JP3883364B2 - フラットワイヤハーネスの接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットワイヤハーネスを相手側接続導体に接続するフラットワイヤハーネスの接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フラットワイヤハーネスを相手側接続導体に接続する構造には、絶縁被覆を局所的に除去して露出状態となったフラットワイヤハーネスの導体を、直接、相手側接続導体に接触させる接続構造が採用されている。このような接続構造では、接続信頼性を高めるために、フラットワイヤハーネスの導体と相手側接続導体とを弾接させるための弾性部材が用いられる。
【0003】
例えば実開平6−15283号公報に開示される図10に示すコネクタ1は、導体露出部3を有するフレキシブルフラットハーネス5の端末部7の裏側に接合する平板状のホルダ9と、一方に、端末部7とホルダ9との組立体に対する挿入口、他方に、導体露出部3と接続する相手コネクタに対する挿入口、中間部に係止部材挿入口をそれぞれ有する矩形筒状のハウジング11と、組立体に対する押圧係止部13を有し、ハウジング内に挿着させる係止部材15とにより構成される。そして、ホルダ9には、導体露出部の裏側に対向するばね片(弾性部材)17が設けられる。従って、フレキシブルフラットハーネス5の導体露出部3は、裏側から、ホルダ9に装着されたばね片17により押圧されることで、図示しない相手側接続導体に弾接され、信頼性の高い電気的接続構造が得られるようになっている。
【0004】
また、特開平7−220828号公報に開示されるコネクタ構造は、図示は省略するが、弾性接片(弾性部材)を有する弾性端子を用い、フレキシブルプリント基板の露出された導体パターンに、弾性端子の弾性接片(弾性部材)を弾接させることにより、信頼性の高い電気的接続構造が得られるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のフラットワイヤハーネスの接続構造は、露出させたフラットワイヤハーネスの導体と、相手側接続導体とを弾接させるための弾性部材が別途必要になった。このため、部品点数が増え、構造も複雑となって製品コストが高くなる問題があった。
また、従来の接続構造においては、フラットワイヤハーネスと相手側部材との挿抜作業時に、常に一定の接触荷重が作用する。即ち、フラットワイヤハーネスが常時、弾性部材によって付勢されているため、フラットワイヤハーネスと相手側接続導体との接続開始時から、弾性部材の反力が挿抜力に付加されることになる。この結果、挿抜作業時に大きな挿抜力が必要になり、接続作業性が低下する問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、部品点数の削減が可能になり、且つ接続作業時の挿抜力を低減させることができるフラットワイヤハーネスの接続構造を提供し、コストの低減及び接続作業性の向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載のフラットワイヤハーネスの接続構造は、弾性を有し複数の平行な導体が絶縁被覆されたフラットワイヤハーネスと、相手側接続導体が露出された相手側部材とを電気的に接続するフラットワイヤハーネスの接続構造であって、前記絶縁被覆を局所的に除去して前記導体を露出させた前記フラットワイヤハーネスを、端部が突出するように保持するハウジングを有し、前記ハウジングは、前記フラットワイヤハーネスを挟んで前記相手側接続導体の反対側に位置して前記フラットワイヤハーネスの端部に向かうに従って前記相手側接続導体から離反する方向に傾斜される傾斜面と、前記フラットワイヤハーネスを該傾斜面に沿わして折曲させ且つ前記フラットワイヤハーネスと前記ハウジングとの相対的な移動を規制する係止部とを備え、該ハウジングを相手側部材に係止して前記突出したフラットワイヤハーネスの端部を相手側部材に当接することで該フラットワイヤハーネスに湾曲部を形成させて該湾曲部で露出した前記導体を相手側接続導体に接触させることを特徴とする。
【0007】
このフラットワイヤハーネスの接続構造では、フラットワイヤハーネスの弾性復元力によって導体が相手側接続導体に押圧保持される。これにより、フラットワイヤハーネスの導体を、相手側接続導体に押圧するための専用の弾性部材が不要になり、部品点数の削減が可能になる。また、導体と相手側接続導体との接触荷重が、ハウジングの挿入に伴って徐々に増加され、挿入完了状態で最大になる。これにより、ハウジング挿抜作業時の挿抜力、特に、挿抜開始時の初期挿抜力が低減され、接続作業が容易になる。
また、フラットワイヤハーネスとハウジングとの相対的な移動が、係止部によって規制され、所定の相対位置に位置決めされる。さらに、フラットワイヤハーネスが傾斜面に沿って予め折曲されていることで、端部が相手側部材に当接された際、フラットワイヤハーネスが、相手側接続導体に突出する向きで湾曲され易くなる。
【0010】
請求項2記載のフラットワイヤハーネスの接続構造は、前記相手側接続導体が、前記相手側部材の表面に形成された印刷導電パターンであることを特徴とする。
【0011】
このフラットワイヤハーネスの接続構造では、フラットワイヤハーネスの導体が接触する相手側部材の表面に、所望の位置、所望の数、所望の形状の相手側接続導体が容易に形成可能になる。また、相手側接続導体が、相手側部材の表面と略同一平面で形成され、表面からの突出厚にバラツキが生じにくくなるので、複数の相手側接続導体の全てが同時にフラットワイヤハーネスに接触可能になり、良好な接触状態が得られるようになる。
【0012】
請求項3記載のフラットワイヤハーネスの接続構造は、前記相手側接続導体が、前記相手側部材の表面に突出して設けられた金属端子であることを特徴とする。
【0013】
このフラットワイヤハーネスの接続構造では、相手側接続導体が金属端子からなることで、この金属端子のみが相手側部材の表面から厚み分突出することになる。従って、フラットワイヤハーネスと、相手側部材との接触面圧が導体と金属端子との接触部分のみで高くなり、安定した接触状態が得られるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る接続構造の外観斜視図、図2は図1の縦断面図、図3は未挿入状態のフラットワイヤハーネス端部を示す斜視図、図4は図3の縦断面図である。
【0015】
本実施の形態において、相手側部材は、図1に示すように、基板21と、この基板21に固着されたコネクタ23とからなる。基板21の表面(上面)には、相手側接続導体である複数の印刷導電パターン25が形成されている。コネクタ23は、基板21の端縁に配置され、図2に示すように、外方に向けて内側の嵌合空間27を開口させている。基板21の表面に形成された印刷導電パターン25は、平行となってコネクタ23の嵌合空間27内へ導かれている。この嵌合空間27には、後述のフラットワイヤハーネスの端部が挿入される。
【0016】
図3に示すように、フラットワイヤハーネス29の端部にはハウジング31が装着されている。フラットワイヤハーネス29は、複数の平行な導体33が絶縁被覆され、弾性を有する帯状に形成されている。このフラットワイヤハーネス29は、印刷導電パターン25と接続される箇所の絶縁被覆が局所的に除去されて、導体33が露出されている。
【0017】
ハウジング31は、フラットワイヤハーネス29の挿通される挿通穴34が略中央部に穿設された板状の基部37と、この基部37の上部及び下部から基部37に対して垂直に突出される係止腕39と、この係止腕39と同方向で基部37の挿通穴34近傍で突出されるガイド板41と、挿通穴34を挟んでガイド板41の反対側に設けられる図4に示す係止部43とからなる。
【0018】
ガイド板41の挿通穴34側の面には、先端に向かってガイド板41を薄厚とする方向の傾斜面35が形成されている。換言すれば、傾斜面35は、フラットワイヤハーネス29の端部に向かうに従って印刷導電パターン25から離反する方向に傾斜されている。
【0019】
挿通穴34に挿通されたフラットワイヤハーネス29は、係止部43に係止され、ハウジング31との相対的な移動が規制される。また、フラットワイヤハーネス29は、係止部43に係止されることで、傾斜面35と平行となるように折曲される。フラットワイヤハーネス29と係止部43との係止は、例えばフラットワイヤハーネス29の所定位置に穿設した係止孔に、尖頭又は段付ピン状に形成した係止部43を係合することにより行われる。
【0020】
このようにして係止部43によって移動が規制され、且つ傾斜面35に沿って折曲されたフラットワイヤハーネス29は、図3に示すように、若干量、ガイド板41の先端から端部が突出されるようにしてハウジング31に保持される。
【0021】
基板21に固着されたコネクタ23の上下面には、係止凹部45が形成されている。この係止凹部45には、ハウジング31の係止腕39が係止するようになっている。ハウジング31は、係止腕39が係止凹部45に係止して、コネクタ23と結合された状態で、ガイド板41の先端が、コネクタ23の奥壁47に到達するようにガイド板41の長さが形成されている。従って、この結合状態において、フラットワイヤハーネス29の先端は、奥壁47に当接して変形するようになっている。この際、フラットワイヤハーネス29の端部は、弾性範囲内で変形されるように、ガイド板41からの突出長が設定されている。
【0022】
次に、このように構成されたフラットワイヤハーネスの接続構造の作用を説明する。
ハウジング31には、局所的に導体33の露出されたフラットワイヤハーネス29が、挿通穴34に挿通された状態で、係止部43に係止され、相対的な移動が規制されている。この状態で、ハウジング31のガイド板41の先端からは、図3に示すように、フラットワイヤハーネス29の端部が突出されている。
【0023】
このようにフラットワイヤハーネス29の端部を突出させたハウジング31が、基板21に固着されたコネクタ23に挿入されると、フラットワイヤハーネス29の端部がコネクタ23の奥壁47に当接する。更に、ハウジング31が挿入されると、フラットワイヤハーネス29の端部は、奥壁47からの反力を受けて湾曲される。
【0024】
この際、フラットワイヤハーネス29は、ガイド板41の傾斜面35に沿って予め折曲されていることから、折曲方向と反対側に突出して湾曲される。この湾曲部51は、ハウジング31の挿入に伴って徐々に大きくなり、ガイド板41の先端が奥壁47に到達した状態で最大になる。これにより、図2に示すように、湾曲部51に形成された導体33が、基板21の印刷導電パターン25に接触することになる。
【0025】
ハウジング31とコネクタ23は、導体33が印刷導電パターン25に接続された状態で、係止腕39が係止凹部45に係止して、結合が完了される。
【0026】
従って、このフラットワイヤハーネスの接続構造では、フラットワイヤハーネス29の弾性復元力によって導体33が印刷導電パターン25に押圧保持される。これにより、フラットワイヤハーネス29の導体33を、印刷導電パターン25に押圧するための専用の弾性部材が不要になる。また、導体33と印刷導電パターン25との接触荷重が、ハウジング31の挿入に伴って徐々に増加され、挿入完了状態で最大になる。これにより、ハウジング挿抜作業時の挿抜力、特に、挿抜開始時の初期挿抜力が低減され、接続作業が容易になる。
【0027】
また、フラットワイヤハーネス29とハウジング31との相対的な移動が、係止部43によって規制され、所定の相対位置に位置決めされる。さらに、フラットワイヤハーネス29が傾斜面35に沿って折曲されることで、端部がコネクタ23の奥壁47に当接された際、フラットワイヤハーネス29が、印刷導電パターン25に突出する向きで湾曲され易くなる。
【0028】
なお、上述の実施の形態では、係止腕39がハウジング31側に設けられ、この係止腕39の係止する係止凹部45がコネクタ23側に設けられる場合を例に説明したが、本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造は、これとは逆に、図5に示すように、コネクタ23側に係止腕39が設けられ、ハウジング31に係止凹部45が設けられるものであってもよい。
このような構成とすれば、フラットワイヤハーネス29の端部に設けられるハウジング31を小型化することができる。
【0029】
また、上述の実施の形態では、基板21の表面のみに印刷導電パターン25が形成される場合を例に説明したが、本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造は、印刷導電パターン25が、基板21の表裏面に形成されるものであってもよい。
このような場合には、図6に示すように、ガイド板41、挿通穴34、係止部43が、それぞれ二組設けられたハウジング61を用いることで、基板21の表裏面に形成されたそれぞれの印刷導電パターン25に、同時に異なるフラットワイヤハーネス29a、29bを接続することができる。
【0030】
次に、本発明に係る接続構造の第二の実施の形態を説明する。図7は本発明に係る接続構造の第二の実施の形態を示す斜視図、図8は図7の縦断面図である。なお、以下の実施の形態において、図1〜図4に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0031】
この実施の形態に係るフラットワイヤハーネスの接続構造は、相手側接続導体が、金属端子65となって基板21に設けられている。金属端子65は、例えばそれぞれが、被覆電線67の先端に接続されている。また、金属端子65は、コネクタ69に設けられた係止手段71によって、基板21に固定される。また、金属端子65は、先端の電気接触部65aが、細板状に形成される。このようにしてコネクタ69に係止された金属端子65は、電気接触部65aが、基板21の表面から突出して配置される。
【0032】
このフラットワイヤハーネスの接続構造によれば、金属端子65のみが基板21の表面から厚み分突出することになる。従って、フラットワイヤハーネス29と基板21との接触面圧が、導体33と金属端子65との接触部分のみで高くなり、安定した接触状態が得られるようになる。
【0033】
次に、本発明に係る接続構造の第三の実施の形態を説明する。図9は本発明に係る接続構造の第三の実施の形態を示す斜視図である。
【0034】
この実施の形態に係るフラットワイヤハーネスの接続構造は、フラットワイヤハーネス29が予め屈曲されてハウジング81に保持されるようになっている。即ち、ハウジング81には支持板部83が突設され、この支持板部83が、コネクタ69の嵌合空間27に挿入されるようになっている。支持板部83の一方の面(印刷導電パターン25と対向する面)には、フラットワイヤハーネス29の基端側が一対の基端側係止部85によって固定されている。そして、フラットワイヤハーネス29の端部は、湾曲部51が形成された状態で、先端が支持板部83の先端と一致して先端側係止部87によって支持板部83に固定される。
【0035】
従って、このフラットワイヤハーネスの接続構造によれば、弾性部材が不要になるという上述の各実施の形態と同様の効果に加え、湾曲部51が確実に形成される効果を有する。
【0036】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造によれば、局所的に導体を露出させたフラットワイヤハーネスを、端部が突出するようにしてハウジングに保持させ、この突出したフラットワイヤハーネスの端部を相手側部材に当接することでフラットワイヤハーネスに湾曲部を形成させ、この湾曲部で露出した導体を相手側接続導体に接触させるので、フラットワイヤハーネスの弾性復元力によって導体を相手側接続導体に押圧保持させることができ、且つ導体と相手側接続導体との接触荷重を、ハウジングの挿入に伴って徐々に増加させ、挿入完了状態で最大にすることができる。この結果、加圧用弾性部材を不要にして部品点数の削減が達成でき、且つコネクタ挿抜作業時の挿抜力を低減させて、接続作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造の外観斜視図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】未挿入状態のフラットワイヤハーネス端部を示す斜視図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】第一の実施の形態の変形例1を示す縦断面図である。
【図6】第一の実施の形態の変形例2を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造の第二の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【図9】本発明に係るフラットワイヤハーネスの接続構造の第三の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】従来のフラットワイヤハーネスの接続構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
21 基板(相手側部材)
23 コネクタ(相手側部材)
25 印刷導電パターン(相手側接続導体)
29 フラットワイヤハーネス
31 ハウジング
33 導体
35 傾斜面
43 係止部
51 湾曲部
65 金属端子(相手側接続導体)
Claims (3)
- 弾性を有し複数の平行な導体が絶縁被覆されたフラットワイヤハーネスと、相手側接続導体が露出された相手側部材とを電気的に接続するフラットワイヤハーネスの接続構造であって、
前記絶縁被覆を局所的に除去して前記導体を露出させた前記フラットワイヤハーネスを、端部が突出するように保持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、前記フラットワイヤハーネスを挟んで前記相手側接続導体の反対側に位置して前記フラットワイヤハーネスの端部に向かうに従って前記相手側接続導体から離反する方向に傾斜される傾斜面と、前記フラットワイヤハーネスを該傾斜面に沿わして折曲させ且つ前記フラットワイヤハーネスと前記ハウジングとの相対的な移動を規制する係止部とを備え、
該ハウジングを相手側部材に係止して前記突出したフラットワイヤハーネスの端部を相手側部材に当接することで該フラットワイヤハーネスに湾曲部を形成させて該湾曲部で露出した前記導体を相手側接続導体に接触させることを特徴とするフラットワイヤハーネスの接続構造。 - 前記相手側接続導体が、前記相手側部材の表面に形成された印刷導電パターンであることを特徴とする請求項1記載のフラットワイヤハーネスの接続構造。
- 前記相手側接続導体が、前記相手側部材の表面に突出して設けられた金属端子であることを特徴とする請求項1記載のフラットワイヤハーネスの接続構造。
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