JP3882057B2 - 浄水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水を浄化しさらには整水作用も有した水道導路中に介在させて用いる浄水装置に関し、詳しくは水道メーターより屋内に入った直後の元の部分の水道管に取り付けても使用できる比較的大透過容量の浄水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来市販されている家庭用浄水器としては、水道の蛇口に取りつける直付け型、蛇口部分に取り付ける直結置型、流し台の下に取り付けるアンダーシンク型の3種類が代表的なものとして知られている。そして、これらの浄水器では濾過材として主として活性炭が用いられている。活性炭以外にも、中空糸膜を用いたものがあり、また両者を併用したものもある。なお、これらの浄水器や濾過材は水道水の混入物を除去するが、水の性質を整える作用は無い。
【0003】
そして、濾過材にひろく使用されている銀イオン添着活性炭は、細菌や濁り等の不純物の吸着除去を行う能力は有しているが、水のイオンを増大させて水を活性化する等のいわば一種の触媒的な作用は特には持たないものである。また、中空糸膜層を含むものでは透過量が少なく出水量が僅かであるため蛇口等の利用末端毎に一つずつ取り付ける必要がある。そして、湯沸かし器等に取り付ける配慮はされていないため、浄化したお湯を湯沸かし器から直接利用することはできないのが現状である。
【0004】
なお、水質を整える作用(以下では、整水作用と記す)を有するものとして金属粒体等の濾過材があるが、これは迅速に機能せず僅かな接触時間では殆ど効果が得られないという問題や、初期性能は高いがこれを維持できず直ぐに飽和状態になるため煩雑に取り替える必要があるという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従前の浄水装置の実状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、整水能力も備えていて、同時に処理水量が多く、一つの浄水装置にてもこれを経由した多くの蛇口から何時でも浄化・整水された水が得られ、しかも長期間性能低下も無く使用できる浄水装置を新規に提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の浄水装置は、内部空間を有して密閉された外囲容器(1)と、この外囲容器(1)内壁に固着されて外囲容器の内部空間を上流空間部(1A)と下流空間部(1B)の2つの部分へと1以上の連通孔(2,2)を残して遮断する隔壁(3)と、周壁略一定厚の筒状で中央中空部(16)を前記連通孔(2,2)に連通させた濾過層(30′)を有し、前記連通孔(2,2)に連結されて上流空間部(1A)または下流空間部(1B)に配置された濾過器(30)と、被加圧水流源に接続されて被加圧水(Wu)を前記上流空間部(1A)に導入する導水ノズル(1C)と、前記下流空間部(1B)に連通する出水ノズル(1D)とを含み構成され、前記濾過層(30′)が、一定周壁厚円筒形状の活性炭濾過材でなる第1濾過層(15)と、この第1濾過層(15)の内周または外周に同軸状に配された一定周壁厚円筒形状の第2濾過層(20)との二層で成り、前記第2濾過層(20)は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、およびスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミック濾過材で構成されている。
【0007】
本発明の第2濾過層(20)に使用される機能性セラミック濾過材は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガンを含む化合物をそれぞれ粉状体にして、これらを硫酸水溶液に浸した後、苛性ソーダ水溶液に浸して中和し、更に乾燥した各粉状体を所定温度で所定時間焼成した後、焼成され得られた粉状体にイットリウム成分、およびジルコニウム成分、およびスカンジウム成分を混入させ、所定の圧力にて所定時間加圧して得ることができる。
【0008】
更に、機能性セラミック濾過材は、上記のセラミックスを粉体にして、多孔質性陶土質鉱物と混合し、混練りして、所定の形状に成形して、乾燥、焼結を行って得た多孔質セラミックスであってもよく、あるいは、上記のセラミックスを粉体にして、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンと混合して、所定の形状に固化させたセラミックス樹脂固形体であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
〔実施例〕
以下、本発明の浄水装置について実施例を挙げて説明する。図1の各図は、本発明の浄水装置の一実施例を示すもので、図1(a)はその上面図を、図1(b)は一部破断の側断面図を又図(c)は内部の濾過器(30)の概略構成を示す構造図である。
【0010】
図示浄水装置は、水道メータより入った図示しない水道管の元の部分に挿入されて使用される。適宜金具により外囲容器(ハウジング:1)の入水口(1C)と出水口(1D)がそれぞれ水道管に取り付けられる。
【0011】
実施例の浄水装置は外囲容器(1)と、その内部に3つ取り付けられた濾過器(30)とを要部に構成されている。外囲容器(1)は、厚み3mm程度のステンレス板を有底円筒形に形成した内部空間を有してほぼ密閉されたタンクで、この外囲容器(1)内壁には隔壁(3)が固着されて内部空間を図では上方となる上流空間部(1A)と下方の下流空間部(1B)の2つの部分に分けてある。
【0012】
前記該隔壁(3)には、少なくとも1つ(実施例では3個)の円形の連通孔(2)が設けられていて、上記上流空間部(1A)と下流空間部(1B)はこの連通孔(2)を介して連通するのみで完全に遮断されている。そして上流空間部(1A)には外部に開口する所定径の導水ノズル(1C)が設けられており引き込み直後の水道管が接続されて水道水(Wu:被加圧水)が上流空間部(1A)に導入される。
【0013】
前述各連通孔(2)夫々には略円筒形状の濾過器(30)が上流空間部(1A)内部側に位置して垂直に取り付けられている。各濾過器(フィルタ)(30)は内部に一定厚の筒状で中央中空部(16)が前記連通孔(2,2)に連通している濾過層(30′)が収容されている。この濾過層(30′)は図1(c)及び図2の拡大斜視図に示すように、外周側の第1濾過層(15)とその内周に位置する第2濾過層(20)との同軸状に配された2つの円筒形状体で、2層構造となっている。即ち、第1濾過層(15)としての一定周壁厚円筒形状の円筒形状の銀イオン添着活性炭(15)、そして該活性炭(円筒)とポリエチレン製筒(12)との間に充填されて第2濾過層(20)として機能する機能性セラミックス製粒体の濾過材(20)から構成されている。
【0014】
上記の銀イオン添着活性炭を用いた第1濾過層(15)は、まず、細粒ヤシガラ活性炭に銀イオンを添着し繊維状活性炭と混ぜ合わせ、外径90mmで内径22mmの円筒状に形成することにより得ることができる。
【0015】
第1濾過層(活性炭層)の内方に位置する第2濾過層(20)は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、およびスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミック濾過材で構成されている。
【0016】
本実施例では第2濾過層(20)は、ポリエチレン樹脂製の中心部に直径25mmの円形孔(13a)を設けた直径93mmの円環板(13)とこれに対応した円形板(14)を上下に配してあり、一方の中心部にポリエチレン樹脂製の円筒(12)を接着し、その外側に上述銀イオン活性炭(15)を接着し、これにより形成される円筒(12)と外側の銀イオン活性炭(15)間の空隙部に濾過材である粒状にした上記機能性セラミックスを充填した後、残る一枚の円板を蓋として接着し該機能性セラミックス層を封止して第2濾過層(20)を形成している。
【0017】
この様にして製造された円筒形状の濾過層(フィルタ)(30)を適宜の支持体(11)に収めた図1(c)に示す如き濾過体(30)を、処理容量に応じて必要数(実施例では3本)だけ外囲容器(1)の内部に装着してある。
【0018】
外囲容器(1)の下部には、前記下流空間部(1B)に連通し外部に通ずる出水ノズル(1D)が設けられている。該出水ノズル(1D)は水道管に接続され、濾過装置が水道配管路の途中に挿入される。なお、(1e)は外囲容器(1)を支持する脚部である。
【0019】
上記の構成からなる浄水装置にては、ハウジング(1)内へと入口の入水ノズル(1C)から入った水道水(Wu)が先ず濾過層(30′)の銀イオン添着活性炭層(15)を通り、更に機能性セラミックス濾過材の第2濾過層(20)を透過する。そして出口の出水ノズル(1D)から図示しない水道管を通って下流側の複数の蛇口夫々へと供給される。水道水は上述のように銀イオン添着活性炭層(15)を透過する時に水中に含まれる細菌、有機化合物および汚れ等の微細粒子が吸着され、更に内側の第2濾過層(30′)を透過する際に水イオン濃度が増大する等の整水作用を受ける。
【0020】
従って、下流の全ての蛇口より汚れの無い、しかも整水・活性化された水道水(整水)が供給される。勿論、湯沸器にも同じく整水が供給されているから、出てくるお湯も当然に浄化、整水されたものになる。浄化・整水された水は衛生上又健康上好ましく、またこの水を用いることにより、食器乾燥機や洗濯機等の劣化も抑止できる。
【0021】
次に、本発明の機能性セラミックス濾過層についての詳細とその製造過程について説明する。機能性セラミックス濾過層として用いられている濾過材(20)は一般的な濾過作用も有しているが、これに加えて整水機能等を有する機能性セラミックスが混入し固化されているため、濾過材として使用した場合に透過する水道水の水質を整えるという従来の濾過材では見られない作用がある。即ち、機能性セラミックス濾過層を通過した水道水は、水中におけるイオン活動を活発化させる一種の触媒としての能力を有しており透過水のイオン濃度が人体に好ましい影響を与えるまで増大して当該水が活性化される(整水作用)。
【0022】
第2濾過層(20)は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、およびスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミック濾過材でなっており、整水作用をより高めるために有効である。この機能性セラミック濾過材は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガンを含む化合物をそれぞれ粉状体にして、これらを硫酸に浸した後、苛性ソーダに浸して中和し、更に乾燥した各粉状体を所定温度で所定時間焼成した後、焼成され得られた粉状体にイットリウム成分、およびジルコニウム成分、およびスカンジウム成分を混入させ、所定の圧力にて所定時間加圧して得たセラミックスである。
【0023】
機能性セラミック濾過材の製造過程の一例を図3により説明する。先ず、主体となる珪素、さらにアルミニウム、マグネシウム、およびマンガンを含有する鉱物を、10μm程度の粒度に粉砕して粉状体を得る。こうして得た各粉体を、粉体に対し重量比で3倍量の30%濃度硫酸に浸し、抽出液を除去した後、苛性ソーダ水溶液に浸して中和し、中和液を除去して乾燥させる。乾燥した夫々の粉体を所定の割合で混合し、これを所定温度(例えば500°C)にて所定時間焼成して第1焼結体とする。次に、この第1焼結体に、イットリウム成分、スカンジウム成分、ジルコニウム成分を混入させてから加圧処理をする。加圧は、乳鉢にて擂り潰す等でも良いが、効率的に行うには加圧装置を用いて所定の圧力(例えば1500kg/cm2)にて所定時間加圧して第2焼結体とする。
【0024】
上に述べた第2焼結体は粒状であり、この粉体を濾過材として充填して第2濾過層(20)としてもよいが、さらに扱い易い形態にすることができる。すなわち、上記第2焼結体の粉体を、多孔質性陶土質鉱物と混合し、混練りして、所定の形状に成形し、乾燥、焼結を行って得た多孔質セラミックスとする、あるいは、上記第2焼結体の粉体を、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂と混合し、混練りして、所定の形状(例えば直径1mm程度の粒体)にして、固化させてセラミックス樹脂固形体とする。この様な形態にすると工業的に扱い易くまた濾過性能も高まる。この機能性セラミック濾過材は一般的な濾過作用を有しているが、加えて整水機能等を有するので透過する水道水の水質を整えるという従来の濾過材では見られない作用がある。
【0025】
機能性セラミックス濾過材からなる濾過層を通過した水道水は、水中におけるイオン濃度が人体に好ましい影響を与えるまで増大して当該水が活性化される。このことは、透過水の肌触りが良い等により利用者が容易に直接確認することができる。
【0026】
機能性セラミックス濾過材が既述した如く微粒子を吸着する作用は、素材事態が多孔質であることと内部に固着された機能性セラミックスの各成分が互いに共鳴しあって一種の原子物理的な波動作用を呈することに起因すると考えられているが、実証的には充分な再現性で確認されているものの、未だ詳細な解明は達成されておらず研究の途にある。
【0027】
また、機能性セラミックス濾過材が、水を活性化することも実証的には充分な再現性で確認されているが、この理由も上述波動現象に関連するものと考えられている。いずれにしても本発明の浄水装置が、一段と高い浄水性能を持つことは公的機関に委託した評価試験にても実証されている。
【0028】
以上説明したように、機能セラミックス濾過材は、原子物理学的波動性に基づく作用を奏し、該濾過材に近接した物質に対し、波状的に作用を及ぼす。その結果、有益な性質を周りの物質に付加することができる。従って濾過材として使用すれば濾過時に近接・通過する水や空気等の流体に影響を与えてこれらを活性化して水や空気を生活上好ましい状態に整えることができる。
【0029】
本発明の浄化装置は、第1濾過層(15)と第2濾過層(20)を有する2層構造の濾過層を有し、片方に機能セラミックス濾過材を用いることにより、浄水装置は充分な濾過性能と併せて整水作用を持ち、併せて大処理容量であるから、水道配管上流部に挿入して使用することで、下流側の各末端の蛇口や湯沸器から浄化・整水された水をふんだんに使用できる。
【0030】
なお、既述した機能セラミックス濾過材は、水道水以外の流体に用いて同様の濾過作用・活性化作用を発揮するもので、空気用のエアフィルタを形成する場合等に用いて有益な効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したとおり本発明の浄水装置は既述した構成に基づき、透過する水道水を浄化・整水するので、従って、下流側の複数の蛇口や湯沸器にて良質の水をふんだんに使用できるという実用的効果が得られる。また機能セラミックス濾過材を用いることにより透過する水道水等の流体を浄化するとともに該流体を活性化し整水とする作用があり、上質の水を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄水装置の一実施例を示す上面図(a)、同じく一部破断の側断面図(b)、および同装置内部の濾過器(30)の概略構成を示す構造図(c)である。
【図2】 本発明に係る、濾過層(30′)の拡大斜視図である。
【図3】 機能セラミックス濾過材の製造過程の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
(1) 外囲容器、
(1A) 上流空間部、
(1B) 下流空間部、
(1C) 導水ノズル、
(1D) 出水ノズル、
(2,2) 連通孔、
(3) 隔壁、
(16) 中央中空部、
(15) 第1濾過層、
(20) 第2濾過層、
(20a,20b,20c,20d) 機能セラミックス濾過材、
(20′) 樹脂粒状体、
(30) 濾過器、
(30′) 濾過層、
(Wu) 被加圧水。
Claims (4)
- 内部空間を有して密閉された外囲容器(1)と、この外囲容器(1)内壁に固着されて外囲容器の内部空間を上流空間部(1A)と下流空間部(1B)の2つの部分へと1以上の連通孔(2,2)を残して遮断する隔壁(3)と、周壁略一定厚の筒状で中央中空部(16)を前記連通孔(2,2)に連通させた濾過層(30′)を有し、前記連通孔(2,2)に連結されて上流空間部(1A)または下流空間部(1B)に配置された濾過器(30)と、被加圧水流源に接続されて被加圧水(Wu)を前記上流空間部(1A)に導入する導水ノズル(1C)と、前記下流空間部(1B)に連通する出水ノズル(1D)とを含み構成され、前記濾過層(30′)が、一定周壁厚円筒形状の活性炭濾過材でなる第1濾過層(15)と、この第1濾過層(15)の内周または外周に同軸状に配された一定周壁厚円筒形状の第2濾過層(20)との二層で成り、前記第2濾過層(20)は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、およびスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミック濾過材で構成されていることを特徴とする浄水装置。
- 前記機能性セラミック濾過材は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガンを含む化合物をそれぞれ粉状体にして、これらを硫酸水溶液に浸した後、苛性ソーダ水溶液に浸して中和し、更に乾燥した各粉状体を所定温度で所定時間焼成した後、焼成され得られた粉状体にイットリウム成分、およびジルコニウム成分、およびスカンジウム成分を混入させ、所定の圧力にて所定時間加圧して得たセラミックスであることを特徴とする請求項1記載の浄水装置。
- 前記機能性セラミック濾過材は、請求項2に記載のセラミックスを粉体にして、多孔質性陶土質鉱物と混合し、混練りして、所定の形状に成形して、乾燥、焼結を行って得た多孔質セラミックスであることを特徴とする請求項1記載の浄水装置。
- 前記機能性セラミック濾過材は、請求項2に記載のセラミックスを粉体にして、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンと混合して、所定の形状に固化させたセラミックス樹脂固形体であることを特徴とする請求項1記載の浄水装置。
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