JP3886175B2 - オーディオ装置のゲイン測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車室等の閉空間におけるスイープ信号等の所定音声信号をマイクロホンにて収音し、当該収音された所定音声信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを測定するオーディオ装置のゲイン測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトディスクやテープ等の記録媒体、その他の音源から得られる音声信号に対して、パラメトリックイコライザを用いて特定の周波数帯域を強調する音質補正を施したり、デジタルシグナルプロセッサ(以下、単にDSPと称する)を用いて音場補正を施すような、音響補正を施すオーディオ装置の調整システムは広く普及している。
【0003】
例えば車載用のオーディオ装置においては、車室の広さや形状あるいはシートの材質、さらに車内の内装等が車によって異なっているので、音響環境も同一でなくなる。すなわち、同一の音響補正の操作設定を行ったとしても、同一の音響効果が得られるとは限らない。
【0004】
そこで、各車室内、すなわち各音響環境に対応した良好な音響効果を得るためには、当該車室内に設置されたオーディオ装置のスピーカから出力される音声信号のゲインレベルを測定するゲイン測定装置が必要となる。
【0005】
このようなゲイン測定装置においては、従来、パソコンやアナライザ等からなるオーディオアナライザを利用した大がかりなシステムが使用されており、当該オーディオアナライザにおいては、各周波数帯域のゲインレベルを調整するために必要なスイープ信号やスピーカの位相を判定するための短形波のテスト信号等の所定音声信号を発生する信号発生回路が組み込まれている。
【0006】
当該ゲイン測定装置においては、当該車のドア及び窓を閉めることにより外部から閉塞された車室内の例えばヘッドレスト等に、マイクロホンを設置すると共に、車室外に前記オーディオアナライザを設置する。尚、当該オーディオアナライザには、車室内のオーディオ装置及び前記マイクロホンが接続された状態である。
【0007】
当該ゲイン測定装置によれば、当該オーディオアナライザの信号発生回路から前記オーディオ装置及びスピーカを介してスイープ信号を音声出力し、当該スピーカより音声出力されたスイープ信号を前記マイクロホンにて収音し、当該収音されたスイープ信号をオーディオアナライザに供給する。
【0008】
当該オーディオアナライザは、当該収音されたスイープ信号を解析することにより、当該車室内におけるスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを棒グラフ状にして当該パソコンの画面上に表示する。
【0009】
従って、このようなゲイン測定装置によれば、車室内における音声信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを正確に測定することができ、延いては当該測定結果に基づいて当該オーディオ装置の音響補正を調整することにより、当該オーディオ装置のユーザーに各車室空間に応じた良好な音響効果を提供することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、パソコンやアナライザといったオーディオアナライザ等から成るおおがかりなシステム構成となっているために、その製造コストは非常に高く、しかも搬出入の点で非常に作業性が良くないといった第1の問題点があった。
【0011】
また、このような第1の問題点に着目すると、低コストで、コンパクトな作業性に優れた図1に示すような携帯型のゲイン測定装置が考えられる。
【0012】
このような携帯型のゲイン測定装置によれば、その低コスト及び小型化に伴ってスイープ信号等を発生する信号発生回路を内蔵することは困難であるために、市販のスイープ信号用ディスクを車室内のオーディオ装置に再生させることにより、スイープ信号を得ることが考えられる。尚、前記オーディオアナライザから成るゲイン測定装置においては、内部にスイープ信号を発生する信号発生回路が内蔵されているので、発生させる周波数と測定値として取り込む周波数との同期を容易に取ることができる。
【0013】
しかしながら、前記携帯型のゲイン測定装置によれば、外部音源であるオーディオ装置にて市販のスイープ信号用ディスクを再生することによりスイープ信号が出力されるために、測定装置側でデータを取り込む帯域とスイープ音源の周波数との同期をとることが難しく、測定装置側で所定のタイミングでデータ取り込み帯域をスイープさせた場合、スイープ信号の周波数帯域における測定対象周波数領域中にて未測定周波数帯域が発生し、延いては閉空間でのスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを正確に測定することができないといった第2の問題点が考えられる。
【0014】
また、前記オーディオアナライザからなるゲイン測定装置においては、当該測定装置に係わるマイクロホンを車室内に配置し、当該車室外において当該装置を設置するため、ユーザーは当該測定の設定、測定の開始、終了を車室外にて手元で行うことができる。
【0015】
しかしながら、上記第1の問題点に着目した携帯型のゲイン測定装置によれば、マイクロホンが当該測定装置と一体となっているために、当該測定装置を車室内に配置して、当該ゲイン測定を開始してからドアを閉めたり、又は測定途中にドアを開けてしまうことにより、測定精度が著しく損なわれるといった第3の問題点が考えられる。
【0016】
また、前記オーディオアナライザからなるゲイン測定装置においては、当該車室内におけるスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルに基づいて測定結果カーブを生成し、当該生成された測定結果カーブをパソコンの表示画面上にて表示させると共に、例えば予め記憶しておいた当該車室内における理想の各周波数帯域におけるゲインレベルに基づく目標カーブを当該表示画面上に測定結果カーブと合わせて表示させ、当該表示画面上にて測定結果カーブ及び目標カーブ間をユーザーに視覚的に比較させるようにしていた。尚、前記目標カーブとは、通常の測定結果が棒グラフ状にパソコン画面上に表示されているのに対して、現在の音響環境に対して理想的な各周波数帯域におけるゲインレベルを各周波数帯域毎の最大レベル値部分のみを表示させることにより、視覚上においてはカーブのように表示されるものである。
【0017】
しかしながら、当該オーディオアナライザからなるゲイン測定装置によれば、当該パソコンの表示画面上にて目標カーブと測定結果カーブとを比較する際に、当該目標カーブ及び測定結果カーブ間のレベル差があり過ぎると、視覚上、当該目標カーブと測定結果カーブとの比較分析作業が非常に困難であるといった第4の問題点があった。
【0018】
また、前記オーディオアナライザからなるゲイン測定装置においては、当該測定された各周波数帯域におけるゲインレベルに基づいて全周波数帯域のゲインレベルを平均化したトータルレベルを音圧レベル確認用としてパソコンの表示画面上に表示するようにしたが、低・高域中心で高ゲインの場合と、中域中心で高ゲインの場合とではトータルレベルが同じ結果となり、実際の聴感上(中域中心での高ゲインの方が聞こえる)と相違するトータルレベル値となって、当該音圧のレベル調整が実際の聴感と一致しないといった第5の問題点があった。
【0019】
また、前記オーディオアナライザからなるゲイン測定装置においては、パソコンの表示画面上にて縦軸をゲインレベルのレベル数値及び横軸を周波数帯域の周波数値として目盛を表示するようにしなければならないが、当該パソコンの表示画面上においては表示スペースに限りがあるために、当該目盛を表示することができず、しかも細かいデータを求めるユーザーにとっては非常に使い勝手が良くないといった第6の問題点があった。
【0020】
本発明は、上記第1及び第2の問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的とするところは、当該装置と全く同期を取らないスイープ信号を利用したとしても当該スイープ信号における各周波数帯域のゲインレベルを測定することができ、しかも低コストで、かつ作業性に優れたオーディオ装置のゲイン測定装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記第1及び第2の目的を達成するために本発明の第1の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置は、外部音源からの所定音声信号を収音する収音手段と、当該収音手段にて収音された所定音声信号から所定数の異なる周波数帯域を抽出する帯域抽出手段と、当該帯域抽出手段にて抽出された各周波数帯域のゲインレベルを計測するゲイン計測手段と、前記ゲイン計測手段にて計測されたゲインレベルを、各周波数帯域に対応づけて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された第1のゲインレベルと前記第1のゲインレベルを前記記憶手段に記憶した後に前記ゲイン計測手段にて計測された第2のゲインレベルとを各周波数帯域毎に比較するレベル比較手段と、当該レベル比較手段による比較結果に基づいて、前記第2のゲインレベルが前記第1のゲインレベルより大きい周波数帯域において前記記憶手段に記憶されたゲインレベルを前記第2のゲインレベルにて更新する制御手段とを有することを特徴とする。
【0026】
尚、前記外部音源からの所定音声信号とは、例えば当該車室内に設置されたオーディオ装置にて再生される市販のスイープ信号用記録媒体に記録されたテスト用のスイープ信号に相当するものであり、当該スイープ信号においては、ある最小周波数から最大周波数までを1周期とし、当該周期内にて所定の異なる周波数を順次出力した後、再び最小周波数から最大周波数までの出力を繰り返し実行するものである。
【0027】
従って、上記第1の発明によれば、例えば車室等の閉空間に設置された外部音源であるオーディオ装置にて再生されるスイープ信号用ディスクからのスイープ信号を収音手段であるマイクロホンにて収音し、当該収音されたスイープ信号から前記帯域抽出手段にて複数の所定周波数帯域を抽出し、当該抽出された各周波数帯域のゲインレベルを前記ゲイン計測手段にて計測し、当該計測された各周波数帯域のゲインレベルを前記記憶手段に記憶し、全ての周波数帯域における現レベルを記憶し、マイクロホンから収音されるスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを計測し、当該計測されたゲインレベルと前記記憶手段に記憶されたゲインレベルとを各周波数帯域毎に前記レベル比較検知手段にて比較し、当該比較結果に基づいて、各周波数帯域毎に前記記憶手段に記憶されたゲインレベルを大きい方のゲインレベルに記憶更新するようにしたので、当該測定装置とは全く同期がとれないスイープ信号を利用したとしても、スイープ信号の周波数帯域における測定対象周波数領域中にて未測定周波数帯域を発生させることなく、延いては閉空間でのスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを正確に測定することができる。
【0028】
また、当該ゲイン測定装置によれば、上述したように当該測定装置と全く同期がとれないスイープ信号に対しても対応可能であり、従来の信号発生回路を内蔵したオーディオアナライザのような大掛かりなシステムとする必要性もなく、装置本体をコンパクト化することができるので、低コストで、かつ作業性に優れたゲイン測定装置を提供することができる。
【0032】
また、上記第1及び第2の目的を達成するために、第2の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置は、前記第1の発明におけるゲイン測定装置の構成に加え、前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された各周波数帯域毎のゲインレベルを表示手段に表示させることを特徴とする。
【0033】
従って、上記第2の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、スイープ信号の各周波数帯域における各ゲインレベルの測定結果を表示手段に表示させるようにしたので、当該表示手段に表示された測定結果を見ながら、ユーザーはオーディオ装置のゲインレベルを調整することができ、延いてはその作業性を著しく良好にすることができる。
【0034】
また、上記第1及び第2の目的を達成するために、第3の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置は、前記第1の発明におけるゲイン測定装置の構成に加え、前記制御手段が、所定時間が経過するまで前記収音手段、帯域抽出手段、ゲイン計測手段、レベル比較手段による動作及び記憶手段への記憶更新動作における請求項1記載の一連動作を繰り返し実行することを特徴とする。
【0035】
従って、上記第3の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、所定時間が経過するまで一連の動作を繰り返し実行するようにしたので、当該スイープ信号中の各周波数帯域におけるゲインレベルをより一層、正確に測定することができる。
【0038】
また、上記第1及び第2の目的を達成するために、第4の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置は、前記第3の発明におけるゲイン測定装置の構成に加え、前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された各周波数帯域毎のゲインレベルを表示手段に表示させることを特徴とする。
【0039】
従って、上記第4におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、スイープ信号の各周波数帯域における各ゲインレベルの測定結果を表示手段に表示させるようにしたので、当該表示手段に表示された測定結果を見ながら、ユーザーはオーディオ装置のゲインレベルを調整することができ、延いてはその作業性を著しく良好にすることができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明のオーディオ装置のゲイン測定装置の実施形態について説明する。図1は本発明のオーディオ装置のゲイン測定装置の実施形態を示す斜視図である。
【0065】
図1において当該ゲイン測定装置1は、従来技術にて説明したシステムに比べ、非常に小型で携帯性の優れた装置であり、その上部先端には当該装置本体と一体であるマイクロホン2が、その近傍には外部マイクロホン3と接続可能な図示せぬ接続部が設けられている。
【0066】
また、当該ゲイン測定装置1の上面部には、当該装置に係わる様々な指令を入力する操作部4と、後述する様々な機能モードの動作状態を点灯表示するLED5と、当該機能モード等にて得られた様々なデータを表示出力する表示部6とを有している。
【0067】
では、当該ゲイン測定装置1の内部構成について説明する。図2は当該ゲイン測定装置1内部の概略構成を示すブロック図である。図3は当該ゲイン測定装置1における表示部6の表示状態を説明する説明図である。
【0068】
図2においてゲイン測定装置1は、当該車室内にてオーディオ装置のスピーカから出力されるスイープ信号やテスト信号等の音声信号を収音する前記マイクロホン2と、当該マイクロホン2にて収音された音声信号をデジタル変換するA/Dコンバータ7と、当該デジタル変換された音声信号に信号処理を施すデジタルシグナルプロセッサ(以下、単にDSPと称する)8と、先にも説明した操作部4、表示部6及びLED5と、前記DSP8にて得られたデータを記憶するE2 PROM等のメモリ9と、当該ゲイン測定装置1全体を制御するマイコン10とを有している。尚、前記A/Dコンバータ7への入力信号は、前記マイクロホン2にて収音された音声信号の他に、前記外部マイクロホン3にて収音された音声信号であっても良いことはいうまでもない。
【0069】
前記表示部6は、前記マイコン10からの表示データに基づいて当該表示部6全体を制御する表示用マイコン6aと、そのデータ内容を表示するLCD6bと、当該表示用マイコン6aからの制御により、前記LCD6bを駆動制御するドライバー6cとを有している。
【0070】
尚、当該LCD6bに表示される表示内容としては、図3に示すように、縦軸をゲインレベル及び横軸を周波数帯とするゲインレベル表示領域60と、現在の機能モードを表示するモード表示領域61と、後述するレフトキー又はライトキーにて選択された周波数帯域の周波数値及び当該周波数帯域におけるゲインレベルのレベル数値を表示する数値表示領域62と、音圧レベル確認用のトータルレベル表示領域63とを有している。また、前記ゲインレベル表示領域60においては、横軸の周波数帯を31.5Hzから16kHzまでの各周波数帯域における計28本のゲインレベルを表示すると共に、前記トータルレベル表示領域63においては31.5Hzから16kHzまでの周波数帯域の中から聴感特性上、とくに聴感に影響の大きい帯域の315Hz,400Hz,500Hz,630Hzの4バンドといった低周波数域及び高周波数域を除いた中域周波数帯域におけるゲインレベルを平均化したトータルレベルを表示するものである。
【0071】
また、前記操作部4には、様々な機能モードを指定、起動又は終了させる実行キー4aと、当該機能モードにより得られたデータを前記メモリ9に記憶させるメモリキー4bと、前記LCD6bに後述する目標カーブを表示させる表示キーであるユーティリティキー(UTILITYキー)4cと、当該LCD6bに表示中の目標カーブ全体を視覚上、所定デシベル値単位毎に上げるアップキー4dと、当該目標カーブ全体を所定デシベル値単位毎に下げるダウンキー4eと、前記LCD6bのゲインレベル表示領域60中の周波数帯又はトータルレベル表示領域63を選択する際のレフトキー4f及びライトキー4gとを有している。尚、前記所定デシベル値単位は、例えば2dBとする。
【0072】
また、前記レフトキー4fは前記ゲインレベル表示領域60の下部に位置する図3に示すようにカーソルマーク50aを左方向に移動させ、前記ライトキー4gは当該カーソルマーク50aを右方向に移動させるキーであり、これらのキー操作に応じて該当周波数帯の下部に当該カーソルマーク50aを移動させ、該当周波数帯を選択するものである。
【0073】
また、前記マイコン10は、タイマー機能を有すると共に、その内部に内部メモリが設けられているものとする。
【0074】
また、当該ゲイン測定装置1においては、各機能毎に設定時間を設定し、当該設定された時間経過後に当該ゲイン測定装置の電源を自動的にOFFする自動電源OFF機能を有し、前記設定時間をユーザー側の所定操作に応じて選択することができる機能を有している。
【0075】
では、次に図3乃至図8に基づいて当該ゲイン測定装置1の動作について説明する。図4及び図5は当該ゲイン測定装置1のスイープ測定処理におけるマイコン10の処理動作を示すフローチャートである。尚、図3は当該スイープ測定処理時において表示部6に表示された内容である。
【0076】
当該スイープ測定処理とは、例えば車室等の閉空間におけるヘッドレスト近傍に当該ゲイン測定装置1を配置し、当該車室内に設置されたオーディオ装置にて再生されるスイープ信号用ディスクからのスイープ信号、つまり当該ゲイン測定装置との同期がとれないスイープ信号を当該ゲイン測定装置1のマイクロホン2にて収音し、当該収音されたスイープ信号から当該車室内での各周波数帯域におけるゲインレベルを測定するというものである。
【0077】
先ず、図4においてマイコン10は、スイープ測定処理を起動させる実行キー4aが押下されたか否かを判定する(ステップS11)。当該実行キー4aが押下されたのであれば、前記DSP8に当該スイープ測定処理実行に係わるプログラムを送信し(ステップS12)、当該LED5を点灯表示させ(ステップS13)、スイープ測定用タイマーをセットし(ステップS14)、当該マイコン10の内部メモリ10aに相当する表示用メモリの内容をクリアし(ステップS15)、前記オーディオ装置にて再生されたスピーカからのテストデータであるスイープ信号を当該マイクロホン2にて収音して前記DSP8にて測定し、当該DSP8からそのデータを受信したか否かを判定する(ステップS16)。尚、ステップS13におけるLED5の点灯表示は、スイープ測定動作を開始したことをユーザーに通知するためのものである。また、ステップS13におけるスイープ測定用タイマーとは前記DSP8にて測定されるスイープ測定時間をセットするものである。
【0078】
ステップS16にて前記DSP8から当該受信データを受信したのであれば、当該受信データであるスイープ信号の全周波数帯域のゲインレベルを算出する (ステップS17)。尚、当該ゲインレベルを測定すべき全周波数帯域とは、図3に示すように31.5Hz〜16kHz間における計28本の周波数帯域に相当するものである。
【0079】
ステップS17にて全周波数帯域の各周波数帯域におけるゲインレベルを算出すると、当該算出された各周波数帯域のゲインレベルを当該マイコン10の内部メモリ10aに記憶し(ステップS18)、当該内部メモリ10aに記憶中のゲインレベルから最大のゲインレベルに相当する周波数帯域を検索し(ステップS19)、図5に示すM1に移行する。尚、当該検索された最大ゲインレベルは、当該LCD6bのゲインレベル表示領域60内にて該当周波数帯域を図3に示すようなカーソルマーク50aにてユーザーに認識させると共に、最大のゲインレベルのレベル数値及び当該最大のゲインレベルに係わる周波数帯域の周波数値を前記数値表示領域62に表示させることにより、ユーザーに認識させるものである。
【0080】
また、ステップS11にて実行キー4aが押下されたのでなければ、当該スイープ測定処理に係わる処理動作を終了する。また、ステップS16にてDSP8からデータを受信したのでなければ、つまり前記マイクロホン2にてスイープ信号が収音されたのでなければ、図5に示すM2に移行する。
【0081】
図5に示すM1においてマイコン10は、図4に示すステップS19にて検索された周波数帯域のゲインレベルは当該マイコン10の内部メモリ10aに相当する表示用メモリに記憶中のゲインレベルよりも大きいか否かを判定する(ステップS21)。当該検索周波数帯域のゲインレベルが大きければ、当該表示用メモリに対して当該検索周波数帯域の大きい方のゲインレベルに書き換える(ステップS22)。
【0082】
当該書き換えられた表示用メモリの内容、つまり全周波数帯域における各ゲインレベルを棒グラフ状にして図3に示すようにLCD6b上にホールド表示し (ステップS23)、当該検索周波数帯域がMax値、つまり16kHzであるか否かを判定する(ステップS25)。尚、図4に示すステップS19にて全周波数帯域のゲインレベルの中で最大のゲインレベルの周波数帯域を検索し、当該検索された周波数帯域よりも上の高周波数帯域のみを記憶更新の対象としたのは、最大ゲインレベルの周波数帯域よりも下の低周波数帯域をも記憶更新の対象とすると、スイープ信号からの大きな高周波数帯域により当該下の低周波数帯域のゲインレベルが影響を受けてしまうといった事態に配慮したものである。
【0083】
ステップS25にて検索周波数がMax値であれば、前記実行キー4aが押下されたか否かを判定する(ステップS26)。当該実行キー4aが押下されたのでなければ、図4に示すステップS14にてセットされたスイープ測定用タイマーがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS27)。
【0084】
当該スイープ測定用タイマーがタイムアップしたのであれば、前記点灯中のLED5を消灯させ(ステップS28)、前記メモリキー4bが押下されたか否かを判定する(ステップS29)。当該メモリキー4bが押下されたのであれば、前記DSP8にて測定され、かつ当該マイコン10の内部メモリ10aに記憶された全周波数帯域におけるゲインレベルとしての測定データを前記メモリ(E2 PROM)9に記憶し(ステップS30)、当該スイープ測定処理における処理動作を終了する。尚、ステップS30の当該メモリ9においては最大40個までの測定データを記憶することが可能であり、しかも、当該メモリ9に記憶された各測定データ毎にタイトル名を付すことができ、しかも当該メモリ9内にて重複するタイトル名がある場合にはエラーメッセージを前記LCD6bに表示させるようにした。
【0085】
また、ステップS21にて検索周波数のゲインレベルが表示用メモリのゲインレベルよりも大きくなければ、当該内部メモリ10aのメモリ内容を書き換えることなく、ステップS23に移行する。
【0086】
また、ステップS25にて検索周波数がMax値でなければ、当該検索周波数を+1インクリメントし(ステップS31)、ステップS21に移行する。尚、ステップS31にて検索周波数帯域を+1インクリメントするのであるが、例えば検索周波数帯域が1.25kHzであれば、次の1.6kHzへと移るものである。
【0087】
また、ステップS26にて実行キー4aが押下されたのであれば、ステップS28に移行する。また、ステップS27にてスイープ測定用タイマーがタイムアップしたのでなければ、図4に示すM3に移行する。また、ステップS29にてメモリキー4bが押下されたのでなければ、当該処理動作を終了する。
【0088】
従って、図4及び図5に示す当該スイープ測定処理によれば、例えば車室等の閉空間に設置された外部音源であるオーディオ装置にて再生されるスイープ信号用ディスクからのスイープ信号をマイクロホン2にて収音し、DSP8にて当該収音されたスイープ信号から複数の所定周波数帯域を抽出すると共に、当該抽出された各周波数帯域のゲインレベルを計測し、当該計測された各周波数帯域のゲインレベルを当該マイコン10の内部メモリ10aに記憶し、全ての周波数帯域におけるゲインレベルを記憶すると、当該記憶中の全周波数帯域の中から最大のゲインレベルに相当する周波数帯域を検索し、当該検索された周波数帯域からMax値である16kHzまでの各周波数帯域におけるゲインレベルをLCD6b上にホールド表示するようにしたので、当該ゲイン測定装置1とは全く同期がとれないスイープ信号を利用したとしても、スイープ信号の周波数帯域における測定対象周波数領域中にて未測定周波数帯域を発生させることなく、延いては閉空間でのスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを正確に測定することができる。さらに、高周波数帯域のゲインレベルの影響による低周波数帯域のゲインレベルの誤測定を確実に防止することができる。
【0089】
また、当該スイープ測定処理によれば、図4に示すステップS14にセットされたスイープ測定タイマーにて当該処理時間を管理しているために、予め当該処理時間を認識しておけば、当該スイープ測定処理中に誤ってドアを開けてしまうような事態を防止し、延いては当該スイープ測定処理により得られるゲインレベルの測定精度を大幅に向上させることができる。
【0090】
また、当該スイープ測定処理によれば、当該スイープ測定中においてLED5を点灯中とするようにしたので、当該車室外にいる測定者であるユーザーが当該車室内に配置されたゲイン測定装置のLED5の点灯状態を窓越しから目視することにより、LED5が点灯中であれば、当該スイープ測定処理が終了していないことを、LED5が消灯中であれば、当該スイープ測定処理が終了していることを認識することができ、当該スイープ測定処理中のドア開閉による不備を確実に防止することができ、延いては当該スイープ測定処理により得られるゲインレベルの測定精度を大幅に向上させることができる。
【0091】
尚、図4に示すステップS14にてセットされたスイープ測定タイマーにてセットされた設定時間は、予め設定された時間であるが、ユーザー側の所定操作に応じて任意の設定時間を設定可能としても良いことはいうまでもない。
【0092】
また、当該スイープ測定処理によれば、ステップS14のスイープ測定タイマーにて当該測定処理を処理時間にて管理しているが、処理回数により管理するようにしても良い。
【0093】
また、当該ゲイン測定装置におけるスイープ測定処理によれば、スイープ測定開始時において、例えば当該測定装置の測定者であるユーザーは車室内に当該ゲイン測定装置を配置し、当該スイープ測定処理を起動させてから当該車室内から退去しなければならず、当該測定中のドアの開閉によりゲインレベルの測定精度が損なわれるといったことも考えられる。
【0094】
そこで、このような事態を打開すべく、ユーザーが当該車室内に当該ゲイン測定装置を配置して、当該車室内から退去した後に、自動的に当該スイープ測定処理を起動させるといった起動待機処理が考えられる。
【0095】
では、図6に基づいて当該起動待機処理について説明する。図6は当該起動待機処理におけるマイコン10の処理動作を示すフローチャートである。
【0096】
当該起動待機処理とは、当該スイープ測定処理開始時において当該測定装置のユーザーによる所定操作実行後に当該車室内から退去してドアを閉めるまでに要すると見込まれる設定時間を予めセットしておき、前記所定操作による設定時間経過後に当該スイープ測定処理を起動させるようにした処理である。
【0097】
図6においてマイコン10は、前記操作部4にある実行キー4aが押下されたか否かを判定する(ステップS41)。当該実行キー4aが押下されたのであれば、前述した図4に示すスイープ測定処理に係わるプログラムを前記DSP8に送信し(ステップS42)、現在待機中である旨を通知するウエイト中表示を前記LCD6bに表示させ(ステップS43)、第1ウエイトタイマー(以下、単に第1タイマーと称する)をセットし(ステップS44)、前記LED5に500msec毎の点滅動作を実行させ(ステップS45)、ステップS44にてセットされた第1タイマーをカウントし(ステップS46)、当該第1タイマーがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS47)。尚、当該第1タイマーがタイムアップするまで当該LED5による500msec毎の点滅動作を継続するものである。
【0098】
当該第1タイマーがタイムアップしたのであれば、第2ウエイトタイマー(以下、単に第2タイマーと称する)をセットし(ステップS48)、前記LED5に250msec毎の点滅動作を実行させ(ステップS49)、ステップS48にてセットされた第2タイマーをカウントし(ステップS50)、当該第2タイマーがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS51)。尚、当該第2タイマーがタイムアップするまで当該LED5による250msec毎の点滅動作を継続するものである。
【0099】
当該第2タイマーがタイムアップしたのであれば、当該起動待機処理を終了して、前述した図4に示すスイープ測定処理を開始する。尚、当該起動待機処理後におけるスイープ測定処理は、ステップS13によるLED5の点灯動作から開始されるものである。また、前記LED5の点灯状況に着目すると、起動待機処理中においては、スイープ測定処理開始前待機中を通知する500msec点滅動作に移行した後に、当該スイープ測定処理開始目前待機中を通知する250msec点滅動作に移行し、当該起動待機処理後においてはスイープ測定処理開始を通知する点灯動作に移行するものである。
【0100】
また、ステップS47にて第1タイマーがタイムアップしたのでなければ、ステップS45に移行する。また、ステップS51にて第2タイマーがタイムアップしたのでなければ、ステップS49に移行する。
【0101】
尚、ステップS44及びステップS48にてセットされる第1及び第2タイマーのセット時間は、所定操作に応じてユーザー側にて任意に設定できるものである。
【0102】
従って、当該起動待機処理によれば、前記スイープ測定処理の起動開始時間、つまり当該測定装置を車室内に配置してからドアを閉めて測定を開始するまでに要すると見込まれる時間を所定操作により任意に設定し、当該設定された起動開始時間経過後に当該スイープ測定処理を開始するようにしたので、当該マイクロホン2と当該ゲイン測定装置本体とが一体になったとしても、当該測定開始時におけるユーザーの測定準備を整えることができ、延いては前記スイープ測定処理により得られるゲインレベルの測定精度を大幅に向上させることができる。
【0103】
また、当該起動待機処理によれば、当該起動待機処理中において、当該設定された起動開始時間の経過状態に応じてLED5の点滅ピッチを変化させるようにしたので、ユーザーは当該点滅状態を目視することにより、当該起動開始時間の経過状況を認識することができる。
【0104】
尚、当該起動待機処理によれば、LED5の点滅ピッチに応じて起動開始時間の経過状況をユーザーに認識させるようにしたが、当該LCD6bに経過時間をカウント表示させるようにしても良く、この場合にはより一層の効果を上げられることはいうまでもない。
【0105】
では、次に当該ゲイン測定装置における目標カーブ表示処理について説明する。図7は当該目標カーブ表示処理にて表示部6に表示される表示内容を示す説明図である。図8は当該目標カーブ表示処理におけるマイコン10の処理動作を示すフローチャートである。
【0106】
当該目標カーブ表示処理とは、当該LCD6bに表示中の表示画面上にて目標カーブ50bと測定結果50cとを比較する際に、当該目標カーブ50b及び測定結果50c間のレベル差、すなわちデシベル値の差がかなりあったとしても、視覚上、当該目標カーブ50bを上下動させる処理である。
【0107】
尚、当該目標カーブ表示処理は、図4及び図5に示すスイーブ測定処理終了後に行われるものであり、前記目標カーブ50bは、例えば、予め記憶しておいた車室内における理想の各周波数帯におけるゲインレベルに基づくカーブに相当するものである。
【0108】
図8においてマイコン10は、前記操作部4のユーティリティキー4cが押下されたか否かを判定する(ステップS61)。当該ユーティリティキー4cが押下されたのであれば、前段のスイープ測定処理により得られた測定結果50cを表示中のLCD6bに、目標カーブ50bが表示中であるか否かを判定する(ステップS62)。当該LCD6bにて目標カーブ50bが表示中でなければ、当該LCD6bに目標カーブ50bを表示させ(ステップS63)、当該LCD6bに目標カーブ50bが表示中であるか否かを判定する(ステップS64)。
【0109】
当該目標カーブ50bが表示中であれば、前記操作部4のアップキー4dが押下されたか否かを判定する(ステップS65)。当該アップキー4dが押下されたのであれば、当該LCD6bに表示中の目標カーブ50bを所定デシベル値分、例えば2dBだけ上げ(ステップS66)、前記操作部4のダウンキー4eが押下されたか否かを判定する(ステップS67)。当該ダウンキー4eが押下されたのであれば、当該LCD6bに表示中の目標カーブ50bを所定デシベル値分(2dB)だけ下げ(ステップS68)、前記操作部4の実行キー4aが押下されたか否かを判定する(ステップS69)。当該実行キー4aが押下されたのであれば、当該目標カーブ表示処理を終了する。
【0110】
尚、ステップS66及びステップS68による目標カーブ50bの所定デシベル値分の上げ下げは、当該目標カーブ50bの全帯域において行われるものである。また、例えば当該LCD6bに表示中の目標カーブを4dBのデシベル値分だけ下げようとする場合には、当該ダウンキー4eを2回だけ押下するものとする。
【0111】
ステップS61にてユーティリティキー4cが押下されたのでなければ、ステップS64に移行する。また、ステップS62にて目標カーブ50bが表示中でなければ、当該LCD6bに表示中の目標カーブ50bを消して(ステップS70)、ステップS64に移行する。
【0112】
また、ステップS64にて目標カーブが表示中でなければ、又はステップS67にてダウンキー4eが押下されたのでなければ、ステップS69に移行する。また、ステップS65にてアップキー4dが押下されたのでなければ、ステップS67に移行する。また、前記実行キー4aが押下されたのでなければ、ステップS61に移行する。
【0113】
従って、当該目標カーブ表示処理によれば、当該LCD6bにて測定結果の表示中に、前記ユーティリティキー4cの入力を受けると、前記メモリ9に記憶された各周波数帯域におけるゲインレベルに基づいて目標カーブ50bを生成し、当該生成された目標カーブ50bを当該LCD6bに重ね表示させ、前記アップキー4d又はダウンキー4eの入力を受けると、当該LCD6bに表示中の目標カーブ50bを所定デシベル値毎に上下動させるようにしたので、当該表示中の表示画面上にて目標カーブ50bと測定結果50cとを比較する際に、当該目標カーブ50b及び測定結果50c間のレベル差、すなわちデシベル値の差がかなりあったとしても、視覚上、当該目標カーブ50bを上下動させることにより、前記測定結果50cとの比較分析作業を良好にすることができる。
【0114】
また、当該目標カーブ表示処理によれば、前記アップキー4d又はダウンキー4eの入力回数に基づいて当該目標カーブ50bと測定結果50cとの間にどのぐらいデシベル値分の差があるかを容易に認識することができる。
【0115】
また、当該ゲイン測定装置においては、音圧レベル確認用として図7に示すトータルレベル表示領域63にトータルレベルを表示するトータルレベル表示機能が備えられている。
【0116】
では、当該トータルレベル表示機能について説明する。図9は当該トータルレベル表示処理におけるマイコン10の処理動作を示すフローチャートである。
【0117】
当該トータルレベル表示処理とは、図4及び図5のスイープ測定処理中に測定された各周波数帯域におけるゲインレベルの内、聴感特性上において影響の大きい中域周波数帯域である任意のバンドにおけるゲインレベルに基づいて平均値を算出し、当該算出された平均値をトータルレベルとして前記LCD6bのトータルレベル表示領域63に表示する処理である。
【0118】
図9においてマイコン10は、現在スイープ測定処理中であるか否かを判定する(ステップS71)。当該スイープ測定処理中であれば、当該マイコン10の内部メモリ10a内に該当中域周波数帯域に対応するゲインレベルがあるか否かを判定する(ステップS72)。尚、ここでは該当中域周波数帯域を315Hz,400Hz,500Hz,630Hzの4バンドとする。
【0119】
該当中域周波数帯域に対応するゲインレベルがあれば、当該ゲインレベルを当該内部メモリ10a内から読み出し(ステップS73)、当該読み出された4つのゲインレベルを平均化してトータルレベルを算出し(ステップS74)、当該算出されたトータルレベルを前記LCD6bのトータルレベル表示領域63に表示させ(ステップS75)、前記操作部4の実行キー4aが入力されたか否かを判定する(ステップS76)。当該実行キー4aが入力されたのであれば、測定中のスイープ測定処理を終了し(ステップS77)、当該トータルレベル表示処理を終了する。
【0120】
また、ステップS71にてスイープ測定処理中でなければ、当該トータルレベル表示処理を終了する。また、ステップS72にて当該内部メモリ10a内に該当中域周波数帯域がなければ、又はステップS76にて実行キー4aが入力されたのでなければ、ステップS71に移行する。
【0121】
従って、当該トータルレベル表示処理によれば、スイープ測定処理中に測定された周波数帯域の内、聴感特性上において影響の大きい中域周波数帯域におけるゲインレベルのみを平均化することにより得られたトータルレベルをトータルレベル表示領域63に表示するようにしたので、ユーザーが実際に聴取したときに近いレベルとなり、延いては実際の聴感上に整合性のとれた音圧のレベル調整を正確に行うことができ、しかもゲインレベルの比較分析精度を大幅に向上させることができる。
【0122】
また、当該ゲイン測定装置1においては、当該LCD6bの表示スペースに限りがあるため、主にゲインレベル表示領域60上の縦軸のレベル数値及び横軸の周波数値における目盛表示部分が大まかになってしまい、詳細な数値データを求めるユーザーには使い勝手が良くないといったことも考えられる。
【0123】
そこで、このような事態を打開するために、表示スペースを有効的に利用すると共に、詳細な数値データをもユーザーが認識できる数値表示処理を当該ゲイン測定装置に備えさせた。
【0124】
では、当該数値表示処理について説明する。図10は当該数値表示処理におけるマイコン10の処理動作を示すフローチャートである。図11は当該数値表示処理における表示部6の表示内容を示す説明図である。
【0125】
当該数値表示処理とは、測定された各周波数帯域のゲインレベルを表示するゲインレベル表示領域60において縦軸及び横軸の目盛表示部分を表示せず、前記レフトキー4f又はライトキー4gによりカーソルマークを画面上にて移動し、当該カーソル操作に応じて所望周波数帯域を選択し、当該選択された所望周波数帯域におけるレベル数値及び周波数値を前記LCD6bの数値表示領域62に表示させる処理である。
【0126】
図10においてマイコン10は、当該LCD6bのゲインレベル表示領域60に測定結果を表示中であるか否かを判定する(ステップS81)。当該ゲインレベル表示領域60上にて測定結果が表示中であれば、前記操作部4のレフトキー4fが入力されたか否かを判定する(ステップS82)。当該レフトキー4fが入力されたのであれば、図11に示すように当該ゲインレベル表示領域60の下部に位置するカーソルマーク50aを左方向に1シフト移動させ(ステップS83)、当該マイコン10の内部メモリ10aから当該シフト後の周波数帯域における周波数値及びレベル数値を呼び出し(ステップS84)、当該呼び出された周波数値及びレベル値を前記LCD6bの数値表示領域に表示させ(ステップS85)、ステップS81に移行する。尚、図11に示す表示内容としては、当該カーソルマーク50aの位置する周波数帯域の周波数値が1.25kHzであり、当該周波数帯域におけるゲインレベルのレベル数値が40dBであるので、前記数値表示領域62には“1.25kHz”及び“40dB”が表示されるものである。
【0127】
また、ステップS81にて測定結果を表示中でなければ、当該数値表示処理を終了する。また、ステップS82にて前記レフトキー4fは入力されたのでなければ、前記操作部4のライトキー4gが入力されたか否かを判定する(ステップS86)。当該ライトキー4gが入力されたのであれば、図11に示すカーソルマークを右方向に1シフトさせ(ステップS84)、ステップS84に移行する。
【0128】
また、ステップS86にてライトキー4gが入力されたのでなければ、ステップS81に移行する。
【0129】
従って、当該数値表示処理によれば、当該測定された各周波数帯域におけるゲインレベルを前記LCD6bに表示する際に、前記レフトキー4f又はライトキー4gの操作により選択された周波数帯域の周波数値及び当該選択された周波数帯域に係わるゲインレベルのレベル数値のみを前記数値表示領域62に表示させるようにしたので、つまり前記周波数帯域の周波数値及びゲインレベルのレベル数値といった全ての目盛表示を常に表示する必要はないので、当該目盛表示部分を有効的に利用することができると共に、当該測定された各周波数帯域におけるゲインレベルのレベル数値及び当該周波数帯域の周波数値における詳細な数値データをもユーザーが認識することができ、延いては当該ゲインレベルにおける比較分析精度を大幅に向上させることができる。
【0130】
また、当該数値表示処理によれば、当該ゲインレベル表示領域60に表示中の各周波数帯域におけるゲインレベルの中で所望の周波数帯域におけるゲインレベルを、前記レフトキー4f又はライトキー4gの操作により表示中のカーソルマーク50aにて選択し、当該選択された周波数帯域の周波数値及び当該周波数帯域に係わるゲインレベルのレベル値を前記数値表示領域62に表示するようにしたので、ユーザーは当該画面上にて選択する所望周波数帯域を認識することができ、その作業性を著しく良好にすることができる。
【0131】
従って、当該ゲイン測定装置1によれば、上述したように当該ゲイン測定装置1と全く同期がとれないスイープ信号に対しても対応可能であり、従来の信号発生回路を内蔵したオーディオアナライザのような大掛かりなシステムとする必要性もなく、装置本体をコンパクト化することができるので、低コストで、かつ作業性に優れている。
【0132】
【発明の効果】
上記のように構成された本発明の第1の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、外部音源からの所定音声信号を収音する収音手段と、当該収音手段にて収音された所定音声信号から所定数の異なる周波数帯域を抽出する帯域抽出手段と、当該帯域抽出手段にて抽出された各周波数帯域のゲインレベルを計測するゲイン計測手段と、前記ゲイン計測手段にて計測されたゲインレベルを、各周波数帯域に対応づけて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された第1のゲインレベルと前記第1のゲインレベルを前記記憶手段に記憶した後に前記ゲイン計測手段にて計測された第2のゲインレベルとを各周波数帯域毎に比較するレベル比較手段と、当該レベル比較手段による比較結果に基づいて、前記第2のゲインレベルが前記第1のゲインレベルより大きい周波数帯域において前記記憶手段に記憶されたゲインレベルを前記第2のゲインレベルにて更新する制御手段とを有するので、当該測定装置とは全く同期がとれないスイープ信号を利用したとしても、スイープ信号の周波数帯域における測定対象周波数領域中にて未測定周波数帯域を発生させることなく、延いては閉空間でのスイープ信号の各周波数帯域におけるゲインレベルを正確に測定することができる。
【0133】
また、当該ゲイン測定装置によれば、上述したように当該測定装置と全く同期がとれないスイープ信号に対しても対応可能であり、従来の信号発生回路を内蔵したオーディオアナライザのような大掛かりなシステムとする必要性もなく、装置本体をコンパクト化することができるので、低コストで、かつ作業性に優れたゲイン測定装置を提供することができる。
【0135】
また、第2の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、スイープ信号の各周波数帯域における各ゲインレベルの測定結果を表示手段に表示させるようにしたので、当該表示手段に表示された測定結果を見ながら、ユーザーはオーディオ装置のゲインレベルを調整することができ、延いてはその作業性を著しく良好にすることができる。
【0136】
また、第3の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、所定時間が経過するまで一連の動作を繰り返し実行するようにしたので、当該スイープ信号中の各周波数帯域におけるゲインレベルをより一層、正確に測定することができる。
【0137】
また、第4の発明におけるオーディオ装置のゲイン測定装置によれば、スイープ信号の各周波数帯域における各ゲインレベルの測定結果を表示手段に表示させるようにしたので、当該表示手段に表示された測定結果を見ながら、ユーザーはオーディオ装置のゲインレベルを調整することができ、延いてはその作業性を著しく良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオーディオ装置のゲイン測定装置における実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態におけるゲイン測定装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】当該ゲイン測定装置のスイープ測定処理時の表示部に表示される表示内容を示す説明図である。
【図4】当該ゲイン測定装置のスイープ測定処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図5】当該ゲイン測定装置のスイープ測定処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図6】当該ゲイン測定装置の起動待機処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図7】当該ゲイン測定装置の目標カーブ表示処理時の表示部に表示される表示内容を示す説明図である。
【図8】当該ゲイン測定装置の目標カーブ表示処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図9】当該ゲイン測定装置のトータルレベル表示処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図10】当該ゲイン測定装置の数値表示処理におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
【図11】当該ゲイン測定装置の数値表示処理時の表示部に表示される表示内容を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ゲイン測定装置
2 マイクロホン(収音手段)
3 外部マイクロホン(収音手段)
4 操作部(設定手段、操作手段)
4b メモリキー
4c ユーティリティキー(表示キー)
4d アップキー(上下キー)
4e ダウンキー(上下キー)
4f レフトキー(選択手段)
4g ライトキー(選択手段)
5 LED(表示手段)
6b LCD(表示手段)
8 DSP(帯域抽出手段、ゲイン計測手段)
9 メモリ(記憶手段)
10 マイコン(レベル比較手段、対象周波数帯域検索手段、中帯域
抜出手段、制御手段)
10a 内部メモリ(記憶手段)
62 数値表示領域(周波数値表示手段、レベル値表示手段)
Claims (4)
- 外部音源からの所定音声信号を収音する収音手段と、
当該収音手段にて収音された所定音声信号から所定数の異なる周波数帯域を抽出する帯域抽出手段と、
当該帯域抽出手段にて抽出された各周波数帯域のゲインレベルを計測するゲイン計測手段と、
前記ゲイン計測手段にて計測されたゲインレベルを、各周波数帯域に対応づけて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された第1のゲインレベルと前記第1のゲインレベルを前記記憶手段に記憶した後に前記ゲイン計測手段にて計測された第2のゲインレベルとを各周波数帯域毎に比較するレベル比較手段と、
当該レベル比較手段による比較結果に基づいて、前記第2のゲインレベルが前記第1のゲインレベルより大きい周波数帯域において前記記憶手段に記憶されたゲインレベルを前記第2のゲインレベルにて更新する制御手段と、
を有することを特徴とするオーディオ装置のゲイン測定装置。 - 前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された各周波数帯域毎のゲインレベルを表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載のオーディオ装置のゲイン測定装置。
- 前記制御手段は、所定時間が経過するまで前記収音手段、帯域抽出手段、ゲイン計測手段、レベル比較手段による動作及び前記記憶手段への記憶更新動作における請求項1記載の一連動作を繰り返し実行することを特徴とする請求項1記載のオーディオ装置のゲイン測定装置。
- 前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された各周波数帯域毎のゲインレベルを表示手段に表示させることを特徴とする請求項3記載のオーディオ装置のゲイン測定装置。
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