JP3886170B2 - 転がり部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、たとえばカム追従ローラの外輪や、あるいは機械の回転軸に組み込まれて、当該回転軸と直接に接触するギヤインナー軸受の転動体等の転がり部品と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
転がり部品の寿命は、その転がり接触部における油膜厚さと表面粗さとの大小関係、および材料の硬さと残留圧縮応力の影響を大きく受けることがわかっている。
とくに、上記カム追従ローラの外輪やギヤインナー軸受の転動体などが接触する相手物体(カム、回転軸)は、その表面が、通常の転がり軸受の内外輪や転動体の表面ほどきれいに仕上げられておらず、十分な潤滑油膜が形成されないことから、特別な工夫が必要とされる。
【0003】
その工夫として、転がり部品の転がり面をバレル加工して微小なくぼみを形成することにより油膜形成を向上させるとともに、上記バレル加工時の熱や衝撃等によって、転がり面の表面を内部に比べて高硬度とし、かつ転がり面の表層部に、積極的に残留圧縮応力を発生させる方法が提案されている(たとえば特開平5−239550号公報参照)。
【0004】
しかし上記先行技術においては、安定した微小くぼみの形成が困難であるという問題があった。実際、発明者らが同一条件でバレル加工した複数の試料について、表面状態の測定、および回転試験を実施した結果、所定のくぼみが形成されており、ピーリング等の損傷の防止に効果がある場合と、くぼみがほとんど形成されておらず、上記効果が全くない場合とがあった。
【0005】
微小くぼみは、均一な形状、大きさのものが、それぞれ独立して存在している場合が、油膜の形成に最も効果がある。しかしバレル加工によって形成された微小くぼみは、形状や大きさのばらつきが大きく、しかもくぼみ同士が互いにつながっている場合がある。このためくぼみの状態によっては油膜の形成効果が不十分となって、損傷の防止に効果がない場合が生じるのである。
【0006】
また上記先行技術においては、微小くぼみの状態によっては、ピーリング等の損傷の防止には効果があるものの、通常の転がり疲労であるフレーキングに対しては対策がなされていないという問題もある。
一般に残留圧縮応力は、転がり部品の転がり疲労に対する寿命を向上する効果、とくに材料内部に発生したき裂の成長を抑制する効果があることが知られている。
【0007】
上記先行技術においても、前述したようにバレル加工によって、転がり面の表層部に残留圧縮応力を積極的に発生させてはいるが、その範囲は表面から数μm以内のごく薄い領域であって、それより深い、転がり部品においてき裂が最も発生しやすい、転がり面の表面から数10μmないし100μm程度の深さの範囲にはほとんど残留圧縮応力が発生していない。
【0008】
このため上記先行技術では、回転初期の摩耗に対しては効果があるものの、通常の転がり疲労寿命の向上は期待できない。
この発明の目的は、微小くぼみの大きさと形状をコントロールすることで、上記のような従来の表面処理法の欠点を解消して、表面がきれいに仕上げられていない相手物体に対しても安定した油膜形成能力を有し、しかも転がり疲労寿命についても改善された転がり部品と、その製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するための、この発明の転がり部品は、浸炭窒化処理した高炭素鋼系材料からなる転がり部品の転がり面を、投射材としてアルミナを用いたショットブラストにて粗化し、さらにメディアとしてセラミック球を用いてバレル仕上げすることで、当該転がり面に、各々独立した多数の微小くぼみが形成された転がり部品であって、上記転がり面の表面から深さ100μmまでの表層部での、残留圧縮応力の最小値が90MPa以上で、かつ当該表層部での残留オーステナイト相の含有率が8容積%以上であるとともに、上記転がり面の最大粗さRmaxが2〜3μm、自乗平均平方根粗さRMSが0.2〜0.3μm、表面粗さの分布曲線のゆがみ度を示すSK値が−4〜−3で、かつ微小くぼみの開口面積が、転がり面の全表面積に対する面積率で表して5〜20%であることを特徴としている。
【0010】
また、この発明の転がり部品の製造方法は、高炭素鋼系材料からなる未処理の転がり部品を浸炭窒化処理し、ついでその転がり面を、投射材としてアルミナを用いたショットブラストにて粗化した後、メディアとしてセラミック球を用いてバレル仕上げして、上記請求項1記載の転がり部品を製造することを特徴としている。
前記課題のところで述べたように微小くぼみの形状や大きさは、均一であることが重要であり、また微小くぼみは、各々独立したものであることが重要である。
【0011】
そこで発明者らは、上記のような条件を満たす微小くぼみを形成し得る、バレル加工に代わる新たな加工方法について検討した結果、投射材としてアルミナを用いたショットブラストによる粗化と、メディアとしてセラミック球を用いたバレル仕上げとの組み合わせによってのみ、形状や大きさが均一で、しかも各々独立した微小くぼみを形成できることを見出した。
また発明者らは、上記の方法によって形成される微小くぼみの形状や大きさを規定すべく、まずその基準をどうするかについて検討した。
【0012】
その結果、
▲1▼ 転がり面の最大粗さRmax
▲2▼ 自乗平均平方根粗さRMS、
▲3▼ 表面粗さの分布曲線のゆがみ度を示すSK値、ならびに
▲4▼ 微小くぼみの開口面積の、転がり面の全表面積に対する面積率、
の4つの基準によって微小くぼみの形状や大きさを規定するのが望ましいことを見出した。上記のうちとくに▲1▼〜▲3▼の値は、たとえば表面粗さ計を用いた測定から、簡単に求めることができることができるので、製造現場での工程管理には適している。
【0013】
そこでつぎに、油膜の形成効果にすぐれた微小くぼみの形状や大きさを規定する、上記各基準値の範囲について検討した結果、この発明においては、最大粗さRmax2〜3μm、自乗平均平方根粗さRMSが0.2〜0.3μm、表面粗さの分布曲線のゆがみ度を示すSK値が−4〜−3で、かつ微小くぼみの開口面積の面積率が5〜20%である必要があることがわかった。
【0014】
上記の各特性のうち最大粗さRmax が3μm以下、自乗平均平方根粗さRMSが0.3μm以下にそれぞれ限定されるのは、これより表面粗さが大きい場合、微小くぼみが大きくなりすぎて、この微小くぼみの部分からき裂が発生しやすくなったり、あるいは転がり時の振動や音を増大させたり、相手物体に損傷を及ぼしたりするという問題が生じるからである。
【0015】
なお、最大粗さRmax が2μm以上、自乗平均平方根粗さRMSが0.2μm以上に限定されるのは、これより表面粗さが小さい場合には微小くぼみが小さすぎて、油膜の形成能力が低下するためであるなお、自乗平均平方根粗さRMSは、0.2〜0.25μm程度であるのが好ましい。
【0016】
微小くぼみの形状や大きさを規定する前記各特性のうちSK値は、前述したように表面粗さの分布曲線のゆがみ度を示すもので、正規分布のような左右対称の分布の場合は0となるが、このSK値を−4〜−3の範囲に限定することにより、微小くぼみの形状と分布が、油膜形成に有利な範囲に規定される。すなわち、潤滑油の蓄積に適した深さの微小くぼみが、転がり面に適当な間隔で分散される。
【0017】
らに、微小くぼみの形状や大きさを規定する前記各特性のうち、微小くぼみの開口面積の面積率が5〜20%に限定されるのは、以下の理由による。すなわち上記面積率が5%未満では、微小くぼみが少ないため、潤滑油膜の形成能力が悪化してしまう。逆に、上記面積率が20%を超えた場合には微小くぼみが拡大しやすく、それにともなってき裂が発生したり、あるいは転がり時の振動や音を増大させたり、相手物体に損傷を及ぼしたりするという問題が生じる。
【0018】
なお上記面積率は、上記範囲内でもとくに10%前後であるのが好ましい。
上記の各特性を有する微小くぼみが転がり面に形成された、この発明の転がり部品は、通常の転がり疲労であるフレーキングをも抑えるために、材料素材そのものの疲労強度を高める必要がある。そのために、この発明の転がり部品は、高炭素鋼系材料からなる未処理のものを浸炭窒化処理して製造され、微小くぼみが形成された転がり面の表面から深さ100μmまでの表層部での、残留圧縮応力の最小値が90MPa以上、当該表層部での残留オーステナイト相の含有率が8容積%以上に限定される。
【0019】
残留圧縮応力の最小値が90MPa以上に限定されるのは、以下の理由による。
すなわち、転がり接触部に荷重が作用すると材料内部にせん断応力が生じ、そのせん断応力が最大となる深さにおいて、フレーキングにつながるき裂が発生しやすい。その深さは、転がり部品が使用される荷重条件下においては、前述したように数10〜100μm程度である。
【0020】
上記の領域、つまり転がり部品の転がり面の表面から、深さ100μmまでの表層部に残留圧縮応力が付与されていると、前述したように、発生したき裂の成長が抑制される。
但し、その残留圧縮応力の最小値が90MPa未満では、当該表層部に発生したき裂が成長するのを抑える作用が不十分となり、転がり部品は、短期間で疲労寿命に至る可能性が高くなる。よって、上記表層部での残留圧縮応力の最小値は、90MPa以上に限定されるのである。
【0021】
なお、上記残留圧縮応力の最小値は、上記範囲内でもとくに95MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがさらに好ましい。
また、上記表層部における残留圧縮応力の最大値は、とくに限定されないが、1000〜1500MPa程度であるのが好ましい。高炭素鋼系材料の浸炭窒化処理、投射材としてアルミナを用いたショットブラストによる粗化、およびメディアとしてセラミック球を用いたバレル仕上げの工程を含む、この発明の製造方法では、表層部に、1500MPaを超える残留圧縮応力を付与することは不可能である。
【0022】
また上記転がり面の表層部における、残留オーステナイト相の含有率が8容積%以上に限定されるのは、以下の理由による。
すなわち残留オーステナイト相は、上記表層部にき裂が発生するのを抑制する効果にすぐれている。しかし、その含有率が8容積%未満では、き裂の発生を抑制する作用が低下するため、残留オーステナイト相の含有率は8容積%以上に限定されるのである。
【0023】
なお残留オーステナイト相の含有率は、上記範囲内でもとくに、10〜20容積%程度であるのが好ましい。
さらに、上記転がり面の表層部の硬度は、この発明では特に限定されないが、ビッカース硬さHV で表して800以上であるのが好ましい。それ未満では、転がり面が摩耗しやすくなって、当該転がり面に形成された微小くぼみが早期に失われてしまい、潤滑油膜の形成能力が悪化するおそれがある。
【0024】
上記各特性を兼ね備えた、この発明の転がり部品は、従来公知の種々の高炭素鋼系材料にて形成することができ、とくにSUJ2等の軸受鋼にて形成するのが好ましい。
この発明の転がり部品の具体例としては、前述したカム追従ローラの外輪やギヤインナー軸受の転動体等があげられるほか、通常の転がり軸受の内外輪や転動体などにこの発明の構成を採用することもできる。
【0025】
上記転がり部品を製造するための、この発明の転がり部品の製造方法のうち浸炭窒化処理としては、気相による浸炭窒化法と、液相による浸炭窒化法の何れを採用してもよい。
このうち前者の、気相による浸炭窒化法は、高炭素鋼系材料からなる未処理の転がり部品を、材料の変態点以上の温度に保持しつつ、NH3 を導入したガス浸炭雰囲気にさらして処理するものである。一方、後者の液相による浸炭窒化法は、未処理の転がり部品を、青化物の溶融浴中に浸漬して処理するものである。
【0026】
この発明においては、上記浸炭窒化処理後の転がり部品の、転がり面の表層部の、残留圧縮応力の最小値が90MPa以上となり、かつ当該表層部に、20容積%以上のオーステナイト相が残留するように、浸炭窒化処理の条件を設定するのが望ましい。なお上記残留圧縮応力は、その後、研磨仕上げにより、最大値が500MPa程度まで上昇し、ショットブラストによる粗化とバレル仕上げによって最大値が1200MPa程度まで上昇する。
【0027】
上記浸炭窒化処理を施した後の転がり部品は、その転がり面を、常法にて研磨処理した後、投射材としてアルミナを用いたショットブラストによって粗化し、さらにメディアとしてセラミック球を用いてバレル仕上げすることで、製品として完成する。
ショットブラストおよびバレル仕上げの条件等は、転がり面の表面粗さおよび微小くぼみの面積率が前述した範囲となるように、適宜設定すればよい。
【0028】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
外周に幅10mmの転がり面を有する直径60mmφの転がり部品を、軸受鋼SUJ2から旋削、形成し、この転がり部品を、NH3 を導入したガス浸炭雰囲気中で、825℃で5時間、焼入れし、さらに160℃で2時間、焼もどししてガス浸炭窒化処理した後、転がり面を研磨した。
【0029】
つぎに、上記転がり部品の転がり面を、下記の条件にてショットブラスト処理し、次いでバレル仕上げして、実施例1の転がり部品を製造した。
〈ショットブラスト処理条件〉
使用装置:エアーブラスト装置
加圧タンク圧力:4kgf/cm2 (0.4MPa)
投射材:アルミナ(粒径63〜105μm)
処理時間:5分間
〈バレル仕上げ条件〉
使用装置:遠心バレル研磨機
回転数:170r.p.m.
メディア:セラミック球(直径φ5mm)
コンパウンド:粉末(水添加)
処理時間:30分間
かかる転がり部品の転がり面における、深さ方向の残留圧縮応力を、X線法にて測定したところ、図1に(─○─)の折れ線で示す結果となり、深さ100μmまでの表層部における残留圧縮応力の最小値は95MPa、最大値は1188MPaであることがわかった。
【0030】
また上記転がり面の表層部の、残留オーステナイト量を、同じくX線法にて測定したところ10〜18容積%であり、上記表層部のビッカース硬さHV は840であった。
また、上記転がり面の表面状態を表面粗さ計にて測定したところ、最大粗さRmax は2.7μm、自乗平均平方根粗さRMSは0.24μm、SK値は−3.6であった。
【0031】
さらに、顕微鏡撮影により得た画像を画像解析して、上記転がり面における、微小くぼみの開口の面積率を測定したところ、9.8%であった。
比較例1
実施例1で使用したのと同じ未処理の転がり部品を、実施例1と同一方法で加工して、転がり面の最大粗さRmax が4.0μm、自乗平均平方根粗さRMSが0.36μm、SK値が−4.2で、かつ微小くぼみの開口の面積率が32%の、比較例1の転がり部品を製造した。
【0032】
なお、かかる転がり部品の、転がり面の表層部における残留圧縮応力、残留オーステナイト量、およびビッカース硬さHV は、それぞれ実施例1と同じ値であった。
比較例2
実施例1で使用したのと同じ未処理の転がり部品を、実施例1と同条件で浸炭窒化処理した後、転がり面を研磨したが、その後のショットブラスト処理およびバレル仕上げをせず、転がり面に微小くぼみを形成しなかったものを、比較例2とした。
【0033】
かかる転がり部品の転がり面における、深さ方向の残留圧縮応力を、前記と同様にして測定したところ、図1に(─●─)の折れ線で示す結果となり、深さ100μmまでの表層部における残留圧縮応力の最小値は104MPa、最大値は512MPaであることがわかった。
また上記転がり面の表層部の、残留オーステナイト量は24〜27容積%、ビッカース硬さHV は814であった。
【0034】
さらに、上記転がり面の最大粗さRmax は0.2μm、自乗平均平方根粗さRMSは0.03μmであった。
比較例3
実施例1で使用したのと同じ未処理の転がり部品に、下記の条件で通常の焼入れ処理を行った後、転がり面を研磨したが、その後のショットブラスト処理およびバレル仕上げをせず、転がり面に微小くぼみを形成しなかったものを、比較例3とした。
〈焼入れ処理条件〉
・焼入れ:835℃、40分間
・焼もどし:180℃、2時間
かかる転がり部品の転がり面における、深さ方向の残留圧縮応力を、前記と同様にして測定したところ、図1に(─▲─)の折れ線で示す結果となり、深さ100μmまでの表層部における残留圧縮応力の最小値は−21MPa(つまり残留引張応力が21MPa)、最大値は502MPaであることがわかった。
【0035】
また上記転がり面の表層部の、残留オーステナイト量は10〜12容積%、ビッカース硬さHV は733であった。
さらに、上記転がり面の最大粗さRmax は0.2μm、自乗平均平方根粗さRMSは0.03μmであった。
上記実施例、比較例の転がり部品について、以下の試験を行い、その特性を評価した。
ピーリング寿命測定
転がり面が、周方向と直交する方向に半径30mmのR形状となっていること以外は、転がり部品と同様の寸法、形状を有するとともに、当該転がり面が周方向に研削仕上げ(最大粗さRmax =3μm)された、軸受鋼SUJ2製の駆動輪を用意した。
【0036】
つぎにこの駆動輪と、実施例、比較例の転がり部品とを、それぞれの転がり面同士が接触応力Pmax =2300MPaで接触するようにセットし、潤滑油(タービン油VG32)を、3cc/分の速度で滴下しつつ、駆動輪を回転速度1000r.p.m.、すべり率0(純転がり)の条件で、180×104 回、連続回転させた。
【0037】
なお試験は、転がり部品と駆動輪の回転による自然昇温を許容しつつ、室温下で行った。
そして、上記連続回転前後の段階と、途中、6×104 回、18×104 回および60×104 回、回転させた時点で、転がり部品の転がり面を顕微鏡にて観察したところ、比較例2の転がり部品は18×104 回の段階で、比較例3の転がり部品は6×104 回の段階で、それぞれき裂の拡大によるピーリングが発生し、その後の段階ではいずれもピーリングが増加、進展しているのが確認された。
【0038】
また比較例1の転がり部品は、180×104 回までピーリングは見られなかったが、回転に伴って微小くぼみが若干、拡大しているのが観察された。
これに対し、実施例1の転がり部品は、180×104 回までピーリングは見られず、また微小くぼみの拡大等も観察されなかった。
また、連続回転の終了後に、上記実施例、比較例の転がり部品と組み合わされた駆動輪の転がり面を顕微鏡にて観察したところ、比較例2,3,4の転がり部品と組み合わされていた駆動輪の転がり面には、いずれもピーリングに類似した損傷が発生しているのが確認された。
【0039】
これに対し、実施例1、比較例1の転がり部品と組み合わされていた駆動輪の転がり面には、損傷は見られなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳述したようにこの発明の転がり部品は、転がり面の表層部が高い残留圧縮応力を有し、かつ所定の割合のオーステナイト相を含有しているとともに、当該転がり面に、特定の微小くぼみが多数形成されているため、表面がきれいに仕上げられていない相手物体に対しても安定した油膜形成能力を有し、しかも転がり疲労寿命についても改善されている。よってこの発明の転がり部品は、従来のものに比べて、通常の使用条件下で長寿命であるとともに、より過酷な使用条件下でも寿命が長いという特有の作用効果を奏する。
【0041】
また、この発明の製造方法によれば、高炭素鋼系材料からなる未処理の転がり部品を、浸炭窒化処理し、さらにこの転がり部品の転がり面に微小くぼみを形成すべく、ショットブラスト処理とバレル仕上げとを行うだけで、上記のようにすぐれた特性を有する転がり部品を製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例の転がり部品の、転がり面の表層部における、残留応力の分布を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 浸炭窒化処理した高炭素鋼系材料からなる転がり部品の転がり面を、投射材としてアルミナを用いたショットブラストにて粗化し、さらにメディアとしてセラミック球を用いてバレル仕上げすることで、当該転がり面に、各々独立した多数の微小くぼみが形成された転がり部品であって、上記転がり面の表面から深さ100μmまでの表層部での、残留圧縮応力の最小値が90MPa以上で、かつ当該表層部での残留オーステナイト相の含有率が8容積%以上であるとともに、上記転がり面の最大粗さRmaxが2〜3μm、自乗平均平方根粗さRMSが0.2〜0.3μm、表面粗さの分布曲線のゆがみ度を示すSK値が−4〜−3で、かつ微小くぼみの開口面積が、転がり面の全表面積に対する面積率で表して5〜20%であることを特徴とする転がり部品。
  2. 高炭素鋼系材料からなる未処理の転がり部品を浸炭窒化処理し、ついでその転がり面を、投射材としてアルミナを用いたショットブラストにて粗化した後、メディアとしてセラミック球を用いてバレル仕上げして、上記請求項1記載の転がり部品を製造することを特徴とする転がり部品の製造方法。
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