JP3887991B2 - 排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
気筒内へ直接的に燃料を噴射する筒内噴射式火花点火内燃機関が公知である。このような筒内噴射式火花点火内燃機関は、吸気ポート噴射式内燃機関のように噴射された燃料の一部が吸気ポートの壁面に付着して気筒内へ供給されないことがなく、噴射された燃料全てが確実に気筒内へ供給されるために、燃料噴射量を機関運転状態に応じた必要最小限とすることができ、燃費消費率の低減が可能となる。
【0003】
このような筒内噴射式火花点火内燃機関は、一般的に、必要燃料量が比較的少ない機関低負荷時には、圧縮行程で燃料を噴射して点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成し、気筒内全体としてはリーンな混合気を燃焼可能な成層燃焼を実施するようになっている。一方、必要燃料量が比較的多い機関高負荷時には、吸気行程で燃料を噴射して気筒内に均質混合気を形成し、高出力が得られる均質燃焼を実施するようになっている。
【0004】
ところで、成層燃焼と均質燃焼とに係わらず、排気ガスの一部を気筒内へ再循環させることにより、排気ガスの主成分である不活性ガスの高い熱容量によって燃焼温度を低下させ、NOx 発生量の低減を可能とする排気ガス再循環が一般的に行われている。
【0005】
成層燃焼は、点火プラグ近傍に形成した可燃混合気を良好に着火燃焼させなければならず、そのためには、可燃混合気の温度が高い方が好ましい。それにより、高温度の排気ガスを気筒内へ再循環させることは、NOx 低減に加えて可燃混合気の温度を高めるのに有効である。成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関において、高温度の排気ガスを気筒内へ再循環させるために、特開平10−274104号公報には、機関排気系からの排気ガス再循環通路を機関吸気系におけるサージタンク下流側の各吸気ポートに接続することが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来技術により、均質燃焼おいて、高温度の排気ガスを気筒内へ再循環させると、気筒内の温度が上昇して吸気充填効率が低下するために、機関出力が低下してしまう。
【0007】
従って、本発明の目的は、排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、成層燃焼及び均質燃焼のいずれにおいてもNOx 発生量の低減された良好な燃焼を実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成する成層燃焼と気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼とを実施可能であり、排気ガス再循環装置は、機関排気系と機関吸気系とを連通する第一排気ガス再循環経路及び第二排気ガス再循環経路を有し、前記第一排気ガス再循環経路には冷却器が設けられ、前記第二排気ガス再循環経路には冷却器が設けられておらず、前記成層燃焼時には、前記第二排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させ、前記均質燃焼時には、前記第一排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項2に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第二排気ガス再循環経路は、前記機関吸気系におけるサージタンク下流側の各吸気ポートに接続され、前記第一排気ガス再循環経路は、前記吸気系における前記サージタンク又は前記サージタンク上流側の吸気管に接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項3に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項2に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第一排気ガス再循環経路と前記第二排気ガス再循環経路は、前記機関排気系へ異なる位置で接続され、前記第一排気ガス再循環経路の前記機関排気系における接続位置は、前記第二排気ガス再循環経路の前記機関排気系における接続位置より下流側に位置していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項4に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記冷却器には気筒内へ噴射される燃料が導かれ、前記冷却器において前記第一排気ガス再循環経路を通過する排気ガスと前記燃料との間で熱交換が実施されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による請求項5に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項4に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記冷却器は、前記排気ガスが通過する排気ガス通路と、前記排気ガス通路と並列に延在する燃料蓄圧室とが設けられ、前記燃料蓄圧室には、各気筒へ燃料を供給するために、前記燃料蓄圧室の燃料上流側から燃料下流側へ並列配置された複数の燃料通路が接続され、前記排気ガス通路の排気上流側と前記燃料蓄圧室の燃料上流側とが隣接していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項6に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項4に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、機関暖機中の第一所定期間は前記第一排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項7に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項6に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記機関暖機中の第一所定期間を除く第二所定期間は前記第二排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項8に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項7に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第一所定期間及び前記第二所定期間はそれぞれ不連続の期間であり、前記機関暖機中には、前記第一排気ガス再循環経路と前記第二排気ガス再循環経路とを交互に使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略平面図である。同図において、1は機関本体、2は機関吸気系、3は機関排気系である。機関本体1の各気筒1aは、気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁(図示せず)を具備している。
【0017】
本実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関は、燃料噴射量が多量となる機関高負荷時には、均質燃焼を意図して燃料噴射弁から吸気行程において燃料が噴射され、点火までの比較的長い時間で気筒内に均質混合気を形成するようになっている。このような均質燃焼は、高い機関出力を得るのに有利である。
【0018】
一方、燃料噴射量が多量となる機関高負荷時を除いては、成層燃焼を意図して燃料噴射弁から圧縮行程後半において燃料が噴射される。こうして噴射された燃料は、ピストン頂面に形成されたキャビティ等を利用して点火プラグ近傍へ偏向され、この間において気化し、点火プラグ近傍だけに着火性の良好な可燃混合気を形成するようになっている。このような成層燃焼は、気筒内全体としてリーンな混合気を燃焼可能であるために、燃料消費率の低減に有利である。
【0019】
機関排気系3と機関吸気系2とを連通する排気ガス再循環装置4は、切換弁4aと、切換弁4aと機関排気系3の排気集合部3a下流側とを接続する排気側接続通路4bと、切換弁4aと機関吸気系2のサージタンク2a上流側の吸気管2bとを接続する吸気側第一接続通路4cと、切換弁4aと機関吸気系2のサージタンク2a下流側の各吸気ポート2cとを接続する吸気側第二接続通路4dとを有している。吸気側第一接続通路4cには冷却器4eが設けられている。
【0020】
切換弁4aは、吸気側第一接続通路4cを排気側接続通路4bに対して自由に選択した開度で連通させることができ、また、吸気側第二接続通路dも同様に排気側接続通路4に対して自由に選択した開度で連通させることができる。こうして、吸気側第一接続通路4cを介して、又は、吸気側第二接続通路4dを介して、又は、吸気側第一接続通路4c及び吸気側第二接続通路4dを介して、自由に選択した排気ガス量を各気筒1a内へ再循環させることが可能となる。図2は、この排気ガス再循環装置を概略的に示した系統図である。同図に示すように、排気側接続通路4bと吸気側第一接続通路4cとが第一排気ガス再循環経路Aを構成し、排気側接続通路4bと吸気側第二接続通路4cとが第二排気ガス再循環経路Bを構成する。
【0021】
排気ガス再循環装置4によって、成層燃焼と均質燃焼とに係わらず、排気ガスの一部を気筒内へ再循環させることにより、排気ガスの主成分である不活性ガスの高い熱容量によって燃焼温度を低下させ、NOx 発生量が低減される。
【0022】
成層燃焼時は、点火プラグ近傍に形成した可燃混合気の温度を高めて、可燃混合気を良好に着火燃焼させることが好ましく、高温度の排気ガスを再循環させることは、NOx 低減に加えて可燃混合気の温度を高めるのに有効である。それにより、成層燃焼時には、主に、第二排気ガス再循環経路Bを使用して排気ガスを再循環させるようになっている。第二排気ガス再循環経路Bを構成する吸気側第二接続通路4dは、図2に示すように、各気筒1a近傍に位置する吸気ポート2cに接続されているために、再循環させる排気ガスをあまり温度低下させることなく、各気筒1a内へ導入することが可能となる。
【0023】
本実施形態の排気ガス再循環装置4においては、図1に示すように、吸気側第二接続通路4dの一部分は、シリンダヘッド1b内に形成されてシリンダヘッド1b内に位置する各吸気ポート2cの一部に接続されているために、各気筒1aへほぼ直接的に排気ガスを再循環させることができ、再循環させる排気ガスの温度低下をさらに低減することができる。また、この吸気側第二接続通路4dの一部分の回りの比較的厚いシリンダヘッド1bの肉厚が、断熱層として機能するために、再循環させる排気ガスの温度低下をさらに低減することができる。もちろん、吸気側第二接続通路4dをシリンダヘッド1b外に位置する各吸気ポート2cの一部に接続しても良いが、この場合には、図2に示すように、吸気側第二接続通路4dには、断熱層4f等を設けることが好ましい。
【0024】
一方、均質燃焼時は、高温度の排気ガスを再循環させると、気筒内の温度が上昇して吸気充填効率が低下し、機関出力低下がもたらされる。従って、本実施形態において、均質燃焼時には、主に、冷却器4eが設けられた第一排気ガス再循環経路Aを使用して排気ガスを再循環させるようになっている。第一排気ガス再循環経路Aを構成する吸気側第一接続通路4cは、図2に示すように、冷却器4eが設けられていることに加えて、各気筒1aから比較的遠くに位置する吸気管2bに接続されているために、再循環させる排気ガスを各気筒1aへ導入するまでに大幅に温度低下させることができる。排気ガスは、多量の吸気で充填されたサージタンク2aを通過することで、大きく温度低下するために、吸気側第一接続通路4cをサージタンク2aへ直接的に接続するようにしても良い。また、本実施形態の排気ガス再循環装置4においては、第一排気ガス再循環経路Aに冷却器4eが設けられ、冷却器4eの性能によっては排気ガスを十分に冷却させることが可能であるために、第一排気ガス再循環経路Aと第二排気ガス再循環経路Bとを同一位置で機関吸気系2に接続するようにしても良い。
【0025】
本実施形態において、排気ガス再循環装置4の第一排気ガス再循環経路Aに設けられた冷却器4eは、機関冷却水を循環させるものでも良く、また、単に放熱フィンを有するものでも良いが、特に、燃料との熱交換を意図して、図4及び図4のP−P断面図である図5に示すような構造を有している。本実施形態の冷却器4eにおいて、41は排気ガスが矢印で示すように通過する排気ガス通路であり、42は排気ガス通路41と並列に延在する円筒状の燃料蓄圧室である。また、43は冷却フィンである。燃料蓄圧室42の端面には、高圧ポンプ(図示せず)下流側の高圧燃料管44が接続されている。また、燃料蓄圧室42の側面には、各燃料噴射弁へ燃料を供給するための並列配置された燃料通路45が接続されている。また、燃料蓄圧室42の他方の端面には、安全弁46を介して燃料タンク(図示せず)へ通じる戻し管47が接続されており、この安全弁46は、燃料蓄圧室42内が設定燃料圧力以上となる場合に開弁して、戻し管47によって燃料蓄圧室42内の燃料の一部を燃料タンクへ戻し、燃料蓄圧室42内の燃料圧力が異常に高まることを防止するためのものである。
【0026】
こうして、冷却器4eにおいて燃料と排気ガスとが熱交換されるようになっていると、特に、第一排気ガス再循環経路Aを使用して排気ガスを再循環させる均質燃焼時において、燃料噴射弁から各気筒内へ噴射される燃料が加熱されて気化し易くなっており、早期に気化した燃料によって点火までに十分に均質化した良好な均質混合気を気筒内に形成することができる。
【0027】
燃料の加熱は、燃料ベーパの発生を防止するために、高圧ポンプの下流側で実施しなければならない。それにより、機関排気系に熱交換器を設けると、熱交換器と各気筒1aの吸気弁側に配置された燃料噴射弁とを接続するための燃料配管が非常に長くなる。しかしながら、本実施形態のように、第一排気ガス再循環経路Aの冷却器4eとして熱交換器を設けることで、熱交換器と燃料噴射弁との間の燃料配管を短くすることができ、燃料噴射系の高い信頼性を保証することができる。
【0028】
もちろん、冷却器4eに燃料蓄圧室42でなく、単なる高圧燃料通路を形成するようにしても良いが、本実施形態のように、燃料蓄圧室42を排気ガス通路41と並列して延在させると共に、この排気ガス通路41の排気上流側と燃料蓄圧室42の燃料上流側とを隣接させることにより、燃料蓄圧室42の燃料上流側へ新たに供給される低温の燃料ほど、排気上流側の高温度の排気ガスと熱交換されるために、排気ガス通路41と並列に延在している燃料蓄圧室42内の燃料をほぼ等しい温度に昇温することができ、燃料蓄圧室42の燃料上流側から燃料下流側へ並列配置された複数の燃料通路を介して、ほぼ等しい温度の燃料を各燃料噴射弁へ供給することができ、各気筒において均質混合気の燃料気化状態をほぼ均等にすることができる。本実施形態の冷却器4eにおいて、排気ガス通路41は直線的に形成されているが、もちろん、燃料蓄圧室42回りを螺旋状に並列させるようにしても良い。
【0029】
また、特に外気温度が低い冷間時において、始動直後の機関暖機中には、成層燃焼及び均質燃焼に係わらず、燃料を加熱しないと、気筒内へ噴射された燃料が点火までに十分に気化せず、未燃燃料の排出量が増加することとなる。従って、本実施形態では、機関暖機中の第一所定期間は第一排気ガス再循環経路Aを使用して排気ガスを再循環させるようになっている。
【0030】
この第一所定期間は、機関暖機中の全ての期間としても良いが、特に、機関暖機中に成層燃焼が実施される場合には、点火プラグ近傍に形成した可燃混合気の温度を高めることも好ましいために、機関暖機中の前半を第一所定期間とし、第一排気ガス再循環経路Aを使用して排気ガスを再循環させ、気筒内へ噴射される燃料を加熱し、機関暖機中の後半を第二所定期間として、第二排気ガス再循環経路Bを使用して高温度を排気ガスを再循環させるようにしても良い。
【0031】
こうして、機関暖機中の前半には、燃料を加熱して点火までに確実に気化させることにより未燃燃料の排出量を低減することができる。本実施形態にように燃料蓄圧室42内の燃料を機関暖機中の前半で加熱すれば、機関暖機中の後半において直ぐに燃料温度が外気温度まで低下することはなく、機関暖機中の後半においては、噴射された燃料の気化をある程度確保すると共に、再循環させた高温度の排気ガスによって可燃混合気の温度を高めることができ、良好な成層燃焼を実現することができる。
【0032】
また、機関暖機中の前半と後半とを入れ換えることも可能である。それにより、機関暖機中の前半には、燃料の気化が多少不十分となり、燃料の一部は未燃燃料として排出される可能性があるが、形成された可燃混合気の温度は、再循環させた高温度の排気ガスによって高められ、良好な成層燃焼を実現することができる。機関暖機中の後半においては、前半において再循環させた高温度の排気ガスによって、気筒内の温度が高められており、加熱により燃料を確実に気化させて可燃混合気を形成し、この可燃混合気を比較的良好に燃焼させることができる。
【0033】
また、機関暖機中の第一所定期間及び第二所定期間をそれぞれ不連続の期間として、すなわち、機関暖機中において、第一排気ガス再循環経路Aと第二排気ガス再循環経路Bとを交互に使用して排気ガスを再循環させることも可能である。それにより、燃料加熱と高温度の排気ガスの再循環とを比較的良好に両立させることができる。また、機関暖機中に、第一排気ガス再循環経路Aと第二排気ガス再循環経路Bとを同時に使用して排気ガスを再循環させても同様に、燃料加熱と高温度の排気ガスの再循環とを比較的良好に両立させることができる。
【0034】
図3は、図2に示した排気ガス再循環装置4の変形例を示す同様な系統図である。この変形例と図2に示した排気ガス再循環装置4との違いは、第一排気ガス再循環経路A’と第二排気ガス再循環経路B’とが機関排気系3へ異なる位置で接続され、第一排気ガス再循環経路A’及び第二排気ガス再循環経路B’には、再循環排気ガス量を制御するための別々の制御弁4a1 ’,4a2 ’が配置されていることである。
【0035】
第一排気ガス再循環経路A’の機関排気系3における接続位置は、第二排気ガス再循環経路B’の機関排気系3における接続位置より下流側に位置している。また、このような構成によって、第一排気ガス再循環経路A’及び第二排気ガス再循環経路B’には共通部分(図1における排気側接続通路4b)が存在しないために、第二排気ガス再循環経路B’には、全体的に断熱層4f’を設けることができる。
【0036】
こうして、本変形例によれば、前述の接続位置の違いによって、機関排気系3から第一排気ガス再循環経路A’へ流入する排気ガスは、機関排気系3から第二排気ガス再循環経路B’へ流入する排気ガスに比較して、機関排気系3を長く通過して放熱量が多く温度低下しているために、均質燃焼時において、第一排気ガス再循環経路A’を使用して各気筒1a内へ再循環させられる排気ガス温度は、図2に示す実施形態に比較してさらに低くすることができ、均質燃焼時の充填効率を向上させ、機関出力を高めることが可能となる。また、成層燃焼時においては、第二排気ガス再循環経路B’に全体的に断熱層4f’が設けられているために、さらに高温度の排気ガスを気筒内へ再循環させることができる。
【0037】
前述した全ての実施形態において、再循環させる排気ガス量は、成層燃焼及び均質燃焼のそれぞれにおける機関回転数、機関負荷、及び機関温度等に基づいて最適に制御される。
【0038】
【発明の効果】
このように、本発明による排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、排気ガス再循環装置は、機関排気系と機関吸気系とを連通する第一排気ガス再循環経路及び第二排気ガス再循環経路を有し、第一排気ガス再循環経路には冷却器が設けられ、第二排気ガス再循環経路には冷却器が設けられておらず、成層燃焼時には第二排気ガス再循環経路を使用して高温度の排気ガスを再循環させ、点火プラグ近傍に形成した可燃混合気の温度を高めて良好に着火燃焼させることが可能となる。また、均質燃焼時には第一排気ガス再循環経路を使用して低温度の排気ガスを再循環させ、吸気充填効率の低下を防止し、高い機関出力を得ることが可能となる。こうして、成層燃焼及び均質燃焼のいずれにおいても排気ガス再循環によってNO発生量の低減された良好な燃焼を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図1の排気ガス再循環装置の系統図である。
【図3】排気ガス再循環装置の変形例を示す図2と同様な系統図である。
【図4】図1の排気ガス再循環装置における冷却器の平面図である。
【図5】図4のP−P断面図である。
【符号の説明】
1…機関本体
2…機関吸気系
3…機関排気系
4,4’…排気ガス再循環装置
4e,4e’…冷却器
A…第一排気ガス再循環経路
B…第二排気ガス再循環経路

Claims (8)

  1. 排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関であって、点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成する成層燃焼と気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼とを実施可能であり、排気ガス再循環装置は、機関排気系と機関吸気系とを連通する第一排気ガス再循環経路及び第二排気ガス再循環経路を有し、前記第一排気ガス再循環経路には冷却器が設けられ、前記第二排気ガス再循環経路には冷却器が設けられておらず、前記成層燃焼時には、前記第二排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させ、前記均質燃焼時には、前記第一排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 前記第二排気ガス再循環経路は、前記機関吸気系におけるサージタンク下流側の各吸気ポートに接続され、前記第一排気ガス再循環経路は、前記吸気系における前記サージタンク又は前記サージタンク上流側の吸気管に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  3. 前記第一排気ガス再循環経路と前記第二排気ガス再循環経路は、前記機関排気系へ異なる位置で接続され、前記第一排気ガス再循環経路の前記機関排気系における接続位置は、前記第二排気ガス再循環経路の前記機関排気系における接続位置より下流側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  4. 前記冷却器には気筒内へ噴射される燃料が導かれ、前記冷却器において前記第一排気ガス再循環経路を通過する排気ガスと前記燃料との間で熱交換が実施されることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  5. 前記冷却器は、前記排気ガスが通過する排気ガス通路と、前記排気ガス通路と並列に延在する燃料蓄圧室とが設けられ、前記燃料蓄圧室には、各気筒へ燃料を供給するために、前記燃料蓄圧室の燃料上流側から燃料下流側へ並列配置された複数の燃料通路が接続され、前記排気ガス通路の排気上流側と前記燃料蓄圧室の燃料上流側とが隣接していることを特徴とする請求項4に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  6. 機関暖機中の第一所定期間は前記第一排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする請求項4に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  7. 前記機関暖機中の第一所定期間を除く第二所定期間は前記第二排気ガス再循環経路を使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
  8. 前記第一所定期間及び前記第二所定期間はそれぞれ不連続の期間であり、前記機関暖機中には、前記第一排気ガス再循環経路と前記第二排気ガス再循環経路とを交互に使用して排気ガスを再循環させることを特徴とする請求項7に記載の排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関。
JP12426999A 1999-04-30 1999-04-30 排気ガス再循環装置を備えた筒内噴射式火花点火内燃機関 Expired - Fee Related JP3887991B2 (ja)

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