JP3881394B2 - 対物レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表面に保護層が設けられた光ディスク等の光記録媒体に対して光束を収束させる光ディスク装置等の光情報記録再生装置の対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体には、信号が記録される記録層を保護するために透明なガラス、あるいはプラスチックから成る保護層が形成されている。光ディスク装置の対物レンズは、記録層に情報を記録し、あるいは記録された情報を再生するため、レーザー光をこの保護層を介して記録層に収束させる。
【0003】
従来の対物レンズ、例えば特開昭61−56314号公報に開示される両面非球面単レンズは、光ディスクの保護層を含めて単一の系として収束性能が良好となるよう球面収差、コマ収差等の収差が補正されている。保護層は光学素子としてみれば平行平面板であり、したがって、従来の対物レンズは、収束レンズと平行平面板とを組み合わせた系として収差が補正されていることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように保護層を含めてコマ収差を補正した場合、レンズ単独の系としてみると球面収差、コマ収差が共に残存しているため、対物レンズが傾いて対物レンズの光軸がディスクに対して垂直でなくなると、対物レンズが単体で持つコマ収差により記録面上に形成されるスポットの径が拡大し、情報の取りこぼし等のエラーを生じる可能性が高くなる。
【0005】
コマ収差によるスポット径の変化は、ディスク、対物レンズ、入射光束の三者の位置関係に依存する。従来の設計では、ディスクと対物レンズとの位置関係が設計値通りであれば、入射光束が対物レンズに対して傾いた場合にも設計値通りのスポット径が得られるが、ディスクに対して対物レンズが傾いた場合にはスポット径が急激に拡大する。
【0006】
したがって、従来の対物レンズを光ヘッドに組み付ける際には、対物レンズの光軸が予定されるディスク面に対して垂直となるよう微小な対物レンズの姿勢を厳密に調整する必要があり、調整作業が煩雑となるという問題がある。
【0007】
また、実際に光ディスク装置が作動する場合には、対物レンズと光ディスクとは全く別の系として独立に変位するため、例えば、対物レンズを駆動するアクチュエータの機構上の理由によりトラッキング時やフォーカシング時に対物レンズが傾いた場合には、たとえ対物レンズが静止状態で正確に調整されていたとしても、対物レンズの光軸がディスクに対して一時的に傾き、大きなコマ収差が発生するという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、光ヘッドに対物レンズを組み付ける際に要求される精度を緩和することができ、しかも、光ディスク装置の作動中に対物レンズの光軸がディスクに対して傾いた場合にも発生するコマ収差の量を抑えることができる対物レンズ及び該対物レンズを用いた光学系および光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる対物レンズは、上記の目的を達成させるため、表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の記録面に光束を収束させる対物レンズにおいて、球面収差については保護層を含めた系として補正すると共に、コマ収差については保護層を含めずに単独の系として補正したことを特徴とする。また、本発明の別の側面によれば、このような対物レンズを用いた光記録媒体用光学系および光ディスク装置が提供される。
【0010】
球面収差が0に補正されている系では、正弦条件を満たすことにより、コマ収差を補正することができる。一方、球面収差が残存する系では、正弦条件違反量OSCと球面収差SAとが等しい場合に、コマ収差を補正することができる。正弦条件違反量OSCの値は、平行平面板である保護層には左右されず、レンズの構成のみにより決定される。
【0011】
この発明では、球面収差については、レンズと保護層とを含めた系として補正されているため、レンズ単独では球面収差が残存している。この残存しているレンズ単独の球面収差SALに、正弦条件違反量OSCをほぼ一致させることにより、コマ収差をレンズ単独で補正することができる。
【0012】
保護層を含めた全系の球面収差が抑えられていることを前提とすると、レンズ単独の球面収差SALは、平行平面板である保護層により発生する球面収差SADを打ち消すだけの値、すなわちSAD+SAL=0になるような値をとることが要求される。ここで、保護層の球面収差SADは以下の式により求められる。
SAD=((1/n)−√((1−sin2α)/(n2−sin2α)))・T
【0013】
αはレンズを射出した光線とレンズの光軸とのなす角度、n、Tはそれぞれ保護層の屈折率と厚さである。したがって、球面収差が完全に補正されている場合には、レンズ単独の球面収差SALは、以下の式で表される。
SAL=−((1/n)−√((1−sin2α)/(n2−sin2α)))・T
【0014】
このレンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを一致させることにより、レンズ単独のコマ収差を0にすることができる。ただし、全系の球面収差は必ずしも完全に補正される必要はなく、また、レンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとも必ずしも完全に一致する必要はなく、所定の範囲内にあればレンズの倒れによる性能劣化を抑えることができる。そこで、この発明の対物レンズは、有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする。
【0015】
0.5<OSC/[-((1/n)−√((1−sin2α)/(n2−sin2α)))・T]<1.5
【0016】
ただし、αはレンズを射出した光線とレンズの光軸とのなす角度、nは保護層の屈折率、Tは保護層の厚さである。
【0017】
上記の条件の下限を下回る場合には、レンズが倒れた際のコマ収差の劣化が大きくなる。また、上限を越える場合には、レンズが倒れた場合のコマ収差が大きくなると共に、倒れがない場合にも軸外コマ収差が大きくなる。
【0018】
【発明の実施形態】
以下、この発明にかかる対物レンズの実施形態を3つの実施例に基づいて説明する。実施例1および実施例3の対物レンズは非球面単レンズであり、実施例2の対物レンズは3群3枚構成の球面レンズである。いずれの実施例においても、球面収差については対物レンズと光ディスクの保護層とを含めた系として補正され、コマ収差については保護層を含めずに対物レンズ単独の系として補正されている。
【0019】
【実施例1】
図1は、実施例1にかかる対物レンズL1と光ディスクの保護層Dとを示す。実施例1の具体的な数値構成は、表1に示される。表中、NAはレンズの開口数、fは焦点距離、ωは半画角、fbはレンズ単独でのバックフォーカス、rは曲率半径、dはレンズ厚若しくは空気間隔、n780は波長780nmでの屈折率、νはアッベ数、ndはd-line(588nm)での屈折率である。面番号1,2が対物レンズL、面番号3,4が保護層Dを示す。
【0020】
実施例1の対物レンズL1は、両面が非球面で構成される。非球面は、光軸からの高さがYとなる非球面上の座標点の非球面頂点の接平面からの距離(サグ量)をX、非球面頂点の曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次の非球面係数をA4,A6,A8,A10として、以下の式で表される。なお、表1における非球面の曲率半径は、非球面頂点の曲率半径であり、これらの面の円錐係数、非球面係数は表2に示される。
【0021】
【数1】
X=CY2/(1+√(1-(1+K)C2Y2))+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
図2(A)は、実施例1の構成による対物レンズL1と保護層Dとを含めた系における球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、図2(B)はレンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。全系の球面収差SASは、保護層Dを含めて補正されているため、図2(A)に示されるように殆ど発生していないが、正弦条件違反量OSCは図2(B)に示されるようにレンズ単独の球面収差SALにほぼ一致するよう定められている。すなわち、コマ収差は、レンズ単独として補正されており、保護層Dを含めた全系としては補正されていない。
【0025】
表3は、実施例1の対物レンズに入射する光線の高さを有効径(最大高さ)の1倍〜0.1倍の範囲で10段階に分け、各高さの光線に対するsinαの値、正弦条件違反量OSC、保護層単独の球面収差SADの正負を反転した値−SAD(全系の球面収差が完全に補正されている場合にはレンズ単独の球面収差SALに一致する)、OSCの−SADに対する比(条件式の値)をそれぞれ示す。実施例1では、−OSC/SADの値は約0.58〜1.16の範囲に分布しており、有効径の70%の高さにおける値は約1.05となっている。
【0026】
【表3】
【0027】
次に、上記実施例1の対物レンズの光軸のディスクに対する傾きと傾きにより発生する波面収差との関係を、保護層を含めてコマ収差を補正した比較例1のレンズと比較して説明する。比較例1についての具体的な数値は示さないが、比較例1は両面非球面の単レンズであり、実施例1と開口数NA、焦点距離f、半画角ω等の仕様は共通であり、正弦条件違反量OSCがレンズ単独の球面収差SALではなく全系の球面収差SASに一致するよう定められている点のみが実施例と異なる。
【0028】
対物レンズの傾き角度は、図3に示されるように、対物レンズL1の最も光源側(光ディスクから最も遠い側)の面と光軸Oとの交点P0を回転中心とした際の対物レンズの光軸Oと光ディスクの法線Nとのなす角度θとして定義される。
【0029】
実施例1、比較例1における対物レンズの傾きと波面収差との関係は、図4に示される。図4は、横軸に対物レンズの傾き角度LENS TILT(単位degree)、縦軸に波面収差の発生量WFAをrms(二乗平均)で表した値をとり、相互の関係を示すグラフである。
【0030】
対物レンズの傾きがなく、対物レンズの光軸に対して保護層が垂直な場合には、光束はレンズの光軸と平行に入射するため、比較例1、実施例1共にコマ収差は発生しない。実施例1と比較例1とはコマ収差以外の点については同一の仕様であるため、コマ収差が発生していない場合の波面収差の量は互いに等しい。傾き角度が増加すると、いずれの場合にも波面収差の量は増加するが、実施例の方が比較例より増加の度合いが小さいため、収差の総量は実施例の方が比較例より少ない。
【0031】
対物レンズの光軸が保護層に対して傾いた場合、比較例では補正の前提となっている対物レンズと保護層との位置関係が崩れるため、対物レンズが単体で持つコマ収差により大きな波面収差が発生する。一方、実施例の場合には、対物レンズのコマ収差はそれ単独で補正されているため、対物レンズが傾いた場合にもコマ収差は殆ど発生しない。したがって、結果的に現れる波面収差の量は、比較例より実施例の方が小さくなる。
【0032】
なお、実施例1における波面収差の劣化は、主として非点隔差によるものである。比較例においても非点隔差による波面収差は発生しているが、コマ収差の発生量の方が圧倒的に大きいため、その影響は目立たない。
【0033】
図5は、実施例1の対物レンズの光軸Oがディスクの法線Nに対して0.5°傾いた際の波面収差を波面全体に亙って3次元的に表示したグラフである。図中のX軸は、図3に示されるディスクの保護層Dの法線Nと平行でスポット中心を通る軸、Y,Z軸はX軸に垂直な面内で互いに直交する軸であり、図5は、レンズの光軸OがX−Y平面内で法線Nに対して0.5°傾いた場合の波面を示す。図6(A)は、図5に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。傾き0.5°における実施例1の波面収差量は、rms値で約0.011λである。
【0034】
図7は、比較例1の対物レンズの光軸Oがディスクの法線Nに対して0.5°傾いた際の波面収差を波面全体に亙って3次元的に表示したグラフであり、図8(A)はそのX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。傾き0.5°における比較例1の波面収差量は、rms値で約0.060λである。なお、図7、図8のX軸で示される収差量のスケールは、対応する実施例1の値を示す図5、図6のX軸で示される収差量のスケールに対して5倍粗い精度で表示されている。
【0035】
【実施例2】
図9は、実施例2の対物レンズL2,L3,L4と光ディスクの保護層Dとを示す。実施例2の対物レンズは、図中左側となる光源側から正、負、正の順に配列した3枚の球面レンズL2,L3,L4から構成される。実施例2の具体的な数値構成は、以下の表4に示されている。
【0036】
【表4】
【0037】
図10(A)は、実施例2の構成による対物レンズLと保護層Dとを含めた系における球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、図10(B)はレンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。全系の球面収差SASは、保護層Dを含めて補正され、正弦条件違反量OSCはレンズ単独の球面収差SALにほぼ一致するよう定められている。
【0038】
表5は、実施例2の対物レンズに入射する各高さの光線に対するsinα、OSC、−SAD、−OSC/SADの値をそれぞれ示す。実施例2では、−OSC/SADの値は約0.64〜1.33の範囲に分布しており、有効径の70%の高さにおける値は約0.91となっている。
【0039】
【表5】
【0040】
次に、上記実施例2の対物レンズの光軸のディスクに対する傾きと傾きにより発生する波面収差との関係を、保護層を含めてコマ収差を補正した比較例2のレンズと比較して説明する。比較例2は、実施例2と共通の仕様を持つ球面の3群3枚レンズであり、正弦条件違反量OSCがレンズ単独の球面収差SALではなく全系の球面収差SASに一致するよう定められている点のみが実施例2と異なる。
【0041】
対物レンズの傾き角度は、図11に示されるように、対物レンズの最も光源側(光ディスクから最も遠い側)の面と光軸Oとの交点P1を回転中心とした際の対物レンズの光軸Oと光ディスクの法線Nとのなす角度θとして定義される。
【0042】
実施例2、比較例2における対物レンズの傾きと波面収差との関係は、図12に示される。図12は、図4と同様に対物レンズの傾き角度と波面収差の発生量WFAとの関係を示すグラフである。
【0043】
対物レンズの傾きがなく、対物レンズの光軸に対して保護層が垂直な場合には、比較例2、実施例2共にコマ収差による波面収差は発生せず、波面収差の量は等しい。傾き角度が増加すると、いずれの場合にも波面収差の量は増加するが、実施例の方が比較例より増加の度合いが小さいため、収差の総量は実施例の方が比較例より少ない。
【0044】
図13は、実施例2の対物レンズの光軸Oがディスクの法線Nに対して0.5°傾いた際の波面収差を波面全体に亙って3次元的に表示したグラフであり、図14(A)は、そのX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。傾き0.5°における実施例2の波面収差量は、rms値で約0.017λである。
【0045】
図15は、比較例2の対物レンズの光軸Oがディスクの法線Nに対して0.5°傾いた際の波面収差を波面全体に亙って3次元的に表示したグラフであり、図16(A)はそのX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。傾き0.5°における比較例2の波面収差量は、rms値で約0.025λである。なお、図15、図16のX軸で示される収差量のスケールは、対応する実施例2の値を示す図13、図14のX軸で示される収差量のスケールに対して5倍粗い精度で表示されている。
【0046】
【実施例3】
図17は、実施例3の対物レンズL5と光ディスクの保護層Dとを示す。実施例3の対物レンズは、実施例1と同様1枚の両面非球面レンズから構成される。ただし、保護層Dの厚さが上記各実施例の半分の0.6mmである。実施例3の具体的な数値構成は、以下の表6に示されている。表中の符号n650は、波長650nmにおける屈折率である。また、実施例3の非球面係数は、表7に示されている。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
図18(A)は、実施例3の構成による対物レンズL5と保護層Dとを含めた系における球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、図18(B)はレンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。全系の球面収差SASは、保護層Dを含めて補正され、正弦条件違反量OSCはレンズ単独の球面収差SALにほぼ一致するよう定められていることが理解できる。
【0050】
表8は、実施例3の対物レンズに入射する各高さの光線に対するsinα、OSC、−SAD、−OSC/SADの値をそれぞれ示す。実施例3では、−OSC/SADの値は約0.97〜1.04の範囲に分布しており、有効径の70%の高さにおける値は約1.01となっている。
【0051】
【表8】
【0052】
実施例3の対物レンズの光軸のディスクに対する傾きと、傾きにより発生する波面収差との関係は、実施例1のデータと共に図4に示される。両面非球面単レンズである比較例1と比較すると、実施例3の方が波面収差の総量が少ない。
【0053】
図19は、実施例3の対物レンズの光軸Oがディスクの法線Nに対して0.5°傾いた際の波面収差を波面全体に亙って3次元的に表示したグラフであり、図20の(A)は、図19に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。傾き0.5°における実施例3の波面収差量は、rms値で約0.011λである。
【0054】
いずれも実施例の方が比較例より波面のうねりが小さいこと、すなわち波面収差の発生量が小さいことが理解できる。波面のうねりが小さいほど、すなわち波面収差が少ないほど、記録面上に収束されるスポットの径を小さくすることができるため、実施例によれば、ディスクに対して対物レンズが傾いた場合にも、スポットの径を比較例より小さく保つことができ、書き込みエラーや読み取りエラーが発生する可能性を小さくすることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、対物レンズの光軸が光ディスクに対して傾いた場合にも光ディスクの記録面に結像されるスポットの波面収差を小さく抑えることができ、スポット径の拡大を防ぎ、情報の取りこぼしを生じる可能性を小さくすることができる。
【0056】
したがって、対物レンズを光ヘッドに組み付ける際の組み付け精度を緩和することにより調整に要する時間、コストを低減でき、しかも、対物レンズを駆動するアクチュエータのの機構、構造によらず、光ディスク装置の作動中に対物レンズの光軸が光ディスクに対して傾いた場合にも、スポット性能の劣化が小さく読み取り性能の良い対物レンズを提供することができる。
【0057】
また、対物レンズの傾きに対するスポット性能の劣化が小さいことから、レンズの傾きに対する許容量が大きくなるため、フォーカシング用、トラッキング用のアクチュエータの機構精度が緩和され、構成の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の対物レンズを示すレンズ図である。
【図2】 (A)は実施例1の対物レンズの保護層を含めた球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、(B)は実施例1の対物レンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。
【図3】 実施例1の対物レンズの光軸に対してディスクが傾いた状態を示すレンズ図である。
【図4】 実施例1,3および比較例1における傾き角度と波面収差の発生量との関係を示すグラフである。
【図5】 実施例1の対物レンズの光軸がディスクに対して0.5°傾いた際の波面収差を示す3次元表示グラフである。
【図6】 (A)は、図5に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。
【図7】 比較例1の対物レンズの光軸がディスクに対して0.5°傾いた際の波面収差を示す3次元表示グラフである。
【図8】 (A)は、図7に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。
【図9】 実施例2の対物レンズを示すレンズ図である。
【図10】 (A)は実施例2の対物レンズの保護層を含めた球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、(B)は実施例2の対物レンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。
【図11】 実施例2の対物レンズの光軸に対してディスクが傾いた状態を示すレンズ図である。
【図12】 実施例2および比較例2における傾き角度と波面収差の発生量との関係を示すグラフである。
【図13】 実施例2の対物レンズの光軸がディスクに対して0.5°傾いた際の波面収差を示す3次元表示グラフである。
【図14】 (A)は、図13に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。
【図15】 比較例2の対物レンズの光軸がディスクに対して0.5°傾いた際の波面収差を示す3次元表示グラフである。
【図16】 (A)は、図15に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。
【図17】 実施例3の対物レンズを示すレンズ図である。
【図18】 (A)は実施例3の対物レンズの保護層を含めた球面収差SASと正弦条件違反量OSCとを示すグラフ、(B)は実施例3の対物レンズ単独の球面収差SALと正弦条件違反量OSCとを示すグラフである。
【図19】 実施例3の対物レンズの光軸がディスクに対して0.5°傾いた際の波面収差を示す3次元表示グラフである。
【図20】 (A)は、図19に示される波面のX−Y平面内での変化を示すグラフ、(B)はX−Z平面内での変化を示すグラフである。
【符号の説明】
L1 対物レンズ(実施例1)
L2,L3,L4 対物レンズ(実施例2)
L5 対物レンズ(実施例3)
D 保護層
Claims (15)
- 表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の記録面に光束を収束させる対物レンズにおいて、
球面収差については前記保護層を含めた系として補正されると共に、正弦条件違反量OSCについては前記保護層を含まないレンズ単独の球面収差にほぼ一致するよう設定され、有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする対物レンズ。
0.5<OSC/[−((1/n)−√((1−sin2α)/(n2−sin2α)))・T]<1.5
ただし、nは保護層の屈折率、αはレンズを射出した光線とレンズ光軸とのなす角度、Tは保護層の厚さである。 - 前記有効径の100%の高さでレンズを透過する光線に対し、前記条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
- 軸上から前記有効径の100%の高さまでの範囲内のいずれの高さでレンズを透過する光線に対しても、前記条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
- 表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の記録面に光束を収束させる光ディスク装置において、
該ディスク装置は対物レンズを備え、
球面収差については前記保護層及び前記対物レンズを含めた系として補正されると共に、
前記対物レンズの正弦条件違反量OSCについては前記保護層を含まないレンズ単独の球面収差にほぼ一致するよう設定され、前記対物レンズは有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする光ディスク装置。
0.5<OSC/[−((1/n)−√((1−sin 2 α)/(n 2 −sin 2 α)))・T]<1.5
ただし、nは保護層の屈折率、αはレンズを射出した光線とレンズ光軸とのなす角度、Tは保護層の厚さである。 - 前記対物レンズは前記有効径の100%の高さでレンズを透過する光線に対し、前記条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
- 前記対物レンズは軸上から前記有効径の100%の高さまでの範囲内のいずれの高さでレンズを透過する光線に対しても、前記条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
- 表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の前記保護層と、前記記録媒体の記録面に光束を収束させる対物レンズとを含む、光記録媒体用光学系において、
前記光学系の球面収差については前記保護層を含めた系として補正されると共に、
前記対物レンズの正弦条件違反量OSCについては前記保護層を含まないレンズ単独の球面収差にほぼ一致するよう設定され、前記対物レンズは有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする光記録媒体用光学系。
0.5<OSC/[−((1/n)−√((1−sin 2 α)/(n 2 −sin 2 α)))・T]<1.5
ただし、nは保護層の屈折率、αはレンズを射出した光線とレンズ光軸とのなす角度、Tは保護層の厚さである。 - 前記対物レンズは前記有効径の100%の高さでレンズを透過する光線に対し、前記条件を満たすことを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体用光学系。
- 前記対物レンズは軸上から前記有効径の100%の高さまでの範囲内のいずれの高さでレンズを透過する光線に対しても、前記条件を満たすことを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体用光学系。
- 表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の記録面に光束を収束させる光ディスク装置の光学系に用いられる対物レンズにおいて、
前記光学系の球面収差については前記保護層を含めた系として補正されると共に、前記対物レンズの正弦条件違反量OSCについては前記保護層を含まないレンズ単独の球面収差にほぼ一致するよう設定され、有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする光記録媒体用対物レンズ。
0.5<OSC/[−((1/n)−√((1−sin 2 α)/(n 2 −sin 2 α)))・T]<1.5
ただし、nは保護層の屈折率、αはレンズを射出した光線とレンズ光軸とのなす角度、Tは保護層の厚さである。 - 前記有効径の100%の高さでレンズを透過する光線に対し、前記条件を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光記録媒体用対物レンズ。
- 軸上から前記有効径の100%の高さまでの範囲内のいずれの高さでレンズを透過する光線に対しても、前記条件を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光記録媒体用対物レンズ。
- 表面に透明な保護層が設けられた光記録媒体の記録面に光束を収束させる対物レンズにおいて、
球面収差については前記保護層を含めた系として補正されると共に、正弦条件違反量OSCについては前記保護層を含まないレンズ単独の球面収差にほぼ一致するよう設定され、有効径の70%の高さでレンズを透過する光線に対し、以下の条件を満たすことを特徴とする光記録媒体用対物レンズ。
0.5<OSC/[−((1/n)−√((1−sin 2 α)/(n 2 −sin 2 α)))・T]<1.5
ただし、nは保護層の屈折率、αはレンズを射出した光線とレンズ光軸とのなす角度、Tは保護層の厚さである。 - 前記有効径の100%の高さでレンズを透過する光線に対し、前記条件を満たすことを特徴とする請求項13に記載の光記録媒体用対物レンズ。
- 軸上から前記有効径の100%の高さまでの範囲内のいずれの高さでレンズを透過する光線に対しても、前記条件を満たすことを特徴とする請求項13に記載の光記録媒体用対物レンズ。
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