JP3885618B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータの回転力を用いて車輪を操舵するステヤバイワイヤ方式の車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置は、例えば特開2001−80530号公報に示されているように、回転により車輪を操舵するための複数の電動モータと、同複数の電動モータの各回転角をそれぞれ検出する複数の回転角センサとを備え、各回転角センサによって検出された各回転角がそれぞれ目標回転角になるように、各電動モータを独立して制御して、車輪を目標操舵角に操舵制御するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の装置において、電動モータの回転角を目標回転角に制御する場合には、回転角センサによって検出された回転角と目標回転角との偏差が予め決められた閾値以下になるまで前記偏差に応じたフィードバック制御により電動モータの回転を制御し、同偏差が閾値未満になった時点で電動モータの回転制御を停止するようにしている。すなわち、電動モータの回転制御において、目標回転角の両側に所定幅の不感帯を設けておき、電動モータの回転角がこの不感帯に入ったことを電動モータの回転角が目標回転角になったとしている。
【0004】
しかしながら、複数の回転角センサによって検出される回転角の間には多少の誤差が存在する。したがって、前記不感帯の幅を狭くすると、一つの電動モータは停止制御されたにもかかわらず、他の一つの電動モータは回転動作中であることがあり、この回転動作によって一つの電動モータの回転角が不感帯を超えてしまって、同一つの電動モータがふたたび回転動作を開始することがある。すなわち、複数の電動モータが互いに回転停止および回転再開を繰り返すという、いわゆるハンチングが発生するという問題がある。また、前記不感帯の幅を広くすることにより、この問題は解決されるが、この場合には、電動モータの回転角が目標回転角に精度よく制御されず、車輪の操舵制御が悪化するという問題がある。
【0005】
【本発明の概要】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、その目的は、複数の電動モータを用いた車輪の操舵装置において、複数の電動モータの回転制御におけるハンチングを防止するとともに、車輪の操舵制御における精度を良好にすることにある。
【0009】
この目的を達成するために、本発明の特徴は、第1および第2の電動モータと、第1および第2の電動モータの第1および第2の回転角をそれぞれ検出する第1および第2の回転角検出手段と、第1および第2の電動モータの回転を制御して同第1および第2の電動モータの回転角を目標回転角に一致させる回転制御手段とを備え、第1および第2の電動モータの回転により車輪を操舵する車両の操舵装置において、回転制御手段が、前記検出された第1の回転角と目標回転角の偏差が予め決めた第1閾値以下になるまで第1の電動モータを回転させるとともに、前記検出された第2の回転角と目標回転角の偏差が第1閾値よりも大きな予め決めた第2閾値以下になるまで第2の電動モータを回転させるようにしたことにある。
【0010】
このように構成した本発明の特徴においては、第2閾値が第1閾値より大きいことは、第2電動モータの回転角を目標回転角に制御するための不感帯の幅が、第1の電動モータの回転角を目標回転角に制御するための不感帯の幅よりも大きいことを意味する。これにより、第1の電動モータの回転角が目標回転角両側の第1の不感帯領域に入った時点では、第1および第2の回転角センサによる両検出回転角の間に多少の誤差があっても、第2の電動モータの回転角が必ず目標回転角両側の第2の不感帯領域に納まっている。したがって、電動モータの回転制御にハンチングが発生しない。また、第1閾値を小さくすることにより、第1の電動モータに対する不感帯の幅を狭くできるので、車輪の操舵制御における精度を向上させることもできる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、第2閾値を第1閾値よりも大きく設定した車両の操舵装置において、第1の電動モータの故障時には、回転制御手段が、前記検出された第2の回転角と目標回転角の偏差が第2閾値よりも小さな予め決めた第3閾値以下になるまで第2の電動モータを回転させるようにしたことにある。この場合、第3閾値を第1閾値と同じ値に設定するとよい。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴においては、第1電動モータに故障が発生して、第2電動モータにより車輪が操舵制御される場合、第2の電動モータの回転角が目標回転角両側の第2の不感帯幅よりも狭い第3の不感帯領域に入った時点で、第2電動モータの回転制御が停止される。したがって、第1電動モータに故障が発生した場合でも、車輪を高精度で操舵制御できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明による車両の操舵装置の一実施形態について説明する。この操舵装置は、図1に示すように、ラックバー11aおよびピニオンギヤ11bからなるラック・アンド・ピニオン機構11を備えている。ラックバー11aの両端には、操舵輪としての左右輪(本実施形態の場合には左右前輪)FW,FWが操舵可能に接続されている。そして、ピニオンギヤ11bの軸線回りの回転により、ラックバー11aが軸線方向に変位して、左右輪FW,FWが左右に操舵される。ピニオンギヤ11bは、その一端に接続された操舵軸12の軸線回りの回転により同操舵軸12と一体回転する。
【0014】
操舵軸12は、回転駆動機構20により軸線回りに回転駆動される。回転駆動機構20は、第1電動モータ21、第2電動モータ22および減速機構23を備えている。減速機構23は、図2に示すように、ウォームギヤ23aと、ウォームギヤ23aに噛み合ったホイールギヤ23bとから。ホイールギヤ23bは、操舵軸12の外周上に一体回転するように組み付けられている。
【0015】
第1電動モータ21と第2電動モータ22はウォームギヤ23aの軸線と同軸的に配設され、第1電動モータ21のロータは、第1回転軸24を介してウォームギヤ23aの一端に一体回転するように接続されている。第2電動モータ22のロータは、第2回転軸25、カップリング機構30および第3回転軸26を介してウォームギヤ23aの他端に一体回転するように接続されている。これらの第1〜第3回転軸24〜26およびカップリング機構30は、第1及び第2電動モータ21,22のロータと同軸的に配置されている。
【0016】
カップリング機構30は、弾性体を有する回転伝達機構を構成するもので、図3に示すように、円盤状の第1及び第2プレート31,32を備えている。第1及び第2プレート31,32は、径方向所定位置にて周方向に沿って所定間隔をもって設けた複数の貫通孔31a,32aをそれぞれ貫通する複数のボルト33および各ボルト33の端部にそれぞれ螺着した複数のナット34により一体回転するように連結されている。
【0017】
貫通孔31aの内径は、ボルト33の外径にほぼ等しく設定されており、ボルト33の外周面は第1プレート31の貫通孔31aの内周面に直接接している。貫通孔32aの内径は、ボルト33の外径よりも大きく形成されている。ボルト33の外周面上には、円筒状に形成された弾性部材としてゴムブッシュ35が組み付けられて、同ゴムブッシュ35は、第2プレート32の貫通孔32aの内周面とボルト33の外周面との間に介装されている。また、第1および第2プレート31,32の各中央部にも貫通孔31b,32bがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔31b、32bには、第2および第3回転軸25,26の端部がそれぞれ一体回転するように勘合されている。
【0018】
第1および第2電動モータ21,22には、第1及び第2ロータリエンコーダ27,28がそれぞれ組み付けられている。第1および第2ロータリエンコーダ27,28は、第1および第2電動モータ21,22の各回転角を検出する回転角センサとしてそれぞれ機能するもので、第1および第2電動モータ21,22のロータがステータに対して所定角度だけ回転するごとにローレベルおよびハイレベルを繰り返す2相のパルス列信号からなる回転信号をそれぞれ出力する。なお、この2相のパルス列信号の各位相は、第1および第2電動モータ21,22の回転方向を検出可能とするために、互いにπ/2だけずれている。
【0019】
また、操舵軸12には、回転角センサ29が組み付けられている。この回転角センサ29は、操舵軸12が中立回転位置(左右輪FW,FWの中立位置に対応)にあるとき「0」を示し、かつ操舵軸12の右方向および左方向への各回転角をそれぞれ正および負で示す絶対回転角を検出する。ただし、この絶対回転角は、操舵軸12の中立回転位置から左右方向への回転角を−180度〜+180度の範囲内で表す。
【0020】
これらの第1および第2ロータリエンコーダ27,28および回転角センサ29は、電気制御装置40に接続されている。電気制御装置40は、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどを有するマイクロコンピュータによって構成され、図4,5に示すプログラムを実行することにより、第1および第2電動モータ21,22の回転を制御する。
【0021】
この電気制御装置40には、変位量センサ41も接続されている。変位量センサ41は、操作レバー(ジョイスティック)50の左右方向への変位量を検出して変位量Xを表す検出信号を出力する。操作レバー50は、左右輪FW,FWを左右に操舵するために中立位置から左右に操作されるもので、運転席近傍に左右に傾動可能に設けられている。なお、変位量Xは、操作レバー50が垂直な中立位置にあるとき「0」を示し、操舵レバー10の右方向および左方向の操作量を正及び負の値によりそれぞれ示している。
【0022】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を図4,5のフローチャートを参照しながら説明する。運転者がイグニッションスイッチ(図示しない)をオンすると、電気制御装置は、図4の操舵制御プログラムをそれぞれ所定の短時間ごとに繰返し実行し始める。
【0023】
操舵制御プログラムの実行はステップ100にて開始され、電気制御装置40は、ステップ102にて変位量センサ41から操作レバー50の現在の変位量Xを入力する。そして、ステップ102にて変位量Xに応じて目標回転角θdを決定する。目標回転角θdは、左右輪FW,FWの操舵角に対応するもので、この目標回転角θdの決定においては、ROMに設けた回転角テーブルが参照される。この回転角テーブルは、図6に示すように、変位量Xの増加に従って増加する目標回転角θdを記憶している。
【0024】
前記目標回転角θdの決定後、ステップ106にて、第1および第2ロータリエンコーダ27,28からの各回転信号に基づいて、第1および第2電動モータ21,22の実回転角θ1,θ2を計算する。なお、この実回転角θ1,θ2は、左右輪FW,FWが中立位置にあるときにおける第1および第2電動モータ21,22の回転角を「0」で表し、左右輪FW,FWの右方向および左方向の操舵角に比例した第1および第2電動モータ21,22の回転角を正および負の値によってそれぞれ表す。また、これらの実回転角θ1,θ2は、図示しないプログラム処理によって回転角センサ29によって検出される回転角を用いて零点補正されているので、第1および第2電動モータ21,22の各基準回転位置(左右輪FW,FWの中立位置に対応)からの回転角を正確に表している。
【0025】
この零点補正について簡単に説明しておくと、第1および第2ロータリエンコーダ27,28からの回転信号に基づいて計算される回転角は共に相対的なものである。しかし、左右輪FW,FWがほぼ中立位置にある状態では、操舵軸12の回転位置も中立位置近傍にあって、同中立位置からの回転角は−180度〜+180度の範囲内にある絶対値の小さな値である。したがって、この操舵軸12の回転位置が中立位置近傍にあるとき、第1および第2ロータリエンコーダ27,28からの回転信号をカウントして第1および第2電動モータ21,22の実回転角θ1,θ2を検出するカウント値を、回転角センサ29によって検出された操舵軸12の回転角に設定するようにする。なお、前記左右輪FW,FWの中立位置については、車両の走行状態(例えば、高速直進状態)から検出するようにしてもよいし、左右輪FW,FWの絶対操舵角を検出する操舵角センサを設けておいてもよい。
【0026】
前記ステップ106の処理後、ステップ108にて、前記ステップ104の処理により決定した目標回転角θdから前記計算した実回転角θ1,θ2をそれぞれ減算して、第1および第2電動モータ21,22の目標回転角θdと実回転角θ1,θ2との各偏差Δθ1,Δθ2をそれぞれ計算する。そして、ステップ110のモータ制御ルーチンを実行して、ステップ112にてこの操舵制御プログラムの実行を終了する。
【0027】
モータ制御ルーチンは、図5に詳細に示されており、ステップ200にてその実行が開始される。この実行開始後、電気制御装置40は、ステップ202,204にて第1および第2電動モータ21,22が正常であるかをそれぞれ判定する。このステップ202,204の判定においては、第1および第2電動モータ21,22の正常または異常を表すフラグの値がチェックされる。実際の異常判定は、図示しない他のプログラムの実行によって行われて、同他のプログラムの実行によって前記フラグがセットされる。例えば、この異常判定においては、第1および第2電動モータ21,22の断線、短絡を含む、正常および異常動作のいくつかの項目がチェックされる。
【0028】
前記ステップ202,204にて共に「Yes」すなわち第1および第2電動モータ21,22が正常であると判定されると、ステップ206〜216の処理を実行して、ステップ238にてこのモータ制御ルーチンの実行を一旦終了する。ステップ206においては、前記計算した第1電動モータ21に関する偏差Δθ1の絶対値|Δθ1|が予め決められた正の小さな第1閾値θa以上であるかを判定する。そして、前記絶対値|Δθ1|が第1閾値θa以上であれば、ステップ206にて「Yes」と判定し、ステップ208に進む。ステップ208においては、前記偏差Δθ1を表す駆動制御信号を第1電動モータ21に出力して、第1電動モータ21を回転制御する。すなわち、前記偏差Δθ1を表す制御信号を用いたフィードバック制御により、第1電動モータ21の実回転角θ1が目標回転角θdに近づくように、第1電動モータ21を回転させる。
【0029】
また、ステップ212においては、前記計算した第2電動モータ22に関する偏差Δθ2の絶対値|Δθ2|が予め決められた正の小さな第2閾値θb以上であるかを判定する。なお、この第2閾値θbは、第1閾値θaよりもかなり大きい(θb>θa)。そして、前記絶対値|Δθ2|が第2閾値θb以上であれば、ステップ212にて「Yes」と判定し、ステップ214に進む。ステップ214においては、前記偏差Δθ2を表す制御信号を第2電動モータ22に出力して、第2電動モータ22を回転制御する。すなわち、前記偏差Δθ2を表す駆動制御信号を用いたフィードバック制御により、第2電動モータ21の実回転角θ2が目標回転角θdに近づくように、第2電動モータ22を回転させる。
【0030】
これにより、第1〜第3回転軸24〜26およびカップリング機構30は、第1および第2電動モータ21,22の回転力により、目標回転角θdに向かって軸線回りに回転し、ウォームギヤ23aも目標回転角θdに向かって軸線回りに回転する。このウォームギヤ23aの回転は、減速されてホイールギヤ23bに伝達され、操舵軸12も軸線回りに回転する。この操舵軸12の回転はラック・アンド・ピニオン機構11によりラックバー11aの軸線方向の変位に変換される。そして、このラックバー11aの軸線方向の変位により、左右輪FW,FWが操舵される。
【0031】
このような第1および第2電動モータ21,22の回転制御中、目標回転角θdと第2電動モータ22の実回転角θ2との偏差Δθ2の絶対値|Δθ2|が第2閾値θb未満になると、ステップ212にて「No」と判定して、ステップ216に進む。ステップ216においては、第2電動モータ22に対する駆動制御信号の出力を停止して、第2電動モータ22の回転制御を停止する。このとき、第2閾値θbは第1閾値θaよりも大きく設定されているので、目標回転角θdと第1電動モータ21の実回転角θ1との偏差Δθ1の絶対値|Δθ1|が第1閾値θa未満になることはない。したがって、この状態では、第1電動モータ21は、前記ステップ208の処理により目標回転角θdに向かって回転し続け、左右輪FW.FWは操舵され続ける。
【0032】
そして、目標回転角θdと第1電動モータ22の実回転角θ1との偏差Δθ1の絶対値|偏差Δθ1|が第1閾値θa未満になると、ステップ206にて「No」と判定して、ステップ210に進む。ステップ210においては、第1電動モータ21に対する駆動制御信号の出力を停止して、第1電動モータ21の回転制御を停止する。この状態では、第1閾値θaは正の小さな値に設定されているので、左右輪FW,FWは目標操舵角に精度よく操舵される。
【0033】
そして、第2閾値θbが第1閾値θaより大きいことは、第2電動モータ22の実回転角θ2を目標回転角θdに制御するための不感帯の幅が、第1電動モータ21の実回転角θ1を目標回転角θdに制御するための不感帯の幅よりも大きいことを意味する。これにより、第1電動モータ21の実回転角θ1が目標回転角θd両側の第1不感帯領域に入った時点では、第1および第2ロータリエンコーダによる両検出回転角の間に多少の誤差があっても、第2電動モータ22の実回転角θ2が必ず目標回転角θd両側の第2不感帯領域に納まっている。したがって、第1および第2電動モータ21,22の回転制御にハンチングが発生しない。また、第1閾値θaを小さくすることにより、第1電動モータ21に対する不感帯の幅を狭くできるので、左右輪FW,FWの操舵制御における精度を向上させることもできる。
【0034】
また、第2回転軸25と第3回転軸26との間には、ゴムブッシュ35を備えたカップリング機構30が介装されている。このカップリング機構30は、ゴムブッシュ(弾性部材)の作用により、第1及び第2電動モータ21,22の間の実回転角θ1,θ2のずれが吸収される。したがって、第1および第2閾値θa,θbを共に小さくして第1および第2の電動モータを目標回転角に回転制御するための不感帯の幅を狭くするとともに、第1および第2閾値θa,θbの差を小さくしても、第1および第2電動モータ21,22の回転制御にハンチングが発生しない。
【0035】
一方、第1電動モータ21は正常であるが、第2電動モータ22に異常が発生すると、電気制御装置40は、ステップ202,204にてそれぞれ「Yes」、「No」と判定して、ステップ218以降の処理を実行する。ステップ218においては、第2電動モータ22の回転制御を停止する。そして、前述したステップ206〜210と同じステップ220〜224の処理の実行により、第1電動モータ21の回転を制御する。したがって、この場合には、第1電動モータ21の回転力のみにより操舵軸12が目標回転位置まで回転制御されて、左右輪FW,FWは前記場合と同様に高精度で目標回転角に操舵制御される。なお、この場合は、第1電動モータ21のみ回転制御されるので、前記ハンチングの問題はない。
【0036】
次に、第2電動モータ22は正常であるが、第1電動モータ21に異常が発生した場合について説明する。この場合、電気制御装置40は、ステップ202にて「No」と判定し、ステップ226にて「Yes」と判定して、ステップ228以降の処理を実行する。ステップ228においては、第1電動モータ22の回転制御を停止する。そして、ステップ230〜234の処理の実行により、第2電動モータ21の回転を制御する。これらのステップ230〜234の処理のうち、ステップ232,234の処理は、前記ステップ214,216の処理と同じである。しかし、ステップ230の判定処理においては、前記計算した第2電動モータ22に関する偏差Δθ2の絶対値|Δθ2|が予め決められた正の小さな第3閾値θc以上であるかを判定する。この第3閾値θcは第2閾値θbよりも小さく(θc<θb)、例えば第1閾値θaにほぼ等しい。
【0037】
したがって、この場合には、第2電動モータ22の回転制御は、偏差Δθ2の絶対値|Δθ2|が第3閾値θc以上である限り続行される。そして、第2電動モータ22の回転力のみにより操舵軸12が回転制御され、左右輪FW,FWは操舵制御される。このように、第1電動モータ21に故障が発生して、第2電動モータ22のみにより左右輪FW,FWが操舵制御される場合、第2電動モータ22の実回転角θ2が目標回転角θd両側の第2閾値θbによる不感帯幅よりも狭い第3閾値θcによる不感帯領域に入った時点で、第2電動モータ22の回転制御が停止される。したがって、第1電動モータ21に故障が発生した場合でも、左右輪FW,FWを高精度で操舵制御できる。なお、この場合も、第2電動モータ22のみ回転制御されるので、前記ハンチングの問題はない。
【0038】
さらに、第1および第2電動モータ21,22の両方に異常が同時に発生した場合には、電気制御装置40は、ステップ202,226にて共に「No」と判定し、ステップ236の処理を実行する。ステップ236においては、第1および第2電動モータ21,22の回転制御を共に停止する。その結果、この場合には、第1および第2電動モータ21,22によって左右輪FW,FWが操舵されることはない。しかし、このような場合に備えて、油圧機構などにより、操作レバー50の操作に応じて左右輪FW、FWの操舵は可能となっている。
【0039】
なお、上記実施形態においては、操作レバー50の左右への操作に応じて左右輪FW,FWを左右に操舵するようにしたが、本発明は運転者の操舵操作のための操作部と左右輪FW,FWとが機械的に繋がれていなければよく、操舵レバー10に代えて回転式のステアリングホイールを操作部として用いてもよい。この場合、ステアリングホイールの中立位置からの回転角を検出して、この検出回転角を上記実施形態の変位量Xに代えて利用するようにすればよい。
【0040】
さらに、本発明は上記実施形態および変形例に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る車両の操舵装置の概略図である。
【図2】 図1の回転駆動機構部を拡大して示す概略図である。
【図3】 (A)は図1,2のカップリング機構の縦断面であり、(B)は同カップリング機構の側面図である。
【図4】 図1の電気制御装置によって実行される操舵制御プログラムを示すフローチャートである。
【図5】 図4のモータ制御ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図6】 操作レバーの変位量に対する電動モータの目標回転角の特性を示すグラフである。
【符号の説明】
FW,FW…左右輪、11…ラック・アンド・ピニオン機構、12…操舵軸、20…回転駆動機構、21、22…電動モータ、23…減速機構、24〜26…回転軸、27,28…ロータエンコーダ、30…カップリング機構、31,32…プレート、35…ゴムブッシュ、40……電気制御装置(マイクロコンピュータ)、41…変位量センサ、50…操作レバー。
Claims (2)
- 第1および第2の電動モータと、
前記第1および第2の電動モータの第1および第2の回転角をそれぞれ検出する第1および第2の回転角検出手段と、
前記第1および第2の電動モータの回転を制御して同第1および第2の電動モータの回転角を目標回転角に一致させる回転制御手段とを備え、前記第1および第2の電動モータの回転により車輪を操舵する車両の操舵装置において、
前記回転制御手段が、前記検出された第1の回転角と前記目標回転角の偏差が予め決めた第1閾値以下になるまで前記第1の電動モータを回転させるとともに、前記検出された第2の回転角と前記目標回転角の偏差が前記第1閾値よりも大きな予め決めた第2閾値以下になるまで前記第2の電動モータを回転させるようにしたことを特徴とする車両の操舵装置。 - 前記第1の電動モータの故障時には、前記回転制御手段が、前記検出された第2の回転角と前記目標回転角の偏差が前記第2閾値よりも小さな予め決めた第3閾値以下になるまで前記第2の電動モータを回転させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載した車両の操舵装置。
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