JP3885320B2 - エンジンの吸気ポート構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの吸気ポ−ト構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピストンが往復動される往復動式のエンジンでは、シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トの気筒側開口端が、弁体と弁軸とを有して往復動される傘弁式の吸気弁によって開閉されるが、吸気弁の弁軸は、シリンダ軸線に対して傾斜して設定されることになる。特に自動車用エンジンでは、気筒内において吸気のタンブル(縦渦)を形成するものが多くなっており、このタンブル形成のために、シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トは、吸気が、吸気ポ−トのスロート部(吸気ポ−トの燃焼室側開口端部)において、シリンダ中心に近い側から気筒内へ多く導入されるような形状に設定される。この場合、吸気ポ−トは、シリンダヘッドの一側面から気筒内へ向けて形成される関係上、シリンダ軸線に対して弁軸よりも大きな傾斜角度を有するように形成されることになる。
【0003】
吸気ポ−トから気筒内へ供給される吸気のうち、シリンダ軸線とは遠い位置となる手前側からの吸気量を少なくすることが、タンブル形成の上では望ましいものである。このため、特開平5−302519号公報には、吸気ポ−トの下側壁面のうち、気筒側開口端から上流側へ所定長さに渡って直線状とされた下側直線壁を形成して、この下側直線壁の下流側端にエッジ部を形成することが提案されている。すなわち、下側直線壁により、吸気を気筒内の極力中心寄りに指向させつつ、エッジ部による吸気の剥離現象によって、吸気ポ−トの気筒内開口端のうち手前側部分に渦を形成して、当該手前側部分からの吸気量を少なくすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、エンジン出力向上の観点で、吸気の流量係数を高めて吸気充填効率をより高めるべく、吸気ポ−トを立てる(シリンダ軸線に対して平行になる方向に傾斜させる)ことが要求されている。その一方で、エンジンの高さを低くする観点で、動弁系の高さを極力低くすることが要求されている。両者の要求を満足させるには、吸気弁の弁軸をガイドするガイド部材の下端部が、かなり大きく吸気ポ−ト内へ突出してしまうことになり、吸気抵抗の増大となってしまう。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、シリンダ軸線に対する吸気弁の全高を低くしても、吸気抵抗を増大させることなく吸気の流量係数とタンブル成分とを効果的に両立できるようにしたエンジンの吸気ポ−ト構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその第1の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トの気筒側開口端が、弁体と弁軸とを有して往復動される傘弁式の吸気弁によって開閉され、該吸気ポ−トの気筒側開口端に、該吸気弁の弁体が離着座されるバルブシートが取付けられたエンジンの吸気ポ−ト構造において、
前記吸気ポ−トの下側壁面が、気筒側開口端付近から上流側へ渡って所定長さだけ直線状とされた下側直線壁とされると共に、該下側直線壁の下流側端にエッジ部が形成され、
前記吸気ポ−トの上側壁面が、前記弁軸をガイドするガイド部材の下端部よりも上流側に渡って所定長さだけ、下流側に向うにつれて徐々に吸気ポ−トの中心軸線に近づくように略直線状に傾斜する上側傾斜面として形成されていると共に、該上側傾斜面の延長軌跡が、前記バルブシートのうち、シリンダ軸線側の端部を通るように設定され、
前記吸気ポ−トの最小開口面積部分が前記上側傾斜面部分に位置するように設定されて、前記ガイド部材の下端部よりも下流側における吸気ポ−トの開口面積が該最小開口面積部分よりも大きな開口面積を有するように設定されている構成としてある。
【0007】
前記目的を達成するため、本発明はその第2の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トの気筒側開口端が、弁体と弁軸とを有して往復動される傘弁式の吸気弁によって開閉され、
前記吸気ポ−トの気筒側開口端に、該吸気弁の弁体が離着座されるバルブシートが取付けられ、
前記弁軸がシリンダ軸線に対して傾斜配置されて、該弁軸をガイドするガイド部材の下端部が吸気ポ−トの上側壁面より吸気ポ−ト内に若干露出されたエンジンの吸気ポ−ト構造において、
前記吸気ポ−トの上側壁面が、前記弁軸をガイドするガイド部材の下端部よりも上流側に渡って所定長さだけ、下流側に向うにつれて徐々に吸気ポ−トの中心軸線に近づくようにほぼ直線状に傾斜する上側傾斜面として形成されていると共に、該上側傾斜面の延長軌跡が、前記バルブシートのうち、シリンダ軸線側の端部を通るように設定され、
前記吸気ポ−トの下側壁面が、気筒側開口端付近から上流側へ渡って前記上側傾斜面に対して所定長さだけ対向するようにされた直線状の下側直線壁とされると共に、該下側直線壁の下流側端にエッジ部が形成され、
シリンダ軸線に対する前記弁軸の傾斜角度θBと前記上側傾斜面の傾斜角度θKと前記下側直線壁の傾斜角度θSとが、θB<θK<θSとなるように設定されている構成としてある。上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3以下に記載のとおりである。
【0008】
【発明の効果】
請求項1によれば、吸気ポ−トの下側壁面に形成された下側直線壁とエッジ部とにより、下側壁面に沿って流れる吸気が吸気弁(の弁体)の手前側から気筒内へ導入されることを極力少なくして、タンブル生成の上で好ましいものとなる。また、上側壁面に形成された上側傾斜面を利用した吸気の絞り作用により、吸気流速を速めつつ、ガイド部材の下端部が吸気ポ−ト内へ大きく突出しないようにすることが可能になり、しかもガイド部材下端部よりも下流側の開口面積を大きく確保して、全体として吸気抵抗を小さいものとすることができる。そして、上側傾斜面の吸気のガイド作用により、吸気ポ−トのシリンダ軸線に対する傾斜角度を小さくしたのと同じような効果を得て、吸気を開いた吸気弁のうちシリンダ軸線寄りの位置から気筒内へ導入されるように案内して、タンブルをより効果的に生成することがでできる。特に、上側傾斜面の延長軌跡が、バルブシートのうち、シリンダ軸線側の端部を通るように設定されていることから、吸気のタンブルを効果的に生成する上でより好ましいものとなる。
【0009】
請求項2によれば、請求項1に対応した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。特に、傾斜角度θB、θK、θSの大小設定により、上側傾斜面および下側直線壁が、吸気ポ−トのシリンダ軸線に対する傾斜角度を小さくしたのと同様の機能を発揮して、タンブルを効果的に生成することができる。
請求項3によれば、吸気抵抗を小さくする上でより好ましいものとなる。
【0010】
請求項4によれば、各吸気弁に対する吸気ポ−トがそれぞれ個々独立した独立吸気ポ−ト式のものにおいて、請求項2に対応した効果を得ることができる。
請求項5によれば、直接噴射式のものにおいて、燃料噴射弁をシリンダヘッドの限られたスペーズを有効に利用して配置することができる。
請求項6によれば、エッジ部による吸気の剥離効果と、バルブシートの取付強度と確保しつつ、燃料噴射弁の配置スペースを確保することができる。
請求項7によれば、燃料噴射弁を吸気ポ−トの下側壁面の極力近い位置として、シリンダヘッドの限られたスペースを有効利用する上で好ましいものとなる。
【0011】
請求項8によれば、共通吸気ポ−ト式のものにおいて、請求項2に対応した効果を得ることができる。
請求項9によれば、吸気ポ−ト内への燃料噴射式のものにおいて、燃料噴射弁をシリンダヘッドの限られたスペーズを有効に利用して配置することができる。
請求項10によれば、燃料噴射弁を吸気ポ−トの上側壁面の極力近い位置として、シリンダヘッドの限られたスペースを有効利用する上で好ましいものとなる。また、上側傾斜面に沿って流れる吸気の流れ方向と燃料噴射方向とをほぼ一致させて、上側傾斜面の指向方向に燃料を指向させる上で、また噴射燃料が吸気抵抗となるのを低減する上で好ましいものとなる。
【0012】
請求項11によれば、ガイド部材の下端部が大きな吸気抵抗となってしまうのを防止する上で好ましいものとなる。また、段差部分から下流側での吸気ポ−ト開口面積を大きく確保する上で好ましいものとなる。
請求項12によれば、ロッカアームの高さ分だけ、エンジンの高さをより低くすることが可能となる。
【0013】
請求項13によれば、吸気の流れ方向において独立ポートが開始される位置から上側傾斜面が存在するようにして、請求項2に対応した効果を十分発揮させる上で好ましいものとなる。
請求項14によれば、吸気を下側壁面に沿わせる作用を十分得て、つまり吸気ポ−トの開口面積全体に渡って吸気が十分流れるようにして、吸気抵抗軽減の上でより好ましいものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図3の説明
図1〜図3は、気筒内に直接燃料噴射を行う直噴式とされた火花点火式エンジンに本発明を適用した場合を示す。図1において、1はシリンダブロック、2はシリンダヘッドであり、シリンダブロック1とシリンダヘッド2とシリンダブロック内に摺動自在に嵌挿されたピストン(図示略)とにより気筒3つまり燃焼室が画成される。シリンダヘッド2には、吸気ポ−ト11、排気ポ−ト12が形成され、吸気ポ−ト11は吸気弁13により開閉され、排気ポ−ト12は排気弁14により開閉される。
【0015】
吸気ポ−ト11は、シリンダヘッド2の一側面2aに開口されて、図示を略す吸気マニホールドに接続される。吸気弁13は、弁体13aと弁軸13bとを有する傘弁式とされて、弁軸13bが、シリンダヘッド2に固定されたガイド部材15を案内として往復動可能に支持されている。吸気弁13は、リタ−ンスプリング16によって吸気ポ−トを閉弁する方向に付勢されて、弁軸13bの基端部に取付けたバケット17が、吸気弁用カム18に対して当接されている。この吸気弁用カム18の回転に応じて、吸気弁13(の弁体13a)が、吸気ポ−ト11の気筒側開口端を開閉する。なお、吸気ポ−ト11の気筒側開口端には、既知のようにバルブシート19が圧入によって固定されており、弁体13aは、バルブシート19に対して離着座される。
【0016】
排気ポ−ト12は、シリンダヘッド2の他側面2bに開口されて、図示を略す排気マニホールドに接続される。排気弁14の開閉駆動の構造は、吸気弁用の場合と実質的に同じであるので、吸気弁13の関連部材に付した符号に「B」の符号をさらに付して、その重複した説明は省略する。
【0017】
図2に示すように、1つの気筒3に対して、吸気弁13がシリンダヘッド2の一側面2aに沿って2つ設けられ、同様に排気弁14もシリンダヘッドの他側面2bに沿って2つ設けられている。排気ポ−ト12は、気筒3から所定長さに渡って隔壁4によって画成されて2つの排気弁14毎に個々独立した独立ポートとされる一方、途中からシリンダヘッド他側面2bにかけて1つの共通ポートとされた共通ポート式とされている。吸気ポ−ト11は、各吸気弁13毎に、その全長に渡って個々独立した独立吸気ポ−ト式とされており、その隔壁が図2において符号5で示される。そして、点火プラグ6が、気筒3のほぼ中心位置、より具体的には気筒3の中心よりも若干シリンダヘッド他側面2b側に配置されている。
【0018】
シリンダヘッド2には、2つの独立した吸気ポ−ト11の下方で、かつ2つの吸気ポ−ト11間において、燃料噴射弁9が取付けられている。この燃料噴射弁9の先端部は、気筒3内に若干突出していて、燃料は、吸気ポ−ト11を経ることなく、直接気筒3内へ噴射される。なお、燃焼室形状は、2つの傾斜面を有するペントルーフ型とされて、一方の傾斜面に2つの吸気弁13が配置され、他方の傾斜面に対して2つの排気弁14が配置される。
【0019】
次に、吸気ポ−ト11部分について、より詳細に説明する。まず、シリンダ軸線が符号αで示され、弁軸13bの軸線が符号βで示され、吸気ポ−ト11の軸線(各断面での開口面積の中心を結んだ線)が符号γで示される。そして、シリンダ軸線αに対する弁軸13bの傾斜角度が符号θBで示される。
【0020】
図1、図3に示すように、側面断面形状において、吸気ポ−ト11の下側壁面21は、そのほぼ全長に渡って直線状とされた下側直線壁21aとされている。すなわち、バルブシート19の直上流側部分が、後述するエッジ部となるもので符号Eで示されるが、このエッジ部Eからシリンダヘッド一側面2a付近までの長い距離に渡って直線状とされている。下側直線壁21aの下流側端が、上記エッジ部Eとされている。つまり、エッジ部Eを境として、下側壁面21が、バルブシート19へ向けて急激にかつ直線的に下方へ偏向されている。これにより、下側壁面21aに沿って流れる吸気は、エッジ部Eで剥離されて、吸気弁13の手前側部分(シリンダ軸線αに対して遠い側で、シリンダヘッド一側面2aに近い側)に渦が発生され、当該手前側部分から吸気が導入されにくい状況を生成するようになっている。
【0021】
一方、吸気ポ−ト11の上側壁面31からは、ガイド部材15の下端部が吸気ポ−ト11内へ若干突出されている。このガイド部材15の下端部よりも上流側の所定長さに渡って、ほぼ直線状の上側傾斜面31aとされている。この上側傾斜面31aの上流側端の位置は、シリンダヘッド一側面2a付近とされているが、上記下側直線壁21aよりも下流側とされている。上側傾斜面31aは、下流側に向うにつれて徐々に吸気ポ−ト11の中心軸線γに近づくように傾斜設定されていて、吸気ポ−ト11の開口面積が徐々に減少するようにされている。つまり、吸気が、上側傾斜面31aによって絞り作用を受けてその流速が速まるようにされている。このような上側傾斜面31aの指向方向は、図3に示すように、バルブシート19のうち、シリンダ軸線α側の端部となるように設定されている。
【0022】
上側壁面31のうち、ガイド部材15よりも直下流側部分は、上方へ段差を有するように退出された段差部32とされており、この段差部32に、ガイド部材15(の下端部)が位置される。このガイド部材15の下端部は、前記上側傾斜面31aの延長軌跡よりも吸気ポ−ト11の軸線γ側へは突出しないようにされている。つまり、上側傾斜面31aは、吸気がガイド部材15の下端部へ直接的に当接して流れないようにするガイド機能を有し、かつガイド部材15の下端部を保持する保持部(ガイド部材15を支承するのに必要な機械的強度を確保するための肉厚部)としても機能している。
【0023】
上側壁面31のうち、前記段差部32よりも下流側部分は、下側直線壁21aとほぼ平行に伸びる比較的長いほぼ直線状の直線部31bとされ、この直線部31bよりも下流側部分が、バルブシート19まで短く伸びるほぼ直線状の直線部31cとされ、両直線31cと31bとの境界部分は、曲率半径の小さい上に凸となるような円弧状部分で滑らかに連続されている。
【0024】
ここで、図3において、シリンダ軸線αに対して、吸気弁弁軸13bの傾斜角度は前述したようにθBとして示されるが、上側傾斜面31aの傾斜角度がθKで示され、下側直線壁21aの傾斜角度がθSで示される。そして、θB<θK<θSとなるようにされている。
【0025】
また、吸気ポ−ト11の開口面積は、図3に示されるが(吸気弁13なしの場合の開口面積変化を実線で、吸気弁13有りの場合の開口面積変化を破線で示している)、上側傾斜面31aに最小開口面積部分が設定され、ガイド部材15の下端部よりも下流側は、上側傾斜面31a部分での開口面積よりも大きくされている。図3に示す吸気ポ−ト11の長さ方向における開口面積の変化の様子は、吸気ポ−ト11の所定位置での開口面積をプロットして、各プロット間は単に直線で結んで示したものとなっており、実際の変化の様子は、極力滑らかに開口面積が変化するように設定されている。とりわけ、ガイド部材15下端部よりも下流側の開口面積の変化は、ガイド部材15や吸気弁13を配置した状態において、気筒3に近づくにつれて徐々に開口面積が大きくなるように設定されている。
【0026】
バルブシート19から、エッジ部Eまでの長さおよび直線部31cの長さLは、バルブシート19を保持するための強度確保の関係をも考慮して1.5mm以上、好ましくは2mm以上確保するのが好ましい。なお、図2において、7はシリンダヘッド2のシリンダブロック1に対する取付ボルト用の孔、8は冷却水通路である。
【0027】
図4〜図6の説明
図4〜図6は、吸気ポ−ト内に燃料噴射を行う形式のエンジンに本発明を適用した例を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する。また、図1〜図の3場合と異なる部分のみを重点的に説明することとする。
【0028】
まず、2つの吸気弁に対する吸気ポ−ト11は、気筒3側から上流側へ所定長さに渡っては、隔壁4Aによって互いに画成された独立ポート11Aとされ、その上流側が互いに合流して共通化された共通ポート11Bとされている。燃料噴射弁9は、共通ポ−ト11Bの上方で、かつ独立ポート11Aの間に位置するように配置されている。燃料噴射弁9は2噴孔式とされて、1つの燃料噴射弁9から、各独立ポート11Aへ燃料噴射され、その指向方向は、上側傾斜面31aにほぼ平行な方向である。
【0029】
吸気ポ−ト11は、図1〜図3に示す実施形態の場合よりも若干上に凸となるように湾曲されている(図1〜図3の実施形態の方が、図4、図5の実施形態の場合よりもより直線的)。吸気ポ−ト11の上側壁面31aに開口される燃料噴射弁9の取付孔41の先端位置と、隔壁4Aの上側の上流端位置とがほぼ一致されている。そして、この隔壁4Aの上側の上流側端位置と上側傾斜面31aの上流側端位置とがほぼ一致されている。
【0030】
隔壁4Aの下側の上流側端位置は、隔壁4Aの下側の上流側端位置よりも、より上流側つまりシリンダヘッド一側面2aに近い位置にまで伸びている。そして、下側直線壁21aが、ほぼ隔壁4Aの下側の上流側端位置から開始されている。従来の下側壁面21は、図4一点鎖線で示すように、上に凸となるように湾曲されており、これに対応して上側壁面31も上に凸となるように湾曲されているものであるが、本発明では、下側壁面21aが従来よりも下方位置にあってかつ直線状とされている。同様に、上側壁面31も、従来のものよりも下方に位置されてより直線的となっている。この直線的とされることは、吸気抵抗低減の上で好ましいものとなる。
【0031】
隔壁4Aの側面形状は、従来一般のものであれば、図5一点鎖線で示すように、独立ポート11Aの中心軸線側により大きく突出するように滑らかに湾曲された状態とされるが、実施形態では、隔壁4Aの幅がより小さくなって、側面形状が直線的になっている。また、独立ポート11A、共通ポート11Bの外側面の形状は、従来のものでは図4一点鎖線で示すように外側に向けて凸となるように滑らかに湾曲されているが、実施形態ではより直線的に形成されている。これにより全体として、開口面積を小さくすることなく吸気抵抗を低減する上で好ましいものとなる。なお、図4、図5の実施形態では、段差部32の直下流側から形成される直線部31bの長さが、図1〜図3の実施形態の場合に比して長くされている。
【0032】
図6は、吸気ポ−トの開口面積がその長手方向に変化する様子を連続式に示すものである(吸気弁13なしの場合の開口面積変化を実線で、吸気弁13有りの場合の開口面積変化を破線で示している)。本実施形態でも、上側傾斜面31a部分に最小開口面積部分が設定され、ガイド部材15よりも下流側の開口面積が下流側へ向けて徐々に大きくされる。
【0033】
以上実施形態について説明したが、吸気弁13、排気弁14を、別途ロッカアームを介して開閉駆動するものにも適用できる。また、燃焼室形状としては、各実施形態共にペントルーフ型としたものを示したが、これ以外の燃焼室形状であってもよい。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面断面図。
【図2】図1に示すシリンダヘッドを下方から見た図。
【図3】図1における吸気ポ−トの詳細とその長手方向における開口面積の変化を示す図。
【図4】本発明の別の実施形態を示す側面断面図。
【図5】図4に示すシリンダヘッドを下方から見た図。
【図6】図4における吸気ポ−トの長手方向における開口面積の変化を示す図。
【符号の説明】
2:シリンダヘッド
2a:一側面
4A:隔壁(共通吸気ポ−ト式)
5:隔壁(独立吸気ポ−ト式)
6:点火プラグ
9:燃料噴射弁
11:吸気ポ−ト
11A:独立ポート
11B:共通ポート
13:吸気弁
13a:弁体
13b:弁軸
15:ガイド部材
18:吸気弁開閉用カム
10:バルブシート
21:下側壁面
21a:下側直線壁
31:上側壁面
31a:上側傾斜面
α:シリンダ軸線
β:弁軸の軸線
γ:吸気ポ−ト中心軸線
E:エッジ部
θB:弁軸の傾斜角度
θK:上側傾斜面の傾斜角度
θS:下側直線壁の傾斜角度
Claims (14)
- シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トの気筒側開口端が、弁体と弁軸とを有して往復動される傘弁式の吸気弁によって開閉され、該吸気ポ−トの気筒側開口端に、該吸気弁の弁体が離着座されるバルブシートが取付けられたエンジンの吸気ポ−ト構造において、
前記吸気ポ−トの下側壁面が、気筒側開口端付近から上流側へ渡って所定長さだけ直線状とされた下側直線壁とされると共に、該下側直線壁の下流側端にエッジ部が形成され、
前記吸気ポ−トの上側壁面が、前記弁軸をガイドするガイド部材の下端部よりも上流側に渡って所定長さだけ、下流側に向うにつれて徐々に吸気ポ−トの中心軸線に近づくように略直線状に傾斜する上側傾斜面として形成されていると共に、該上側傾斜面の延長軌跡が、前記バルブシートのうち、シリンダ軸線側の端部を通るように設定され、
前記吸気ポ−トの最小開口面積部分が前記上側傾斜面部分に位置するように設定されて、前記ガイド部材の下端部よりも下流側における吸気ポ−トの開口面積が該最小開口面積部分よりも大きな開口面積を有するように設定されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - シリンダヘッドに形成された吸気ポ−トの気筒側開口端が、弁体と弁軸とを有して往復動される傘弁式の吸気弁によって開閉され、
前記吸気ポ−トの気筒側開口端に、該吸気弁の弁体が離着座されるバルブシートが取付けられ、
前記弁軸がシリンダ軸線に対して傾斜配置されて、該弁軸をガイドするガイド部材の下端部が吸気ポ−トの上側壁面より吸気ポ−ト内に若干露出されたエンジンの吸気ポ−ト構造において、
前記吸気ポ−トの上側壁面が、前記弁軸をガイドするガイド部材の下端部よりも上流側に渡って所定長さだけ、下流側に向うにつれて徐々に吸気ポ−トの中心軸線に近づくようにほぼ直線状に傾斜する上側傾斜面として形成されていると共に、該上側傾斜面の延長軌跡が、前記バルブシートのうち、シリンダ軸線側の端部を通るように設定され、
前記吸気ポ−トの下側壁面が、気筒側開口端付近から上流側へ渡って前記上側傾斜面に対して所定長さだけ対向するようにされた直線状の下側直線壁とされると共に、該下側直線壁の下流側端にエッジ部が形成され、
シリンダ軸線に対する前記弁軸の傾斜角度θBと前記上側傾斜面の傾斜角度θKと前記下側直線壁の傾斜角度θSとが、θB<θK<θSとなるように設定されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項2において、
吸気ポ−トの開口面積が、吸気弁が存在しない状態において、前記傾斜面部分において最小開口面積部分となるように設定されると共に、該最小開口面積部分から下流側へ向けて徐々に開口面積が大きくなるように設定されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項2において、
1つの気筒に対して2つの吸気弁が設けられ、前記2つの吸気弁に対する吸気ポ−トが、気筒側開口端からシリンダヘッドの一側面側開口端までの全長に渡って隔壁によって画成された独立吸気ポ−トとされている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項4において、
前記2つの独立吸気ポ−トの下方で、かつ該2つの独立吸気ポ−トの間の位置において、気筒内に直接に燃料噴射を行うための燃料噴射弁が配置されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項5において、
前記独立吸気ポ−トの気筒側開口端に、前記弁体が離着座されるバルブシートが取付けられ、
前記バルブシートの上端よりも1.5mm以上上流側において、前記エッジ部が形成されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項5において、
前記燃料噴射弁の軸線が、前記下側直線壁とほぼ平行とされている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項2において、
1つの気筒に対して2つの吸気弁が設けられ、前記2つの吸気弁に対する吸気ポ−トが、気筒側開口端からシリンダヘッドの一側面側開口端に向かって所定長さだけ隔壁によって画成された独立ポートとされると共に、途中からシリンダヘッドの一側面側開口端に渡って互いに合流して2つの吸気弁用として共通化された共通ポ−トとされた共通吸気ポ−ト式とされている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項8において、
前記共通ポ−トの上方でかつ前記独立ポート間において、吸気ポ−ト内に燃料噴射を行う燃料噴射弁が配置されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項9において、
前記燃料噴射弁の軸線が、前記上側傾斜面とほぼ平行とされている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項2において、
吸気ポ−トの上側壁面のうち、前記上側傾斜面の直下流側部分が、段差をもって該上側傾斜面よりも上方側へ向かうように設定され、
前記ガイド部材の下端部が、前記段差部分に位置するように設定され、
前記ガイド部材の下端部が、前記上側傾斜面の延長軌跡よりも吸気ポ−トの中心側へ突出しないように設定されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項2において、
前記吸気弁が、ロッカアームを介することなく、吸気弁開閉用カムによって開閉される直動式とされている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項8において、
前記上側傾斜面の上流側端と前記隔壁の上流側端とがほぼ一致されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。 - 請求項13において、
前記下側直線壁の上流側端が、前記隔壁の上流側端よりもさらに上流側に位置されている、
ことを特徴とするエンジンの吸気ポ−ト構造。
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