JP3884846B2 - ガラス組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光計測、光加工、光通信用に応用されるレーザあるいは光増幅特性と、磁気計測及び、磁気加工及び磁性粉末に応用される粉末永久磁石特性との両方を有するCrドープガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス中に含有せしめた発光イオンの誘導放出を利用した光増幅器は、発光種イオンとして希土類元素のNd,Er,Pr等が提案されている。しかしながら、これらの発光媒質は全て希土類イオンであり、その誘導放出はマトリックスガラスとの相互作用の小さい4f軌道電子間に基づくため増幅可能波長域が狭いという問題を有している。
【0003】
一方、本発明が有する遷移金属元素のCrイオンは、誘導放出としてマトリックスガラスとの相互作用の大きい3d軌道電子間に基づくため、増幅可能波長域の拡大が望めるという利点がある。
【0004】
従来Crイオンの誘導放出を利用した応用例としては、Cr3+、Cr4+イオンをドープしたYAGまたはY2 SiO5 及びMg2 SiO4 等の単結晶レーザが知られている。この中でCr4+の発光特性は、発光波長帯が約1.1〜1.7μmにも及ぶ広範囲な波長帯域でブロードな発光特性を有することが知られている。従って、Cr4+を発光種イオンに用いれば、実用的な通信波長帯である1.3〜1.5μm帯の全波長領域に適用できる光増幅器の構成が可能となる大きな利点を包含しているが、前述したように、このイオンの応用例はいずれも結晶格子中にCrイオンを含有させたものであり、光通信媒体用の光ファイバに加工出来ないという欠点を持っている。
【0005】
また、これまでに報告されているCrドープガラスはいずれもCr3+、Cr5+またはCr6+ドープに関連したものである。
【0006】
一般にガラスにドープしたCrイオンの殆どがCr3+またはCr6+で占められるのは、Crイオン種(Cr+〜Cr6+)の中でCr3+及びCr6+の酸化ポテンシャルが格段に高いため、ホストガラス組成やガラス合成時の酸化還元平衡条件を制御しても、これ等のイオン優先酸化を抑制させることが極めて困難であることに起因する。したがって、Crドープガラスの合成において酸化ポテンシャルの低いCr4+を安定生成させることは容易ではない。
【0007】
本発明が提案するCr4+をドープしたガラスについては、本発明者等による先願例(特開平08−310830号、特開平08−310831号)に留まっている。しかし、この先願例は、磁石特性を有していない。
【0008】
本発明が具備する磁石特性に関しては従来、磁性微粒子を非磁性物中に分散させた複合型磁石の例として、ESD(Elongated Single Domain )磁石、陽極酸化処理をした多孔質酸化アルミニウム皮膜中に磁性金属を充填させた磁石、及び、バリウムフェライトや希土類コバルト化合物等をゴム、又は樹脂等に混入させたプラスチック磁石等が知られている。また、非晶質構造体中にFe2 O3 等の磁性体を添加せしめて強磁性を出現させる手法も試みられているが、これらは有害な金属塩溶液中で電気メッキの手法を用いるか、もしくは、高温熱処理の繰り返し操作を要するなど磁石製造工程が複雑な上に、使用温度に対して磁気変動が大きい欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ドーパントのイオン価数制御は、ホストガラス組成とガラス合成時及びその後に行われる再加熱処理時の酸化・還元反応により行われる。Crイオンも、他の発光種イオンと同様にホストガラス組成やガラス合成時のガス雰囲気により種々の価数状態を形成するが、Crイオンの場合、前述したように、Cr3+またはCr6+の酸化ポテンシャルが格段に高いため、酸化還元平衡条件を制御させてもガラス中に形成されるCrイオンの殆どはCr3+またはCr6+であり、化学的に不安定なCr4+イオンをガラス融体中に安定生成させることは極めて困難であるという問題があった。
【0010】
また、磁性微粒子を非磁性物中に分散させた複合型磁石は、従来多くの提案がなされているが殆どが磁石製造工程が複雑な上、磁石特性の温度安定性や耐候性が十分でない欠点があった。
【0011】
本発明はレーザ発振あるいは光増幅作用を示す波長範囲が格段に広く、その中心波長が、光通信波長域にとって重要な1.3〜1.5μm帯にあるようなレーザあるいは光増幅器に使用できる光学特性と、粉末永久磁石に適用出来る強磁性特性との異なる物性を同一ガラス組成物で具えるCrドープガラスを提供することにある。
【0012】
詳しくは、本発明により得られるCrドープガラスに、ホストガラス組成の配位子場によりガラス融体内に発光種イオンのCr4+と強磁性のCrO2 を生成させ、このCr4+イオンによる誘導放出を利用してレーザあるいは光増幅器に使用可能なCrドープガラスを提供することであり、従来報告されているCrドープガラスとは発光イオン種とその発光波長範囲が大きく異なる、またはCr4+イオンおよびホストガラスの安定性を増大させたCrドープガラスを提供することである。
【0013】
本発明の前述の並びにその他の目的及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明のガラス組成物は、SiO2およびGeO2の少なくとも1種を主成分とするCrがドープされたレーザまたは光増幅用多成分系ガラス組成物であって、このガラス組成物中に発光種イオンCr4+イオンおよび強磁性体CrO2が存在している。
【0015】
さらに、この組成物は、SiO2 およびGeO2 の少なくとも1種の主成分の他に、Al2 O3 、Ga2 O3 、およびIn2 O3 よりなる群から選択される少なくとも1種、ZnO、およびTiO2 をガラス組成物の必須成分として含んでいる。
【0016】
これらの成分の組成は、ガラス組成物全体を基準として、SiO2 およびGeO2 の少なくとも1種が50〜65モル%、Al2 O3 、Ga2 O3 、またはIn2 O3 よりなる群から選択される少なくとも1種が12〜25モル%、ZnOが10〜18モル%であり、これらの成分の合計が75〜90モル%であり、TiO2 が1〜15モル%であるとよい。
【0017】
さらに、上述のガラス組成物にアルカリ金属酸化物よりなる群から選択された少なくとも1種を、ガラス組成物全体を規準として0〜10モル%含有してもよく、具体的には、アルカリ金属酸化物はガラス組成物全体を基準として、Li2Oが0〜10モル%、Na2Oが0〜10モル%、K2Oが0〜10モル%、Rb2Oが0〜10モル%、およびCs2Oが0〜10モル%、かつその合計(Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O)が0〜10モル%であるとよい。
【0018】
また、上述のガラス組成物に、Crは金属CrまたはCr化合物の形態でのドーパント材として添加され、添加量は重量基準で10ppm〜5%の範囲であることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の発光種イオンCr4+および強磁性体CrO2 を有するガラス組成物の製造方法は、
上述のガラス組成物の必須成分と、ドーパントのCrを酸素含有の雰囲気下で溶融してガラス合成する工程と、
合成されたガラスを室温まで徐冷する工程と、
この徐冷されたガラスを酸素含有の雰囲気下で再加熱処理する工程と、
再加熱処理されたガラスを室温まで徐冷する工程と、
を具えている。
【0020】
この製造方法のガラス合成する工程での酸素含有の雰囲気、および再加熱処理する工程での酸素含有の雰囲気が、大気ガス雰囲気、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気であることが好ましい。
【0021】
また、ガラス合成する工程での酸素含有の雰囲気に含まれる酸素濃度が30体積%以下であるとさらに好ましい。
【0022】
さらに、永久磁石特性を有するガラス組成物の製造方法は、上述の方法で得られたガラス組成物を粉砕する工程と、
得られたガラス粉末をゴムまたは有機樹脂から成るバインダと混合する工程と、
前述した工程で混合したものを加圧方向と印加磁場方向とが直角になるような磁界中で圧縮成形する工程と、
を具える。
【0023】
本発明のガラス組成物はレーザまたは光増幅器に用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
前記目的を達成するために、遷移金属イオンを活性イオンとするガラスの発光作用を検討していたところ、SiO2 およびGeO2 の少なくとも1種を主たる成分とする多成分ガラス組成に、発光種としてのCrイオンと増感イオンであるTiイオンを共添加して含有させ、大気又は酸素ガスとHe、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスの内から選ばれる少なくとも1種のガスとの混合ガスの雰囲気下での酸化還元平衡の制御により、ガラス合成および再加熱処理を行った。すると、発光波長範囲が1.2〜1.6μm帯のブロードな発光特性を発現するCr4+イオンと、強磁性を発現するCrO2 微粒子を効率よく分散含有せしめることを見出した。
【0025】
これ等のガラス組成物では、1.2〜1.6μmの範囲の広い波長帯域で強い発光が得られ、これを光増幅器に用いれば、これまでになく波長範囲の広い光増幅が可能である。
【0026】
また、Crイオンはその一部がCrO2 微粒子として生成し強磁性特性を発現する。従って、これらの磁性微粒子分散ガラスを粉末状に粉砕加工すれば磁性粉末を得ることができ、これを圧縮成形すれば粉末磁石の製造が可能である。
【0027】
即ち、本発明は、SiO2 およびGeO2 の少なくとも1種を主要組成とし、これに、Crイオンと増感イオンであるTiイオンを共添加して含有させて合成したガラス組成物である。この本発明のガラス組成物は、実用通信波長に適用可能な1.2〜1.6μmの広帯域な発光特性と永久磁石に適用可能な強磁性特性を有するものである。
【0028】
以下、さらに本発明の詳細を説明する。
【0029】
Crドープガラスの組成
本発明の基本的なガラス組成物の構成は次の通りである。
【0030】
1.ガラス形成能力のあるSiO2およびGeO2の少なくとも1種を主成分として50モル%以上、好ましくは50〜65モル%、
2.ガラス形成能力のあるAl2O3、Ga2O3 およびIn2O3よりなる群から選択される少なくとも1種の3b族金属酸化物を10〜25モル%、および
3.ZnOを10〜18モル%
含み、ここまでを合計して75〜90モル%含有し、これに
4.増感イオンであるTiO2を1〜15モル%
含んだものを必須成分とし、さらに
5.ガラス形成範囲の拡大とガラス安定性などのガラス形成上必要なアルカリ金属酸化物の1種または2種以上、PbOおよびP2O5を0〜10モル%、
6.熱還元剤としてSnO、Sb2O3、またはAs2O3を0〜5モル%、
7.屈折率制御のためSc2O3、Y2O3、またはLa2O3を0〜5モル%
含有し、その合計が100モル%になるようにする。このガラス組成物に、ドーパントとしてCrイオンを添加させる。これらの原料より得られるCrドープガラスは、ガラス中に発光種イオンであるCr4+イオンと強磁性体であるCrO2微粒子を含有せしめることを特徴とする。
【0031】
これらのガラス組成は構成元素の面から以下の3つに大別される。
【0032】
第1グループは、例えば次のような組成が挙げられる。
【0033】
〔SiO2 +Al2 O3 +ZnO+TiO2 〕
が75〜100mol%、好ましくは85〜95mol%、
ここで、記号〔〕内の組成をガラス組成物全体を基準としたmol%で示す。
【0034】
ここでSiO2 はGeO2 に一部又は全面置換を可能とする。
【0035】
〔GeO2 +Al2 O3 +In2 O3 +ZnO+TiO2 〕
が80〜100mol%、好ましくは90〜95mol%、
〔SiO2 +Ga2 O3 +ZnO+TiO2 〕
が80〜100mol%、好ましくは90〜95mol%、
〔SiO2 +Al2 O3 +ZnO+TiO2 〕
が80〜95mol%、好ましくは85〜90mol%の組成物である。
【0036】
この第1グループは、SiO2 およびGeO2 の少なくとも1種を主成分として、これに3b族金属酸化物のAl2 O3 、Ga2 O3 、またはIn2 O3 よりなる群より選択された少なくとも1種を10〜20%、ZnOを10〜25%含有したガラス系に増感イオンであるTiO2 を1〜10%含有したガラス組成物である。このガラス組成物の特徴は、主成分とする多量のSi4+およびAl3+、Zn2+等のガラス形成イオンとTi4+増感イオンにより発光種であるCr4+イオンの電荷補償を行う。
【0037】
ガラス合成は、雰囲気ガスとして酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用い、酸素濃度の制御下で行い、ガラス中にCr4+、Cr5+を生成させる。次いで行う再加熱処理時の還元反応により、Cr5+の一部をCr4+に価数変化せしめCr4+のイオン密度を高める。
【0038】
一方、強磁性を発現するCrO2 微細粒子は、ガラス合成時のガラス融体中に合成される。これ等の強磁性物質は溶融雰囲気や溶融温度によって増減はするものの、ガラス融体中に再溶解せずガラス中に保存される。従って、このガラス系では、ガラス合成時の雰囲気ガス組成の制御とその後に行う再加熱処理により、Crドープガラスの各ガラスにおいて発光種イオンと強磁性体物質を同時に含有せしめることが可能であり、その結果として図1に示した広帯域な発光特性と図2に示した強磁性特性が得られる。
【0039】
ガラス融体中に生成されるCr4+イオンは、ガラス組成物中の増感イオン組成比の増加に比例してそのイオン密度を増す傾向があり、特に増感イオンが3モル%以上の組成では一段とその傾向が顕著になる。また、アルカリ金属イオン量の増加と共にガラス融体中に生成されるCr4+イオン含有量は微増傾向にある。従って、発光種であるCr4+イオンをガラス中に効率よく含有せしめるためには、ガラス組成として増感イオン組成及びアルカリ金属イオンの組成比率を最適組成範囲に調整することが好ましい。
【0040】
本発明ガラス組成物のガラス合成時の熔融雰囲気ガス組成としては、酸素又は大気ガス等の酸化性雰囲気を用いる。Crドープガラスでは酸素雰囲気依存性があるものの酸素ガス濃度が30体積%以下の範囲では、Cr4+イオンの生成効率が大きく低下せず、発光特性も大きく低減しない。即ち、本ガラス組成物はガラス合成時の熔融雰囲気ガス組成として、特段の雰囲気制御を必要としない大気ガスを用いる利点を持つ。
【0041】
また、再加熱処理時の雰囲気ガス組成は、特段に雰囲気中の酸素分圧を制御せしめる必要はなく、大気ガス又は1〜30体積%酸素ガス雰囲気が用いられる。
【0042】
上記ガラス組成物は、SiO2 の一部をGeO2 等の4価イオンにより30〜100モル%の組成置換が可能である。また、Al2 O3 とZnOとの組成比率の変化によりガラス転移温度、融点等の熱特性の調整が可能である。また、ZnOの代わりに、CdOを用いることもできる。
【0043】
これに加えてK2 O、Na2 O等の1価イオンの添加量によりガラスの安定性が改善されガラス化形成範囲の拡大が図れる。
【0044】
また、Al2 O3 の一部を他の3価イオンに置換することによっても前記1価イオン添加効果と同様の熱特性の調整が可能である。一方、SiO2 の一部をPbOで置換することにより大幅にガラスの融点を低下することが出来る。
【0045】
第2グループは、例えば次のような組成が挙げられる。
【0046】
〔SiO2 +Al2 O3 +ZnO+TiO2 +Y2 O3 〕
が70〜95mol%、好ましくは85〜95mol%、
〔SiO2 +Al2 O3 +ZnO+TiO2 +Sc2 O3 〕
が70〜95mol%、好ましくは85〜95mol%、
〔SiO2 +Al2 O3 +ZnO+TiO2 +Ta2 O5 +La2 O3 〕
が70〜100mol%、好ましくは80〜95mol%の組成物である。
【0047】
この第2グループは、SiO2 、Al2 O3 、ZnOを主成分として、これに増感イオンであるTiO2 を1〜10%含有し、これにSc2 O3 (酸化スカンジウム)、Y2 O3 (酸化イットリウム)及びLa2 O3 (酸化ランタン)等の3a族金属イオンを導入したガラス組成物である。このガラス系においても、Cr4+イオンとCrO2 微細粒子が生成され、前述したような広帯域な発光特性及び強磁性特性の両方を有することが出来る。この組成物では前述の第1グループのガラス組成物に比べ、発光特性、及びガラス化形成範囲を損なうことなく、高い屈折率特性が付与出来る。従って、前述の第1グループのガラス組成と組み合わせれば光ファイバ用のコア母材に適用出来る。いずれにしても、このガラス組成物では、前述の第1グループと同様の広帯域な発光特性及び強磁性特性の両方を有することが出来る。
【0052】
増感イオン
増感イオンとして作用するTiの含有量は重量基準で1〜15%の範囲、最適含有量の範囲は3〜8%である。増感イオンの含有量がこの範囲より少ないとその添加効果はなく、一方、この範囲を超えると添加効果が減少すると共にガラス化形成範囲が大きく制限される。
【0053】
また、TiO2 のかわりに、ZrO2 を用いることもでき、TiO2 の補助剤としてTa2 O5 を用いることもできる。
【0054】
ドーパント材
本発明のガラス組成物に添加されるドーパント材として、Crドーパントは、金属クロムおよびクロム酸化物(CrO、Cr2 O3 、CrO2 、CrO3 )、クロム硫化物(Cr2 (SO4 )3 ・nH2 O)、クロム塩化物(CrCl3 ・6H2 O)、硝酸クロム(Cr(NO3 )3 ・9H2 O)および水酸化クロム(Cr(OH)3 ・nH2 O)などを用いた。ドープしたCrイオンは、ガラス中の様々なサイトに応じた価数状態をとるが、本発明でのガラス組成を用いた場合、すべてのドーパント材で程度の差はあるものの発光種イオンによる1.2〜1.6μmの範囲にわたる広い波長帯域での発光特性と、強磁性微粒子による強磁性特性が得られることを確認した。とくに、酸化物をドーパント材に用いたガラスは、発光強度及び残留磁束密度が一段と増大する。
【0055】
前述のガラス中のドーパントイオンの価数状態は、Crイオンの場合、イオンの大部分はCr4+を形成し、一部がCr3+、Cr5+等の状態で存在している。
【0056】
Crドーパント材の添加量は、重量基準で10ppm〜5%、最適添加量範囲は200〜5000ppmである。ドーパント材の含有量がこの範囲より少ないと発光イオン密度の低下によりその添加効果はなく、一方、この範囲を超えると添加効果は減少する。
【0057】
以上、説明したガラス組成物と上記ドーパント材から成るガラスは、各ドーパント材の濃度が10ppm以上であれば、いずれも図1と同様な蛍光スペクトルを示し、かつ、YAGレーザ励起により、1.2〜1.7μmの範囲の波長域においてレーザ発振が確認され、また、Crのドーパント材の濃度が1000ppm以上のガラスでは粉末永久磁石に適用可能な強磁性特性が発現する。
【0058】
なお、As2 O3 に加えSnO、Sb2 O3 等の熱還元剤をガラス組成に添加することにより、ガラス合成時に合成される上述の強磁性体物質が増加する。強磁性体の合成には上述の作製条件に加えてこれ等の熱還元剤との併用が好ましい。
【0059】
Crドープガラスの製造方法
本発明のガラス組成物は次のように坩堝溶融法を用いて製造する。
【0060】
坩堝中で前述のガラス組成、つまり
1.SiO2およびGeO2の少なくとも1種
2.Al2O3、Ga2O3 およびIn2O3よりなる群から選択される少なくとも1種の3b族金属酸化物、および
3.ZnOを合わせて75〜90モル%含有し、これに
4.TiO2を1〜15モル%、さらに
5.ガラス形成上必要なアルカリ金属酸化物の1種または2種以上などを0〜10モル%と、
これにドーパント材として、金属クロム、クロム酸化物、クロム硫化物、クロム塩化物、硝酸クロム、水酸化クロムおよびCr有機物等より選ばれる1種、または2種以上を10ppm〜5wt%添加した組成を充分混合する。
【0061】
その後、1450〜1600℃の範囲の溶融温度に制御し、大気ガス、酸素ガスまたは酸素ガスとHe、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスの内から選ばれる少なくとも1種のガスとの混合ガス雰囲気下でガラス合成を行う。
【0062】
このガラス熔融時に用いた雰囲気ガスは、前述したガス種からなり、これを酸化雰囲気として用いるために、大気及び前記不活性ガス中に純酸素ガスを体積%で0.1〜100%の範囲で混合する。
【0063】
このガラス合成状態で、雰囲気ガスの混合比率及びガス種の組み合わせにより、Crドープガラスのガラス熔液中にCrO2 酸化物微粒子とCr3+、Cr4+、Cr5+等のCrイオンを生成させる。
【0064】
合成したガラス融液は大気中、酸素ガス中、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス中で室温まで冷却する。
【0065】
次に合成したガラスは、ガラス転移点以上、軟化点以下の500〜800℃の温度範囲で1時間以上にわたって再加熱処理が行われる。この再加熱処理の雰囲気ガスとして大気、酸素ガスまたは酸素とHe、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスの内から選ばれる少なくとも1種のガスとの混合ガスを用いる。この再加熱処理によりガラス内に残留する歪みが除去されると共に、増感イオンの作用により、ガラス中のCrイオンの酸化反応、つまりCr5+イオンの一部がCr4+に価数変化を生じ、発光種Cr4+イオンのイオン密度は増大する。
【0066】
次に、この雰囲気ガスとして大気、酸素ガス、または酸素ガスとHe、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスの内から少なくとも1種のガスとの混合ガス下で0.5〜2℃/minの冷却速度で室温まで徐冷させる。
【0067】
このようにして、本発明のガラス製造は坩堝熔融法を用いて行い、ガラス中に発光種となるCr4+と強磁性発現物質のCrO2 微粒子を生成させ、レーザ及び光増幅特性と永久磁石特性を具備させることができる。
【0068】
発光種イオン
ここでは、ガラス製造中のドーパントの変化を記載する。
【0069】
ガラス融液中のドーパントは溶融雰囲気の酸化或いは還元性に応じてそのイオン価数が変動し、Crイオンは、Cr+ 〜Cr6+の範囲で大きく変動する。この内、Cr4+は、化学的な安定性が他のCrイオンに比べ格段に低いため、その含有率を高めるためにはガラス合成雰囲気中の酸素分圧を十分に低下させるなどの特殊な処理が必要とされるが、本発明ガラス組成物は合成雰囲気に大気等の高酸素濃度ガスを用いてもCr4+の含有率が大きく低減しない。これは、Cr4+イオンの近傍に存在する増感イオンが優先的に酸化反応を生じ、Cr4+イオン周辺の酸素イオンが低減されることに基づくこと等が考えられるが、いずれにしろ、本発明ガラス組成物は、合成雰囲気に大気等の高濃度酸素ガスを用いてもCr4+の安定生成が達成される。
【0070】
次の製造工程での再加熱処理では雰囲気ガスからガラス中への酸化ガスの拡散律速により、ガラス組成物中に含まれている水素と酸素とが反応し、ガラス中の増感イオンであるTi4+がTi3+へと価数変化を生じ、この反応で放出されるOH- 基により、ドーパントのイオンが価数変化を生じ、Crドープガラス中ではCr5+の一部がCr4+に価数変化する。従って、再加熱処理後は、ガラス中のCr4+発光イオン密度が増加しその発光強度は増大する。
【0071】
このイオン価数変化は、まず、Tiイオンが雰囲気ガスからガラス中への酸素ガスの拡散により
(1) 2Ti4++2O- +H2 → 2Ti3++2OH-
の変化をもたらし、次に下記反応によりCr5+イオン価数をCr4+に変化させる。
【0072】
(2) 2Cr5++2OH- → 2Cr4++2O- +H2
再加熱処理条件は、上述したように、温度は、500〜800℃で、その雰囲気ガス組成は大気または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスである。処理条件がこの範囲以外では酸化反応の平衡状態が変化し、Cr5+イオンから発光種のCr4+イオンへの価数変化は大幅に低下する。
【0073】
なお、As2 O3 、SnO、またはSb2 O3 等の熱還元剤をガラス組成に添加することにより、上述の再加熱処理段階で合成されるCr4+イオン密度は増加する。Cr4+ドープガラスの合成は上記のアニール処理条件に加えてこれ等の熱還元剤との併用が好ましい。
【0074】
つまり、再加熱処理において、その処理温度と前述したような酸化性雰囲気ガスの制御により、ガラス中の増感イオンによる電荷制御により前記Cr5+イオンの一部をCr4+に価数変化させることが出来る。この結果として、再加熱処理を施すことによりCr4+のイオン密度が増加することとなる。
【0075】
強磁性体
ここでは、ガラス中に合成された強磁性体のCrO2 微粒子について記載する。ガラスの合成過程でドーパントの一部は強磁性体の微細結晶を生成する。強磁性体のCrO2 微粒子の含有量は、ガラス合成時の合成雰囲気の酸素量が30体積%以上の場合、若干減少し、ガラス組成物の磁気特性も低下する。
【0076】
図3に、Crドープガラス中の強磁性体のCrO2 微粒子の透過電子顕微鏡観察による模式図を示す。図示するようにCrドープガラス中には、長さ約50〜100nm、幅約5〜20nmのサイズから成る針状形状のCrO2 微粒子がランダムな状態で分布する。図2の強磁性特性はこのCrO2 微粒子の発現に起因するが、個々のCrO2 微粒子は周囲のガラスに被覆された状態であるため、粉砕においてもCrO2 微粒子が直接合体することなく、磁気的相互作用に起因する保磁力の急激な低下を防止することが出来る特徴を持っている。
【0077】
粉末永久磁石の製造方法
従って、これ等のガラスを適当なガラス粉末状に粉砕加工し、着磁処理を施せば好適な磁性粉末を得ることが出来る。
【0078】
本発明の粉末磁石は、上述により得られたガラスを約1μm以下の微粉末に粉砕した後、配向をそろえるため加圧方向と印加磁場が直角になるように磁界中で圧縮成形し、これにゴム又は熱硬化性の有機樹脂をバインダとして加え、固化し永久磁石を得る。
【0079】
本発明の粉末永久磁石は、従来磁石と異なり温度変化に対しても磁気変動が無く、耐候性にも優れ、しかも圧粉処理においても保磁力が低下しないと共に製造が容易な特徴を有している。
【0080】
以上、前述した手段によれば、本発明によるガラス組成物は、バルク状態でレーザあるいは光増幅作用を示すが、コア部を中心とした領域にCrイオンをドープした光導波路あるいは光ファイバにおいても同様の作用を示した。その作製法としては、従来方法が適用できる。例えば、光ファイバ作製法としては、ロッドインチューブ法あるいは石英ガラスおよびCrドーパント材を含まない組成のガラスチューブ中に、PbOまたはSc2 O3 、Y2 O3 、La2 O3 等の3a族金属の添加により高屈折率特性を付与した本発明によるCrドープガラス組成物を入れ、線引きする方法が適用できた。
【0081】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0082】
尚、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0083】
本発明の一実施の形態の光増幅器用ガラス組成物の組成表を表1、表2、および表3に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【実施例】
〈実施例1〉
Crドープガラスの製造
本実施例のCrドープガラスは、表1に記載のガラス組成試料番号8に示すガラス組成物(モル%)を以下の方法により合成した。まず、ホストガラスのガラス原料であるSiO2 、PbO、Al2 O3 、ZnO、TiO2 、Na2 O、K2 Oの酸化物粉末を秤量した後、ドーパント材であるCr2 O3 1000ppmを上記ホストガラス組成原料に加えて、これをめのう乳鉢中で十分に混合した。次に、この混合物の所定量を白金製の坩堝に入れ、雰囲気ガスに大気ガスを用い、このガス気流中の電気炉で、室温から2℃/min〜20℃/minの昇温速度で加熱し、1000℃で1時間にわたって保持し、ガラス原料中の水分及び吸着酸素を脱気させた。その後に、2℃/min〜20℃/minの昇温速度で1500〜1600℃まで加熱制御し、同温度で60〜90分間保持し溶融合成した。熔融合成したガラス融液は、600〜750℃に予熱した鉄板上に流し出し室温まで自然冷却した。
【0088】
次に、雰囲気ガスを大気ガス又は酸素ガスとする電気炉中において600〜800℃で10時間にわたって保持し、その後0.5℃/min〜2℃/minの速度で室温まで徐冷した。徐冷したガラスは10mm×20mm×2t mmの板状に切り出し、切削面を4000番相当までの研磨を行った。
【0089】
同様にして表1および表2に記載のガラス組成試料9〜27についてもCrドープガラスを製造した。
【0090】
発光特性
合成したCrドープガラスの蛍光測定は、発振波長が1.06μmのYAGレーザ光を励起光に用い、冷却Geを検出器とした分光光学系により1.1〜1.7μmまでの波長範囲を測定したところ、図1と同様な蛍光スペクトルが得られた。
【0091】
また、溶融雰囲気による発光強度を調べるため、ガラス組成試料8と18について、表4に示すようにガラス合成雰囲気条件を変えてCrドープガラスを製造した。このガラス系の蛍光測定の結果を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
表4が示す様に、蛍光強度は、溶融雰囲気中の酸素濃度が30%以下の条件では殆ど同様の値を示している。即ち、本発明ガラス組成物は、溶融雰囲気に大気を用いてガラス作製を行っても蛍光強度の大幅な低下は招かないことが分かる。
【0094】
さらに、ドーパント量による発光強度を調べるため、ガラス組成試料8について、表5に示すように、ドーパント材の量を変えてCrドープガラスを製造した。このガラス系の蛍光測定の結果を表5に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
レーザ特性
合成したガラスを直径2mm、長さ20mmに切断し端面を研磨し、中心波長1.4μmの狭帯域フィルタを備えたレーザ共振器内に固定した。片側より1.06μmYAGレーザ光を200mw入射したところ100mwの出力が得られた。この時の発振波長は1.4μm、線幅は0.01μm以下であった。また、ガラス組成表1〜2のガラス組成物は何れもレーザ発振した。
【0097】
ここで、増感イオン量による発振効率を調べるため、表6に示すように増感イオン量をかえて、Crドープガラスを製造した。
【0098】
【表6】
【0099】
このガラス系では広帯域な蛍光特性は、増感イオンであるTiO2 組成の増大と共にレーザの発振効率が改善され、TiO2 組成が3〜7mol%のガラス組成物では発振効率が著しく増加した。
【0100】
上記に記載した蛍光およびレーザ特性は、ガラス組成及び再加熱処理温度により大きく変化したが、これはガラス組成及び雰囲気ガス組成により発光イオンとなるCr4+イオンの含有量が大きく変動するためである。本発明であるレーザおよび光増幅用組成物の製造法によれば、ガラス組成物にSiO2 、Al2 O3 、ZnOを主要な組成として用い、かつTiO2 等の増感イオンを雰囲気ガス中の酸素濃度を精密に制することによりCrO2 微細粒子の合成反応を促進できた。
【0101】
ファイバー製造
ファイバ作製法は、ロッドインチューブ法を用い、クラッドガラスには、ドーパント材を含まない試料番号8のガラスを用い、コアガラスとして表1、表2のガラス組成物を挿入し石英系ガラス線引き装置により線引きを行った。
【0102】
永久磁石製造
飽和磁化が1.3emu/gの値を有する合成した試料番号8および18のガラスを、ボールミル又はスタンプミル粉砕器を用いて粉砕し、粉砕粒子サイズが1μm以下のガラス粉末に加工し、これをゴムまたはエポキシ樹脂、或いはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂と混練し、この混合物を非磁性金型内に入れ加圧方向と印加磁場方向とを直角にし、加圧力3ton/cm2 、印加磁場15kGの条件で圧縮成形した。
【0103】
この圧縮成形体を空気中で120℃×1時間にわたって加熱し固化した。
【0104】
この磁石はガラス試料番号8の場合、密度が4.2g/cm3 、磁気特性は飽和磁化(4πIs)230G、残留磁束密度(4πIr)208G、保磁力630Oeであった。
【0105】
ガラス試料番号18の場合、密度が4.2g/cm3 、磁性特性は飽和磁化(4πIs)330G、残留磁束密度(4πIr)250G、保磁力510Oeであった。
【0106】
なお、磁石作成時の加圧力を増すと密度が向上するため、飽和磁化、残留磁化が増大し磁石の品質が向上する。
【0107】
〈実施例2〉
本実施例は、表3に記載の組成物試料番号28、29、30及び34、35、36の組成を秤量し、これをめのう乳鉢中で十分に混合した後、所定の量を白金製の坩堝に入れ、雰囲気ガスに純酸素ガスを用い実施例1と同様の方法により合成した。
【0108】
このガラス系は必須要素にSc2 O3 、Y2 O3 またはLa2 O3 組成を加えたガラス組成物である。
【0109】
発光特性
このガラス組成物においても、図1と同様な蛍光スペクトルが得られた。このガラス系では、Sc2 O3 、Y2 O3 またはLa2 O3 組成の増加、及び、最適な雰囲気ガス組成の組み合わせにより、表7に記載するように蛍光強度の増大が達成出来た。
【0110】
【表7】
【0111】
特に、Sc2 O3 組成が2mol%以上、Y2 O3 組成が2mol%以上、またLa2 O3 組成が2mol%以上のガラス組成物で、雰囲気ガスの酸素濃度が0.01〜5%の範囲では蛍光強度が著しく増加した。
【0112】
ガラス組成物におけるSc2 O3 、Y2 O3 、及びLa2 O3 組成の増大に伴う蛍光強度の増大は、ガラス中の発光イオン密度の増加に起因する。
【0113】
即ち、Cr4+イオンのイオン密度は、増感イオンであるTiO2 に加え3a族金属元素のSc、Y、及びLaイオンにより制御出来ることを示している。即ち、このガラス系では実施例1に比べると発光イオンの組成選択性は拡大する。
【0114】
発振特性
これらのガラス組成物においても実施例1と同様にして同様な発振効率を持つレーザ特性および磁気特性が得られた。
【0115】
ファイバ製造
これらのガラス組成物においてもコアガラスにこれらのガラス組成物を用いて実施例1の方法でファイバ化が図られた。
【0116】
永久磁石製造
飽和磁化が1.5emu/gの値を有する合成された試料番号36のガラスを、前述の粉砕機を用いて粉砕し、粉砕粒子サイズが1μm以下のガラス粉末を作製しこれをエポキシ樹脂5重量%と混練した。次に、この混合物を非磁性金型内に入れ加圧方向と印加磁場方向とを直角にし、加圧力3.5ton/cm2 、印加磁場13kGの条件で120℃×1時間加熱して圧縮成形した。この磁力は密度が4.2g/cm3 、磁気特性は飽和磁化(4πIs)280G、残留磁束密度(4πIr)247G、保磁力650Oeであった。このようにして製造した粉末磁石は切削加工が可能であった。
【0117】
<参考例>
本参考例は、表3に記載の組成物試料番号31、32、37のガラス組成物(モル%)にドーパント材としてCr2O3を1000ppm加えて実施例1と同様の方法により合成した。このガラス系の特徴は、増感イオンであるTiO2組成が最大5モル%、K2O等のアルカリ金属イオンおよびMgOおよびCaO等のアルカリ土類金属イオンが2〜5モル%含まれることである。
【0118】
発光特性
これらの組成物においても実施例1のガラス組成物と同様、図1に示される蛍光スペクトルが得られた。
【0119】
発振特性
これらのガラス組成物においても実施例1と同様にして同様の発振特性発振効率を持つレーザ特性が得られた。
【0120】
ファイバ製造
これらのガラス組成物においてもコアガラスにこれらのガラス組成物を用いて実施例1の方法でファイバ化が図られた。
【0121】
永久磁石製造
飽和磁化が1.3emu/gの値を有する合成された試料番号31のガラスを、実施例1と同様の方法で粉末磁石の製造した。この磁力は磁気特性は飽和磁化(4πIs)200G、残留磁束密度(4πIr)180G、保磁力470Oeであった。
【0122】
本発明の製造方法を用いることにより、全てのガラス組成で粉末永久磁石に適用でき、かつ、Cr4+イオンを活性中心とするレーザあるいは光増幅器が構成できる。
【0123】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に示したが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言うまでもない。
【0124】
【発明の効果】
本発明のCrドープガラスは、その製造法として汎用な坩堝溶融法を用いガラス熔融時及びその後の再加熱時の加熱温度と雰囲気ガス組成の調整によりガラス中のCr4+イオンを安定生成させ、CrO2 を生成することが出来る。このガラスにおいてはCr4+イオンによる1.2〜1.6μmの広帯域な発光特性と、磁性微粒子CrO2 による強磁性特性が具備されるため、ガラス製造上極めて有利な特徴を持っており、レーザ発振材料、光増幅材料としての応用はむろんのこと、強磁性の特性を活かして粉末磁石材料に用いることが出来る。特に、光増幅材料としてこの材料をファイバに加工すれば光通信の実用波長である1.3〜1.5μm帯の全長域に適用出来る広帯域な光増幅器が実現される。また、ガラス組成物は耐候性に優れ、安価なSiO2 を主要組成とすることから、製造方法の容易さに加えて通信システムの信頼性向上と経済化を図ることが可能である。
【0125】
さらに、この製造方法ではドーパントの殆どはガラス合成過程で熱分解するため、ドーパントの出発原料は化学結合状態やそのイオン価数に大きく依存しないため、多種多様なドーパント材の適用を可能とする特徴がある。しかも、合成したガラスからの素子形成、或いはファイバ作製した後も前述したように再加熱処理と同様の処理を施すことにより、素子やファイバ内に発光イオンを再生成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス組成表1に示す試料番号8及び18の蛍光特性を示す図であり、1.06μmのYAGレーザ励起における発光スペクトルを示す図である。
【図2】本発明のガラス組成表1に示す試料番号8の磁気特性を示す図であり、試料振動型磁気測定器により測定したヒステリシス曲線を表す図である。
【図3】本発明による粉末永久磁石に使用するCrO2 微粒子分散ガラスの透過電子顕微鏡観察の模式図である。
【符号の説明】
1 CrO2 微粒子分散ガラス
2 CrO2 微粒子
Claims (7)
- SiO2およびGeO2の少なくとも1種を主成分とし、Al 2 O 3 、Ga 2 O 3 およびIn 2 O 3 よりなる群から選択される少なくとも1種、ZnOおよびTiO 2 を必須成分として含む、アルカリ土類金属酸化物を含有しない、Crがドープされたレーザまたは光増幅用多成分系ガラス組成物であって、前記ガラス組成物中に発光種イオンCr4+イオンおよび強磁性体CrO2が存在することを特徴とするガラス組成物。
- 前記ガラス組成物の組成が、ガラス組成物全体を基準として、前記SiO2およびGeO2の少なくとも1種が50〜65モル%、前記Al2O3、Ga2O3 およびIn2O3よりなる群から選択される少なくとも1種が12〜25モル%、前記ZnOが10〜18モル%、かつ前記各成分の合計が75〜90モル%であり、前記TiO2が1〜15モル%であることを特徴とする請求項1に記載のガラス組成物。
- 前記ガラス組成物は、さらに、ガラス組成物全体を基準として、アルカリ金属酸化物の少なくとも1種を0〜10モル%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス組成物。
- 前記アルカリ金属酸化物の含有量は、ガラス組成物全体を基準として、Li2Oが0〜10モル%、Na2Oが0〜10モル%、K2Oが0〜10モル%、Rb2Oが0〜10モル%、およびCs2Oが0〜10モル%、かつその合計(Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O)が0〜10モル%であることを特徴とする請求項3に記載のガラス組成物。
- 前記ガラス組成物にドープされたCrは、ガラス組成物に添加された金属CrまたはCr化合物の形態でのドーパント材からなり、該Crドーパント材の添加量がガラス組成物の重量基準で10ppm〜5%の範囲であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のガラス組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス組成物を用いたことを特徴とするレーザ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス組成物を用いたことを特徴とする光増幅器。
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