JP3887184B2 - 2相流体測定方法および測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電粉体塗装や微粉炭燃料などに用いて好適な2相流体測定方法および測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に従来の2相流体測定装置を使用した2相流体コントロールシステムの一例を示す。同図において、1は送風機、2は送風機1からの空気流量を調整する調整弁、3はオリフィス流量計、4は固体粒子(粉体)Sが蓄えられたロードセル、5はロードセル4からの固体粒子Sの供給量を調整する調整弁、6はロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsを検出する流量計、7はベンチュリータイプの2相流流量計、8は単管密度計、9は第1のコントローラ、10Aは第2のコントローラである。
【0003】
送風機1からの空気Aはロードセル4からの固体粒子Sと混合され2相流体A+Sとされる。オリフィス流量計3は固体粒子Sと混合される前の空気Aの流量に応じた差圧ΔPA を出力する。2相流流量計7はそこを流れる2相流体A+Sの流量に応じた差圧ΔPA+S を出力する。
【0004】
2相流流量計7については、例えば特開平5−133786号公報(特許第2733717号)などに示されているのでここでの詳しい説明は省略するが、絞り機構で生じる差圧をリモートシール形差圧発信器を使用して検出する。受圧部が広いので2相流体の流量に応じた差圧を支障なく検出することができる。単管密度計8は、2相流体A+Sの流出路部分の配管を立ち上げてその途中に設けられており、そこを流れる2相流体A+Sの上下h間(h≒1.5m)の差圧ΔPhを出力する。
【0005】
このシステムにおいて、コントローラ9は、オリフィス流量計3からの差圧ΔPA を入力とし、この差圧ΔPA から固体粒子Sとの混合部への空気Aの容量流量QA をQA =K1 ・(ΔPA /γA )1/2 として求め(K1 はオリフィス流量計3の係数、γA は既知のパラメータとして設定されている空気の密度)、混合部への空気Aの容積流量QA が所定値となるように調整弁2の開度を制御する。
【0006】
コントローラ10Aは、単管密度計8からの差圧ΔPhを入力とし、ΔPh=γA+S ・hなる式から、γA+S =ΔPh/hとして2相流体A+Sの密度(流体Aと固体粒子Sとの混合密度)γA+S を求める。また、この求めた2相流体A+Sの密度γA+S と2相流流量計7からの差圧ΔPA+S とから2相流体A+Sの容積流量QA+S をQA+S =K2 ・(ΔPA+S /γA+S )1/2 として求める(K2 は2相流流量計7の係数)。そして、この求めた密度γA+S や容積流量QA+S が2相流体A+Sの用途に応じた所定の範囲となるように、流量計6からの固体粒子Sの容積流量Qsを見ながら、調整弁5の開度を制御する。
【0007】
なお、サイコロ状の固体粒子では2相流体A+Sの容積流量QA+S に占める質量流量WA+S の割合が30%程度、球状の固体粒子では50%程度になると、抵抗の増大により管路が詰まる虞れが大となる。ラフな制御として、管路が詰まらないように、2相流体A+Sの密度γA+S ,質量流量WA+S ,容積流量QA+S に基づいて固体粒子Sの供給量を制御することもある。なお、質量流量WA+S は、容積流量QA+S と同様にして、2相流体A+Sの密度γA+S と2相流流量計7からの差圧ΔPA+S とから求めることが可能である。
【0008】
しかしながら、このシステムでは、コントローラ10Aにおいて2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S を求めるために、2相流流量計7に加えて単管密度計8を使用しており、単管密度計8を使用する分、コストが高くなる。また、単管密度計8を設けるために2相流体A+Sの流出路部分に5m前後の配管の立ち上げLを必要とし、これもコストアップの要因となる。さらに、2相流流量計7による計測差圧ΔPA+S の誤差分に単管密度計8による計測差圧ΔPhの誤差分がプラスされるため、測定精度があまりよくない。特に、単管密度計8による計測差圧ΔPhの誤差分が大きく、測定精度を悪化させている。
【0009】
〔従来例2(先願)〕
そこで、本出願人は、先に特願2000−45920として、単管密度計を使用せずに、簡単かつシンプルなシステム構成で、2相流体の密度や容積流量を精度よく測定することの可能な2相流体測定方法および測定装置を提案した。
【0010】
図7はこの特願2000−45920(先願)に示された2相流体測定装置を使用した2相流体コントロールシステムのシステム構成図である。同図において、図6と同一符号は同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。このシステムでは、従来例1(図6)で必要とされていた単管密度計8を省略した構成とされており、2相流体A+Sの流出路部分の配管の立ち上げLをなくし、簡単かつシンプルなシステム構成とされている。
【0011】
このシステムの概略を説明すると、コントローラ10Bにおいて、2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S と流量計6からの固体粒子Sの容積流量Qsとから2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsなどを近似計算の繰り返しにより求め、密度γA+S や容積流量QA+S が2相流体A+Sの用途に応じた所定の範囲となるように、調整弁5の開度を制御する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この先願のシステムでは、従来例1のシステムに対して上述したような利点を有しているが、流量計6が検出するロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsを使用して2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsを測定するようにしているため、測定精度の大きな向上が望めなかった。
【0013】
すなわち、ロードセル4は固体粒子Sをフィードすることを目的としており、混合部への固体粒子Sのフィード量を精度よく測定することの可能な構造とはなっていない。このため、流量計6からコントローラ10Bへの固体粒子Sの容積流量Qsに無視することのできない誤差が生じ、測定精度を悪化させる。また、測定原理として、混合部への固体粒子Sの容積流量Qsが既知であることが必要とされ、固体粒子Sの容積流量Qsが未知の状態での2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsの測定は不可能であった。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、測定精度の向上を図ることの可能な、また固体粒子の容積流量が未知であっても2相流体の密度や容積流量,固体粒子の容積含有率などを測定することの可能な、2相流体測定方法および測定装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、流体に固体粒子を混合して2相流体とし、固体粒子と混合される前の流体の流路にその流体の流量を差圧として検出する第1の流量計を設け、2相流体の流路にその2相流体の流量を差圧として検出する第2の流量計を設け、第1の流量計からの計測差圧より求められる流体の容積流量を2相流体の容積流量の第1近似値とし、第1の流量計からの計測差圧と第2の流量計からの計測差圧とから2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値を求め、この固体粒子の容積含有率の第1近似値と2相流体の容積流量の第1近似値とから2相流体の容積流量の第2近似値を求め、この2相流体の容積流量の第2近似値と第2の流量計からの計測差圧とから2相流体の密度の第2近似値を求め、この2相流体の密度の第2近似値から2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を求め、この2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値に代入して、所定の条件が成立するまで上記の近似計算を繰り返すようにしたものである。
【0018】
この発明によれば、第1の流量計(例えば、オリフィス流量計)からの計測差圧(ΔPA )より求められる流体の容積流量(QA )が2相流体の容積流量の第1近似値(Q)とされ、第1の流量計からの計測差圧(ΔPA )と第2の流量計からの計測差圧(ΔPA+S )とから2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値(φ)が求められ、この固体粒子の容積含有率の第1近似値(φ)と2相流体の容積流量の第1近似値(Q=QA )とから2相流体の容積流量の第2近似値(Q’)が求められ、この2相流体の容積流量の第2近似値(Q’)と第2の流量計からの計測差圧(ΔPA+S )とから2相流体の密度の第2近似値(γ’)が求められ、この2相流体の密度の第2近似値(γ’)から2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値(φ’)が求められ、この2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値(φ’)が第1近似値(φ)に代入され(φ←φ’)、所定の条件が成立するまで上記の近似計算が繰り返される。所定の条件が成立すれば、この近似計算はストップされる。
【0019】
所定の条件としては、例えば、2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値(φ’)と第1近似値(φ)とがほゞ等しくなったとき、近似計算の繰り返し回数が所定値に達したときなどとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す2相流体測定装置の要部を示す図である。同図において、3はオリフィス流量計、4は固体粒子(粉体)Sが蓄えられたロードセル、7はベンチュリータイプの2相流流量計であり、これらについては図6や図7に示したシステム構成に用いられているものと同じであるのでその説明は省略する。
【0021】
この実施の形態では、オリフィス流量計3が検出する空気Aの流量に応じた差圧ΔPA と2相流流量計7が検出する2相流体A+Sの流量に応じた差圧ΔPA+S を測定部11へ与え、測定部11において、この計測差圧ΔPA とΔPA+S とから2相流体A+Sの密度γA+S ,容積流量QA+S および固体粒子Sの含有率φsを以下に説明する近似計算の繰り返しによって求める。なお、測定部11は、中央演算装置(CPU)および記憶装置を含む演算装置(例えばコンピュータ)であって、プログラムと協働することにより、後述する演算処理フローに従って演算処理を実行する。
【0022】
〔第1近似計算〕
空気Aの容積流量QA を2相流体A+Sの容積流量QA+S の第1近似値(QA+ S )1 とする。
QA =(QA+S )1 ・・・・(1)
この(1)式と差圧流量計の基礎式である下記(2),(3)式により、QA+S =(QA+S )1 とした場合、下記の(4)式ができる。
【0023】
QA =K1 ・(ΔPA /γA )1/2 ・・・・(2)
QA+S =K2 ・(ΔPA+S /γA+S )1/2 ・・・・(3)
γA+S =γA ・(ΔPA+S /ΔPA )(K2 /K1 )2 ・・・・(4)
【0024】
固体粒子の容積含有率φsから2相流体A+Sの密度γA+S を計算する基礎式である下記(5)式と上記(4)式とから(6)式ができる。
γA+S =γA ・(1−φs)+φs・γS ・・・・(5)
φs=〔(ΔPA+S /ΔPA )・(K2 /K1 )2 −1〕/〔(γS /γA )−1〕 ・・・・(6)
この(6)式より得られるφsを固体粒子Sの容積含有率の第1近似値φ1 とする。
【0025】
なお、(5)式は、図2を基に導かれる。すなわち、2相流体A+Sの密度はγA+S であり、固体粒子Sの密度はγsであり、空気Aの密度はγA であり、2相流体A+Sの容積流量はQA+S 、空気Aの容積流量はQA 、固体流体Sの容積流量はQsであり、固体粒子Sの容積含有率をφsとすれば、空気Aの容積含有率は(1−φs)で表される。この場合、QA+S ・γA+S =QA ・γA ・(1−φs)+Qs・φs・γsとなり、QA+S を1とすれば、上記(5)式が導かれる。
【0026】
〔第2近似計算〕
(6)式で計算したφ1 で(1)式の第1近似値(QA+S )1 を補正し、下記(7)式を作る。
QA =(QA+S )1 ’・(1−φ1 ) ・・・・(7)
この(7)式より、
(QA+S )1 ’=QA /(1−φ1 ) ・・・・(8)
として、(QA+S )1 ’を求め、この(QA+S )1 ’を容積流量QA+S の第2近似値(QA+S )2 とする。
【0027】
この第2近似値(QA+S )2 を(3)式に代入し、下記(9)式を作る。
(QA+S )2 =K2 ・(ΔPA+S /γA+S )1/2 ・・・・(9)
この(9)式より、
γA+S =〔K2 /(QA+S )2 〕2 ・ΔPA+S ・・・・(10)
として、γA+S を求め、このγA+S を2相流体の密度の第2近似値(γA+S )2 とする。
【0028】
次に、この第2近似値(γA+S )2 を(5)式に代入し、下記(11)式を作る。
(γA+S )2 =γA ・(1−φs)+φs・γS ・・・・(11)
この(11)式より、下記(12)式を作り、
φs={〔(γA+S )2 /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1} ・・・・(12)
この(12)式より得られるφsを固体粒子Sの容積含有率の第2近似値φ2 とする。
【0029】
〔第3近似計算〕
(12)式で計算したφ2 で(1)式の第1近似値(QA+S )1 を補正し、下記(13)式を作る。
QA =(QA+S )1 ’・(1−φ2 ) ・・・・(13)
この(13)式より、
(QA+S )1 ’=QA /(1−φ2 ) ・・・・(14)
として、(QA+S )1 ’を求め、この(QA+S )1 ’を容積流量QA+S の第3近似値(QA+S )3 とする。
【0030】
この第3近似値(QA+S )3 を(3)式に代入し、下記(15)式を作る。
(QA+S )3 =K2 ・(ΔPA+S /γA+S )1/2 ・・・・(15)
この(15)式より、
γA+S =〔K2 /(QA+S )3 〕2 ・ΔPA+S ・・・・(16)
として、γA+S を求め、このγA+S を2相流体の密度の第3近似値(γA+S )3 とする。
【0031】
次に、この第3近似値(γA+S )3 を(5)式に代入し、下記(17)式を作る。
(γA+S )3 =γA ・(1−φs)+φs・γS ・・・・(17)
この(17)式より、下記(18)式を作り、
φs={〔(γA+S )3 /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1} ・・・・(18)
この(18)式より得られるφsを固体粒子Sの容積含有率の第3近似値φ3 とする。
以下、同様の手順で計算を繰り返し、第n近似まで進める。
【0032】
〔第n近似計算〕
n−1回の繰り返し計算で求めたφn-1 で(1)式の第1近似値(QA+S )1 を補正し、下記(19)式を作る。
QA =(QA+S )1 ’・(1−φn-1 ) ・・・・(19)
この(19)式より、
(QA+S )1 ’=QA /(1−φn-1 ) ・・・・(20)
として、(QA+S )1 ’を求め、この(QA+S )1 ’を容積流量QA+S の第n近似値(QA+S )n とする。
【0033】
この第n近似値(QA+S )n を(3)式に代入し、下記(21)式を作る。
(QA+S )n =K2 ・(ΔPA+S /γA+S )1/2 ・・・・(21)
この(21)式より、
γA+S =〔K2 /(QA+S )n 〕2 ・ΔPA+S ・・・・(22)
として、γA+S を求め、このγA+S を2相流体の密度の第n近似値(γA+S )n とする。
【0034】
次に、この第n近似値(γA+S )n を(5)式に代入し、下記(23)式を作る。
(γA+S )n =γA ・(1−φs)+φs・γS ・・・・(23)
この(23)式より、下記(24)式を作り、
φs={〔(γA+S )n /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1} ・・・・(24)
この(24)式より得られるφsを固体粒子Sの容積含有率の第n近似値φn とする。
【0035】
〔近似計算の繰り返しの停止〕
第n−1近似計算で求めたφn-1 と第n近似計算で求めたφn との差をφn で除してその百分率δを求め、すなわち100・(φn-1 −φn )/φn を算出し、この算出した値δ=100・(φn-1 −φn )/φn と所定値εとを比較する。δ<εになった場合に、すなわち下記の(25)式が成立した場合に、繰り返し計算を停止する。
100・(φn-1 −φn )/φn <ε ・・・・(25)
【0036】
〔実証〕
上述した繰り返し計算の手法で、2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsを測定することができることを、例題を基に実証する。
この実証では、オリフィス流量計3側、2相流流量計7側の流体仕様を次のとおりとする。
【0037】
〔オリフィス流量計3側:空気〕
空気の流量QA :1000〔m3 /h〕
空気の密度:γA :1.2929〔kg/m3 〕
圧力:p=0〔MPa.G〕
温度:t=0〔℃〕
配管内径:D=100〔mm〕
絞り直径比:β=0.60〔−−−〕
差圧:ΔPA =14.772〔KPa〕
流量計係数:K1 =1000/(14.772/1.2929)1/2 =295.84
流出係数:c=0.6064
【0038】
〔2相流流量計7側:空気と微粉体との混合2相流〕
2相流体の流量:QA+S =1010〔m3 /h〕
固体粒子の密度:γs=1000〔kg/m3 〕
固体粒子の容積含有率:φs=0.00990099〔−−−〕
2相流体の密度:γA+S =1.2929×(1.0−0.00990099)+1000×0.00990099=11.1811〔kg/m3 〕
圧力:p=0〔MPa.G〕
温度:t=0〔℃〕
配管内径:D=100〔mm〕
絞り直径比:β=0.60〔−−−〕
差圧:ΔPA+S =53.515〔KPa〕
流量計係数:K2 =1010/(53.515/11.1811)1/2 =461.66
流出係数 :c=0.95
【0039】
〔繰り返し計算〕
繰り返し計算により2相流体A+Sの密度γA+S ,容積流量QA+S および固体粒子Sの含有率φsを求める。入手できるデータはオリフィス流量計3からの計測差圧ΔPA と2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S のみである。これらの差圧を使い、固体粒子Sの含有率φsが収束する迄、繰り返し計算を行う。実際の測定では、収束の確認は(25)式で行うが、今回は上述した流体仕様に示したとおり、固体粒子の容積含有率φsがφs=0.00990099として予め判っているので、この容積含有率φs=0.00990099を理論含有率とし、この理論含有率φsと比較した。
【0040】
〔第1近似計算〕
(4)式により、
γA+S =γA ・(ΔPA+S /ΔPA )・(K2 /K1 )2 =1.2929・(53.515/14.772)・(461.66/295.84)2 =11.406〔kg/m3 〕を得る。
(6)式により、
φ1 =〔(ΔPA+S /ΔPA )・(K2 /K1 )2 −1〕/〔(γS /γA )−1〕=〔(53.515/14.772 )(461.66/295.84)2 −1〕/〔(1000/1.2929)−1〕=0.010126を得る。
【0041】
固体粒子Sの理論含有率φsがφs=0.00990099であるので、このφs=0.00990099と計算により得られたφ1 =0.010126とから、δ=100・(φ1 −φs)/φs=100・(0.010126−0.00990099)/0.00990099を計算する。この場合、δ=2.27%となる。
【0042】
〔第2近似計算〕
(7)式により、
QA =(QA+S )2 ・(1−φ1 )
(QA+S )2 =QA /(1−φ1 )
(QA+S )2 =1000/(1−0.010126)=1010.2〔m3 /h〕を得る。
この(QA+S )2 =1010.2を(10)式に代入すると、
(γA+S )2 =〔K2 /(QA+S )2 〕2 ・ΔPA+S =〔461.66/1010.2〕2 ×53.515=11.1765〔kg/m3 〕が得られる。
【0043】
この計算により得られた(γA+S )2 =11.1765を(12)式に代入すると、
φ2 ={〔(γA+S )2 /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1}={〔(11.1765/1.2929〕−1}/{〔1000/1.2929〕−1}=0.0098965が得られる。
【0044】
固体粒子Sの理論含有率φsがφs=0.00990099であるので、このφs=0.00990099と計算により得られたφ2 =0.0098965とから、δ=100・(φ2 −φs)/φs=100(0.0098965−0.00990099)/0.00990099を計算する。この場合、δ=0.046%となる。
【0045】
〔第3近似計算〕
(13)式により、
QA =(QA+S )3 ・(1−φ2 )
(QA+S )3 =QA /(1−φ2 )
(QA+S )3 =1000/(1−0.0098965)=1009.995〔m3 /h〕を得る。
この計算した(QA+S )3 =1009.995を(16)式に代入すると、
(γA+S )3 =〔K2 /(QA+S )3 〕2 ・ΔPA+S =〔461.66/1009.995〕2 ×53.515=11.1810〔kg/m3 〕が得られる。
【0046】
この計算により得られた(γA+S )3 =11.1810を(18)式に代入すると、
φ3 ={〔(γA+S )3 /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1}={〔(11.1810/1.2929〕−1}/{〔1000/1.2929〕−1}=0.0099009が得られる。
【0047】
固体粒子Sの理論含有率φsがφs=0.00990099であるので、このφs=0.00990099と計算により得られたφ3 =0.0099009とから、δ=100・(φ3 −φs)/φs=100(0.0099009−0.00990099)/0.00990099を計算する。この場合、δ=0.001%となる。
【0048】
〔第4近似計算〕
第3近似計算と同様にして、
QA =(QA+S )4 ・(1−φ3 )
(QA+S )4 =QA /(1−φ3 )
(QA+S )4 =1000/(1−0.0099009)=1010.00〔m3 /h〕を得る。
この計算した(QA+S )4 =1010.00から(γA+S )4 を逆算し、
(γA+S )4 =〔K2 /(QA+S )4 〕2 ・ΔPA+S =〔461.66/1010.00〕2 ×53.515=11.1809〔kg/m3 〕を得る。
【0049】
この計算により得られた(γA+S )4 =11.1809より、
φ4 ={〔(γA+S )4 /γA 〕−1}/{〔γS /γA 〕−1}={〔(11.1809/1.2929〕−1}/{〔1000/1.2929〕−1}=0.00990081が得られる。
【0050】
固体粒子Sの理論含有率φsがφs=0.00990099であるので、このφs=0.00990099と計算により得られたφ4 =0.00990081とから、δ=100・(φ4 −φs)/φs=100・(0.00990081−0.00990099)/0.00990099を計算する。この場合、δ=0.002%となる。
【0051】
図3(a)および(b)に第1近似から第4近似までの実証結果を示す。この例では、第3近似まで繰り返し計算すれば収束が完了し、それ以上の繰り返し計算は無意味であることが分かる。また、3%程度の誤差が許されるときは繰り返し計算は必要なく、第1近似で完了できることも分かる。
【0052】
〔近似計算を繰り返す演算処理フロー〕
図4に測定部11での2相流体A+Sの密度γA+S ,容積流量QA+S および固体粒子Sの含有率φsの演算処理フローを示す。
【0053】
測定部11は、先ず、オリフィス流量計3からの計測差圧ΔPA より前記(2)式に従って空気Aの容積流量QA を求め、この求めたQA を2相流体A+Sの容積流量QA+S の第1近似値Qとする(ステップ401)。
また、オリフィス流量計3からの計測差圧ΔPA および2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S を前記(6)式に代入し、2相流体A+Sにおける固体粒子Sの容積含有率φsの第1近似値φ(=φ1 )を求める(ステップ402)。
【0054】
この第1近似値φを前記(8)式に代入し、容積流量QA+S の第2近似値Q’(=(QA+S )2 )を求める(ステップ403)。なお、この計算において、(8)式のQA にはステップ401で求めた空気Aの容積流量QA 、すなわち容積流量QA+S の第1近似値Qを代入し、Q’=QA /(1−φ)=Q/(1−φ)として容積流量QA+S の第2近似値Q’を求める。
【0055】
そして、この求めた容積流量QA+S の第2近似値Q’および2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S を前記(10)式に代入し、2相流体A+Sの密度γA+S の第2近似値γ’(=(γA+S )2 )を求める(ステップ404)。そして、この求めた第2近似値γ’を前記(12)式に代入し、2相流体A+Sにおける固体粒子Sの容積含有率φsの第2近似値φ’(=φ2 )を求める(ステップ405)。
【0056】
そして、測定部11は、ステップ402で求めた2相流体A+Sにおける固体粒子Sの容積含有率φsの第1近似値φとステップ405で求めた第2近似値φ’との差を第2近似値φ’で除してその百分率δを求め、すなわち100・(φn-1 −φn )/φn を算出し、この算出した値δ=100・(φn-1 −φn )/φn と所定値εとを比較する(ステップ406)。δ≧εであれば、ステップ407へ進み、φをφ’に置き換えて、すなわち第2近似値φ’を第1近似値φに代入して、δ<εとなるまでステップ403〜406の近似計算を繰り返す。本実施の形態において、εは、例えば0.05%として定めている。
【0057】
ステップ406において、δ<εとなれば、すなわち2相流体A+Sにおける固体粒子Sの容積含有率φsの第1近似値φ(=φn-1 )と第2近似値φ’(=φn )とがほゞ等しくなれば、ステップ408へ進み、このときのφ’すなわちステップ405で求められた最終の第2近似値φ’(=φn )を2相流体A+Sにおける固体粒子Sの容積含有率φsとする。また、このときのQ’すなわちステップ403で求められた最終の第2近似値Q’(=(QA+S )n )を2相流体A+Sの容積流量QA+S とする。また、このときのγ’すなわちステップ404で求められた最終の第2近似値γ’(=(γA+S )n )を2相流体A+Sの密度γA+S とする。
【0058】
このように、本実施の形態の2相流体測定装置によれば、オリフィス流量計3からの計測差圧ΔPA と2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S とから、2相流体A+Sの密度γA+S ,容積流量QA+S および固体粒子Sの容積含有率φsが求められるので、すなわちロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsの計測値を使用しないので、測定精度が向上するものとなる。
【0059】
また、この実施の形態では、ロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsを使用しないので、固体粒子Sの容積流量Qsが未知の状態で、2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsを測定することが可能となる。したがって、容積流量Qsを計測する必要がなく、ロードセル4からの固体粒子Sの出口に流量計を設けなくてもよい。
【0060】
なお、ロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsが一定(ロードセル4からのフィード量が固定)であれば、先願(図7)の方法でも流量計6を省略することが可能である。しかし、この場合、ロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsは既知の値として、コントローラ10Bへセットしておく必要がある。これに対して、本実施の形態では、ロードセル4からの固体粒子Sの容積流量Qsが既知である必要はなく、固体粒子Sの容積流量Qsを測定部11にセットしておくというようなことは行わなくてもよい。
【0061】
また、この実施の形態では、繰り返される近似計算中、固体粒子Sの容積含有率の第2近似値φ’(=φn )と第1近似値φ(=φn-1 )とがほゞ等しくなったときに近似計算をストップするようにしたが、近似計算の繰り返し回数を定め、所定回数に達したらストップするようにしてもよい。実際には、2回程度の近似計算の繰り返しで、2相流体A+Sの真値に近い密度γA+S ,容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsを得ることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、2相流体A+Sを空気Aと固体粒子Sとを混合したものとしたが、空気に代えて他の気体を用いるようにしてもよい。また、液体と固体とを混合した2相流体としてもよい。
また、本実施の形態では、空気の密度γA や固体粒子Sの密度γsを既知のパラメータとして測定部11に設定するようにしているが、計測値として測定部11に与えるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、2相流体の測定原理を説明するためにその要部を抽出して説明したが、図6や図7に示したと同様に2相流体コントロールシステムに使用することが可能である。この場合のシステム構成を図5に示す。この2相流体コントロールシステムでは、コントローラ10Cにおいて、オリフィス流量計3からの計測差圧ΔPA と2相流流量計7からの計測差圧ΔPA+S とから2相流体A+Sの密度γA+S や容積流量QA+S ,固体粒子Sの容積含有率φsを近似計算の繰り返しにより求め、密度γA+S や容積流量QA+S が2相流体A+Sの用途に応じた所定の範囲となるように、調整弁5の開度を制御する。
【0065】
また、本実施の形態において、流量計3はオリフィス流量計に限られるものではなく、2相流流量計7もベンチュリータイプのものに限れるものでもない。2相流流量計7の機能としては、固体粒子の流れで詰まりが生じにくいことが望まれる。
また、図5に示した構成では、送風機1を用いて固体粒子Sとの混合部に空気Aを送るようにしているが、2相流体A+Sの流出側に吸引機を設けて空気を引っ張るようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、第1の流量計(例えば、オリフィス流量計)からの計測差圧(ΔPA )と第2の流量計(例えば、ベンチュリータイプの2相流流量計)からの計測差圧(ΔPA+S )とから、2相流体の密度(γA+S ),容積流量(QA+S )および固体粒子の容積含有率(φA+S )が近似計算の繰り返しにより求められるので、すなわち混合部への固体粒子の容積流量の計測値を使用しないので、測定精度の向上を図ることが可能となる。また、混合部への固体粒子の容積流量が未知の状態で、2相流体の密度(γA+S )や容積流量(QA+S ),固体粒子Sの容積含有率(φs)などを測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す2相流体測定装置の要部を示す図である。
【図2】 γA+S =γA ・(1−φs)+φs・γS なる式が導かれる基になる図である。
【図3】 第1近似から第4近似までの実証結果を示す図である。
【図4】 この2相流体測定装置の測定部における2相流体A+Sの密度γA+S ,容積流量QA+S および固体粒子Sの容積含有率φsの演算処理フローを示す図である。
【図5】 この2相流体測定装置を使用した2相流体コントロールシステムのシステム構成図である。
【図6】 従来の2相流体測定装置を使用した2相流体コントロールシステムのシステム構成図である。
【図7】 先願に示された2相流体測定装置を使用した2相流体コントロールシステムのシステム構成図である。
【符号の説明】
1…送風機、2…調整弁、3…オリフィス流量計、4…ロードセル、5…調整弁、6…流量計、7…2相流流量計、9…第1のコントローラ、10C…第2のコントローラ、11…測定部、A…空気、S…固体粒子(粉体)、A+S…2相流体。
Claims (6)
- 流体に固体粒子を混合して2相流体とし、
前記固体粒子と混合される前の前記流体の流路にその流体の流量を差圧として検出する第1の流量計を設け、
前記2相流体の流路にその2相流体の流量を差圧として検出する第2の流量計を設け、
前記第1の流量計からの計測差圧より求められる前記流体の容積流量を前記2相流体の容積流量の第1近似値とし、
前記第1の流量計からの計測差圧と前記第2の流量計からの計測差圧とから前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値を求め、
この固体粒子の容積含有率の第1近似値と前記2相流体の容積流量の第1近似値とから前記2相流体の容積流量の第2近似値を求め、
この2相流体の容積流量の第2近似値と前記第2の流量計からの計測差圧とから前記2相流体の密度の第2近似値を求め、
この2相流体の密度の第2近似値から前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を求め、
この2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値に代入して、所定の条件が成立するまで上記の近似計算を繰り返すようにした ことを特徴とする2相流体測定方法。 - 請求項1に記載された2相流体測定方法において、前記所定の条件を前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値と第1近似値とがほゞ等しくなったときとしたことを特徴とする2相流体測定方法。
- 請求項1に記載された2相流体測定方法において、前記所定の条件を前記近似計算の繰り返し回数が所定値に達したときとしたことを特徴とする2相流体測定方法。
- 流体を流す流体流手段と、
流れてくる流体に固体粒子を混合して2相流体とする固体粒子混合手段と、
前記固体粒子と混合される前の前記流体の流路に設けられその流体の流量を差圧として検出する第1の流量計と、
前記2相流体の流路に設けられその2相流体の流量を差圧として検出する第2の流量計と、
前記第1の流量計からの計測差圧より求められる前記流体の容積流量を前記2相流体の容積流量の第1近似値とし、前記第1の流量計からの計測差圧と前記第2の流量計からの計測差圧とから前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値を求め、この固体粒子の容積含有率の第1近似値と前記2相流体の容積流量の第1近似値とから前記2相流体の容積流量の第2近似値を求め、この2相流体の容積流量の第2近似値と前記第2の流量計からの計測差圧とから前記2相流体の密度の第2近似値を求め、この2相流体の密度の第2近似値から前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を求め、この2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値を前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第1近似値に代入して、所定の条件が成立するまで上記の近似計算を繰り返す近似計算手段と を備えたことを特徴とする2相流体測定装置。 - 請求項4に記載された2相流体測定装置において、前記所定の条件が前記2相流体における固体粒子の容積含有率の第2近似値と第1近似値とがほゞ等しくなったときとされていることを特徴とする2相流体測定装置。
- 請求項4に記載された2相流体測定装置において、前記所定の条件が前記近似計算の繰り返し回数が所定値に達したときとされていることを特徴とする2相流体測定装置。
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