(この場合層数の増加に伴い多層被覆層全体の被覆率(芯物質に対する被覆層の重量%)も増加する)と、多層被覆層全体としての被覆率は変化させずに層数を増加させる方法(この場合、層数を増加させるために、多層被覆層を形成する各層の被覆率は減少させる必要がある)の2通りが考えられる。後者の方法を用いれば、水溶性が非常に高くかつ高用量の薬物のように、少ない被覆率では薬物放出の制御が困難にもかかわらず、製剤を高含量化する必要があるために、被覆率を増やすことが望ましくない場合、あるいは芯物質の粒子径が小さく(例えば、200μm以下)、比表面積が大きいため少ない被覆率では放出制御が困難な場合であっても、効率的に放出を制御することが可能である。
【0045】
例えば、平均粒子径150μmのアセトアミノフェン含有芯物質が、ステアリン酸含有率98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物を含有する層とステアリン酸含有率90重量%の同混合物を含有する層が交互に積層された多層被覆層によって被覆されている場合、多層被覆層の層数を6層とし、1層当たりの被覆率を10重量%とすると(多層被覆層全体として被覆率60重量%)、第十三改正日本薬局方溶出試験法(第二法、試験液:水、37℃、パドル回転数:100rpm)におけるT50%は3時間前後であるが、多層被覆層の層数を12層とし、1層当たりの被覆率を5重量%とすれば(多層被覆層全体として被覆率60重量%)、同条件におけるT50%を8時間前後とすることができ、多層被覆層全体としての被覆率が同じでも、各層の被覆率を減らし層数を増やすことにより放出速度を遅くすることができる。
【0046】
また、当然のことながら、多層被覆層を形成する個々の層の被覆率を増加させて多層被覆層全体の被覆率を増加させることによっても、放出速度を遅くすることができ、各層の被覆率は、各層で異なっていてもよいが、すべて同一であってもよい。
【0047】
したがって、当業者であれば、上記現象に基づき、薬物の溶解性や疎水性有機化合物および水溶性高分子の物性などを考慮し、所望の薬物放出速度が得られるような多層被覆層の層数、被覆率を容易に決定することができるが、本発明の製剤における多層被覆層の層数と被覆率をあえて例示すると、層数が2〜200層、被覆率が3〜300重量%の範囲内が好ましく、さらに好ましくは層数が4〜50層、被覆率が10〜150重量%の範囲内である。
【0048】
本発明の製剤は、薬物含有芯物質に、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を、既知のコーティング装置を用いて噴霧コーティングし、得られたコーティング層上に、異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を噴霧コーティングし、この工程を所望の多層被覆層が得られるまで繰り返すことにより調製される。
【0049】
コーティング溶液の溶媒としては、疎水性有機化合物および水溶性高分子が共に溶解するようなものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メトキシエタノール(商品名;メチルセロソルブ、片山化学工業製)、2−エトキシエタノール(商品名;セロソルブ、片山化学工業製)等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライド、トリクロロエチレン、1、1、1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル等のエステル類、イソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類などがあげられる。
これらの溶媒は、用いる疎水性有機化合物、水溶性高分子に応じて選択すればよく、2種以上を適宜配合して用いることもできる。
【0050】
この内、とりわけ好ましい溶媒は、アルコール類であり、中でもエタノールがとりわけ好ましい。
【0051】
コーティング装置としては、例えば、流動層コーティング装置、遠心流動層コーティング装置、パンコーティング装置などがあげられる。これらの装置の中でも、サイドスプレー式もしくはボトムスプレー式のものが特に好ましい。
【0052】
コーティング溶液の噴霧は、所望の多層被覆層となるまで順次コーティング溶液を切り替えて連続的に噴霧すればよい。
【0053】
本発明で用いる芯物質は、薬物単独もしくは薬物および通常この分野で用いられる各種製剤添加物からなり、その形態としては、特に制限がなく、例えば、微粒子、顆粒、錠剤、カプセルなどがあげられ、これらのうち微粒子が特に好ましい。さらに、微粒子の中でも、平均粒子径200μm以下のものがとりわけ好ましい。
【0054】
薬物としては、経口投与を目的とするものであれば、特に限定されず、例えば、(1)解熱鎮痛消炎剤(例えば、インドメタシン、アセチルサリチル酸、ジクロフェナックナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム酸、アズレン、フェナセチン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェノン、ベンザダック、フェニルブタゾン、フルフェナム酸、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、サザピリン、エトドラックなど)、(2)ステロイド系抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンなど)、(3)抗潰瘍剤(例えば、エカベトナトリウム、エンプロスチル、スルピリド、塩酸セトラキサート、ゲファルナート、マレイン酸イルソグラジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ロキサチジンアセテートなど)、(4)冠血管拡張剤(ニフェジピン、硝酸イソソルピド、塩酸ジルチアゼム、トラピジル、ジビリダモール、塩酸ジラゼプ、ベラパミル、ニカルジピン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベラパリミルなど)、(5)末梢血管拡張剤(例えば、酒石酸イフェンプロジル、マレイン酸シネパシド、シクランデレート、シンナリジン、ペントキシフィリンなど)、(6)抗生物質(例えば、アンピシリン、アモキシリン、セファレキシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、塩酸バカンピシリン、塩酸ミノサイクリン、クロラルフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、セフタジジム、セフロキシムナトリウム、アスポキシシリン、リチペネムアコキシル水和物など)、(7)合成抗菌剤(例えば、ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリムなど)、(8)抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ガンシクロビルなど)、(9)鎮けい剤(例えば、臭化プロパンテリン、硫酸アトロピン、臭化オキサピウム、臭化チメピジウム、臭化ブチルスコポラミン、塩化トロスピウム、臭化ブトロピウム、N−メチルスコポラミンメチル硫酸、臭化メチルオクタロピンなど)、(10)鎮咳剤(例えば、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸コデイン、トラニラスト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモルファン、塩酸クロブチノール、塩酸ホミノベン、リン酸ベンプロペリン、塩酸エプラジノン、塩酸クロフェダノール、塩酸エフェドリン、ノスカピン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸オキセラジン、クエン酸イソアミニルなど)、(11)去たん剤(例えば、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸エチルシステイン、塩酸メチルシステインなど)、(12)気管支拡張剤(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、塩酸プロカテロール、塩酸トリメトキノール、ジプロフィリン、硫酸サルブタモール、塩酸クロルプレナリン、フマル酸ホルモテロール、硫酸オルシプレナリン、塩酸ピルブテロール、硫酸ヘキソプレナリン、メシル酸ビトルテロール、塩酸クレンブテロール、硫酸テルブタリン、塩酸マブテロール、臭化水素酸フェノテロール、塩酸メトキシフェナミンなど)、(13)強心剤(例えば、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ドカルパミン、デノパミン、カフェイン、ジゴキシン、ジギトキシン、ユビデカレノンなど)、(14)利尿剤(例えば、フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド、メチクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、エチアジド、シクロペンチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロロチアジド、ピレタニド、メフルシド、エタクリン酸、アゾセミド、クロフェナミドなど)、(15)筋弛緩剤(例えば、カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、メフェネシン、クロルゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロクアロン、バクロフェン、ダントロレンナトリウムなど)、(16)脳代謝改善剤(例えば、ニセルゴリン、塩酸メクロフェノキセート、タルチレリンなど)、(17)マイナートランキライザー(例えば、オキサゾラム、ジアゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、メプロバメート、ニトラゼパム、クロルジアゼポキシドなど)、(18)メジャートランキライザー(例えば、スルピリド、塩酸クロカプラミン、ゾテピン、クロルプロマジン、ハロペリドールなど)、(19)β−ブロッカー(例えば、フマル酸ビソプロロール、ピンドロール、塩酸プロブラノロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ラベタノール、塩酸アセブトロール、塩酸ブフェトロール、塩酸アルプレノロール、塩酸アロチノロール、塩酸オクスプレノロール、ナドロール、塩酸ブクモロール、塩酸インデノロール、マレイン酸チモロール、塩酸ベフノロール、塩酸ブプラノロールなど)、(20)抗不整脈剤(例えば、塩酸プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、硫酸キニジン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノン、塩酸メキシレチン、塩酸アジミライドなど)、(21)痛風治療剤(例えば、アロプリノール、プロベネシド、コルヒチン、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、ブコロームなど)、(22)血液凝固阻止剤(例えば、塩酸チクロピジン、ジクマロール、ワルファリンカリウム、(2R,3R)−3−アセトキシ−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2,3−ジヒドロ−8−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン・マレイン酸塩など)、(23)血栓溶解剤(例えば、メチル(2E,3Z)−3−ベンジリデン−4−(3,5−ジメトキシ−α−メチルベンジリデン)−N−(4−メチルピペラジン−1−イル)スクシナメート・塩酸塩など)、(24)肝臓疾患用剤(例えば、(±)r−5−ヒドロキシメチル−t−7−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]フラン−c−6−カルボン酸ラクトンなど)、(25)抗てんかん剤(例えば、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、メタルピタール、カルバマゼピンなど)、(26)抗ヒスタミン剤(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、フマール酸クレマスチン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸サイクロヘブタジン、ベシル酸ベポタスチンなど)、(27)鎮吐剤(例えば、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド、ドンペリドン、メシル酸ベタヒスチン、マレイン酸トリメブチンなど)、(28)降圧剤(例えば、塩酸レセルピン酸ジメチルアミノエチル、レシナミン、メチルドパ、塩酸プラロゾシン、塩酸ブナゾシン、塩酸クロンジン、ブドララジン、ウラピジル、N−[6−[2−[(5−ブロモ−2−ピリミジニル)オキシ]エトキシ]−5−(4−メチルフェニル)−4−ピリミジニル]−4−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼンスルホンアミド・ナトリウム塩など)、(29)高脂血症用剤(例えば、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウムなど)、(30)交感神経興奮剤(例えば、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、塩酸イソプロテレノール、塩酸エチレフリンなど)、(31)経口糖尿病治療剤(例えば、グリベングラミド、トルブタミド、グリミジンナトリウムなど)、(32)経口抗癌剤(例えば、マリマスタットなど)、(33)アルカロイド系麻薬(例えば、モルヒネ、コデイン、コカインなど)、(34)ビタミン剤(例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸など)、(35)頻尿治療剤(例えば、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸テロリジンなど)、(36)アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、塩酸イミダプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリルなど)など、種々の薬物があげられる。
【0055】
製剤添加物としては、特に制限されず固形製剤として使用しうるものは全て好適に使用することが出来る。かかる添加物としては、例えば乳糖、白糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの賦形剤、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デキストリン、アルファー化デンプンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などの滑沢剤、更にはリン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤、或いはオレンジ、ストロベリーなどの香料、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用黄色5号、食用黄色4号、アルミニウムキレートなどの着色剤、サッカリン、アスパルテームなどの甘味剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸などの矯味剤、シクロデキストリン、アルギニン、リジン、トリスアミノメタンなどの溶解補助剤があげられる。
【0056】
芯物質として微粒子や顆粒を用いる場合、これらは、湿式造粒、乾式造粒、レイヤリング造粒、含浸造粒等の既知の造粒法により調製することができる。
【0057】
湿式造粒によるときは、常法に従い、薬物と各種製剤添加剤を混合したのち、結合剤溶液を加え、攪拌造粒機、高速攪拌造粒機などで造粒するか、薬物と各種製剤添加剤の混合物に結合剤溶液を添加し混練した後、押出造粒機を用いて造粒・整粒すればよい。また、薬物と各種製剤添加剤の混合物を、流動層造粒機、転動攪拌流動層造粒機などを用い、流動下に結合剤溶液を噴霧して造粒してもよい。
【0058】
乾式造粒によるときは、薬物と各種製剤添加剤との混合物を、ローラーコンパクターおよびロールグラニュレーターなどを用いて造粒すればよい。
【0059】
レイヤリング造粒により調製する場合は、遠心流動型造粒機などを用い、転動させた不活性な担体に結合剤溶液を噴霧しつつ薬物(必要であれば各種製剤添加剤と共に)を添加し、担体上に薬物を付着させればよく、この際、結合剤溶液にかえて、油脂、ワックスなどの加熱により溶融する物質(加熱溶融物質)を薬物と共にを加熱下に添加して溶融させ、担体上に薬物を付着させてもよい。
【0060】
不活性な担体としては、例えば結晶乳糖、結晶セルロース、結晶塩化ナトリウム等の糖類もしくは無機塩の結晶、球形造粒物(例えば結晶セルロールの球形造粒物(商品名:アビセルSP、旭化成製)、結晶セルロースと乳糖の球形造粒物(商品名:ノンパレルNP−5、同NP−7、フロイント産業製)、精製白糖の球形造粒物(商品名:ノンパレル−103、フロイント産業製)、乳糖とα化デンプンの球形造粒物等)があげられる。
【0061】
含浸造粒によるときは、適当な濃度の薬物溶液と多孔性の担体とを混合し、担体の気孔部中に薬物溶液を充分保持させた後、乾燥させ溶媒を除去させればよい。
【0062】
多孔性の担体としては、例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(商品名:ノイシリン、富士化学工業製)、ケイ酸カルシウム(商品名:フローライト、エーザイ製)などがあげられる。
【0063】
芯物質として、錠剤を用いる場合には、薬物および各種製剤添加物との混合物をそのまま圧縮成型して錠剤とするか、もしくは上記方法により造粒顆粒としたのち、崩壊剤、滑沢剤などを添加し圧縮成型して錠剤とすればよい。
【0064】
また、芯物質として、カプセルを用いる場合には、薬物を充填した硬カプセルもしくは軟カプセルをそのまま用いればよい。
【0065】
さらに、本発明の製剤においては、薬物と多層被覆層成分との相互作用を防ぐため、より効率的に放出速度を調節するため、耐胃性を高めるため、製剤強度を上げるためなど種々の目的のため、多層被覆層の内側もしくは外側に、水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子もしくはこれらの混合物の層(内側:アンダーコーティング層、外側:オーバーコーティング層)を少なくとも一層施すことも出来る。
【0066】
かかる水溶性高分子としては、多層被覆層に用いられる前記水溶性高分子などがあげられる。
【0067】
水不溶性高分子としては、エチルセルロースなどの水不溶性セルロースエーテル、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットRS、レーム・ファーマ製)、メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットNE30D、レーム・ファーマ製)などの水不溶性アクリル酸系共重合体などがあげられる。
【0068】
腸溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾェートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースフタレート等の腸溶性セルロース誘導体、スチレン・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・メタアクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸共重合体、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100、オイドラギットS、いずれもレーム・ファーマ社製)、メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100−55、レーム・ファーマ社製)、アクリル酸メチル・メタアクリル酸・アクリル酸オクチル共重合体等の腸溶性アクリル酸系共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸モノエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、エチレン・マレイン酸無水物共重合体、ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・マレイン酸無水物共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン・マレイン酸無水物共重合体等の腸溶性マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレート、ポリビニルアセトアセタールフタレート等の腸溶性ポリビニル誘導体などがあげられ、胃溶性高分子としては、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどの胃溶性ポリビニル誘導体、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットE、レーム・ファーマ製)などの胃溶性アクリル酸系共重合体などがあげられる。
【0069】
アンダーコーティング、オーバーコーティングは、既知のコーティング方法にしたがって行えばよく、上記成分の溶液もしくは分散液を、既知のコーティング装置を用い、アンダーコーティングであれば芯物質上に、オーバーコーティングであれば多層被覆層上に噴霧コーティングすればよい。
【0070】
とりわけ、多層被覆層の内側に、製剤強度を向上させるためのアンダーコーティング層を設けることが好ましく、かかるアンダーコーティング層は、前記水不溶性高分子物質などを主成分とすることが好ましく、中でもエチルセルロースがとりわけ好ましい。製剤強度を向上させるためのアンダーコーティング層の被覆率は、1〜150重量%とするのが好ましく、特に好ましくは5〜50重量%である。
【0071】
かくして得られる本発明の製剤は、そのまま経口投与製剤として用いることができるが、芯物質として微粒子もしくは顆粒を用いた場合には、得られた多層被覆顆粒(もしくは微粒子)にさらに必要に応じ各種添加物を添加した後圧縮成型し錠剤とするか、カプセルに充填してカプセル剤とする他、種々の経口投与に適した剤形に成形することが出来る。
以下に本発明を比較例、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
【実施例】
比較例1
アセトアミノフェン100g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL、日本曹達製)40gをエタノール500gに溶解させ、この溶液およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンNS2N、富士化学工業製)100gを品川式混合機を用いて混合攪拌し、含浸造粒した。乾燥後、整粒し、粒子径75〜180μm(平均粒子径150μm)の微粒子を得、これを芯物質とした。
【0073】
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、芯物質100gに、ステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(ステアリン酸(花王製):4.9重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.1重量%、エタノール:95重量%)を噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子を得た。被覆率(芯物質に対する被覆層の重量%)は40、60、80重量%とした。
【0074】
得られた被覆微粒子について、第十三改正日本薬局方の溶出試験法(第二法)に従い、溶出試験を行った(試験液:水、37℃、パドル回転数100rpm)。試験液中での溶出挙動を調査し、その結果を図1に示した。
【0075】
図1より明らかなように、被覆率を増加させるに従って放出速度は制御されたが、被覆率80重量%の粒子においてもT50%(製剤中のアセトアミノフェンの半量が溶出するのに要する時間)がわずか3.5時間であり、ステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物の層単独では、ある程度の放出制御効果があるものの、少ない被覆量で効果的に薬物放出を制御することはできなかった。
【0076】
しかし、D20h(20時間後の溶出率)より明らかなようにステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子は、薬物放出の頭打ち現象がほとんど認められず、被覆率80重量%の微粒子においてもD20hは約100%であった。
【0077】
比較例2
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:4.5重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.5重量%、エタノール:95重量%)を噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子を得た。被覆率は40、60、80重量%とした。
【0078】
得られた被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を調査し、その結果を図2に示した。
【0079】
図2より明らかなように、被覆率を増加させるに従って放出速度は制御されたが、被覆率80重量%の粒子においてもT50%がわずか4.2時間であり、ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物の層単独では、ある程度の放出制御効果があるものの、少ない被覆率で効果的に薬物放出を制御することはできなかった。
【0080】
しかし、D20hより明らかなように、ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子は、薬物放出の頭打ち現象がほとんど認められず、被覆率80重量%の粒子においてもD20hは約90%であった。
【0081】
実施例1
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、比較例1、2で用いたステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率は40重量%(4層)、60重量%(6層)、80重量%(8層)とした。
【0082】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を調査し、その結果を図3に示した。
【0083】
図3より明らかなように多層被覆層の層数を増加させるにしたがい、薬物の放出は制御された。
【0084】
また、同一の被覆率で比較した場合、実施例1で得た多層被覆微粒子は、比較例1および比較例2で得た被覆微粒子よりも薬物放出速度が著しく遅くなっており(被覆率80重量%の微粒子においてT50%は8.6時間)、ステアリン酸含有率が異なる混合物で交互に被覆することにより、ステアリン酸含有率が一定の混合物で被覆するよりも効果的に薬物放出を制御できることがわかった。
【0085】
さらに、実施例1で得た多層被覆微粒子のD20hは、被覆率60重量%まではほぼ100%であり、被覆率80重量%の微粒子においても85%であり、薬物放出の頭打ち現象はほとんど認められなかった。
【0086】
実施例2
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、比較例1、2で用いたステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は5重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率は40重量%(8層)、50重量%(10層)、60重量%(12層)とした。
【0087】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図4に示した。
【0088】
実施例1で得た多層被覆微粒子と実施例2で得た多層被覆微粒子を同一被覆率で比較すると、実施例2の多層被覆微粒子の方が放出速度が遅く、同じ被覆率の多層被覆層であっても層数が多いほど放出制御効果の高いことが判った。
【0089】
実施例3
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、比較例2、1で用いたステアリン酸含有率が90重量%および98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が90重量%および98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率は40重量%(4層)、50重量%(5層)、60重量%(6層)とした。
【0090】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図5に示した。
【0091】
実施例1で得た多層被覆微粒子と実施例3で得た多層被覆微粒子を同一被覆率で比較すると、双方ともその放出速度に差はなく、ステアリン酸含有率が異なる混合物で交互に被覆した場合、2種類の混合物の被覆順序を逆にしても放出制御効果に差がないことがわかった。
【0092】
実施例4
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、ステアリン酸含有率が85重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:4.25重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.75重量%、エタノール:95重量%)および比較例1で用いたステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が85重量%および98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率が40重量%(4層)、50重量%(5層)、60重量%(6層)とした。
【0093】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図6に示した。
【0094】
実施例3で得た多層被覆微粒子と実施例4で得た多層被覆微粒子を同一被覆率で比較すると、実施例4の多層被覆粒子の方が放出速度が遅く、多層被覆層において隣接する層同士のステアリン酸含有率の差が大きいほうが(実施例3の多層被覆微粒子:8重量%、実施例4の多層被覆微粒子:13重量%)放出制御効果が高いことがわかった。
【0095】
実施例5
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、パルミチン酸含有率が90重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(パルミチン酸(片山化学製):4.5重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.5重量%、エタノール:95重量%)およびパルミチン酸含有率が98重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(パルミチン酸:4.9重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.1重量%、エタノール:95重量%)をこの順序で交互に噴霧コーティングし、パルミチン酸含有率が90重量%および98重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率が120重量%(12層)、160重量%(16層)とした。
【0096】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図7に示した。
【0097】
実施例6
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、実施例5で用いたパルミチン酸含有率が90重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液および比較例1で用いたステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、パルミチン酸含有率が90重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物およびステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率が60重量%(6層)、80重量%(8層)とした。
【0098】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図8に示した。
【0099】
実施例7
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、比較例1で得られた芯物質100gに、ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:4.5重量%、ポリエチレングリコール(分子量:約6000):0.5重量%、エタノール:95重量%)およびステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:4.9重量%、ポリエチレングリコール:0.1重量%、エタノール:95重量%)をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が90重量%および98重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率が100重量%(10層)とした。
【0100】
得られた多層被覆微粒子について、比較例1と同様に溶出試験を行い、試験液中での溶出挙動を観察し、試験結果を図9に示した。
【0101】
実施例8
比較例1と同様の操作を行い、粒子径75〜180μm(平均粒子径150μm)のアセトアミノフェン含有芯物質を得た。
【0102】
ワースター式流動層コーティング装置(Glatt社製、GPCG−1)を用いて、流動下、芯物質100gに、エチルセルロース溶液(エトセル#10(信越化学製):4.75重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:0.25重量%、エタノール:57重量%、水:38重量%)を噴霧コーティングし、被覆率30重量%のアンダーコーティング層を施した。
【0103】
次いで、比較例1、2で用いたステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子を得た。各層の被覆率は10重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率は110重量%(11層)とした。
【0104】
得られた多層被覆微粒子のアセトアミノフェン50mg相当量(377mg)を等量の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと混合した後、0号ゼラチン硬カプセル(ワーナーランバート製)に充填し、多層被覆微粒子充填カプセル製剤を得た。
【0105】
実施例9
遠心流動型コーティング装置(CF−360、フロイント産業製)を用い、ノンパレル(フロイント産業製)180gに、白糖溶液(白糖:20重量%、エタノール:40重量%、水:40重量%)を噴霧しながら、アセトアミノフェン600gとD−マンニトール660gの混合物を添加してレイヤリング造粒した。乾燥後、整粒し、粒子径1000〜1700μm(平均粒子径:1200μm)の顆粒を得、これを芯物質とした。
【0106】
遠心流動層コーティング装置を用い、芯物質400gに、エチルセルロース溶液(エトセル#10(信越化学製):3.5重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:1.5重量%、エタノール:61.75重量%、水:33.25重量%)を噴霧コーティングし、被覆率10重量%のアンダーコーティング層を施した。
【0107】
次いで、ステアリン酸含有率が70重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:3.15重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:1.35重量%、エタノール:95.5重量%)およびステアリン酸含有率が50重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物のエタノール溶液(ステアリン酸:2.25重量%、ヒドロキシプロピルセルロース:2.25重量%、エタノール:95.5重量%)をこの順序で交互に噴霧コーティングし、ステアリン酸含有率が70重量%および50重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された顆粒を得た。各層の被覆率は2.5重量%ずつとし、多層被覆層の被覆率は22.5重量%(9層)とした。
【0108】
得られた多層被覆顆粒のアセトアミノフェン50mg相当量(178mg)を等量の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと混合した後、0号ゼラチン硬カプセルに充填し、多層被覆顆粒充填カプセル製剤を得た。
【0109】
比較例3
遠心流動層コーティング装置を用い、実施例9で得られた芯物質450gに、エチルセルロース溶液(エトセル#10(信越化学製):7重量%、エタノール:61.75重量%、水:33.25重量%)を噴霧コーティングし、被覆率4.5重量%のエチルセルロース被覆顆粒を得た。
【0110】
得られたエチルセルロース被覆顆粒のアセトアミノフェン50mg相当量(128mg)を等量の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと混合した後、0号ゼラチン硬カプセルに充填し、エチルセルロース被覆顆粒充填カプセル製剤を得た。
【0111】
実験例1
実施例8、9、比較例3で得られたカプセル製剤2個(アセトアミノフェン100mg)ずつを、それぞれ一夜絶食した雄性ビーグル犬(1群:4匹)に投与し、投与後1,2,3,4,5,6,8,10,12,24時間目に採血してアセトアミノフェンの血漿中濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。その結果を図10に示す。
【0112】
各カプセル製剤共に、投与後5時間目まではほぼ同一の血中濃度推移を示した。しかしながら、5時間以降、比較例3の製剤は血中濃度を維持できなかったのに対し、実施例8、9の製剤は、5時間目以降も高い血中濃度を維持した。この結果より、エチルセルロースなどの水不溶性高分子で被覆した従来の徐放性製剤では、水分量の少ない消化管下部においては薬物を放出して血中濃度を維持することが困難なのに対し、本発明の多層被覆製剤は消化管下部においても良好に薬物を放出し、血中濃度を維持することが可能であることがわかる。
【0113】
更に、実施例8、9の製剤共に上記効果を有していることから、本発明は、微粒子、顆粒など種々の製剤形態に適用可能であることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の製剤の多層被覆層は、少ない被覆率で効率的に薬物の放出速度を制御でき、かつ薬物放出の頭打ち現象が起こらないという特徴を有しており、一日一回服用型の徐放性製剤が容易に得られる。
【0115】
したがって、本発明の製剤であれば、薬物の水溶性が非常に高く、かつ高用量であるため放出制御膜の被覆量を多くできない場合、あるいは粒子径が50〜200μmの範囲内の芯物質のように、粒子径が小さく比表面積が大きいため、少ない被覆率では放出制御が困難な場合であっても、高含量の一日一回服用型徐放性製剤が得られ、また、薬物の水溶性が非常に低く製剤中の薬物をすべて放出させるのが困難な場合であっても、製剤中の薬物をほぼ100%放出させることができる。
【0116】
さらに、本発明の製剤は、経口投与した際、時間の経過と共に(消化管内の移動と共に)多層被覆層がエロージョンを起こして徐々に薄くなるため、水分量の少ない消化管下部においても十分薬物を放出させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子の溶出挙動を示すグラフ。
【図2】 ステアリン酸含有率が90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で被覆された微粒子の溶出挙動を示すグラフ。
【図3】 ステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図4】 ステアリン酸含有率が98重量%および90重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率5重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図5】 ステアリン酸含有率が90重量%および98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図6】 ステアリン酸含有率が85重量%および98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図7】 パルミチン酸含有率が90重量%および98重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図8】 パルミチン酸含有率が90重量%のパルミチン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物およびステアリン酸含有率が98重量%のステアリン酸−ヒドロキシプロピルセルロース混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図9】 ステアリン酸含有率が90重量%および98重量%のステアリン酸−ポリエチレングリコール混合物で交互に多層被覆された微粒子(各層の被覆率10重量%ずつ)の溶出挙動を示すグラフ。
【図10】 多層被覆製剤充填カプセルおよびエチルセルロース被覆製剤充填カプセルをビーグル犬に投与した際のアセトアミノフェン血漿中濃度推移を示すグラフ。

Claims (21)

  1. 薬物含有芯物質および該芯物質を覆う多層被覆層からなり、該多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有することを特徴とする徐放性製剤(疎水性有機化合物はステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリドおよびラウリン酸トリグリセリドからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、水溶性高分子はヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種または2種以上である)
  2. 疎水性有機化合物がステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはベヘン酸である請求項1記載の徐放性製剤。
  3. 疎水性有機化合物がステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはベヘン酸であり、水溶性セルロースエーテルがヒドロキシプロピルセルロースおよびポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種である請求項2記載の徐放性製剤。
  4. 疎水性有機化合物がステアリン酸であり、水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロースである請求項1記載の徐放性製剤。
  5. 疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物における疎水性有機化合物含有率が20〜99.5重量%の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  6. 薬物含有芯物質の平均粒子径が200μm以下であり、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物における疎水性有機化合物含有率が80〜99.5重量%の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  7. 薬物含有芯物質の平均粒子径が700μm以上であり、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物における疎水性有機化合物含有率が40〜80重量%の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  8. 多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方の種類が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  9. 多層被覆層におけるすべての隣接する層同士が、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同じであって、疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  10. 多層被覆層における一部の隣接する層同士は、疎水性有機化合物もしくは水溶性高分子の少なくとも一方が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有し、他の隣接する層同士は、疎水性有機化合物および水溶性高分子の種類は同じであって、疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  11. 疎水性有機化合物含有率の互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物の疎水性有機化合物含有率の差が、5重量%以上である請求項9または10記載の徐放性製剤。
  12. 多層被覆層において、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子物質混合物の組み合わせが、単一である請求項1〜9、11のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  13. 多層被覆層において、隣接する層同士の含有する疎水性有機化合物−水溶性高分子物質混合物の組み合わせが、複数である請求項1〜11のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  14. 多層被覆層が、すべて同一被覆率の層で形成されている請求項1〜13のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  15. 多層被覆層の層数が4〜50層であり、多層被覆層の被覆率が10〜150重量%である請求項1〜14のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  16. 多層被覆層の内側に製剤強度を向上させるためのアンダーコーティング層を設けた請求項1〜15のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  17. アンダーコーティング層が、エチルセルロース、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸メチル塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体又はメタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする請求項16記載の徐放性製剤。
  18. アンダーコーティング層がエチルセルロースを主成分とする請求項17記載の徐放性製剤。
  19. アンダーコーティング層の被覆率が5〜50重量%である請求項16〜18のいずれか1項記載の徐放性製剤。
  20. 薬物含有芯物質に、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を、噴霧コーティングし、得られたコーティング層上に、異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を続けて噴霧コーティングし、この工程を繰り返すことを特徴とする隣接する層同士が互いに異なる疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含有する多層被覆層を有する徐放性製剤の製法(疎水性有機化合物はステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリドおよびラウリン酸トリグリセリドからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、水溶性高分子はヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種または2種以上である)
  21. 薬物含有芯物質に、製剤強度を向上させるためのアンダーコーティング層を施した後、疎水性有機化合物−水溶性高分子混合物を含む溶液を噴霧コーティングする請求項20記載の徐放性製剤の製法。
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