JP3885703B2 - 無段変速機に用いられるリングの製造装置、製造方法およびその製造方法により製造されたリングを用いた積層リング - Google Patents

無段変速機に用いられるリングの製造装置、製造方法およびその製造方法により製造されたリングを用いた積層リング Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板片状の多数のエレメントを互いに対面させて環状に配置し、それらのエレメントに、多層の金属リングを積層した積層リングを通して各エレメントを環状に結束して構成した無端金属ベルトに使用される金属リングに関し、特に、金属リングの製品寸法の精度を向上させる、リング製造装置、製造方法およびその製造方法により製造されたリングを使用した積層リングに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、トランスミッションの変速比を車両の走行状況に応じて無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が搭載されることがある。このCVTは、エンジン出力を効率的に引き出すことが可能であり、燃費および走行性能の向上に優れる。実用化されたCVTの1つとして、金属ベルトと一対のプーリとを用いて、油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的に無段の変速を実現するものがある。無端金属ベルトが、入力軸に取付けられた入力側プーリおよび出力軸に取付けられた出力側プーリに巻き掛けられて使用される。入力側プーリおよび出力側プーリは、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブをそれぞれ備え、溝幅を変えることで、無端金属ベルトの入力側プーリおよび出力側プーリに対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸と出力軸との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0003】
特開2001−121232公報(特許文献1)は、このCVTに用いられる無端金属ベルトの製造方法を開示する。この公報に開示された製造方法は、マルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接してリング状のドラムを形成するステップと、溶接後のドラムに対する第1の溶体化を行なうステップと、溶体化されたドラムを所定幅に裁断してリングを形成し、そのリングを圧延するステップと、圧延されたリングに対する第2の溶体化を行なうステップと、溶体化されたリングを所定の周長に補正したのち時効および窒化処理するステップと、時効および窒化処理された複数のリングを相互に積層して無端状金属ベルトを形成するステップとを含む。この製造方法において、溶接後のドラムに対する第1の溶体化と、前記圧延後のリングに対する第2の溶体化とを、同一加熱炉を用いて同一条件で行なわれる。
【0004】
特許文献1に開示された製造方法によると、溶接後のドラムに対する第1の溶体化と、圧延後のリングに対する第2の溶体化とを、同一加熱炉を用いて同一条件で行なう。このため、両方の溶体化にそれぞれ別の炉を用いる必要がないので、製造コストを低減することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−121232公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法においては、溶体化されたドラムを一定の幅に裁断してリングを形成し、そのリングを圧延することにより、所望の周長、幅および厚みを有するリングを製造する。それらの複数のリングを相互に積層して無端状金属ベルトが形成される。この無端金属ベルトを形成する場合には、所望のベルト寸法になるように、複数のリングを選択して積層する。このときに、リングの寸法精度が高くないと、所望のベルト寸法になるように選択することができない。これは、溶体化されたドラムを一定の幅に裁断して形成されたリングは、その厚みが異なる場合が多く、幅が同じであっても体積が異なり、圧延しても周長、幅および厚みに対して厳しい寸法精度を実現できないためである。
【0007】
そして、無端金属ベルトの寸法精度のうち、たとえば、幅方向の寸法がばらつくと、無端金属ベルトの端面と、シーブやエレメントとが接触する。この接触により研磨されたリングの角部が欠落するとその部分に応力集中が発生し、その応力集中によりクラックが発生して無端金属ベルトが破断する場合も起こり得る。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、寸法精度の良好なリングを製造する、リング製造装置、製造方法およびその製造方法により製造されたリングを使用した積層リングを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るリング製造装置は、無段変速機に用いられる無端金属ベルトを構成するリングを、薄板から形成された円筒状のドラムからスリッティングする。この装置は、リングを形成するために切断されるドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムを切断してリングを形成するためのリング形成手段を含む。
【0010】
第1の発明によると、ドラムの厚みが異なってもドラムから切断されるリングの体積(幅×厚み×周長)が予め定められた体積になるように、ドラムからリングが切断される。切断された複数のリングの体積は等しいため、圧延および周長調整を経由して形成されたリングの寸法精度は、ドラムの厚みに起因する誤差が排除される。その結果、リングを精度良く製造できるので、たとえば、複数のリングを積層する際に、多くのストックを保有する必要がなくなる。さらに、リングの製造数に対して製造リングとして使用されたリングの数の比率(直行率)が向上して、歩留まりが改善される。
【0011】
第2の発明に係るリング製造装置は、第1の発明に構成に加えて、リング形成手段は、リングを形成するために切断されるドラムの部位に対応したドラムの板厚を測定するための手段と、測定された板厚に基づいて、ドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムの切断幅を算出するための手段と、算出された切断幅で、ドラムを切断してリングを形成するための手段とを含む。
【0012】
第2の発明によると、ドラムを切断する前に、切断される部位の板厚が測定されて、その厚みに基づいて切断幅が算出される。このとき、切断されて形成されるリングの体積が予め定められた体積になるように算出される。これにより、ドラムの板厚がその部位によって異なる場合であっても、予め定められた体積になるように、リングを形成することができる。
【0013】
第3の発明に係るリング製造方法は、薄板から円筒状のドラムを形成するステップと、リングを形成するために切断されるドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムを切断してリングを形成するステップと、リングを圧延するステップと、圧延後のリングの周長を調整するステップとを含む。
【0014】
第3の発明によると、ドラムの厚みが異なってもドラムから切断されるリングの体積(幅×厚み×周長)が予め定められた体積になるように、ドラムからリングが切断される。切断された複数のリングの体積は等しいため、圧延および周長調整を経由して形成されたリングの寸法精度は、ドラムの厚みに起因する誤差が排除される。その結果、リングを精度良く製造できるので、複数のリングを積層する際に、多くのストックを保有する必要がなくなる。さらに、リングの製造数に対して製造リングとして使用されたリングの数の比率(直行率)が向上して、歩留まりが改善される。
【0015】
第4の発明に係るリング製造方法は、第3の発明の構成に加えて、リングを形成するステップは、リングを形成するために切断されるドラムの部位に対応したドラムの板厚を測定するステップと、測定された板厚に基づいて、ドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムの切断幅を算出するステップと、算出された切断幅で、ドラムを切断してリングを形成するステップとを含む。
【0016】
第4の発明によると、ドラムを切断する前に、切断される部位の板厚が測定されて、その厚みに基づいて切断幅が算出される。このとき、切断されて形成されるリングの体積が予め定められた体積になるように算出される。これにより、ドラムの板厚がその部位によって異なる場合であっても、予め定められた体積になるように、リングを形成することができる。
【0017】
第5の発明に係るリング製造方法は、第3または4の発明の構成に加えて、リングを圧延するステップは、リングの板厚および板幅のいずれかに応じて、その圧延条件を決定して圧延するステップを含む。
【0018】
第5の発明によると、ドラムから切断されて形成されたリングは、圧延される際に、リングの板厚および板幅のいずれかに応じて、その圧延条件が決定される。このため、圧延後のリングの寸法精度を向上させることができる。
【0019】
第6の発明に係る積層リングは、第3〜5のいずれかに記載のリング製造方法により製造されたリングを、積層する順番ごとにその板幅が小さくなるように積層したものである。
【0020】
第6の発明によると、積層する順番にしたがってリングの板幅が小さくなる。このため、無段変速機のシーブやエレメントとの干渉が少なくなり、無端状ベルトの耐久性を向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
ただし、以下の説明では、多数のエレメントが互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部に積層リングとして構成されるフープを通して各エレメントが結束されて構成された無端金属ベルトを使用したベルト式無段変速機について説明する。
【0023】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るリングにより構成される無端金属ベルトが用いられるベルト式無段変速機100について説明する。このベルト式無段変速機100においては、無端金属ベルト106が、入力軸200に取付けられた入力側プーリ220および出力軸300に取付けられた出力側プーリ320に巻き掛けられて使用される。
【0024】
入力側プーリ220および出力側プーリ320は、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブ108をそれぞれ備え、車両の走行状態に応じて制御される油圧回路により溝幅を変えることで、無端金属ベルト106の入力側プーリ220および出力側プーリ320に対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸200と出力軸300との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0025】
図2を参照して、無端金属ベルト106は、多数のエレメント102が互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部に環状の金属帯であるフープ104を通して各エレメント102が結束されて、図3に示すように、全体として、無端金属ベルト106が構成される。
【0026】
エレメント102の形状の一例を、図4に示す。エレメント102の幅方向の両側の側面は、シーブ108におけるテーパ状のシーブ面110に接触する対シーブ摩擦面112であって、シーブ面110と一致するテーパ面とされている。その対シーブ摩擦面112を備えた基体部分114の幅方向での中心部に、図4での上側に延びた首部116が形成され、その首部116が、左右に広がった頂部118につながっている。その左右に広がった頂部118と基体部分114との間にスリットが形成されており、この左右2つのスリットの部分にフープ104が通されている。そして、基体部分114におけるフープ104が接触する面がサドル面120となっている。
【0027】
このサドル面120の高さは、基体部分114を横切るピッチ線Pからの寸法で表わされる。また、エレメント102の幅は、ピッチ線P上の寸法で表わされる。なお、頂部118のうち首部116の延長位置には、一方の面側に凸となり、他方の面側では凹となったディンプル・ホール122が形成されており、互いに隣接するエレメント102のディンプル・ホール122が互いに嵌合するようになっている。なお、ディンプル・ホール122の凸部を有する面がエレメントの表面、凹部を有する面がエレメントの裏面である。
【0028】
図4に示すように、サドル面120は上に凸の曲面形状を有する。この曲面形状に沿ってフープ104が当接している。
【0029】
無端金属ベルト106は、1対のシーブ108の間に挟み付けられて使用される。その場合、シーブ面110および対シーブ摩擦面112がテーパ面であるために、各エレメントには、シーブ108による挟圧力により半径方向での外側に荷重が作用するが、各エレメント102がフープ104によって結束されているので、フープ104の張力により半径方向での外側への移動が規制される。その結果、シーブ面110と対シーブ摩擦面112との間に摩擦力が生じ、あるいは油膜の剪断力が生じてシーブ108と無端金属ベルト106との間でトルクが伝達される。
【0030】
フープ104は、図2および図4に示すように、9〜12層のリングを積層して形成される(ただし、図2および図4では9〜12層ではなく3層として表わしている)。このとき、図5に示すように、板幅が順に小さくなるように積層される。この場合、下層のリングほど、周長が短く板幅が大きく、上層のリングほど、周長が長く板幅が小さくなる。これは、本実施の形態に係るリングの体積が一定であることに基づく。このように構成すると、シーブ108やエレメント102との不要な干渉をさけることができる。
【0031】
なお、図5に示すフープを形成するリングは、後述する製造方法によって製造されたものである。
【0032】
図6を参照して、本実施の形態に係るリングを製造するリングスリッティング装置1000について説明する。リングスリッティング装置1000は、ドラム1060の端面を押すスペーサ1030に設けられてドラム1060の中心軸に沿って位置決めするスリッティング位置決めサーボモータ1010と、ドラム1060の内側に設けられた板厚測定バックアップ1050に板厚測定センサ1040を当接させるためのセンサ送り用シリンダ1070と、カッター1080をドラム1060に当接させるスリッティングサーボモータ1020と、ドラム1060を回転させるドラム回転モータ1100と、ドラム1060を把持するドラムチャック1120と、ドラムチャック1020に設けられてドラム1060をスペーサ1030の方向に押圧するドラム押さえシリンダ1110と、ドラム1060の内径をチャックするドラム内径チャック1130とを含む。
【0033】
スリッティング位置決めサーボモータ1010は、スペーサ1030を左右方向に移動させ、ドラム1060を所定の位置に位置決めする。このときの位置決め精度は0.001ミリである。スペーサ1030には、板厚測定バックアップ(φ3ミリ、ブロック)1050が設けられ、ドラム1060の切断前に次に切断する部位の板厚を板厚測定センサ1040(分解能0.1μm)を押し当てて測定する。このとき、ばね1042により一定の押圧力で押付けることで、測定精度を高く確保することができる。
【0034】
この板厚の測定においては、円周方向のランダムな位置に5箇所程度測定することが好ましい。このときの5箇所の測定値の最大値と最小値とを除外した残りの3つのデータの平均値を切断前ドラムの板厚t(1)とした。
【0035】
なお、ドラム1060の板厚測定は、切断前に毎回実施することが好ましいが、1個のドラム1060の板厚のばらつきが小さければ、毎回測定する必要はない。また、板厚測定センサ1040のように接触式のものではなく、非接触タイプ(X線もしくは渦電流センサ)でもよい。
【0036】
図7に示すように、ドラム1060を切断する場合には、センサ1040をドラム1060から退避させるように板厚測定センサ1040に接続されたセンサ送り用シリンダ1070を退行させる。これにより、板厚測定センサ1040がドラム1060から離れる。スリッティング位置決めサーボモータ1010によりスペーサ1030をドラム押さえシリンダ1110の方向に押し当て、切断位置を決定する。スリッティングサーボモータ1020によりカッター1080をドラム1060に当接するように移動させる。この状態で、ドラム回転モータ1100によりドラム1060を回転させて、ドラムの円周方向にカッター1080を当接させることによりドラムを切断する。
【0037】
切断後、スリッティングサーボモータ1020によりカッター1080を退避させて、スリッティング位置決めサーボモータ1010によりスペーサ1030をドラム押さえシリンダ1110の反対側に移動させることにより、次のリングに対応するワーク1060の板厚を測定する。
【0038】
なお、図6および図7に示すリングスリッティング装置1000のスリッティング位置決めサーボモータ1010、スリッティングサーボモータ1020、板厚測定センサ1040、センサ送り用シリンダ1070、ドラム回転モータ1100は、図示しない制御部によりその動作が制御される。
【0039】
図8を参照して、本実施の形態に係るリングを製造するためのリングスリッティング装置1000の制御部で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0040】
ステップ(以下、ステップをSと略す)1000にて、切断後のリング目標体積V(1)およびリング周長L(1)を読出す。このとき、制御部は、予め定められたリング目標体積V(1)およびリング周長L(1)をメモリから読出す。
【0041】
S1100にて、制御部は、前回のリングスリッティングの処理が終了したか否かを判断する。前回のリングスリッティングの処理が終了していると(S1100にてYES)、処理はS1200へ移される。もしそうでないと(S1100にてNO)、処理はS1100に戻され、前回のリングスリッティングの処理が終了するまで待つ。
【0042】
S1200にて、制御部は、切断箇所のドラム1060の板厚t(1)を測定する。このとき、センサ送り用シリンダ1070が進行して板厚測定センサ1040をドラム1060の外周面に当接させる。このとき、板厚測定センサ1040がドラム1060の外周に当接した位置の裏側には、板厚測定バックアップ1050が当接した状態である。このような状態で、板厚測定センサ1040と板厚測定バックアップ1050とにより、ドラム1060の5箇所の板厚を測定する。その5箇所の板厚から最大値と最小値とを除外した3箇所の板厚の平均値が板厚t(1)として測定される。
【0043】
S1300にて、制御部は、切断幅W(1)をW(1)=V(1)/t(1)/L(1)として算出する。S1400にて、制御部は、算出された切断幅W(1)になるようにワークであるドラム1060を移動させる。このとき、図7に示すように、センサ送り用シリンダ1070が退行して板厚測定センサ1040がドラム1060から離れる。スリッティング位置決めサーボモータ1010によりスペーサ1030がドラム押さえシリンダ1110の方向に移動されて、切断幅W(1)になるようにドラム1060がセットされる。
【0044】
S1500にて、制御部は、切断幅W(1)でリングスリッティングする。このとき、スリッティングサーボモータ1020によりカッター1080が進行してその状態でドラム回転モータ1100によりドラム1060が回転される。このドラム1060の回転と、スリッティングサーボモータ1020により進行されたカッター1080とにより、切断幅W(1)でドラム1060からリングがスリッティングされる。
【0045】
S1600にて、制御部は、リングスリッティング処理が終了したか否かを判断する。リングスリッティング処理が終了すると(S1600にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S1600にてNO)、処理はS1100へ戻され、前回のリングスリッティングの処理が終了するまで待ち、その処理が終了すると次のリングのスリッティング処理を実行する。
【0046】
図9を参照して、リングスリッティングされたリングのその後の処理について説明する。リングスリッティング装置1000にてリングの体積が一定になるように切断されたリングは、バレル研磨されて切断面のバリが除去されてから、洗浄されて圧延される。
【0047】
この圧延工程においては、圧延前のリングの板厚t(2)が測定される。図9に示すように、圧延前板厚t(2)に基づいて圧延時の引張り力が決定される。この圧延時の引張り力は粗圧延時の張力である。このように図9に示される関係に基づいて圧延時の引張り力を決定することにより、狙い板厚t(3)を得ることができる。なお、仕上げ圧延条件がすべて一定とし、圧延狙い周長L(3)が得られる狙い位置に到達させ、圧延工程を終了した。それにより、圧延品は、板厚t(3)、周長L(3)が狙い値として加工でき、体積が一定であることから、板幅W(3)はドラムの板厚によらず一定になる。
【0048】
圧延後、洗浄、固溶化処理が行なわれ、周長の微調整工程で無端金属ベルトの1層から9層を作り分けた。その後、熱処理により表面に残留応力を与え、図5に示す無端金属ベルトを製造した。すなわち、図9に示されるように、圧延前の板厚t(2)に応じて圧延時の引張り力を変更して、圧延狙い板厚t(3)および板厚狙い周長L(3)を実現した。
【0049】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るリングの製造方法について説明する。
【0050】
薄板板厚が中央値±0.01ミリメートルのマルエージング鋼コイルをアンコイルし、一定長さで帯板切断した後にロール曲げして、突合わせ部を溶融溶接し円筒形状のドラム1060を得た。その後、固溶化処理し(800℃以上)したドラム1060を、図6および図7に示すリングスリッティング装置1000にセットした。
【0051】
スリッティング位置決めサーボモータ1010でスペーサ1030を押すことと、ばね1112の力によりドラムチャック1120を介してドラム1060を押すこととにより、板厚測定センサ1040を所定の位置に設定することができる。
【0052】
前回のリングスリッティングの処理が終了すると(S1100にてYES)切断されるリングに対応する箇所のドラムの板厚t(1)が測定される(S1200)。このとき、センサ送り用シリンダ1070を進行させて板厚測定センサ1040をドラム1060の外表面に当接させる。切断箇所のドラムの板厚t(1)が測定されると(S1200)、切断幅W(1)をW(1)=V(1)/t(1)/L(1)として算出し(S1300)、切断幅W(1)になるようにワークであるドラム1060を所定の位置に移動させる(S1400)。
【0053】
切断幅W(1)でリングスリッティングが行なわれる(S1500)。このとき、スリッティングサーボモータ1020によりカッター1080をドラム1060の外表面に当接させる。その状態でドラム回転モータ1100を作動させてドラム1060を少なくとも1回転させる。これにより、カッター1080、ダイス1140の動作により、切断前に測定した板厚t(1)に応じた板幅のリングが切断される。このとき、図10(A)に示すように、板厚が大きいほど切断幅が小さく板厚が小さいほど切断幅が大きくなるようになる。これにより、図10(A)に示すように、周長に対する寸法精度が向上する。一方、図10(B)に示すように、従来のように板厚の変動によらずリングスリッティングにおいて切断幅を一定にした場合には、周長に対する寸法精度がよいものではなくなる。
【0054】
このようにして切断されたリングをバレル研磨し、圧延した。このとき、板厚t(2)を測定し、図9に示す圧延前板厚t(2)と圧延時の引張り力との関係に基づいて、圧延時の引張り力を算出した。このようにして算出された圧延条件に基づいて圧延処理を実行した。圧延後は、洗浄、固溶化処理をし、周長の調整工程で、第1層から第9層のリングを作り分けた。
【0055】
作り分けられたリングを用いて、図5に示すように、フープを製造した。図5に示すようなフープとしたため、積層した後(組付け後)のフープが、シーブやエレメントと干渉しにくくなる。
【0056】
以上のようにして、本実施の形態に係る無端金属ベルトを構成するリングは、リングスリッティング装置において、リングスリッティングされた後のリングの体積が同じになるようにスリッティング処理される。スリッティング処理されたリングは圧延工程にて所定の板厚板幅および周長になるように圧延処理が施される。この圧延処理において、切断されたリングの体積が同じであるため、圧延狙い板厚t(3)および圧延狙い周長L(3)とが一定であることにより、圧延品の板幅W(3)が一定となる。その結果、リングの板厚、周長、板幅のばらつきを低減させることができる。さらに、このようにばらつきが低減されたリングを複数板幅が小さくなる順に重ねて積層リングを製造した。この積層リングはシーブなどとの干渉を極力少なくすることができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るリングにより形成される無端金属ベルトを用いたベルト式無段変速機の断面図である。
【図2】 無端金属ベルトを説明するための部分斜視図である。
【図3】 無端金属ベルトの全体構成を示す斜視図である。
【図4】 エレメントの正面図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係るフープの断面図である。
【図6】 リングスリッティング装置の構成図(その1)である。
【図7】 リングスリッティング装置の構成図(その2)である。
【図8】 リングスリッティング装置の制御部で実行される処理のフローチャートである。
【図9】 圧延条件を示す図である。
【図10】 リングの板厚および切断幅と圧延後の周長との関係を示す図である。
【符号の説明】
100 無段変速機、102 エレメント、104 フープ、106 無端金属ベルト、108 シーブ、110 シーブ面、112 対シーブ摩擦面、114 基体部分、116 首部、118 頂部、120 サドル面、122 ディンプル・ホール、124 傾斜面、200 入力軸、220 入力側プーリ、300 出力軸、320 出力側プーリ、1000 リングスリッティング装置、1010 スリッティング位置決めサーボモータ、1020 スリッティングサーボモータ、1030 スペーサ、1040 板厚測定センサ、1050 板厚測定バックアップ、1060 ドラム、1070 センサ送り用シリンダ、1080 カッター、1100 ドラム回転モ−タ、1110 ドラム押さえシリンダ、1120 ドラムチャック、1130 ドラム内径チャック、1140 ダイス。

Claims (6)

  1. 無段変速機に用いられる無端金属ベルトを構成するリングを、薄板から形成された円筒状のドラムからスリッティングする装置であって、
    リングを形成するために切断される前記ドラムの部位が予め定められた体積になるように、前記ドラムを切断してリングを形成するためのリング形成手段を含む、リング製造装置。
  2. 前記リング形成手段は、
    リングを形成するために切断されるドラムの部位に対応したドラムの板厚を測定するための手段と、
    前記測定された板厚に基づいて、前記ドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムの切断幅を算出するための手段と、
    前記算出された切断幅で、前記ドラムを切断してリングを形成するための手段とを含む、請求項1に記載のリング製造装置。
  3. 無段変速機に用いられる無端金属ベルトを構成するリングの製造方法であって、
    薄板から円筒状のドラムを形成するステップと、
    リングを形成するために切断される前記ドラムの部位が予め定められた体積になるように、前記ドラムを切断してリングを形成するステップと、
    前記リングを圧延するステップと、
    圧延後のリングの周長を調整するステップとを含む、リング製造方法。
  4. 前記リングを形成するステップは、
    リングを形成するために切断されるドラムの部位に対応したドラムの板厚を測定するステップと、
    前記測定された板厚に基づいて、前記ドラムの部位が予め定められた体積になるように、ドラムの切断幅を算出するステップと、
    前記算出された切断幅で、前記ドラムを切断してリングを形成するステップとを含む、請求項3に記載のリング製造方法。
  5. 前記リングを圧延するステップは、前記リングの板厚および板幅のいずれかに応じて、その圧延条件を決定して圧延するステップを含む、請求項3または4に記載のリング製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法により製造されたリングを、積層する順番ごとにその板幅が小さくなるように積層した積層リング。
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