JP3881432B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7ないし図10を参照して従来技術によるスクロール式流体機械を空気圧縮機として用いた場合を例に挙げて述べる。
【0003】
図において、1はスクロール式空気圧縮機の本体を構成するケーシングで、該ケーシング1は、軸受部1Aと、該軸受部1Aの一端側に一体形成されたフランジ部1Bと、該フランジ部1Bの外周側に一体形成された筒部1Cとから大略構成されている。また、フランジ部1Bには環状の支持板2が一体に設けられ、該支持板2は後述する旋回スクロール6側からのスラスト荷重を後述の各球体15を介して受承するものである。
【0004】
3はケーシング1の筒部1Cに一体に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール3は中心が駆動軸4の軸線O1 −O1 と一致するように配設された略円板状の鏡板3Aと、該鏡板3Aの外縁側から突出し、外周側が筒部1Cの開口端側に一体に取付けられた取付フランジ部3Bと、鏡板3Aの表面側から軸方向に立設され、中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となった渦巻状のラップ部3Cとから大略構成されている。
【0005】
4はケーシング1の軸受部1Aに軸受(図示せず)等を介して回転自在に支持された駆動軸で、該駆動軸4の先端側はケーシング1内へと伸長してクランク4Aとなり、該クランク4Aの軸線O2 −O2 は駆動軸4の軸線O1 −O1 に対して所定寸法δ(以下、偏心寸法δという)だけ偏心している。そして、駆動軸4は、ケーシング1外に突出した基端側が駆動源(図示せず)に連結され、駆動源で回転駆動されることにより、クランク4Aを介して旋回スクロール6を旋回運動させる。また、前記クランク4Aの基端側にはバランスウェイト5が固着され、旋回スクロール6の旋回運動に対して駆動軸4全体の回転バランスをとっている。
【0006】
6は固定スクロール3と対向するようにケーシング1内に旋回可能に配設された旋回スクロールを示し、該旋回スクロール6は、円板状に形成された鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面に立設され、該鏡板6Aの中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となった渦巻状のラップ部6Bと、前記鏡板6Aの背面中央に設けられたボス部6Cとから大略構成されている。
【0007】
そして、旋回スクロール6はボス部6Cが旋回軸受7を介して駆動軸4のクランク4Aに回転可能に取付けられている。ここで、旋回スクロール6は、ラップ部6Bが固定スクロール3のラップ部3Cに所定角度だけずらして重なり合うように配設され、該ラップ部3C,6B間に複数の圧縮室8,8,…を形成している。そして、スクロール空気圧縮機の運転時には、固定スクロール3の外周側に設けた吸込口9から外周側の圧縮室8内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール6が旋回運動する間に各圧縮室8内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室8から固定スクロール3の中心に設けた吐出口10を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0008】
11は旋回スクロール6の自転を防止する自転防止機構を示し、該自転防止機構11は図7および図8に示す如く、後述の各継手ガイド12,13および可動プレート14から構成されている。
【0009】
12,12,…はケーシング1の支持板2に一体に設けられた第1の継手ガイドで、該各継手ガイド12は図8に示す如く、Y軸方向に沿って延びた側面が可動プレート14に摺接する各摺動面12Aとなり、可動プレート14がケーシング1に対してY軸方向に相対変位するのを補償し、X軸方向に相対変位するのを規制している。
【0010】
13,13,…は旋回スクロール6に設けられた第2の継手ガイドで、該各継手ガイド13は図9に示す如く、X軸方向に沿って延びた側面が可動プレート14に摺接する各摺動面13Aとなり、旋回スクロール6が可動プレート14に対してX軸方向へと摺動変位するのを補償し、Y軸方向に相対変位するのを規制している。
【0011】
14はケーシング1と旋回スクロール6との間に摺動可能に設けられた可動継手としての可動プレートで、該可動プレート14は図7および図8に示す如く、樹脂材料または金属板等から略正方形の平板状に形成され、その中央部には旋回スクロール6のボス部6Cが貫通する逃がし穴14Aが穿設されている。また、可動プレート14の4隅には、厚さ(軸)方向に延びる各貫通穴14Bが形成され、該各貫通穴14B内には各球体15が挿入されている。
【0012】
さらに、可動プレート14は、X軸方向で対向した側面が各継手ガイド12に摺接する各摺動面14Cとなり、Y軸方向で対向した側面が各継手ガイド13に摺接する他の各摺動面14Dとなっている。そして、可動プレート14は各継手ガイド12によりケーシング1に対してY軸方向にガイドされると共に、各継手ガイド13により旋回スクロール6に対してX軸方向にガイドされる。
【0013】
15,15,…は可動プレート14の各貫通穴14B内に挿入された球体で、該各球体15は、ケーシング1の支持板2および旋回スクロール6の鏡板6Aに対して転動可能に接触し、可動プレート14が支持板2および鏡板6Aに対して直接摺動接触するのを防止すると共に、旋回スクロール6からのスラスト荷重を支持板2を介して受承している。
【0014】
従来技術によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、駆動軸4を駆動源によって図7、図8中の矢示A方向に回転駆動すると、この回転がクランク4Aを介して旋回スクロール6に伝達される。これにより、旋回スクロール6は固定スクロール3に対して旋回運動し、吸込口9から吸込んだ空気を各圧縮室8内で圧縮し、吐出口10から外部に吐出する。
【0015】
そして、このように旋回スクロール6が旋回運動するときには、各継手ガイド12,13および可動プレート14からなる自転防止機構11によって旋回スクロール6の自転が防止され、該旋回スクロール6は駆動軸4を中心として偏心寸法δの旋回半径をもった円運動が与えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各従来技術によるスクロール式流体機械では、圧縮運転時に可動プレート14を各継手ガイド12,13によりそれぞれX,Y軸方向に摺動変位(ガイド)させる構成としているため、圧縮運転を繰返すうちに各継手ガイド12,13の摺動面12A,13Aと可動プレート14の摺動面14C,14Dとの間には、図8、図9中に一点鎖線で示す如く徐々に摩耗が進行して隙間が生じ易くなる。なお、このような隙間はこれら各継手ガイド12,13および可動プレート14の加工誤差等に起因して形成される場合もある。
【0017】
そして、これらの摺動面12A,13A,14C,14D間に生じる隙間が大きくなってくると、前記旋回スクロール6からの矢示A方向に向けた自転トルクによる負荷が可動プレート14に作用することにより、該可動プレート14は、図8中に一点鎖線で示す如く各継手ガイド12に接触するまで矢示A方向に傾くことになる。
【0018】
さらに、可動プレート14が傾くことにより、旋回スクロール6側の各継手ガイド13全体も図9中に一点鎖線で示す如く、可動プレート14の傾きに応じて矢示A方向に傾くようになる。これにより、継手ガイド13と一体となった旋回スクロール6は、図10中に実線で示す組付位置から矢示A方向に角度θ1 分だけケーシング1に対して回転移動するようになる。
【0019】
ここで、可動プレート14が摩耗するに従って旋回スクロール6が回転する角度θ1 は下記数1によって求められる。
【0020】
【数1】
θ1 :旋回スクロール6の回転角
L:可動プレートの対角線距離
α:可動プレート14の各継手ガイド12側での摩耗量
β:可動プレート14の各継手ガイド13側での摩耗量
【0021】
この結果、旋回スクロール6のラップ部6Bは図10中に一点鎖線で示すように固定スクロール3のラップ部3Cに対して強く押付けられるように接触(干渉)してしまう場合が生じる。そして、このようにラップ部3C,6Bが互いに干渉した状態で運転を圧縮運転を継続すると、ラップ部3C,6Bが早期に摩耗してしまい、装置の寿命等が短くなるばかりでなく、信頼性等を著しく低下させるという問題がある。
【0022】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は可動継手が継手ガイドとの間で摩耗した場合でも、固定スクロールと旋回スクロールの各ラップ部が互いに強く接触するのを防止でき、長期に亘って旋回スクロールの旋回動作を安定させることができると共に、耐久性や寿命を確実に向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、ケーシングと、該ケーシングに一体的に設けられた固定スクロールと、基端側が前記ケーシングに回転可能に支持され先端側がクランクとなった駆動軸と、該駆動軸のクランクに旋回可能に設けられ前記固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロールの自転運動を防止する自転防止機構とからなるスクロール式流体機械を採用している。
【0024】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、記載前記自転防止機構を、前記ケーシング側に設けられる第1の継手ガイドと、前記旋回スクロールの背面側に設けられる第2の継手ガイドと、該第1,第2の継手ガイド間に摺動可能に配設され該第1,第2の継手ガイドにより互いに異なる方向にガイドされる可動継手とから構成し、該可動継手は、前記第1,第2の継手ガイドに摺接する摺動面のうち、少なくとも一方の摺動面を前記駆動軸の回転方向とは反対側に傾斜する傾斜面として形成し、前記第1,第2の継手ガイドの各摺動面のうち該傾斜面に摺接する摺動面は、該傾斜面に対応して傾斜させる構成としたことにある。
【0025】
上記構成により、旋回スクロールの組付時には、旋回スクロールを可動継手と各継手ガイドとに設けた傾斜面(摺動面)の傾斜量に比例して、駆動軸の回転方向とは反対側に予めオフセット(回転移動)させることができ、これに伴って、旋回スクロールのラップ部を固定スクロールのラップ部から僅かに離した状態に保持でき、圧縮流体の洩れ等を抑えることができる。
【0026】
そして、圧縮運転を続けるうちに、可動継手と継手ガイドとの摺動面で摩耗が進行し、両者の間に隙間が生じた場合でも、前記傾斜面の傾斜量を適宜に設定することにより、旋回スクロールのラップ部が固定スクロールのラップ部に強く接触するのを長期に亘って防止できる。
【0027】
また、請求項2の発明では、前記可動継手は平行四辺形状をなす可動プレートからなり、該可動プレートの4つの側面のうち互いに対向する少なくとも一方の各側面を前記傾斜面により形成している。
【0028】
これにより、可動プレートを平行四辺形状の平板として形成でき、可動プレートの傾斜面を継手ガイド側の傾斜面に摺接させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0030】
ここで、図1ないし図5は本発明の第1の実施例を示し、本実施例では前述した従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0031】
図中、20は本実施例による自転防止機構を示し、該自転防止機構20は図2および図3に示す如く、第1の継手ガイド21、後述の第2の継手ガイド22および可動プレート23とから従来技術による自転防止機構11とほぼ同様に構成されている。また、各継手ガイド21は従来技術で述べた各継手ガイド12と同様に構成され、ケーシング1の支持板2上にX軸方向およびY軸方向に離間して合計4個設けられている。そして、各継手ガイド21は図2に示すようにY軸方向に沿って延びた側面が可動プレート23に対する摺動面21Aとなっている。
【0032】
22,22,…は旋回スクロール6の背面側に設けられた第2の継手ガイドを示し、該各継手ガイド22は従来技術による各継手ガイド13とほぼ同様に形成され、鏡板6Aの外周側4箇所にそれぞれ配設されている。そして、各継手ガイド22は鏡板6Aの背面からケーシング1のフランジ部1Bに向けて突出し、X軸方向で互いに対向した内側面が可動プレート23に摺接する摺動面22Aとなっている。
【0033】
しかし、該継手ガイド22の各摺動面22Aは図3に示す如く、後述する可動プレート23の各摺動面23Dに対応して、駆動軸4の回転方向(矢示A方向)とは逆向きに斜めに傾斜した傾斜面として形成され、可動プレート23を図3中に示すX′軸方向に向けてガイドする構成となっている。
【0034】
ここで、X′軸はY軸に対して角度θ2 分だけ傾いた位置にあり、少なくとも当該スクロール式空気圧縮機の運転初期段階では、旋回スクロール6が可動プレート23等を介してX′軸とY軸の2軸方向に沿ってガイドされ、自転防止が行われる。
【0035】
23は本実施例による可動継手としての可動プレートを示し、該可動プレート23は従来技術による可動プレート14とほぼ同様に構成され、逃がし穴23A、各貫通穴23Bおよび各摺動面23C,23Dを有している。しかし、可動プレート23は図3および図5に示す如く外形状が平行四辺形状をなした平板体として形成されている。そして、該可動プレート23の各摺動面23C,23Dのうち各継手ガイド22に摺接する各摺動面23Dは、駆動軸4の回転方向(矢示A方向)とは反対側に斜めに傾斜している。
【0036】
ここで、該各摺動面23Dは、図5に示すように角度θ2 分だけ斜めに傾いた傾斜面として形成されている。そして、旋回スクロール6を各継手ガイド22および可動プレート23を介してケーシング1に組付けた状態では、旋回スクロール6は図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置を基準として反時計廻りに前記傾斜角θ2 分だけオフセットされるようになる。
【0037】
24はケーシング1の支持板2側に設けた環状受承板、25は旋回スクロール6の背面側に設けた環状受承板を示し、該環状受承板24,25は図1ないし図3に示す如く各球体15と対向する位置で駆動軸4の周囲を取囲むように配設されている。
【0038】
ここで、環状受承板24,25は、例えば軸受鋼または工具鋼等の硬質な耐摩耗性材料により環状体として形成されている。そして、環状受承板24,25は各球体15をスラスト方向両側から挟み込むようにして互いに対向配置され、旋回スクロール6からのスラスト荷重を各球体15との間で受承する構成になっている。
【0039】
本実施例によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については従来技術によるものと格別差異はない。
【0040】
然るに本実施例では、可動プレート23を略平行四辺形状をなした板状体として形成することにより、各継手ガイド22と可動プレート23との各摺動面22A,23Dを駆動軸4の回転方向とは反対側に傾斜角θ2 をもって傾斜した傾斜面として形成している。
【0041】
これにより、旋回スクロール6を可動プレート23および各継手ガイド21,22を介してケーシング1に組付けることで、旋回スクロール6を図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置から軸心O2 を中心として反時計廻りに前記傾斜角θ2 分だけオフセット(回転移動)させることができる。そして、これに伴って、旋回スクロール6のラップ部6Bを前記傾斜角θ2 に対応した分だけ、固定スクロール3のラップ部3Cから僅かにした状態で保持されるようになる。
【0042】
この結果、圧縮運転を繰返すうちに、例えば可動プレート23の各摺動面23C,23Dは摩耗が生じ、この摩耗の進行に応じて従来技術でも述べたように旋回スクロール6は時計廻りに徐々に回転移動するようになる。しかし、各摺動面23Dは予め傾斜角θ2 をもって形成し、この傾斜角θ2 を従来技術で述べた角度θ1 とほぼ等しく設定しておくことにより、可動プレート23の各摺動面23C,23Dが摩耗した状態でも、ラップ部6Bを図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置へと配置することができる。
【0043】
従って、本実施例によれば、可動プレート23に形成した各摺動面23Dの傾斜角θ2 を摩耗量α,βに合わせて適当な大きさに設定することにより、圧縮運転を繰返し行う場合でも、旋回スクロール6のラップ部6Bが固定スクロール3のラップ部3Cに強く接触するのを長期に亘って防止でき、当該スクロール式空気圧縮機を長期に亘って安定して作動できると共に、装置の寿命、耐久性等が確実に延ばすことができ、信頼性等を向上させることができる。
【0044】
また、可動プレート23を耐摩耗性に優れた材料で形成したり、該可動プレート23の加工精度を特別に高めたりする必要がなくなり、これによって、可動プレート23全体の製作コスト等を確実に低減できる。
【0045】
次に、図6は本発明の第2の実施例を示し、本実施例では、前記第1の実施例で述べた可動プレート23に替えて可動継手としての可動プレート31をケーシング1の支持板2と旋回スクロール6の鏡板6Aとの間に摺動可能に設け、該可動プレート31の各摺動面31C,31Dを全て傾斜面として形成すると共に、可動プレート31に摺接する第1,第2の継手ガイドの摺動面(いずれも図示せず)を該各摺動面31C,31Dに対応して傾斜させる構成としたことにある。
【0046】
ここで、前記可動プレート31は、前記第1の実施例で述べた可動プレート23とほぼ同様に形成され、逃がし穴31A、各貫通穴31Bおよび各摺動面31C,31Dを有している。しかし、該各摺動面31C,31Dは、駆動軸4の回転方向とは反対側に角度(θ2 /2)分だけ斜めに傾いた傾斜面として形成されている点で前記第1の実施例のものとは異なっている。
【0047】
かくして、このように構成される本実施例でも、旋回スクロール6を可動プレート31等を介して固定スクロール3側に組付けることにより、旋回スクロール6全体を従来技術における初期組付け位置を基準として反時計廻りに傾斜角θ2 分だけオフセットさせることができ、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
なお、前記実施例では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明では、第1,第2の継手ガイドに摺接する可動継手の摺動面のうち、少なくとも一方の摺動面を駆動軸の回転方向とは反対側に傾斜する傾斜面として形成し、前記第1,第2の継手ガイドの各摺動面のうち該傾斜面に摺接する摺動面を該傾斜面に対応して傾斜させる構成としたから、圧縮運転を繰返し行う場合でも、可動継手と継手ガイドとの摺動面に生じる摩耗量に応じて、前記傾斜面の傾斜量を適宜に設定することにより、旋回スクロールのラップ部が固定スクロールのラップ部に強く接触するのを長期に亘って防止でき、当該スクロール式空気圧縮機を長期に亘って安定して作動できると共に、装置の寿命、耐久性等を確実に延ばすことができ、信頼性等を向上させることができる。
【0050】
また、請求項2の発明では、前記可動継手を平行四辺形状をなす可動プレートとして形成し、該可動プレートの4つの側面のうち互いに対向する少なくとも一方の各側面を傾斜面により形成したから、可動プレートの全体形状を簡略化でき、該可動プレートの加工時の作業性等を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向断面図である。
【図3】図1中の矢示III −III 方向断面図である。
【図4】図1中の矢示IV−IV方向からみた拡大断面図である。
【図5】図2中の可動プレートを単体で示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例によるスクロール式空気圧縮機の可動プレートを単体で示す断面図である。
【図7】従来技術によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図8】図7中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】図7中の矢示IX−XI方向からみた断面図である。
【図10】図7中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
3 固定スクロール
3C ラップ部
4 駆動軸
4A クランク
6 旋回スクロール
8 圧縮室
20 自転防止機構
21 第1の継手ガイド
21A 摺動面
22 第2の継手ガイド
22A 摺動面
23,31 可動プレート(可動継手)
23C 摺動面
23D,31C,31D 摺動面(傾斜面)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7ないし図10を参照して従来技術によるスクロール式流体機械を空気圧縮機として用いた場合を例に挙げて述べる。
【0003】
図において、1はスクロール式空気圧縮機の本体を構成するケーシングで、該ケーシング1は、軸受部1Aと、該軸受部1Aの一端側に一体形成されたフランジ部1Bと、該フランジ部1Bの外周側に一体形成された筒部1Cとから大略構成されている。また、フランジ部1Bには環状の支持板2が一体に設けられ、該支持板2は後述する旋回スクロール6側からのスラスト荷重を後述の各球体15を介して受承するものである。
【0004】
3はケーシング1の筒部1Cに一体に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール3は中心が駆動軸4の軸線O1 −O1 と一致するように配設された略円板状の鏡板3Aと、該鏡板3Aの外縁側から突出し、外周側が筒部1Cの開口端側に一体に取付けられた取付フランジ部3Bと、鏡板3Aの表面側から軸方向に立設され、中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となった渦巻状のラップ部3Cとから大略構成されている。
【0005】
4はケーシング1の軸受部1Aに軸受(図示せず)等を介して回転自在に支持された駆動軸で、該駆動軸4の先端側はケーシング1内へと伸長してクランク4Aとなり、該クランク4Aの軸線O2 −O2 は駆動軸4の軸線O1 −O1 に対して所定寸法δ(以下、偏心寸法δという)だけ偏心している。そして、駆動軸4は、ケーシング1外に突出した基端側が駆動源(図示せず)に連結され、駆動源で回転駆動されることにより、クランク4Aを介して旋回スクロール6を旋回運動させる。また、前記クランク4Aの基端側にはバランスウェイト5が固着され、旋回スクロール6の旋回運動に対して駆動軸4全体の回転バランスをとっている。
【0006】
6は固定スクロール3と対向するようにケーシング1内に旋回可能に配設された旋回スクロールを示し、該旋回スクロール6は、円板状に形成された鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面に立設され、該鏡板6Aの中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となった渦巻状のラップ部6Bと、前記鏡板6Aの背面中央に設けられたボス部6Cとから大略構成されている。
【0007】
そして、旋回スクロール6はボス部6Cが旋回軸受7を介して駆動軸4のクランク4Aに回転可能に取付けられている。ここで、旋回スクロール6は、ラップ部6Bが固定スクロール3のラップ部3Cに所定角度だけずらして重なり合うように配設され、該ラップ部3C,6B間に複数の圧縮室8,8,…を形成している。そして、スクロール空気圧縮機の運転時には、固定スクロール3の外周側に設けた吸込口9から外周側の圧縮室8内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール6が旋回運動する間に各圧縮室8内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室8から固定スクロール3の中心に設けた吐出口10を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0008】
11は旋回スクロール6の自転を防止する自転防止機構を示し、該自転防止機構11は図7および図8に示す如く、後述の各継手ガイド12,13および可動プレート14から構成されている。
【0009】
12,12,…はケーシング1の支持板2に一体に設けられた第1の継手ガイドで、該各継手ガイド12は図8に示す如く、Y軸方向に沿って延びた側面が可動プレート14に摺接する各摺動面12Aとなり、可動プレート14がケーシング1に対してY軸方向に相対変位するのを補償し、X軸方向に相対変位するのを規制している。
【0010】
13,13,…は旋回スクロール6に設けられた第2の継手ガイドで、該各継手ガイド13は図9に示す如く、X軸方向に沿って延びた側面が可動プレート14に摺接する各摺動面13Aとなり、旋回スクロール6が可動プレート14に対してX軸方向へと摺動変位するのを補償し、Y軸方向に相対変位するのを規制している。
【0011】
14はケーシング1と旋回スクロール6との間に摺動可能に設けられた可動継手としての可動プレートで、該可動プレート14は図7および図8に示す如く、樹脂材料または金属板等から略正方形の平板状に形成され、その中央部には旋回スクロール6のボス部6Cが貫通する逃がし穴14Aが穿設されている。また、可動プレート14の4隅には、厚さ(軸)方向に延びる各貫通穴14Bが形成され、該各貫通穴14B内には各球体15が挿入されている。
【0012】
さらに、可動プレート14は、X軸方向で対向した側面が各継手ガイド12に摺接する各摺動面14Cとなり、Y軸方向で対向した側面が各継手ガイド13に摺接する他の各摺動面14Dとなっている。そして、可動プレート14は各継手ガイド12によりケーシング1に対してY軸方向にガイドされると共に、各継手ガイド13により旋回スクロール6に対してX軸方向にガイドされる。
【0013】
15,15,…は可動プレート14の各貫通穴14B内に挿入された球体で、該各球体15は、ケーシング1の支持板2および旋回スクロール6の鏡板6Aに対して転動可能に接触し、可動プレート14が支持板2および鏡板6Aに対して直接摺動接触するのを防止すると共に、旋回スクロール6からのスラスト荷重を支持板2を介して受承している。
【0014】
従来技術によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、駆動軸4を駆動源によって図7、図8中の矢示A方向に回転駆動すると、この回転がクランク4Aを介して旋回スクロール6に伝達される。これにより、旋回スクロール6は固定スクロール3に対して旋回運動し、吸込口9から吸込んだ空気を各圧縮室8内で圧縮し、吐出口10から外部に吐出する。
【0015】
そして、このように旋回スクロール6が旋回運動するときには、各継手ガイド12,13および可動プレート14からなる自転防止機構11によって旋回スクロール6の自転が防止され、該旋回スクロール6は駆動軸4を中心として偏心寸法δの旋回半径をもった円運動が与えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各従来技術によるスクロール式流体機械では、圧縮運転時に可動プレート14を各継手ガイド12,13によりそれぞれX,Y軸方向に摺動変位(ガイド)させる構成としているため、圧縮運転を繰返すうちに各継手ガイド12,13の摺動面12A,13Aと可動プレート14の摺動面14C,14Dとの間には、図8、図9中に一点鎖線で示す如く徐々に摩耗が進行して隙間が生じ易くなる。なお、このような隙間はこれら各継手ガイド12,13および可動プレート14の加工誤差等に起因して形成される場合もある。
【0017】
そして、これらの摺動面12A,13A,14C,14D間に生じる隙間が大きくなってくると、前記旋回スクロール6からの矢示A方向に向けた自転トルクによる負荷が可動プレート14に作用することにより、該可動プレート14は、図8中に一点鎖線で示す如く各継手ガイド12に接触するまで矢示A方向に傾くことになる。
【0018】
さらに、可動プレート14が傾くことにより、旋回スクロール6側の各継手ガイド13全体も図9中に一点鎖線で示す如く、可動プレート14の傾きに応じて矢示A方向に傾くようになる。これにより、継手ガイド13と一体となった旋回スクロール6は、図10中に実線で示す組付位置から矢示A方向に角度θ1 分だけケーシング1に対して回転移動するようになる。
【0019】
ここで、可動プレート14が摩耗するに従って旋回スクロール6が回転する角度θ1 は下記数1によって求められる。
【0020】
【数1】
θ1 :旋回スクロール6の回転角
L:可動プレートの対角線距離
α:可動プレート14の各継手ガイド12側での摩耗量
β:可動プレート14の各継手ガイド13側での摩耗量
【0021】
この結果、旋回スクロール6のラップ部6Bは図10中に一点鎖線で示すように固定スクロール3のラップ部3Cに対して強く押付けられるように接触(干渉)してしまう場合が生じる。そして、このようにラップ部3C,6Bが互いに干渉した状態で運転を圧縮運転を継続すると、ラップ部3C,6Bが早期に摩耗してしまい、装置の寿命等が短くなるばかりでなく、信頼性等を著しく低下させるという問題がある。
【0022】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は可動継手が継手ガイドとの間で摩耗した場合でも、固定スクロールと旋回スクロールの各ラップ部が互いに強く接触するのを防止でき、長期に亘って旋回スクロールの旋回動作を安定させることができると共に、耐久性や寿命を確実に向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、ケーシングと、該ケーシングに一体的に設けられた固定スクロールと、基端側が前記ケーシングに回転可能に支持され先端側がクランクとなった駆動軸と、該駆動軸のクランクに旋回可能に設けられ前記固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロールの自転運動を防止する自転防止機構とからなるスクロール式流体機械を採用している。
【0024】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、記載前記自転防止機構を、前記ケーシング側に設けられる第1の継手ガイドと、前記旋回スクロールの背面側に設けられる第2の継手ガイドと、該第1,第2の継手ガイド間に摺動可能に配設され該第1,第2の継手ガイドにより互いに異なる方向にガイドされる可動継手とから構成し、該可動継手は、前記第1,第2の継手ガイドに摺接する摺動面のうち、少なくとも一方の摺動面を前記駆動軸の回転方向とは反対側に傾斜する傾斜面として形成し、前記第1,第2の継手ガイドの各摺動面のうち該傾斜面に摺接する摺動面は、該傾斜面に対応して傾斜させる構成としたことにある。
【0025】
上記構成により、旋回スクロールの組付時には、旋回スクロールを可動継手と各継手ガイドとに設けた傾斜面(摺動面)の傾斜量に比例して、駆動軸の回転方向とは反対側に予めオフセット(回転移動)させることができ、これに伴って、旋回スクロールのラップ部を固定スクロールのラップ部から僅かに離した状態に保持でき、圧縮流体の洩れ等を抑えることができる。
【0026】
そして、圧縮運転を続けるうちに、可動継手と継手ガイドとの摺動面で摩耗が進行し、両者の間に隙間が生じた場合でも、前記傾斜面の傾斜量を適宜に設定することにより、旋回スクロールのラップ部が固定スクロールのラップ部に強く接触するのを長期に亘って防止できる。
【0027】
また、請求項2の発明では、前記可動継手は平行四辺形状をなす可動プレートからなり、該可動プレートの4つの側面のうち互いに対向する少なくとも一方の各側面を前記傾斜面により形成している。
【0028】
これにより、可動プレートを平行四辺形状の平板として形成でき、可動プレートの傾斜面を継手ガイド側の傾斜面に摺接させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0030】
ここで、図1ないし図5は本発明の第1の実施例を示し、本実施例では前述した従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0031】
図中、20は本実施例による自転防止機構を示し、該自転防止機構20は図2および図3に示す如く、第1の継手ガイド21、後述の第2の継手ガイド22および可動プレート23とから従来技術による自転防止機構11とほぼ同様に構成されている。また、各継手ガイド21は従来技術で述べた各継手ガイド12と同様に構成され、ケーシング1の支持板2上にX軸方向およびY軸方向に離間して合計4個設けられている。そして、各継手ガイド21は図2に示すようにY軸方向に沿って延びた側面が可動プレート23に対する摺動面21Aとなっている。
【0032】
22,22,…は旋回スクロール6の背面側に設けられた第2の継手ガイドを示し、該各継手ガイド22は従来技術による各継手ガイド13とほぼ同様に形成され、鏡板6Aの外周側4箇所にそれぞれ配設されている。そして、各継手ガイド22は鏡板6Aの背面からケーシング1のフランジ部1Bに向けて突出し、X軸方向で互いに対向した内側面が可動プレート23に摺接する摺動面22Aとなっている。
【0033】
しかし、該継手ガイド22の各摺動面22Aは図3に示す如く、後述する可動プレート23の各摺動面23Dに対応して、駆動軸4の回転方向(矢示A方向)とは逆向きに斜めに傾斜した傾斜面として形成され、可動プレート23を図3中に示すX′軸方向に向けてガイドする構成となっている。
【0034】
ここで、X′軸はY軸に対して角度θ2 分だけ傾いた位置にあり、少なくとも当該スクロール式空気圧縮機の運転初期段階では、旋回スクロール6が可動プレート23等を介してX′軸とY軸の2軸方向に沿ってガイドされ、自転防止が行われる。
【0035】
23は本実施例による可動継手としての可動プレートを示し、該可動プレート23は従来技術による可動プレート14とほぼ同様に構成され、逃がし穴23A、各貫通穴23Bおよび各摺動面23C,23Dを有している。しかし、可動プレート23は図3および図5に示す如く外形状が平行四辺形状をなした平板体として形成されている。そして、該可動プレート23の各摺動面23C,23Dのうち各継手ガイド22に摺接する各摺動面23Dは、駆動軸4の回転方向(矢示A方向)とは反対側に斜めに傾斜している。
【0036】
ここで、該各摺動面23Dは、図5に示すように角度θ2 分だけ斜めに傾いた傾斜面として形成されている。そして、旋回スクロール6を各継手ガイド22および可動プレート23を介してケーシング1に組付けた状態では、旋回スクロール6は図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置を基準として反時計廻りに前記傾斜角θ2 分だけオフセットされるようになる。
【0037】
24はケーシング1の支持板2側に設けた環状受承板、25は旋回スクロール6の背面側に設けた環状受承板を示し、該環状受承板24,25は図1ないし図3に示す如く各球体15と対向する位置で駆動軸4の周囲を取囲むように配設されている。
【0038】
ここで、環状受承板24,25は、例えば軸受鋼または工具鋼等の硬質な耐摩耗性材料により環状体として形成されている。そして、環状受承板24,25は各球体15をスラスト方向両側から挟み込むようにして互いに対向配置され、旋回スクロール6からのスラスト荷重を各球体15との間で受承する構成になっている。
【0039】
本実施例によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については従来技術によるものと格別差異はない。
【0040】
然るに本実施例では、可動プレート23を略平行四辺形状をなした板状体として形成することにより、各継手ガイド22と可動プレート23との各摺動面22A,23Dを駆動軸4の回転方向とは反対側に傾斜角θ2 をもって傾斜した傾斜面として形成している。
【0041】
これにより、旋回スクロール6を可動プレート23および各継手ガイド21,22を介してケーシング1に組付けることで、旋回スクロール6を図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置から軸心O2 を中心として反時計廻りに前記傾斜角θ2 分だけオフセット(回転移動)させることができる。そして、これに伴って、旋回スクロール6のラップ部6Bを前記傾斜角θ2 に対応した分だけ、固定スクロール3のラップ部3Cから僅かにした状態で保持されるようになる。
【0042】
この結果、圧縮運転を繰返すうちに、例えば可動プレート23の各摺動面23C,23Dは摩耗が生じ、この摩耗の進行に応じて従来技術でも述べたように旋回スクロール6は時計廻りに徐々に回転移動するようになる。しかし、各摺動面23Dは予め傾斜角θ2 をもって形成し、この傾斜角θ2 を従来技術で述べた角度θ1 とほぼ等しく設定しておくことにより、可動プレート23の各摺動面23C,23Dが摩耗した状態でも、ラップ部6Bを図4中に一点鎖線で示す従来技術における初期組付け位置へと配置することができる。
【0043】
従って、本実施例によれば、可動プレート23に形成した各摺動面23Dの傾斜角θ2 を摩耗量α,βに合わせて適当な大きさに設定することにより、圧縮運転を繰返し行う場合でも、旋回スクロール6のラップ部6Bが固定スクロール3のラップ部3Cに強く接触するのを長期に亘って防止でき、当該スクロール式空気圧縮機を長期に亘って安定して作動できると共に、装置の寿命、耐久性等が確実に延ばすことができ、信頼性等を向上させることができる。
【0044】
また、可動プレート23を耐摩耗性に優れた材料で形成したり、該可動プレート23の加工精度を特別に高めたりする必要がなくなり、これによって、可動プレート23全体の製作コスト等を確実に低減できる。
【0045】
次に、図6は本発明の第2の実施例を示し、本実施例では、前記第1の実施例で述べた可動プレート23に替えて可動継手としての可動プレート31をケーシング1の支持板2と旋回スクロール6の鏡板6Aとの間に摺動可能に設け、該可動プレート31の各摺動面31C,31Dを全て傾斜面として形成すると共に、可動プレート31に摺接する第1,第2の継手ガイドの摺動面(いずれも図示せず)を該各摺動面31C,31Dに対応して傾斜させる構成としたことにある。
【0046】
ここで、前記可動プレート31は、前記第1の実施例で述べた可動プレート23とほぼ同様に形成され、逃がし穴31A、各貫通穴31Bおよび各摺動面31C,31Dを有している。しかし、該各摺動面31C,31Dは、駆動軸4の回転方向とは反対側に角度(θ2 /2)分だけ斜めに傾いた傾斜面として形成されている点で前記第1の実施例のものとは異なっている。
【0047】
かくして、このように構成される本実施例でも、旋回スクロール6を可動プレート31等を介して固定スクロール3側に組付けることにより、旋回スクロール6全体を従来技術における初期組付け位置を基準として反時計廻りに傾斜角θ2 分だけオフセットさせることができ、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
なお、前記実施例では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明では、第1,第2の継手ガイドに摺接する可動継手の摺動面のうち、少なくとも一方の摺動面を駆動軸の回転方向とは反対側に傾斜する傾斜面として形成し、前記第1,第2の継手ガイドの各摺動面のうち該傾斜面に摺接する摺動面を該傾斜面に対応して傾斜させる構成としたから、圧縮運転を繰返し行う場合でも、可動継手と継手ガイドとの摺動面に生じる摩耗量に応じて、前記傾斜面の傾斜量を適宜に設定することにより、旋回スクロールのラップ部が固定スクロールのラップ部に強く接触するのを長期に亘って防止でき、当該スクロール式空気圧縮機を長期に亘って安定して作動できると共に、装置の寿命、耐久性等を確実に延ばすことができ、信頼性等を向上させることができる。
【0050】
また、請求項2の発明では、前記可動継手を平行四辺形状をなす可動プレートとして形成し、該可動プレートの4つの側面のうち互いに対向する少なくとも一方の各側面を傾斜面により形成したから、可動プレートの全体形状を簡略化でき、該可動プレートの加工時の作業性等を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向断面図である。
【図3】図1中の矢示III −III 方向断面図である。
【図4】図1中の矢示IV−IV方向からみた拡大断面図である。
【図5】図2中の可動プレートを単体で示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例によるスクロール式空気圧縮機の可動プレートを単体で示す断面図である。
【図7】従来技術によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図8】図7中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。
【図9】図7中の矢示IX−XI方向からみた断面図である。
【図10】図7中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
3 固定スクロール
3C ラップ部
4 駆動軸
4A クランク
6 旋回スクロール
8 圧縮室
20 自転防止機構
21 第1の継手ガイド
21A 摺動面
22 第2の継手ガイド
22A 摺動面
23,31 可動プレート(可動継手)
23C 摺動面
23D,31C,31D 摺動面(傾斜面)
Claims (2)
- ケーシングと、該ケーシングに一体的に設けられた固定スクロールと、基端側が前記ケーシングに回転可能に支持され先端側がクランクとなった駆動軸と、該駆動軸のクランクに旋回可能に設けられ前記固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロールの自転運動を防止する自転防止機構とからなるスクロール式流体機械において、
前記自転防止機構は、前記ケーシング側に設けられる第1の継手ガイドと、前記旋回スクロールの背面側に設けられる第2の継手ガイドと、該第1,第2の継手ガイド間に摺動可能に配設され該第1,第2の継手ガイドにより互いに異なる方向にガイドされる可動継手とから構成し、
該可動継手は、前記第1,第2の継手ガイドに摺接する摺動面のうち、少なくとも一方の摺動面を前記駆動軸の回転方向とは反対側に傾斜する傾斜面として形成し、前記第1,第2の継手ガイドの各摺動面のうち該傾斜面に摺接する摺動面は、該傾斜面に対応して傾斜させる構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。 - 前記可動継手は平行四辺形状をなす可動プレートからなり、該可動プレートの4つの側面のうち互いに対向する少なくとも一方の各側面を前記傾斜面により形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
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