JP3886810B2 - 両眼画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両眼画像表示装置に関し、特に、画像表示素子に表示された左右の眼用の画像を左右の眼に導いて立体像等の観察が可能な画像表示装置であって、持ち歩ける小型の画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型表示装置としては、携帯電話や携帯端末として直視型の液晶表示装置が多く用いられていた。しかし、画素数の多い高精細な表示や動画像を表示するには、表示速度が速く高価なアクティブ・マトリックス液晶を使う必要があり、表示装置が高価になる問題があった。また、消費電力も大きく、長時間の表示を行うためには大きな容量を持った電池を必要とし、大きく重い電池を必要とした。さらに、表示内容を周りの人から覗かれる心配があった。
【0003】
一方、小型の表示素子を用いて光学系により拡大表示するのもとして、特開昭48−102527号のものや、本出願人よる特開平5−303054号のものがある。これらは、表示装置を凹面鏡を用いて虚像として拡大表示するものである。特に、後者は、非回転対称な反射面を用いて収差の少ない投影像を得るものである。しかし、表示素子に必要とされる大きさが比較的大きいものが必要であり、直視型の表示装置に比べて特に小型の表示素子が使える訳ではなく、当初の目的を達成することはできない。
【0004】
次に、本出願人による特開平5−303055号、特開2000−221440に示される投影光学系により、表示素子の映像を空中に1回投影し、その像を凹面鏡によりさらに拡大表示する方法が提案されている。装置としては、特開平7−270781号、特開平9−139901号のものがある。
【0005】
さらに、本出願人は、特願2001−66669において、表示素子に表示された映像又はその中間像を偏心プリズム光学系からなるリレー光学系により投影し、そのリレー光学系からの光束を接眼光学系により観察者の眼球に向けて収束する小型で低消費電力の表示装置を提案している。この表示装置は、リレー光学系で投影像を接眼光学系近傍に投影し、リレー光学系の射出瞳を観察者眼球に投影するものである。
【0006】
また、特開平9−5670号においては、1つの表示素子に面順次で表示された両眼視差のある画像をそれぞれ左右の眼に入射させるのに、バックライトとして面光源を用い、その面光源の左右の眼に対応する領域を表示画像に合わせて照明するものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開平9−5670号のものの場合、透過型の表示素子をバックライトで照明する方法がとられているが、バックライトを用いているため光の利用効率が悪く像が暗くなってしまう。また、照明光学系を用いることにより像は明るくなるが、照明光学系の光路長の分、装置が大型化してしまい、携帯用には不向きである。
【0008】
ところで、リレー光学系と接眼光学系とからなる光学系で両眼で観察可能な画像表示装置を構成する場合に、1つの表示素子に左右の眼用の画像を面順次で表示する構成でも、また、左右一対の表示素子に左右の眼用の画像を同時に表示する構成でも何れにおいても、両眼立体視を行う場合、観察可能領域である右眼用と左眼用の射出瞳が重なると、観察される映像は二重像となってしまうことから(クロストーク)、このようなクロストークを避けるために、従来の立体視では、立体像の観察可能領域が顔の左右方向には眼幅の半分程度に制限され、非常に狭かった。また、観察者の眼が射出瞳から外れると最早立体視はできなくなってしまう。
【0009】
本発明は従来技術のこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、リレー光学系とそのリレー光学系からの光束を接眼光学系により観察者の両眼に向けて立体視等が可能な両眼画像表示装置において、観察者の観察位置が動いても右眼用の瞳と左眼用の瞳を重なることなく追従させることでより広範囲での立体視等ができる両眼画像表示装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1の両眼画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳位置に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は、左右の眼用の画像を交互に表示する単一の素子からなり、
前記照明光源は、前記左右の眼用の画像に応じて照明領域を切り換え可能に、かつ、その照明領域を移動可能に構成され、
前記射出瞳位置は、前記照明光源の照明領域と共役な位置であって、前記射出瞳位置には左右一対の射出瞳が形成され、
前記射出瞳位置に形成される前記リレー光学系の射出瞳の形が、左右に長い楕円であり、
前記接眼光学系は拡散性の光学面を有し、
前記拡散性の光学面は、上下方向に拡散作用持ち、左右方向にはほとんど拡散作用を持たない面であり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右一対の射出瞳の位置が略一致するように、前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2の両眼画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳位置に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は、左右の眼用の画像を表示する一対の素子からなり、
前記照明光源は、前記一対の素子に対応した別々の照明領域を備え、かつ、その照明領域を移動可能に構成され、
前記射出瞳位置は、前記照明光源の照明領域と共役な位置であって、前記射出瞳位置には左右一対の射出瞳が形成され、
前記射出瞳位置に形成される前記リレー光学系の射出瞳の形が、左右に長い楕円であり、
前記接眼光学系は拡散性の光学面を有し、
前記拡散性の光学面は、上下方向に拡散作用持ち、左右方向にはほとんど拡散作用を持たない面であり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右一対の射出瞳の位置が略一致するように、前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の両眼画像表示装置の原理と実施例を説明する。
【0013】
まず、本発明の両眼画像表示装置の基本形態について説明する。
【0014】
本発明の両眼画像表示装置の基本形態は、図1に示すように、本体30上にリレー光学系31を配置し、その物体の位置に単一あるいは一対の画像表示素子3(図の場合は、単一の画像表示素子を想定している。)を配置し、また、画像表示素子3の背後(画像表示素子3が透過型の場合。反射型の場合は、図3で説明する。)に、図示を省いた照明光学系5(図10〜図12等参照)と、面光源からなる照明光源4を配置し、また、リレー光学系31の射出側に正のパワーを有する接眼光学系32を配置したものである。照明光源4の左右の照明領域4L、4R(図2を参照)から出て照明光学系5を経た照明光で照明された画像表示素子3から出た表示光は、リレー光学系31を経て2つの光軸2L、2Rに沿って進み、接眼光学系32により観察者両眼近傍に左右の射出瞳1L、1Rを形成する。
【0015】
ここで、左右の射出瞳1L、1Rと照明光源4の左右の照明領域4L、4Rとは光学的に共役な位置に設定される。
【0016】
このように、照明光源4から出た照明光を画像表示素子3で変調させてリレー光学系31と接眼光学系32を経て左右の光軸2L、2Rに沿って導き、画像表示装置の左右の射出瞳1L、1Rに投影するようにすることにより、照明光を無駄なく両眼に投影することができ、明るく効率の良い立体像を拡大表示することができる。
【0017】
ところで、射出瞳1L、1Rに位置すべき観察者の両眼の位置が外れると、そのままでは左右の射出瞳が観察者の片眼に入って二重像が見えたり全く観察困難になるので、本発明においては、観察者の左右眼球位置を検出する眼球位置検出装置40を設けて、観察者の左右の眼球位置をその検出装置40により検出して、その左右の眼球位置に左右の光軸2L、2Rが一致するように、照明光源4の左右の照明領域4L、4R(図2)を制御し、観察位置が変化しても左右の射出瞳1L、1Rを重なることなく追従させることで、より広範囲での立体像観察を可能とする。ここで、眼球位置検出装置40は、撮像装置41と、それにより撮像された眼球像を処理して眼球位置を特定する映像処理装置42と、映像処理装置42で得られた眼球位置情報に基づいて照明光源4の発光(照明)領域4L、4Rの位置を制御する制御装置43と、その制御装置43により発光領域が制御される照明光源4とからなる。
【0018】
この装置の作用を、図2を参照にしてもう少し詳しく説明する。
【0019】
図2では、図1と異なり、眼球位置検出装置40は図示を省いてあり、また、接眼光学系32は反射型(図1の場合は、透過型)として図示されているが、本質的な構成は同じである。図2に示すように、面光源である照明光源4の左右の照明領域が4LA 、4RA から4LB 、4RB の状態に変化すると、左右の射出瞳へ向かう左右の光軸は2LA 、2RA から2LB 、2RB へと変化し、それに従って左右の射出瞳も1LA 、1RA から1LB 、1RB へと変化する。このように、照明光源4の左右の照明領域4L、4R(4LA 、4RA ;4LB 、4RB )を移動させることにより、左右の射出瞳1L、1R(1LA 、1RA ;1LB 、1RB )も移動させることができるので、上記のように、眼球位置検出装置40で観察者の左右眼球位置を検出し、その情報に基づいて照明光源4の左右の照明領域4L、4Rを移動させることにより、左右の射出瞳1L、1Rの位置を観察者眼球位置に追従させることができる。その結果、上記のように、観察位置が変化しても左右の射出瞳1L、1Rを重なることなくより広範囲での立体像観察が可能となる。
【0020】
なお、図1の場合、リレー光学系31から出た左右の光軸2L、2Rは、反射面33で折り返し、透過型(屈折型)の接眼光学系32で観察者両眼に導くように構成されているが、図2の場合は、上記したように、反射型の接眼光学系32を用いているため、反射面33は必要ない。また、図1の場合、表示装置の本体30上に、観察者側から見て、操作ボタン34をリレー光学系31より手前に配置している。この配置により、操作ボタン34のボタン操作をする手で光路を遮ることがなく、ボタン操作する度に映像を遮断してしまう問題を避けることが可能となる。
【0021】
ところで、リレー光学系31を偏心プリズムで構成する場合に可能な形態としては、図3に示すように、単一の偏心プリズム10から構成する場合と、図4に示すように、左右同一の一対の偏心プリズム10L、10Rから構成する場合がある。図3の場合の単一の偏心プリズム10の場合は、図5にその1例を模式的に示すように、入射面11と射出面14と2つの内部反射面12、13とを持ち、画像表示素子3から出た光軸(軸上主光線)2L、2Rが光学系内で略交差する構成のものであり、射出面14を隣接する2つの面14L、14Rからなる不連続面で構成している。もちろん、他の光学面11〜13の1面あるいは複数面をこのような2つの面からなる不連続面で構成してもよい。
【0022】
図1、図2では、画像表示素子3として透過型のものを想定していたが、反射型の画像表示素子3を用いて小型の画像表示装置とすることができる。リレー光学系31として偏心プリズムを用いる場合、反射型の画像表示素子3とリレー光学系31との間の間隔は小さいのが普通であるので、図5に例示するように、リレー光学系31を構成する偏心プリズム10の一部又は全部を介して、面光源の照明光源4の左右の照明領域4L、4Rからの照明光を反射型の画像表示素子3の表示面に照射し、その表示面で変調された表示光を再びリレー光学系31の偏心プリズム10に入射させて左右の射出瞳1L、1Rに至る光軸2L、2Rに沿って投影させるようにすることが望ましい。図5の場合は、内部反射面12をハーフミラーで構成し、このをハーフミラー面12を経て照明光源4からの照明光を偏心プリズム10内に入射させ、入射面11からプリズム外にその照明光を射出させて反射型の画像表示素子3の表示面を照明している。
【0023】
なお、図3のように、リレー光学系31として、少なくとも1つの光学作用面(反射面あるいは屈折面)を隣接する2つの面からなる不連続面を持つ単一の偏心プリズム10で構成する場合には、画像表示素子3としては、単一の画像表示素子をその物体面に配置し、両眼視差のある左右の眼用の画像を交互に表示するようにする。
【0024】
また、図4のように、リレー光学系31として、左右同一の一対の偏心プリズム10L、10Rを用いる場合は、それぞれの偏心プリズム10L、10Rの物体面に別々の画像表示素子3を配置し、それぞれに両眼視差のある左右の眼用の画像を表示するようにする。
【0025】
ところで、リレー光学系31により両眼視差のある左右の眼用の画像の像が結像される位置近傍に配置される接眼光学系32には、左右の射出瞳1L、1Rを混在(重複)させない範囲で抑制された指向性を持つ拡散性の光学面を配置して、射出瞳1L、1Rへ向かう光束を太くすることにより、射出瞳1L、1Rの範囲を拡大して両眼で画像を観察できる範囲を広げるようにすることができる。
【0026】
この場合に、拡散性がない場合の接眼光学系32により射出瞳1L、1Rの位置に結像されるリレー光学系31の左右の射出瞳1L、1Rの形は、図6に示すように、左右に長い楕円にして左右方向の射出瞳1L、1Rの径を大きいものとすることが望ましく、そして、接眼光学系32に配置される拡散性の光学面を、図7(a)に示すように上下方向に拡散作用を持ち、図7(b)に示すように左右方向にはほとんど拡散作用を持たない面とすると、光量を無駄にせずに暗くならず、かつ、射出瞳1L、1Rの範囲を上下左右に拡大して両眼で画像を観察できる範囲が広がる。
【0027】
なお、本発明におけるリレー光学系31には、本発明者等がすでに提案している内面反射回数が1回以上の種々の偏心プリズム単体あるいは複数からなる偏心プリズム光学系を用いることができる。その中、代表的なものを例示すると、後記の実施例1〜3の偏心プリズムのように、2つの反射面を備え、入射面と第1反射面と第2反射面と射出面からなり、入射面と第1反射面とを結ぶ光路が第2反射面と射出面とを結ぶ光路とプリズム内で交差するようになっているものを用いることができる。
【0028】
このような形状の偏心プリズムは、収差補正の自由度が高くなり、収差の発生が少ない。さらに、2つの反射面の配置の対称性が高いので、この2つの反射面で発生する収差が2つの反射面相互で補正し合い、収差発生が少ない。また、光路がプリズム内で交差光路を形成する構成のために、単に光路を折り返す構造のプリズムに比較して光路長を長く取ることが可能で、光路長の長さの割にプリズムを小型化することができる。
【0029】
なお、何れの偏心プリズム10も、図3のように、単一の偏心プリズム10から構成する場合には、少なくとも1つの光学作用面(反射面あるいは屈折面)を隣接する2つの面からなる不連続面として構成することにより、画像表示素子3からの光束を2つの光路に分割するようにする。
【0030】
なお、本発明の両眼画像表示装置は、図1〜図4の接眼光学系32及び反射面33を表示装置の本体30に対して開閉する機構を設けて、携帯時はポケット等に収納するように構成することが可能となる。また、このとき、電源も切断する機能を付けておくと、節電効果が高い。
【0031】
また、このような携帯型の使用形態に限らず、図8に示すように、手持ちビュワータイプの形態にも構成できる。
【0032】
次に、本発明の両眼画像表示装置に用いられる光学系の数値実施例1〜3について説明する。
【0033】
実施例1〜3の構成パラメータは後記するが、座標系は、図9〜図21に示すように、2つ形成される左右の射出瞳1L、1R(図1)(観察者瞳)間の中心を通り、射出瞳1L、1Rの中心を結ぶ直線に垂直であって、光学系の対称面を構成する平面をY−Z面として、射出瞳1L、1Rの中心から接眼光学系32に向かう方向をZ軸正方向とし、Z軸方向に直交する方向をY軸方向とし、画像表示素子3が位置する側に向かう方向をY軸負方向とし、Y−Z平面に直交する方向をX軸方向とし、Y軸、Z軸と右手直交座標系を構成するX軸の方向をX軸正方向とする。そして、光学系の原点を接眼光学系32の射出瞳1L、1R側の面の面頂位置とする。
【0034】
偏心面については、光学系の原点の中心からその面の面頂位置の偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、その面の中心軸(自由曲面については、前記(a)式のZ軸、非球面については、後記の(b)式のZ軸))のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。なお、面の中心軸のα,β,γの回転のさせ方は、面の中心軸とそのXYZ直交座標系を、まずX軸の回りで反時計回りにα回転させ、次に、その回転した面の中心軸を新たな座標系のY軸の回りで反時計回りにβ回転させると共に1度回転した座標系もY軸の回りで反時計回りにβ回転させ、次いで、その2度回転した面の中心軸を新たな座標系の新たな座標系のZ軸の回りで時計回りにγ回転させるものである。
【0035】
また、本発明で用いられる自由曲面の面の形状は、例えば米国特許第6,124,989号(特開2000−66105号)の(a)式により定義される自由曲面であり、その定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
【0036】
また、非球面は、以下の定義式で与えられる回転対称非球面である。
【0037】
ただし、Zを光の進行方向を正とした光軸(軸上主光線)とし、yを光軸と垂直な方向にとる。ここで、Rは近軸曲率半径、Kは円錐定数、A、B、C、D、…はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。この定義式のZ軸が回転対称非球面の軸となる。
【0038】
なお、データの記載されていない自由曲面、非球面に関する項は0である。屈折率については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。
【0039】
以下に示す数値実施例1〜3は、上記の一方の射出瞳1Lから画像表示素子3、3Lに向う逆光線追跡で表されている。
【0040】
実施例1は、片側瞳径横40mm、上下15mmであり、観察画像は瞳位置から400mm前方で、水平55mm、垂直41.25mmの接眼光学系32上に結像され、左右の光軸は内向角を持って接眼光学系32から射出し、その内向角は瞳位置より接眼光学系32側に320mmの位置で交差する。画像表示素子3としては8.94mm×6.71mmの表示素子を使用している。
【0041】
図9に実施例1のY−Z平面に投影した片方の光源(基準位置における左の照明領域)4Lから一方の射出瞳1Lに向かう光路図、図10にそのX−Z平面に投影した光路図、図11にX−Z平面に投影した両側の光源4L、4Rから両方の射出瞳1L、1Rに向かう光路図、図12に図11の光源4L、4R、照明光学系5、画像表示素子3、リレー光学系31の偏心プリズム10近傍の拡大図、図13、図14は図9、図10に対応する結像光路図であり、光源4Lと照明光学系5を省いた図を示す。
【0042】
後記の数値データは、左側の射出瞳1Lから画像表示素子3を経て一方の光源4Lに至るものであり、右側の射出瞳1Rから画像表示素子3を経て他方の光源4Rに至る光学系のデータは、Y−Z面を対称面として面対称の位置に配置したものとなる。
【0043】
この実施例において、リレー光学系31を構成する偏心プリズム10の第4面14(数値データ中の5面)は、Y−Z面を対称面として面対称な不連続面からなり、左側の射出瞳1Lの形成に関与する一方の面14Lのみの面形状を示してある。この面14LはY−Z面よりX軸負側に設けられ、Y−Z面よりX軸正側にはそれと面対称な他方の面14Rが設けられる(図12)。第4面14を対称面に対称な2つの光学面14L、14Rよりなる不連続面として形成することにより、本実施例の光学系の対称面(Y−Z面)を中心に相互に75mmは離れた横40mm、上下15mmの瞳径の左右の射出瞳1L、1Rを持った光学系が構成できる。
【0044】
実施例1の光学系は、図9〜図14に示すように、図3の形態に対応する両眼画像表示装置用の光学系で、射出瞳1L(1R)に面した接眼光学系32は射出瞳1L(1R)側の面がフレネル透過面、反対側の面が平面のフレネルレンズからなり、その入射側に光路折り返し用の反射面(平面鏡)33が配置され、その反射面33に面してリレー光学系31が配置されている。このリレー光学系31は画像表示素子3に面した偏心プリズム10からなり、この実施例の偏心プリズム10は、画像表示素子3に面する第1面11と、反射面33に面する第4面14と、第1面11と第4面14の間に配置された2つの反射面の第2面12、第3面13とからなり、上記のように、第4面14は光学系の対称面(Y−Z面)に対して面対称な不連続面を構成する2つの面14L、14Rからなる。
【0045】
また、画像表示素子3は透過型液晶表示素子からなり、そのリレー光学系31側とは反対側に、照明光学系5として両面フレネル透過面からなるフレネルレンズが画像表示素子3近傍に配置され、その前側焦点面近傍に基準位置における左右の光路用の光源4L、4Rが対称面(Y−Z面)に対して面対称な位置に配置されている。
【0046】
この実施例においては、画像表示素子3に両眼視差のある左右の眼用の画像が交互に表示され、その切り換えに同期して左右の光路用の光源4L、4Rが選択的に点灯され、時分割で射出瞳1L、1Rに位置する左右両眼に視差のある左右の眼用の画像が表示され立体像として表示される。
【0047】
すなわち、光源4L、4Rから照射された光束は、照明光学系5のフレネルレンズでそれぞれ略平行にされ、透過型液晶表示素子からなる画像表示素子3を背面から照明し、表示光は偏心プリズム10の第1面11で屈折してプリズム内に入射し、第2面12と第3面13で内部反射を繰り返し、第4面14の2つの面14L、14Rで別々の光路に沿った光束として屈折してプリズム外に射出し、その2つの光束は反射面33で折り返され、接眼光学系32のフレネルレンズ面上に画像表示素子3の左右の眼用の拡大像を二重像として結像し、接眼光学系32で屈折された光源4L、4Rからの光束はそれぞれ左右の射出瞳1L、1Rに収束する(光源4L、4Rと射出瞳1L、1Rは共役)。その際、射出瞳1L、1Rの位置より接眼光学系32側に320mmの点Pで左右の光軸2L、2Rは交差しているため、接眼光学系32のフレネルレンズ面上に結像された両眼視差のある左右の眼用の拡大像はこの点P近傍で融像され、あたかも空中に立体像が表示されているように見える。
【0048】
そして、本発明に基づき、図1、図2を参照にして説明したように、眼球位置検出装置40で観察者の左右眼球位置を検出し、その情報に基づいて照明光源4の左右の照明領域である光源4L、4Rを移動させることにより、左右の射出瞳1L、1Rの位置を観察者眼球位置に追従させることができ、観察者の観察位置が変化しても左右の射出瞳1L、1Rを重なることなくより広範囲での立体像観察が可能となり、部品点数が少なく、サイズが小さく、消費電力の小さい両眼画像表示装置となる。
【0049】
なお、この実施例において、接眼光学系32の平面(数値データ中の3面)近傍に上下方向に拡散性を持ったレンチキュラーシートを配置し、上下方向にのみ瞳を拡大することによりさらに広い観察範囲を確保することができる。
【0050】
この実施例においては、偏心プリズム10の第1面11〜第4面14全てに自由曲面を用いており、接眼光学系32及び照明光学系5のフレネルレンズのフレネル透過面には非球面を用いている。
【0051】
実施例2は、片側瞳径横15mm、上下10mmであり、観察画像は瞳位置から400mm前方で、水平55mm、垂直41.25mmの接眼光学系32上に結像され、左右の光軸は内向角を持って接眼光学系32から射出し、その内向角は瞳位置より接眼光学系32側に320mmの位置で交差する。左右の画像表示素子3L、3Rとしては8.94mm×6.71mmの表示素子を使用している。
【0052】
図15に実施例2のY−Z平面に投影した片方の光源(基準位置における左の照明領域)4Lから一方の射出瞳1Lに向かう光路図、図16にそのX−Z平面に投影した光路図、図17にX−Z平面に投影した両側の光源4L、4Rから両方の射出瞳1L、1Rに向かう光路図を示す。
【0053】
後記の数値データは、左側の射出瞳1Lから画像表示素子3Lを経て一方の光源4Lに至るものであり、右側の射出瞳1Rから画像表示素子3Rを経て他方の光源4Rに至る光学系のデータは、Y−Z面を対称面として面対称の位置に配置したものとなる。
【0054】
実施例2の光学系は、図15〜図17に示すように、図4の形態に対応する両眼画像表示装置用の光学系で、リレー光学系31は、Y−Z面を対称面として面対称の一対の偏心プリズム10L、10Rを用い、それぞれの入射面11に面して左右別々の画像表示素子3L、3Rを配置し、そのための照明光学系5L、5Rも別々にした例である。
【0055】
この実施例の光学系は、図15〜図17に示すように、射出瞳1L、1Rに面した接眼光学系32は射出瞳1L、1R側の面がフレネル透過面、反対側の面が平面のフレネルレンズからなり、その入射側に光路折り返し用の反射面(平面鏡)33が配置され、その反射面33に面して一対の偏心プリズム10L、10Rからなるリレー光学系31が配置されている。この実施例の偏心プリズム10L、10Rは、それぞれ画像表示素子3L、3Rに面する第1面11と、反射面33に面する第4面14と、第1面11と第4面14の間に配置された2つの反射面の第2面12、第3面13とからなり、上記のように、偏心プリズム10L、10Rは光学系の対称面(Y−Z面)に対して面対称な形状になっている。
【0056】
また、画像表示素子3L、3Rは透過型液晶表示素子からなり、そのリレー光学系31側とは反対側に、それぞれ照明光学系5L、5Rとして両面フレネル透過面からなるフレネルレンズが画像表示素子3L、3Rに接して配置され、それらの前側焦点近傍に左右の光路用の基準位置における光源4L、4Rが対称面(Y−Z面)に対して面対称な位置に配置されている。
【0057】
この実施例においては、左右の画像表示素子3L、3Rに両眼視差のある左右の眼用の画像を表示し、左右の照明光学系5L、5Rを介して左右の光源4L、4Rで照明し、左右の偏心プリズム10L、10Rで共通の接眼光学系32近傍に左右の画像表示素子3L、3Rの像を投影し、射出瞳1L、1Rに位置する左右両眼に視差のある左右の眼用の画像を立体像として表示するものである。
【0058】
すなわち、光源4L、4Rから照射された光束は、左右の照明光学系5L、5Rのフレネルレンズでそれぞれ略平行にされ、透過型液晶表示素子からなる左右の画像表示素子3L、3Rを背面から照明し、表示光は左右の偏心プリズム10L、10Rの第1面11で屈折してプリズム内に入射し、第2面12と第3面13で内部反射を繰り返し、第4面14で屈折してプリズム外に射出し、その2つの光束は反射面33で折り返され、接眼光学系32のフレネルレンズ面上に左右の画像表示素子3L、3Rの左右の眼用の拡大像を二重像として結像し、接眼光学系32で屈折された光源4L、4Rからの光束はそれぞれ左右の射出瞳1L、1Rに収束する(光源4L、4Rと射出瞳1L、1Rは共役)。その際、射出瞳1L、1Rの位置より接眼光学系32側に320mmの点Pで左右の光軸2L、2Rは交差しているため、接眼光学系32のフレネルレンズ面上に結像された両眼視差のある左右の眼用の拡大像はこの点P近傍で融像され、あたかも空中に立体像が表示されているように見える。
【0059】
そして、本発明に基づき、図1、図2を参照にして説明したように、眼球位置検出装置40で観察者の左右眼球位置を検出し、その情報に基づいて照明光源4の左右の照明領域である光源4L、4Rを移動させることにより、左右の射出瞳1L、1Rの位置を観察者眼球位置に追従させることができ、観察者の観察位置が変化しても左右の射出瞳1L、1Rを重なることなくより広範囲での立体像観察が可能となり、サイズが小さく、消費電力の小さい両眼画像表示装置となる。
【0060】
なお、この実施例においても、接眼光学系32の平面(数値データ中の3面)近傍に上下方向に拡散性を持ったレンチキュラーシートを配置し、上下方向にのみ瞳を拡大することによりさらに広い観察範囲を確保することができる。
【0061】
この実施例においては、偏心プリズム10L、10Rの第1面11〜第4面14全てに自由曲面を用いており、接眼光学系32及び照明光学系5のフレネルレンズのフレネル透過面には非球面を用いている。
【0062】
実施例3は、片側瞳径10mmであり、観察画像は瞳位置から400mm前方で、水平55mm、垂直41.25mmの接眼光学系32上に結像され、左右の光軸は内向角を持って接眼光学系32から射出し、その内向角は瞳位置より接眼光学系32側に320mmの位置で交差する。画像表示素子3としては8.94mm×6.71mmの表示素子を使用している。
【0063】
図18に実施例3のY−Z平面に投影した片方の光源(基準位置における左の照明領域)4Lから一方の射出瞳1Lに向かう光路図、図19にそのX−Z平面に投影した光路図、図20にX−Z平面に投影した両側の光源4L、4Rから両方の射出瞳1L、1Rに向かう光路図、図21に図20の光源4L、4R、照明光学系5、画像表示素子3、リレー光学系31の偏心プリズム10近傍の拡大図を示す。
【0064】
後記の数値データは、左側の射出瞳1Lから画像表示素子3を経て一方の光源4Lに至るものであり、右側の射出瞳1Rから画像表示素子3を経て他方の光源4Rに至る光学系のデータは、Y−Z面を対称面として面対称の位置に配置したものとなる。
【0065】
この実施例は、実施例1に対して、接眼光学系32は射出瞳1L(1R)側の面が自由曲面の透過面21、反対側の面がフレネル反射面22からなるフレネル反射鏡20を用い、光路折り返し用の反射面33を省いた例であり、リレー光学系31を構成する偏心プリズム10の第4面14(数値データ中の5面)は、Y−Z面を対称面として面対称な不連続面からなり、左側の射出瞳1Lの形成に関与する一方の面14Lのみの面形状を示してある。この面14LはY−Z面よりX軸負側に設けられ、Y−Z面よりX軸正側にはそれと面対称な他方の面14Rが設けられる(図21)。第4面14を対称面に対称な2つの光学面14L、14Rよりなる不連続面として形成することにより、本実施例の光学系の対称面(Y−Z面)を中心に相互に75mmは離れた瞳径10mmの左右の射出瞳1L、1Rを持った光学系が構成できる。
【0066】
実施例3の光学系は、図18〜図21に示すように、射出瞳1L(1R)に面した接眼光学系32は射出瞳1L(1R)側の面が自由曲面の透過面21、反対側の面がフレネル反射面22からなるフレネル反射鏡20からなり、その反射側にリレー光学系31が配置されている。このリレー光学系31は画像表示素子3に面した偏心プリズム10からなり、この実施例の偏心プリズム10は、画像表示素子3に面する第1面11と、接眼光学系32に面する第4面14と、第1面11と第4面14の間に配置された2つの反射面の第2面12、第3面13とからなり、上記のように、第4面14は光学系の対称面(Y−Z面)に対して面対称な不連続面を構成する2つの面14L、14Rからなる。
【0067】
また、画像表示素子3は透過型液晶表示素子からなり、そのリレー光学系31側とは反対側に、照明光学系5として両面フレネル透過面からなるフレネルレンズが画像表示素子3近傍に配置され、その前側焦点面近傍に基準位置において左右の光路用の光源4L、4Rが対称面(Y−Z面)に対して面対称な位置に配置されている。
【0068】
この実施例においては、画像表示素子3に両眼視差のある左右の眼用の画像が交互に表示され、その切り換えに同期して左右の光路用の光源4L、4Rが選択的に点灯され、時分割で射出瞳1L、1Rに位置する左右両眼に視差のある左右の眼用の画像が表示され立体像として表示される。
【0069】
すなわち、光源4L、4Rから照射された光束は、照明光学系5のフレネルレンズでそれぞれ略平行にされ、透過型液晶表示素子からなる画像表示素子3を背面から照明し、表示光は偏心プリズム10の第1面11で屈折してプリズム内に入射し、第2面12と第3面13で内部反射を繰り返し、第4面14の2つの面14L、14Rで別々の光路に沿った光束として屈折してプリズム外に射出し、その2つの光束は接眼光学系32のフレネル反射鏡20の透過面21上に画像表示素子3の左右の眼用の拡大像を二重像として結像し、接眼光学系32で反射された光源4L、4Rからの光束はそれぞれ左右の射出瞳1L、1Rに収束する(光源4L、4Rと射出瞳1L、1Rは共役)。その際、射出瞳1L、1Rの位置より接眼光学系32側に320mmの点Pで左右の光軸2L、2Rは交差しているため、フレネル反射鏡20の透過面21上に結像された両眼視差のある左右の眼用の拡大像はこの点P近傍で融像され、あたかも空中に立体像が表示されているように見える。
【0070】
そして、本発明に基づき、図1、図2を参照にして説明したように、眼球位置検出装置40で観察者の左右眼球位置を検出し、その情報に基づいて照明光源4の左右の照明領域である光源4L、4Rを移動させることにより、左右の射出瞳1L、1Rの位置を観察者眼球位置に追従させることができ、観察者の観察位置が変化しても左右の射出瞳1L、1Rを重なることなくより広範囲での立体像観察が可能となり、部品点数が少なく、サイズが小さく、消費電力の小さい両眼画像表示装置となる。
【0071】
この実施例においては、偏心プリズム10の第1面11〜第4面14全てに自由曲面を用いており、フレネル反射鏡20の透過面21に自由曲面を用いており、フレネル反射鏡20のフレネル反射面22及び照明光学系5のフレネルレンズのフレネル透過面には非球面を用いている。
【0072】
以下に各実施例の数値データを示すが、以下の表中の“FFS”は自由曲面、“ASS”は非球面、“RE”は反射面、“FR”はフレネル面、“LCD”は画像表示面、“EIM”は結像面をそれぞれ示す。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
上記実施例1の片側の光学系の横収差を図22に示す。この横収差図において、括弧内に示された数字は(水平画角,垂直画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0077】
ところで、以上の3つの実施例は何れも、画像表示素子3、3L、3Rとしては透過型液晶表示素子を用いているが、その代わりに反射型液晶表示素子、DMD(ディジタルマイクロミラーデバイス)等の反射型画像表示素子を用いて、より小型でコンパクトな構成で、かつ、低消費電力で、立体視可能な画像表示装置を構成することができる。その場合には、図5に例示したように、リレー光学系31を構成する偏心プリズム10、10L、10Rの一部又は全部を介して、照明光源4の左右の照明領域4L、4Rからの照明光を反射型画像表示素子3の表示面に照射し、その表示面で変調された表示光を再びそのリレー光学系31の偏心プリズム10、10L、10Rに入射させて左右の射出瞳1L、1Rに至る光軸2L、2Rに沿って投影させるようにする。
【0078】
ところで、眼球位置検出装置40で検出された観察者の左右眼球位置情報に基づいて照明領域4L、4Rを任意に移動できる照明光源4としては、LEDの2次元アレイ、2次元有機EL、バックライトで照射される透過型液晶表示素子等を用いることができるが、面光源の前に一対の開口を配置してその開口を機械的に移動できるもの、あるいは、一対の機械的に移動可能な点光源からなるものであってもよい。
【0079】
なお、照明領域4L、4Rの移動範囲は、リレー光学系31と接眼光学系32で光線がケラレない範囲で移動できる。
【0080】
また、本発明の両眼画像表示装置のリレー光学系に用いる偏心プリズム光学系としては、以上の実施例1〜3で用いたタイプに限定されず、他のタイプの偏心プリズム単体あるいはそれらの偏心プリズムの組み合わせからなる光学系を用いることができる。
【0081】
以上の本発明の両眼画像表示装置は例えば次のように構成することができる。
【0082】
〔1〕 画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子により変調された表示光を投影して前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は左右の眼用の画像を交互に表示する単一の画像表示素子からなり、
前記照明光源は、前記画像表示素子に表示された左右の眼用の画像に応じて別々の照明領域に切り換えられ、かつ、その照明領域を移動させることができる光源からなり、
前記射出瞳は、前記照明光源の照明領域に応じて定まる左右の一対の射出瞳からなり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右の一対の射出瞳が略一致するように、前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とする両眼画像表示装置。
【0083】
〔2〕 前記リレー光学系は、前記画像表示素子に表示された左右の眼用の画像を前記接眼光学系近傍に結像するように構成されていることを特徴とする上記1記載の両眼画像表示装置。
【0084】
〔3〕 前記リレー光学系は、前記画像表示素子に表示された画像を物点としてその物点から発する光束を2つの光路に分割する光学系からなることを特徴とする上記1又は2記載の両眼画像表示装置。
【0085】
〔4〕 前記リレー光学系は、屈折率(n)が1よりも大きい(n>1)媒質で形成された偏心プリズムを有し、その偏心プリズムが、前記物点から発せられた光束をプリズム内に入射する入射面と、その光束をプリズム内で反射する少なくとも1つの反射面と、光束をプリズム外に射出する射出面とを有し、かつ、少なくとも1つの回転非対称面を有し、少なくとも1つの光学作用面は隣接する少なくとも2つの面からなる不連続面で構成され、他の光学作用面は分割された少なくとも2つの光路内に共通に配置されてなることを特徴とする上記3記載の両眼画像表示装置。
【0086】
〔5〕 前記画像表示素子が反射型画像表示素子からなり、前記偏心プリズムの一部又は全部を介して、前記照明光源の前記照明領域からの照明光が前記反射型画像表示素子に照射されることを特徴とする上記4記載の両眼画像表示装置。
【0087】
〔6〕 前記画像表示素子が透過型画像表示素子からなることを特徴とする上記1から4の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
【0088】
〔7〕 前記照明光源は、照明領域を任意の位置に設定可能な面光源からなることを特徴とする上記1から5の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
【0089】
〔8〕 画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子により変調された表示光を投影して前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は左右の眼用の画像を表示する一対の画像表示素子からなり、
前記照明光源は、前記一対の画像表示素子に対応した別々の照明領域を備え、かつ、その照明領域を移動させることができる光源からなり、
前記射出瞳は、前記照明光源の照明領域に応じて定まる左右の一対の射出瞳からなり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右の一対の射出瞳が略一致するように、前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とする両眼画像表示装置。
【0090】
〔9〕 前記リレー光学系は、前記画像表示素子に表示された左右の眼用の画像を前記接眼光学系近傍に結像するように構成されていることを特徴とする上記8記載の両眼画像表示装置。
【0091】
〔10〕 前記リレー光学系は、前記画像表示素子に表示された左右の眼用の画像各々を物点としてそれら物点から発する光束を別々の光路に導く光学系からなることを特徴とする上記8又は9記載の両眼画像表示装置。
【0092】
〔11〕 前記リレー光学系は、屈折率(n)が1よりも大きい(n>1)媒質で形成された一対の偏心プリズムを有し、各偏心プリズムは、対応する画像表示素子から射出された光束をプリズム内に入射する入射面と、その光束をプリズム内で反射する少なくとも1つの反射面と、光束をプリズム外に射出する射出面とを有し、その少なくとも1つの反射面が光束にパワーを与える回転非対称面からなることを特徴とする上記10記載の両眼画像表示装置。
【0093】
〔12〕 前記画像表示素子が反射型画像表示素子からなり、前記偏心プリズムの一部又は全部を介して、前記照明光源の前記照明領域からの照明光が前記反射型画像表示素子に照射されることを特徴とする上記11記載の両眼画像表示装置。
【0094】
〔13〕 前記画像表示素子が透過型画像表示素子からなることを特徴とする上記8から11の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
【0095】
〔14〕 前記照明光源は、照明領域を任意の位置に設定可能な面光源からなることを特徴とする上記8から13の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
【0096】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明により、観察者の観察位置が動いても右眼用の瞳と左眼用の瞳を重なることなく追従させることでより広範囲での立体視等ができ、小型で部品点数が少なく、携帯可能な両眼画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両眼画像表示装置の基本形態を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の両眼画像表示装置の作用を詳しく説明するための図である。
【図3】リレー光学系を単一の偏心プリズムから構成する場合の両眼画像表示装置の構成を示す模式的斜視図である。
【図4】リレー光学系を一対の偏心プリズムから構成する場合の両眼画像表示装置の構成を示す模式的斜視図である。
【図5】リレー光学系を構成する単一の偏心プリズムの例示と画像表示素子を反射型で構成する場合の照明光源の配置と照明光の導入方法の例示を示す模式的斜視図である。
【図6】左右に長い楕円にして形成される射出瞳を示す図である。
【図7】接眼光学系に配置される拡散性の光学面の拡散性を説明するための図である。
【図8】手持ちビュワータイプの形態に構成された本発明の両眼画像表示装置を示す模式的斜視図である。
【図9】本発明の実施例1の光学系のY−Z平面に投影した片方の光源から一方の射出瞳に向かう光路図である。
【図10】実施例1の光学系のX−Z平面に投影した光路図である。
【図11】実施例1の光学系のX−Z平面に投影した両側の光源から両方の射出瞳に向かう光路図である。
【図12】図11の光源、照明光学系、画像表示素子、リレー光学系の偏心プリズム近傍の拡大図である。
【図13】図9に対応する結像光路図である。
【図14】図10に対応する結像光路図である。
【図15】実施例2の光学系のY−Z平面に投影した片方の光源から一方の射出瞳に向かう光路図である。
【図16】実施例2の光学系のX−Z平面に投影した光路図である。
【図17】実施例2の光学系のX−Z平面に投影した両側の光源から両方の射出瞳に向かう光路図である。
【図18】実施例3の光学系のY−Z平面に投影した片方の光源から一方の射出瞳に向かう光路図である。
【図19】実施例3の光学系のX−Z平面に投影した光路図である。
【図20】実施例3の光学系のX−Z平面に投影した両側の光源から両方の射出瞳に向かう光路図である。
【図21】図20の光源、照明光学系、画像表示素子、リレー光学系の偏心プリズム近傍の拡大図である。
【図22】実施例1の片側の光学系の横収差を示す図である。
【符号の説明】
1L、1R…射出瞳
2L、2R…光軸
3、3L、3R…画像表示素子
4…照明光源
4L、4R…照明領域
5、5L、5R…照明光学系
10、10L、10R…偏心プリズム
11…第1面
12…第2面
13…第3面
14…第4面
14L、14R…不連続面を構成する光学面
20…フレネル反射鏡
21…接眼光学系の射出瞳側の透過面
22…接眼光学系の反対側のフレネル反射面
30…表示装置本体
31…リレー光学系
32…接眼光学系
33…反射面(平面鏡)
34…操作ボタン
40…眼球位置検出装置
41…撮像装置
42…映像処理装置
43…制御装置
Claims (8)
- 画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳位置に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は、左右の眼用の画像を交互に表示する単一の素子からなり、
前記照明光源は、前記左右の眼用の画像に応じて照明領域を切り換え可能に、かつ、その照明領域を移動可能に構成され、
前記射出瞳位置は、前記照明光源の照明領域と共役な位置であって、前記射出瞳位置には左右一対の射出瞳が形成され、
前記射出瞳位置に形成される前記リレー光学系の射出瞳の形が、左右に長い楕円であり、
前記接眼光学系は拡散性の光学面を有し、
前記拡散性の光学面は、上下方向に拡散作用持ち、左右方向にはほとんど拡散作用を持たない面であり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右一対の射出瞳の位置が略一致するように、前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とする両眼画像表示装置。 - 画像を表示する画像表示素子と、照明光源と、前記照明光源からの照明光を前記画像表示素子に向けて照射する照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像を投影するリレー光学系と、前記リレー光学系からの光束を射出瞳位置に収束させる接眼光学系とを有する画像表示装置において、
前記画像表示素子は、左右の眼用の画像を表示する一対の素子からなり、
前記照明光源は、前記一対の素子に対応した別々の照明領域を備え、かつ、その照明領域を移動可能に構成され、
前記射出瞳位置は、前記照明光源の照明領域と共役な位置であって、前記射出瞳位置には左右一対の射出瞳が形成され、
前記射出瞳位置に形成される前記リレー光学系の射出瞳の形が、左右に長い楕円であり、
前記接眼光学系は拡散性の光学面を有し、
前記拡散性の光学面は、上下方向に拡散作用持ち、左右方向にはほとんど拡散作用を持たない面であり、
さらに、観察者の左右の眼球位置を検出する眼球位置検出装置を有し、
前記眼球位置検出装置により検出された前記観察者の左右の眼球位置に前記左右一対の射出瞳の位置が略一致するように、前記観察者の左右の眼球位置情報に基づき、前記照明光源の照明領域を移動させることを特徴とする両眼画像表示装置。 - 前記照明光源は、2次元アレイ状であることを特徴とする請求項1又は2記載の両眼画像表示装置。
- 前記照明光源は、LEDの2次元アレイ、2次元有機EL、バックライトで照射される透過型液晶表示素子の何れかであることを特徴とする請求項3記載の両眼画像表示装置。
- 前記照明光源は、面光源と、該面光源の前に配置された開口と、前記開口を移動させる移動機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の両眼画像表示装置。
- 前記照明光源は、点光源と、該点光源を移動させる移動機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の両眼画像表示装置。
- 前記接眼光学系はフレネルレンズと反射鏡、あるいはフレネル反射鏡からなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
- 前記リレー光学系は偏心プリズムからなることを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の両眼画像表示装置。
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