JP2003024723A - 珪酸チタニウムを含む浄水器用濾材及びこれを用いた浄水器 - Google Patents

珪酸チタニウムを含む浄水器用濾材及びこれを用いた浄水器

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直也 官野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解している重金属イオン等を高性能に除去
できる浄水器を提供すること 【解決手段】 濾材として珪酸チタニウムを含む浄水器
は、溶解イオン性有害物質、特に鉛を効率的に除去でき
る。また、珪酸チタニウムの比表面積を100m /g
以上とすると、鉛等の除去性能をより高くすることがで
き、直結型のような小型の浄水器であっても、十分な除
去性能を長期間にわたって達成することが可能となる。
さらに、濾材として珪酸チタニウムと活性炭及び多孔質
中空糸膜を併用すると、より多様な物質を除去できるこ
とに加え、更に効率的に鉛等を除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は安全でおいしい水を
得るための浄水器用濾材及びこれを用いた浄水器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】水道水中に含まれる残留塩素を除くこと
を主目的とした活性炭浄水器が従来使用されて来たが、
長時間使用しなかった場合に活性炭に雑菌が発生するこ
とから、活性炭に銀を添着して抗菌性をもたせる方法
や、多孔質中空糸膜等の膜を組み合わせて菌を除去する
方法が知られている。
【0003】また、実開平3−7989号公報には、活
性炭収納ユニット、分離濾過膜収納ユニットに更にイオ
ン交換樹脂収納ユニットを組み合わせたカセット式浄水
器が提案されている。活性炭を使用すれば、その使用
量、性能にもよるが、トリハロメタン、農薬等の微量溶
解している危険性のある有機物を除去することは可能で
ある。また、イオン交換樹脂を使用すれば、原水中に溶
解しているイオン性物質を取り除くことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イオン
交換樹脂それ自体は不溶解性であっても、その製造過程
においての不純物や未反応物が樹脂表面に残っている場
合があり、それらが溶出した場合には精密濾過膜では除
去できず、濾過水に混入してしまう結果、濾過水に異臭
や異味が生じる可能性がある。また、イオン交換樹脂の
イオン除去性能は十分とは言えず、すぐ飽和して除去性
能が低下することから、頻繁に濾材を交換する必要があ
る。
【0005】特開平10−277537号公報には、重
金属等のイオン除去性能がより高い濾材として、アルミ
ノケイ酸塩と弱酸性イオン交換樹脂を併用した浄水器が
提案されている。本発明は、前記濾材よりも高い重金属
イオン等の除去性能を持つ浄水器用濾材を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨
は、濾材として珪酸チタニウムを含む浄水器用濾材、で
ある。また、前記濾材が活性炭及び中空糸膜を含むと、
より高度に水の浄化ができるため好ましい。前記珪酸チ
タニウムが前記活性炭に添着されていること、前記珪酸
チタニウムが成型活性炭中に混合されていること、前記
珪酸チタニウムが繊維状活性炭中に混合されていること
が、高性能な浄水器を簡便に形成できるため好ましい。
前記珪酸チタニウムの比表面積が、100m/g以上
であると、浄水器を高性能かつコンパクトにできるため
好ましい。また、本発明の浄水器が蛇口に直接接続され
るものであると、場所を取らず高性能な浄水器とするこ
とができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる珪酸チタニウム
は、NaO、SiO、TiOなどを主成分とする
多孔質性無機酸化物である。珪酸チタニウムは、水中に
含まれている砒素なども除去することが可能であるが、
中でも鉛に対し高い除去性能を示す。
【0008】図3は珪酸チタニウム(比表面積250m
/g)、天然ゼオライト(比表面積10.6m
g)、骨炭(比表面積9.7m/g)の鉛吸着性能を
比較した試験結果である。なお、試験条件は名古屋市水
(20℃)に、鉛濃度として100ppmになるように
硝酸鉛を溶解させた後、各吸着材50mgを投入し、24
時間振とうした後に鉛吸着量を求めたものである。図3
に示すように、珪酸チタニウムは他の吸着剤と比較して
高い性能を示す。このときの珪酸チタニウムの比表面積
は具体的には100m/g以上であることが好まし
い。
【0009】多孔質中空糸膜を使用する場合は、菌の逆
汚染を考慮すると、濾過の最終段に存在していることが
望ましい。多孔質中空糸膜の代わりに平膜、チューブラ
ー膜を用いることもできるが、充分な濾過膜面積を確保
するためには、多孔質中空糸膜が好ましい。この多孔質
中空糸膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン系、ポリスルフォン系等の多孔質中空糸
膜が挙げられる。これらの多孔質中空糸膜は、通水性能
を向上するために親水化されていることが好ましい。ま
た、孔径は雑菌等の微小物質が除去できれば特に限定さ
れるものではない。
【0010】活性炭を使用する場合は、残留塩素を分解
する能力、トリハロメタンや農薬等の有害物を吸着する
能力を持っていれば特に限定されるものではなく、形態
的には粉末状、粒状、繊維状、成形炭等の活性炭が使用
できる。原料的にも特に限定されるものではなくヤシガ
ラ活性炭、骨炭、木炭系のもの等の天然物系活性炭、ピ
ッチ系、石油コークス系等の合成活性炭等が使用でき
る。賦活方法についても特に限定されず、水蒸気賦活、
化学的賦活等の賦活法が用いられる。
【0011】通水する水の活性炭内の通過速度が大きい
場合、嵩密度の大きいものが好ましく、水道水圧との関
連から圧力損失は小さいものが好ましい。吸着物質は比
較的分子量の小さいものが多く、コスト面を含めると水
蒸気賦活した粒状ヤシガラ活性炭が最も好ましい。
【0012】活性炭は、抗菌性を付与するために銀等の
重金属を添着したものでも構わないが、余り大量の重金
属が溶出するものは好ましくない。抗菌性を付与したも
のは比較的好ましく用いられる。
【0013】珪酸チタニウム、活性炭を併用する際は、
別々の層として用いても構わない。その場合順序は特に
限定されない。あるいは両者を混合して用いても構わな
い。混合する場合は、出来るだけ均一に分散することが
好ましい。
【0014】また、珪酸チタニウムを活性炭に添着して
使用することもできる。この場合、添着する量として
は、活性炭の重量に対し珪酸チタニウムの重量が50%
以下となるようにすると、活性炭に対し均一な添着がで
きるため好ましい。また、珪酸チタニウムを添着した活
性炭と通常の粒状活性炭を任意の比率で混合して使用す
ることも可能である。
【0015】粒状の珪酸チタニウムと粒状の活性炭を混
合する場合、両者の比重差に起因して分散均一性が損な
われる可能性があるが、珪酸チタニウムを成型活性炭中
に混合して使用すると均一に分散でき、珪酸チタニウム
の鉛除去能力を最大限発揮できるため好ましい。この際
珪酸チタニウムの量は、活性炭の重量に対し珪酸チタニ
ウムが40%以下となるようにすると、成型活性炭中へ
の均一分散が容易であるため好ましい。また、活性炭の
重量に対する珪酸チタニウム重量は、5%〜30%の範
囲が鉛除去性能と混合加工容易性の両立を考慮するとよ
り好ましい。
【0016】成型活性炭の代わりに繊維状活性炭に珪酸
チタニウムを混合して使用することも可能である。この
場合、珪酸チタニウムの量は、成型活性炭に混合する場
合と同様に、活性炭の重量に対し珪酸チタニウムが40
%以下となるようにすると、繊維中への珪酸チタニウム
分散が均一化するため好ましい。また、活性炭の重量に
対する珪酸チタニウム重量は、5%〜30%の範囲が鉛
除去性能と混合加工容易性の両立を考慮するとより好ま
しい。
【0017】珪酸チタニウム、活性炭及び多孔質中空糸
膜は一つの容器内に収められていても、複数個の容器に
収められこれらを組み合わせた形のものでも構わない。
また、上記の組み合わせに更に一次フィルターやセラミ
ックス、天然石等を併用しても構わない。
【0018】図1は、本発明の浄水器の一実施形態を示
す断面図である。図1の浄水器において、原水は流入口
5を通り、一次フィルター4で粗ごみが除去された後、
珪酸チタニウム1によって鉛等が除去される。ついで活
性炭2によって残留塩素、有機物等が分解或いは吸着に
より除去される。そして、膜モジュールケース8内に配
された多孔質中空糸膜3により、鉄錆、菌等の微細な固
形物が除去され、浄水として吐水口6より放出される。
この例では、珪酸チタニウム1、活性炭2及び多孔質中
空糸膜3を一つの容器7に収めているが、先にも述べた
ように複数個の容器に収めたものでも構わない。
【0019】図2は、本発明の浄水器の別の実施形態を
示す断面図で、具体的には蛇口に直接接続された浄水器
の一例を示すものである。図2中、浄水カートリッジ2
0は、円筒ケース21、珪酸チタニウムを27重量%添
着した活性炭22a、中空糸膜22b、ハウジング2
3、Oリング24、浄水流入口25、浄水吐水口26、
濾過材保持板27a、27bから構成される。活性炭2
2aと中空糸膜22bは円筒ケース21に収納されてお
り、円筒ケース21はOリング24によりハウジング2
3に水封固定されている。
【0020】図2中、原水は原水流入口25より浄水カ
ートリッジ20内に流入し、ハウジング23と円筒ケー
ス21の間隙を通って円筒ケース21の内部に入り、珪
酸チタニウムを添着した活性炭22a、中空糸膜22b
を順次通過して浄化され、浄水吐水口26より吐水され
る。ここで、珪酸チタニウムを添着した活性炭22a
は、例えば骨炭を添着した活性炭に比較して同程度の添
着重量であれば、鉛除去性能を大幅に向上させることが
可能であり、また同程度の鉛除去性能を実現する場合に
は、添着重量を大幅に低減することができる。
【0021】以下、実施例を基に本発明を具体的に説明
する。 <実施例1>図1に示す構造の浄水器を、以下のように
作成した。モジュールケース8に親水化を施したポリエ
チレン製多孔質中空糸膜3を収納、その端部を二液混合
型のポリウレタン樹脂で固定し、切断、中空糸膜の片端
を開口状態を保った。このモジュールを外容器7に接着
固定した。モジュールケースと外容器の間にポリエステ
ル製の不織布からなる一次フィルター4を設置し、珪酸
チタニウム1を80g充填した。珪酸チタニウムと活性
炭が混入しないように250メッシュのナイロンメッシ
ュを貼付した樹脂枠を挿入した。該樹脂枠と同様に作製
した樹脂枠10を活性炭が多孔質中空糸膜槽に入らない
ようにモジュールケース8内にも挿入した。その後活性
炭2を300g充填し底蓋11を溶着して浄水器とし
た。
【0022】珪酸チタニウム1は、エンゲルハード製で
パウダー状の市販品を使用した。また活性炭も、市販品
のクラレケミカル社製クラレコールT−SB48/10
0THMを用いた。なお、珪酸チタニウム1,活性炭
共、水道用具溶出試験法JIS3200−7に記載され
た判断基準(末端給水用具)に適合することを確認し、
濾材としての安全,衛生面を充分評価の上使用した。
【0023】こうして得た浄水器の試験結果を以下に示
した。なお、試験に際して、通水速度を4L/minと
した。 (1)残留塩素除去能力 2.0±0.2ppmの残留塩素を含有する水を通水
し、流出水の残留塩素濃度を測定した。なお、残留塩素
濃度はDPD法により測定した。10m通水時の流出
水の残留塩素濃度は0.01ppm以下であった。
【0024】(2)除菌能力 Pseudomonas diminuta IFO 1
4213を1.7×107個/ml含む水を6リットル
通水したが、流出水の菌数は0個/mlであった。
【0025】(3)鉛除去能力 鉛濃度として50ppbに調製した硝酸鉛水溶液を通水
した。8m通水時の流出水の鉛濃度は10ppb以下
であった。
【0026】(4)トリハロメタン除去能力 クロロホルムを50ppbに調製した溶液を通水した。
10m通水時の流出水のクロロホルム濃度は10pp
b以下であった。
【0027】<実施例2>図2に示す構造の浄水器に、
濾材としてエンゲルハード製珪酸チタニウム17gを市
販品の活性炭であるクラレケミカル社製クラレコールT
−SB48/100THM62gに添着して使用した。
なお、珪酸チタニウムと活性炭は、実施例1に記した通
り、水道用具溶出試験法JIS3200−7に記載され
た判断基準(末端給水用具)に適合することを確認し、
濾材としての安全,衛生面を充分評価の上使用してい
る。
【0028】こうして得た浄水器の試験結果を以下に示
した。なお、試験に際して、通水速度を2.5L/mi
nとした。 (1)残留塩素除去能力 2.0±0.2ppmの残留塩素を含有する水を通水
し、流出水の残留塩素濃度を測定した。なお、残留塩素
濃度はDPD法により測定した。4m通水時の流出水
の残留塩素濃度は0.01ppm以下であった。
【0029】(2)除菌能力 Pseudomonas diminuta IFO 1
4213を1.7×107個/ml含む水を6リットル
通水したが、流出水の菌数は0個/mlであった。
【0030】(3)鉛除去能力 鉛濃度として50ppbに調製した硝酸鉛水溶液を通水
した。4m通水時の流出水の鉛濃度は10ppb以下
であった。
【0031】(4)トリハロメタン除去能力 クロロホルムを50ppbに調製した溶液を通水した。
4m通水時の流出水のクロロホルム濃度は10ppb
以下であった。
【発明の効果】本発明の浄水器は、珪酸チタニウムを濾
材に使用しているため、溶解イオン性有害物質、特に鉛
を効率的に除去できる。また、珪酸チタニウムの比表面
積を100m/g以上とすると、鉛等の除去性能をよ
り高くすることができ、直結型のような小型の浄水器で
あっても、十分な除去性能を長期間にわたって達成する
ことが可能となる。さらに、濾材として珪酸チタニウム
と活性炭及び多孔質中空糸膜を併用すると、より多様な
物質を除去できることに加え、更に効率的に鉛等を除去
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄水器の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の浄水器の別の一例を示す断面図であ
る。
【図3】濾材の鉛吸着試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 珪酸チタニウム 2 活性炭 3 多孔質中空糸膜 4 一次フィルター 5 流入口 6 吐水口 7 容器 8 膜モジュールケース 9 樹脂枠 10 樹脂枠 11 底蓋 20 浄水カートリッジ 21 円筒ケース 22a 活性炭 22b 中空糸膜 23 ハウジング 24 Oリング 25 浄水流入口 26 浄水吐水口 27a 濾過材保持板 27b 濾過材保持板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/10 B01J 20/10 C 20/20 20/20 F 20/28 20/28 Z C02F 1/28 C02F 1/28 G R 1/44 1/44 B (72)発明者 立川 敬史 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA02 HA01 KA01 KB12 KB14 MA01 MC22 MC23 MC62 PA01 PB06 PB24 PC51 4D019 AA03 BA03 BA13 BB03 BB08 BB13 BB18 BC05 BC06 BC13 BD01 CB01 CB02 CB03 CB04 4D024 AA02 AB04 AB07 AB11 AB16 AB17 BA02 BA14 BB01 BB02 BB05 BB07 BC01 CA11 CA13 DB03 DB05 4G066 AA05B AA13B AA22B AA23B BA16 BA26 CA01 CA31 CA33 CA46 DA07 FA25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸チタニウムを含む浄水器用濾材。
  2. 【請求項2】 前記濾材が活性炭及び中空糸膜を含む請
    求項1記載の浄水器用濾材。
  3. 【請求項3】 前記珪酸チタニウムが活性炭に添着され
    ている請求項1又は2記載の浄水器用濾材。
  4. 【請求項4】 前記珪酸チタニウムが成型活性炭中に混
    合されている請求項1又は2記載の浄水器用濾材。
  5. 【請求項5】 前記珪酸チタニウムが繊維状活性炭中に
    混合されている請求項1又は2記載の浄水器用濾材。
  6. 【請求項6】 前記珪酸チタニウムの比表面積が100
    /g以上である請求項1〜5いずれかに記載の浄水
    器用濾材。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれかに記載の濾材を用
    いた浄水器。
  8. 【請求項8】 浄水器が蛇口に直接接続される請求項7
    記載の浄水器。
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