JP3882534B2 - 車両用ドアのグラスラン取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両用ドアのグラスランの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、自動車のフロントドアは、ドアのウインドウ開口にドアガラスを昇降可能に配設するとともに、前記ウインドウ開口縁にグラスランを装着した構造となっている。
【0003】
しかし、ドアガラスの昇降を繰り返すことによって、ドアガラスとグラスランとの間の摺動抵抗や突き上げ等により、グラスランが所定の取付位置から動いてしまうおそれがあった。
【0004】
特に、前側に車両後方に傾斜する傾斜部を有するドアのウインドウ開口にドアガラスを昇降可能に配置したものでは、ドアガラスの上昇時(閉作動時)の全閉間際において、ドアガラスがグラスランの底面に付き当てられると、傾斜部では前記グラスランに車両斜め上後方に向けて大きな力が加わってグラスランが所定の取付位置から動くおそれがあった。
【0005】
このようにグラスランが所定の取付位置から動いてしまうと、グラスランによるドアガラスの正常な保持状態に影響を与えると共に、グラスランの車外側に面した部分の一部が浮き上がったりするなど、外観上に影響を与えてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、従来の車両用ドアのグラスラン取付構造としては、例えば特開2001−39168号公報に示されるように、グラスランが所定の取付位置からずれてしまうのを規制する手段として、グラスランと係合するずれ防止部品をウインドウ開口縁に別途設定して、グラスランを所定の取付位置に規制するようにした構造が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記従来の構造によれば、グラスランが所定の取付位置からずれてしまうのを規制する手段として、グラスランと係合するずれ防止部品をウインドウ開口縁に別途設定しているため、このずれ防止部品を取り付けるための作業工数が増えると共に、部品点数が増えることにより製造コストの増加や部品の管理工数が増えることによる管理コストの増加など、コスト的に不利となるという問題があった。
【0008】
また、特開平8−216694号公報に示されるように、グラスランをウインドウ開口縁に組み付けるためのウインドウフレームであるチャンネル部に、グラスランとの係合部を一体に設定したものもあるが、これにあっても、このチャンネル部の該当部分に係合部の加工を後から別途に施さなければならず、製造コストが増加してしまうことは否めなかった。
【0009】
そこで、本発明は組み付け工数やコストを増やすことなく、ドアガラスの昇降によるグラスランのずれを確実に防止することのできる車両用ドアのグラスラン取付構造の提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、車両後方に向けて傾斜する傾斜部を有するドアのウインドウ開口にドアガラスを昇降可能に配設し、前記ウインドウ開口に沿ってグラスランを取り付けた構造であって、前記グラスランの傾斜部の頂面に凸部を設定すると共に、ドアに既設された車体パネルの前記傾斜部相当位置に、前記グラスランの前記凸部と係合するストッパ部を一体に形成し、前記ストッパ部は、前記既設された車体パネルの一部を曲折成形することによって、ドアガラスとラップするようにグラスラン側に向けて車幅方向に突設されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の前記既設された車体パネルが、ドアヒンジ取付部に配設されるヒンジレインフォースであることを特徴としている。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、グラスランの傾斜部の頂面に凸部を設定すると共に、ドアに既設された車体パネルの前記傾斜部相当位置に、前記グラスランの前記凸部と係合するストッパ部を一体に形成してあるため、前記凸部とストッパ部とによって、ドアガラスの上昇時(閉作動時)の全閉間際等、ドアガラスがグラスランの底面に付き当てられて、前記グラスランに車両斜め上後方に向けて大きな力が加わったとしてもグラスランを所定の取付位置に規制することができ、グラスランによるドアガラスの正常な保持状態を確保すると共に、外観に影響を与えずに見映えを向上することができることはもちろん、前記凸部と係合するストッパ部を、ドアに既設された車体パネルの前記傾斜部相当位置に一体に形成してあるため、部品点数が増えることがないので、組み付け工数やコストを増やすことなく、ドアガラスの昇降によるグラスランのずれを確実に防止することができる。
【0014】
また、前記ストッパ部は、前記既設された車体パネルの一部を曲折成形することによって、ドアガラスとラップするようにグラスラン側に向けて車幅方向に突設されているため、車体パネルの成形時に前記ストッパ部も一緒に形成することができるので、製造コストの増加を最小限に抑えることができる。
【0015】
また、ドアガラスと車両上下方向にラップするようにグラスラン側に向けて突設してあることにより、ドアガラスからグラスランに車両斜め上後方に向けて大きな力が加わったとしても、その入力点からの作用線上にストッパ部を設定してあるのでグラスランにねじれが働くことなく、確実に所定の取付位置に規制することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、前記既設された車体パネルが、ドアヒンジ取付部に配設されるヒンジレインフォースであるため、部品点数が増えることがなく、組み付け工数やコストを増やすことがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した車両用ドアのグラスラン取付構造の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0018】
図1は本発明を適用した車両用ドアのグラスラン取付構造の要部を示す斜視図である。また、図2は図1の矢視Aから見た説明図であり、図3は車両のフロントドアを示す側面図、図4はグラスランの一般部を示す断面図である。
【0019】
1は自動車のフロントドアで、該フロントドア1は全体がインナパネル2とアウタパネル3を接合して形成されている。フロントドア1の上半部にはウインドウフレーム4によってウインドウ開口5が形成され、該ウインドウ開口5にドアガラス6を昇降可能に配設して、該ドアガラス6でウインドウ開口5を開閉するようになっている。
【0020】
また、ウインドウフレーム4にはウインドウ開口5側に断面略コ字状のチャンネル部材7を挿入した状態でインナパネル2及びアウタパネル3に溶接して設けている。
【0021】
そして、このチャンネル部材7内には、一対のリップ8a,8aで上下動するドアガラス6の端末を摺動自在に保持するグラスラン8の基部8bが嵌合状態で取付けられている。このグラスラン8は、弾性を有する樹脂等によって形成され、前記リップ8a,8aはドアガラス6の非挿入状態ではリップ8a,8aの先端同士が互いに当接し、ドアガラス6の挿入状態では該ドアガラス6の表面に弾性変形して圧接する。
【0022】
9は、ウインドウ開口5の下方の前記フロントドア1内に設けられ、前記チャンネル部材7と略同様の断面形状をしたガイドレールで、前記グラスラン8の下端部は該ガイドレール9,9内に嵌合状態で取り付けられている。
【0023】
このように、前記グラスラン8は前辺部13,傾斜部14,上辺部15,後辺部16とドアガラス6が摺動,当接する部分全体に亘って設定されている。
【0024】
また、前記グラスラン8の傾斜部14の頂面8cには、後述するストッパ部11と係合するリブ(凸部)10が設定されている。
【0025】
12はフロントドア1に既設された車体パネルであり、フロントドア1を図外のボディに回動自在に組み付けるドアヒンジの取付部に補強部材として配設されるヒンジレインフォースを示している。
【0026】
このヒンジレインフォース12は前記グラスラン8の前辺部13から傾斜部14の隅部17に設けられており、該ヒンジレインフォース12の前記傾斜部14相当位置には、グラスラン8の前記リブ10と係合するストッパ部11がドアガラス6と車両上下方向でラップするようにグラスラン8側に向けて車幅方向に突設されている。
【0027】
また、前記ヒンジレインフォース12には、フロントドア1に接合するためのフランジ部12a及び、前記グラスラン8の前辺部13から傾斜部14の隅部17に設けられているために前記チャンネル部材7とガイドレール9との連結部12bが曲折成形されており、これらの成形時に、前記ストッパ部11もヒンジレインフォース12の後端部に同時に曲折成形されている。
【0028】
以上の実施形態の構造によれば、グラスラン8の傾斜部14の頂面8cにリブ(凸部)10を設定すると共に、フロントドア1に既設された車体パネルであり、ドアヒンジ取付部に配設されるヒンジレインフォース12の前記傾斜部14相当位置に、前記グラスラン8の前記リブ10と係合するストッパ部11を一体に形成してあるため、前記リブ10とストッパ部11とによって、ドアガラス6の上昇時(閉作動時)の全閉間際等、ドアガラス6がグラスラン8の底面に付き当てられて、前記グラスラン8に車両斜め上後方に向けて大きな力が加わったとしてもグラスラン8を所定の取付位置に規制することができ、グラスラン8によるドアガラス6の正常な保持状態を確保すると共に、外観に影響を与えずに見映えを向上することができる。
【0029】
しかも、前記リブ10と係合するストッパ部11を、ヒンジレインフォース12の前記傾斜部14相当位置に一体に形成してあるため、部品点数が増えることがないので、組み付け工数やコストを増やすことなく、ドアガラス6の昇降によるグラスラン8のずれを確実に防止することができる。
【0030】
さらに、特にこの実施形態によれば、これらの効果に加えて、前記ストッパ部11は、前記ヒンジレインフォース12の一部を曲折成形することによって、ドアガラス6と車両上下方向にラップするようにグラスラン8側に向けて車幅方向に突設されているため、ヒンジレインフォース12の成形時に前記ストッパ部11も一緒に形成することができるので、製造コストの増加を最小限に抑えることができる。また、ドアガラス6と車両上下方向にラップするようにグラスラン8側に向けて突設してあることにより、ドアガラス6からグラスラン8に車両斜め上後方に向けて大きな力が加わったとしても、その入力点からの作用線上にストッパ部11を設定してあるのでグラスラン8にねじれが働くことなく、確実に所定の取付位置に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を示す斜視図。
【図2】図1のA矢視説明図。
【図3】車両のフロントドアを示す側面図。
【図4】グラスランの一般部を示す断面図。
【符号の説明】
1 フロントドア(ドア)
6 ドアガラス
8 グラスラン
10 リブ(凸部)
11 ストッパ部
12 ヒンジレインフォース
14 傾斜部
Claims (2)
- 車両後方に向けて傾斜する傾斜部を有するドアのウインドウ開口にドアガラスを昇降可能に配設し、前記ウインドウ開口に沿ってグラスランを取り付けた構造であって、
前記グラスランの傾斜部の頂面に凸部を設定すると共に、
ドアに既設された車体パネルの前記傾斜部相当位置に、前記グラスランの前記凸部と係合するストッパ部を一体に形成し、
前記ストッパ部は、前記既設された車体パネルの一部を曲折成形することによって、ドアガラスとラップするようにグラスラン側に向けて車幅方向に突設されていることを特徴とする車両用ドアのグラスラン取付構造。 - 前記既設された車体パネルが、ドアヒンジ取付部に配設されるヒンジレインフォースであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアのグラスラン取付構造。
Priority Applications (1)
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JP2001171075A JP3882534B2 (ja) | 2001-06-06 | 2001-06-06 | 車両用ドアのグラスラン取付構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001171075A JP3882534B2 (ja) | 2001-06-06 | 2001-06-06 | 車両用ドアのグラスラン取付構造 |
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-
2001
- 2001-06-06 JP JP2001171075A patent/JP3882534B2/ja not_active Expired - Lifetime
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