JP3887942B2 - 有機物の超臨界・水熱反応処理方法及びその処理プラント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界・水熱反応処理プラントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超臨界条件下の水により人畜に有害な有機物を分解して、無害化状態にする技術として、技術例1:特開平07−275870号公報「有害有機物の超臨界水酸化処理装置および処理方法」や、技術例2:特開平07−275871号公報「有害物質の超臨界水酸化処理方法及び処理装置」が提案されている。
【0003】
前記技術例1は、水の超臨界条件下に、有害有機物の分解処理をする反応器と、分解反応処理物の気液分離をする気液分離器とを備えるとともに、被処理物とは別個に、反応器に対して水を加圧送給する第1加圧送給手段と、気液分離器の分離液体を第1加圧送給手段に還流する戻し手段とを備える構成を採用としており、そして、前記技術例2は、予熱器,反応器および冷却器並びに気液分離器を備えるとともに、水の超臨界条件下に、有害物質の分解処理を行なった後に、分解生成物の気液分離を行ない、水溶液を予熱器に送給して予熱し、予熱水溶液と有害物質とを反応器の入口において混合する技術を採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超臨界・水熱反応を発生させるためには、例えば圧力:20MPa及び温度:350℃の高圧力,高温雰囲気とすることが必要になる。
一方、反応処理された反応処理物を取り出すためには、例えば大気圧あるいはその近くまで減圧するとともに、この減圧処理が前述の超臨界・水熱反応に影響を及ぼさないようにすることが必要になる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成するものである。
▲1▼超臨界・水熱反応処理を実施しながら、反応処理物を大気圧及び低温雰囲気に導き、反応処理物の取り出し性を高めること。
▲2▼原料や反応処理物中に無機分が存在する場合において、超臨界・水熱反応処理への影響を低減すること。
▲3▼簡単な構造,装置の組み合わせで減圧処理を円滑に行なうこと。
▲4▼減圧効果の調整を容易にすること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
有機物を含有する液状化した被処理物を、超臨界・水熱反応処理手段に送り込んで、超臨界雰囲気で水熱反応させ、該超臨界・水熱反応処理手段において生成された反応処理物を、分離器に送って無機分と液分とに分離するとともに、該分離器に排出手段を接続して、反応処理物の少なくとも一部を連続的に取り出しながら減圧して無機分からガス分を除去する技術が採用される。
排出手段には、反応処理物を冷却状態とする冷却器が配され、反応処理物を冷却状態としてから減圧が行なわれる。
そして、排出手段には、減圧槽が配されて、反応処理物の挿通時に抵抗を与えることにより、反応処理物の減圧を行なう技術が適用される。
減圧槽は、反応処理物の挿通方向に沿って配される減圧棒と、該減圧棒の回りに配される減圧室とを有しているものとされる。
排出手段の下流には、減圧状態の被処理物を無機分とガス分とに分離する気液分離槽と、被処理物の挿通量を設定する流量調整弁とが配されるとともに、流量調整弁を経由した被処理物が気液分離槽に送り込まれる。
また、気液分離槽には、気液分離された無機分及びガス分を回収する懸濁物処理手段及び処理水処理手段が接続状態に配される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超臨界・水熱反応処理プラントの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、超臨界・水熱反応処理プラントの全体構成を示している。
【0008】
超臨界・水熱反応処理プラントXは、図1に示すように、被処理液状有機物aを超臨界・水熱反応処理時に必要な圧力:例えば20MPaまで加圧した状態にして供給するための原液供給手段1と、該原液供給手段1に接続され予め予熱を行なうための予熱器2と、該予熱器2に接続され被処理液状有機物aを超臨界条件雰囲気として水熱反応を行なうための超臨界・水熱反応処理手段3A,3Bと、予熱器2及び超臨界・水熱反応処理手段3A,3Bに接続され超臨界・水熱反応処理物を固形分(無機分)と液分とに分離するための分離器4A,4B,4Cと、該分離器4A,4B,4Cに接続され無機分(固形分)を減圧状態に戻して排出するための排出手段5と、該排出手段5に接続され固形分を引き取って処理するための懸濁物処理手段6と、最下流位置の分離器4Cに接続され液分を引き取って処理するための処理水処理手段7とを具備しており、排出手段5にはガス処理手段8が接続される。
【0009】
前記被処理液状有機物aは、例えば技術例1,2に記載されているフロン,PCB等の有害有機物や、汚泥,パルプスラッジ等の有機廃棄物に、超臨界・水熱反応処理時に必要な適量の水を添加調整してなるものである。
【0010】
前記原液供給手段1は、図1に示すように、被処理液状有機物aを例えば大気圧あるいは比較的低圧で貯留しておく原液槽11と、該原液槽11から被処理液状有機物aを吸引して例えば前述の20MPa程度の圧力まで加圧して供給するための供給ポンプ12とを有している。
【0011】
前記予熱器2は、図1に示すように、原液供給手段1と超臨界・水熱反応処理手段3Aとの間に介在して、被処理液状有機物aを例えば200℃程度まで予熱した状態にして、通常の場合に超臨界・水熱反応処理手段3Aに送り出し、無機分が多い場合に被処理液状有機物aを、下流の分離器4Aに送り出すものである。
【0012】
前記超臨界・水熱反応処理手段3A,3Bは、予熱器2の下流に直列状態に配される第1の反応槽31A及び第2の反応槽31Bと、該第1の反応槽31A及び第2の反応槽31Bを例えば350℃程度の温度まで加熱することによりその内部の被処理液状有機物aを超臨界条件雰囲気として水熱反応を生じさせるための加熱炉32とを有している。
【0013】
前記分離器4Aは、図1に示すように、予熱器2の下流と第1の反応槽31Aの上流とに対して接続され、分離器4Bは、第1の反応槽31Aの下流と第2の反応槽31Bの上流とに対して接続され、分離器4Cは、第2の反応槽31Bの下流に対して接続されている。
【0014】
前記排出手段5は、図1に示すように、各分離器4A,4B,4Cの下流に接続状態に配され、無機分(固形分)を連続的に大気圧程度まで減圧させた状態にして排出する機能を有している。
【0015】
排出手段5の詳細について、図2を参照して説明する。
排出手段5は、分離器4A〜4Cの下流に接続されて超臨界及び高圧(例えば20MPa程度の圧力)状態の無機分(無機懸濁物)を受け入れて冷却する冷却器51と、該冷却器51の下流に接続され流動体に対して流路抵抗を与えながら減圧を行なうための複数段の減圧槽52A〜52Cと、最下流の減圧槽52Cに接続され流量調整を行なうための流量調整弁53と、該流量調整弁53の下流に接続され気液分離によりガス分を分離除去して無機分を懸濁物処理手段6に送り出すための気液分離槽54とを有している。
【0016】
前記減圧槽52A〜52Cの詳細について補足説明すると、各減圧槽52A〜52Cは、図2に示すように円筒状とされるとともに、その内部に減圧棒52aが挿入されて、減圧棒52aの回りに狭隘状態の減圧室52bを形成しており、流体が減圧室52bを高速で通過する際の抵抗により、流体の圧力を減少させるようにしている。
【0017】
なお、冷却器51は、流体の温度を低下させるための熱交換機能を有しているもの、流量調整弁53は、流量を絞って減圧槽52A〜52Cの減圧度を調整する機能を有するものであり、気液分離槽54は、比重差を利用して気液分離を行なうための機能を有するものが適用される。
【0018】
前記処理水処理手段7は、図1に示すように、最下流位置となっている分離器4Cに接続状態に配され、分離器4Cで分離することにより生じた処理水等の液分を吸引するポンプ機能を具備するものが適用されるとともに、引き取った液分を貯留する機能を有するものが適用される。
【0019】
前記ガス処理手段8は、排出手段5の気液分離槽54における上部等の気相部分に接続され、気相分のガス分を吸引して回収する機能や、回収したガスを貯留あるいは必要な処理する機能を有するものが適用される。
【0020】
なお、図1及び図2において、bは切替弁、cは制御弁、dは背圧弁を示している。
【0021】
このような水熱反応処理プラントXでは、原液供給手段1を作動させて、20MPa程度の所望圧力とした被処理液状有機物aを予熱器2に供給し、例えば臨界状態となる前の温度(例えば200℃程度)まで加熱(予熱)してから、超臨界・水熱反応処理手段3Aに送り込んで、目的とする超臨界・水熱反応を発生させる。
【0022】
この際に、被処理液状有機物aから無機分が分離または析出した場合、あるいは無機分の分離量が多い場合には、切替弁bの切り替えにより、分離器4Aに予熱された被処理液状有機物aを送り込んで、無機分を沈降させるとともに、液状部分のみを超臨界・水熱反応処理手段3Aに送り込む工程が採用される。
無機分の分離が少ない場合や全くない場合には、分離器4Aに送り込むことなく、予熱された被処理液状有機物aを直接的に超臨界・水熱反応処理手段3Aに送り込む工程が採用される。
【0023】
超臨界・水熱反応処理手段3Aに送り込まれた予熱状態の被処理液状有機物aは、加熱炉32の作動により、超臨界・水熱反応の発生適温(例えば前述の20MPaの条件下で350℃程度の温度)まで加熱される。
これらの高温高圧条件と、被処理液状有機物aに水が介在している(混入されている)条件とが重畳すると、超臨界環境で水熱反応が発生し、有機物が組成的に分解して水に溶解する現象が促進される。
この際に、有機物(前述したフロン,PCB,汚泥,パルプスラッジ等の炭素化合物)と水との混合体は、超臨界環境において、水に対してほぼ均一に溶け込んだ状態となる。
【0024】
1段目の超臨界・水熱反応処理手段3Aにおいて、十分な温度が得られず、臨界状態に達しない場合や、無機分の分解析出が多い場合には、超臨界・水熱反応処理手段3Aの下流の切替弁bを切り替えて、分離器4Bから次段の超臨界・水熱反応処理手段3Bに液分を送り込むようにして、超臨界・水熱反応処理を行なう。
したがって、超臨界・水熱反応処理手段3A,3Bは、3段以上とすることができる。
【0025】
超臨界・水熱反応によって生成された反応処理物は、分離器4B,4Cに送り込まれることにより、減圧された状態となり、超臨界水中の無機分(シリカ分や塩分等)が析出して、分離器4B,4Cの底部に堆積する。
この際に分離した上澄水は、次段の分離器4Cまたは処理水処理手段7に送り込まれて処理される。
【0026】
分離器4A,4B,4Cで分離析出または堆積した無機分は、分離器4A,4B,4Cの上流の切替弁bを閉塞して、高圧環境と切り離した状態で、排出手段5との間の制御弁cを開放することにより、残された水とともに、排出手段5に移送される。
【0027】
分離器4A,4B,4Cから、高温高圧状態の水混じりの無機分が、冷却器51に送り込まれると、冷却された後に、高圧状態のまま最上流の減圧槽52Aに送り込まれて、以下順次減圧される。
【0028】
1段目の減圧槽52Aにあって、減圧室52bの下流が低圧状態になっていると、流体が急速な圧力解放によって気化されるとともに、速度が速められて減圧室52bを通過し、次段(下流)の減圧槽52Bに送り出される。
2段目の減圧槽52B及び3段目の減圧槽52Cにあっても、減圧に基づく気化が促進されて、水蒸気を含むガス分と無機分との混合流体が次第に減圧され、流量調整弁53を経由して気液分離槽54に送り出される。
【0029】
流量調整弁53にあっては、その下流雰囲気が例えば大気圧等の低圧環境となっている際に、減圧槽52Cから気液分離槽54に送り出す流量を調整して、所望の減圧を行なうようにしている。
【0030】
気液分離槽54に送り込まれたガス混合流体は、分離したガス分(CO2 ,水蒸気等)がガス処理手段8に引き取られて、必要に応じた処理がなされるとともに、無機分及び一部の水が、懸濁物処理手段6に引き取られることにより回収される。
これらの場合にあって、懸濁物処理手段6及びガス処理手段8は、無機分やガス分を連続的に受け入れる機能を有するものとされる。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る有機物の超臨界・水熱反応処理方法及びその処理プラントによれば、以下の効果を奏する。
(1) 被処理物を、超臨界雰囲気で水熱反応させ、生成された反応処理物を、無機分と液分とに分離する分離器に排出手段を接続して、反応処理物の少なくとも一部を連続的に取り出すことにより、超臨界・水熱反応処理時の反応処理物の取り出し性を高めることができる。
(2) 反応処理物を減圧して無機分からガス分を除去することにより、有機物中の無機分の分離を促進させることができる。
(3) 反応処理物を冷却状態としてから減圧することにより、大気圧等までの減圧を容易に行なうことができる。
(4) 排出手段に減圧槽を配するとともに、該減圧槽を減圧棒とその回りの減圧室との組み合わせで構成することにより、減圧のための装置や機器を簡略化することができ、加えて、減圧処理を円滑なものとすることができる。
(5) 排出手段の下流に流量調整弁を配して、減圧槽における被処理物の挿通量を調整することにより、超臨界・水熱反応処理への影響を低減しながら、反応処理物の取り出しを、連続して安定化状態で行なうことができる。
(6) 減圧棒及び減圧室を介在させることにより、減圧効果の設定及び調整を容易にし、かつ、超臨界・水熱反応処理を高い精度で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る有機物の超臨界・水熱反応処理方法及びその処理プラントの第1実施形態を示す結線図である。
【図2】 図1の排出手段を示すブロック図を併記した正断面図である。
【符号の説明】
X 超臨界・水熱反応処理プラント
a 被処理物(被処理液状有機物)
1 原液供給手段
2 予熱器
3A,3B 超臨界・水熱反応処理手段
4A,4B,4C 分離器
5 排出手段
6 懸濁物処理手段
7 処理水処理手段
8 ガス処理手段
11 原液槽
12 供給ポンプ
31A 第1の反応槽
31B 第2の反応槽
32 加熱炉
51 冷却器
52A〜52C 減圧槽
52a 減圧棒
52b 減圧室
53 流量調整弁
54 気液分離槽
b 切替弁
c 制御弁
d 背圧弁

Claims (9)

  1. 被処理物を超臨界・水熱反応処理手段で超臨界・水熱反応させる反応工程と、
    前記超臨界・水熱反応処理手段に接続された分離器によって前記超臨界・水熱反応処理手段によって生成された反応処理物を無機分と液分とに分離する分離工程と、
    前記分離器に接続された排出手段によって前記無機分を前記分離器から連続的に取り出しながら減圧して当該無機分からガス分を除去して排出する排出工程と
    を有することを特徴とする有機物の超臨界・水熱反応処理方法。
  2. 排出工程では、ガス分が除去された無機分を冷却してから減圧して排出することを特徴とする請求項1記載の有機物の超臨界・水熱反応処理方法。
  3. 排出工程では、冷却された無機分を減圧槽に導いて、挿通時に抵抗を与えることにより減圧を行なうことを特徴とする請求項2記載の有機物の超臨界・水熱反応処理方法。
  4. 被処理物を超臨界・水熱反応させる超臨界・水熱反応処理手段と、
    該超臨界・水熱反応処理手段に接続され、当該超臨界・水熱反応処理手段で生成された反応処理物を無機分と液分とに分離する分離器と、
    前記分離器に接続され、当該分離器から無機分を連続的に取り出しながら減圧して当該無機分からガス分を除去する排出手段と
    を具備することを特徴とする有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
  5. 排出手段は、無機分を冷却する冷却器を有することを特徴とする請求項4記載の有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
  6. 排出手段は、無機分の挿通時に抵抗を与えることにより減圧を行なう減圧槽を有することを特徴とする請求項4または5記載の有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
  7. 減圧槽は、無機分の挿通方向に沿って配される減圧棒と、該減圧棒の回りに配される減圧室とを有していることを特徴とする請求項6記載の有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
  8. 排出手段は、減圧された無機分からガス分を分離する気液分離槽を有することを特徴とする請求項6または7記載の有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
  9. 排出手段は、無機分の挿通量を設定する流量調整弁を有することを特徴とする請求項6、7または8記載の有機物の超臨界・水熱反応処理プラント。
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